以下、実施形態の電気掃除機を、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。本明細書で「XXに基づく」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含む。また「XXに基づく」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含む。「XX」は、任意の要素(例えば任意の情報)である。また本明細書でいう「今回使用時」とは、「前回使用時」の次に電気掃除機が使用される使用時を意味する。
(第1の実施形態)
<1.電気掃除機の全体構成>
まず、図1から図12を参照し、第1の実施形態の電気掃除機1について説明する。第1の実施形態は、電気掃除機1に搭載された二次電池43の劣化状態を示す情報に基づき、電動送風機14の制御要素の大きさが決定される例である。以下、制御要素として通電時間を例示して説明する。
図1は、第1の実施形態の電気掃除機1を示す斜視図である。本実施形態の電気掃除機1は、例えば、いわゆるスティック型の電気掃除機であり、二次電池43(図2参照)が内蔵されたコードレスタイプの電気掃除機である。ただし、電気掃除機1は、上記例に限定されず、車輪を含む掃除機本体を有したキャニスタ型や、その他の形式の電気掃除機でもよい。
電気掃除機1は、例えば、本体ユニットMUと、二次電池ユニットBUとを備えている。本体ユニットMUは、例えば、掃除機本体10、延長管20、および吸込口体(床ブラシ)30を含む。
まず、掃除機本体10について説明する。掃除機本体10は、例えば、本体ケース11、把持部12、集塵装置13、および電動送風機14を有する。
本体ケース11は、掃除機本体10の外郭を形成している。本体ケース11は、電動送風機14および二次電池ユニットBUを収容している。また、本体ケース11は、後述する延長管20の一端が接続される延長管接続部11aを有する。
把持部12は、本体ケース11の上後端部に設けられている。把持部12は、床面(被掃除面)を掃除する際に、ユーザにより把持される部位である。把持部12には、電動送風機14および後述する回転ブラシ33の動作を選択するユーザの操作を受け付ける操作部16が設けられている。操作部16は、例えば、複数の操作ボタン16aを含む。
操作ボタン16aは、電気掃除機1の電源をON/OFFするための電源ボタン、電気掃除機1の動作モード(運転モード)を切り替えるための1つ以上のモード選択ボタンなどを含む。電気掃除機1の動作モードは、例えば、後述する電動送風機14を低速回転させる「弱モード」、および電動送風機14を高速回転させる「強モード」などを含む。また、電気掃除機1の動作モードは、後述する回転ブラシ33を回転させる「ブラシ回転モード」、および回転ブラシ33を回転させない「ブラシ停止モード」などを含む。
集塵装置13は、本体ケース11に装着されている。集塵装置13は、後述する電動送風機14の働きにより掃除機本体10に吸い込まれた空気中に含まれる塵埃を分離する装置である。集塵装置13は、例えば多段遠心分離式の集塵装置であり、掃除機本体10に吸い込まれた空気中に含まれる塵埃を遠心分離する。ただし、集塵装置13は、1段の遠心分離式の集塵装置や、紙パックを含む濾過式の集塵装置などでもよい。
電動送風機14は、ファンモータまたはメインモータと呼ばれるモータを含み、駆動されることで負圧を発生させる。電動送風機14は、発生させた負圧により後述する吸込口体30の吸込口35から集塵装置13へ含塵空気を吸い込み、集塵装置13にて塵埃が分離された空気により自冷された後にその空気を排気する。電動送風機14のモータは、例えば、直流モータであるが、これに限定されない。電動送風機14は、「電動機」の一例である。
次に、延長管20について説明する。延長管20は、例えば長尺状に形成されており、第1端部21と、第2端部22とを有する。延長管20の第1端部21は、掃除機本体10の延長管接続部11aに気密に接続される。延長管20の第2端部22は、吸込口体30に気密に接続される。延長管20の内部には、掃除機本体10と吸込口体30とを電気的に接続する接続配線が設けられている。
次に、吸込口体30について説明する。吸込口体30は、床面に沿って移動される部分である。吸込口体30は、例えば、吸込口体ケース31、接続管32、回転ブラシ33、およびブラシモータ34を含む。
吸込口体ケース31は、横長、すなわち左右方向に長手状に形成されている。吸込口体ケース31は、ブラシモータ34を収容している。また、吸込口体ケース31は、床面に対向する下部に、吸込口35を有する。吸込口35は、電動送風機14が駆動されることで、床面の塵埃を吸い込む開口部である。
接続管32は、吸込口体ケース31と延長管20の第2端部22とを気密に接続するための部分であり、吸込口体ケース31に回動可能に接続されている。接続管32により吸込口体ケース31と延長管20とが接続されることで、吸込口体ケース31の吸込口35から延長管20を経由して掃除機本体10に至る風路が形成される。
回転ブラシ33は、吸込口35に設けられ、床面に沿って配置されている。回転ブラシ33は、吸込口体ケース31に対して回動可能に設けられている。回転ブラシ33は、床面から塵埃を浮かせる、または絨毯などの毛先を立たせるなどの働きをする。
ブラシモータ34は、不図示の回転駆動機構を介して回転ブラシ33に機械的に接続され、回転ブラシ33を駆動する(回転させる)。ブラシモータ34は、例えば、直流モータであるが、これに限定されない。ブラシモータ34は、「電動機」の別の一例である。
二次電池ユニットBUは、本体ユニットMUが動作するために必要な電力を本体ユニットMUに供給する。二次電池ユニットBUの詳細は後述する。
次に、電気掃除機1に付帯する充電装置8について説明する。充電装置8は、電気掃除機1が取り付けられる受け部を有し、非使用時の電気掃除機1を支持する。充電装置8は、外部電源PG(図2参照)に電気的に接続される。電気掃除機1の二次電池ユニットBUは、電気掃除機1が充電装置8に取り付けられることで、充電装置8を介して外部電源PGに電気的に接続されて充電される。なお、充電装置8は、例えば電気掃除機1が部屋の壁などに立て掛けられた状態で電気掃除機1に接続されるACアダプタなどでもよい。充電装置8は、外部電源PGから供給される電力を、二次電池43の充電に適した電力に変換する電力変換回路8a(図2参照)を含む。
<2.電気掃除機の回路構成>
次に、電気掃除機1の回路構成について説明する。
図2は、電気掃除機1の回路構成を示すブロック図である。図2中において、実線は電力が供給される電力線を示し、破線は信号(情報)の流れを示す。
<2.1 二次電池ユニットBUの回路構成>
まず、二次電池ユニットBUの回路構成について説明する。二次電池ユニットBUは、例えば、接続端子41A,41B、電力線42A,42B、二次電池43、電流検出部44、電圧検出部45、温度検出部46、二次電池ユニット記憶部51、二次電池ユニット通信部52、および二次電池ユニット制御部53を有する。
接続端子41A,41Bは、二次電池ユニットBUの外郭ケースの外部に露出している。電力線42A,42Bは、二次電池ユニットBUが本体ユニットMUに装着された場合、接続端子41A,41Bおよび本体ユニットMUの接続端子61A,61Bを介して本体ユニットMUの電力線62A,62Bに電気的に接続される。本実施形態では、二次電池ユニットBUの電力線42A,42Bと本体ユニットMUの電力線62A,62Bとにより、二次電池43と駆動源(電動送風機14、ブラシモータ34)とを電気的に接続する電力線が形成されている。電力線42Aは、例えば正極線である。電力線42Bは、例えば電力線42Aと1組を成す負極線である。
二次電池43は、例えば複数の電池が直列または並列に接続された電池パックである。二次電池43は、電力線42A,42Bを介して本体ユニットMUに電力を供給する。これにより、本体ユニットMUの各構成部品(例えば、電動送風機14、ブラシモータ34、本体ユニット記憶部71(後述)、本体ユニット通信部73(後述)、本体ユニット制御部74(後述))は、二次電池43から電力が供給されて動作する。また、二次電池43は、二次電池ユニットBUの各機能部(例えば、二次電池ユニット記憶部51、二次電池ユニット通信部52、および二次電池ユニット制御部53)に電力を供給する。なお本明細書において「二次電池から電力が供給される」とは、二次電池43から出力された電力が直接に対象部品に供給される場合に限定されず、二次電池43と対象部品との間に設けられた電源回路に二次電池43から電力が供給され、上記電源回路で電圧などが調整された電力が上記電源回路から対象部品に供給される場合も含む。
電流検出部44は、例えば二次電池ユニットBUの内部で電力線42Aに接続され、放電時に二次電池43から流れる電流の電流値を検出するとともに、充電時に二次電池43に流れる電流の電流値を検出する。電圧検出部45は、例えば二次電池ユニットBUの内部で電力線42A,42Bに接続され、二次電池43の端子電圧の電圧値を検出する。温度検出部46は、例えば、二次電池ユニットBUの内部で二次電池43の近傍に設けられ、二次電池43の温度を検出する。電流検出部44、電圧検出部45、および温度検出部46の検出結果は、二次電池ユニット制御部53に出力される。
二次電池ユニット記憶部51は、二次電池ユニットBUの内部に設けられている。二次電池ユニット記憶部51は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)のような不揮発性メモリである。二次電池ユニット記憶部51には、二次電池ユニット制御部53により生成される後述する二次電池状態情報BSbが書き込まれる。
二次電池ユニット通信部52は、二次電池ユニットBUの内部に設けられている。二次電池ユニット通信部52は、例えば通信用の高周波回路を含む。二次電池ユニット通信部52は、本体ユニットMUの後述する本体ユニット通信部73と通信を行い、二次電池ユニット制御部53により生成される二次電池状態情報BSbを、本体ユニットMUに送信する。なお、二次電池ユニット通信部52と本体ユニット通信部73との間の通信は、有線を介して行われてもよく、無線により行われてもよい。
二次電池ユニット制御部53は、二次電池ユニットBUの内部に設けられ、二次電池ユニットBUの全体を制御する。本実施形態では、二次電池ユニット記憶部51、二次電池ユニット通信部52、および二次電池ユニット制御部53は、例えばマイクロコンピュータのような1つのIC(Integrated Circuit)部品により実現されている。ただし、二次電池ユニット記憶部51、二次電池ユニット通信部52、および二次電池ユニット制御部53は、互いに別部品で実現されてもよい。二次電池ユニット制御部53は、例えば、状態検出部53aと、状態情報生成部53bとを有する。
状態検出部53aは、電流検出部44、電圧検出部45、および温度検出部46などの検出結果に基づき、二次電池43の状態を検出する。「二次電池の状態」は、例えば、(a)二次電池43の劣化状態、(b)二次電池43の内部抵抗の状態、(c)二次電池43の温度状態のうち1つ以上を含み得る。なお、二次電池43の劣化状態、二次電池43の内部抵抗の状態、および二次電池43の温度状態の検出方法および検出タイミングは、例えば、本体ユニットMUの説明のなかで述べる方法およびタイミングと同様である。状態検出部53aによる検出結果は、状態情報生成部53bに出力される。本明細書で「温度状態」とは、温度そのものでもよいし、温度が分類された区分(低温、中温、高温など)でもよい。
状態情報生成部53bは、状態検出部53aによる検出結果に基づき、二次電池43の状態を示す二次電池状態情報BSbを生成する。二次電池状態情報BSbは、上述した(a)二次電池43の劣化状態、(b)二次電池43の内部抵抗の状態、(c)二次電池43の温度状態のうち1つ以上と、二次電池状態情報BSbが生成された時刻を示すタイムスタンプとを含み得る。また、二次電池状態情報BSbは、電流検出部44および電圧検出部45による検出結果を含んでもよい。状態情報生成部53bは、生成された二次電池状態情報BSbを、二次電池ユニット記憶部51に書き込むとともに、二次電池ユニット通信部52に出力する。二次電池ユニット通信部52は、状態情報生成部53bから受け取る二次電池状態情報BSbを本体ユニット通信部73に送信する。
<2.2 本体ユニットMUの回路構成>
次に、本体ユニットMUの回路構成について説明する。本体ユニットMUは、例えば、接続端子61A,61B、電力線62A,62B、第1スイッチングユニット63、第2スイッチングユニット64、電圧検出部65、第1電流検出部66、第2電流検出部67、本体ユニット記憶部71、制御用電源部72、本体ユニット通信部73、本体ユニット制御部74、および外部接続端子76A,76Bを有する。
接続端子61A,61Bは、二次電池ユニットBUの接続端子41A,41Bに接続される。電力線62A,62Bは、接続端子61A,61Bに電気的に接続されている。電力線62Aは、例えば正極線である。電力線62Bは、例えば電力線62Aと1組を成す負極線である。
電力線62A,62Bは、電動送風機用電力線62Aa,62Baと、ブラシモータ用電力線62Ab,62Bbとを含む。電動送風機用電力線62Aa,62Baは、接続端子61A,61Bと電動送風機14との間を電気的に接続している。例えば、電動送風機用電力線62Aa,62Baの一部である電力線L1は、第1スイッチングユニット63と電動送風機14とを接続している。ブラシモータ用電力線62Ab,62Bbは、接続端子61A,61Bとブラシモータ34との間を電気的に接続している。例えば、ブラシモータ用電力線62Ab,62Bbの一部である電力線L2は、第2スイッチングユニット64とブラシモータ34とを接続している。
第1スイッチングユニット63は、二次電池43と電動送風機14との間に設けられている。第1スイッチングユニット63は、1つ以上の半導体スイッチング素子により構成されている。第1スイッチングユニット63が閉じることにより、電動送風機14に対して二次電池43から電力が供給される。一方で、第1スイッチングユニット63が開くことにより、電動送風機14に対する二次電池43からの電力の供給が停止される。第1スイッチングユニット63が所定の周期でON/OFF制御されることで、二次電池43から電動送風機14にパルス状の入力電力が供給される。
第2スイッチングユニット64は、二次電池43とブラシモータ34との間に設けられている。第2スイッチングユニット64は、1つ以上の半導体スイッチング素子により構成されている。第2スイッチングユニット64が閉じることにより、ブラシモータ34に対して二次電池43から電力が供給される。一方で、第2スイッチングユニット64が開くことにより、ブラシモータ34に対する二次電池43からの電力の供給が停止される。第2スイッチングユニット64が所定の周期でON/OFF制御されることで、二次電池43からブラシモータ34にパルス状の入力電力が供給される。
電圧検出部65は、例えば電動送風機用電力線62Aa,62Baに接続され、電動送風機14とブラシモータ34に入力される電力の電圧値(例えば、二次電池43の端子電圧に相当)を検出する。電圧検出部65の検出結果は、本体ユニット制御部74に出力される。
第1電流検出部66は、例えば電動送風機用電力線62Aaに接続され、二次電池43から電動送風機14に供給される電流の電流値を検出する。第2電流検出部67は、例えばブラシモータ用電力線62Abに接続され、二次電池43からブラシモータ34に供給される電流の電流値を検出する。第1および第2の電流検出部66,67の検出結果は、本体ユニット制御部74に出力される。
本体ユニット記憶部71は、例えば、EEPROMのような不揮発性メモリである。本体ユニット記憶部71には、例えば、本体ユニット制御部74により生成された二次電池状態情報BSa(後述)が書き込まれる。
制御用電源部72は、例えば電力線62Aと電力線62Bに電気的に接続されている。制御用電源部72には、例えば、二次電池43から電力線62Aに供給された電力の一部が入力される。制御用電源部72は、例えば、所望の直流電圧を生成する定電圧電源回路である。制御用電源部72は、入力された電力を、本体ユニット記憶部71、本体ユニット通信部73、および本体ユニット制御部74などに適した電力に変換し(降圧し)、変換した電力を本体ユニット記憶部71、本体ユニット通信部73、および本体ユニット制御部74など供給する。
本体ユニット通信部73は、例えば通信用の高周波回路を含む。本体ユニット通信部73は、二次電池ユニットBUの二次電池ユニット通信部52と通信を行い、二次電池ユニット通信部52から送信された二次電池状態情報BSbを受信する。本体ユニット通信部73は、受信した二次電池状態情報BSbを本体ユニット制御部74に出力する。
本体ユニット制御部74は、本体ユニットMUの全体を制御する。本実施形態では、本体ユニット記憶部71、本体ユニット通信部73、および本体ユニット制御部74は、例えばマイクロコンピュータのような1つのIC部品により実現されている。ただし、本体ユニット記憶部71、本体ユニット通信部73、および本体ユニット制御部74は互いに別部品で実現されてもよい。本体ユニット制御部74は、例えば、電動送風機制御部74a、ブラシモータ制御部74b、状態検出部74c、状態情報生成部74d、および通電時間決定部74eを有する。
電動送風機制御部74aは、電動送風機14の駆動を制御する。例えば、電動送風機制御部74aは、電動送風機14を制御するための進角および通電時間に基づき第1スイッチングユニット63をON/OFF制御することで、電動送風機14の駆動を制御する。
ブラシモータ制御部74bは、ブラシモータ34の駆動を制御する。例えば、ブラシモータ制御部74bは、ブラシモータ34を制御するための進角および通電時間に基づき第2スイッチングユニット64をON/OFF制御することで、ブラシモータ34の駆動を制御する。
状態検出部74cは、電圧検出部65、電流検出部66,67、および二次電池ユニットBUの温度検出部46などの検出結果に基づき、二次電池43の状態を検出する。本実施形態では、状態検出部74cは、二次電池43の状態として、二次電池43の劣化状態を検出する。この内容については詳しく後述する。
状態情報生成部74dは、状態検出部74cによる検出結果に基づき、二次電池43の状態を示す二次電池状態情報BSaを生成する。二次電池状態情報BSaは、二次電池状態情報BSaが生成された時刻を示すタイムスタンプを含む。状態情報生成部74dは、生成された二次電池状態情報BSaを、二次電池43の状態を示す履歴データの少なくとも一部として本体ユニット記憶部71に書き込む。また、状態情報生成部74dは、二次電池ユニット通信部52から送信されて本体ユニット通信部73により受信された二次電池状態情報BSbを、上記履歴データの少なくとも一部として本体ユニット記憶部71に書き込んでもよい。
通電時間決定部74eは、二次電池43の状態を示す情報に基づき、二次電池43から電動送風機14に供給される電力の通電時間(例えば、電動送風機14の所定の単位回転あたりにおける二次電池43から電動送風機14に供給される電力の通電時間)を決定する。この内容については詳しく後述する。通電時間決定部74eは、さらに、二次電池43の状態を示す情報に基づき、二次電池43からブラシモータ34に供給される電力の通電時間(例えば、ブラシモータ34の所定の単位回転あたりにおける二次電池43からブラシモータ34に供給される電力の通電時間)を決定してもよい。以下の説明では、電動送風機14の制御を例示して説明するが、ブラシモータ34の制御についても同様である。
外部接続端子76A,76Bは、本体ユニットMUの内部で電力線62A,62Bにそれぞれ接続される。外部接続端子76A,76Bは、電気掃除機1の外部に露出しており、充電装置8に接続される。
<3.制御>
(3.1 制御要素)
まず、電動送風機14の制御要素(「進角」および「通電時間」)について説明する。
図3は、電動送風機14を模式的に示す図である。なお図3では、説明を簡単にするため、2極の電動送風機14のモデルを示している。ただし、電動送風機14は、3極以上の電動送風機であってもよい。
電動送風機14は、例えば、第1固定子コイルLAと、第2固定子コイルLBと、回転子RTと、位置検出器PDとを有する。第1固定子コイルLAと第2固定子コイルLBは、例えば対極の位置関係に配置されている。位置検出器PDは、例えば固定子コイルLBに対応する位置に配置されている。位置検出器PDは、回転子RTの最寄りの極の極性を検出することで、回転子RTの位置(位相)を検出する。図3に示す状態では、位置検出器PDは、S極を検出する。
図4は、図3中に示す電動送風機14のモデルに対応するタイミングチャートである。図4中の符号Tは、電動送風機14の1回転の周期を示す。時刻tM11から時刻tM21に至るまでの期間が1周期である。同様に、時刻tM12から時刻tM22に至るまでの期間が1周期である。図4に示す例では、時刻tM11、時刻tM12、時刻tM21、時刻tM22の順に時間が経過する。電動送風機14の回転子RTは、周期Tに対応する所定の速度で回転する。
時刻tM11に、位置検出器PDは、S極に代わりN極を検出する。本体ユニット制御部74は、位置検出器PDの検出結果に基づき、時刻tM11に、固定子コイルLAの通電を開始して、所定時間ETAが経過すると固定子コイルLAの通電を終了させる。同様に、時刻tM12に、位置検出器PDは、N極に代わりS極を検出する。本体ユニット制御部74は、位置検出器PDの検出結果に基づき、時刻tM12に、固定子コイルLBの通電を開始して、所定時間ETBが経過すると固定子コイルLBの通電を終了させる。これら所定時間ETAおよび所定時間ETBを長くすると、電動送風機14に供給される電流の電流値が大きくなる。
ここで、所定時間ETAおよび所定時間ETBの各々は、電動送風機14の「通電時間」の一例である。本実施形態では、通電時間決定部74eは、電動送風機14の所定の単位回転あたりにおける二次電池43から電動送風機14に供給される電力の通電時間を決定する。「所定の単位回転」は、1/4回転でもよく、半回転でもよく、1回転でもよく、2回以上の回転でもよく、これら以外の任意の回転でもよい。例えば、「電動機の1回転あたりにおける二次電池から電動機に供給される電力の通電時間」とは、所定時間ETAと所定時間ETBの合計時間を意味する。ここで、所定時間ETAと所定時間ETBとは、一般的に同じ長さに設定される。このため以下では、所定時間ETAと所定時間ETBとを区別せずに「通電時間ET」と称し、二次電池43の状態に応じて通電時間ETを決定する手法について説明する。
一方で、「進角」とは、回転子RTの基準位相(S極とN極との切替点)に対して電力を供給する位相(タイミング)のずれ量を意味する。図4中の第1固定子コイルLAおよび第2固定子コイルLBの通電状態を示す実線は、進角θがゼロの場合を示す。一方で、図4中の第2固定子コイルLBの通電状態を示す2点鎖線は、進角θが存在する場合を示す。進角θを大きくすると、電動送風機14の回転数が高くなり、電動送風機14に供給される電流の電流値(単位時間当たりの電流値)が大きくなる。
このため、本体ユニット制御部74は、電動送風機14の進角θと通電時間ETのうち少なくとも一方を調整することで、二次電池43から電動送風機14に供給される電流の電流値を変更することができる。
(3.2 電流値の変更範囲)
図5は、二次電池43から電動送風機14に供給される電流の電流値の変更範囲の一例を示す図である。なお図5は、二次電池43の新品時(二次電池43に劣化がないとき)の例を示す。本実施形態では、「強モード」の運転の場合、電動送風機14に供給される電流の電流値は、例えば、15[A]〜8[A]の間で変更される。一方で、「弱モード」の運転の場合、電動送風機14に供給される電流の電流値は、例えば、8[A]〜6[A]の間で変更される。なお以下の説明は、電気掃除機1が「強モード」で駆動される場合を例に説明する。
ここで、二次電池43から電動送風機14に供給される電流の電流値を変更する理由について補足的に説明する。二次電池43の放電を続けると、二次電池43の端子電圧が徐々に低下する。その結果、二次電池43の端子電圧が所定の閾値(後述する「放電終止電圧値」)を下回ると、電気掃除機1の運転を停止させ、二次電池43の充電を促す必要がある。これにより、二次電池43の寿命が早く低下することを抑制することができる。
ところで、二次電池43は、内部抵抗を有する。このため、二次電池43から電動送風機14に供給する電流の電流値を低下させると、その分だけ二次電池43の内部抵抗による電圧降下が減少する。その結果、二次電池43の端子電圧をある程度回復させることができ、二次電池43の端子電圧が放電終止電圧値に達するまでの時間を長くすることができる。このため、二次電池43の端子電圧の低下に応じて、電動送風機14に供給される電流の電流値を低下させる制御が行われる。
図6は、上記のような電流値の変更を行う場合に参照される第1参照テーブルTB1の内容の一例を示す図である。なお図6は、二次電池43の新品時の例を示す。第1参照テーブルTB1は、二次電池43の複数の端子電圧の大きさそれぞれについて、端子電圧の大きさと、その端子電圧の大きさの場合に電動送風機14に供給するのに適した電流の電流値とが対応付けられて登録されている。第1参照テーブルTB1では、端子電圧が低いほど、低い電流値が対応付けられている。例えば、電動送風機制御部74aは、二次電池43の端子電圧が20[V]から19[V]に低下した場合、電動送風機14に供給する電流の電流値を15[A]から14[A]に低下させる。
(3.3 電動送風機の制御モードの一例)
図7は、電動送風機14の制御モードの一例を示す図である。本実施形態では、電動送風機14の制御モードは、「第1制御」、「第2制御」、および「第3制御」を含む。本体ユニット記憶部71には、第1参照テーブルTB1と、後述する「目標電圧値」および「放電終止電圧値」が予め記憶されている。
図7において、t11は、二次電池43の放電開始時点を示す。t12は、二次電池43の端子電圧が「目標電圧値」(後述)を下回った時点を示す。t13は、電動送風機14に供給される電流の電流値が「電流下限値」(上述した例では15[A]〜8[A]の場合における8[A])に達した時点を示す。t14は、二次電池43の放電終了時点を示す。図7では、説明の便宜上、t12とt13との間での端子電圧の落ち込み量を模式的に大きく示す。本実施形態では、t11からt12までは「第1制御」が行われ、t12からt13までは「第2制御」が行われ、t13からt14までは「第3制御」が行われる。なお図7中の「放電終止電圧値」とは、この放電終止電圧値を二次電池43の端子電圧(電圧検出部65により検出される電圧値)が所定時間に亘って下回った場合に、電動送風機14への電力の供給を停止するための基準値である。
「第1制御」では、本体ユニット制御部74は、第1参照テーブルTB1を用いて電動送風機14に供給する電流の電流値を変更する。例えば、電動送風機制御部74aは、電圧検出部65の検出結果に基づき、二次電池43の端子電圧の値を取得する。そして、本体ユニット制御部74は、二次電池43の端子電圧が第1参照テーブルTB1に登録された電圧値まで低下した場合に、電動送風機14に供給する電流の大きさを、前記電圧値に対応して第1参照テーブルTB1に登録されている電流値に変更する。その結果、図7に示すように、二次電池43の端子電圧は、波形状の挙動を示しながら低下する。
「第2制御」では、本体ユニット制御部74は、二次電池43の端子電圧を予め設定された目標電圧値に近付けるように所定の調整処理を繰り返す。「所定の調整処理」とは、例えば、所定の周期で、電圧検出部65で検出された二次電池43の端子電圧を目標電圧値と比較し、電圧検出部65により検出された電圧値が目標電圧値よりも低い場合に、二次電池43から電動送風機14に供給する電流の電流値を所定量だけ小さくすることを含む。所定の周期は、例えば1[s]以下の時間間隔であり、例えば10[ms]以下の時間間隔である。所定の周期の一例は、1[ms]である。このような処理を行うことで、二次電池43の端子電圧が放電終止電圧値よりも上方に安定して維持され、電気掃除機1の運転時間の長時間化を図ることができる。なお本体ユニット制御部74は、「第2制御」を行わずに、「第1制御」の後に「第3制御」に移行してもよい。
「第3制御」は、第2制御において上記調整処理を複数回行うことで、電動送風機14に供給される電流が電流値の変更範囲(図5参照)の電流下限値まで低下した後に行われる制御である。「第3制御」では、電流値を低下させる処理が停止される。「第3制御」が実行される場合、二次電池43の端子電圧は放電に伴い低下する。そして、電動送風機制御部74aは、二次電池43の端子電圧が所定時間を超えて放電終止電圧値を下回る場合、電動送風機14の運転を終了する。
(3.4 二次電池の劣化状態に基づく通電時間の決定)
(3.4.1 二次電池の劣化状態の検出)
次に、二次電池43の劣化状態に基づく通電時間ETの決定方法について説明する。ここではまず、二次電池43の劣化状態の検出方法について説明する。本実施形態では、二次電池43の劣化状態として、SOH(健全度:States Of Health)が検出される例である。SOHは、劣化パラメータの一例である。
まず、図8を参照して、二次電池43の劣化による特性の変化について説明する。充電装置8から供給される電力を用いて定電流制御によって二次電池43が充電されると、単位時間当たりの二次電池43の電圧の変化率が、二次電池43のSOHによって異なる。
図8は、二次電池43の劣化による特性の変化を説明するための図である。図8は、劣化状態が異なる二次電池43の充電に要する時間と、充電開始後の二次電池43の電圧変化との対応関係(特性カーブ)を示す。
図8に示すように、所定の電圧から目標電圧まで充電するのに要する充電時間は、二次電池43の劣化状態が進むほど短くなる。換言すれば、充電開始時点の電圧V1から電圧V2に遷移する際に必要な時間幅Δtは、各特性カーブの特徴量の一例である。Δt1、Δt2、Δt3は、上記の時間幅Δtの一例である。Δt1で特徴づけられる特性カーブは、他の特性カーブよりも劣化の進行が少ない。ここでは、電圧V1と電圧V2の電位差を、電圧の変化量(電圧変化量ΔV)と呼び、単位時間当たりの二次電池43の電圧の変化率を「ΔV/Δt」と定義する。なお図8では、説明の便宜上、特性カーブを3本のみ示しているが、実際には、より多くの複数の劣化状態(SOH)のそれぞれに対する特性カーブが予め求められている。
図9は、第2参照テーブルTB2を示す図である。第2参照テーブルTB2は、単位時間当たりの二次電池43の電圧の変化率「ΔV/Δt」と、SOHとの対応関係が登録されたテーブルである。なお図9では、理解容易のため、図8に示した各特性カーブの変化率と、二次電池43のSOHとの対応関係を代表として示している。実際には、二次電池43の種々の電圧の変化率「ΔV/Δt」は、いずれかのSOHのレベルに対応するように分類されている。第2参照テーブルTB2は、本体ユニット記憶部71に記憶されている。
図10は、二次電池43の充電時の処理流れを示すフローチャートである。本実施形態では、二次電池43の充電時に、二次電池43のSOHが検出される。これは、二次電池43の充電時は、二次電池43の放電時(電気掃除機1の使用時)と比べて、SOHをより精度良く検出することができるためである。その理由は、二次電池43の充電時は、電気掃除機1の使用時と比べて二次電池43に影響を与える電流の電流値自体が小さいためや電流値の変化が小さい(例えば一定である)ため、また二次電池43自体は吸熱を伴う化学反応中であり、二次電池43の放電時と比べて二次電池43の温度が安定しているためなどである。
具体的な処理としては、状態検出部74cは、二次電池ユニットBUから「充電中」の情報を受信した場合、二次電池43の充電開始を検出する(ステップSA11)。状態検出部74cは、充電開始が検出された後、電圧検出部65の検出結果に基づいて、所定の電圧変化量(ΔV)の充電に要する時間幅(Δt)を取得する(ステップSA12)。
ここで、SOHの特性カーブは、二次電池43の温度の影響を受ける。このため、SOHの検出精度を高めるためには、二次電池43の温度に基づいて補正することが望ましい。そこで、状態検出部74cは、温度検出部46により検出された二次電池43の充電時の温度状態と、二次電池43の温度状態毎に予め設定された補正量とに基づき、二次電池43の電圧の変化率(ΔV/Δt)を補正する(ステップSA13)。
次に、状態検出部74cは、温度状態に基づき補正された二次電池43の電圧の変化率(ΔV/Δt)と、第2参照テーブルTB2(データテーブル)とを比較する(ステップSA14)。詳しく述べると、状態検出部74cは、まず、第2参照テーブルTB2に「第1レベル(100%以下で90%以上)」と対応付けられて登録されている電圧の変化率(ΔV/Δt)と、二次電池43の充電時に検出された電圧の変化率(ΔV/Δt)とを比較し、SOHが「第1レベル」であるか否かを判定する(ステップSA15)。状態検出部74cは、第2参照テーブルTB2に「第1レベル」と対応付けられて登録されている電圧の変化率(ΔV/Δt)と、二次電池43の充電時に検出された電圧の変化率(ΔV/Δt)とが一致する場合、二次電池43のSOHが「第1レベル」であると判定する(ステップSA16)。
一方で、状態検出部74cは、第2参照テーブルTB2に「第1レベル」と対応付けられて登録されている電圧の変化率(ΔV/Δt)と、二次電池43の充電時に検出された電圧の変化率(ΔV/Δt)とが一致しない場合、次に、第2参照テーブルTB2に「第2レベル(90%未満で80%以上)」と対応付けられて登録されている電圧の変化率(ΔV/Δt)と、二次電池43の充電時に検出された電圧の変化率(ΔV/Δt)とを比較し、SOHが「第2レベル」であるか否かを判定する(ステップSA17)。以下、同様の処理が繰り返される(ステップSA18〜SA20)。
状態検出部74cは、第2参照テーブルTB2で2つ目に低い「第4レベル(70%未満で60%以上)」と対応付けられて登録されている電圧の変化率(ΔV/Δt)と、二次電池43の充電時に検出された電圧の変化率(ΔV/Δt)とが一致しない場合、SOHが「第5レベル(60%未満)」であると判定する(ステップSA21)。
次に、状態検出部74cは、本体ユニット記憶部71にSOHの履歴データが記憶されている場合(例えば二次電池状態情報BSaが蓄積されている場合)、SOHの履歴データ(例えば履歴データに含まれる最新のSOH)と、新しく検出されたSOHとを比較することで、二次電池43の劣化状態が所定量を超えて改善されたか否かを判定する(ステップSA23)。状態情報生成部74dは、二次電池43の劣化状態が所定値を超えて改善された判定された場合に、二次電池43が交換されたものとして、本体ユニット記憶部71に記憶されたSOHの履歴データを消去(初期化)する(ステップSA24)。
一方で、状態情報生成部74dは、劣化状態が改善されていないと判定された場合、または、本体ユニット記憶部71にSOHの履歴データが存在しないと判定された場合、新しく検出されたSOHを示す二次電池状態情報BSaを生成し、生成した二次電池状態情報BSaを、二次電池43の履歴データに追加する(ステップSA25)。SOHは、「二次電池の状態を示す情報」の一例であり、「二次電池の劣化状態を示す状態」の一例である。
以上説明したステップSA11からステップSA25までの処理は、二次電池43が充電される度に実行される。これにより、二次電池43が充電される毎に、本体ユニット記憶部71に記憶されるSOHの履歴データには、SOHの最新の値が追加される。
(3.4.2 SOHに基づく通電時間の決定)
次に、SOHに基づく通電時間ETの決定方法について説明する。
図11は、SOHに基づき通電時間ETを決定するときに参照される第3参照テーブルTB3の内容の一例を示す図である。第3参照テーブルTB3では、二次電池43の各SOHのレベルについて、適切な通電時間ETが対応付けられて登録されている。第3参照テーブルTB3では、SOHが低いほど、通電時間ETが短くなるように通電時間ETの長さが対応付けられている。例えば、通電時間ET2は、通電時間ET1よりも短い。通電時間ET3は、通電時間ET1よりも短い。なお図11に示す例は、SOHが第5レベルにある場合は、電気掃除機1が駆動されず、二次電池43の交換が促される例である。
図11中の「進角による電流値の変更可能範囲」は、各通電時間ET(ET1〜ET4)が採用された場合に、進角θの調整のみで変更可能な電流値の範囲を示す。図11に示すように、通電時間ETを短くするほど、電流値の変更可能範囲の下限値を下げることができる。なお「進角による電流値の変更可能範囲」は、実際には第3参照テーブルTB3に登録されていなくてよい。
図12は、電気掃除機1の使用時の処理流れを示すフローチャートである。まず、本体ユニット制御部74は、操作部16に対する電気掃除機1の電源をONするユーザの操作を検出する(ステップSA31)。
次に、通電時間決定部74eは、本体ユニット記億部71に二次電池43のSOHの履歴データがあるか否かを判定する(ステップSA32)。通電時間決定部74eは、本体ユニット記億部71にSOHの履歴データがある場合、本体ユニット記億部71に記憶された履歴データに含まれる直近のSOHと、第3参照テーブルTB3とに基づき、直近のSOHに対応した通電時間ETを決定する(ステップSA33)。一方で、通電時間決定部74eは、本体ユニット記億部71にSOHの履歴データが存在しない場合、予め設定されている初期値に基づき、通電時間ETを決定する(ステップSA34)。
なお「直近のSOH」とは、最後に検出されたSOH(最新のSOH)に限定されず、SOHの履歴データのなかで、現時点(ステップSA33が実行される時点)に対する直前の所定期間(例えば1ヶ月)以内に検出された複数のSOHの平均値(加重平均による平均値も含む)など、上記所定期間内に検出された複数のSOHに対して所定の統計処理が行われることで得られる値でもよい。また「直近のSOH」は、上記所定期間内に検出された複数のSOHのなかで最も低いSOHでもよい。これらのような構成によれば、SOHの検出に誤差が含まれる場合でも、その誤差の影響を小さくすることができる。
本実施形態では、通電時間決定部74eは、電動送風機14の駆動を開始する前に、通電時間ETを決定する。そして、通電時間ETは、電気掃除機1の電源をOFFにするユーザの操作が操作部16により受け付けられるか、電気掃除機1の駆動モード(「強モード」および「弱モード」など)を変更するユーザの操作が操作部16に受け付けられない限り、変更されない。
次に、電動送風機制御部74aは、通電時間決定部74eにより決定された通電時間ETに基づき、二次電池43の放電を開始させる(ステップSA35)。そして、電動送風機制御部74aは、電圧検出部65により検出される二次電池43の端子電圧を監視し、二次電池43の端子電圧に応じて上述した「第1制御」、「第2制御」、および「第3制御」を行う。本実施形態では、電動送風機制御部74aは、電動送風機14の進角θを変更することで、上述した「第1制御」および「第2制御」における電流値の変更を行う。このような制御によれば、進角θのみによって電流値を変更するため、制御を単純化することができる。
そして、電動送風機制御部74aは、例えば、電気掃除機1の電源をOFFにするユーザの操作が操作部16により受け付けられた場合、二次電池43の放電を終了する(ステップSA36)。
(4.利点)
本実施形態では、二次電池43の状態を示す情報に基づき、通電時間ETを決定する本体ユニット制御部74が設けられている。このような構成によれば、二次電池43の状態に応じて適切な通電時間ETを決定することができる。これにより、二次電池43の状態によって二次電池43の出力電圧が低下しやすい場合には、通電時間ETを短くすることで、二次電池43から放電される電流の電流値を小さくすることができる。二次電池43から放電される電流の電流値を小さくすることができると、少なくとも電流値を小さくした分だけ二次電池43の内部抵抗による電圧降下を抑制することができる。これにより、劣化が進んだ場合など二次電池43の出力電圧が低下しやすい場合でも、二次電池43の端子電圧を高く維持しやすくなる。例えば、進角θによる電流値の変更範囲に限界がある場合であっても、二次電池43の出力電圧が低下しやすい場合に、二次電池43の端子電圧を高く維持しやすくなる。これにより、より残容量が低いレベルまで二次電池43を使い切ることができる。これにより、電動送風機14の駆動を継続し、電気掃除機1の運転時間を確保することができる。
本実施形態では、通電時間決定部74eは、電気掃除機1の駆動が開始される前に通電時間ETを決定し、決定された通電時間ETに基づき電気掃除機1が駆動される。そして、電気掃除機1の駆動中は、進角θの調整のみによって電動送風機1に供給される電流の電流値が変更される。このような構成によれば、二次電池43の状態に応じた適切な通電時間ETが最初に決定されているため、進角θの調整のみによって二次電池43の端子電圧を高く維持しながら、電動送風機1に供給される電流の電流値の変更が可能になる。これにより、制御の単純化を図ることができる。これは、電気掃除機1の低コスト化に寄与する。
本実施形態では、本体ユニット制御部74は、二次電池43の充電時に検出された二次電池43の状態を示す情報に基づき、前記充電時の後の電気掃除機1の使用時の通電時間ETを決定する。このような構成によれば、電気掃除機1の使用時と比べて安定した二次電池43の充電時に検出された情報に基づき、通電時間ETが決定される。これにより、二次電池43の状態により適した通電時間ETを決定することができる。なお、SOHなどの二次電池43の状態の検出は、二次電池43の充電時でなく、使用時でもよい。
本実施形態では、本体ユニット制御部74は、二次電池43の劣化状態を示す情報(例えばSOH)に基づき通電時間ETを決定する。ここで、二次電池43は劣化状態が進むと内部抵抗が高くなり、二次電池43の端子電圧が低下しやすくなる。しかしながら本実施形態によれば、二次電池43の劣化状態に応じて適切な通電時間ETを決定することができる。これにより、二次電池43が劣化した場合でも電動送風機14の駆動を継続し、電気掃除機1の運転時間を確保することができる。
次に、第1の実施形態のいくつかの変形例について説明する。なお各変形例において、以下に説明する以外の構成は、上述した第1の実施形態と同様である。
(第1の実施形態の第1変形例)
第1変形例は、SOHと二次電池43の温度状態とに基づいて通電時間ETが決定される例である。二次電池43の劣化状態による影響は、二次電池43の温度によって変化する。二次電池43の温度が比較的高い場合は、劣化状態の影響を受けづらい。一方で、二次電池43の温度が比較的低い場合は、劣化状態の影響を受けやすい。そのため本変形例では、直近のSOHと、電気掃除機1の使用時に検出される二次電池43の温度とに基づいて通電時間ETが決定される。
図13は、第1変形例の参照テーブルTB3aの内容の一例を示す図である。本変形例では、参照テーブルTB3aは、例えば、各SOHのレベルに対して「低温」、「中温」、「高温」の3つの温度状態に分けて、それぞれの温度状態の通電時間ETが予め登録されている。例えば、低温時の通電時間ET1a,ET2a,ET3a,ET4aは、中温時の通電時間ET1,ET2,ET3,ET4よりも短い。一方で、高温時の通電時間ET1b,ET2b,ET3b,ET4bは、その逆である。
通電時間決定部74eは、参照テーブルTB3aと、履歴データに含まれる直近のSOHと、温度検出部46により検出された二次電池43の温度状態を示す情報とに基づき、通電時間ETを決定する。なお、「二次電池43の温度状態を示す情報」は、例えば、電気掃除機1の今回使用時における電気掃除機1の駆動を開始する直前(例えばステップSA31よりも後)に検出された温度状態を示す情報である。
このような構成によれば、本体ユニット制御部74は、二次電池43の劣化状態を示す情報と、二次電池43の温度状態を示す情報とに基づき、より適切な通電時間ETを決定することができる。なお、「二次電池43の劣化状態を示す情報と二次電池43の温度を示す情報とに基づき、通電時間ETを決定する」ことは、参照テーブルTB3aに基づく手法に限定されず、仮決定した通電時間ETを二次電池43の温度状態を示す情報に基づき補正することで行われてもよい。
(第1の実施形態の第2変形例)
第2変形例は、二次電池ユニットBUから供給される情報(例えば二次電池状態情報BSb)に基づき通電時間ETが決定される例である。第2変形例では、二次電池ユニットBUの二次電池ユニット制御部53は、二次電池ユニットBUの内部でSOHを検出する。SOHの検出方法は、例えば、第1実施形態と同様である。二次電池ユニット制御部53は、検出したSOHを示す二次電池状態情報BSbを本体ユニット制御部74に送信する。本体ユニット制御部74は、二次電池ユニット通信部52から送信された二次電池状態情報BSbを、本体ユニット記憶部71に記憶されるSOHの履歴データに追加する。そして、通電時間決定部74eは、履歴データに含まれる直近のSOH(二次電池ユニット制御部53により検出されたSOH)に基づき、通電時間ETを決定する。
(第1の実施形態の第3変形例)
第3変形例は、二次電池ユニットBUにより変更される二次電池43の満充電の電圧値を、二次電池43の状態を示す情報として取り扱い例である。
図14は、第3変形例の参照テーブルTB4を示す図である。参照テーブルTB4は、二次電池43の劣化前と劣化後に適用される満充電の電圧値(制限電圧)がそれぞれ登録されている。満充電の電圧値(制限電圧)とは、その電圧値まで充電した場合に、充電を停止させる電圧である。参照テーブルTB4は、二次電池ユニット記憶部51に記憶されている。二次電池ユニット制御部53は、SOHを検出し、SOHが所定の閾値を超えた場合、参照テーブルTB4に基づき、二次電池43の満充電時の電圧値を低下させる。これにより、二次電池43をより確実に保護する。図14中でOCV1の一例は、4.0[V]である。OCV2の一例は、3.8[V]である。
本変形例では、本体ユニット制御部74は、例えば二次電池43の充電時に、二次電池43の満充電時の端子電圧を検出することで、二次電池43の劣化状態を間接的に検出することができる。この場合、間接的に検出された二次電池43の劣化状態を示す情報は、二次電池43の履歴データとして本体ユニット記憶部71に記憶され、例えば電気掃除機1の次回の使用時における通電時間ETの決定に用いられる。
(第1の実施形態の第4変形例)
第4変形例では、ある電圧状態から放電終止電圧に到達するまでの累積時間に基づいてSOHが検出される例である。ここで、SOHの低下に伴い充電可能な容量(充電量)が少なくなる。そのため、ある電圧状態から放電終止電圧に到達するまでの放電時間も、劣化の進行により短くなる。そこで本変形例では、ある電圧状態から放電終止電圧に到達するまでの放電時間に着目する。なお、放電時間が複数回に分割して実施される場合には、例えば、ある電圧状態から放電終止電圧に到達するまでの放電時間の累積値(累計時間)が利用される。本変形例の状態検出部74cは、電圧状態から放電終止電圧に到達するまでの放電時間(例えばその累積時間)に基づいてSOHを検出する。この場合、検出されたSOHを示す情報は、二次電池43の履歴データとして本体ユニット記憶部71に記憶され、例えば電気掃除機1の次回の使用時における通電時間ETの決定に用いられる。
なお第1の実施形態において、二次電池43の劣化状態は、SOHに限定されない。例えば、二次電池43の劣化状態は、放電開始直後の電圧降下が生じた後の電圧降下のカーブZA(図15参照)の形状によっても推定可能である。このため、状態検出部74cは、電圧降下のカーブZAの形状に基づいて二次電池43の劣化状態を示す情報を生成してもよい。この場合、生成された二次電池43の劣化状態を示す情報は、二次電池43の履歴データとして本体ユニット記憶部71に記憶され、例えば電気掃除機1の次回の使用時における通電時間ETの決定に用いられる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態の電気掃除機1について説明する。第2の実施形態は、通電時間決定部74eが、SOHに代えて、二次電池43の内部抵抗に基づいて通電時間ETを決定する点で、第1の実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第1の実施形態と同様である。
まず、二次電池43の内部抵抗の検出方法について説明する。
図15は、二次電池43の内部抵抗の検出方法について説明するための図である。図15には、放電開始前後と放電終了前後の二次電池43の端子電圧の変化が示されている。二次電池43の放電が開始されると内部抵抗の大きさに応じた電圧降下が生じる。また、放電を終了した時点では、その逆の現象が生じる。
本実施形態では、状態検出部74cは、二次電池43の状態として、二次電池43の内部抵抗を検出する。例えば、状態検出部74cは、放電開始前後の二次電池43の端子電圧の変化と、放電終了前後の二次電池43の端子電圧の変化とのうち少なくとも一方に基づき、二次電池43の内部抵抗を検出する。前者の場合、状態検出部74cは、例えば、電圧検出部65により検出された放電開始前後の二次電池43の端子電圧の変化(図15中の(VA1−VB1)と、電流検出部66,67により検出された放電開始後の電流値とに基づき、二次電池43の内部抵抗を検出する。後者の場合、状態検出部74cは、例えば、電圧検出部65により検出された放電終了前後の二次電池43の端子電圧の変化(図15中の(VA2−VB2)と、電流検出部66,67により検出された放電終了前の電流値とに基づき、二次電池43の内部抵抗を検出する。
図16は、二次電池43の内部抵抗に基づき通電時間ETを決定するときに参照される参照テーブルTB5の内容の一例を示す図である。参照テーブルTB5では、二次電池43の各内部抵抗の値について、適切な通電時間ETが対応付けられて登録されている。参照テーブルTB5では、二次電池43の内部抵抗が大きいほど、通電時間ETが短くなるように通電時間ETの長さが対応付けられている。例えば、通電時間ET2は、通電時間ET1よりも短い。通電時間ET3は、通電時間ET2よりも短い。
図17は、電気掃除機1の使用時の処理流れを示すフローチャートである。まず、本体ユニット制御部74は、操作部16に対する電気掃除機1の電源をONするユーザの操作を検出する(ステップSB11)。
次に、通電時間決定部74eは、本体ユニット記億部71に二次電池43の二次電池43の内部抵抗の履歴データがあるか否かを判定する(ステップSB12)。通電時間決定部74eは、本体ユニット記億部71に二次電池43の内部抵抗の履歴データがある場合、本体ユニット記億部71に記憶された履歴データに含まれる二次電池43の直近の内部抵抗と、参照テーブルTB5とに基づき、直近の二次電池43の内部抵抗に対応した通電時間ETを決定する(ステップSB13)。一方で、通電時間決定部74eは、本体ユニット記億部71に二次電池43の内部抵抗の履歴データが存在しない場合、予め設定されている初期値に基づき、通電時間ETを決定する(ステップSB14)。
なお「直近の内部抵抗」とは、最後に検出された内部抵抗(最新の内部抵抗)に限定されず、例えば、放電開始前後の二次電池43の端子電圧の変化に基づいて検出された二次電池43の内部抵抗と、放電終了前後の二次電池43の端子電圧の変化に基づいて検出された二次電池43の内部抵抗の平均値でもよい。また、「直近の内部抵抗」は、内部抵抗の履歴データのなかで、現時点(ステップSB13が実行される時点)に対する直前の所定期間(例えば1ヶ月)以内に検出された複数の内部抵抗の値の平均値(加重平均による平均値も含む)なお上記所定期間内に検出された複数の内部抵抗の値に対して所定の統計処理が行われることで得られる値でもよい。また「直近の内部抵抗」は、上記所定期間内に検出された複数の内部抵抗のなかで最も大きい内部抵抗でもよい。これらのような構成によれば、内部抵抗の検出に誤差が含まれる場合でも、その誤差の影響を小さくすることができる。
次に、電動送風機制御部74aは、通電時間決定部74eにより決定された通電時間ETに基づき、電動送風機14に電力を供給するように第1スイッチングユニット63を制御して、二次電池43の放電を開始する(ステップSB21)。これに応じて、ユーザによる電気掃除機1を用いた掃除が行われる。
このとき、状態検出部74cは、例えば、電圧検出部65により検出された放電開始前後の二次電池43の端子電圧の変化と、電流検出部66,67により検出された放電開始後の電流値とに基づき、二次電池43の内部抵抗を検出する(ステップSB22)。具体的には、状態検出部74cは、二次電池43の放電が開始される場合に、二次電池43の放電が開始される前の二次電池43の端子電圧を電圧検出部65により検出させるとともに、二次電池43の放電が開始されてから所定時間(例えば、電圧変動が一定範囲内に落ち着くまでに必要な時間)が経過した時点での二次電池43の端子電圧を電圧検出部65により検出させ、それらの検出結果に基づき二次電池43の内部抵抗を検出する。
ここで、二次電池43の内部抵抗は、二次電池43の温度の影響と、二次電池43の残容量の影響を受ける。このため、内部抵抗の検出精度をより高めるためには、二次電池43の温度および残容量に基づいて補正することが望ましい。そこで、状態検出部74cは、温度検出部46により検出された二次電池43の放電開始時の温度状態を示す情報と、二次電池43の温度状態毎に予め設定された補正量とに基づき、検出された二次電池43の内部抵抗を補正する(ステップSB23)。また、状態検出部74cは、電圧検出部65により検出された二次電池43の放電開始前の端子電圧を示す情報と、二次電池43の端子電圧(二次電池43の残容量)毎に予め設定された補正量とに基づき、検出された二次電池43の内部抵抗を補正する(ステップSB23)。なお、二次電池43の温度状態に基づく補正と、二次電池43の残容量に基づく補正は、いずれか一方のみが行われてもよい。
そして、状態情報生成部74dは、補正が行われた二次電池43の内部抵抗を示す二次電池状態情報BSaを生成し、生成した二次電池状態情報BSaを、二次電池43の履歴データに追加する。なお第1の実施形態と同様に、本体ユニット制御部74は、本体ユニット記憶部71に記憶された二次電池43の内部抵抗の履歴データと、新しく検出された二次電池43の内部抵抗とを比較することで、二次電池43の劣化状態が所定量を超えて改善されたか否かを判定し、二次電池43の劣化状態が所定量を超えて改善されたと判定された場合には、二次電池43が交換されたものとして、本体ユニット記憶部71に記憶された二次電池43の内部抵抗の履歴データを消去(初期化)してもよい。これは、放電終了時に二次電池43の内部抵抗が検出される場合も同様である。
次に、電動送風機制御部74aは、操作部16に対する電気掃除機1の電源をOFFするユーザの操作を検出する。この場合、電動送風機制御部74aは、電動送風機14への電力供給を停止するように第1スイッチングユニット63を制御して、二次電池43の放電を終了する(ステップSB31)。
このとき、状態検出部74cは、例えば、電圧検出部65により検出された放電終了前後の二次電池43の端子電圧の変化と、電流検出部66,67により検出された放電終了前の電流値とに基づき、二次電池43の内部抵抗を検出する(ステップSB32)。具体的には、状態検出部74cは、二次電池43の放電が終了される場合に、二次電池43の放電が終了される前の二次電池43の端子電圧を電圧検出部65により検出させるとともに、二次電池43の放電が終了してから所定時間(例えば、電圧変動が一定範囲内に落ち着くまでに必要な時間)が経過した時点での二次電池43の端子電圧を電圧検出部65により検出させ、それらの検出結果に基づき二次電池43の内部抵抗を検出する。
次に、状態検出部74cは、ステップSB23と同様に、二次電池43の温度および二次電池43の残容量に基づき、検出された二次電池43の内部抵抗を補正する(ステップSB33)。この場合、ステップSB33における「放電開始時の温度状態」および「放電開始前の端子電圧」は、「放電終了時の温度状態」および「放電終了後の端子電圧」とそれぞれ読み替えられる。なお、二次電池43の温度状態に基づく補正と、二次電池43の残容量に基づく補正は、いずれか一方のみが行われてもよい。
また、放電開始前後の二次電池43の端子電圧の変化に基づく内部抵抗の検出(ステップSB22,SB23)と、放電終了前後の二次電池43の端子電圧の変化に基づく内部抵抗の検出(ステップSB32,SB33)は、いずれか一方のみが行われてもよい。
以上説明した本実施形態では、本体ユニット制御部74は、電気掃除機1の前回以前の使用時に検出された二次電池43の状態を示す情報に基づき、電気掃除機1の今回使用時の通電時間ETを決定する。これにより、今回使用時の運転を始めてから二次電池43の状態を検出してその内容に応じて通電時間ETを変更する場合と比べて、制御の単純化を図ることができる。
本実施形態では、本体ユニット制御部74は、二次電池43の内部抵抗を示す情報に基づき通電時間ETを決定する。このような構成によれば、二次電池43の内部抵抗に直接基づいて、二次電池43の内部抵抗に応じた適切な通電時間ETを決定することができる。これにより、二次電池43の内部抵抗が大きい場合でも電動送風機14の駆動を継続し、電気掃除機1の運転時間を確保することができる。
ここで、二次電池43の内部抵抗は、二次電池43の温度が高いときほど影響しにくく、二次電池43の温度が低いときほど大きく影響しやすい。本実施形態では、状態検出部74cは、放電開始時の二次電池43の端子電圧の変化に基づき、二次電池43の内部抵抗を検出する。このような構成によれば、二次電池43の温度が上がる前の状態で二次電池43の内部抵抗を検出することができる。すなわち、二次電池43の内部抵抗が大きく影響する状態で、二次電池43の内部抵抗を検出することができる。これにより、二次電池43の内部抵抗をより精度良く検出することができる。
本実施形態では、状態検出部74cは、放電終了時の二次電池43の端子電圧の変化に基づき、二次電池43の内部抵抗を検出する。このような構成によれば、二次電池43を最後に放電させた後の状態で二次電池43の内部抵抗を検出することができる。これにより、最新の二次電池43の内部抵抗を検出することができる。
本実施形態では、状態検出部74cは、放電開始時の二次電池43の端子電圧の変化に基づき二次電池43の内部抵抗を検出するとともに、放電終了時の二次電池43の端子電圧の変化に基づき二次電池43の内部抵抗を検出する。このような構成によれば、様々な状態(例えば様々な温度)による二次電池43の内部抵抗を検出することができる。これにより、二次電池43の内部抵抗に応じたより適した通電時間ETを決定することができる。
次に、第2の実施形態のいくつかの変形例について説明する。なお各変形例において、以下に説明する以外の構成は、上述した第2の実施形態と同様である。
(第2の実施形態の第1変形例)
第1変形例は、二次電池43の内部抵抗と二次電池43の温度とに基づいて通電時間ETが決定される例である。上述したように、二次電池43の内部抵抗は、二次電池43の温度によって変化する。二次電池43の温度が比較的高い場合は、内部抵抗が小さくなる。一方で、二次電池43の温度が比較的低い場合は、内部抵抗は大きくなる。そのため本変形例では、直近の内部抵抗と、電気掃除機1の今回使用時に検出される二次電池43の温度状態とに基づいて通電時間ETが決定される。
図18は、第1変形例の参照テーブルTB5aを示す図である。本変形例では、参照テーブルTB5aは、例えば、各内部抵抗に対して「低温」、「中温」、「高温」の3つの温度状態に分けて、それぞれの温度状態で適した通電時間ETが予め登録されている。低温時の通電時間ET1c,ET2c,ET3c,ET4cは、中温時の通電時間ET1,ET2,ET3,ET4よりも短い。一方で、高温時の通電時間ET1d,ET2d,ET3d,ET4dは、その逆である。
通電時間決定部74eは、参照テーブルTB5aと、本体ユニット記憶部71に記憶された履歴データに含まれる直近の内部抵抗と、温度検出部46により検出された二次電池43の温度状態を示す情報とに基づき、通電時間ETを決定する。なお、「二次電池43の温度状態を示す情報」は、例えば、電気掃除機1の今回使用時における電気掃除機1の駆動を開始する直前(ステップSB11よりも後)に温度検出部46により検出された温度状態を示す情報である。
このような構成によれば、本体ユニット制御部74は、二次電池43の内部抵抗を示す情報と、二次電池43の温度状態を示す情報とに基づき、より適切な通電時間ETを決定することができる。なお、「二次電池43の内部状態を示す情報と二次電池43の温度状態を示す情報とに基づき、通電時間ETを決定する」ことは、参照テーブルTB5aに基づく手法に限定されず、仮決定した通電時間ETを二次電池43の温度状態を示す情報に基づき補正することで行われてもよい。
(第2の実施形態の第2変形例)
第2変形例は、二次電池43の内部抵抗と二次電池43の残容量とに基づいて通電時間ETが決定される例である。上述したように、二次電池43の内部抵抗は、二次電池43の残容量によって変化する。二次電池43の残容量が比較的多い場合は、内部抵抗が小さくなる。一方で、二次電池43の残容量が比較的少ない場合は、内部抵抗は大きくなる。そのため本変形例では、直近の内部抵抗と、電気掃除機1の今回使用時に検出される二次電池43の残容量(二次電池43の端子電圧)とに基づいて通電時間ETが決定される。
図19は、第2変形例の参照テーブルTB5bを示す図である。本変形例では、参照テーブルTB1eは、例えば、各内部抵抗に対して「残容量:少」、「残量用:中」、「残容量:多」の3つの残容量の状態に分けて、それぞれの残量量の状態に適した通電時間ETが予め登録されている。「残容量:少」の通電時間ET1e,ET2e,ET3e、ET4eは、「残量用:中」の通電時間ET1,ET2,ET3,ET4よりも短い。一方で、「残量用:多」の通電時間ET1f,ET2f,ET3f,ET4fは、その逆である。
通電時間決定部74eは、参照テーブルTB5と、本体ユニット記憶部71に記憶された履歴データに含まれる直近の内部抵抗と、電圧検出部65により検出された二次電池43の端子電圧を示す情報とに基づき、通電時間ETを決定する。なお、「二次電池43の端子電圧」は、例えば、電気掃除機1の今回使用時における電気掃除機1の駆動を開始する直前(例えばステップSB11よりも後)に電圧検出部65により検出された端子電圧を示す情報である。
このような構成によれば、本体ユニット制御部74は、二次電池43の内部抵抗を示す情報と、二次電池43の残容量を示す情報とに基づき、より適切な通電時間ETを決定することができる。なお、「二次電池43の内部状態を示す情報と二次電池43の残容量を示す情報とに基づき、通電時間ETを決定する」ことは、参照テーブルTB5bに基づく手法に限定されず、仮決定した通電時間ETを二次電池43の残容量を示す情報に基づき補正することで行われてもよい。
(第2の実施形態の第3変形例)
第3変形例は、SOHと内部抵抗とを切り替えて通電時間ETが決定される例である。本変形例では、二次電池43の状態を示す情報として、第1の実施形態と同様に二次電池43のSOHの検出が行われるとともに、第2の実施形態と同様に二次電池43の内部抵抗の検出が行われ、それぞれ履歴データとして本体ユニット記憶部71に記憶される。
本変形例では、通電時間決定部74eは、本体ユニット記憶部71に内部抵抗の履歴データがある閾値の量を超えて蓄積されるまでの間は、SOHの履歴データに基づいて通電時間ETを決定する。これは、内部抵抗は、SOHと比べて検出誤差が大きいため、履歴データの蓄積量が少ない場合は、SOHに基づいて通電時間ETを決定するほうが適切な通電時間ETを決定することができるためである。一方で、内部抵抗は、SOHと比べて、二次電池43で電圧降下量を精度よく予測できる物理量である。このため、通電時間決定部74eは、本体ユニット記憶部71に内部抵抗の履歴データがある閾値の量を超えて蓄積された後は、SOHに代えて、内部抵抗の履歴データに基づいて通電時間ETを決定する。これにより、より適した通電時間ETを決定することができる。
(第3実施形態)
次に、第3の実施形態の電気掃除機1について説明する。第3の実施形態は、通電時間決定部74eが、SOHや内部抵抗によらずに、二次電池43の温度に基づいて通電時間ETを決定する点で、第1の実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第1の実施形態と同様である。
図20は、第3実施形態の参照テーブルTB6を示す図である。本実施形態では、参照テーブルTB6は、例えば、「低温」、「中温」、「高温」の3つの温度状態に分けて、それぞれの温度状態に適した通電時間ETが予め登録されている。例えば、例えば、中温時の通電時間ET2は、高温時の通電時間ET1よりも短い。低温時の通電時間ET3は、中温字の通電時間ET2よりも短い。
本実施形態では、通電時間検出部74eは、例えば、電気掃除機1の今回使用時の二次電池43の放電開始前に温度検出部46により検出された温度を示す情報と、参照テーブルTB6とに基づき、電気掃除機1の今回使用時の通電時間ETを決定する。このような構成によれば、二次電池43の温度に応じたより適切な通電時間ETを決定することができる。
以上、いくつかの実施形態およびそれらの変形例について説明したが、実施形態は上記例に限定されない。例えば、第1から第3の実施形態およびそれらの変形例は、互いに組み合わせて実現されてもよい。
また、通電時間決定部74eは、第1動作モード(例えば「弱モード」)から、相対的に回転数が高い第2動作モード(例えば「強モード」)へ切り替えるユーザの操作が操作部16により受け付けられた場合、第1動作モード時に検出された二次電池43の状態を示す情報(例えば、劣化状態を示す情報や内部抵抗を示す情報)に基づき、第2動作モード時の通電時間ETを決定してもよい。このような構成によれば、回転数が高い(電流値が高い)第2動作モードの通電時間ETを、二次電池43の直前の状態に応じて適切に設定することができる。
なお、上述した各実施形態および変形例において、本体ユニット制御部74は、二次電池43の状態を示す情報に基づき通電時間ETを変更することに代えて/加えて、進角θを変更してもよい。本体ユニット制御部74は、通電時間ETと進角θとのうち少なくとも一方を変更することで電流の大きさを変更してもよい。
(第4実施形態)
次に、第4の実施形態の電気掃除機1について説明する。第4の実施形態は、電動送風機(電動機)の構成とそれに伴う制御が前述の各実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第1の実施形態と同様である。
まず、電動送風機14Aについて説明する。
図21は、電動送風機14Aを模式的に示す図である。なお図21では、説明を簡単にするため、2極の電動送風機14Aのモデルを示している。電動送風機14Aは、前述の電動送風機14に対応する。電動送風機14Aは、電動送風機14と同様に3極以上の電動送風機であってもよい。
電動送風機14Aは、例えば、第1固定子コイルLAと、第2固定子コイルLBと、回転子RTと、位置検出器PDとを有する。第1固定子コイルLAと第2固定子コイルLBは、例えば対極の位置関係に配置されている。第1固定子コイルLAと第2固定子コイルLBは、例えば電気的に直列に接続されていて、通電時に夫々が生成する磁界が強まるように巻線の向きが決定されている。位置検出器PDは、例えば固定子コイルLBに対応する位置に配置されている。位置検出器PDは、回転子RTの最寄りの極の極性を検出することで、回転子RTの位置(位相)を検出する。図21に示す状態では、位置検出器PDは、S極を検出する。この電動送風機14Aは、ブラシレスモータ(永久磁石同期電動機、リラクタンスモータ)の一例である。電動送風機14Aの固定子コイルは、単相型であるが、これに制限されず多相型であってもよい。以下の説明は、2極型かつ単相型の場合である。
図22は、図21中に示す電動送風機14Aのモデルに対応するタイミングチャートである。図22中の符号Tは、電動送風機14Aの1回転の周期を示す。時刻tM11から時刻tM21に至るまでの期間が1周期である。同様に、時刻tM12から時刻tM22に至るまでの期間が1周期である。図22に示す例では、時刻tM11、時刻tM12、時刻tM21、時刻tM22の順に時間が経過する。電動送風機14Aの回転子RTは、周期Tに対応する所定の速度で回転する。
図22中の(a)と(c)とを参照して、調整要素による調整量がない場合(進角θがゼロの場合)について説明する。図22中の(a)に通電パタンを示し、同じく(c)に位置検出器PDによって検出される極性を示す。時刻tM11に、位置検出器PDは、S極に代わりN極を検出する。本体ユニット制御部74は、位置検出器PDの検出結果に基づき、時刻tM11に、固定子コイルLAとLBを第1方向に電流を流す通電を開始して、所定時間ETAが経過すると固定子コイルLAとLBの通電を終了させる。同様に、時刻tM12に、位置検出器PDは、N極に代わりS極を検出する。本体ユニット制御部74は、位置検出器PDの検出結果に基づき、時刻tM12に、固定子コイルLAとLBを第2方向に電流を流す通電を開始して、所定時間ETBが経過すると固定子コイルLAとLBの通電を終了させる。これら所定時間ETAおよび所定時間ETBを長くすると、電動送風機14Aに供給される電流の電流値が大きくなる。図22中の所定時間ETAおよび所定時間ETBは、同じ長さであってよく、これらを通電時間ETと呼ぶ。
図22中の(b)は、調整要素による調整量がある場合(進角θが存在する場合)の通電パタンの一例である。図22中の(b)の通電パタンは、図22中の(a)に示した通電パタンに比べて進角θ分の位相差がある。
次に、電動送風機14Aの制御に適用可能な制御要素について説明する。
上記の制御要素には、電動送風機14Aの駆動に関わる通電時間ET、進角θ、フリーホイール時間FWT、フリーホイール角、デューティ比DF、または電動送風機14Aの通電を制御するためのパルス信号の周波数PFなどが含まれる。
前述した通電時間と進角以外の制御要素について順に説明する。
図22に示すようにフリーホイール時間FWTは、第1の通電時間ETの終了から、その次の第2の通電時間ETの開始までの期間の長さとして規定される。
フリーホイール角は、通電時間ETとフリーホイール時間FWTとに基づいて規定される。例えば、フリーホイール角は、次の演算式に基づいて算出される。
(フリーホイール時間FWT)/(通電時間ET+フリーホイール時間FWT)
デューティ比DFは、電動送風機14Aの駆動に関わる周期Tに対する通電期間(通電時間ET)の比である。例えば、デューティ比DFを、次に例示する演算式を用いて規定するとよい。
(通電時間ET/周期T)、(所定時間ETA/周期T)、(所定時間ETB/周期T)、(通電時間ET×2/周期T)または((所定時間ETA+所定時間ETB)/周期T)のいずれかの演算式。
上記の制御要素は、周期Tを固定したPWM(pulse width modulation)制御に係る制御要素の一例である。これらの制御要素を、前述の各実施形態の制御に適用してもよい。
(実施形態に共通の変形例)
第1から第4の実施形態では、周期Tを固定したPWM制御の事例について説明した。本変形例では、周期Tを変化させるPFM(Pulse Frequency Modulation)制御について説明する。PFM制御では、電動送風機14Aの通電を制御するためのパルス信号の幅(通電時間)を変えずに、パルス信号におけるパルスの繰返し周波数(周期)を変化させることで所望の制御量を得る。例えば、本体ユニット制御部74は、電動送風機14Aを駆動させる制御量を周波数変調して、上記のパルス信号の周波数または周期を逐次変化させる。このように、本体ユニット制御部74は、前述のPWM制御に変えて、PFM制御で電動送風機14Aを制御して駆動させてもよい。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、電気掃除機は、二次電池の状態を示す情報に基づき、二次電池から電動送風機に供給される電力に関わる制御要素の大きさを決定することにより、二次電池43の出力電圧が低下しやすい場合であっても、電動送風機の駆動を継続し、運転時間を確保することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。