JP2020179513A - 輪転印刷機、輪転印刷機の制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】損紙の発生量を極小化する。【解決手段】この輪転印刷機10は、給紙部12a、12d、12eと、複数の印刷胴30を有する印刷部14a、14d、14eと、折部18と、レールフレーム部16と、複数の印刷胴30の夫々に対応して設けられ、当該対応する印刷胴30を駆動する印刷胴駆動用モーターM3と、印刷胴駆動用モーターM3の動作制御を行う制御部20’と、を備え、制御部20’が印刷胴駆動用モーターM3に対してトリガー信号を発信することで、複数の印刷胴30が胴入動作を行って連続紙に対する胴着が行われて当該連続紙に対する印刷が行われる。そして、制御部20’は、トリガー信号の発信から連続紙に対する複数の印刷胴30の胴着完了までの間に印刷胴駆動用モーターM3に対するトルクアップ指令信号を発信することで、連続紙に対して胴着が行われる前に印刷胴30の回転動作のトルクアップを実行させる。【選択図】図2
Description
本発明は、輪転印刷機及び輪転印刷機の制御方法に関するものである。
多色印刷などを行う輪転印刷機においては、円滑な印刷のために、印刷開始時から印刷終了時までの間に過渡的な負荷変動を防止した状態で印刷胴を回転駆動する必要がある。特に、印刷開始時において、複数の印刷胴が胴入動作を行って連続紙に対する胴着が行われ、当該胴着後に連続紙に対する印刷が実行される形式の輪転印刷機においては、胴着の瞬間においても印刷胴の回転速度変化がなるべく起こらないようにすることが望ましい。
なお、胴着動作を伴う輪転印刷機の印刷品質向上のための技術を開示する技術文献として、例えば、下記特許文献1、2等が存在する。
しかしながら、従来の輪転印刷機の技術分野においては、胴着の瞬間に印刷胴に対して不可避的に負荷変動が生じてしまい、印刷開始時から印刷胴が安定して回転駆動するまでの間に印刷品質が悪い、損紙といわれる所謂文字ダブリ現象による、印刷不良を伴う印刷物が複数部発生してしまうという不具合が存在していた。この損紙の量を極力減少させることができれば、コスト面でのメリットを享受できるとともに、輪転印刷機としても従来の印刷機に対して優位性を得ることが可能となる。
本発明は、上述した従来技術に存在する課題に鑑みて成されたものであって、その目的は、従来技術において胴着の瞬間に印刷胴に対して生じていた負荷変動を好適に極小化することで、損紙の発生量を低減し、従来技術に比べてコスト面や性能面で優位に立つことのできる輪転印刷機と、この輪転印刷機の制御方法を提供することにある。
本発明に係る輪転印刷機は、巻取紙を保持する給紙部と、前記給紙部から供給される連続紙に印刷を施す複数の印刷胴を有する印刷部と、印刷後の単数又は複数の連続紙を所定の断裁長で断裁して個々の枚葉状シート群を作成し、当該枚葉状シート群を折り畳んで所望の折丁を作成する折部と、前記印刷部から前記折部に至る連続紙の走行経路を形成するレールフレーム部と、前記複数の印刷胴の夫々に対応して設けられ、当該対応する印刷胴を駆動する印刷胴駆動用モーターと、前記印刷胴駆動用モーターの動作制御を行う制御部と、を備え、印刷開始時において前記制御部が前記印刷胴駆動用モーターに対してトリガー信号を発信することで、前記複数の印刷胴が胴入動作を行って前記連続紙に対する胴着が行われて当該連続紙に対する印刷が行われる輪転印刷機であって、前記制御部は、前記トリガー信号の発信から前記連続紙に対する前記複数の印刷胴の胴着完了までの間に前記印刷胴駆動用モーターに対するトルクアップ指令信号を発信することで、前記連続紙に対して胴着が行われる前に前記印刷胴の回転動作のトルクアップを実行可能であることを特徴とするものである。
また、本発明に係る輪転印刷機において、前記制御部は、胴着が行われる前に実行された前記印刷胴の回転動作のトルクアップ状態を所定時間維持した後、トルクアップ量を漸減して所定のトルクアップ値に変更可能であることとすることが可能である。
さらに、本発明に係る輪転印刷機において、前記トリガー信号は、前記制御部から発信される胴入信号又は印刷開始信号を含むこととすることが可能である。
本発明に係る輪転印刷機の制御方法は、巻取紙を保持する給紙部と、前記給紙部から供給される連続紙に印刷を施す複数の印刷胴を有する印刷部と、印刷後の単数又は複数の連続紙を所定の断裁長で断裁して個々の枚葉状シート群を作成し、当該枚葉状シート群を折り畳んで所望の折丁を作成する折部と、前記印刷部から前記折部に至る連続紙の走行経路を形成するレールフレーム部と、前記複数の印刷胴の夫々に対応して設けられ、当該対応する印刷胴を駆動する印刷胴駆動用モーターと、前記印刷胴駆動用モーターの動作制御を行う制御部と、を備え、印刷開始時において前記制御部が前記印刷胴駆動用モーターに対してトリガー信号を発信することで、前記複数の印刷胴が胴入動作を行って前記連続紙に対する胴着が行われて当該連続紙に対する印刷が行われる輪転印刷機の制御方法であって、前記制御部が、前記トリガー信号の発信から前記連続紙に対する前記複数の印刷胴の胴着完了までの間に前記印刷胴駆動用モーターに対するトルクアップ指令信号を発信することで、前記連続紙に対して胴着が行われる前に前記印刷胴の回転動作のトルクアップを実行させることを特徴とするものである。
本発明によれば、従来技術において胴着の瞬間に印刷胴に対して不可避的に生じていた負荷変動を好適に防止することが可能な輪転印刷機と、この輪転印刷機の制御方法を提供することが可能となる。よって、本発明に係る輪転印刷機と、この輪転印刷機の制御方法によれば、損紙の発生量を極小化することが可能となるので、従来技術に比べてコスト面や性能面で優位に立つことが可能となる。
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
まず、本実施形態に係る輪転印刷機10の機械的構成について、図1を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る輪転印刷機の機械的構成を示す概略図である。
図1に示すように、本実施形態に係る輪転印刷機10は、複数の巻取紙Rを保持する複数(図示の例では5台)の給紙部12a〜12eと、給紙部12a〜12eから供給される連続紙(図示せず)に印刷を施す複数(図示の例では5台)の印刷部14a〜14eと、印刷後の単数又は複数の連続紙を所定のカットオフ(断裁長)で断裁して個々の枚葉状シート群を作成し、該枚葉状シート群を折り畳んで所望の折丁を作成する折部18と、印刷部14a〜14eから折部18に至る連続紙の走行経路を形成するレールフレーム部16と、を備えている。なお、図示の例では、給紙部12a〜12e、印刷部14a〜14eがそれぞれ5つずつ設けられ、レールフレーム部16が設けられる構成を例示したが、本発明の範囲はこれに限定されず、作成する折丁の構成に応じて、本発明の給紙部、印刷部及びレールフレーム部の構成や設置数は任意に設定することが可能である。
また、本実施形態に係る輪転印刷機10は、輪転印刷機10の各種制御を実行する制御部としての制御盤20を備えている。本実施形態に係る制御盤20は、輪転印刷機10の電源や全体動作を制御する主幹盤20aと、各印刷部14a〜14eに設置された電動機盤に対して制御指令を行うコンバータ盤20bと、コンバータ盤20bを補完するコンバータ補助盤20cなどから構成することが可能である。なお、本実施形態に係る輪転印刷機10において、制御盤20は、上述の構成に限定されず、輪転印刷機に採用可能な構成であれば、種々の構成を採用可能である。
各給紙部12a〜12eは、図1に示すように、連続紙がロール状に巻き取りされた複数の巻取紙Rを保持する保持アーム(図示せず)と、巻取紙Rから引き出された連続紙を印刷部14a〜14eへ向けて送り出すインフィードローラー(図示せず)と、インフィードローラーの下流に配されたダンサーローラー(図示せず)と、連続紙と待機状態の巻取紙Rとを自動的に紙継ぎする紙継ぎ装置(図示せず)と、を備えることが可能である。そして、不図示のインフィードローラーやアウトフィードローラーには、各ローラーを駆動するための駆動用モーターM1,M2が設けられている。インフィードローラー用の駆動用モーターM1やアウトフィードローラー用の駆動用モーターM2は、上述したコンバータ盤20bと通信可能な状態で電気的に接続されており、コンバータ盤20bを含む制御盤20からの動作指令信号に基づき、所定の動作を実行することが可能である。なお、本実施形態に係る輪転印刷機10において、各給紙部12a〜12eは、上述の構成に限定されず、輪転印刷機に採用可能な構成であれば、種々の構成を採用可能である。
本実施形態において、3つの印刷部14a,14d,14eは、図1に示すように、異なる色(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの4色)の印刷が可能な複数(本実施形態では3台)の印刷ユニット15a〜15dと、印刷部14a,14d,14eの各種制御を実行するコンバータ盤20bとを備えるタワー型カラーユニットである。また、本実施形態において、2つの印刷部14b,14cは、図1に示すように、単色(例えば、ブラックの1色)の印刷が可能な1台の印刷ユニット15eと、印刷部14b,14cの各種制御を実行するコンバータ盤20bとを備える単色ユニットである。各印刷ユニット15a〜15eは、それぞれ、インキ供給装置(図示せず)と、湿し水供給装置(図示せず)と、版胴31と、ブランケット胴32とが連続紙(図示せず)を挟んで一対配された印刷カップルを備えている。版胴31及びブランケット胴32によって、本発明の印刷胴30が形成されている。版胴31及びブランケット胴32は、ギヤー等の適宜の手段で連結されており、版胴31及びブランケット胴32の一方が回転駆動されることで、他方が同期して回転するよう構成されている。なお、本実施形態に係る輪転印刷機10において、各印刷部14a〜14eは、上述の構成に限定されず、輪転印刷機に採用可能な構成であれば、種々の構成を採用可能である。
版胴31及びブランケット胴32からなる印刷胴30の夫々には、印刷胴駆動用モーターM3が設置されており、また、これら複数の印刷胴駆動用モーターM3には、コンバータ盤20bが通信可能な状態で電気的に接続されている。コンバータ盤20bを含む制御盤20からの動作指令信号に基づき、各印刷胴駆動用モーターM3が駆動され、対応する印刷胴30の駆動動作が実行されることとなる。
レールフレーム部16は、図1に示すように、各印刷部14a〜14eの上部に位置し、各印刷部14a〜14eから送り出された連続紙を2分の1幅に断裁し、ページ順に重ねて折部18まで導くよう構成されている。ただし、両出し時は折上ドラッグローラー21で裁断するため、レールフレーム部16では裁断しない。具体的には、レールフレーム部16は、印刷部14a〜14eから排出された倍幅の連続紙を牽引することでレールフレーム部16の内部へ送り込むアウトフィードローラー(図示せず)と、レールフレーム部16の内部において、スリッターナイフ機構(図示せず)と協働して連続紙を2分の1幅に裁断する第1ドラッグローラー(図示せず)及び2分の1幅にされた連続紙を牽引する複数のドラッグローラー(図示せず)と、レールフレーム部16の各種制御を実行するコンバータ盤20bと、を備えている。本実施形態では、レールフレーム部16が備える上述した各種の機構を駆動するための駆動用モーターM4が設置されており、駆動用モーターM4は、上述したコンバータ盤20bと通信可能な状態で電気的に接続されている。コンバータ盤20bを含む制御盤20からの動作指令信号に基づき、駆動用モーターM4が動作を行い、レールフレーム部16が所定の動作を実行することができる。なお、本実施形態に係る輪転印刷機10において、レールフレーム部16は、上述の構成に限定されず、輪転印刷機に採用可能な構成であれば、種々の構成を採用可能である。
折部18は、図1に示すように、レールフレーム部16から送り出された複数の連続紙を重ね合わせて下流側のフォーマー部に送り出すバルーンフォーマー上ドラッグローラー(図示せず)及び折上ドラッグローラー21と、バルーンフォーマー上ドラッグローラー(図示せず)によって重ね合わされた連続紙を縦折りするバルーンフォーマー(図示せず)と、折上ドラッグローラー21によって重ね合わされた連続紙を縦折りするフォーマー(図示せず)と、フォーマー(図示せず)により縦折りされた連続紙を牽引するニッピングローラー(図示せず)と、連続紙を幅方向に断裁して個々の枚葉状シート群を作成する鋸胴(図示せず)と、断裁された枚葉状シート群を幅方向に沿って横折りして折丁を作成する操作側及び駆動側の折胴(図示せず)と、操作側及び駆動側の折胴においてそれぞれ形成された折丁を下流側に搬送する搬送機構(図示せず)と、折部18の各種制御を実行するコンバータ盤20bと、折部18及びレールフレーム部16の駆動制御に用いる各種情報と、印刷部14a〜14eも含めた輪転機全体の運転に関する各種情報を設定入力可能な折部グラフィックパネル(図示せず)と、を備えている。なお、本実施形態に係る輪転印刷機10において、折部18は、上述の構成に限定されず、輪転印刷機に採用可能な構成であれば、種々の構成を採用可能である。例えば、上述した例では、折上ドラッグローラー21と、フォーマーの上部にバルーンフォーマー上ドラッグローラー及びバルーンフォーマーが設置される態様を例示したが、これに限定されず、ドラッグローラー及びフォーマー板の設置台数は任意に変更可能であり、例えば下段のみ設置されることとしても良い。
次に、本実施形態に係る輪転印刷機10のシステム構成について、図2を用いて説明する。図2は、本実施形態に係る輪転印刷機のシステム構成を示す概略図である。なお、図2では、説明の便宜のために、3つの印刷部14a,14d,14eのみが示されているが、本発明の範囲はこれに限定されず、任意の台数の印刷部を設けることが可能である。
図2に示すように、本実施形態に係る輪転印刷機10は、主幹盤20aやコンバータ盤20b、コンバータ補助盤20cなどから構成される制御盤20によって構成される制御部20’を備えている。制御部20’は、光信号分配器40を経由して各種の駆動用モーターM1〜M5に対してインバータ回路41を介して無線LAN通信可能に接続されており、制御部20’からの各種の動作指令信号を各種の駆動用モーターM1〜M5に対して伝送し、駆動制御を行うことが可能となっている。
さて、図1及び図2を用いて説明した本実施形態に係る輪転印刷機10では、印刷を開始するに当たって次のような動作を行うこととなる。すなわち、印刷開始前の準備段階において、各給紙部12a〜12eに配置された複数の巻取紙Rから紙端部を引き出して、引き出された連続紙が印刷部14a〜14e、レールフレーム部16、折部18へと送り出され、各機構を連続的に通過するように配置される。この状態から、印刷を開始する際に、版胴31及びブランケット胴32からなる印刷胴30を制御する制御部20’が、印刷胴駆動用モーターM3に対して本発明のトリガー信号である胴入信号を発信することで、版胴31及びブランケット胴32からなる印刷胴30の夫々が胴入動作を行って、連続紙に対する胴着が行われる。なお、この胴着が実施される前の状態の印刷胴30は、連続紙に対して印刷胴30からの印圧が及んでいない胴逃がしの状態となっており、胴着が実施されると連続紙に対する印刷胴30からの印圧が加わって印刷が実施可能となる胴入状態が実現されることとなる。
以上説明したような印刷胴30の胴着動作に基づく胴入を行って印刷を開始する輪転印刷機10の場合、従来技術では、胴着の瞬間に印刷胴30に対して不可避的に負荷変動が生じてしまい、印刷開始時から印刷胴30が安定して回転駆動するまでの間に印刷品質が悪い、所謂文字ダブリ現象による、損紙といわれる印刷不良を伴う印刷物が複数部発生してしまうという不具合が存在していた。このような従来技術に存在する課題を解決すべく、本発明者らが鋭意研究を行った結果、制御部20’による胴入信号の発信から連続紙に対する複数の印刷胴30の胴着完了までの間に印刷胴駆動用モーターM3に対するトルクアップ指令信号を発信することで、連続紙に対して胴着が行われる前に印刷胴30の回転動作のトルクアップを実行することで、胴着実施から早期に良紙の印刷が可能となり、損紙の発生量を低減できることを見出した。かかる成果を示す実験データを示す図として、図3を示す。ここで、図3は、本実施形態に係る輪転印刷機10の制御方法を説明するためのグラフ図である。
図3で示すグラフ図において、横軸は時間を示している。また、縦軸のうち、左側の符号(A)で示す縦軸は制御部20’から印刷胴駆動用モーターM3に対して発信される胴入信号のON/OFF状態を示しており、左側の符号(B)で示す縦軸は印刷胴30を通過する連続紙の速度を示している。さらに、右側の符号(C)で示される縦軸は連続紙に対して印刷を行う印刷胴30の従来技術及び本発明の位置誤差が示されている。
図3で示すように、制御部20’から印刷胴駆動用モーターM3に対して胴入信号が発信されると、胴入信号ONの指令信号発信から約2.5秒後に印刷胴30が連続紙に対して胴着していることが分かる。このとき、従来技術では、印刷胴30の位置誤差が大きく発生し、この大きな位置誤差の発生が、所謂文字ダブリなどといった印刷不良に基づく損紙の発生の主な原因であることが明らかとなった。そこで、発明者らは、胴入信号の発信から連続紙に対する複数の印刷胴30の胴着完了までの間に、印刷胴駆動用モーターM3に対するトルクアップ指令信号を発信することで、連続紙に対して胴着が行われる前に印刷胴30の回転動作のトルクアップを実行することとした。かかるトルクアップの実行によって、図3で示されるように、印刷胴30の位置誤差が抑制され、従来技術で発生していた位置誤差が解消されることが明らかとなった。また、印刷胴30の位置誤差を解消することで、従来技術に比べて損紙発生率を低減させることができることも確認された。
さらに、上記の知見を得た発明者らは、胴着前の印刷胴30の回転動作のトルクアップ条件の最適化と、さらなる改良を加える試験・研究を実施した。その結果、発明者らは、胴着が行われる前に実行された印刷胴30の回転動作のトルクアップ状態を所定時間維持した後、トルクアップ量を漸減して所定のトルクアップ値に変更させることで、さらに安定した印刷が実行できることを見出すことに成功した。そこで次に、図4及び図5を参照図面に加えて、本発明者らが見出した本実施形態に係る輪転印刷機10に対する具体的な制御方法の実施例についての説明を行う。ここで、図4は、本実施例に係る輪転印刷機の制御方法を説明するためのフローチャートであり、制御部による指令手順を示したものである。また、図5は、本実施例に係る輪転印刷機の具体的な制御方法を説明するためのグラフ図である。なお、以下の説明では、図1〜図3で示した部材と同一又は類似する部材については、同一符号を用いて説明を省略することとした。
まず、図5で示すグラフ図において、横軸は時間を示しており、1つの目盛が2秒を示している。また、縦軸のうち、左側の符号(a)で示す縦軸は制御部20’から印刷胴駆動用モーターM3に対して発信される胴入信号のON/OFF状態を示しており、左側の符号(b)で示す縦軸は印刷胴30の回転動作のトルク補正量を示している。さらに、右側の符号(c)で示される縦軸は印刷胴30を通過する連続紙の実際の速度が示されており、右側の符号(d)で示される縦軸は印刷胴30の回転動作の実際のトルク値が示されており、右側の符号(e)で示される縦軸は連続紙に対して印刷を行う印刷胴30の実際の位置誤差の値が示されている。
本実施例に係る輪転印刷機10の制御方法について、図2、図4及び図5を参照して説明すると、印刷開始前の準備段階において、各給紙部12a〜12eに配置された複数の巻取紙Rから紙端部を引き出して、引き出された連続紙が印刷部14a〜14e、レールフレーム部16、折部18へと送り出され、各機構を連続的に通過するように配置されることで、輪転印刷機10の運転準備が完了する。制御部20’が運転準備完了を認識すると(ステップS10)、制御部20’が胴入信号を発信する(ステップS11)。制御部20’が胴入信号を発信して、約2.5秒後に胴着が行われることになるが、さらに制御部20’は、印刷胴駆動用モーターM3に対してトルクアップ指令信号を発信し(ステップS12)、胴着完了前の印刷胴30のトルクアップを実行させるべく、印刷胴駆動用モーターM3に対して通常印刷時のトルク値に対してトルクアップ量が約150%となるように動作指令を行う。
そして、本実施例では、胴入信号がONとなってから約1.7秒後に印刷胴30のトルクアップ量が約150%となるようにし、さらに、この約150%のトルクアップ値を約2秒間維持させる。つまり、印刷胴30が連続紙に胴着して約1.2秒間は、通常印刷時のトルク値に対して約150%のトルクアップ量を維持することとなる。
さらにその後、制御部20’は、トルクアップ量を漸減するように指令信号を発信し(ステップS13)、印刷胴駆動用モーターM3は、トルクアップ量漸減指令信号を受信してから印刷胴30のトルクアップ量を漸減して行き、約10秒間で通常印刷時のトルク値となるように印刷胴30を動作させる。その後、制御部20’は、印刷胴駆動用モーターM3に対して印刷胴30が通常印刷時のトルク値を維持するように指令を行い、本実施例に係る輪転印刷機10は定常運転に移行する(ステップS14)。
なお、図5で示されるように、本実施例では、印刷胴30が連続紙に胴着した際に、印刷胴30には大きな位置誤差は発生していない。また、印刷胴30のトルク値や連続紙の送り速度も安定して推移しており、図4及び図5で示した本実施例に係る輪転印刷機10の制御方法によれば、従来技術に比べて明らかな損紙低減効果を得ることが可能となった。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態には、多様な変更又は改良を加えることが可能である。
例えば、図1及び図2を用いて説明した本実施形態の輪転印刷機10については、本発明を適用可能な輪転印刷機の一構成例を示したものであり、本発明によって発揮される作用効果と同様の作用効果を得られる範囲内において、様々な変形形態を採用することが可能である。
また、図4及び図5を用いて説明した本実施例に係る輪転印刷機の制御方法については、発明者らが見出した発明の一実施例を示したに過ぎず、例えば、図5で示した具体的な数値条件に本発明が限定されるものではない。本発明の範囲は、上述した実施例と同様の作用効果を発揮できる範囲内において、任意に変更することが可能である。つまり、上述した本実施例に係る輪転印刷機の制御方法については、輪転印刷機の仕様や設備条件等に応じて任意に変形させることが可能である。
また、上述した実施形態及び実施例では、印刷胴30を制御する制御部20’が、印刷胴駆動用モーターM3に対して本発明のトリガー信号である胴入信号を発信することで、版胴31及びブランケット胴32からなる印刷胴30の夫々が胴入動作を行って、連続紙に対する胴着が行われる場合の形態例が示されていた。しかしながら、制御部20’が印刷胴駆動用モーターM3に対して発信する本発明のトリガー信号については、胴入信号に限られるものではない。例えば、本実施形態に係る輪転印刷機10が備える折部操作パネル(図示せず)などに設置された印刷開始ボタン(図示せず)を利用し、この印刷開始ボタンを押すことで発信される印刷開始信号を本発明のトリガー信号として用いることで、本発明の輪転印刷機を稼働するようにしても良い。
また、上述した実施形態及び実施例では、印刷胴駆動用モーターM3の動作制御を行う制御部20’が、印刷開始時において印刷胴駆動用モーターM3に対してトリガー信号である胴入信号を発信することで、連続紙(図示せず)に対する印刷胴30の胴着が行われる場合の形態例が示されていた。しかしながら、本発明の実施タイミングは、印刷開始時に限られるものではない。例えば、連続紙から新巻取紙に紙継ぎが行われるペースター時においても、印刷胴駆動用モーターM3に対するトルクアップ指令信号を発信することで、印刷胴30の回転動作のトルクアップを実行し、損紙の発生量を極力減少させた状態で本発明の輪転印刷機を稼働させ、且つ、本発明の制御方法を実行することが可能である。
その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
10 輪転印刷機、12a,12b,12c,12d,12e 給紙部、14a,14b,14c,14d,14e 印刷部、15a,15b,15c,15d,15e 印刷ユニット、16 レールフレーム部、18 折部、20 制御盤、20a 主幹盤、20b コンバータ盤、20c コンバータ補助盤、20’ 制御部、21 折上ドラッグローラー、30 印刷胴、31 版胴、32 ブランケット胴、40 光信号分配器、41 インバータ回路、M1,M2,M4,M5 駆動用モーター、M3 印刷胴駆動用モーター、R 巻取紙。
Claims (4)
- 巻取紙を保持する給紙部と、
前記給紙部から供給される連続紙に印刷を施す複数の印刷胴を有する印刷部と、
印刷後の単数又は複数の連続紙を所定の断裁長で断裁して個々の枚葉状シート群を作成し、当該枚葉状シート群を折り畳んで所望の折丁を作成する折部と、
前記印刷部から前記折部に至る連続紙の走行経路を形成するレールフレーム部と、
前記複数の印刷胴の夫々に対応して設けられ、当該対応する印刷胴を駆動する印刷胴駆動用モーターと、
前記印刷胴駆動用モーターの動作制御を行う制御部と、
を備え、印刷開始時において前記制御部が前記印刷胴駆動用モーターに対してトリガー信号を発信することで、前記複数の印刷胴が胴入動作を行って前記連続紙に対する胴着が行われて当該連続紙に対する印刷が行われる輪転印刷機であって、
前記制御部は、前記トリガー信号の発信から前記連続紙に対する前記複数の印刷胴の胴着完了までの間に前記印刷胴駆動用モーターに対するトルクアップ指令信号を発信することで、前記連続紙に対して胴着が行われる前に前記印刷胴の回転動作のトルクアップを実行可能であることを特徴とする輪転印刷機。 - 請求項1に記載の輪転印刷機において、
前記制御部は、胴着が行われる前に実行された前記印刷胴の回転動作のトルクアップ状態を所定時間維持した後、トルクアップ量を漸減して所定のトルクアップ値に変更可能であることを特徴とする輪転印刷機。 - 請求項1又は2に記載の輪転印刷機において、
前記トリガー信号は、前記制御部から発信される胴入信号又は印刷開始信号を含むことを特徴とする輪転印刷機。 - 巻取紙を保持する給紙部と、
前記給紙部から供給される連続紙に印刷を施す複数の印刷胴を有する印刷部と、
印刷後の単数又は複数の連続紙を所定の断裁長で断裁して個々の枚葉状シート群を作成し、当該枚葉状シート群を折り畳んで所望の折丁を作成する折部と、
前記印刷部から前記折部に至る連続紙の走行経路を形成するレールフレーム部と、
前記複数の印刷胴の夫々に対応して設けられ、当該対応する印刷胴を駆動する印刷胴駆動用モーターと、
前記印刷胴駆動用モーターの動作制御を行う制御部と、
を備え、印刷開始時において前記制御部が前記印刷胴駆動用モーターに対してトリガー信号を発信することで、前記複数の印刷胴が胴入動作を行って前記連続紙に対する胴着が行われて当該連続紙に対する印刷が行われる輪転印刷機の制御方法であって、
前記制御部が、前記トリガー信号の発信から前記連続紙に対する前記複数の印刷胴の胴着完了までの間に前記印刷胴駆動用モーターに対するトルクアップ指令信号を発信することで、前記連続紙に対して胴着が行われる前に前記印刷胴の回転動作のトルクアップを実行させることを特徴とする輪転印刷機の制御方法。
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JP2019081886A JP2020179513A (ja) | 2019-04-23 | 2019-04-23 | 輪転印刷機、輪転印刷機の制御方法 |
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