JP2020175559A - 液体吐出装置、及び液体吐出装置の制御方法 - Google Patents

液体吐出装置、及び液体吐出装置の制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】利便性をさらに高めることが可能な液体吐出装置を提供すること。【解決手段】駆動信号に基づいて駆動される駆動素子と、前記駆動素子の駆動により変位する振動板と、内部に液体が充填され前記振動板の変位により内部圧力が変化するキャビティーと、前記内部圧力の変化により液体が吐出されるノズルと、を有するプリントヘッドと、前記駆動信号が前記駆動素子に供給された後の前記内部圧力の変化に基づいて生じる前記振動板の変位を残留振動信号として検出する検出回路と、検出した前記残留振動信号に基づいて前記ノズルの吐出異常の有無を判定する判定回路と、前記判定回路の判定結果を通知する通知部と、を備え、前記通知部は、前記判定結果として、前記吐出異常が生じた前記ノズルを通知する、液体吐出装置。【選択図】図27

Description

本発明は、液体吐出装置、及び液体吐出装置の制御方法に関する。
インクジェットプリンター等の液体吐出装置は、吐出部に設けられる圧電素子等の駆動素子を駆動信号により駆動させることで、プリントヘッドの内部に充填されたインクをノズルから吐出させて、記録媒体上に画像を形成する。このようなプリントヘッドにおいて、プリントヘッドの内部に充填されたインクの粘度が増加すると、吐出異常が発生し、印刷される画像の画質が低下することがある。さらに、プリントヘッド内部への気泡の混入や、ノズル近傍への紙粉の付着等が生じた場合にも、ノズルから吐出されるインクの吐出異常が生じるおそれがあり、このような場合であっても、媒体に印刷される画像の画質が低下するおそれがある。このため、高品位な印刷を実現するためには、プリントヘッドにおいて、インクの吐出状態を検査することが望ましい。
特許文献1には、駆動信号により圧電素子を駆動させることで生じる残留振動を検出し、検出結果に基づいて吐出部におけるインクの吐出状態を検査する手法が開示されている。
特開2004−276544号公報
しかしながら、特許文献1には、検出した残留振動の結果を使用者に対して通知する技術に対しての開示はなく、液体吐出装置の利便性をさらに高めるために改善の余地があった。
本発明に係る液体吐出装置の一態様は、
駆動信号に基づいて駆動される駆動素子と、前記駆動素子の駆動により変位する振動板と、内部に液体が充填され前記振動板の変位により内部圧力が変化するキャビティーと、前記内部圧力の変化により液体が吐出されるノズルと、を有するプリントヘッドと、
前記駆動信号が前記駆動素子に供給された後の前記内部圧力の変化に基づいて生じる前記振動板の変位を残留振動信号として検出する検出回路と、
検出した前記残留振動信号に基づいて前記ノズルの吐出異常の有無を判定する判定回路と、
前記判定回路の判定結果を通知する通知部と、
を備え、
前記通知部は、前記判定結果として、前記吐出異常が生じた前記ノズルを通知する。
前記液体吐出装置の一態様において、
前記吐出異常に対する回復処理を実行する回復処理部を備え、
前記通知部は、前記回復処理により回復した前記ノズルを通知してもよい。
前記液体吐出装置の一態様において、
前記通知部は、前記回復処理の内容を示す回復処理情報を通知してもよい。
前記液体吐出装置の一態様において、
前記通知部は、前記判定結果をディスプレイに表示させることで通知してもよい。
前記液体吐出装置の一態様において、
前記通知部は、前記判定結果を印刷させることで通知してもよい。
前記液体吐出装置の一態様において、
前記通知部は、前記判定結果を、発光素子により通知してもよい。
本発明に係る液体吐出装置の制御方法の一態様は、
駆動信号に基づいて駆動される駆動素子と、前記駆動素子の駆動により変位する振動板と、内部に液体が充填され前記振動板の変位により内部圧力が変化するキャビティーと、前記内部圧力の変化により液体が吐出されるノズルと、を有するプリントヘッドを備える液体吐出装置の制御方法であって、
前記駆動信号が前記駆動素子に供給された後の前記内部圧力の変化に基づいて生じる前記振動板の変位を残留振動信号として検出する検出工程と、
前記残留振動信号に基づいて、前記ノズルの吐出異常の有無の判定する判定工程と、
前記判定工程における判定結果として、前記吐出異常が生じた前記ノズルを通知する通知工程と、
を含む。
液体吐出装置の構成の概略を示す斜視図である。 液体吐出装置の電気構成を示す図である。 プリントヘッドの分解斜視図である。 プリントヘッドの断面を示す断面図である。 インクの吐出動作を説明するための図である。 アクチュエーター基板の残留振動を想定した単振動の計算モデルを示す回路図である。 アクチュエーター基板の残留振動の実験値と計算値との関係を示す図である。 気泡混入が生じた場合におけるノズルの付近を示す概念図である。 気泡混入時のアクチュエーター基板の残留振動の実験値と計算値との関係を示す図である。 乾燥増粘が生じた場合のノズルの付近を示す概念図である。 乾燥増粘の場合のアクチュエーター基板の残留振動の実験値と計算値との関係を示す図である。 紙粉付着の場合のノズルの付近を示す概念図である。 紙粉付着の場合のアクチュエーター基板の残留振動の実験値と計算値との関係を示す図である。 駆動信号選択制御回路の電気構成を示す図である。 選択制御回路の構成を示すブロック図である。 デコーダーが行うデコードの内容を示す図である。 単位動作期間における選択制御回路の動作を説明するための図である。 駆動信号Vinの波形の一例を示す図である。 切替回路、及び残留振動検出回路の電気構成を示す図である。 残留振動検出回路の構成を示すブロック図である。 計測部の動作を説明するための図である。 判定部における判定の内容を説明するための図である。 判定信号処理部の構成を示すブロック図である。 ディスプレイに表示される判定結果の第1の表示例を示す図である。 ディスプレイに表示される判定結果の第2の表示例を示す図である。 ディスプレイに表示される判定結果の第3の表示例を示す図である。 液体吐出装置1の制御方法を説明するための図である。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて説明する。用いる図面は説明の便宜上のものである。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1.液体吐出装置の構成
まず、液体吐出装置1の構成について説明する。図1は、本実施形態に係る液体吐出装置1の構成の概略を示す斜視図である。また、図1には、互いに直交するX方向、Y方向、及びZ方向を図示している。なお、以下の説明では、図1の+Z方向に相当する上側を「上部」、−Z方向に相当する下側を「下部」と称する場合がある。
液体吐出装置1は、上部後方に媒体Pを設置するトレイ81と、下部前方に媒体Pを排出する排紙口82と、上部面に操作パネル83とが設けられている。操作パネル83は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDランプ等で構成され、エラーメッセージ等を表示する不図示の表示部と、各種スイッチ等で構成される不図示の操作部とを備えている。
また、液体吐出装置1は、往復動する移動体3を有する印刷手段4を備える。移動体3は、後述するプリントヘッド35を複数備えるヘッドユニット30と、4個のインクカートリッジ31と、ヘッドユニット30及び4個のインクカートリッジ31を搭載したキャリッジ32と、を備える。各プリントヘッド35の内部には、インクカートリッジ31から供給された液体の一例としてのインクが充填されている。そして、各プリントヘッド35は、内部に充填されたインクを吐出する。また、4個のインクカートリッジ31は、イエロー、シアン、マゼンタ、及び、ブラックの4つの色と1対1に対応する。そして、各インクカートリッジ31には、対応する色のインクが充填されている。複数のプリントヘッド35の各々は、4個のインクカートリッジ31のいずれか1つからインクの供給を受ける。すなわち、複数のプリントヘッド35から、4色のインクが吐出される。
なお、本実施形態に係る液体吐出装置1は、4色のインクのそれぞれに対応する4個のインクカートリッジ31を備えているが、異なる色のインクが充填されたインクカートリッジ31をさらに備えていてもよく、また、一部の色に対応するインクカートリッジ31を複数備えてもよい。さらに、各インクカートリッジ31は、キャリッジ32に搭載される代わりに、液体吐出装置1の別の場所に設けられてもよい。
印刷手段4は、移動体3を主走査方向であるY方向に沿った方向に往復移動させる駆動源となるキャリッジモーター41と、キャリッジモーター41の回転を受けて、移動体3を往復移動させる往復動機構42とを備える。往復動機構42は、その両端が不図示のフレームに支持されたキャリッジガイド軸422と、キャリッジガイド軸422と平行に延在するタイミングベルト421とを有している。キャリッジ32は、キャリッジガイド軸422に往復動自在に支持されるとともに、タイミングベルト421の一部に固定されている。そのため、キャリッジモーター41の作動により、プーリを介してタイミングベルト421を正逆走行させることで、移動体3は、キャリッジガイド軸422に案内されて、往復動する。
また、液体吐出装置1は、媒体Pを印刷手段4に供給、及び排出するための給紙装置7を備える。給紙装置7は、駆動源となる給紙モーター71と、給紙モーター71の作動により回転する給紙ローラー72とを有している。給紙ローラー72は、媒体Pの搬送経路において媒体Pを挟んで上下に対向する従動ローラー72aと、駆動ローラー72bとで構成されている。ここで、駆動ローラー72bは、給紙モーター71に連結されている。これにより、給紙ローラー72は、トレイ81に設置した複数枚の媒体Pを、印刷手段4に向かって1枚ずつ送り込み、印刷手段4から1枚ずつ排出する。なお、液体吐出装置1は、トレイ81に代えて、媒体Pを収容する給紙カセットを着脱自在に装着し得るような構成であってもよい。
また、液体吐出装置1は、印刷手段4及び給紙装置7を制御する制御部6を備える。制御部6は、後述するパーソナルコンピューターやデジタルカメラ等のホストコンピューター9から入力された画像データImgに基づいて、印刷手段4や給紙装置7等を制御することで媒体Pへの印刷処理を行う。
具体的には、制御部6は、給紙装置7を制御することで、媒体Pを一枚ずつX方向である副走査方向に間欠送りする。また、制御部6は、移動体3を副走査方向と交差するY方向である主走査方向に往復動させるように制御する。つまり、制御部6は、移動体3を主走査方向に往復動させるように制御するとともに、媒体Pを副走査方向に間欠送りするように給紙装置7を制御する。そして、制御部6は、画像データImgに基づいて、各プリントヘッド35からのインクの吐出タイミングを制御することで、媒体Pへの印刷処理を実行する。
また、制御部6は、操作パネル83の表示部にエラーメッセージ等を表示させ、あるいはLEDランプ等を点灯/点滅させるとともに、操作パネル83の操作部から入力された各種スイッチの押下信号に基づいて、対応する処理を各部に実行させる。さらに、制御部6は、必要に応じてエラーメッセージや吐出異常等の情報をホストコンピューター9に転送する処理を実行する。
図2は、本実施形態に係る液体吐出装置1の電気構成を示す図である。図2に示すように、液体吐出装置1は、制御部6、ヘッドユニット30、駆動信号生成回路54、操作パネル83、回復処理部84、キャリッジモーター41、キャリッジモータードライバー43、給紙モーター71、及び給紙モータードライバー73を備える。
制御部6は、液体吐出装置1の各部の動作を制御する各種制御信号を出力する。制御部6は、CPU61、記憶部62、及び判定信号処理部63を備える。
記憶部62は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、PROMを有する。EEPROMは、ホストコンピューター9から不図示のインターフェース部を介して供給される画像データImgをデータ格納領域に格納する。RAMは、印刷処理等の各種処理を実行する際に必要なデータを一時的に格納し、あるいは印刷処理等の各種処理を実行するための制御プログラムを一時的に展開する。PROMは、液体吐出装置1の各部を制御する制御プログラム等を格納する。
CPU61は、ホストコンピューター9から供給される画像データImgを、記憶部62に格納する。また、CPU61は、画像データImg等の記憶部62に格納されている各種データに基づいて、キャリッジモータードライバー43の動作を制御するためのドライバー制御信号Ctr1と、給紙モータードライバー73の動作を制御するためのドライバー制御信号Ctr2と、駆動信号生成回路54を制御する為の基駆動信号dAと、ヘッドユニット30を制御する為のクロック信号CL、印刷信号SI、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び切替制御信号Swと、回復処理部84の動作を制御するための回復処理信号RCと、操作パネル83の動作を制御するための信号と、を含む各種信号を生成し出力する。
キャリッジモータードライバー43は、ドライバー制御信号Ctr1に基づいてキャリッジモーター41を駆動する。これにより、キャリッジモーター41は、ヘッドユニット30を搭載したキャリッジ32を往復動させる。また、給紙モータードライバー73は、ドライバー制御信号Ctr2に基づいて給紙モーター71を駆動する。これにより、給紙モーター71は、媒体Pを搬送する。
駆動信号生成回路54は、制御部6から供給される基駆動信号dAに基づいて駆動信号Comを生成する。基駆動信号dAは、駆動信号Comの信号波形を規定するデジタルの信号である。駆動信号生成回路54は、基駆動信号dAをデジタル/アナログ変換した後、当該信号を増幅することで、駆動信号Comを生成する。駆動信号生成回路54は、生成した駆動信号Comを、ヘッドユニット30に出力する。なお、詳細は後述するが、本実施形態において駆動信号生成回路54は、駆動信号Comとして、3つの駆動信号Com−A、Com−B、及びCom―Cを生成している。
ヘッドユニット30は、複数のプリントヘッド35を有する。また、各プリントヘッド35は、駆動信号選択制御回路200と、複数の吐出部600とを有し、各吐出部600は、圧電素子60を含む。なお、以下の説明において、本実施形態における液体吐出装置1が備えるプリントヘッド35は、4個であるとして説明を行うが、4個に限られるものではなく、吐出されるインクの数や種類、インクカートリッジ31の数などに応じて、5個以上であってもよく、また3個以下であってもよい。
駆動信号選択制御回路200は、吐出部600と電気的に接続され、駆動信号Comを圧電素子60に供給するか否かを選択する。具体的には、駆動信号選択制御回路200は、制御部6から供給されるクロック信号CL、印刷信号SI、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHと、駆動信号生成回路54から供給される駆動信号Comと、に基づいて、圧電素子60を駆動させるための駆動信号Vinを生成し出力する。
また、駆動信号選択制御回路200は、圧電素子60が駆動信号Vinにより駆動された後に生じる残留振動を残留振動信号Voutとして検出する。そして、駆動信号選択制御回路200は、残留振動信号Voutに基づいて、検出した残留振動信号Voutに対応する圧電素子60を含む吐出部600に異常があるか否か、及び当該吐出部600における吐出状態を判定し、判定結果を表す判定結果信号Rsを制御部6に出力する。なお、駆動信号選択制御回路200の詳細については後述する。
制御部6が有する判定信号処理部63は、判定結果信号Rsに基づいて、回復処理部84に回復処理を実行させるための回復処理信号RCを出力する。回復処理部84は、回復処理信号RCに基づいて、回復処理を実行する。回復処理部84が実行する回復処理としては、例えば、インクが吐出されるノズルが設けられているノズル面を覆うキャップにポンプを接続し、当該ポンプによりノズルからプリントヘッド35の内部のインクを吸引するポンプ吸引処理、プリントヘッド35に充填されたインクのリフレッシュのために、当該インクを吐出させるフラッシング処理、また、ノズル面を拭き取るワイピング処理等が挙げられる。
2.プリントヘッドの構成
ここで、プリントヘッド35の構成について説明する。図3は、プリントヘッド35の分解斜視図である。また、図4は、図3のIII−III線におけるプリントヘッド35の断面を示す断面図である。図3、及び図4に示すプリントヘッド35は、駆動信号Vinに基づいて駆動される圧電素子60と、圧電素子60の駆動により変位するアクチュエーター基板136と、内部に液体の一例としてのインクが充填されアクチュエーター基板136の変位により内部圧力が変化するキャビティーCと、内部圧力の変化により液体が吐出されるノズルNとを有する。
図3に示すように、プリントヘッド35は、X方向に配列された2M個のノズルNを備える。本実施形態において、2M個のノズルNは、列L1と列L2との2列で配列している。以下の説明では、列L1に属するM個のノズルNの各々をノズルN1と称し、列L2に属するM個のノズルNの各々をノズルN2と称する場合がある。また、以下の説明では、列L1に属するM個のノズルN1のうち、i番目(iは、1≦i≦Mを満たす自然数)のノズルN1と、列L2に属するM個のノズルN2のうち、i番目のノズルN2との、X方向での位置が略一致する場合を想定する。ここで、「略一致」とは、完全に一致する場合の他に、誤差を考慮すれば同一とみなせる場合を含む。なお、2M個のノズルNは、列L1に属するM個のノズルN1のうち、i番目のノズルN1と、列L2に属するM個のノズルN2のうち、i番目のノズルN2との、X方向の位置が相違するように、所謂、千鳥状又はスタガ状に配列されてもよい。
図3及び図4に示すように、プリントヘッド35は、流路基板132を備える。流路基板132は、面F1と面FAとを含む板状部材である。面F1は、プリントヘッド35から見て媒体P側の表面であって、面FAは、面F1とは反対側の表面である。面FAの面上には、圧力室基板134、アクチュエーター基板136、複数の圧電素子60、配線基板138、及び筐体部140が設けられている。また、面F1の面上には、ノズル板152が設けられている。なお、プリントヘッド35の各要素は、概略的にはX方向に長尺な板状部材であり、Z方向に積層されている。
ノズル板152は板状部材であり、ノズル板152には、貫通孔である2M個のノズルNが形成されている。なお、以下の説明においてノズル板152には、600個以上のノズルNが形成され、列L1及び列L2の各々に対応するノズルNは、1インチあたり300個以上の密度で設けられている。このノズル板152のうち、プリントヘッド35の外側に位置し、媒体Pと対向する面が、前述したノズル面に相当する。
流路基板132は、インクの流路を形成するための板状部材である。図3及び図4に示すように、流路基板132には流路RAが形成されている。また、流路基板132には、2M個のノズルNと1対1に対応するように、2M個の流路131と2M個の流路133とが形成される。流路131及び流路133は、図4に示すように流路基板132を貫通するように形成された開口である。流路133は、当該流路133に対応するノズルNに連通する。また、流路基板132の面F1には、2つの流路139が形成される。2つの流路139のうち一方は、流路RAと列L1に属するM個のノズルN1に1対1に対応するM個の流路131とを連結する流路であり、他方は、流路RAと列L2に属するM個のノズルN2に1対1に対応するM個の流路131とを連結する流路である。
図3及び図4に示すように、圧力室基板134は、2M個のノズルNと1対1に対応するように2M個の開口137が形成された板状部材である。圧力室基板134のうち流路基板132とは反対側の表面にはアクチュエーター基板136が設けられる。
図4に示すように、アクチュエーター基板136と流路基板132の面FAとは、各開口137の内側で相互に間隔をあけて対向する。開口137の内側で流路基板132の面FAとアクチュエーター基板136との間に位置する空間は、当該空間に充填されたインクに圧力を付与するためのキャビティーCとして機能する。キャビティーCは、例えば、Y方向を長手方向としてX方向を短手方向とする空間である。プリントヘッド35には、2M個のノズルNに1対1に対応するように、2M個のキャビティーCが設けられている。ノズルN1に対応して設けられたキャビティーCは、流路131及び流路139を介して流路RAに連通するとともに、流路133を介してノズルN1に連通する。また、ノズルN2に対応して設けられたキャビティーCは、流路131及び流路139を介して流路RAに連通するとともに、流路133を介してノズルN2に連通する。
図3及び図4に示すように、アクチュエーター基板136のうちキャビティーCとは反対側の面上には、2M個のキャビティーCに1対1に対応するように、2M個の圧電素子60が設けられている。圧電素子60には、駆動信号Vinが供給される。そして、圧電素子60は、供給される駆動信号Vinに応じて駆動される。そして、アクチュエーター基板136は、圧電素子60の変形に連動して振動し、アクチュエーター基板136が振動すると、キャビティーCの内部圧力が変動する。そして、キャビティーCの内部圧力の変動により、キャビティーCに充填されたインクが、流路133及びノズルNを経由して吐出される。
なお、キャビティーC、流路131,133、ノズルN、アクチュエーター基板136、及び圧電素子60が、キャビティーCに充填されたインクを圧電素子60の駆動により吐出させるための吐出部600として機能する。すなわち、プリントヘッド35には、X方向に沿って複数の吐出部600が2列に並設されている。
図3及び図4に示す配線基板138は、面G1と、面G1と対向する面G2とを有し、集積回路装置162に駆動信号Comを伝搬する。また、配線基板138は、アクチュエーター基板136に形成された2M個の圧電素子60を保護するための板状部材であり、アクチュエーター基板136の表面、又は、圧力室基板134の表面に設けられる。
配線基板138のうちプリントヘッド35から見て媒体P側の表面である面G1には、2つの収容空間145が形成される。2つの収容空間145のうち一方は、M個のノズルN1に対応するM個の圧電素子60を収容するための空間であり、他方は、M個のノズルN2に対応するM個の圧電素子60を収容するための空間である。この収容空間145のZ方向の幅である高さは、圧電素子60が変位しても圧電素子60と配線基板138とが接触しないように、十分な大きさを有する。
配線基板138のうち面G1の反対側の表面である面G2には、集積回路装置162が設けられている。集積回路装置162には、図2に示す駆動信号選択制御回路200が実装されている。集積回路装置162には、プリントヘッド35に入力される駆動信号Com、クロック信号CL、印刷信号SI、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び切替制御信号Swが入力される。そして、集積回路装置162は、クロック信号CL、印刷信号SI、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHに基づいて、各圧電素子60に供給する駆動信号Vinを生成し出力する。
配線基板138には、駆動信号Com、クロック信号CL、印刷信号SI、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び切替制御信号Swを伝搬する為の複数の配線が設けられている。また、配線基板138には、集積回路装置162から出力された駆動信号Vinを圧電素子60に供給するための配線が設けられている。
また、配線基板138には、接続配線164が電気的に接続されている。接続配線164は、プリントヘッド35に入力された複数の信号を、集積回路装置162に転送するための複数の配線が形成された部材であり、例えば、FPC(Flexible Printed Circuit)や、FFC(Flexible Flat Cable)等であってもよい。
次に、プリントヘッド35から吐出されるインクの吐出動作について、図5を用いて説明する。図5はインクの吐出動作を説明するための図である。圧電素子60に駆動信号Vinが供給されると、圧電素子60の電極間の印加された電界に比例した歪が発生し、アクチュエーター基板136は、図5の(a)に示す初期状態に対して、上方向に撓む。したがって、図5の(b)に示すようにキャビティーCの容積が拡大する。この状態において、駆動信号Vinの電圧値が増加から減少、又は減少から増加に転じると、アクチュエーター基板136は、弾性復元力によって復元し、初期状態におけるアクチュエーター基板136の位置を越えて下方向に移動する。したがって、図5の(c)に示すようにキャビティーCの容積が急激に収縮する。このとき、キャビティーCの内部圧力が増加し、キャビティーCに充填されたインクの一部が、ノズルNから吐出される。
アクチュエーター基板136は、この一連のインク吐出動作が終了した後、次のインク吐出動作を開始するまでの間、減衰振動を行う。以下、この減衰振動を残留振動と称する場合がある。換言すれば、駆動信号Vinが圧電素子60に供給された後のキャビティーCの内部圧力の変化に基づいて生じるアクチュエーター基板136の変位が残留振動に相当する。ここで、本実施形態において、圧電素子60が駆動素子の一例であり、アクチュエーター基板136が振動板の一例である。そして、アクチュエーター基板136の変位により圧電素子60が変位する。この残留振動に基づく圧電素子60の変位により生じた信号が残留振動信号Voutに相当する。
このような、アクチュエーター基板136に生じる残留振動は、インク粘度等による音響抵抗r、プリントヘッド35の流路内のインク重量によるイナータンスm、及びアクチュエーター基板136のコンプライアンスCmによって決定される固有振動周波数を有するものと想定される。
3.残留振動について
ここで、アクチュエーター基板136に生じる残留振動の計算モデルについて説明する。図6は、アクチュエーター基板136の残留振動を想定した単振動の計算モデルを示す回路図である。アクチュエーター基板136の残留振動の計算モデルは、音圧pと、上述のイナータンスm、コンプライアンスCm、及び音響抵抗rで表せる。そして、図6の回路に音圧pを与えた時のステップ応答を体積速度uについて計算すると、次式が得られる。
式(1)〜(3)から得られた計算結果と、別途行ったインクの吐出後のアクチュエーター基板136の残留振動の実験における実験結果とを比較する。図7は、アクチュエーター基板136の残留振動の実験値と計算値との関係を示す図である。図7に示す結果からも分かるように、実験値と計算値の2つの波形は、概ね一致している。
ここで、プリントヘッド35が吐出動作を行ったにもかかわらずノズルNからインクが正常に吐出されない現象、即ちインクの吐出異常が発生する場合がある。この吐出異常が発生する原因としては、(1)キャビティーCの内部に気泡が混入する気泡混入、(2)インクの粘度が乾燥等により増粘する乾燥増粘、(3)ノズルNの出口付近に紙粉が付着する紙粉付着、等が挙げられる。
このような吐出異常が生じると、ノズルNからインクが吐出されない不吐出現象が発生し、その場合、媒体Pに印刷された画像に画素のドット抜けが生じる。また、ノズルNからインクが吐出された場合であっても、吐出されたインクの量が過少となり、また、インクの飛行方向がずれることで、インクが、媒体Pに適正に着弾できず、不吐出現象の場合と同様に、画素のドット抜けとなって現れる。なお以下の説明では、インクの吐出異常のことを単に「ドット抜け」と称する場合がある。
以下の説明では、図7に示す比較結果に基づいて、プリントヘッド35に発生する吐出異常であるドット抜け現象を原因別に検討する。具体的には、アクチュエーター基板136の残留振動の計算値と実験値が概ね一致するように、音響抵抗r、及びイナータンスmのうち少なくとも一方の値を調整し、実験値と比較する。
まず、ドット抜けの1つの原因である、気泡混入について検討する。図8は、気泡混入が生じた場合におけるノズルNの付近を示す概念図である。図8に示すように、プリントヘッド35に混入した気泡Aは、キャビティーCの壁面に発生付着しているものと想定される。
このように、キャビティーCの内部に気泡Aが混入した場合、キャビティーCの内部を満たすインクの総重量が減り、イナータンスmが低下するものと考えられる。また、図8に示すように、気泡AがノズルNの付近に付着している場合、その径の大きさだけノズルNの径が大きくなったような状態となり、音響抵抗rが低下するものと考えられる。したがって、インクが正常に吐出された図7の場合に対して、音響抵抗r、及びイナータンスmを共に小さく設定し、気泡混入時の残留振動の実験値と概ね一致することで、図9に示すような結果が得られた。図9は、気泡混入時のアクチュエーター基板136の残留振動の実験値と計算値との関係を示す図である。図7及び図9の結果から分かるように、キャビティーCの内部に気泡Aが混入した場合、正常に吐出された場合に比べて周波数が高くなる特徴的な残留振動波形が得られる。なお、音響抵抗rの低下などにより、残留振動の振幅の減衰率も小さくなり、残留振動は、その振幅をゆっくりと下げていることも確認することができる。
次に、ドット抜けのもう1つの原因である、乾燥増粘について検討する。図10は、乾燥増粘が生じた場合のノズルNの付近を示す概念図である。図10に示すように、ノズルNの付近のインクが乾燥し、固着した場合、キャビティーCの内部のインクは、キャビティーCの内部に閉じこめられたような状況となる。また、キャビティーCの内部のインクの粘度が増加した場合であっても同様に、キャビティーCの内部のインクは、キャビティーCの内部に閉じこめられたような状況となる。このように、ノズルN付近のインクが乾燥、増粘した場合、音響抵抗rが増加するものと考えられる。
したがって、インクが正常に吐出された図7の場合に対して、音響抵抗rを大きく設定し、ノズルNの付近のインクが乾燥増粘した場合の残留振動の実験値と概ね一致することにより、図11のような結果が得られた。図11は、乾燥増粘の場合のアクチュエーター基板136の残留振動の実験値と計算値との関係を示す図である。なお、図11に示す実験値は、ノズルNに対して不図示のキャップを数日間装着しない状態でプリントヘッド35を放置し、ノズルNの付近のインクが乾燥、増粘したことによりインクが固着し、インクの吐出ができなくなった状態におけるアクチュエーター基板136の残留振動を測定したものである。図7及び図11の結果から分かるように、ノズルNの付近のインクが乾燥により固着した場合、正常に吐出した場合に比べて周波数が極めて低くなるとともに、残留振動が過減衰となる特徴的な残留振動波形が得られる。これは、アクチュエーター基板136が上方に引き寄せられることによって、キャビティーCの内部にインクが流入し、その後、インクを吐出するためにアクチュエーター基板136が下方に移動する場合に、キャビティーCの内部のインクに逃げ道がなく、アクチュエーター基板136が急激に振動できなくなるためである。なお、インクの粘度が増加した場合でも同様の傾向となる。
次に、ドット抜けのさらにもう1つの原因である、紙粉付着について検討する。図12は、紙粉付着の場合のノズルNの付近を示す概念図である。図12に示すように、ノズルNの出口付近に紙粉Bが付着した場合、キャビティーCの内部から紙粉Bを介してインクが染み出してしまうとともに、ノズルNからインクを吐出することができなくなる。このように、ノズルNの出口付近に紙粉Bが付着し、ノズルNからインクが染み出している場合、アクチュエーター基板136から見てキャビティーCの内部、及び染み出し分のインクが正常時よりも増えるため、イナータンスmが増加するものと考えられる。また、ノズルNの出口付近に付着した紙粉Bの繊維によって音響抵抗rが増大するものと考えられる。
したがって、インクが正常に吐出された図7の場合に対して、イナータンスm、音響抵抗rを共に大きく設定して、ノズルNの出口付近への紙粉付着時の残留振動の実験値と概ね一致することにより、図13のような結果が得られた。図13は、紙粉付着の場合のアクチュエーター基板136の残留振動の実験値と計算値との関係を示す図である。図7及び図13の結果から分かるように、ノズルNの出口付近に紙粉Bが付着した場合、正常に吐出した場合と比べて周波数が低くなる特徴的な残留振動波形が得られる。
なお、図11及び図13に示す結果から、紙粉付着の場合は、インクの乾燥増粘の場合と比較して、残留振動の周波数が高いことが分かる。
ここで、ノズルN付近のインクが乾燥増粘した場合と、ノズルNの出口付近に紙粉が付着した場合とでは、いずれも正常にインク滴が吐出された場合に比べて減衰振動の周波数が低くなっている。これら2つのドット抜けの原因は、例えば、減衰振動の周波数や周期、位相において所定の閾値を持って比較するか、或いは、残留振動の周期変化や振幅変化の減衰率から特定することができる。以上のように、プリントヘッド35が有するノズルNからインク滴が吐出された場合のアクチュエーター基板136の残留振動の変化、特に、その周波数の変化によって、プリントヘッド35が有するノズルNの吐出異常を検出することができる。また、その場合の残留振動の周波数を正常吐出時の残留振動の周波数と比較することにより、吐出異常の原因を特定することもできる。
4.駆動信号選択制御回路の構成
4.1 駆動信号選択制御回路の構成
以上に説明した残留振動は、残留振動信号Voutとして駆動信号選択制御回路200に入力される。そして、駆動信号選択制御回路200は、入力された残留振動信号Voutに基づいて、対応するノズルNの吐出異常の有無、及び原因を判定し、判定結果を判定結果信号Rsとして出力する。ここで、残留振動信号Voutに基づいて、判定結果信号Rsを生成する駆動信号選択制御回路200の構成について図14を用いて説明する。
図14は、駆動信号選択制御回路200の電気構成を示す図である。図14に示すように、駆動信号選択制御回路200は、選択制御回路51、残留振動検出回路52、及び切替回路53を備える。
選択制御回路51には、制御部6から出力されるクロック信号CL、印刷信号SI、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHと、駆動信号生成回路54から出力される駆動信号Comとが入力される。そして、選択制御回路51は、クロック信号CL、印刷信号SI、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHに基づいて、駆動信号Comを選択、又は非選択とすることで、駆動信号Vinを生成し、切替回路53に出力する。
切替回路53は、制御部6から出力される切替制御信号Swに基づいて、駆動信号Vinを圧電素子60に供給するのか、又は、駆動信号Vinが圧電素子60に供給された後、当該圧電素子60に生じる残留振動を示す残留振動信号Voutを、残留振動検出回路52に供給するのかを切り替える。換言すれば、切替回路53は、圧電素子60と、選択制御回路51とを電気的に接続するのか、又は当該圧電素子60と、残留振動検出回路52とを電気的に接続するのかを切り替える。
残留振動検出回路52は、入力される残留振動信号Voutを検出し、検出した残留振動信号Voutに基づいて対応するノズルNにおける吐出異常の有無、及び吐出異常の原因を判定する。そして、残留振動検出回路52は、検出した残留振動信号Voutに基づいて判定結果信号Rsを生成し、制御部6に出力する。
4.2 選択制御回路の構成、及び動作
まず、図15から図18を用いて、選択制御回路51の構成、及び動作の詳細について説明する。図15は、選択制御回路51の構成を示すブロック図である。図15に示すように、選択制御回路51は、シフトレジスターSR、ラッチ回路LT、デコーダーDC、及びトランスミッションゲートTGa,TGb,TGcからなる組を、2M個のノズルNに1対1で対応するように2M組有する。以下の説明では、2M組の各要素を、図15において上から順番に、1段、2段、…、2M段と称する場合がある。なお、図15には、1段、2段、…、2M段のそれぞれに対応するシフトレジスターSRをSR[1],SR[2],…,SR[2M]と示し、ラッチ回路LTをLT[1],LT[2],…,LT[2M]と示し、デコーダーDCをDC[1],DC[2],…,DC[2M]と示し、駆動信号VinをVin[1],Vin[2],…,Vin[2M]と示している。
選択制御回路51には、クロック信号CL、印刷信号SI、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び駆動信号Comが供給される。ここで、詳細は後述するが図15に示すように本実施形態における駆動信号Comは、3つの駆動信号Com−A,Com−B,Com−Cを含んで構成されている。
印刷信号SIは、画像の1ドットを形成する場合に、対応するノズルNから吐出させるインクの量を規定するデジタルの信号である。詳細には、印刷信号SIは、3ビットの印刷データ[b1,b2,b3]を含む。そして、選択制御回路51は、印刷データ[b1,b2,b3]に応じてノズルNから吐出させるインクの量を規定する。この印刷信号SIは、クロック信号CLに同期して、制御部6から選択制御回路51にシリアルに入力される。選択制御回路51は、入力された印刷信号SIに基づいて、ノズルNから吐出されるインクの量に応じた駆動信号Vinを生成する。この駆動信号Vinが、対応する圧電素子60に供給されることで、媒体Pには、非記録、小ドット、中ドット、及び大ドットの4階調を表現するドットが形成される。また、選択制御回路51は、入力された印刷信号SIに基づいて、ノズルNの状態を検査するための検査用の駆動信号Vinも生成する。
シフトレジスターSRのそれぞれは、印刷信号SIを、ノズルNのそれぞれに対応する3ビットの情報毎に一旦保持すると共に、クロック信号CLに従って順次後段のシフトレジスターSRに転送する。詳細には、2M個のノズルNのそれぞれと1対1で対応する、2M個のシフトレジスターSRが縦続接続される。シリアルで供給された印刷信号SIが、クロック信号CLに従って順次後段のシフトレジスターSRに転送される。そして、2M個のシフトレジスターSRの全てに印刷信号SIが転送された時点で、クロック信号CLの供給が停止する。これにより、2M個のシフトレジスターSRのそれぞれには、2M個のノズルNのそれぞれに対応する印刷信号SIが保持される。
2M個のラッチ回路LTのそれぞれは、ラッチ信号LATの立ち上がりに同期して、2M個のシフトレジスターSRのそれぞれが保持する3ビットの印刷信号SIを一斉にラッチする。ここで、図15に示すSI[1]、SI[2]、…、SI[2M]は、1段、2段、…、2M段の各シフトレジスターSR[1],SR[2],…,SR[2M]で保持され、対応するラッチ回路LT[1],LT[2],…,LT[2M]によってラッチされた印刷信号SIを示している。
ところで、液体吐出装置1が印刷を実行する動作期間は、複数の単位動作期間Tuを含む。また、各単位動作期間Tuは、制御期間Ts1とこれに後続する制御期間Ts2とを含む。この複数の単位動作期間Tuには、印刷処理が実行される単位動作期間Tu、吐出異常検出処理が実行される単位動作期間Tu、及び印刷処理及び吐出異常検出処理の両方の処理が実行される単位動作期間Tu等が含まれる。
制御部6は、選択制御回路51に対して、単位動作期間Tu毎に印刷信号SIを供給するとともに、ラッチ回路LTが単位動作期間Tu毎に印刷信号SI[1]、SI[2]、…、SI[2M]をラッチするように、選択制御回路51を制御する。すなわち、制御部6は、単位動作期間Tu毎に2M個のノズルNに対応する圧電素子60に駆動信号Vinが供給されるように、選択制御回路51を制御する。
具体的には、プリントヘッド35が、単位動作期間Tuにおいて印刷処理のみを実行する場合、制御部6は、2M個のノズルNに対応する圧電素子60に対して、印刷用の駆動信号Vinが供給されるように選択制御回路51を制御する。この場合、2M個のノズルNのそれぞれから画像データImgに応じた量のインクが媒体Pに吐出される。よって、媒体Pには、画像データImgに対応する画像が形成される。
一方、プリントヘッド35が、単位動作期間Tuにおいて吐出異常検出処理のみを実行する場合、制御部6は、2M個のノズルNに対応する圧電素子60に対して検査用の駆動信号Vinが供給されるように選択制御回路51を制御する。
また、プリントヘッド35が、単位動作期間Tuにおいて印刷処理、及び吐出異常検出処理の両方を実行する場合、制御部6は、2M個のノズルNに対応する圧電素子60の一部に対して印刷用の駆動信号Vinが供給されるように選択制御回路51を制御し、残りのノズルNに対応する圧電素子60に対して検査用の駆動信号Vinが供給されるように選択制御回路51を制御する。
デコーダーDCは、ラッチ回路LTによってラッチされた3ビット分の印刷信号SIをデコードし、制御期間Ts1,Ts2のそれぞれにおいて、Hレベル又はLレベルの選択信号Sa,Sb,Scを出力する。
図16は、デコーダーDCが行うデコードの内容を示す図である。図16に示すように、j段(jは、1≦j≦2Mを満たす自然数)に対応する印刷信号SI[j]が示す内容が、例えば印刷データ[b1,b2,b3]が[1、0、0]である場合、j段のデコーダーDCは、制御期間Ts1において、選択信号SaをHレベルに設定するとともに、選択信号Sb及びScをLレベルに設定し、制御期間Ts2において、選択信号Sa及びScをLレベルに設定するとともに、選択信号SbをHレベルに設定する。
また、印刷信号SIの下位ビットb3が「1」の場合、つまり、印刷データ[b1,b2,b3]が[0、0、1]である場合、j段のデコーダーDCは、制御期間Ts1,Ts2において、選択信号Sa及びSbをLレベルに設定するとともに、選択信号ScをHレベルに設定する。
図15に戻り、選択制御回路51は、トランスミッションゲートTGa,TGb,TGcの組を2M個備える。これら、2M個のトランスミッションゲートTGa,TGb,TGcの組は、2M個のノズルNに1対1に対応するように設けられている。
トランスミッションゲートTGaは、選択信号SaがHレベルの場合にオンし、Lレベルの場合にオフする。また、トランスミッションゲートTGbは、選択信号SbがHレベルの場合にオンし、Lレベルの場合にオフする。また、トランスミッションゲートTGcは、選択信号ScがHレベルの場合にオンし、Lレベルの場合にオフする。
例えば、j段目において、印刷信号SI[j]の印刷データ[b1,b2,b3]が[1、0、0]である場合、制御期間Ts1においてトランスミッションゲートTGaはオンに制御され、トランスミッションゲートTGb及びTGcはオフに制御される。また、制御期間Ts2においてトランスミッションゲートTGbはオンに制御され、トランスミッションゲートTGb及びTGcはオフに制御される。
図15に示すように、トランスミッションゲートTGaの一端には、駆動信号Comの内の駆動信号Com−Aが供給され、トランスミッションゲートTGbの一端には、駆動信号Comの内の駆動信号Com−Bが供給され、トランスミッションゲートTGcの一端には、駆動信号Comの内の駆動信号Com―Cが供給される。また、トランスミッションゲートTGa,TGb,TGcのそれぞれの他端は、切替回路53への出力端OTNに共通接続されている。
ここで、図16に示すように、トランスミッションゲートTGa,TGb,TGcは、排他的にオンとなる。したがって、制御期間Ts1,Ts2毎に選択された駆動信号Com−A,Com−B,Com―Cが、駆動信号Vin[j]として出力端OTNに出力される。そして、駆動信号Vin[j]が、切替回路53を介してj段のノズルNに対応する圧電素子60に供給される。
図17は、単位動作期間Tuにおける選択制御回路51の動作を説明するための図である。図17に示すように、単位動作期間Tuは、制御部6が出力するラッチ信号LATにより規定される。また、単位動作期間Tuに含まれる制御期間Ts1,Ts2は、制御部6が出力するラッチ信号LATとチェンジ信号CHとにより規定される。
単位動作期間Tuにおいて、駆動信号生成回路54から供給される駆動信号Com−Aは、印刷用の駆動信号Vinを生成するための信号であり、制御期間Ts1に配置された単位波形PA1と、制御期間Ts2に配置された単位波形PA2とを連続させた波形である。単位波形PA1、及び単位波形PA2の開始、及び終了のタイミングにおける電位は、いずれも基準電位V0である。また、単位波形PA1の電位Va11と電位Va12との電位差は、単位波形PA2の電位Va21と電位Va22との電位差よりも大きい。このため、圧電素子60が単位波形PA1により駆動された場合、当該圧電素子60に対応するノズルNから吐出されるインクの量は、当該圧電素子60が単位波形PA2により駆動された場合にノズルNから吐出されるインクの量よりも多い。
また、単位動作期間Tuにおいて駆動信号生成回路54から供給される駆動信号Com−Bは、印刷用の駆動信号Vinを生成するための信号であり、制御期間Ts1に配置された単位波形PB1と、制御期間Ts2に配置された単位波形PB2とを連続させた波形である。単位波形PB1の開始及び終了のタイミングにおける電位は、いずれも基準電位V0であり、単位波形PB2の電位は、制御期間Ts2に亘って基準電位V0に保たれる。また、単位波形PB1の電位Vb11と基準電位V0との電位差は、単位波形PA2の電位Va21と電位Va22との電位差よりも小さい。そして、ノズルNに対応する圧電素子60が単位波形PB1により駆動された場合、当該圧電素子60に対応するノズルNからはインクは吐出されない。同様に、圧電素子60に単位波形PB2が供給された場合にも、ノズルNからインクは吐出されない。
また、単位動作期間Tuにおいて駆動信号生成回路54から供給される駆動信号Com―Cは、検査用の駆動信号Vinを生成するための信号であり、制御期間Ts1に配置された単位波形PC1と、制御期間Ts2に配置された単位波形PC2とを連続させた波形である。単位波形PC1の開始のタイミングにおける電位、及び単位波形PC2の終了のタイミングにおける電位は、いずれも基準電位V0である。また、単位波形PC1は、基準電位V0から電位Vc11に遷移した後、電位Vc11から電位Vc12に遷移し、その後、制御期間Ts1の終了まで電位Vc12に保たれる。また、単位波形PC2は、電位Vc12を維持した後、制御期間Ts2が終了する前に電位Vc12から基準電位V0に遷移する。
図17に示すように、シリアルに供給された印刷信号SI[1]、SI[2]、…、SI[2M]は、クロック信号CLにより順次シフトレジスターSRで伝搬され、クロック信号CLが停止することで、対応するシフトレジスターSR[1],SR[2],…,SR[2M]に保持される。そして、ラッチ信号LATの立ち上がりのタイミング、すなわち、単位動作期間Tuが開始されるタイミングにおいて、選択制御回路51が有する2M個のラッチ回路LTは、シフトレジスターSR[1],SR[2],…,SR[2M]のそれぞれに保持されている印刷信号SI[1]、SI[2]、…、SI[2M]をラッチする。
2M個のデコーダーDCのそれぞれは、制御期間Ts1,Ts2のそれぞれにおいて、ラッチ回路LTによりラッチされた印刷信号SI[1]、SI[2]、…、SI[2M]に応じた論理レベルの選択信号Sa,Sb,Scを図16に記載の内容に従い出力する。
そして、2M個のトランスミッションゲートTGa,TGb,TGcのそれぞれが、入力される選択信号Sa,Sb,Scの論理レベルに基づいて、オン又はオフに制御されることで、駆動信号Com−A,Com−B,Com−Cのそれぞれが選択、又は非選択とされ、駆動信号Vinとして出力される。
次に、図18を用いて、単位動作期間Tuにおいて選択制御回路51から出力される駆動信号Vinの波形について説明する。図18は、駆動信号Vinの波形の一例を示す図である。
単位動作期間Tuにおいて選択制御回路51に供給される印刷信号SIの印刷データ[b1,b2,b3]が[1、1、0]の場合、デコーダーDCは、制御期間Ts1における選択信号Sa,Sb,Scの論理レベルをH,L,Lレベルとし、制御期間Ts2における選択信号Sa,Sb,Scの論理レベルをH,L,Lレベルとする。したがって、制御期間Ts1において、駆動信号Com−Aが選択され、制御期間Ts2において、駆動信号Com−Aが選択される。よって、選択制御回路51は、単位動作期間Tuにおいて単位波形PA1と単位波形PA2とを連続させた波形の駆動信号Vinを出力する。その結果、対応するノズルNから、単位動作期間Tuにおいて、単位波形PA1に基づく中程度の量のインクと、単位波形PA2に基づく小程度の量のインクとが吐出される。そして、ノズルNから吐出されたインクが媒体Pにおいて結合することにより、媒体Pには、大ドットが形成される。
また、単位動作期間Tuにおいて選択制御回路51に供給される印刷信号SIの印刷データ[b1,b2,b3]が[1、0、0]である場合、デコーダーDCは、制御期間Ts1における選択信号Sa,Sb,Scの論理レベルをH,L,Lレベルとし、制御期間Ts2における選択信号Sa,Sb,Scの論理レベルをL,H,Lレベルとする。したがって、制御期間Ts1において、駆動信号Com−Aが選択され、制御期間Ts2において、駆動信号Com−Bが選択される。よって、選択制御回路51は、単位動作期間Tuにおいて単位波形PA1と単位波形PB2とを連続させた波形の駆動信号Vinを出力する。その結果、対応するノズルNから、単位動作期間Tuにおいて、単位波形PA1に基づく中程度の量のインクが吐出され、媒体Pには、中ドットが形成される。
また、単位動作期間Tuにおいて選択制御回路51に供給される印刷信号SIの印刷データ[b1,b2,b3]が[0、1、0]である場合、デコーダーDCは、制御期間Ts1における選択信号Sa,Sb,Scの論理レベルをL,H,Lレベルとし、制御期間Ts2における選択信号Sa,Sb,Scの論理レベルをH,L,Lレベルとする。したがって、制御期間Ts1において、駆動信号Com−Bが選択され、制御期間Ts2において、駆動信号Com−Aが選択される。よって、選択制御回路51は、単位動作期間Tuにおいて単位波形PB1と単位波形PA2とを連続させた波形の駆動信号Vinを出力する。その結果、対応するノズルNから、単位動作期間Tuにおいて、単位波形PA2に基づく小程度の量のインクが吐出され、媒体Pには、小ドットが形成される。
また、単位動作期間Tuにおいて選択制御回路51に供給される印刷信号SIの印刷データ[b1,b2,b3]が[0、0、0]である場合、デコーダーDCは、制御期間Ts1における選択信号Sa,Sb,Scの論理レベルをL,H,Lレベルとし、制御期間Ts2における選択信号Sa,Sb,Scの論理レベルをL,H,Lレベルとする。したがって、制御期間Ts1において、駆動信号Com−Bが選択され、制御期間Ts2において、駆動信号Com−Bが選択される。よって、選択制御回路51は、単位動作期間Tuにおいて単位波形PB1と単位波形PB2とを連続させた波形の駆動信号Vinを出力する。その結果、対応するノズルNから、単位動作期間Tuにおいて、インクが吐出されない。したがって、媒体Pには、ドットが形成されない。この場合において、選択制御回路51が出力する駆動信号Vinは、ノズルNからインクが吐出されない程度に圧電素子60を駆動させ、ノズル付近のインクの増粘を防止する所謂微振動波形に相当する。
また、単位動作期間Tuにおいて選択制御回路51に供給される印刷信号SIの印刷データ[b1,b2,b3]が[0、0、1]である場合、デコーダーDCは、制御期間Ts1における選択信号Sa,Sb,Scの論理レベルをL,L,Hレベルとし、制御期間Ts2における選択信号Sa,Sb,Scの論理レベルをL,L,Hレベルとする。したがって、制御期間Ts1において、駆動信号Com−Cが選択され、制御期間Ts2において、駆動信号Com−Cが選択される。よって、選択制御回路51は、単位動作期間Tuにおいて単位波形PC1と単位波形PC2とを連続させた波形の駆動信号Vinを出力する。その結果、対応するノズルNから、単位動作期間Tuにおいて、インクが吐出されない。したがって、媒体Pには、ドットが形成されない。この場合において、選択制御回路51が出力する駆動信号Vinは、圧電素子60の残留振動を検出するための検査用波形に相当する。
4.3 切替回路、及び検出回路の構成、及び動作
次に、切替回路53、及び残留振動検出回路52の構成、及び動作について説明する。図19は、切替回路53、及び残留振動検出回路52の電気構成を示す図である。なお、図19には、1段、2段、…、2M段のそれぞれに対応する切替スイッチUをU[1],U[2],…,U[2M]と示し、圧電素子60を60[1],60[2],…,60[2M]と示し、切替スイッチUをU[1],U[2],…,U[2M]と示し、切替制御信号SwをSw[1],Sw[2],…,Sw[2M]と示し、残留振動信号Voutを残留振動信号Vout[1],Vout[2],…,Vout[2M]と示している。
図19に示すように、切替回路53は、2M個の圧電素子60に対応する2M個の切替スイッチUを有する。各切替スイッチUは、切替制御信号Swに基づいて、選択制御回路51から入力される駆動信号Vinを、対応する圧電素子60に供給するのか、又は駆動信号Vinが圧電素子60に供給された後に生じる当該圧電素子60の残留振動に基づく残留振動信号Voutを、残留振動検出回路52に供給するのかを切り替える。
具体的には、切替スイッチU[1]には、切替制御信号Sw[1]が入力される。そして、切替スイッチU[1]は、切替制御信号Sw[1]に基づいて、駆動信号Vin[1]を圧電素子60[1]に供給するのか、又は、圧電素子60[1]に駆動信号Vin[1]が供給された後に圧電素子60[1]に生じる残留振動に基づく残留振動信号Vout[1]を、残留振動信号Voutとして残留振動検出回路52に供給するのかを切り替える。
同様に、切替スイッチU[j]には、切替制御信号Sw[j]が入力される。そして、切替スイッチU[j]は、切替制御信号Sw[j]に基づいて、駆動信号Vin[j]を圧電素子60[j]に供給するのか、又は、圧電素子60[j]に駆動信号Vin[j]が供給された後に圧電素子60[j]に生じる残留振動に基づく残留振動信号Vout[j]を、残留振動信号Voutとして残留振動検出回路52に供給するのかを切り替える。
ここで、切替制御信号Sw[1]〜Sw[2M]は、単位動作期間Tuにおいて、M個の圧電素子60[1]〜[2M]のうちのいずれか1つが残留振動検出回路52と電気的に接続されるように2M個の切替スイッチU[1]〜U[2M]のいずれかの切り替えを制御する。換言すれば、残留振動検出回路52は、切替制御信号Swに基づいてM個の圧電素子60[1]〜60[2M]のそれぞれに対応する残留振動信号Vout[1]〜Vout[2M]の内のいずれか1つを残留振動信号Voutとて検出し、対応するノズルNにおける吐出異常の有無を判定する。そのため、切替制御信号Swは、2M個の切替スイッチU[1]〜U[M]を順次制御できればよく、例えば、制御部6から出力された切替制御信号Swが、シフトレジスターなどにより伝搬されることで、2M個の切替スイッチUを逐次切替える構成であてもよい。
次に、残留振動検出回路52の構成について説明する。図20は、残留振動検出回路52の構成を示すブロック図である。残留振動検出回路52は、残留振動信号Voutを検出し、検出した残留振動信号Voutに基づいてノズルNの吐出異常の有無の検出、及び前記吐出異常の原因を特定する。
図20に示すように、残留振動検出回路52は、検出部510、及び判定部520を含む。検出部510は、駆動信号Vinが圧電素子60に供給された後の内部圧力の変化に基づいて生じるアクチュエーター基板136の変位を残留振動信号Voutとして検出する。
具体的には、検出部510は、波形整形部511と、計測部512とを含み、残留振動信号Voutに基づいて、残留振動の1周期分の時間長を表す検出信号NTcを出力する。波形整形部511は、残留振動信号Voutからノイズ成分を除去した整形波形信号Vdを生成する。波形整形部511は、例えば、残留振動信号Voutの周波数帯域よりも低域の周波数成分を減衰させた信号を出力するためのハイパスフィルターや、残留振動信号Voutの周波数帯域よりも高域の周波数成分を減衰させた信号を出力するためのローパスフィルター等を備える。そして、波形整形部511は、残留振動信号Voutの周波数範囲を限定し、ノイズ成分を除去した整形波形信号Vdを出力する。また、波形整形部511は、残留振動信号Voutの振幅を調整するための負帰還型の増幅回路や、残留振動信号Voutのインピーダンスを変換するためのボルテージフォロア回路などを含んでもよい。
計測部512は、整形波形信号Vdに基づき、残留振動信号Voutの周期を計測し、検出信号NTcを生成する。計測部512には、整形波形信号Vdと、マスク信号Mskと、閾値電位Vth_c,Vth_o,Vth_uとが入力される。ここで、マスク信号Msk、閾値電位Vth_c,Vth_o,Vth_uは、例えば、制御部6から供給されてもよく、また、不図示の記憶部に記憶されていてもよい。
図21は、計測部512の動作を説明するための図である。図21に示すように、閾値電位Vth_cは、整形波形信号Vdの振幅中心レベルの電位に定められた閾値であり、閾値電位Vth_oは、閾値電位Vth_cよりも高電位側に定められた閾値であり、閾値電位Vth_uは、閾値電位Vth_cよりも低電位側に定められた閾値である。そして、計測部512は、入力されるこれらの信号に基づいて、検出信号NTcと、当該検出信号NTcが有効な値であるか否かを示す有効性フラグFlagとを出力する。
具体的には、計測部512は、整形波形信号Vdの電位と閾値電位Vth_cとを比較する。そして、計測部512は、整形波形信号Vdの電位が、閾値電位Vth_c以上の場合にHレベルとなり、整形波形信号Vdの電位が、閾値電位Vth_c未満の場合にLレベルとなる比較信号Cmp1を生成する。
また、計測部512は、整形波形信号Vdの電位と閾値電位Vth_oとを比較する。そして、計測部512は、整形波形信号Vdの電位が、閾値電位Vth_o以上の場合にHレベルとなり、整形波形信号Vdの電位が、閾値電位Vth_o未満の場合にLレベルとなる比較信号Cmp2を生成する。
また、計測部512は、整形波形信号Vdの電位と閾値電位Vth_uとを比較する。そして、計測部512は、整形波形信号Vdの電位が、閾値電位Vth_u未満の場合にHレベルとなり、整形波形信号Vdの電位が、閾値電位Vth_u以上の場合にLレベルとなる比較信号Cmp3を生成する。
マスク信号Mskは、整形波形信号Vdの供給が開始される時刻t0から所定の期間Tmskの間だけHレベルとなる信号である。計測部512は、整形波形信号Vdのうち、期間Tmskの経過後の整形波形信号Vdのみを対象として、検出信号NTcを生成する。これにより、計測部512は、残留振動の開始直後に重畳するノイズ成分を除去した精度の高い検出信号NTcを得ることができる。
計測部512は、不図示のカウンターを備える。マスク信号MskがLレベルに立ち下がった後、整形波形信号Vdの示す電位が最初に閾値電位Vth_cと等しくなるタイミングである時刻t1において、当該カウンターは、不図示のクロック信号のカウントを開始する。すなわち、当該カウンターは、マスク信号MskがLレベルに立ち下がった後、比較信号Cmp1が最初にHレベルに立ち上がるタイミング、又は比較信号Cmp1が最初にLレベルに立ち下がるタイミングのうち、早い方のタイミングである時刻t1において、カウントを開始する。
そして、当該カウンターは、カウントを開始した後において、整形波形信号Vdの示す電位が、2度目に閾値電位Vth_cとなるタイミングである時刻t2においてクロック信号のカウントを終了させる。すなわち、当該カウンターは、マスク信号MskがLレベルに立ち下がった後、比較信号Cmp1が2度目にHレベルに立ち上がるタイミング、又は比較信号Cmp1が2度目にLレベルに立ち下がるタイミングのうち、早い方のタイミングである時刻t2において、カウントを終了する。
そして、計測部512は、当該カウンターにより得られたカウント値を、検出信号NTcとして出力する。すなわち、計測部512は、時刻t1から時刻t2までの時間長を、整形波形信号Vdの1周期分の時間長として計測することで検出信号NTcを生成する。
ここで、図21において鎖線で示すように整形波形信号Vdの振幅が小さい場合、検出信号NTcを正確に計測できないおそれがある。また、整形波形信号Vdの振幅が小さい場合、仮に検出信号NTcの結果のみに基づいてノズルNの吐出状態が正常であると判断される場合であっても、例えば、キャビティーCにインクが注入されていないことによりインクを吐出できない状態である等、実際には吐出異常が生じている可能性が存在する。そこで、計測部512は、整形波形信号Vdの振幅が、検出信号NTcの計測のために十分な大きさを有しているか否かを判定し、当該判定の結果を有効性フラグFlagとして出力する。
具体的には、計測部512は、カウンターによりカウントが実行されている期間、つまり、時刻t1から時刻t2までの期間において、整形波形信号Vdの示す電位が、閾値電位Vth_oを超え、且つ、閾値電位Vth_uを下回る場合、有効性フラグFlagの値を、検出信号NTcが有効であることを示す値「1」に設定し、それ以外の場合には「0」に設定したうえで、有効性フラグFlagを出力する。より詳細には、計測部512は、時刻t1から時刻t2までの期間において、比較信号Cmp2がLレベルからHレベルに立ち上がった後再びLレベルに立下り、且つ、比較信号Cmp3がLレベルからHレベルに立ち上がった後再びLレベルに立下る場合に、有効性フラグFlagの値を「1」に設定し、それ以外の場合に、有効性フラグFlagの値を「0」に設定する。
以上のように計測部512は、整形波形信号Vdの1周期分の時間長を示す検出信号NTcを生成するのに加え、整形波形信号Vdが検出信号NTcの計測のために十分な大きさの振幅を有しているか否かを判定する。これにより、残留振動検出回路52は、より正確に吐出異常の有無を検出することが可能となる。ここで、検出部510が検出回路の一例である。
図20に戻り、判定部520は、整形波形信号Vdの周期と所定の閾値とに基づいて、該当するノズルNにおける吐出異常の有無の検出、及び吐出異常の原因を判定する。そして、判定部520は、吐出異常の有無、及び吐出異常の原因の判定結果を示す判定結果信号Rsを出力する。換言すれば、判定部520は、検出部510が検出した残留振動信号Voutに基づいてノズルNの吐出異常の有無を判定する。また、判定部520は、当該吐出異常の判定結果に基づいて、吐出異常の原因の判定を行う。
図22は、判定部520における判定の内容を説明するための図である。図22に示すように、判定部520は、検出信号NTcが示す時間長を、第1閾値NTx1、第1閾値NTx1よりも長い時間長を表す第2閾値NTx2、及び第2閾値NTx2よりもさらに長い時間長を表す第3閾値NTx3のそれぞれと比較する。
ここで、第1閾値NTx1は、吐出異常の原因として気泡混入が発生して残留振動の周波数が高くなる場合における残留振動の1周期分の時間長と、吐出状態が正常である場合における残留振動の1周期分の時間長との境界を示すための値である。また、第2閾値NTx2は、吐出異常の原因として紙粉付着が発生して残留振動の周波数が低くなる場合における残留振動の1周期分の時間長と、吐出状態が正常である場合における残留振動の1周期分の時間長との境界を示すための値である。また、第3閾値NTx3は、吐出異常の原因として乾燥増粘が発生して、紙粉付着の場合よりもさらに残留振動の周波数が低くなる場合における残留振動の1周期分の時間長と、ノズルN出口付近に紙粉が付着した場合における残留振動の1周期分の時間長との境界を示すための値である。
図22に示すように、判定部520は、有効性フラグFlagの値が「1」であり、且つ、検出信号NTcが「NTx1≦NTc≦NTx2」の関係を満たす場合、対応するノズルNにおけるインクの吐出状態が正常であると判定する。そして、判定部520は、吐出状態が正常であることを示す判定結果信号Rsを出力する。
また、判定部520は、有効性フラグFlagの値が「1」であり、且つ、検出信号NTcが「NTc<NTx1」の関係を満たす場合、キャビティーCに混入した気泡により吐出異常が発生していると判定する。そして、判定部520は、気泡混入の吐出異常が発生していることを示す判定結果信号Rs出力する。
また、判定部520は、有効性フラグFlagの値が「1」であり、且つ、検出信号NTcが「NTx2<NTc≦NTx3」の関係を満たす場合、ノズルNの出口付近に付着した紙粉により吐出異常が発生していると判定する。そして、判定部520は、紙粉付着の吐出異常が発生していることを示す判定結果信号Rsを出力する。
また、判定部520は、有効性フラグFlagの値が「1」であり、且つ、検出信号NTcが「NTx3<NTc」の関係を満たす場合、インクの増粘により吐出異常が発生していると判定する。そして、判定部520は、乾燥増粘の吐出異常が発生していることを示す判定結果信号Rsを出力する。
また、判定部520は、有効性フラグFlagの値が「0」である場合、インクが注入されていない等の原因により吐出異常が発生していることを示す判定結果信号Rsを出力する。
以上のように、判定部520は、第1閾値NTx1、第2閾値NTx2、及び第3閾値NTx3を用いて、残留振動信号Voutの周期に基づいて、対応するノズルNにおいて吐出異常が生じているか否かを判定し、吐出異常が生じている場合においては当該吐出異常の原因として、気泡混入、乾燥増粘及び紙粉付着の少なくとも1つを特定する。そして、判定部520は、当該判定結果を判定結果信号Rsとして制御部6に出力する。制御部6は、判定結果信号Rsに基づいて、回復処理部84において回復処理を実行させる。ここで、判定部520が判定回路の一例である。
5.判定信号処理部の構成、及び動作
以上に説明した判定結果信号Rsは、制御部6が有する判定信号処理部63に入力される。ここで、判定信号処理部63の構成、及び動作について説明する。図23は、判定信号処理部63の構成を示すブロック図である。判定信号処理部63は、判定制御部64と通知部65とを有する。
判定制御部64には、駆動信号選択制御回路200から判定結果信号Rsが入力される。そして、判定制御部64は、入力された判定結果信号Rsが、ノズルNの吐出異常を示す判定結果を含む信号である場合、当該吐出異常の原因に対応する回復処理信号RCを生成し、回復処理部84に出力する。回復処理部84は、判定制御部64から入力される回復処理信号RCに基づいて、当該吐出異常の原因に対応する回復処理を実行する。
また、判定制御部64は、入力された判定結果信号Rsに基づいて、当該判定結果信号Rsに対応するノズルNのノズル情報、吐出異常の有無、及び吐出異常の原因を含む情報を記憶部62に記憶させる。ここで、ノズル情報とは、例えば、各プリントヘッド35において個別に設定されたノズル番号、当該ノズルNが形成されている列番号、ノズルNが設けられているプリントヘッド35の識別情報等を含む対応するノズルNを特定するための情報である。
また、判定制御部64は、回復処理信号RCを出力することで、回復処理部84に回復処理を実行させた場合、当該回復処理の内容を示す回復処理情報を記憶部62に記憶させてもよい。
さらに、判定制御部64は、通知部65に判定部520の判定結果を通知させるための通知制御信号NCを生成し、通知部65に出力する。通知部65は、入力される通知制御信号NCに基づいて、記憶部62に記憶されている各ノズルNのノズル情報、吐出異常の有無、及び吐出異常の原因などの各種情報に基づいて、判定部520による判定結果として、吐出異常が生じたノズルNを通知する。
具体的には、判定制御部64は、使用者による操作パネル83の操作に基づいて、ノズルNの吐出異常の有無の判定結果の通知を指示するための通知制御信号NCを生成し、通知部65に出力する。通知部65は、入力される通知制御信号NCに基づいて、記憶部62に記憶されている各ノズルNのノズル情報、吐出異常の有無、及び吐出異常の原因などの情報を読み出す。そして、通知部65は、記憶部62から読み出した信号に基づいて吐出異常が生じたノズルNの情報を含む通知情報信号NIを生成し出力する。
ここで、通知情報信号NIには、前述の吐出異常が生じたノズルNの情報に加えて、ノズルN毎のノズル情報、吐出異常の有無、及び吐出異常の原因などの判定結果を示す情報、回復処理部84が実行した回復処理により回復したノズルNの情報、及び回復処理部84の回復処理の内容を示す回復処理情報などが含まれてもよい。すなわち、通知部65が通知する情報には、回復処理部84の回復処理により回復したノズルNを示す情報、及び回復処理部84により実行された回復処理の内容を示す回復処理情報が含まれてもよい。
通知部65から出力された通知情報信号NIは、制御部6を介して、適切な信号に変換された後、操作パネル83や、図2に示すホストコンピューター9のディスプレイを含む不図示の表示部に表示される。すなわち、本実施形態における通知部65は、判定部520による残留振動信号Voutの判定結果を、ディスプレイに表示させることで通知する。
ここで、ディスプレイに表示さされる判定結果の表示例について、図24〜図26を用いて説明する。
図24は、ディスプレイに表示される判定結果の第1の表示例を示す図である。図24に示すように、ディスプレイには、プリントヘッド表示選択部310と、判定結果表示部320とが表示されている。
プリントヘッド表示選択部310は、ディスプレイに表示される判定結果を液体吐出装置1が備える複数のプリントヘッド35毎に切り替える。プリントヘッド表示選択部310には、プリントヘッド35の識別番号を示す「No.1」〜「No.4」が表示されている。このプリントヘッド35の識別番号が、液体吐出装置1が有する複数のプリントヘッド35のそれぞれに対応する。以下の説明では、「No.1」の識別番号が、図2に示すプリントヘッド35−1に対応し、「No.2」の識別番号が、図2に示すプリントヘッド35−2に対応し、「No.3」の識別番号が、図2に示すプリントヘッド35−3に対応し、「No.4」の識別番号が、図2に示すプリントヘッド35−4に対応するとして説明する。なお、図24には、識別番号が「No.1」に対応するプリントヘッド35−1が選択されている場合を例示している。
判定結果表示部320には、複数のノズルNの判定結果を示す判定結果一覧表330が表示される。判定結果一覧表330には、プリントヘッド表示選択部310により選択されたプリントヘッド35が有する複数のノズルNに個別に対応するノズル番号と、当該ノズルNの判定結果とが表示される。
具体的には、判定結果一覧表330の上段の行に示された1〜100の値と、左側の列に示された1〜100、101〜200、・・・とで、プリントヘッド35が有する複数のノズルNのノズル番号が表現される。そして、判定結果一覧表330において、上段の行に示す1〜100の値と、左側の列に示す1〜100、101〜200、・・・とが交差する地点の表示が、対応するノズル番号の判定結果を示す。すなわち、図24に示すa部には、ノズル番号が“204”のノズルNの判定結果が例示されている。
以上のように構成された、判定結果の第1の表示例では、プリントヘッド35が有する複数のノズルNの全てを表示し、インクの正常な吐出が可能なノズルN、吐出異常が生じたノズルN、及び吐出異常が生じた後、回復処理により回復したノズルNのそれぞれを、あらかじめ定めた任意の記号を用いて表現している。これにより、使用者は、プリントヘッド35において、インクの正常な吐出が可能なノズルN、吐出異常が生じたノズルN、及び吐出異常が生じた後、回復処理により回復したノズルNを一様に認識することが可能となる。
なお、図24に示す第1の表示例では、インクの正常な吐出が可能なノズルNを“丸”の記号で表現し、吐出異常が生じたノズルNを“バツ”の記号で表現し、吐出異常が生じた後、回復処理により回復したノズルNを“三角”の記号で表現しているが、これに限るものではない。すなわち、用いる記号の色、形状、大きさは、上述した例に限られるものではない。さらに、当該記号を点滅させることで強調して表示してもよい。使用する記号の種類を増やすことにより、吐出異常の原因、回復処理の内容を示す回復処理情報などを表示することが可能となり、使用者に対してより多くの情報を提供することが可能となる。
図25は、ディスプレイに表示される判定結果の第2の表示例を示す図である。図25に示すように、ディスプレイには、第1の表示例と同様にプリントヘッド表示選択部310と、判定結果表示部320とが表示されている。
プリントヘッド表示選択部310は、第1の表示例と同様に、ディスプレイに表示される判定結果を液体吐出装置1が備える複数のプリントヘッド35毎に切り替える。そのため、詳細な説明を省略する。
判定結果表示部320には、吐出異常が生じたノズルNのノズル番号と、当該ノズル番号に対応する現在の状況、吐出異常の原因、及び実行された回復処理が表示される。具体的には、図25に示す例では、ノズル番号が“97”に対応するノズルNにおいて、乾燥増粘を原因とする吐出異常が検出されたが、回復処理としてフラッシング処理が実行されたことにより、対応するノズルNは吐出異常の状態から回復したことが例示されている。また、図25に示す例では、ノズル番号が“102”に対応するノズルNにおいて、紙粉付着を原因とする吐出異常が検出され、回復処理としてワイピング処理を実行したが、対応するノズルNは吐出異常の状態を継続し、回復していないことが例示されている。
以上のように構成された、判定結果の第2の表示例では、吐出異常が生じたノズルNに対して、実行された回復処理、及び回復処理により当該のノズルNの吐出異常が解消されたかを使用者に通知することが可能となる。したがって、使用者は、ノズルNに対して実行された回復処理とその実績から、最適な回復処理を選択し実行させることが可能となる。なお、図25に示す第2の表示例において、吐出異常が検出、及び回復処理が実行された日時などを合わせて表示してもよく、また、複数回の回復処理が実行されている場合において、実行された回復処理の履歴を合わせて表示してもよい。また、回復処理により回復したノズルNの表示は、一定の期間経過することで、削除されてもよい。
図26は、ディスプレイに表示される判定結果の第3の表示例を示す図である。図26に示すように、ディスプレイには、判定結果表示部320のみが表示され、プリントヘッド表示選択部310は表示されていない。
判定結果表示部320には、プリントヘッド35−1〜35−4のそれぞれの識別番号と、プリントヘッド35−1〜35−4のそれぞれが有するノズルNの内、吐出異常が生じたノズルNのノズル番号が一覧として表示されている。また、判定結果表示部320には、吐出異常が生じた後、回復処理により回復したノズルNのノズル番号が、カッコ書きで表示されている。
具体的には、図26に示す例では、「No.1」に対応するプリントヘッド35−1が有する複数のノズルNの内、ノズル番号が“97”のノズルNにおいて、吐出異常が生じていることが例示されている。また、「No.3」に対応するプリントヘッド35−3が有する複数のノズルNの内、ノズル番号が“273”のノズルNにおいて、吐出異常が生じていたが、回復処理により回復したことが例示されている。
以上のように構成された、判定結果の第3の表示例では、複数のプリントヘッド35を有する液体吐出装置1において、表示を切り替えることなく液体吐出装置1において、吐出異常が生じているノズルN、及び回復処理により回復したノズルNを、通知することが可能となる。すなわち、使用者は、ノズルNの吐出異常の発生頻度が高いノズルNを有するプリントヘッド35や、回復処理により回復し難いノズルNを有するプリントヘッド35を把握することが可能となる。これにより、使用者はプリントヘッド35の最適な交換時期を把握することが可能となる。なお、図26に示す第3の表示例において、吐出異常が検出、及び回復処理が実行された日時などを合わせて表示してもよく、また、複数回の回復処理が実行されている場合において、実行された回復処理の履歴を合わせて表示してもよい。
ここで、上述した第1から第3の表示例は一例であり、これに限るものではなく、また、第1から第3の表示例を組み合わせたものであってもよい。
6.液体吐出装置における吐出異常の判定結果の通知方法
以上に説明した、残留振動信号Voutに基づいて検出されたインクの吐出異常を検出、判定、及び通知する機能を有する液体吐出装置1の制御方法について、説明する。図27は、液体吐出装置1の制御方法を説明するための図である。
液体吐出装置1が印刷処理を開始することで、駆動信号Vinが圧電素子60に供給される。その場合において、切替制御信号Swに従って、切替スイッチUが切り替えられることで、検査対象の圧電素子60に駆動信号Vinが供給された後のキャビティーCの内部圧力の変化に基づいて生じるアクチュエーター基板136の変位が残留振動信号Voutとして、残留振動検出回路52に供給される。
残留振動検出回路52に供給された残留振動信号Voutは、検出部510に入力される。そして、検出工程において、検出部510は、残留振動信号Voutを検出する(ステップS110)。
その後、判定工程において、判定部520は、検出工程において検出された残留振動信号Voutに基づいて、対応するノズルNに吐出異常が生じていないかを判定する(ステップS120)。すなわち、判定部520は、判定工程において、残留振動信号Voutを検出した吐出部600における吐出異常の有無を判定する。
判定部520が、対応する吐出部600に吐出異常が生じていないと判定した場合(ステップS120のY)、判定制御部64は、当該吐出部600に含まれるノズルNは、吐出異常が生じていないノズルNとして記憶部62に記憶する(ステップS130)。
一方、判定部520が、対応する吐出部600に吐出異常が生じている判定した場合(ステップS120のN)、判定制御部64は、当該吐出部600に含まれるノズルNは、吐出異常が生じているノズルNとして記憶部62に記憶する(ステップS140)。
その後、判定制御部64は、吐出異常の原因に対応する回復処理信号RCを生成し、回復処理部84に出力すると共に、回復処理の内容を示す回復処理情報を記憶部62に記憶させる。すなわち、判定制御部64は、吐出異常の原因に対応する回復処理を実行させると共に、回復処理情報を記憶部62に記憶する(ステップS150)。
判定制御部64が、当該吐出部600に含まれるノズルNは、吐出異常が生じていないノズルNとして記憶部62に記憶した(ステップS130)後、又は、判定制御部64が、吐出異常の原因に対応する回復処理を実行させると共に、回復処理情報を記憶部62に記憶した(ステップS150)後、判定制御部64は、使用者による操作パネル83の操作等に基づく吐出異常の判定結果の通知要求があるのかを判定する(ステップS160)。
使用者による操作パネル83の操作により吐出異常の判定結果の通知要求が無い場合(ステップS160のN)、液体吐出装置1は、上述したステップS110となり、同様の制御を繰り返す。一方、使用者による操作パネル83の操作により吐出異常の判定結果の通知要求がある場合(ステップS160のY)、判定制御部64は、通知部65に対して吐出異常ノズルを通知させるための通知制御信号Ncを生成し、通知部65に出力する。通知部65は、記憶部62に記憶された情報を読み出す。そして、通知部65は、通知工程として、記憶部62から読み出した情報に基づいて、判定工程における判定結果として、吐出異常が生じたノズルNを通知する(ステップS170)。具体的には、通知部65は、判定工程における判定結果として、吐出異常が生じたノズルNを通知するための通知情報信号Niを生成し出力する。
通知部65が出力した通知情報信号Niは、制御部6を介して、当該通知情報を画像データとして表示するディスプレイに供給される。
ここで、図27に示す液体吐出装置1の制御方法は一例であり、各種判定、及び各種制御の順序が入れ替わってもよく、また、同時に実行されていてもよい。
7.作用効果
以上に説明したように、本実施形態における液体吐出装置1は、検出部510が、アクチュエーター基板136の変位に基づく残留振動信号Voutを検出し、判定部520において、残留振動信号Voutに基づいて、吐出異常の有無を判定する。そして、通知部65が、判定部520における吐出異常の有無を示す判定結果として、吐出異常が生じたノズルNを通知する。これにより、使用者は、液体吐出装置1において、吐出異常が生じているノズルNを把握することが可能となる。使用者が、吐出異常が生じているノズルNを把握できることで、当該吐出異常に起因して印刷品質の低下するおそれを、予見することが可能となり、より適したタイミングにおいて当該吐出異常に対する回復処理の実行、またプリントヘッド35の交換等が可能となる。すなわち、液体吐出装置1の利便性をさらに高めることが可能となる。
また、本実施形態における液体吐出装置1において、通知部65は、吐出異常が生じたノズルNに対する回復処理の内容、及び当該回復処理による回復したノズルNを通知することで、吐出異常が生じやすいノズルNを把握するととともに、当該ノズルNを回復させることにより適した回復処理を実行させることが可能となる。したがって、液体吐出装置1の利便性をさらに高めることが可能となる。
8.変形例
以上に説明した液体吐出装置1において、通知部65は、判定結果をディスプレイに表示させることで通知していたが、印刷媒体に印刷させることで通知してもよい。具体的には、制御部6が、通知部65から出力される通知情報信号Niに基づいて、図24から図26に例示するような判定結果を媒体Pに印刷するためのクロック信号CL、印刷信号SI、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び切替制御信号Swを生成し、生成された各種信号に基づいて液体吐出装置1が制御されることで、媒体Pに、図24から図26に例示される判定結果が印刷されてもよい。また、この場合において、プリントヘッド表示選択部310により切り替えられる各種表示は、例えば別の媒体Pに印刷されてもよい。以上のような変形例であっても、本実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
また、以上に説明した液体吐出装置1において、通知部65は、発光素子により通知してもよい。具体的には、通知部65から出力される通知情報信号Niに基づいて、制御部6が、発光素子の点灯時間、点灯周期、及び点灯回数の少なくとも1つに基づいて、吐出異常が生じたノズルNに対応するノズル番号を通知してもよい。また、複数の発光素子を備え、通知部65から出力される通知情報信号Niに基づいて、制御部6が、吐出異常が生じたノズルNに対応する発光素子を点灯、又は点滅させることで吐出異常が生じたノズルNを通知してもよい。この場合であっても、本実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
また、以上に説明した液体吐出装置1において、通知部65は、音により通知してもよい。具体的には、通知部65から出力される通知情報信号Niに基づいて、制御部6が、スピーカを介して、吐出異常が生じたノズルNに対応するノズル番号を音声により通知してもよい。この場合であっても、本実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
以上、実施形態及び変形例について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。例えば、上記の実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
1…液体吐出装置、3…移動体、4…印刷手段、6…制御部、7…給紙装置、9…ホストコンピューター、30…ヘッドユニット、31…インクカートリッジ、32…キャリッジ、35…プリントヘッド、41…キャリッジモーター、42…往復動機構、43…キャリッジモータードライバー、51…選択制御回路、52…残留振動検出回路、53…切替回路、54…駆動信号生成回路、60…圧電素子、61…CPU、62…記憶部、63…判定信号処理部、64…判定制御部、65…通知部、71…給紙モーター、72…給紙ローラー、72a…従動ローラー、72b…駆動ローラー、73…給紙モータードライバー、81…トレイ、82…排紙口、83…操作パネル、84…回復処理部、131…流路、132…流路基板、133…流路、134…圧力室基板、136…アクチュエーター基板、137…開口、138…配線基板、139…流路、140…筐体部、145…収容空間、152…ノズル板、162…集積回路装置、164…接続配線、200…駆動信号選択制御回路、310…プリントヘッド表示選択部、320…判定結果表示部、330…判定結果一覧表、421…タイミングベルト、422…キャリッジガイド軸、510…検出部、511…波形整形部、512…計測部、520…判定部、600…吐出部、C…キャビティー、DC…デコーダー、F1,FA,G1,G2…面、L1,L2…列、LAT…ラッチ信号、LT…ラッチ回路、N…ノズル、RA…流路、SR…シフトレジスター、TGa,TGb,TGc…トランスミッションゲート、U…切替スイッチ

Claims (7)

  1. 駆動信号に基づいて駆動される駆動素子と、前記駆動素子の駆動により変位する振動板と、内部に液体が充填され前記振動板の変位により内部圧力が変化するキャビティーと、前記内部圧力の変化により液体が吐出されるノズルと、を有するプリントヘッドと、
    前記駆動信号が前記駆動素子に供給された後の前記内部圧力の変化に基づいて生じる前記振動板の変位を残留振動信号として検出する検出回路と、
    検出した前記残留振動信号に基づいて前記ノズルの吐出異常の有無を判定する判定回路と、
    前記判定回路の判定結果を通知する通知部と、
    を備え、
    前記通知部は、前記判定結果として、前記吐出異常が生じた前記ノズルを通知する、
    ことを特徴とする液体吐出装置。
  2. 前記吐出異常に対する回復処理を実行する回復処理部を備え、
    前記通知部は、前記回復処理により回復した前記ノズルを通知する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
  3. 前記通知部は、前記回復処理の内容を示す回復処理情報を通知する、
    ことを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
  4. 前記通知部は、前記判定結果をディスプレイに表示させることで通知する、
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
  5. 前記通知部は、前記判定結果を印刷させることで通知する、
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
  6. 前記通知部は、前記判定結果を、発光素子により通知する、
    ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
  7. 駆動信号に基づいて駆動される駆動素子と、前記駆動素子の駆動により変位する振動板と、内部に液体が充填され前記振動板の変位により内部圧力が変化するキャビティーと、前記内部圧力の変化により液体が吐出されるノズルと、を有するプリントヘッドを備える液体吐出装置の制御方法であって、
    前記駆動信号が前記駆動素子に供給された後の前記内部圧力の変化に基づいて生じる前記振動板の変位を残留振動信号として検出する検出工程と、
    前記残留振動信号に基づいて、前記ノズルの吐出異常の有無の判定する判定工程と、
    前記判定工程における判定結果として、前記吐出異常が生じた前記ノズルを通知する通知工程と、
    を含む、
    ことを特徴とする液体吐出装置の制御方法。
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