JP2020172860A - エンジンの冷却装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】エンジンの冷却装置において、オイルジェットの耐久性を確保しながら、オイルポンプを大型化させることなく、エンジンの中低回転時においてもオイルジェットのオイル吐出流量を増大させる。【解決手段】エンジンの冷却装置は、シリンダブロック11に摺動可能に配設されたピストン13と、シリンダブロック11に設けられたオイル循環路17と、シリンダブロック11に取り付けられてピストン13の裏面にオイルを噴射するオイルジェット20と、を備え、該オイルジェット20は、オイル循環路17からオイルを流入する入口部32と、ノズル部40が取り付けられた出口部38と、を有する流路31が設けられた本体部30と、本体部30に内装され、流路31を開閉する球状の弁体51と、を有し、流路31には、弁体51の移動を案内する円筒状の弁体案内部35と、該弁体案内部35に設けられて流路に沿って延びる溝部35aとが設けられている。【選択図】図3

Description

本発明は、自動車等の車両に搭載されるエンジンの冷却装置に関するものであり、特に、ピストンを冷却するエンジンの冷却装置に関する。
車両に搭載されるエンジンは、シリンダブロックの上部にシリンダが形成され、シリンダ内には、ピストンが挿入されている。ピストンは、コネクティングロッド等を介して、クランクシャフトに連結されている。シリンダブロックの下部には、エンジンの回転部や摺動部に供給されるオイルを収容するオイルパンが連結されている。
エンジンには、該エンジンの回転で駆動するオイルポンプが備えられ、オイルポンプはシリンダブロックに設けられたオイル循環路にオイルを供給し、オイル循環路に供給されたオイルによって、エンジンの回転部および摺動部が潤滑される。
このようなエンジンにおいて、ピストンが過加熱状態になると、異常燃焼が発生しやすくなるとともに、ピストンの熱膨張によりピストンの外周面とシリンダの内周壁との間のクリアランスがなくなり、摩擦抵抗が増大する。また、過加熱と冷却とが繰り返されると、ピストンの頂部に劣化または損傷が生じることがある。
そこで、この種のエンジンでは、一般に、シリンダブロックに取り付けられるとともに、オイル循環路からオイルが供給され、ピストンにオイルを噴射するオイルジェットが備えられている。
オイルジェットは、例えば、前述のオイル循環路からオイルを流入する入口部と、ノズル部が取り付けられた出口部と、を有する流路が設けられた本体部とを備え、本体部には、流路を開閉するバルブ機構が設けられている。バルブ機構は、流路に形成された座面部と、座面部を開閉する球状の弁体としてのボールと、ボールを座面部に着座させる方向に付勢する付勢手段としてのスプリングとを備えている。
オイルジェットの流路は、オイル循環路に連通されており、このようなオイルジェットを備えたエンジンにおいては、オイル循環路の油圧が設定値以上になると、この油圧によりスプリングが圧縮され、ボールが下降してバルブ機構が開弁状態となる。その結果、オイル循環路内のオイルが、ノズルの先端から噴射される。噴射されたオイルは、ピストンの背面に吹き付けられてピストンが冷却される。
ところで、エンジンの回転数とオイルポンプの回転数とは同調しているので、エンジンの回転数が高くなることに伴って、オイルジェットのオイル吐出量が多くなる。また、エンジンは、低回転時と高回転時ではピストンの発熱量が異なり、高回転時の方が高温になりやすい。そのため、高回転時に必要とされるオイル吐出量を確保するためには、オイルポンプの大型化が考えられるが、燃費性能の観点から課題がある。
これに対して、特許文献1に記載のオイルジェットでは、オイルポンプの大型化を抑制しつつ、高回転時に必要なオイル吐出量を確保可能にされている。
具体的には、特許文献1のオイルジェットは、オイル循環路に連通された流路をオイル循環路側に位置する第1流路と、ノズル側に位置するとともに第1流路よりも大径の第2流路と、を備えた構成とされている。これにより、オイルジェットの流路に流入したオイルが、ボールが第2流路に位置する高回転時において、流路を通過するオイルの流量を増大させることができる。なお、特許文献1のオイルジェットは、エンジンの低回転時と高回転時とで2段階のオイル吐出量が選択できるようにされている。
特開2015−175257号公報
ところで、エンジンの熱損失の抑制を目的に、ピストンにアルミと比べて熱伝導率の低い材質(例えば、スチール)を用いる場合がある。熱伝導率の低い材質は、熱損失を改善できる一方で、燃焼の熱をより蓄熱してしまうため、低回転低負荷等の高回転時に比して低い回転数となる中回転および低回転時(以下、中低回転時ともいう)においても冷却が必要となる。そして、中低回転時(オイル循環路内の油圧が高回転時に比して低油圧であるとき)にオイルジェットの吐出流量を増大させるために、オイルポンプを大型化することが考えられるが、前述のように燃費性能の観点から改善の余地がある。
これに対して、特許文献1のように、流路の内壁面とボールとの間のクリアランスを大きくすることが考えられる。この場合、例えば、オイル循環路内の油圧が変動したときに、ボールが振動して流路の内壁面に衝突し、摩耗を生じさせる場合がある。このため、オイルジェットのオイル吐出量が意に反して増大する等によって、ピストンの冷却を適切に行うことができなくなる虞がある。
そこで、本発明では、エンジンの冷却装置において、オイルジェットの耐久性を確保しながら、オイルポンプを大型化させることなく、エンジンの中低回転時においてもオイルジェットのオイル吐出流量を増大させることを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明に係るエンジンの冷却装置は、次のように構成したことを特徴とする。
まず、本願の請求項1に記載の発明は、
エンジンの冷却装置であって、
シリンダブロックと、
前記シリンダブロックに摺動可能に配設されたピストンと、
前記シリンダブロックに設けられたオイル循環路と、
前記シリンダブロックに取り付けられて前記ピストンの裏面にオイルを噴射するオイルジェットと、を備え、
該オイルジェットは、
前記オイル循環路からオイルを流入する入口部と、ノズル部が取り付けられた出口部と、を有する流路が設けられた本体部と、
前記本体部に内装され、前記流路を開閉する球状の弁体と、を有し、
前記流路には、前記弁体の移動を案内する円筒状の弁体案内部と、該弁体案内部に設けられて前記流路に沿って延びる溝部とが設けられていることを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の発明において、
前記オイルジェットは、前記弁体を前記流路が閉じられる方向に付勢する付勢手段を備えていることを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、前記請求項1または前記請求項2に記載の発明において、
前記溝部は、オイルの流れと平行して設けられていることを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、前記請求項1から前記請求項3のいずれか1項に記載の発明において、
前記溝部は、略半円形状であることを特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、前記請求項1から前記請求項4のいずれか1項に記載の発明において、
前記溝部は、前記弁体が開方向に移動したときに、先に弁体が到達する第1の溝部と、該第1の溝部よりも後に前記弁体が到達する第2の溝部とを有していることを特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、前記請求項1から前記請求項4のいずれか1項に記載の発明において、
前記溝部は、前記流路の上流側から下流側に向かうに連れて断面積が増大されていることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、例えば、エンジンの中低回転時におけるオイル循環路の油圧が、所定値に達することで、弁体が弁体案内部に案内されて下流側へ移動すると、流路が開状態となる。開状態の流路内には、入口部からオイルが流入する。入口部から流入したオイルは、弁体と流路との間の隙間を通過してノズル部から噴射される。
エンジンの中低回転時におけるオイル循環路の油圧が、例えば、前記所定値よりも高く設定された第2の所定値に達することで、弁体が弁体案内部における溝部が設けられた位置に移動された場合、入口部から流入したオイルは、弁体と流路との間の隙間に加えて、溝部を通過してノズル部から噴射される。
これにより、オイル循環路の油圧が第2の所定値である場合の流路面積は、オイル循環路の油圧が所定値である場合の流路面積に比して拡大される。その結果、弁体案内部を通過して吐出されるオイル流量は、オイル循環路の油圧が同じ、かつ、溝部を有しない弁体案内部を通過してノズル部から吐出されるオイル吐出流量よりも増加される。
弁体は、弁体案内部に案内されて流路内を移動するので、流路内で振動することが抑制されるので、例えば、オイル循環路の油圧が変動したときに、弁体の振動による流路への衝突が抑制され得る。したがって、オイルジェットの耐久性を確保しながら、オイルポンプを大型化させることなく、エンジンの中低回転時においてもオイルジェットのオイル吐出流量を増大させることができるので、ピストンが適切に冷却され得る。
また、請求項2に記載の発明によれば、オイル循環路の油圧と、該油圧に抗する付勢手段との関係によって、オイル循環路の油圧に対応させて弁体の位置を決定することができる。これにより、流路を開閉するオイル循環路の油圧を適宜設定することができるので、オイルジェットからオイルが吐出される開始時期を決定することができる。また、オイル循環路の油圧に応じた、弁体が弁体案内部の溝部に対応した位置に到達する時期を、付勢手段によって設定することができるので、ノズル部からのオイル吐出油量を増大させたい時期を適切に設定することができる。
また、請求項3に記載の発明によれば、オイル流れに対して溝部が平行して設けられているので、溝部によってオイルの流れを妨げる虞がなく、オイルの流路抵抗を小さくでき、ノズル部から噴射されるオイルの吐出流量を増大させやすい。
また、請求項4に記載の発明によれば、溝部が略半円形状であるので、オイルの流路抵抗が小さく、ノズル部から噴射されるオイルの吐出流量を増大させやすい。
また、請求項5に記載の発明によれば、弁体が開方向に移動したときに第1の溝部に到達する時期と、第2の溝部に到達する時期とが異なるので、オイルジェットのオイル吐出流量を、第1の溝部を通過するオイル流量から、第1の溝部に加え第2の溝部を通過するオイル流量に変更するタイミングを適切に設定することができる。オイル循環路の油圧が高くなるにつれて、吐出流量を増加させることで、例えば、低回転時と高回転時とにおいて、それぞれに必要な流量を確保しやすい。
また、請求項6に記載の発明によれば、溝部は、流路の上流側から下流側に向かうにつれて断面積が増大されているので、弁体の位置が下流に向かうにつれて吐出流量を増大させることができる。
本発明の実施形態に係るエンジンの冷却装置を備えたエンジンのシリンダブロックおよびピストンの一部断面図である。 図1におけるオイルジェット周辺を拡大して示す断面図である。 第1実施形態におけるオイルジェットの本体部の(a)拡大断面図、(b)(a)におけるX1−X1断面図、(c)(a)におけるX2−X2断面図である。 第1実施形態におけるオイルジェットの動作を示す説明図であり、ボールが座面部から離間して弁体案内部(第2流路)を移動している状態を示すものである。 実施形態におけるオイルジェットのオイル循環路の油圧に対する吐出流量の特性図である。 第2実施形態におけるオイルジェットの本体部の(a)拡大断面図、(b)(a)におけるX3−X3断面図、(c)(a)におけるX4−X4断面図である。 第3実施形態におけるオイルジェットの本体部の(a)拡大断面図、(b)(a)におけるX5−X5断面図、(c)(a)におけるX6−X6断面図である。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るエンジンの冷却装置について説明する。
図1に示すように、一般に、自動車用のエンジン1においては、シリンダブロック11の上部にシリンダ12が形成され、このシリンダ12内にピストン13が収容されている。シリンダブロック11の上部には、シリンダ12を冷却するための冷却水通路14が設けられている。ピストン13は、コンロッド15を介してクランクシャフト(図示せず)に連結されている。
シリンダブロック11には、エンジン1のクランクシャフト等の回転部及びピストン13等の摺動部等の要潤滑部にオイルを供給するためのオイル循環路17が設けられている。オイル循環路17は、気筒の配列方向に延びるように形成されている。オイルは、シリンダブロック11の下側に取り付けられたオイルパン(図示せず)内に貯留されている。オイルは、エンジン1の回転で駆動するオイルポンプ(図示せず)によって、オイル循環路17に供給される。
本実施形態において、ピストン13は、アルミニウムよりも熱伝導率の低い材質(例えば、スチール)で形成されている。これにより、熱損失が抑制されて燃費の向上が図られている。なお、本実施形態においては、ピストン13にスチールを用いた例を用いて説明したが、アルミニウムによって形成されていてもよい。
シリンダ12の下端部近傍位置におけるシリンダブロック11には、ピストン13を冷却するためのオイルジェット20が設けられている。オイルジェット20は、オイル循環路17から供給されるオイルを、ピストン13の背面(ピストン13の摺動方向に見て燃焼室とは反対側の面)に噴射し、燃焼によって蓄熱されるピストン13を冷却するようになっている。
図2に示すように、オイルジェット20へは、シリンダブロック11のオイル循環路17の下方に位置するとともに、該オイル循環路17に連通可能に形成されたオイル循環路開口部18からオイルが供給される。
オイルジェット20は、オイル循環路17からオイルを流入する入口部32と、オイルをピストン13の背面に向けて噴射するノズル部40が取り付けられる出口部38とを備えた流路31が設けられた本体部30を有している。また、本体部30には、バルブ機構50を構成する弁体としてのボール51が内装されている。
図2および図3(a)に示すように、本体部30は、金属からなる円筒状部材であって、一端側から他端側に向けて貫通するように、入口部32、第1流路33、座面部34、第2流路35、プラグ固定穴36が連通して内部に形成されている。これらは、本体部30の長手方向に延びる中心軸に対して同心状に形成されている。オイルジェット20は、本体部30と一体的に形成された被取付部30Aを介してボルト61等によって、シリンダブロック11に取り付けられている。
入口部32は、本体部30の上端部30aに形成されるとともに、オイル循環路17に接続されている。本体部30の上端部30aの外径は、オイル循環路開口部18の径よりも僅かに小径に設定されている。これにより、本体部30の上端部30aは、オイル循環路開口部18に挿入されて、オイルの供給を受ける。
入口部32の下流側には、第1流路33が連続して設けられ、第1流路33のさらに下流側には、バルブ機構50の一部を構成する座面部34を介して、弁体案内部としての第2流路35が連続して設けられている。第1流路33の径D1は、全体として第2流路35の径D2よりも小径に形成されている。
プラグ固定穴36は、本体部30の下端部30bに形成されているとともに、プラグ37が嵌め込まれることによって封止されている。プラグ37は、円盤状の基部37aと略円柱状の柱状部37bとを備えている。プラグ37は、本体部30の下端部30bを基部37aに対してかしめることにより(かしめ加工)により本体部30に取り付けられている。
第2流路35の下流側には、径方向外側に突出するとともに、第2流路35を本体部30の外側と連通する出口部としてのボス部38が形成されている。ボス部38には、後述のノズル部40の基端部41aが挿入されるとともに、例えば、ロウ付けによって固定されている。
図2に示すように、ノズル部40は、金属からなる管状部材によって形成されている。ノズル部40は、オイルジェット20の本体部30からシリンダブロック11の中央部に向けて水平に延びる水平部41と、該水平部41からさらにシリンダブロック11の中央側、かつ、斜め上方に延びる傾斜部42と、該傾斜部42の上端部から上方、かつ、シリンダ12内に延びる上方延設部43とを備えている。上方延設部43の上端部には、ピストン13の背面に向けてオイルを噴射する噴出口44がさらに設けられている。ノズル部40の基端部41aは、前述のように本体部30の出口部38に接続されて流路31に連通されている。
バルブ機構50は、図3(a)に示すように、座面部34と、第1流路33と第2流路35との間を開閉する弁体としてのボール51と、ボール51を座面部34に着座させる方向に付勢する付勢手段としてのスプリング52と、スプリング52の一端を支持するとともに本体部30の下端部30bを封止する前述のプラグ37とを備えている。
ボール51は、例えば金属で形成されている。ボール51の径Dbは、図3(b)に示すように、第1流路33の径D1よりも大径、かつ、第2流路35の径D2よりも僅かに小径に形成されている。ボール51は、後述のスプリング52の不勢力によって、座面部34に着座した状態で収容される。オイルジェット20は、ボール51の座面部34への着座により閉弁し、ボール51の座面部34からの離間によって開弁する(図3(a)参照)。
スプリング52は、例えばステンレス線やピアノ線をコイル状に巻回してなる圧縮コイルスプリングである。スプリング52は、第2流路35内に収納されている。スプリング52の基端部52aは、プラグ37に当接し、スプリング52の先端部52bは、ボール51に当接するとともにボール51を座面部34方向に付勢する。スプリング52は、流路31に組み込まれた状態のプラグ37の基部37aとボール51との間に圧縮状態で収容されている。
ところで、本実施形態では、ピストン13がアルミニウムよりも熱伝導率の低い材料(例えば、スチール)を用いているため、燃焼によって蓄熱しやすい。したがって、エンジンの高回転(例えば3000rpm以上)時よりも回転数の低い、低回転(例えば、1500rpm以下)時および中回転(例えば、1500rpm〜3000rpm)時においてもピストン13を冷却するためのオイル流量を確保する必要がある。
これに対して、本実施形態の第2流路35において、中低回転時におけるオイルジェット20からのオイルの吐出流量を増大させる構成を有しているので、以下に詳細を説明する。
図3(a)および(b)に示すように、第2流路35の直径D2は、ボール51の直径Dbよりも僅かに大径となるように、所定のクリアランスCL1が設けられている。所定のクリアランスCL1は、ボール51が第2流路35内で振動しない程度の寸法にされている。これにより、第2流路35の内壁面によって、流路31内におけるボール51の移動がガイドされる。
第2流路35には、図3(a)および(c)に示すように、第2流路35の内壁部を径方向外側に拡大するとともに流路方向に延びる4つの溝部35a…35aが設けられている。各溝部35aは、径方向(流路方向と直交する方向)から見て、座面部34に着座した状態におけるボール51の中心位置P1よりも下流側の所定位置からさらに下流側(本体部30の下端部30b)に向かって延びるように形成されている。
各溝部35aは、図3(a)に示すように、第2流路35の内壁部に沿って、流路方向に平行して設けられている。これにより、例えば、溝部35aがオイルの流れを妨げることがないので、オイルの流路抵抗を小さくでき、オイル流量を増大させやすい。
図3(c)に示すように、隣接する溝部35a同士の周方向距離が等間隔になるように配置されている。これにより、第2流路35を通過するオイルが、第2流路35内を偏って通過する等によって、第2流路35内におけるボール51の移動が妨げられることが抑制され得る。各溝部35aは、流路方向(軸方向)から見て略半円形状を有している。これにより、オイルの流路抵抗が小さく、オイル流量を増大させやすい。なお、本実施形態において溝部35aが4つ設けられている例を説明したが、溝部35aの数は、これに限定されるものではない。
以上のように、本実施形態においては、流路31内の流路方向位置が下流側に向かうにつれて、複数の溝部35a…35aによって流路が拡大されるようになっている。ここで、流路31内におけるボール51の位置に対応する流路面積について説明する。
図3(a)に示すように、ボール51が僅かに離座した位置におけるボール51の中心位置P1からボール51の中心位置P1が各溝部35aに至る前までの間の流路方向(高さ)位置の範囲L1にある場合の第1の流路面積S1は、第2流路35の断面積Sとボール51の中心位置P1における断面積Sbとの差の隙間面積となる。
図3(a)の仮想線で示すように、ボール51の中心位置P1が、第2流路35における各溝部35aの上端35bよりも下流側にある場合の第2の流路面積S2は、第2流路35の断面積Sとボール51の中心位置P1における断面積Sbとの差に、各溝部35aの軸方向視における断面積Saを加えたものになる。したがって、第2の流路面積S2は、第1の流路面積S1に比して拡大される。
なお、オイル吐出流量は、ボール51と弁体案内部35との間の隙間面積で決まるため、各溝部35aは、少なくともボール51の軸方向の移動軌跡の範囲内(図3(a)の実線で示す着座状態におけるボール51の中心位置P1の軸方向位置から、図3(a)の仮想線で示すプラグ37の柱状部37bの上端に当接する状態におけるボール51の中心位置P1の軸方向位置までの間)に設けられていればよい。
次に、第1実施形態におけるオイルジェット20の作用について、図3〜図5を用いて説明する。図5は、オイル循環路17の油圧(エンジン回転数)に応じたオイル吐出量が示されている。オイルジェット20のオイル吐出流量は、オイル循環路17の油圧の増大に伴って増加する。
図3(a)は、オイル循環路17内の油圧が非常に低く、バルブ機構50が閉弁された状態にあるオイルジェット20を示している。この状態では、ボール51は、スプリング52の付勢力により、座面部34に押し付けられて当接し、第1流路33と第2流路35とは完全に閉弁状態とされる。したがって、オイルジェット20からオイルは吐出されない(図5の矢印a参照)。
図4は、図3(a)の状態からエンジンの回転領域が低回転領域に移行することで、オイル循環路17の油圧が所定の油圧p1に達し、バルブ機構50が開弁された直後のオイルジェット20の状態を示している(図5の矢印b参照)。このとき、ボール51の中心位置P1は、軸方向(上下方向)において、第2流路35における各溝部35aの上端35bに至る前の領域L1内に留まっている。
この状態における流面積は、第2流路35の断面積Sからボール51の中心位置P1での断面積Sbを除いた第1の流路面積S1となる。したがって、図5の仮想線で示す流路に溝部を備えていない従来のオイルジェット20における、オイル循環路17の油圧に応じた吐出流量の特性と同様の特性となる。
エンジンの回転領域が低回転領域から中回転領域に移行すると、オイル循環路17の油圧が所定の油圧p1よりも高い第2の所定の油圧p2に達する。このとき、ボール51の中心位置P1は、軸方向(上下方向)において、第2流路35における各溝部35aの上端35bよりも下流側、例えば、図3(a)の仮想線で示すように、図4に示す状態よりもさらに下流側に位置し、最終的にプラグ37の柱状部37bの上端に当接する。
この状態における流路面積は、第2流路135の断面積Sからボール51の中心位置での断面積Sbを除いた第1の流路面積S1に、各第1の溝部135aの軸方向視の断面積Saを加えた第2の流路面積S2となる。オイルジェット20の流路面積が第2の流路面積S2となる中回転領域では、第1の流路面積S1に比して流路面積が拡大されるため、図5の矢印cで示すように、図5の仮想線で示す従来のオイルジェットの吐出流量特性に比して吐出流量が増大する。
以上のように、エンジンの中低回転領域におけるオイル循環路17の油圧が所定値p1に達することで、ボール51が第2流路35に案内されて下流側へ移動すると、流路31が開状態(第1流路33と第2流路35が連通された状態)となる。開状態の流路31内には、入口部32からオイルが流入するとともに、入口部32から流入したオイルは、ボール51と第2流路35との間を通過してノズル部40から噴射される。
エンジンの中低回転時におけるオイル循環路の油圧が、例えば、前述の所定値p1よりも高く設定された第2の所定値p2に達すると、ボール51が第2流路35における各溝部35aが設けられた位置に移動する。これにより、ボール51と第2流路との間の隙間に加えて、各溝部35aによって増大された流量のオイルが、ノズル部40から噴射される。
これにより、オイル循環路17の油圧が第2の所定値p2となるエンジンの中回転領域である場合の第2の流路面積S2は、オイル循環路17の油圧が所定値p1となるエンジンの低回転領域である場合の第1の流路面積S1に比して拡大される。その結果、オイルジェット20の吐出流量は、オイル循環路の油圧が同じ、かつ、溝部を有しないオイルジェットの吐出流量よりも増加される。
ボール51は、第2流路35に案内されて流路31内を移動するので、流路31内で振動することが抑制されるので、例えば、オイル循環路の油圧が変動したときに、ボール51の振動による流路31への衝突が抑制され得る。したがって、オイルジェット20の耐久性を確保しながら、オイルポンプを大型化させることなく、エンジンの中低回転時においてもオイルジェット20のオイル吐出流量を増大させることができるので、ピストン13が適切に冷却され得る。
また、オイル循環路17の油圧と、該油圧に抗するスプリング52との関係によって、油圧に対応させてボール51の位置を決定することができる。これにより、オイル循環路17から流路31に流入させる油圧を適宜設定することができるので、オイルジェット20の吐出開始時期を適切に決定することができる。また、オイル循環路17の油圧に応じて、ボール51が第2流路35の溝部35aの位置に到達する時期をスプリング52で設定することができるので、オイル吐出量を増大させたい時期を適切に設定することができる。
[第2実施形態]
図6は、本発明の第2実施形態におけるオイルジェット120を示す断面図である。オイルジェット120の説明において、第1実施形態で説明したものと同じ構成については同じ符号を付して説明を省略する。
図6(a)に示すように、オイルジェット120は、オイル循環路17からオイルを流入する入口部32と、オイルをピストン13の背面に向けて噴射するノズル部40が取り付けられる出口部38とを備えた流路31が設けられた本体部30を有している。また、本体部30には、バルブ機構50が備えられている。
本体部30は、金属からなる円筒状部材であって、一端側から他端側に向けて貫通するように、入口部32、第1流路33、座面部34、第2流路135、プラグ固定穴36が連通して内部に形成されている。第1流路33の径D1は、全体として第2流路35の径D2よりも小径に形成されている。バルブ機構50は、座面部34と、ボール51と、スプリング52と、スプリング52の一端を支持するプラグ37とを備えている。
ボール51の径Dbは、図6(b)に示すように、第1流路33の径D1よりも大径、かつ、第2流路35の径D2よりも僅かに小径に形成されている。ボール51は、スプリング52の不勢力によって座面部34に着座した状態で収容される。オイルジェット20は、第1実施形態同様にボール51の座面部34への着座により閉弁し、ボール51の座面部34からの離間によって開弁する(図6(a)参照)。
図6(a)および(b)に示すように、第2流路135の直径D2は、ボール51の直径Dbよりも僅かに大径となるように、所定のクリアランスCL1が設けられている。所定のクリアランスCL1は、ボール51が第2流路135内で振動しない程度の寸法にされている。これにより、第2流路135の内壁面によって、流路31内におけるボール51の移動がガイドされる。
第2流路135には、図6(a)〜(c)に示すように、第2流路135の内壁部を径方向外側に拡大するとともに流路方向に延びる4つの第1の溝部135a…135aと、第1の溝部135a…135aとは周方向に異なる位置で第2流路135の内壁部を径方向外側に拡大するとともに流路方向に延びる4つの第2の溝部135c…135cとが設けられている。
各第1の溝部135aは、径方向(流路方向と直交する方向)から見て、座面部34に着座した状態におけるボール51の中心位置P1よりも下流側の所定位置からさらに下流側(本体部30の下端部30b)に向かって延びるように形成されている。各第1の溝部135aの上端135bは、座面部34に着座した状態におけるボール51の中心位置P1よりも下流側の所定位置に配置されている。
各第1の溝部135aは、図6(a)に示すように、第2流路135の内壁部に沿って、流路方向に平行して設けられている。これにより、例えば、各第1の溝部135aがオイルの流れを妨げることがないので、オイルの流路抵抗を小さくでき、オイル流量を増大させやすい。
図6(b)に示すように、隣接する各第1の溝部135a同士の周方向距離は、等間隔になるように配置されている。これにより、第2流路135を通過するオイルが、第2流路135内を偏って通過する等によって、第2流路135内におけるボール51の移動が妨げられることが抑制され得る。各第1の溝部135aは、流路方向(軸方向)から見て略半円形状を有している。これにより、オイルの流路抵抗が小さく、オイル流量を増大させやすい。なお、本実施形態において各第1の溝部135aが4つ設けられている例を説明したが、第1の溝部135aの数は、これに限定されるものではない。
複数の第2の溝部135c…135cは、図6(a)および(c)に示すように、第1の溝部135a…135aと異なる周方向位置に、第1の溝部135aと同様に、第2流路135の内壁部を径方向外側に拡大するとともに流路方向に延びて設けられている。
各第2の溝部135cは、径方向(流路方向と直交する方向)から見て、第1の溝部135aの上端135bよりも下流側の位置から本体部30の下端部30b(さらに下流側)に向かって延びるように形成されている。各第2の溝部135cの上端135dは、各第1の溝部135aの上端135bよりも下流側の所定位置に配置されている。
各第2の溝部135cは、図6(c)に示すように、第2流路135の内壁部に沿って設けられるとともに、隣接する第2の溝部135c同士の周方向距離が等間隔になるように配置されている。各第2の溝部135cは、各第1の溝部135aと同様に、流路方向(軸方向)から見て略半円形状を有している。
各第1の溝部135aと各第2の溝部135cとは、周方向において交互に配置されているとともに、隣接する第1の溝部135aと第2の溝部135cの周方向距離が等間隔になるように配置されている。これにより、第2流路135を通過するオイルが、第2流路135内を偏って通過する等によって、第2流路135内におけるボール51の移動が妨げられることが抑制され得る。
以上のように、第2実施形態においては、第1実施形態同様に流路31内の流路方向位置が下流側に向かうに連れて、複数の第1の溝部135a…135a、および、複数の第2の溝部135c…135cによって流路が拡大されるようになっている。ここで、流路31内におけるボール51の位置に対応した流路面積について説明する。
図6(a)に示すように、ボール51が僅かに離座した位置におけるボール51の中心位置P1からボール51の中心位置P1が各第1の溝部135aに至る前までの間の流路方向(高さ)位置の範囲L1にある場合の第1の流路面積S1は、第1実施形態同様に、第2流路35の断面積Sとボール51の中心位置P1における断面積Sbとの差の隙間面積となる(図3(b)参照)。
ボール51の中心位置P1が、第2流路135における各第1の溝部135aの上端135bより下流側で、かつ、各第2の溝部135cの上端135dより上流側の範囲L2にある場合の第2の流路面積S2は、第2流路135の流路面積Sとボール51の中心位置P1における断面積Sbとの差に、各第1の溝部135aの軸方向に見たときの面積Saを加えた隙間面積となる(図6(b)参照)。第2の流路面積S2は、第1の流路面積S1に比して拡大されている。
ボール51の中心位置P1が、第2流路135における各第2の溝部135cの上端135dよりも下流側の高さ位置の範囲L3にある場合の第3の流路面積S3は、第2の流路面積S2に、各第2の溝部135cの軸方向に見た時の面積Scを加えた隙間面積となる(図6(c)参照)。第3の流路面積S3は、第2の流路面積S2よりもさらに拡大されている。
なお、オイル吐出流量は、ボール51と第2流路135との間の隙間面積で決まるため、各第1の溝部135aは、少なくともボール51の軸方向の移動軌跡の範囲内(図6(a)の実線で示す着座状態におけるボール51の中心位置P1の軸方向位置から、図6(a)の仮想線で示すプラグ37の柱状部37bの上端に当接する状態におけるボール51の中心位置P1の軸方向位置までの間)に設けられていればよい。一方、各第2の溝部135cは、各第1の溝部135aの上端135bよりも下方位置から少なくともボール51の軸方向の移動軌跡の範囲内に設けられていればよい。
次に、第2実施形態におけるオイルジェット220の作用について、図5および図6を用いて説明する。
図6(a)は、オイル循環路17内の油圧が非常に低く、バルブ機構50が閉弁された状態にあるオイルジェット20を示している。この状態では、ボール51は、スプリング52の付勢力により、座面部34に押し付けられて当接し、入口部32は完全に閉状態とされる。したがって、オイルジェット20からオイルは吐出されない(図5の矢印a参照)。
図6(a)の状態からエンジンの回転領域が低回転領域に移行すると、オイル循環路17の油圧が所定の油圧p1に達し、バルブ機構50が開弁される(図5矢印b参照)。このとき、ボール51の中心位置P1は、軸方向(上下方向)において、第2流路135における各第1の溝部135aの上端135bに至る前の領域L1内に留まっている。
この状態における流路断面積は、第2流路135の断面積Sからボール51の中心位置での断面積Sbを除いた第1の流路面積S1となる。したがって、図5の仮想線で示す流路に溝部を備えていない従来のオイルジェット20における、オイル循環路17内のオイル圧力に応じたオイル吐出量の特性と同様の特性を示す。
エンジンの回転領域が低回転領域から中回転領域に移行すると、オイル循環路17の油圧が所定の油圧p1よりも高い第2の所定の油圧p2に達する。このとき、ボール51の中心位置P1は、軸方向(上下方向)において、第2流路135における各第1の溝部135aの上端135bよりも下流側で、かつ、各第2の溝部135cの上端135dよりも上流側の領域L2内に位置している。
この状態における流路面積は、第2流路135の断面積Sからボール51の中心位置での断面積Sbを除いた第1の流路面積S1に各第1の溝部135aの軸方向視の断面積Saを加えた第2の流路面積S2となる。オイルジェット120の流路面積が第2の流路面積S2となる中回転領域では、第1の流路面積S1に比して流路面積が拡大されるため、図5の矢印cで示すように、図5の仮想線で示す従来のオイルジェットの吐出流量特性に比して吐出流量が増大する。
エンジンの回転領域が中回転領域から高回転領域に移行すると、オイル循環路17の油圧が第2の所定の油圧p2よりも高い第3の所定の油圧p3に達する。このとき、ボール51の中心位置P1は、軸方向(上下方向)において、第2流路135における各第2の溝部135cの上端135dよりも下流側の領域L3内に位置している(図6(a)仮想線参照)。
この状態における流路面積は、第2の流路面積(第2流路135の断面積Sからボール51の中心位置での断面積Sbを除いた第1の流路面積S1に各第1の溝部135aの軸方向視の断面積Saを加えられた面積)S2に各第2の溝部135cの軸方向視の断面積Scを加えた第3の流路面積S3となる。オイルジェット120の流路面積が第3の流路面積S3となる高回転領域では、第2の流路面積S2に比して更に流路面積が拡大されるため、図5の矢印dで示すように吐出流量が増大する。
以上のように、オイルジェット120の吐出流量は、ボール51が開方向に移動したときに、各第1の溝部135aに到達する時期と各第2の溝部135cに到達する時期とが異なるので、各第1の溝部135aを通過する第1の吐出流量から、各第1の溝部135aに加えて各第2の溝部135cを通過する第2の吐出流量に変更するタイミングを適切に設定することができる。このように、オイル循環路17の油圧が高くなるにつれて、吐出流量を増加させることができるので、低回転時と、中回転時と、高回転時とにおいて、それぞれに必要な吐出流量を確保しやすく、ピストンを適切に冷却することができる。
[第3実施形態]
図7は、本発明の第3実施形態におけるオイルジェット220を示す断面図である。オイルジェット220の説明において、第1実施形態で説明したものと同じ構成については同じ符号を付して説明を省略する。
図7(a)に示すように、オイルジェット220は、オイル循環路17からオイルを流入する入口部32と、オイルをピストン13の背面に向けて噴射するノズル部40が取り付けられる出口部38とを備えた流路31が設けられた本体部30を有している。また、本体部30には、バルブ機構50が備えられている。
本体部30は、金属からなる円筒状部材であって、一端側から他端側に向けて貫通するように、入口部32、第1流路33、座面部34、第2流路235、プラグ固定穴36が連通して内部に形成されている。第1流路33の径D1は、全体として第2流路235の径D2よりも小径に形成されている。バルブ機構50は、座面部34と、ボール51と、スプリング52と、スプリング52の一端を支持するプラグ37とを備えている。
ボール51の径Dbは、図7(b)に示すように、第1流路33の径D1よりも大径、かつ、第2流路235の径D2よりも僅かに小径に形成されている。ボール51は、スプリング52の不勢力によって座面部34に着座した状態で収容される。オイルジェット220は、第1実施形態同様にボール51の座面部34への着座により閉弁し、ボール51の座面部34からの離間によって開弁する(図7(a)参照)。
図7(a)および(b)に示すように、第2流路235の直径D2は、ボール51の直径Dbよりも僅かに大径となるように、所定のクリアランスCL1が設けられている。所定のクリアランスCL1は、ボール51が第2流路235内で振動しない程度の寸法にされている。これにより、第2流路235の内壁面によって、流路31内におけるボール51の移動がガイドされる。
第2流路235には、図7(a)〜(c)に示すように、第2流路235の内壁部を径方向外側に拡大するとともに流路方向に延びる4つの溝部235a…235aが設けられている。各溝部235aは、径方向(流路方向と直交する方向)から見て、全体として上流側から下流側に向かって徐々に拡大する台形状に形成されている。各溝部235aは、座面部34に着座した状態におけるボール51の中心位置P1とほぼ同じ高さ位置から下流側(本体部30の下端部30b)に向かって延びて形成されている。
各溝部235aは、図7(a)に示すように、第2流路235の内壁部に沿って、流路方向に平行して設けられている。これにより、例えば、複数の溝部235aがオイルの流れを妨げることがないので、オイルの流路抵抗を小さくでき、オイル流量を増大させやすい。各溝部235aは、流路の軸方向(上下方向)から見て略半円形状を有している。これにより、オイルの流路抵抗が小さく、オイル流量を増大させやすい。
隣接する溝部235a同士の周方向距離は、等間隔になるように配置されている。これにより、第2流路235を通過するオイルが、第2流路235内を偏って通過する等によって、第2流路235内におけるボール51の移動が妨げられることが抑制され得る。なお、本実施形態において各溝部235aが4つ設けられている例を説明したが、溝部235aの数は、これに限定されるものではない。
以上のように、第3実施形態においては、第1実施形態同様に流路31内の流路方向位置が下流側に向かうにつれて、複数の溝部235a…235aによって流路が拡大されるようになっている。ここで、流路31内におけるボール51の位置に対応した流路面積について説明する。
図7(a)に示すように、ボール51が僅かに離座した位置にある場合の第1の流路面積S201は、第2流路235の断面積Sとボール51の中心位置P1における断面積Sbとの差に、各溝部235aの上端位置よりも僅かに下流に移動したボール51の中心位置P1における各溝部235aの軸方向視の面積Saを加えた値となる(図7(b)参照)。
図7(a)の仮想線で示すように、ボール51の中心位置P1が、第2流路235の各溝部235aの上端235bよりも下流側の高さ位置、例えば、下端位置(ボール51がプラグ37に当接する)にある場合の第2の流路面積S202は、第2流路235の断面積Sとボール51の中心位置P1における断面積Sbとの差に、ボール51が下端位置に位置するときのボール51の中心位置P1に対応した第2流路235の高さ位置における各溝部235aの軸方向視の面積Sdを加えた値となる(図7(c)参照)。
各溝部235aは、第2流路235の上流から下流に向かうに連れて周方向に拡幅されているので、オイルジェット220の流路面積は、前述のボール51が座面部34から僅かに離座する位置における第1の流路面積S201に比して、ボール51が下端位置にある場合の流路面積S202が拡大されている。したがって、ボール51が第2流路235の上流から下流に向かうにつれて、徐々にオイル吐出流量を増大させることができるように形成されている。
なお、オイル吐出流量は、ボール51と第2流路235との間の隙間面積で決まるため、複数の溝部235a…235aの下端位置は、少なくともボール51の軸方向の移動軌跡の範囲内(図7(a)の実線で示す着座状態におけるボール51の中心位置P1の軸方向位置から、図7(a)の仮想線で示すプラグ37の柱状部37bの上端に当接する状態におけるボール51の中心位置P1の軸方向位置までの間)に設けられていればよい。
次に、第3実施形態におけるオイルジェット220の作用について、図5および図7を用いて説明する。
図7(a)は、オイル循環路17内の油圧が非常に低く、バルブ機構50が閉弁された状態にあるオイルジェット220を示している。この状態では、ボール51は、スプリング52の付勢力により、座面部34に押し付けられて当接し、入口部32は完全に閉状態とされる。したがって、オイルジェット20からオイルは吐出されない(図5の矢印a参照)。
図7(a)の状態からエンジンの回転領域が低回転領域に移行すると、オイル循環路17内の油圧が上昇し所定の油圧p1に達し、バルブ機構50が開弁される(図5矢印b参照)。第3実施形態のオイルジェット220は、閉弁状態におけるボール51の中心位置P1と、各溝部235aの上端235bが略一致しているので、このときのボール51の中心位置P1は、軸方向(上下方向)において、各溝部235aの上端235bよりも下流側に位置する。
この状態における流路断面積は、第2流路235の断面積Sとボール51の中心位置P1での面積Sbとの差に、各溝部235aの断面積Saを加えた第1の流路面積S201となる。したがって、極低回転領域から、図5の仮想線で示す流路に溝部を備えていない従来のオイルジェットの吐出流量よりも増加する。
エンジンの回転領域が低回転領域から中回転領域に移行すると、オイル循環路17の油圧が上昇する。このとき、ボール51の中心位置P1は、軸方向(上下方向)において、例えば、図7(a)の仮想線で示すように、低回転領域のボール51の中心位置P1よりも下流側に位置し、最終的にプラグ37の柱状部37bの上端に当接する。
この状態における流路面積は、第2流路235の断面積Sとボール51の中心位置P1での断面積Sbとの差に、各溝部235aの断面積Sdを加えた第2の流路面積S202となる。各溝部235aの形状は、上流から下流に向かうに連れて拡幅する台形状を有しているので、ボール51が下降すると、流路断面積が徐々に拡大される。したがって、図5の矢印eで示すように、オイル循環路17の油圧の上昇に伴ってボール51が下流に向かうに連れて吐出流量が増大する。
以上のように、各溝部235aは、第2流路235の上流側から下流側に向かうに連れて断面積が増大されているので、ボール51の位置が下流に向かうに連れて吐出流量を増大させることができる。
以上、上述の実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
例えば、オイルジェットの第2流路に設けられる溝部は、上流側から下流側に向けて径方向に拡大されるように形成されてもよい。
特許請求の範囲に記載された本発明の精神および範囲から逸脱することなく、各種変形および変更を行うことも可能である。
以上のように、本発明によれば、エンジンの冷却装置において、オイルジェットの耐久性を確保しながら、オイルポンプを大型化させることなく、エンジンの中低回転時においてもオイルジェットのオイル吐出流量を増大させることが可能となるから、この種の変速操作機構を備えた手動変速機の製造産業分野において好適に利用される可能性がある。
1 エンジン
11 シリンダブロック
13 ピストン
17 オイル循環路
20 オイルジェット
30 本体部
31 流路
32 入口部
35 第2流路(弁体案内部)
35a、235a 溝部
38 出口部
40 ノズル部
51 ボール(弁体)
52 スプリング(付勢手段)
135a 第1の溝部
135c 第2の溝部

Claims (6)

  1. エンジンの冷却装置であって、
    シリンダブロックと、
    前記シリンダブロックに摺動可能に配設されたピストンと、
    前記シリンダブロックに設けられたオイル循環路と、
    前記シリンダブロックに取り付けられて前記ピストンの裏面にオイルを噴射するオイルジェットと、を備え、
    該オイルジェットは、
    前記オイル循環路からオイルを流入する入口部と、ノズル部が取り付けられた出口部と、を有する流路が設けられた本体部と、
    前記本体部に内装され、前記流路を開閉する球状の弁体と、を有し、
    前記流路には、前記弁体の移動を案内する円筒状の弁体案内部と、該弁体案内部に設けられて前記流路に沿って延びる溝部とが設けられていることを特徴とするエンジンの冷却装置。
  2. 前記オイルジェットは、前記弁体を前記流路が閉じられる方向に付勢する付勢手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの冷却装置。
  3. 前記溝部は、オイルの流れと平行して設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエンジンの冷却装置。
  4. 前記溝部は、略半円形状であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のエンジンの冷却装置。
  5. 前記溝部は、前記弁体が開方向に移動したときに、先に弁体が到達する第1の溝部と、該第1の溝部よりも後に前記弁体が到達する第2の溝部とを有していることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のエンジンの冷却装置。
  6. 前記溝部は、前記流路の上流側から下流側に向かうに連れて断面積が増大されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のエンジンの冷却装置。
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