JP2020176039A - ジクロロシランの精製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】有機物や金属塩化物の添加を不要とした、新たなジクロロシランの蒸留精製方法を提供する。【解決手段】精製蒸留対象であるシラン系ガス5を蒸留塔1に供給するとともに、不活性ガスを別途加える。シラン系ガスに含まれている低沸点不純物は、供給された不活性ガスに同伴され、精製分離されやすくなる。ジクロロシランの精製方法は、ジクロロシランを含むシラン系ガスからジクロロシランを精製する方法であって、シラン系ガスからジクロロシランよりも蒸気圧の高い不純物を除去する蒸留精製工程を備え、該蒸留精製工程において、不活性ガスを供給Aして、シラン系ガスと前記不活性ガスとを接触させる。【選択図】図1

Description

本発明はジクロロシランの精製方法に関する。
ジクロロシランはシリコン半導体関連の加工用ガス材料等として使用されており、pptレベルでの含有金属不純物濃度管理など、その品質には厳しい要求がなされる。このため、ジクロロシランの精製方法については、これまで種々の方法が提案されてきた。
ジクロロシラン中に含有されるリン化合物やホウ素化合物等の微量不純物を除去する方法として、例えば、クロロシラン類留出物に有機物を添加するという方法がある。この方法では、上記有機物の添加によりリン化合物やホウ素化合物の付加物を生成させる。これら付加物の沸点は、ジクロロシランの沸点との差が大きいために揮発度が高まり、蒸留精製の高効率化が図られて高純度ジクロロシランを得ることが容易化される。
例えば、特開2005−67979号公報(特許文献1)には、クロロシラン類留出物にエーテル類を添加して蒸留精製する方法が開示されている。また、米国特許第3,126,248号明細書(特許文献2)には、ジオキサン、ベンズアルデヒド、メチルエチルケトン、ジメチルグリオキシム、バレロラクトンからなる有機化合物を添加して蒸留精製する方法が開示されている。さらに、特開2009−62213号公報(特許文献3)には、クロロシラン類をベンズアルデヒドの存在下で酸素と反応させて不純物を高沸点化合物に転化させ、当該転化処理後のクロロシラン類を蒸留等して不純物の高沸点化合物とクロロシラン類とを分離する方法が開示されている。
ジクロロシランの蒸留精製方法として、クロロシラン類留出物への添加物を、有機物に代え、金属塩化物を用いる方法も提案されている。この場合にも、上記金属塩化物の添加によりリン化合物やホウ素化合物の付加物が生成され、揮発度が高まり、蒸留精製の高効率化が図られて高純度ジクロロシランを得ることが容易化される。
例えば、米国特許第2,821,460号明細書(特許文献4)には、クロロシラン類に塩化アルミニウムを添加してAlCl3・PCl5錯体(アダクト)を形成した後に蒸留精製する方法が開示されている。また、特開平4−300206号公報(特許文献5)には、TiCl4等の無機塩水溶液を高濃度に添加し、不純物を加水分解して高沸点化合物とした後に蒸留精製する方法が開示されている。
特開2005−67979号公報 米国特許第3,126,248号明細書 特開2009−62213号公報 米国特許第2,821,460号明細書 特開平4−300206号公報
しかし、このような添加物を必要とする蒸留精製方法の場合、本来の除去対象であるリン化合物やホウ素化合物等の不純物は勿論のこと、付加物に転化されずに残存する添加物の除去も必要になるという問題がある。従って、ジクロロシランの蒸留精製をより単純化するためには、有機物や金属塩化物の添加に依らない方法とすることが好ましい。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、有機物や金属塩化物の添加を不要とした、ジクロロシランの蒸留精製方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係るジクロロシランの精製方法は、ジクロロシランを含むシラン系ガスからジクロロシランを精製する方法であって、前記シラン系ガスからジクロロシランよりも蒸気圧の高い不純物を除去する蒸留精製工程を備え、該蒸留精製工程において、不活性ガスを供給して、前記シラン系ガスと前記不活性ガスとを接触させることを特徴とする。
前記不純物は、例えば、塩化水素、モノシラン、モノクロロシラン、ジシラン、ホウ素化合物である。
また、前記不活性ガスは、例えば、ヘリウム、アルゴン、窒素、水素の何れかのガス若しくはこれらの何れかの混合ガスである。
好ましくは、前記不活性ガスの供給量は、精製対象である前記シラン系ガスに対する比率で0.2mol%以上であり、さらに好ましくは、精製対象である前記シラン系ガスに対する比率で0.5mol%以上である。
また、好ましくは、前記不活性ガスの供給量は、精製対象である前記シラン系ガスに対する比率で30mol%以下であり、さらに好ましくは、精製対象である前記シラン系ガスに対する比率で3mol%以下である。
本発明の一態様では、前記不活性ガスの供給を、前記蒸留精製工程を実施する蒸留塔のガス導入口からガス排出口に至る経路中の、前記シラン系ガス中に占めるジクロロシランの割合が90wt%を超える地点よりも上流側で実行する。
また、本発明の一態様では、前記蒸留精製工程を実施する蒸留塔の塔頂の温度を25℃以下とすることが好ましく、より好ましくは、前記蒸留塔の塔頂の温度を17℃以下とする。
また、本発明では、前記蒸留精製工程を実施する蒸留塔の塔頂の温度を8℃以上とすることが好ましく、より好ましくは、前記蒸留塔の塔頂の温度を10℃以上とする。
さらに、本発明では、前記蒸留精製工程を複数備えている態様としてもよい。
本発明によれば、有機物や金属塩化物の添加を不要とした、新たなジクロロシランの蒸留精製方法が提供される。
本発明に係るジクロロシランの精製方法を説明するためのブロック図である。 実施例1〜3での運転状態を説明するための図である。 実施例4での運転状態を説明するための図である。
本発明では、精製蒸留対象であるシラン系ガスを蒸留塔に供給するともに、不活性ガスを別途加える。シラン系ガスに含まれている低沸点不純物は、供給された不活性ガスに同伴され、精製分離されやすくなる。
本発明は、特に、比較的低級品のシラン系ガス(冶金グレードのシラン系ガスや市販のケミカルグレードのシラン系ガス)の蒸留精製の方法として好適であり、シーメンス法による多結晶シリコンの製造時に発生する未反応ガスを蒸留精製するための方法としても好適である。
図1は、本発明に係るジクロロシランの精製方法を説明するためのブロック図である。図中、符号1は蒸留塔、符号2は凝縮器、符号3は還流タンク、符号4は加熱器、符号5はシラン系ガスの流路、符号6は缶出戻し液の流路、符号7は還流液の流路、符号8はジクロロシラン液の流路、符号9は低沸点物ガスの流路、符号10は缶出液の流路である。この図中において、不活性ガスの供給口は、図中に符号A、B、C、Dで示したような部位に設けることができる。
ジクロロシランを含むシラン系ガスは流路5から蒸留塔1へと導かれる。このシラン系ガスは、塩化水素、モノシラン、モノクロロシラン、ジシラン、ホウ素化合物といったような、ジクロロシランよりも蒸気圧の高い不純物(低沸点不純物)を含有している。このとき、例えば供給口Aから、ヘリウム、アルゴン、窒素、水素の何れかのガス若しくはこれらの何れかの混合ガスといったような不活性ガスが蒸留塔1へと導入されている。その結果、ジクロロシランを含むシラン系ガスは、蒸留塔1内で、上記不活性ガスと接触する。
蒸留塔1の上部に着目すると、シラン系ガスに含まれている上記不純物は、蒸留塔1内に供給された不活性ガスに同伴されるかたちで塔頂部へと導かれ、ジクロロシランガスとともに、凝縮器2へと送られる。凝縮器2では、ジクロロシランガスが液化され、低沸点物ガスは流路9を介して系外排出される一方、ジクロロシラン液は還流タンク3へと送られる。還流タンク3では、液化したジクロロシランが流路8を介して系外へと取り出される一方、ガス成分は流路7を介して蒸留塔1に戻される。
なお、不活性ガスは、Aで示した部位から導入することの他、B,C,Dで示した部位から導入することとしてもよい。このようにしてジクロロシランを還流させることとすると、不活性ガスも塔頂部で循環することとなり、ジクロロシランと不純物を分離するに十分な濃度の不活性ガス濃度を維持することができる。
蒸留塔1の底部に着目すると、塔底の液は、その一部が流路6Aを介してポンプにより強制的に供給側の流路5に送液される一方、残りの液が流路6Bを介して加熱器4へと送液される。加熱器4で加熱された液は熱対流により蒸留塔1へと戻される。
上述のとおり、本発明に係るジクロロシランの精製方法は、ジクロロシランを含むシラン系ガスからジクロロシランを精製する方法であって、この方法は、シラン系ガスからジクロロシランよりも蒸気圧の高い不純物を除去する蒸留精製工程を備え、該蒸留精製工程において、不活性ガスを供給して、シラン系ガスと前記不活性ガスとを接触させる。
上記不純物は、例えば、塩化水素、モノシラン、モノクロロシラン、ジシラン、ホウ素化合物である。
また、上記不活性ガスは、例えば、ヘリウム、アルゴン、窒素、水素の何れかのガス若しくはこれらの何れかの混合ガスである。これらの不活性ガスは、酸素や水分等の含有量の低い高純度化されたものであることが望ましい。
不活性ガスの供給量は、精製対象である前記シラン系ガスに対する比率で0.2mol%以上であることが好ましく、より好ましくは、0.5mol%以上である。これは、不活性ガスの供給モル分率が大きいほど低沸物の除去効果が大きいためである。
また、前記不活性ガスの供給量は、精製対象である前記シラン系ガスに対する比率で30mol%以下であることが好ましく、より好ましくは、3mol%以下である。これは、不活性ガスの供給モル分率が大きすぎると回収効率が低下するためである。
本発明において蒸留精製工程で用いられる蒸留塔は、充填塔および棚段塔の何れであってもよい。なお、棚段塔の場合、蒸留塔にシラン系ガスを導入する際、その導入部は、全段数の半分より下から導入することが好ましい。
また、不活性ガスの供給は、蒸留精製工程を実施する蒸留塔のガス導入口(蒸留塔の下部)からガス排出口(蒸留塔の塔頂部)に至る経路中の、シラン系ガス導入部より上側から行うことが好ましく、より好ましくは、シラン系ガス中に占めるジクロロシランの割合が90wt%を超える地点よりも上流側から供給する。
なお、好ましくは、蒸留精製工程を実施する蒸留塔の塔頂の温度を25℃以下とし、より好ましくは、蒸留塔の塔頂の温度を17℃以下とする。
蒸留精製工程を実施する蒸留塔のガス排出口から排出されるシラン系ガスの温度は蒸留塔の塔頂における温度とほぼ等しくなるが、当該シラン系ガスの温度は蒸留塔の内部圧力に比例するから、蒸留塔の内部圧力を高めて蒸留塔の塔頂における温度を上昇させすぎると、ジクロロシランの回収に多くのエネルギーが必要となり、コスト面で不利となる。
上記温度の設定は、概ね大気圧の圧力の下で、精製により得られるジクロロシランの濃度を99wt%以上するためである。上記温度よりも高いと、トリクロロシランや、BCl3などのトリクロロシランの蒸気圧に近い不純物成分がジクロロシランに混入し易くなり、不純物の除去効果が低下する。
また、好ましくは、蒸留精製工程を実施する蒸留塔の塔頂の温度を8℃以上とし、より好ましくは、蒸留塔の塔頂の温度を10℃以上とする。
蒸留塔は、内部圧力が負圧とならない状態で使用することが望ましい。上記温度の設定は、蒸留塔の内部圧力を負圧としないためのものである。
なお、本発明においては、上述した蒸留精製工程を複数備えている態様としてもよい。
還流冷却器および蒸留塔を備えた内容量が13m3のSUS容器を窒素ガスで十分に置換した後、該SUS容器に、低沸分を不純物として含むクロロシラン系ガス(8トン)の仕込を行った。原料ガスの成分は表1に纏めた。なお、当該表1に示したSTCはテトラクロロシラン、TCSはトリクロロシラン、DCSはジクロロシラン、Nm3は流量単位のノルマルリューベ、MCSはモノクロロシラン、Bは硼素(ボロン)の意味である。
次いで、蒸留塔の内部圧力を0.03MPa、塔頂温度を16.5℃に維持する条件で蒸留運転を行った。なお、運転中の還流は2トン/hrであり、缶出からの蒸留塔への戻し量は1トン/hrであった。
この条件下において、上記の還流量および戻し量の総和(ペーパーロード量)に対して1.3mol%の高純度N2ガスを、蒸留塔の中段から、6Nm3/hr導入した。このときの運転状態を図2に示した。
精製後のシラン系ガスの成分分析を行ったところ、ジクロロシラン濃度は99.9wt%であり、残りの0.1wt%はモノクロロシランであった。また、ジクロロシラン中のボロン成分の濃度は0.02ppbaであった。なお、精製前の原料中のモノクロロシラン濃度は2.4wt%であり、ボロン成分の濃度は4.5ppbaである。
実施例1と同じ設備、同じ原料を用いて蒸留運転を実施した。本実施例でも、蒸留塔の内部圧力を0.03MPa、塔頂温度を16.5℃に維持する条件で蒸留運転を行った。なお、本実施例でも、運転中の還流は2トン/hrであり、缶出からの蒸留塔への戻し量は1トン/hrであった。原料ガスの成分は表1に纏めた。
この条件下において、上記の還流量および戻し量の総和(ペーパーロード量)に対して13.5mol%の高純度N2ガスを、蒸留塔の中段から、60Nm3/hr導入した。このときの運転状態を図2に示した。
精製後のシラン系ガスの成分分析を行ったところ、ジクロロシラン濃度は99.95wt%であり、残りの0.05wt%はモノクロロシランであった。また、ジクロロシラン中のボロン成分の濃度は0.005ppbaであった。
実施例1に比べて供給する高純度N2ガスのモル分率を上げたことにより、モノクロロシランおよびボロン成分の除去効率が高まり、より高純度のジクロロシランが得られている。
実施例1と同じ設備を使い、精製前の原料中のジクロロシランは92.8wt%、モノクロロシランが7.2wt%であり、ボロン成分の濃度は、4.5ppbaであった。この原料ガスを用いて蒸留運転を実施した。このときの運転状態を図2に示した。
本実施例でも、蒸留塔の内部圧力を0.03MPa、塔頂温度を16.5℃に維持する条件で蒸留運転を行った。なお、本実施例でも、運転中の還流は2トン/hrであり、缶出からの蒸留塔への戻し量は1トン/hrであった。原料ガスの成分は表1に纏めた。
この条件下において、上記の還流量および戻し量の総和(ペーパーロード量)に対して13.5mol%の高純度N2ガスを、蒸留塔の中段から、60Nm3/hr導入した。
精製後のシラン系ガスの成分分析を行ったところ、ジクロロシラン濃度は99.95wt%であり、残りの0.05wt%はモノクロロシランであった。また、ジクロロシラン中のボロン成分の濃度は0.005ppbaであった。
還流冷却器および蒸留塔を備えた内容量が13m3のSUS容器を窒素ガスで十分に置換した後、該SUS容器に、低沸分を不純物として含むクロロシラン系ガス(8トン)の仕込を行うのは実施例1と同様である。原料ガスの成分は表1に纏めた。
次いで、蒸留塔の内部圧力を0.03MPa、塔頂温度を16.5℃に維持する条件で蒸留運転を行った。なお、運転中の還流は2トン/hrであり、缶出からの蒸留塔への戻し量は1トン/hrであった。さらに、仕込んだものと同じ成分の低沸分を不純物として含むクロロシラン系ガスを、シラン系ガス供給口から1トン/hrで供給した。このときの運転状態を図3に示した。
この条件下において、上記の還流量および戻し量の総和(ペーパーロード量)に対して9.7mol%の高純度N2ガスを、蒸留塔の中段から、60Nm3/hr導入した。
精製後のシラン系ガスの成分分析を行ったところ、ジクロロシラン濃度は99.95wt%であり、残りの0.05wt%はモノクロロシランであった。また、ジクロロシラン中のボロン成分の濃度は0.006ppbaであった。
[比較例1]
実施例1と同じ設備、同じ原料を用いて蒸留運転を実施した。但し、不活性ガスの供給は行っていない。なお、蒸留塔の内部圧力は0.03MPa、塔頂温度は16.5℃に維持し、運転中の還流は2トン/hrであり、缶出からの蒸留塔への戻し量は1トン/hrであった。
精製後のシラン系ガスの成分分析を行ったところ、ジクロロシラン濃度は97.6wt%であり、残りの2.4wt%はモノクロロシランであった。また、ジクロロシラン中のボロン成分の濃度は1.5ppbaであった。なお、精製前の原料中のボロン成分の濃度は、上述のとおり4.5ppbaである。
不活性ガスの供給がないことに起因して、ジクロロシラン中のボロン成分の濃度は、実施例1の値よりも2桁高い数字となっている。
[比較例2]
実施例1と同じ設備、同じ原料を用いて蒸留運転を実施した。なお、蒸留塔の内部圧力は0.03MPa、塔頂温度は28℃に維持し、運転中の還流は2トン/hrであり、缶出からの蒸留塔への戻し量は1トン/hrであった。
この条件下において、上記の還流量および戻し量の総和(ペーパーロード量)に対して13.5mol%の高純度N2ガスを、蒸留塔の中段から、60Nm3/hr導入した。
精製後のシラン系ガスの成分分析を行ったところ、ジクロロシラン濃度は87.6wt%であり、残りの12.4wt%のうちの0.05wt%はモノクロロシランであり、10wt%はトリクロロシラン、残りはテトラクロロシランであった。また、ジクロロシラン中のボロン成分の濃度は3.0ppbaであった。なお、精製前の原料中のボロン成分の濃度は、上述のとおり4.5ppbaである。
塔頂温度を高めの温度(28℃)に維持したことに起因して、ジクロロシラン中のボロン成分の濃度は、実施例1の値よりも2桁高い数字となっている。これは、塔頂温度を高くしたことにより、BCl3と思われるボロン成分が共沸によってジクロロシランに混入したことによると推測される。
本発明は、有機物や金属塩化物の添加を不要とした、新たなジクロロシランの蒸留精製方法を提供する。

Claims (13)

  1. ジクロロシランを含むシラン系ガスからジクロロシランを精製する方法であって、
    前記シラン系ガスからジクロロシランよりも蒸気圧の高い不純物を除去する蒸留精製工程を備え、
    該蒸留精製工程において、不活性ガスを供給して、前記シラン系ガスと前記不活性ガスとを接触させる、
    ことを特徴とするジクロロシランの精製方法。
  2. 前記不純物は、塩化水素、モノシラン、モノクロロシラン、ジシラン、ホウ素化合物である、請求項1に記載のジクロロシランの精製方法。
  3. 前記不活性ガスは、ヘリウム、アルゴン、窒素、水素の何れかのガス若しくはこれらの何れかの混合ガスである、請求項1または2に記載のジクロロシランの精製方法。
  4. 前記不活性ガスの供給量は、精製対象である前記シラン系ガスに対する比率で0.2mol%以上である、請求項1〜3の何れか1項に記載のジクロロシランの精製方法。
  5. 前記不活性ガスの供給量は、精製対象である前記シラン系ガスに対する比率で0.5mol%以上である、請求項4に記載のジクロロシランの精製方法。
  6. 前記不活性ガスの供給量は、精製対象である前記シラン系ガスに対する比率で30mol%以下である、請求項1〜5の何れか1項に記載のジクロロシランの精製方法。
  7. 前記不活性ガスの供給量は、精製対象である前記シラン系ガスに対する比率で3mol%以下である、請求項6に記載のジクロロシランの精製方法。
  8. 前記不活性ガスの供給を、前記蒸留精製工程を実施する蒸留塔のガス導入口からガス排出口に至る経路中の、前記シラン系ガス中に占めるジクロロシランの割合が90wt%を超える地点よりも上流側で実行する、請求項1〜7の何れか1項に記載のジクロロシランの精製方法。
  9. 前記蒸留精製工程を実施する蒸留塔の塔頂の温度を25℃以下とする、請求項1〜8の何れか1項に記載のジクロロシランの精製方法。
  10. 前記蒸留塔の塔頂の温度を17℃以下とする、請求項9に記載のジクロロシランの精製方法。
  11. 前記蒸留精製工程を実施する蒸留塔の塔頂の温度を8℃以上とする、請求項1〜10の何れか1項に記載のジクロロシランの精製方法。
  12. 前記蒸留塔の塔頂の温度を10℃以上とする、請求項11に記載のジクロロシランの精製方法。
  13. 前記蒸留精製工程を複数備えている、請求項1〜12の何れか1項に記載のジクロロシランの精製方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010521409A (ja) * 2007-03-21 2010-06-24 エボニック デグサ ゲーエムベーハー ホウ素を含有するクロロシラン流の後処理法

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