JP2020178685A - 腸管障害の予防、治療又は抑制用組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】安全性が高く、腸管障害を予防、治療又は抑制することができる組成物の提供。【解決手段】オリゴ糖(但し、キチンオリゴ糖は除く)及び/又は食物繊維から選ばれる3種以上の難消化性炭水化物原料を含有する、腸管障害の予防、治療又は抑制用組成物。オリゴ糖は、ラフィノース、ガラクトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラクチュロース、キシロオリゴ糖又はフラクトオリゴ糖であることが特に好ましい。食物繊維は、イヌリン、グアーガム分解物、サイリウムシードガム、難消化性デキストリン、イソマルトデキストリン、セルロース、β−グルカン、グルコマンナン又はアガロースであることが特に好ましい。前記腸管障害の予防、治療又は抑制用組成物は、栄養組成物、食品組成物、医薬組成物又は飼料組成物とすることができる。【選択図】図2
Description
本発明は、腸管障害の予防、治療又は抑制用組成物に関する。さらに詳しく言うと、本発明は、オリゴ糖及び/又は食物繊維から選ばれる3種以上の難消化性炭水化物原料を含有し、腸管障害を予防、治療又は抑制することができる組成物に関する。
ヒトや哺乳動物の腸内には、多種多様の細菌や真菌等の微生物が常在しており、これらの微生物の集まりを腸内菌叢(腸内フローラ)という。
腸内菌の種類としては、例えば、一般的に善玉菌とされるビフィズス菌、乳酸菌、腸球菌、ユーバクテリウム等があり、一般的に悪玉菌とされるバクテロイデス、クロストリジウム、大腸菌、黄色ブドウ球菌、プロテウス、緑膿菌等がある。また、真菌としては、カンジダ、サッカロマイセス等がある。ただし、一般的に用いられる善玉菌ないし有益菌、又は悪玉菌ないし非有益菌といった呼称、もしくは門、綱、目、科、属、種及び株といった分類学的階級を明確に付さない呼称は、菌種名や菌株名まで特定される場合を除いては、菌種や菌株による病原性の有無や代謝特性等の相違を無視した概括的な呼称であることには、留意が必要である。
腸内菌叢は、ヒトにおいては1000種ともされる多種類の菌群が個体数のバランスを保った状態で多様な機能を果たしている複合的な生態系であることが、近年の研究から徐々に判明してきている。宿主にとって有益な菌に限らず、一般的に悪玉菌とされる菌群に属する菌であっても、腸内菌叢においては何らかの生態学的な地位を有して固有の役割を果たしており、これらの総体が腸内菌叢を形成している。腸内菌叢が健全な多様性を有していることそれ自体が、生態系の平衡状態の成立と維持を可能にし、個体数のバランスを安定化させ、特定の菌の過剰な増殖又は活性化を抑制している要因であると考えられる。このバランスが崩れ、多様性が低下した状態(ディスバイオーシスと呼ばれる)となると、病原菌が増殖したり、腐敗産物を含む特定の代謝物ばかりが腸内に蓄積したりして、宿主であるヒトや哺乳動物にとって望ましくない腸内環境が生じる。ディスバイオーシスの原因としては、食習慣、年齢、環境、ストレスの他、抗生物質や合成抗菌剤等の抗菌薬の投与などがある。腸内菌叢の多様性の低下は、種々の腸管障害の原因となることが知られている。腸内菌叢の多様性低下による腸管障害としては、感染性腸管障害、薬剤性腸管障害、炎症性腸管障害などがある。
例えば、抗菌薬を使用すると、腸内環境が変わって腹痛や下痢などの消化管症状が起こることがある。これは、抗菌薬の使用により、正常な腸内菌叢がかく乱されて腸内菌叢の多様性が低下し、腸管内の病原菌に対する感染抵抗力が低下するためである。感染抵抗力が低下すると、病原菌(例えば、クロストリジウム(クロストリディオイデス)・ディフィシル)が増殖して偽膜性腸炎や中毒性巨大結腸症などの腸管障害を発症し、命にかかわることもある。病原菌感染を伴わなくても、通常は腸内細菌によって分解される消化管内成分が分解されず蓄積することによる管腔内浸透圧の増加、乳酸及びコハク酸等の吸収性の低い有機酸の蓄積、及び短鎖脂肪酸産生が低下することによる水分吸収不全等も、正常な腸内菌叢がかく乱されることにより発生する消化管症状の機序の一部である。
このような腸管障害の予防や治療には、腸内菌叢の多様性の回復・維持・向上が有効である。
クロストリジウム(クロストリディオイデス)・ディフィシル感染症(CDI)に対しては、従来の治療としては更なる抗菌薬投与が行われてきたが、これは腸内菌叢のかく乱及び多様性の低下を改善するものではなく、むしろ遷延させることから、感染症は難治化し、再発を来たしやすくなる問題があった。一方で、近年はCDIに対する糞便移植法の有効性が明らかになっている。糞便移植法とは、ドナー糞便由来の腸内細菌の生菌を、レシピエントたるCDI患者の腸内に直接注入し、腸内菌叢の多様性を直接的に回復させる治療法である。従来の治療と比較して劇的に高い奏効率を示すことから、欧米では既に再発性CDIに対する治療として診療ガイドラインに記載がなされている。しかし、本邦において糞便移植法はまだまだ実用化されていない。加えて、糞便移植法自体にも、ドナー糞便の選定基準の問題や、糞便移植に対する抵抗感の問題といった克服すべき課題が残されている。
潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患の発症、増悪及び再燃にも、腸内菌叢の多様性の低下が関連するとされる。これらの疾患に対する治療薬は生物学的製剤、5−アミノサリチル酸製剤、免疫調節剤などいくつか存在するが、いずれも腸内菌叢の多様性に着目したものではない。また、既存の治療薬の使用に当たっては副作用や効果減弱のリスクの問題も多く残されており、未だ充分に解決されているとは言い難い。
腸内菌の種類としては、例えば、一般的に善玉菌とされるビフィズス菌、乳酸菌、腸球菌、ユーバクテリウム等があり、一般的に悪玉菌とされるバクテロイデス、クロストリジウム、大腸菌、黄色ブドウ球菌、プロテウス、緑膿菌等がある。また、真菌としては、カンジダ、サッカロマイセス等がある。ただし、一般的に用いられる善玉菌ないし有益菌、又は悪玉菌ないし非有益菌といった呼称、もしくは門、綱、目、科、属、種及び株といった分類学的階級を明確に付さない呼称は、菌種名や菌株名まで特定される場合を除いては、菌種や菌株による病原性の有無や代謝特性等の相違を無視した概括的な呼称であることには、留意が必要である。
腸内菌叢は、ヒトにおいては1000種ともされる多種類の菌群が個体数のバランスを保った状態で多様な機能を果たしている複合的な生態系であることが、近年の研究から徐々に判明してきている。宿主にとって有益な菌に限らず、一般的に悪玉菌とされる菌群に属する菌であっても、腸内菌叢においては何らかの生態学的な地位を有して固有の役割を果たしており、これらの総体が腸内菌叢を形成している。腸内菌叢が健全な多様性を有していることそれ自体が、生態系の平衡状態の成立と維持を可能にし、個体数のバランスを安定化させ、特定の菌の過剰な増殖又は活性化を抑制している要因であると考えられる。このバランスが崩れ、多様性が低下した状態(ディスバイオーシスと呼ばれる)となると、病原菌が増殖したり、腐敗産物を含む特定の代謝物ばかりが腸内に蓄積したりして、宿主であるヒトや哺乳動物にとって望ましくない腸内環境が生じる。ディスバイオーシスの原因としては、食習慣、年齢、環境、ストレスの他、抗生物質や合成抗菌剤等の抗菌薬の投与などがある。腸内菌叢の多様性の低下は、種々の腸管障害の原因となることが知られている。腸内菌叢の多様性低下による腸管障害としては、感染性腸管障害、薬剤性腸管障害、炎症性腸管障害などがある。
例えば、抗菌薬を使用すると、腸内環境が変わって腹痛や下痢などの消化管症状が起こることがある。これは、抗菌薬の使用により、正常な腸内菌叢がかく乱されて腸内菌叢の多様性が低下し、腸管内の病原菌に対する感染抵抗力が低下するためである。感染抵抗力が低下すると、病原菌(例えば、クロストリジウム(クロストリディオイデス)・ディフィシル)が増殖して偽膜性腸炎や中毒性巨大結腸症などの腸管障害を発症し、命にかかわることもある。病原菌感染を伴わなくても、通常は腸内細菌によって分解される消化管内成分が分解されず蓄積することによる管腔内浸透圧の増加、乳酸及びコハク酸等の吸収性の低い有機酸の蓄積、及び短鎖脂肪酸産生が低下することによる水分吸収不全等も、正常な腸内菌叢がかく乱されることにより発生する消化管症状の機序の一部である。
このような腸管障害の予防や治療には、腸内菌叢の多様性の回復・維持・向上が有効である。
クロストリジウム(クロストリディオイデス)・ディフィシル感染症(CDI)に対しては、従来の治療としては更なる抗菌薬投与が行われてきたが、これは腸内菌叢のかく乱及び多様性の低下を改善するものではなく、むしろ遷延させることから、感染症は難治化し、再発を来たしやすくなる問題があった。一方で、近年はCDIに対する糞便移植法の有効性が明らかになっている。糞便移植法とは、ドナー糞便由来の腸内細菌の生菌を、レシピエントたるCDI患者の腸内に直接注入し、腸内菌叢の多様性を直接的に回復させる治療法である。従来の治療と比較して劇的に高い奏効率を示すことから、欧米では既に再発性CDIに対する治療として診療ガイドラインに記載がなされている。しかし、本邦において糞便移植法はまだまだ実用化されていない。加えて、糞便移植法自体にも、ドナー糞便の選定基準の問題や、糞便移植に対する抵抗感の問題といった克服すべき課題が残されている。
潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患の発症、増悪及び再燃にも、腸内菌叢の多様性の低下が関連するとされる。これらの疾患に対する治療薬は生物学的製剤、5−アミノサリチル酸製剤、免疫調節剤などいくつか存在するが、いずれも腸内菌叢の多様性に着目したものではない。また、既存の治療薬の使用に当たっては副作用や効果減弱のリスクの問題も多く残されており、未だ充分に解決されているとは言い難い。
そのため、腸内菌叢の多様性を向上させることによって、腸管障害の予防、治療又は抑制を達成し得る、安全な物質や組成物が求められている。
現在、有益な腸内細菌を増やすための物質としてイヌリンが知られている。また、特許文献1には、寒天、アガロース、アガロオリゴ糖のいずれか一種を含み、腸内菌叢を調整する組成物が開示されている。特許文献2には、キチンオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、ラフィノース及びラクチュロースを含有し、腸内菌叢のバランスを改善するための組成物及び方法が開示されている。特許文献3には、こんにゃく粉及びオリゴ糖を含有する整腸食品が開示されている。特許文献4には、オリゴ糖を含有し、腸内善玉菌を活性化する組成物が開示されている。特許文献5には、セロオリゴ糖含有組成物が開示されている。特許文献6には、腸内菌叢の改善のために、腸内細菌の生菌にオリゴ糖を加えることが開示されている。
現在、有益な腸内細菌を増やすための物質としてイヌリンが知られている。また、特許文献1には、寒天、アガロース、アガロオリゴ糖のいずれか一種を含み、腸内菌叢を調整する組成物が開示されている。特許文献2には、キチンオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、ラフィノース及びラクチュロースを含有し、腸内菌叢のバランスを改善するための組成物及び方法が開示されている。特許文献3には、こんにゃく粉及びオリゴ糖を含有する整腸食品が開示されている。特許文献4には、オリゴ糖を含有し、腸内善玉菌を活性化する組成物が開示されている。特許文献5には、セロオリゴ糖含有組成物が開示されている。特許文献6には、腸内菌叢の改善のために、腸内細菌の生菌にオリゴ糖を加えることが開示されている。
また、特許文献7には、炎症性大腸炎の治療のためにガラクトオリゴ糖を使用することが開示されている。特許文献8には、ガラクトオリゴ糖とポリフルクトースを用いて炎症性腸疾患を予防又は治療することが開示されている。特許文献9には、部分加水分解グアーガムとフラクトオリゴ糖を用いて消化器関連疾患を治療する方法が開示されている。また、特許文献10には、フラクトオリゴ糖とガラクトオリゴ糖を含み、腸内菌叢の維持・回復や潰瘍性大腸炎の治療などに用いる組成物が開示されている。さらに、特許文献11には、フラクトオリゴ糖、イヌリン、アカシアゴム等を含む栄養組成物により腸内微生物叢バランスを向上させ、炎症性大腸炎を改善する方法が開示されている。また、非特許文献1には、遺伝子改変による大腸炎自然発症モデルマウスにおいて、オリゴ糖、大豆多糖類、アラビアガム等の混合物が、実験的大腸炎を軽減させることが報告されている。
Wang et al, Journal of Parenteral and Enteral Nutrition 2019, 43(3):401-411, Dietary Nondigestible Polysaccharides Ameliorate Colitis by Improving Gut Microbiota and CD4+ Differentiation, as Well as Facilitating M2 Macrophage Polarization
しかしながら、上記の先行技術は、いずれも、腸内菌叢の多様性を向上させる効果は十分ではなく、したがって腸管障害の予防、治療又は抑制効果も十分ではない。
例えば、特許文献1は、腸内菌叢のうちファーミキューテス門とバクテロイデス門、クリステンセネラセエ科といった特定の分類群にのみ着目し、その存在割合を正常型又は痩せ型へと変化させる効果を示した技術であるが、それぞれの分類群における菌種の構成や、示された以外の分類群への効果を考慮したものではなかった。また特許文献2は、腸内菌叢のバランスを改善する目的でキチンオリゴ糖以下4種類のオリゴ糖を含む組成物に関する技術であるが、オリゴ糖を資化できるビフィズス菌の増加にのみ着目しており、これらのオリゴ糖を資化できない菌群に対して効果を発揮することはできておらず、また多量に摂取すると下痢などの症状を来たすおそれがあった。さらに、特許文献3も同様にビフィズス菌の増加のみを目的としたものであり、特許文献4及び5は、善玉菌ないし有用細菌としてやはりビフィズス菌及び乳酸菌のみを挙げ、これ以外の菌群や腸内菌叢全体の多様性には着目していなかった。
特許文献6は、細菌の生菌を経口的に補充することで、腸内菌叢を改善する組成物を提供するものである。また、この組成物中にオリゴ糖を含む旨の記載もあるが、オリゴ糖による効果を「組成物中の細菌の選択的増殖」としており、摂取以前から存在する腸内菌叢全体への効果は考慮されておらず、腸内菌叢の多様性への言及もない。
さらに、特許文献7には、ガラクトオリゴ糖が腸管炎症を治療または予防し得ることが示されているが、腸内菌叢及びその多様性に作用するとの記載はなく、何ら示唆もない。特許文献8は、ガラクト-オリゴ糖及びイヌリンを含むポリフルクトースによって腸または便でのアセテートすなわち酢酸、及びラクテートすなわち乳酸の産生を促し、ビフィドバクテリアや乳酸菌が大部分を占める腸内菌叢へと変化させる効果を提示しており、腸内菌叢の多様性に関する示唆はなく、むしろ多様性を低下させようとするものであった。特許文献9及び10は、前記特許文献4及び5と同様、ビフィズス菌又はビフィドバクテリウムや乳酸菌又は乳酸桿菌を「有益菌」と見なして選択的に増加させる、いわゆるプレバイオティクス効果に着目したものであり、腸内菌叢の多様性への言及はない。また、バクテロイデスやクロストリジウムといった、健全な腸内菌叢の構成に不可欠な菌種を含む菌群については、一括して「非有益菌」と見なして減少又は抑制をのみ追求しており、いずれも多様性の重要性に関する認識を欠いている。特許文献11は、「腸内微生物叢バランス促進」に用いられる組成物について開示したものであるが、「腸内微生物叢バランス促進」の意味するところは、前記特許文献10と同様、ビフィズス菌及び/又はラクトバシラス菌を増加させ、クロストリジウムを減少させるものであると明述されており、これは本願の開示する「腸内菌叢の多様性を高める」こととは実質的な意味を全く異にしている。また、非特許文献1の飼料混合物は、前記特許文献11の組成物と同様の原料で構成されている。
以上のように、これまでの技術はいずれも、ビフィズス菌を始めとする一部の細菌の増殖を促すことはできても、腸内菌叢の多様性を向上させることはできていなかった。腸内菌叢の多様性の低下が、腸管障害の原因の少なくとも一部である以上、腸内菌叢の多様性の回復を伴わずに腸管障害の改善を果たし得たとしても、それは一過性で不十分なものであり、再発、再燃又は増悪に至るリスクを常に擁している。これは既存の医学的知見によって明示されている(例えば、Chilton et al, Clinical Microbiology and Infection 24 (2018) 476-482. Microbiologic factors affecting Clostridium difficile recurrence.及び Dey et al. BMC Gastroenterology 2013, 13:131. Association of gut microbiota with post-operative clinical course in Crohn’s disease. Fig.S9-10参照)。
例えば、特許文献1は、腸内菌叢のうちファーミキューテス門とバクテロイデス門、クリステンセネラセエ科といった特定の分類群にのみ着目し、その存在割合を正常型又は痩せ型へと変化させる効果を示した技術であるが、それぞれの分類群における菌種の構成や、示された以外の分類群への効果を考慮したものではなかった。また特許文献2は、腸内菌叢のバランスを改善する目的でキチンオリゴ糖以下4種類のオリゴ糖を含む組成物に関する技術であるが、オリゴ糖を資化できるビフィズス菌の増加にのみ着目しており、これらのオリゴ糖を資化できない菌群に対して効果を発揮することはできておらず、また多量に摂取すると下痢などの症状を来たすおそれがあった。さらに、特許文献3も同様にビフィズス菌の増加のみを目的としたものであり、特許文献4及び5は、善玉菌ないし有用細菌としてやはりビフィズス菌及び乳酸菌のみを挙げ、これ以外の菌群や腸内菌叢全体の多様性には着目していなかった。
特許文献6は、細菌の生菌を経口的に補充することで、腸内菌叢を改善する組成物を提供するものである。また、この組成物中にオリゴ糖を含む旨の記載もあるが、オリゴ糖による効果を「組成物中の細菌の選択的増殖」としており、摂取以前から存在する腸内菌叢全体への効果は考慮されておらず、腸内菌叢の多様性への言及もない。
さらに、特許文献7には、ガラクトオリゴ糖が腸管炎症を治療または予防し得ることが示されているが、腸内菌叢及びその多様性に作用するとの記載はなく、何ら示唆もない。特許文献8は、ガラクト-オリゴ糖及びイヌリンを含むポリフルクトースによって腸または便でのアセテートすなわち酢酸、及びラクテートすなわち乳酸の産生を促し、ビフィドバクテリアや乳酸菌が大部分を占める腸内菌叢へと変化させる効果を提示しており、腸内菌叢の多様性に関する示唆はなく、むしろ多様性を低下させようとするものであった。特許文献9及び10は、前記特許文献4及び5と同様、ビフィズス菌又はビフィドバクテリウムや乳酸菌又は乳酸桿菌を「有益菌」と見なして選択的に増加させる、いわゆるプレバイオティクス効果に着目したものであり、腸内菌叢の多様性への言及はない。また、バクテロイデスやクロストリジウムといった、健全な腸内菌叢の構成に不可欠な菌種を含む菌群については、一括して「非有益菌」と見なして減少又は抑制をのみ追求しており、いずれも多様性の重要性に関する認識を欠いている。特許文献11は、「腸内微生物叢バランス促進」に用いられる組成物について開示したものであるが、「腸内微生物叢バランス促進」の意味するところは、前記特許文献10と同様、ビフィズス菌及び/又はラクトバシラス菌を増加させ、クロストリジウムを減少させるものであると明述されており、これは本願の開示する「腸内菌叢の多様性を高める」こととは実質的な意味を全く異にしている。また、非特許文献1の飼料混合物は、前記特許文献11の組成物と同様の原料で構成されている。
以上のように、これまでの技術はいずれも、ビフィズス菌を始めとする一部の細菌の増殖を促すことはできても、腸内菌叢の多様性を向上させることはできていなかった。腸内菌叢の多様性の低下が、腸管障害の原因の少なくとも一部である以上、腸内菌叢の多様性の回復を伴わずに腸管障害の改善を果たし得たとしても、それは一過性で不十分なものであり、再発、再燃又は増悪に至るリスクを常に擁している。これは既存の医学的知見によって明示されている(例えば、Chilton et al, Clinical Microbiology and Infection 24 (2018) 476-482. Microbiologic factors affecting Clostridium difficile recurrence.及び Dey et al. BMC Gastroenterology 2013, 13:131. Association of gut microbiota with post-operative clinical course in Crohn’s disease. Fig.S9-10参照)。
このような状況下で、本発明は、腸内菌叢の多様性を向上させることによって、副作用のリスクが低く、安全性が高く、再発、再燃又は増悪に至りにくい、優れた腸管障害の予防、治療又は抑制用組成物を提供することを課題とする。
本発明者は、腸内菌叢の多様性を向上させ得る組成物を求めて研究を重ねた結果、オリゴ糖及び/又は食物繊維から選ばれる3種以上の難消化性炭水化物原料を含む組成物を用いることにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記の腸管障害の予防、治療又は抑制用組成物を提供するものである。
(1)オリゴ糖(但し、キチンオリゴ糖は除く)及び/又は食物繊維から選ばれる3種以上の難消化性炭水化物原料を含有することを特徴とする腸管障害の予防、治療又は抑制用組成物。
(2)難消化性炭水化物原料が8種以上であることを特徴とする上記(1)に記載の腸管障害の予防、治療又は抑制用組成物。
(3)オリゴ糖が、ラフィノース、スタキオース、ガラクトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラクチュロース、キシロオリゴ糖、アガロオリゴ糖、マンノオリゴ糖又はフラクトオリゴ糖であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の組成物。
(4)オリゴ糖が、ラフィノース、ガラクトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラクチュロース、キシロオリゴ糖又はフラクトオリゴ糖であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の組成物。
(5)食物繊維が、イヌリン、ペクチン、ペクチン加工物、グアーガム、グアーガム分解物、サイリウムシードガム、カラヤガム、トラガントガム、アラビアガム、難消化性スターチ、難消化性デキストリン、イソマルトデキストリン、ポリデキストロース、セルロース、ヘミセルロース、大豆多糖類、β−グルカン、グルコマンナン、ガラクトマンナン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、レバン、リグニン、アルギン酸及びその塩、アガロース又はキトサンであることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の組成物。
(6)食物繊維が、イヌリン、グアーガム分解物、サイリウムシードガム、難消化性デキストリン、イソマルトデキストリン、セルロース、β−グルカン、グルコマンナン又はアガロースであることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の組成物。
(7)難消化性炭水化物原料の各成分の組成比が、それぞれ4〜67質量%であることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の組成物。
(8)一日当たりの摂取量が、一日当たりの食事量の30質量%(乾燥質量)以下であることを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載の組成物。
(9)腸管障害が、感染性腸管障害、薬剤性腸管障害又は炎症性腸管障害であることを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれかに記載の組成物。
(10)腸内菌叢多様性の向上を伴うことを特徴とする上記(1)〜(9)のいずれかに記載の組成物。
(11)栄養組成物、食品組成物、医薬組成物又は飼料組成物であることを特徴とする上記(1)〜(10)のいずれかに記載の組成物。
(1)オリゴ糖(但し、キチンオリゴ糖は除く)及び/又は食物繊維から選ばれる3種以上の難消化性炭水化物原料を含有することを特徴とする腸管障害の予防、治療又は抑制用組成物。
(2)難消化性炭水化物原料が8種以上であることを特徴とする上記(1)に記載の腸管障害の予防、治療又は抑制用組成物。
(3)オリゴ糖が、ラフィノース、スタキオース、ガラクトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラクチュロース、キシロオリゴ糖、アガロオリゴ糖、マンノオリゴ糖又はフラクトオリゴ糖であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の組成物。
(4)オリゴ糖が、ラフィノース、ガラクトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラクチュロース、キシロオリゴ糖又はフラクトオリゴ糖であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の組成物。
(5)食物繊維が、イヌリン、ペクチン、ペクチン加工物、グアーガム、グアーガム分解物、サイリウムシードガム、カラヤガム、トラガントガム、アラビアガム、難消化性スターチ、難消化性デキストリン、イソマルトデキストリン、ポリデキストロース、セルロース、ヘミセルロース、大豆多糖類、β−グルカン、グルコマンナン、ガラクトマンナン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、レバン、リグニン、アルギン酸及びその塩、アガロース又はキトサンであることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の組成物。
(6)食物繊維が、イヌリン、グアーガム分解物、サイリウムシードガム、難消化性デキストリン、イソマルトデキストリン、セルロース、β−グルカン、グルコマンナン又はアガロースであることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の組成物。
(7)難消化性炭水化物原料の各成分の組成比が、それぞれ4〜67質量%であることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の組成物。
(8)一日当たりの摂取量が、一日当たりの食事量の30質量%(乾燥質量)以下であることを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載の組成物。
(9)腸管障害が、感染性腸管障害、薬剤性腸管障害又は炎症性腸管障害であることを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれかに記載の組成物。
(10)腸内菌叢多様性の向上を伴うことを特徴とする上記(1)〜(9)のいずれかに記載の組成物。
(11)栄養組成物、食品組成物、医薬組成物又は飼料組成物であることを特徴とする上記(1)〜(10)のいずれかに記載の組成物。
本発明によれば、腸管障害の予防、治療又は抑制効果に優れた組成物が得られる。
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明の組成物は、腸管障害の予防、治療又は抑制用に用いることができる。
本発明において腸管とは、大腸、小腸を含む。
また、抑制とは、腸管障害の病態、症状の軽減や、再発抑制等を含む。
本発明において、腸管障害は、限定されないが、感染性腸管障害に加えて、薬剤性腸管障害や放射線性腸炎等の非感染性腸管障害、炎症性腸管障害の他、下痢、便秘、腹部ガス貯留等といった多岐の症状をも含む。
感染性腸管障害の主なものに、感染性大腸炎がある。感染性大腸炎は、細菌、ウイルス、寄生虫などに感染することによって発症する腸管疾患である。原因となる細菌の例としては、クロストリジウム(クロストリディオイデス)・ディフィシル、黄色ブドウ球菌、腸炎ビブリオ、カンピロバクター、サルモネラ、赤痢菌等が挙げられ、ウイルスの例としては、ノロウイルスやロタウイルス、サイトメガロウイルス等が挙げられ、寄生虫の例としては、赤痢アメーバ等が挙げられる。
薬剤性腸管障害には、薬剤性腸炎等がある。薬剤性腸炎は、抗生物質や合成抗菌剤等の抗菌薬の投与によってしばしば発症し、下痢、下血、腹痛、発熱などを主症状とする。薬剤性腸炎のうち重度のものには、主に、急性出血性大腸炎及び偽膜性大腸炎などがある。
放射線性腸炎は、腹部放射線治療後に発症する腸炎である。
炎症性腸管障害には、潰瘍性大腸炎やクローン病に代表される炎症性腸疾患等がある。
また、本発明の組成物は、その他、虚血性大腸炎、過敏性腸症候群、大腸ポリープ・大腸がん、大腸憩室症などのその他の種々の腸管疾患にも効果を有する。
本発明の組成物は、腸管障害の予防、治療又は抑制用に用いることができる。
本発明において腸管とは、大腸、小腸を含む。
また、抑制とは、腸管障害の病態、症状の軽減や、再発抑制等を含む。
本発明において、腸管障害は、限定されないが、感染性腸管障害に加えて、薬剤性腸管障害や放射線性腸炎等の非感染性腸管障害、炎症性腸管障害の他、下痢、便秘、腹部ガス貯留等といった多岐の症状をも含む。
感染性腸管障害の主なものに、感染性大腸炎がある。感染性大腸炎は、細菌、ウイルス、寄生虫などに感染することによって発症する腸管疾患である。原因となる細菌の例としては、クロストリジウム(クロストリディオイデス)・ディフィシル、黄色ブドウ球菌、腸炎ビブリオ、カンピロバクター、サルモネラ、赤痢菌等が挙げられ、ウイルスの例としては、ノロウイルスやロタウイルス、サイトメガロウイルス等が挙げられ、寄生虫の例としては、赤痢アメーバ等が挙げられる。
薬剤性腸管障害には、薬剤性腸炎等がある。薬剤性腸炎は、抗生物質や合成抗菌剤等の抗菌薬の投与によってしばしば発症し、下痢、下血、腹痛、発熱などを主症状とする。薬剤性腸炎のうち重度のものには、主に、急性出血性大腸炎及び偽膜性大腸炎などがある。
放射線性腸炎は、腹部放射線治療後に発症する腸炎である。
炎症性腸管障害には、潰瘍性大腸炎やクローン病に代表される炎症性腸疾患等がある。
また、本発明の組成物は、その他、虚血性大腸炎、過敏性腸症候群、大腸ポリープ・大腸がん、大腸憩室症などのその他の種々の腸管疾患にも効果を有する。
本発明において、「腸内菌叢」は、ヒトや動物の腸内で共存する多種多様な細菌や真菌等の菌の集まりを意味する。
本発明の組成物は、腸内菌叢の多様性を向上させることによって、腸管障害の予防、治療又は抑制をするものである。
本発明の組成物を用いることによって多様性が向上する菌叢を構成する細菌や真菌の種類としては、例えば、これらに限定されるものではないが、バクテロイデテス門(バクテロイデス属、パラバクテロイデス属、プレボテラ属、パラプレボテラ属、アロプレボテラ属、アリスティペス属等)、アクチノバクテリア門(ビフィドバクテリウム属等)、ファーミキューテス門(バシラス綱、エリシペロトリクス綱、ラクノスピラ科、クロストリジウム属、ユーバクテリウム属、ルミノコッカス属、フィーカリバクテリウム属等)、プロテオバクテリア門(アルファプロテオバクテリア綱、ベータプロテオバクテリア綱、ガンマプロテオバクテリア綱、デルタプロテオバクテリア綱等)又はベルコミクロビア門(アッカーマンシア属等)に属する細菌、及び古細菌等が挙げられる。
このような効果を有する本発明の組成物は、医薬組成物の他、栄養組成物、食品組成物、飼料組成物などとして用いることができる。
本発明の組成物は、腸内菌叢の多様性を向上させることによって、腸管障害の予防、治療又は抑制をするものである。
本発明の組成物を用いることによって多様性が向上する菌叢を構成する細菌や真菌の種類としては、例えば、これらに限定されるものではないが、バクテロイデテス門(バクテロイデス属、パラバクテロイデス属、プレボテラ属、パラプレボテラ属、アロプレボテラ属、アリスティペス属等)、アクチノバクテリア門(ビフィドバクテリウム属等)、ファーミキューテス門(バシラス綱、エリシペロトリクス綱、ラクノスピラ科、クロストリジウム属、ユーバクテリウム属、ルミノコッカス属、フィーカリバクテリウム属等)、プロテオバクテリア門(アルファプロテオバクテリア綱、ベータプロテオバクテリア綱、ガンマプロテオバクテリア綱、デルタプロテオバクテリア綱等)又はベルコミクロビア門(アッカーマンシア属等)に属する細菌、及び古細菌等が挙げられる。
このような効果を有する本発明の組成物は、医薬組成物の他、栄養組成物、食品組成物、飼料組成物などとして用いることができる。
本発明の組成物は、オリゴ糖(但し、キチンオリゴ糖は除く)及び/又は食物繊維から選ばれる3種以上の難消化性炭水化物原料を含有することを特徴とするものである。本発明において、「オリゴ糖及び/又は食物繊維」は、オリゴ糖を3種以上含有する場合、食物繊維を3種以上含有する場合、オリゴ糖及び食物繊維を組み合わせて3種以上含有する場合の3通りの場合を含む。
本発明において、「難消化性炭水化物原料」の種類は、特に3種〜25種であることが好ましい。オリゴ糖及び/又は食物繊維の種類が2種以下となると、十分な腸内菌叢多様性向上効果が得られず、25種を超えると、25種以下とあまり効果が変わらない。
すなわち、本発明の組成物は、3種以上のオリゴ糖及び/又は食物繊維をバランスよく配合することにより、多種類の腸内菌を増加させ、腸内菌叢全体の多様性を高めることができる。
なお、本発明の組成物は、上記難消化性炭水化物原料を3種以上含有するものであるが、特に8種以上含むことが好ましい。難消化性炭水化物原料の種類が8種以上であると、高用量の摂取時にも一部の原料の摂取が過剰となるおそれが少なく、バランスの取れた組成となるためである。
本発明においては、腸内菌叢の多様性を高めることにより、お腹が緩くなる等の有害事象の発生を抑えることができると同時に、腸管内pHを適度に低下させてアンモニア等の有害物質の生成を抑制し、腸内環境を改善することができる。また、腸内菌叢の多様性を高めることにより、乳酸の過度の生成を抑制しつつ、短鎖脂肪酸の産生量を高められる。短鎖脂肪酸の産生量が増加することにより、腸上皮細胞への栄養供給、腸管の正常な生理的活動の促進、大腸がんの抑制、制御性T細胞誘導による過剰な免疫反応の抑制、さらには肝臓・脂肪組織・筋肉等におけるエネルギー代謝恒常性の維持等、健康維持、疾病予防もしくは疾病管理において望ましい種々の効用が得られる。
このような腸内環境の改善により、本発明の組成物は腸管障害を予防し、治療し又は抑制することが可能となる。
本発明において、「難消化性炭水化物原料」の種類は、特に3種〜25種であることが好ましい。オリゴ糖及び/又は食物繊維の種類が2種以下となると、十分な腸内菌叢多様性向上効果が得られず、25種を超えると、25種以下とあまり効果が変わらない。
すなわち、本発明の組成物は、3種以上のオリゴ糖及び/又は食物繊維をバランスよく配合することにより、多種類の腸内菌を増加させ、腸内菌叢全体の多様性を高めることができる。
なお、本発明の組成物は、上記難消化性炭水化物原料を3種以上含有するものであるが、特に8種以上含むことが好ましい。難消化性炭水化物原料の種類が8種以上であると、高用量の摂取時にも一部の原料の摂取が過剰となるおそれが少なく、バランスの取れた組成となるためである。
本発明においては、腸内菌叢の多様性を高めることにより、お腹が緩くなる等の有害事象の発生を抑えることができると同時に、腸管内pHを適度に低下させてアンモニア等の有害物質の生成を抑制し、腸内環境を改善することができる。また、腸内菌叢の多様性を高めることにより、乳酸の過度の生成を抑制しつつ、短鎖脂肪酸の産生量を高められる。短鎖脂肪酸の産生量が増加することにより、腸上皮細胞への栄養供給、腸管の正常な生理的活動の促進、大腸がんの抑制、制御性T細胞誘導による過剰な免疫反応の抑制、さらには肝臓・脂肪組織・筋肉等におけるエネルギー代謝恒常性の維持等、健康維持、疾病予防もしくは疾病管理において望ましい種々の効用が得られる。
このような腸内環境の改善により、本発明の組成物は腸管障害を予防し、治療し又は抑制することが可能となる。
本発明の組成物に含まれるオリゴ糖は、これらに限定されないが、ラフィノース、スタキオース、大豆由来オリゴ糖、甜菜由来オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、イソマルトース、イソマルトトリオース、パノース、イソマルトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラクチュロース、キシロオリゴ糖、アガロオリゴ糖、マンノオリゴ糖、ケストース、ニストース、フラクトシルニストース、フラクトオリゴ糖等が好ましく、特に、ラフィノース、ガラクトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラクチュロース、キシロオリゴ糖又はフラクトオリゴ糖が好ましい。但し、本発明の組成物に含まれるオリゴ糖の例として、キチンオリゴ糖は含まれない。
本発明の組成物に含まれる食物繊維は、これらに限定されないが、レバン、農産物由来イヌリン、酵素合成イヌリン、イヌリン型フラクタン、柑橘類果皮由来ペクチン、リンゴ由来ペクチン、果実類由来ペクチンであって、物理的、化学的又は酵素化学的方法によって修飾を施されたペクチン加工物、グアーガム、グアーガム分解物、サイリウムシードガム、カラヤガム、トラガントガム、アラビアガム、農産物由来難消化性スターチ、通常のデンプンに物理的、化学的又は酵素化学的方法によって難消化性を付与して得られる難消化性スターチ、難消化性デキストリン、イソマルトデキストリン、ポリデキストロース、粉末セルロース、結晶セルロース、ヘミセルロース、大豆由来水溶性多糖類、酵母由来β−グルカン、菌類由来β−グルカン、大麦由来β−グルカン、農産物由来β−グルカン、農産物由来グルコマンナン、農産物由来ガラクトマンナン、カカオ豆由来リグニン、イネ科などの植物由来リグニン、アルギン酸及びその塩、アガロース、キトサン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸等が好ましく、特に、イヌリン、グアーガム分解物、サイリウムシードガム、難消化性デキストリン、イソマルトデキストリン、セルロース、β−グルカン、グルコマンナン又はアガロースが好ましい。
本発明の組成物における難消化性炭水化物原料の各成分の組成比は、各成分が4〜67質量%であることが好ましい。各成分の組成比が4質量%未満となると、少ない成分の効果が現れにくくなり、67質量%を超えると、一部の菌のみの増殖が促進されることで、腸内菌叢全体としての多様性の維持に支障をきたす可能性を生じるとともに、その他の成分の組成比が相対的に減少し、上記同様少ない成分の効果が現れにくくなることがある。
本発明の組成物を医薬組成物として用いる場合は、その他の医薬成分を含むものであってもよい。その他の医薬成分としては、腸管障害の予防、治療又は抑制作用を有するものでも、それ以外の薬効を有する成分であってもよく、種類は限定されない。
また、本発明の組成物を栄養組成物、食品組成物又は飼料組成物とする場合は、その他の栄養成分を含有することができる。その他の栄養成分としては、タンパク質、脂肪、炭水化物、ビタミン、ミネラル等を挙げることができる。それらの種類は、栄養組成物、食品組成物又は飼料組成物に通常含まれるものであればいずれのものであってもよい。
なお、本発明の組成物は、賦形剤、乳化剤、安定化剤、pH調整剤、香料等の成分を含有してもよい。これらの種類は、特に限定されず、栄養組成物、食品組成物、医薬組成物、飼料組成物においてそれぞれ通常使用されるものを適宜使用することができる。
本発明の組成物の形態は、特に限定されず、通常の栄養組成物、食品組成物、医薬組成物及び飼料組成物の形態であれば、それぞれいずれの形態としてもよい。たとえば、粉末剤、液剤、固形剤、ゼリー剤等とすることができる。
本発明の組成物は、栄養組成物、食品組成物、医薬組成物、飼料組成物のそれぞれ慣用の製造方法により製造することができる。飼料組成物とする場合の投与対象は、特に限定されず、ペット動物、家畜、家禽、養魚等が例として挙げられる。
本発明の組成物は、栄養組成物、食品組成物、医薬組成物、飼料組成物のそれぞれ慣用の製造方法により製造することができる。飼料組成物とする場合の投与対象は、特に限定されず、ペット動物、家畜、家禽、養魚等が例として挙げられる。
本発明の組成物の投与経路は、特に限定されず、経口投与でも、経鼻、胃ろう又は腸ろうチューブ等を用いた経管投与でもよい。投与回数は、1日1回〜数回に分けて、適宜与えることができる。
本発明の組成物の摂取量又は投与量は、一日当たりの食事量(乾燥質量)の30質量%(乾燥質量)以下であることが好ましく、10質量%(乾燥質量)以下であることがさらに好ましく、6.8質量%(乾燥質量)以下であることが特に好ましい。また、摂取量又は投与量は、体調、病態、体重、年齢等に応じて適宜決定することができる。一日当たりの食事量の30質量%(乾燥質量)を超えて投与しても、菌叢多様性の向上にさらなる効果は期待できない。また過剰量の投与は満腹感を過度に助長することから、たんぱく質や脂質等他の栄養素の適切量の摂取の妨げとなることがある。
なお、本発明の組成物に含まれる各成分の量は、一日摂取許容量(ADI)以下であることが好ましい。
なお、本発明の組成物に含まれる各成分の量は、一日摂取許容量(ADI)以下であることが好ましい。
以下、実施例及び試験例により、本発明をさらに詳しく説明する。実施例及び試験例における「%」は、特に断らない限り、「質量%」を意味する。
(実施例1)
げっ歯類用標準精製飼料AIN-93G組成(Reeves PG et al. J Nutr. 1993, 123:1939-1951. AIN-93 purified diets for laboratory rodents: Final report of the American Institute of Nutrition ad hoc writing committee on the reformulation of the AIN-76A rodent diet.)に準じ、下記表1に示す組成を有する「実施例1」、「比較例1」及び「比較例2」の組成物を調製した。
「実施例1」の組成物は、表1に示すように、25種の食物繊維成分及びオリゴ糖成分を合計で6.8質量%含有するものである。「比較例2」は、食物繊維成分として、腸内環境改善に従来用いられているイヌリンを、「実施例1」と同じく6.8質量%含有するものである。「比較例1」はAIN-93G組成に等しく、食物繊維成分としてセルロースを5質量%含有するものであり、コントロールとした。
なお、「実施例1」及び「比較例2」が含有する食物繊維成分及びオリゴ糖成分のうち、AIN-93G組成のセルロース相当分である5質量%を超えて配合した分は、コーンスターチの一部を置き換えて調製した。以下の実施例、試験例においても同じである。
(実施例1)
げっ歯類用標準精製飼料AIN-93G組成(Reeves PG et al. J Nutr. 1993, 123:1939-1951. AIN-93 purified diets for laboratory rodents: Final report of the American Institute of Nutrition ad hoc writing committee on the reformulation of the AIN-76A rodent diet.)に準じ、下記表1に示す組成を有する「実施例1」、「比較例1」及び「比較例2」の組成物を調製した。
「実施例1」の組成物は、表1に示すように、25種の食物繊維成分及びオリゴ糖成分を合計で6.8質量%含有するものである。「比較例2」は、食物繊維成分として、腸内環境改善に従来用いられているイヌリンを、「実施例1」と同じく6.8質量%含有するものである。「比較例1」はAIN-93G組成に等しく、食物繊維成分としてセルロースを5質量%含有するものであり、コントロールとした。
なお、「実施例1」及び「比較例2」が含有する食物繊維成分及びオリゴ糖成分のうち、AIN-93G組成のセルロース相当分である5質量%を超えて配合した分は、コーンスターチの一部を置き換えて調製した。以下の実施例、試験例においても同じである。
(試験例1)
・マウスにおける腸内菌叢の多様性の向上(菌叢の多様性指標)
雄性のC57BL/6Jマウスを6週齢から1週間馴化させ、「実施例1」、「比較例1」及び「比較例2」の各組成物を飼料として4週間摂取させた。なお、各群を構成する動物の数は4匹又は5匹とした(下記の試験例においても、特に断らない限り同じ)。各組成物の4週間摂取後にマウスの糞便を採取してDNAを抽出し、PCR法により腸内細菌の16S rRNA遺伝子のV3〜V4領域を増幅して、増幅産物のDNAの塩基配列を、次世代シーケンサーMiseq(Illumina株式会社製)を用いて解析した。類似した塩基配列をクラスター化してOTU(Operational Taxonomic Unit)を作成し、各OTUの配列をデータベースと照合して、最近縁である菌種をアサインメントし、検出された菌種数を求めた。
また、OTUの存在比率より対応する菌種の存在比率を求め、下記の数式に当てはめてシャノン−ウィーナー(Shannon−Wiener)の多様性指数を計算した(Dean-Ross et al. Appl Environ Microbiol. 1989, 55(8):2002-2009. Bacterial community structure and function along a heavy metal gradient.)。
・マウスにおける腸内菌叢の多様性の向上(菌叢の多様性指標)
雄性のC57BL/6Jマウスを6週齢から1週間馴化させ、「実施例1」、「比較例1」及び「比較例2」の各組成物を飼料として4週間摂取させた。なお、各群を構成する動物の数は4匹又は5匹とした(下記の試験例においても、特に断らない限り同じ)。各組成物の4週間摂取後にマウスの糞便を採取してDNAを抽出し、PCR法により腸内細菌の16S rRNA遺伝子のV3〜V4領域を増幅して、増幅産物のDNAの塩基配列を、次世代シーケンサーMiseq(Illumina株式会社製)を用いて解析した。類似した塩基配列をクラスター化してOTU(Operational Taxonomic Unit)を作成し、各OTUの配列をデータベースと照合して、最近縁である菌種をアサインメントし、検出された菌種数を求めた。
また、OTUの存在比率より対応する菌種の存在比率を求め、下記の数式に当てはめてシャノン−ウィーナー(Shannon−Wiener)の多様性指数を計算した(Dean-Ross et al. Appl Environ Microbiol. 1989, 55(8):2002-2009. Bacterial community structure and function along a heavy metal gradient.)。
検出された菌種数と、得られたShannon−Wienerの多様性指数の平均値を表2に示す。
表2に示される結果から明らかなように、「実施例1」の組成物を摂取させたマウスは、「比較例1」や「比較例2」の組成物を摂取させたマウスと比べて、菌種数も多様性指数も非常に高かった。
この結果から、「実施例1」の組成物は、食物繊維及びオリゴ糖を25種含有することによって、マウスの腸内菌叢の多様性を著しく向上させることがわかった。
この結果から、「実施例1」の組成物は、食物繊維及びオリゴ糖を25種含有することによって、マウスの腸内菌叢の多様性を著しく向上させることがわかった。
(試験例2)
本試験例では、抗菌薬投与によって腸内菌叢をかく乱したマウスに対して「比較例1」、「比較例2」及び「実施例1」の各組成物を摂取させ、その後実験的大腸炎を惹起して、各組成物摂取の影響を調べた。
雄性のC57BL/6Jマウス5週齢を4群(5匹ずつ)用い、最初に、マウス群2〜4に抗菌薬(アンピシリン、ネオマイシン、メトロニダゾール、バンコマイシン)を3回/週の割合で3週間投与し、腸内細菌の多くを死滅させた。なお、マウス群1には水のみを与えた。その後、マウス群1及びマウス群2には「比較例1」の組成物を、マウス群3には「比較例2」の組成物を、マウス群4には「実施例1」の組成物を飼料として摂取させた。
その後、全マウス群のマウスに2.0%デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)を1週間投与して、大腸炎を惹起した。
本試験例では、抗菌薬投与によって腸内菌叢をかく乱したマウスに対して「比較例1」、「比較例2」及び「実施例1」の各組成物を摂取させ、その後実験的大腸炎を惹起して、各組成物摂取の影響を調べた。
雄性のC57BL/6Jマウス5週齢を4群(5匹ずつ)用い、最初に、マウス群2〜4に抗菌薬(アンピシリン、ネオマイシン、メトロニダゾール、バンコマイシン)を3回/週の割合で3週間投与し、腸内細菌の多くを死滅させた。なお、マウス群1には水のみを与えた。その後、マウス群1及びマウス群2には「比較例1」の組成物を、マウス群3には「比較例2」の組成物を、マウス群4には「実施例1」の組成物を飼料として摂取させた。
その後、全マウス群のマウスに2.0%デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)を1週間投与して、大腸炎を惹起した。
DSS投与期間を通して、マウス群1〜4の体重を1日1回測定し、大腸炎に罹患したことによる体重の減少を調べた。結果を図1に示す。
図1に示されるように、マウスの体重減少は、「実施例1」の組成物を摂取させたマウス群4が最も少なかった。
このことから、「実施例1」の組成物は、大腸炎に伴う体重減少を抑制することがわかった。
図1に示されるように、マウスの体重減少は、「実施例1」の組成物を摂取させたマウス群4が最も少なかった。
このことから、「実施例1」の組成物は、大腸炎に伴う体重減少を抑制することがわかった。
(試験例3)
本試験例では、試験例2と同様の方法で大腸炎を惹起したマウス群1〜4を用いた。
DSS投与1週間後に、体重減少の程度、便の性状及び血便の出現頻度の3指標をそれぞれスコア化して足し合わせ、大腸炎の疾患活動性指数DAI(Disease Activity Index)を算出した。結果を図2に示す。
図2に示されるように、マウスの大腸炎の重症度は、「実施例1」の組成物を摂取させたマウス群4が最も小さかった。
このことから、「実施例1」の組成物は、大腸炎の病態増悪を抑制することがわかった。
本試験例では、試験例2と同様の方法で大腸炎を惹起したマウス群1〜4を用いた。
DSS投与1週間後に、体重減少の程度、便の性状及び血便の出現頻度の3指標をそれぞれスコア化して足し合わせ、大腸炎の疾患活動性指数DAI(Disease Activity Index)を算出した。結果を図2に示す。
図2に示されるように、マウスの大腸炎の重症度は、「実施例1」の組成物を摂取させたマウス群4が最も小さかった。
このことから、「実施例1」の組成物は、大腸炎の病態増悪を抑制することがわかった。
(試験例4)
本試験例では、試験例2と同様の方法で大腸炎を惹起したマウス群1〜4の大腸の長さを調べた。
DSSを1週間投与後、マウスの大腸を摘出して長さを測定した。大腸が長いほど腸炎の病態増悪の程度が小さいことを意味する。結果を図3に示す。
図3に示されるように、マウスの大腸の長さは、「実施例1」の組成物を摂取させたマウス群4が最も長かった。
このことから、「実施例1」の組成物は、大腸炎の病態増悪を顕著に抑制することがわかった。
以上の試験例2〜4の結果を総合すると、食物繊維及びオリゴ糖を25種含有し、腸内菌叢の多様性の向上効果を有する「実施例1」の組成物は、食物繊維1種のみを含有する「比較例2」の組成物と比較して、腸炎の抑制効果が高いことが理解される。
本試験例では、試験例2と同様の方法で大腸炎を惹起したマウス群1〜4の大腸の長さを調べた。
DSSを1週間投与後、マウスの大腸を摘出して長さを測定した。大腸が長いほど腸炎の病態増悪の程度が小さいことを意味する。結果を図3に示す。
図3に示されるように、マウスの大腸の長さは、「実施例1」の組成物を摂取させたマウス群4が最も長かった。
このことから、「実施例1」の組成物は、大腸炎の病態増悪を顕著に抑制することがわかった。
以上の試験例2〜4の結果を総合すると、食物繊維及びオリゴ糖を25種含有し、腸内菌叢の多様性の向上効果を有する「実施例1」の組成物は、食物繊維1種のみを含有する「比較例2」の組成物と比較して、腸炎の抑制効果が高いことが理解される。
(実施例2〜実施例5)
「実施例1」の場合と同様の方法で、下記表3に示す組成を有する「実施例2」、「実施例3」、「実施例4」及び「実施例5」の組成物を調製した。
表3に示すように、「実施例2」の組成物は、8種の食物繊維成分を合計で6.8質量%含有するものである。「実施例3」及び「実施例4」は、食物繊維成分及びオリゴ糖成分を9種、「実施例5」は10種を、合計で6.8質量%含有するものである。
「実施例1」の場合と同様の方法で、下記表3に示す組成を有する「実施例2」、「実施例3」、「実施例4」及び「実施例5」の組成物を調製した。
表3に示すように、「実施例2」の組成物は、8種の食物繊維成分を合計で6.8質量%含有するものである。「実施例3」及び「実施例4」は、食物繊維成分及びオリゴ糖成分を9種、「実施例5」は10種を、合計で6.8質量%含有するものである。
(試験例5)
・抗菌薬投与後の腸内菌叢の回復(菌叢の多様性指標)
本試験例では、「実施例1」〜「実施例5」及び「比較例2」の各組成物を用い、抗菌薬投与マウスの盲腸における菌叢多様性の回復への影響を調べた。
本試験例では、雄性のC57BL/6Jマウスを6週齢から1週間馴化させた後、抗菌薬(アンピシリン、ネオマイシン、メトロニダゾール、バンコマイシン)を4日間経口投与し、腸内細菌の多くを死滅させ、その後「実施例1」〜「実施例5」及び「比較例2」の各組成物を飼料として与えた。
3週間摂取させた後に、盲腸内容物を採取した。以降のDNA抽出からシャノン−ウィーナー(Shannon−Wiener)の多様性指数の計算までの操作は、試験例1に記載の方法と同様に行った。
検出された菌種数と、得られたShannon−Wienerの多様性指数の平均値を表4に示す。
・抗菌薬投与後の腸内菌叢の回復(菌叢の多様性指標)
本試験例では、「実施例1」〜「実施例5」及び「比較例2」の各組成物を用い、抗菌薬投与マウスの盲腸における菌叢多様性の回復への影響を調べた。
本試験例では、雄性のC57BL/6Jマウスを6週齢から1週間馴化させた後、抗菌薬(アンピシリン、ネオマイシン、メトロニダゾール、バンコマイシン)を4日間経口投与し、腸内細菌の多くを死滅させ、その後「実施例1」〜「実施例5」及び「比較例2」の各組成物を飼料として与えた。
3週間摂取させた後に、盲腸内容物を採取した。以降のDNA抽出からシャノン−ウィーナー(Shannon−Wiener)の多様性指数の計算までの操作は、試験例1に記載の方法と同様に行った。
検出された菌種数と、得られたShannon−Wienerの多様性指数の平均値を表4に示す。
表4に示される結果から明らかなように、25種の食物繊維及びオリゴ糖を含有する「実施例1」の組成物を摂取させたマウスは、1種の食物繊維しか含まない「比較例2」の組成物を摂取させたマウスと比べて、菌種数も多様性指数も非常に高く回復していた。さらに、8種の食物繊維を含有する「実施例2」及び9〜10種の食物繊維及びオリゴ糖を含有する「実施例3」〜「実施例5」を摂取させたマウスにおいても、これと同等もしくはこれを上回る高い効果が見られた。
この結果から、8〜25種の食物繊維及びオリゴ糖を含有する「実施例1」〜「実施例5」の組成物は、抗菌薬投与によって減少したマウスの腸内菌叢の菌種数並びに多様性を、著しく回復させることがわかった。
この結果から、8〜25種の食物繊維及びオリゴ糖を含有する「実施例1」〜「実施例5」の組成物は、抗菌薬投与によって減少したマウスの腸内菌叢の菌種数並びに多様性を、著しく回復させることがわかった。
(試験例6)
・抗菌薬投与後の腸管内短鎖脂肪酸産生の回復(酢酸量)
本試験例では、「実施例1」〜「実施例5」及び「比較例2」の各組成物を用い、抗菌薬投与マウスの盲腸における短鎖脂肪酸産生の回復への影響を確認した。すなわち、腸管内の酢酸等の短鎖脂肪酸は、腸内菌叢の代謝によって産生されるため、抗菌薬投与に伴い、腸管内短鎖脂肪酸量は一般に減少する。本試験例では、各組成物を用いて腸管内短鎖脂肪酸の産生能の回復について調べた。
本試験例では、上記試験例5と同様の方法で盲腸内容物を採取した後、短鎖脂肪酸成分を精製水で希釈抽出後、過塩素酸を加えて除タンパク質処理した。フィルター処理した抽出液をイオン排除高速液体クロマトグラフィーに供し、酢酸濃度を測定して、盲腸内容物重量を乗じて盲腸あたりの量を算出した。結果を図4に示す。
図4に示される結果から明らかなように、8〜25種の食物繊維及びオリゴ糖を含有する「実施例1」〜「実施例5」の組成物は、含有量は同じでも1種の食物繊維しか含まない「比較例2」の組成物と比較して、マウス盲腸内の酢酸量を著しく回復させた。
このことから、食物繊維を1種含有する場合より、食物繊維及びオリゴ糖を8〜25種含有する場合のほうが、抗菌薬投与によって破綻した腸内菌叢の短鎖脂肪酸産生能を、より顕著に回復させることがわかった。
・抗菌薬投与後の腸管内短鎖脂肪酸産生の回復(酢酸量)
本試験例では、「実施例1」〜「実施例5」及び「比較例2」の各組成物を用い、抗菌薬投与マウスの盲腸における短鎖脂肪酸産生の回復への影響を確認した。すなわち、腸管内の酢酸等の短鎖脂肪酸は、腸内菌叢の代謝によって産生されるため、抗菌薬投与に伴い、腸管内短鎖脂肪酸量は一般に減少する。本試験例では、各組成物を用いて腸管内短鎖脂肪酸の産生能の回復について調べた。
本試験例では、上記試験例5と同様の方法で盲腸内容物を採取した後、短鎖脂肪酸成分を精製水で希釈抽出後、過塩素酸を加えて除タンパク質処理した。フィルター処理した抽出液をイオン排除高速液体クロマトグラフィーに供し、酢酸濃度を測定して、盲腸内容物重量を乗じて盲腸あたりの量を算出した。結果を図4に示す。
図4に示される結果から明らかなように、8〜25種の食物繊維及びオリゴ糖を含有する「実施例1」〜「実施例5」の組成物は、含有量は同じでも1種の食物繊維しか含まない「比較例2」の組成物と比較して、マウス盲腸内の酢酸量を著しく回復させた。
このことから、食物繊維を1種含有する場合より、食物繊維及びオリゴ糖を8〜25種含有する場合のほうが、抗菌薬投与によって破綻した腸内菌叢の短鎖脂肪酸産生能を、より顕著に回復させることがわかった。
(試験例7)
・抗菌薬投与後の腸管内短鎖脂肪酸産生の回復(酪酸・プロピオン酸量)
本試験例では、試験例6と同様の条件で、「実施例2」及び「比較例2」の組成物を摂取させたマウスの盲腸内における酪酸及びプロピオン酸の産生量を比較した。抗菌薬投与から各短鎖脂肪酸量の算出までの方法は、試験例6と同様である。結果を図5に示す。
図5に示される結果から明らかなように、1種の食物繊維のみしか含まない「比較例2」の組成物を摂取したマウス盲腸内では酪酸及びプロピオン酸がほとんど検出されなかったにもかかわらず、8種の食物繊維を含有する「実施例2」の組成物を摂取したマウス盲腸内では、酪酸及びプロピオン酸量が著しく増加していた。
このことから、食物繊維を1種含有する場合より8種含有する場合のほうが、抗菌薬投与によって破綻した腸内菌叢の短鎖脂肪酸産生能を、より顕著に回復させることがわかった。
・抗菌薬投与後の腸管内短鎖脂肪酸産生の回復(酪酸・プロピオン酸量)
本試験例では、試験例6と同様の条件で、「実施例2」及び「比較例2」の組成物を摂取させたマウスの盲腸内における酪酸及びプロピオン酸の産生量を比較した。抗菌薬投与から各短鎖脂肪酸量の算出までの方法は、試験例6と同様である。結果を図5に示す。
図5に示される結果から明らかなように、1種の食物繊維のみしか含まない「比較例2」の組成物を摂取したマウス盲腸内では酪酸及びプロピオン酸がほとんど検出されなかったにもかかわらず、8種の食物繊維を含有する「実施例2」の組成物を摂取したマウス盲腸内では、酪酸及びプロピオン酸量が著しく増加していた。
このことから、食物繊維を1種含有する場合より8種含有する場合のほうが、抗菌薬投与によって破綻した腸内菌叢の短鎖脂肪酸産生能を、より顕著に回復させることがわかった。
(実施例6〜10)
「実施例1」及び「実施例2〜実施例5」と同様の方法で、下記表5に示す組成を有する「比較例2」、「実施例2」及び「実施例6」〜「実施例10」の各組成物を調製した。
表5に示すように、「実施例2」の組成物は8種の、「実施例6」、「実施例7」及び「実施例8」の組成物は3種の、「実施例9」及び「実施例10」は4種の食物繊維成分を、それぞれ合計で6.8質量%含有するものである。
「実施例1」及び「実施例2〜実施例5」と同様の方法で、下記表5に示す組成を有する「比較例2」、「実施例2」及び「実施例6」〜「実施例10」の各組成物を調製した。
表5に示すように、「実施例2」の組成物は8種の、「実施例6」、「実施例7」及び「実施例8」の組成物は3種の、「実施例9」及び「実施例10」は4種の食物繊維成分を、それぞれ合計で6.8質量%含有するものである。
(試験例8)
・抗菌薬投与後の腸内菌叢の回復(菌叢の多様性指標)
本試験例では、「実施例2」、「実施例6」〜「実施例10」及び「比較例2」の各組成物を用い、抗菌薬投与マウスの盲腸における菌叢多様性の回復への影響を調べた。操作はすべて試験例5と同様の方法にて行った。
検出された菌種数と、得られたShannon−Wienerの多様性指数の平均値を表6に示す。
・抗菌薬投与後の腸内菌叢の回復(菌叢の多様性指標)
本試験例では、「実施例2」、「実施例6」〜「実施例10」及び「比較例2」の各組成物を用い、抗菌薬投与マウスの盲腸における菌叢多様性の回復への影響を調べた。操作はすべて試験例5と同様の方法にて行った。
検出された菌種数と、得られたShannon−Wienerの多様性指数の平均値を表6に示す。
表6に示される結果から明らかなように、3種の食物繊維を含有する「実施例6」〜「実施例8」、及び4種を含有する「実施例9」「実施例10」の各組成物を摂取させたマウスはいずれも、1種の食物繊維しか含まない「比較例2」の組成物を摂取させたマウスと比べて、菌種数も多様性指数も非常に高く回復していた。特に「実施例7」及び「実施例9」の組成物には、8種の食物繊維を含有する「実施例2」と同等の高い効果が見られた。
この結果から、食物繊維を1種のみ含有する場合より、食物繊維及び/又はオリゴ糖を3種〜25種含有する方が、抗菌薬投与によって減少したマウスの腸内菌叢の多様性を著しく回復させることがわかった。
この結果から、食物繊維を1種のみ含有する場合より、食物繊維及び/又はオリゴ糖を3種〜25種含有する方が、抗菌薬投与によって減少したマウスの腸内菌叢の多様性を著しく回復させることがわかった。
(実施例11〜15)
下記表7に示す組成を有する「実施例11」、「実施例12」、「実施例13」、「実施例14」及び「実施例15」の各組成物を調製した。「実施例11」〜「実施例15」の組成物は、食物繊維成分として、セルロース、イヌリン、グアーガム分解物、サイリウムシードガム、難消化性デキストリン、グルコマンナン及びアガロースの7種と、オリゴ糖成分として、ガラクトオリゴ糖1種との合計8種を含有するものである。各組成物中における食物繊維及びオリゴ糖の配合量は、「実施例11」が1%、「実施例12」が5%、「実施例13」が10%、「実施例14」が20%及び「実施例15」が30%とした。
下記表7に示す組成を有する「実施例11」、「実施例12」、「実施例13」、「実施例14」及び「実施例15」の各組成物を調製した。「実施例11」〜「実施例15」の組成物は、食物繊維成分として、セルロース、イヌリン、グアーガム分解物、サイリウムシードガム、難消化性デキストリン、グルコマンナン及びアガロースの7種と、オリゴ糖成分として、ガラクトオリゴ糖1種との合計8種を含有するものである。各組成物中における食物繊維及びオリゴ糖の配合量は、「実施例11」が1%、「実施例12」が5%、「実施例13」が10%、「実施例14」が20%及び「実施例15」が30%とした。
(試験例9)
・腸内菌叢の多様性の向上(菌叢の多様性指標)
本試験例では、食物繊維及びオリゴ糖の適切な配合割合を検討するために、「実施例11」〜「実施例15」の各組成物(配合量が1〜30質量%)を用いて、8種混合の組成物摂取によるラット腸内菌叢多様性の向上効果の有効用量確認を行った。
雄性のSprague−Dawley系ラットを6週齢から1週間馴化させ、各組成物を2週間摂取させた後、盲腸内容物を検体として、試験例1と同様の方法を用いて腸内菌叢の多様性を評価した。得られたShannon−Wienerの多様性指数の平均値を表8に示す。
・腸内菌叢の多様性の向上(菌叢の多様性指標)
本試験例では、食物繊維及びオリゴ糖の適切な配合割合を検討するために、「実施例11」〜「実施例15」の各組成物(配合量が1〜30質量%)を用いて、8種混合の組成物摂取によるラット腸内菌叢多様性の向上効果の有効用量確認を行った。
雄性のSprague−Dawley系ラットを6週齢から1週間馴化させ、各組成物を2週間摂取させた後、盲腸内容物を検体として、試験例1と同様の方法を用いて腸内菌叢の多様性を評価した。得られたShannon−Wienerの多様性指数の平均値を表8に示す。
表8に示される結果から明らかなように、「実施例11」(1%配合)、「実施例12」(5%配合)、「実施例13」(10%配合)、「実施例14」(20%配合)及び「実施例15」(30%配合)の各組成物は、いずれもラットの腸内菌叢の多様性を向上させることができた。
これらの中でも「実施例11」(1%配合)、「実施例12」(5%配合)及び「実施例13」(10%配合)の各組成物は、ラット腸内菌叢の多様性向上に対し特に有効であった。
このことから、本発明の組成物は、食事量(乾燥重量)に対し1〜30質量%の配合量で効果を奏し、特に、1〜10質量%で有効であることがわかった。
これらの中でも「実施例11」(1%配合)、「実施例12」(5%配合)及び「実施例13」(10%配合)の各組成物は、ラット腸内菌叢の多様性向上に対し特に有効であった。
このことから、本発明の組成物は、食事量(乾燥重量)に対し1〜30質量%の配合量で効果を奏し、特に、1〜10質量%で有効であることがわかった。
(実施例16)
・栄養組成物
組成物100mL当たりの量としてサイリウムシードガム粉末0.340g、コンニャクグルコマンナン粉末0.310g、セルロース粉末0.410g、大麦β−グルカン粉末0.440g、グアーガム分解物粉末0.440g、イヌリン粉末0.410g、難消化性デキストリン0.450g、イソマルトデキストリン粉末0.450g、乳カゼイン3.400g、分離大豆たん白質1.666g、トリカプリリン0.750g、ダイズ油0.699g、シソ油0.180g、パーム油0.334g、マルトデキストリン14.858g、精製白糖1.300g、各種ビタミン適量、各種ミネラル適量及び各種添加物適量を製造用水に溶解し、均一となるようよく撹拌混合してアルミラミネートフィルム製のパウチに充填し、レトルト加熱処理を施して、液状の栄養組成物を得た。また、難消化性デキストリンの代わりに寒天0.450gを用いて、半固体状の栄養組成物を得た。
得られた栄養組成物を摂取することで、100mL当たり食物繊維及びオリゴ糖として合計8種類を3.25g摂取することができ、同時にたんぱく質、脂質、炭水化物、各種ビタミン及び各種ミネラルを補給することができる。
・栄養組成物
組成物100mL当たりの量としてサイリウムシードガム粉末0.340g、コンニャクグルコマンナン粉末0.310g、セルロース粉末0.410g、大麦β−グルカン粉末0.440g、グアーガム分解物粉末0.440g、イヌリン粉末0.410g、難消化性デキストリン0.450g、イソマルトデキストリン粉末0.450g、乳カゼイン3.400g、分離大豆たん白質1.666g、トリカプリリン0.750g、ダイズ油0.699g、シソ油0.180g、パーム油0.334g、マルトデキストリン14.858g、精製白糖1.300g、各種ビタミン適量、各種ミネラル適量及び各種添加物適量を製造用水に溶解し、均一となるようよく撹拌混合してアルミラミネートフィルム製のパウチに充填し、レトルト加熱処理を施して、液状の栄養組成物を得た。また、難消化性デキストリンの代わりに寒天0.450gを用いて、半固体状の栄養組成物を得た。
得られた栄養組成物を摂取することで、100mL当たり食物繊維及びオリゴ糖として合計8種類を3.25g摂取することができ、同時にたんぱく質、脂質、炭水化物、各種ビタミン及び各種ミネラルを補給することができる。
(実施例17)
・食品組成物
製造用水93重量%を加温し、寒天粉末0.37重量%、サイリウムシードガム粉末0.34重量%、コンニャクグルコマンナン粉末0.31重量%、セルロース粉末0.41重量%、大麦β−グルカン粉末0.44重量%、グアーガム分解物粉末0.44重量%、イヌリン粉末0.41重量%及びイソマルトデキストリン粉末0.45重量%を精製白糖2.0%に倍散して投入・溶解し、pH調整のためクエン酸0.50重量%及びクエン酸ナトリウム0.37重量%を添加し撹拌・混合した。適宜調合水を加えて総量を100重量%とした後、スパウト付きアルミパウチに充填し、熱水中で加熱処理後に氷冷して凝固させ、ゼリー状の食品組成物を得た。この食品組成物は、食物繊維及びオリゴ糖として合計8種類を3.17重量%含有し、かつゼリー状食品として良好な風味を呈する。
・食品組成物
製造用水93重量%を加温し、寒天粉末0.37重量%、サイリウムシードガム粉末0.34重量%、コンニャクグルコマンナン粉末0.31重量%、セルロース粉末0.41重量%、大麦β−グルカン粉末0.44重量%、グアーガム分解物粉末0.44重量%、イヌリン粉末0.41重量%及びイソマルトデキストリン粉末0.45重量%を精製白糖2.0%に倍散して投入・溶解し、pH調整のためクエン酸0.50重量%及びクエン酸ナトリウム0.37重量%を添加し撹拌・混合した。適宜調合水を加えて総量を100重量%とした後、スパウト付きアルミパウチに充填し、熱水中で加熱処理後に氷冷して凝固させ、ゼリー状の食品組成物を得た。この食品組成物は、食物繊維及びオリゴ糖として合計8種類を3.17重量%含有し、かつゼリー状食品として良好な風味を呈する。
(実施例18)
・医薬組成物
寒天粉末7.4重量%、サイリウムシードガム粉末7.0重量%、コンニャクグルコマンナン粉末7.6重量%、セルロース粉末7.9重量%、大麦β−グルカン粉末8.0重量%、グアーガム分解物粉末7.9重量%、イヌリン粉末8.0重量%及びイソマルトデキストリン粉末7.9重量%に倍散剤としてマルトデキストリン38.3重量%を加え、粉末混合機にて均一となるよう十分に混合し、アルミラミネートフィルムにて8gずつ三方シール充填して、粉末状の食品組成物を得た。この食品組成物は、食物繊維及びオリゴ糖として合計8種類を61.7重量%含有しており、医薬組成物として用いることができる。さらに、他の基剤成分を用いることなどにより、種々の剤型の医薬組成物を得ることができる。これらは食品組成物や栄養組成物として用いることもできる。
・医薬組成物
寒天粉末7.4重量%、サイリウムシードガム粉末7.0重量%、コンニャクグルコマンナン粉末7.6重量%、セルロース粉末7.9重量%、大麦β−グルカン粉末8.0重量%、グアーガム分解物粉末7.9重量%、イヌリン粉末8.0重量%及びイソマルトデキストリン粉末7.9重量%に倍散剤としてマルトデキストリン38.3重量%を加え、粉末混合機にて均一となるよう十分に混合し、アルミラミネートフィルムにて8gずつ三方シール充填して、粉末状の食品組成物を得た。この食品組成物は、食物繊維及びオリゴ糖として合計8種類を61.7重量%含有しており、医薬組成物として用いることができる。さらに、他の基剤成分を用いることなどにより、種々の剤型の医薬組成物を得ることができる。これらは食品組成物や栄養組成物として用いることもできる。
Claims (11)
- オリゴ糖(但し、キチンオリゴ糖は除く)及び/又は食物繊維から選ばれる3種以上の難消化性炭水化物原料を含有することを特徴とする腸管障害の予防、治療又は抑制用組成物。
- 難消化性炭水化物原料が8種以上であることを特徴とする請求項1に記載の腸管障害の予防、治療又は抑制用組成物。
- オリゴ糖が、ラフィノース、スタキオース、ガラクトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラクチュロース、キシロオリゴ糖、アガロオリゴ糖、マンノオリゴ糖又はフラクトオリゴ糖であることを特徴とする請求項1又は2に記載の組成物。
- オリゴ糖が、ラフィノース、ガラクトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラクチュロース、キシロオリゴ糖又はフラクトオリゴ糖であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
- 食物繊維が、イヌリン、ペクチン、ペクチン加工物、グアーガム、グアーガム分解物、サイリウムシードガム、カラヤガム、トラガントガム、アラビアガム、難消化性スターチ、難消化性デキストリン、イソマルトデキストリン、ポリデキストロース、セルロース、ヘミセルロース、大豆多糖類、β−グルカン、グルコマンナン、ガラクトマンナン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、レバン、リグニン、アルギン酸及びその塩、アガロース又はキトサンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
- 食物繊維が、イヌリン、グアーガム分解物、サイリウムシードガム、難消化性デキストリン、イソマルトデキストリン、セルロース、β−グルカン、グルコマンナン又はアガロースであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
- 難消化性炭水化物原料の各成分の組成比が、それぞれ4〜67質量%であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
- 一日当たりの摂取量が、一日当たりの食事量の30質量%(乾燥質量)以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
- 腸管障害が、感染性腸管障害、薬剤性腸管障害又は炎症性腸管障害であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の組成物。
- 腸内菌叢多様性の向上を伴うことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の組成物。
- 栄養組成物、食品組成物、医薬組成物又は飼料組成物であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の組成物。
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN112425692A (zh) * | 2020-12-28 | 2021-03-02 | 苏州科宁多元醇有限公司 | 左聚糖作为饲料添加剂的应用 |
CN113142563A (zh) * | 2021-04-19 | 2021-07-23 | 美庐生物科技股份有限公司 | 一种含可溶性膳食纤维的预消化型全营养配方食品 |
CN115025116A (zh) * | 2022-07-13 | 2022-09-09 | 纽湃腾(北京)医药科技有限公司 | 一种显著改善胃食管反流伴肠易激综合征的组合物及其应用 |
WO2022259909A1 (ja) * | 2021-06-09 | 2022-12-15 | 伊藤忠製糖株式会社 | 吸湿を抑制したオリゴ糖粉末 |
CN116869169A (zh) * | 2023-09-07 | 2023-10-13 | 四川合泰新光生物科技有限公司 | 一种具有通便功能的组合物及其制备方法和用途 |
-
2020
- 2020-04-21 JP JP2020075763A patent/JP2020178685A/ja active Pending
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