JP2020172597A - 粘・接着性組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】粘・接着剤の結晶化速度が増大し、初期接着強度の向上を可能とした粘・接着性組成物を提供する。【解決手段】クロロプレン重合体ラテックスと、動的光散乱法にて測定した数平均粒子径が10〜150nmの無機フィラーを含む、粘・接着性組成物。および、粘・接着性組成物を乾燥してなる粘・接着層。【選択図】 なし

Description

本発明は無機フィラーを含むクロロプレン重合体ラテックスに関するものであり、主にクロロプレン重合体の結晶化速度の向上を可能とする組成物に関する。
クロロプレン重合体ラテックスは、水系粘・接着剤として、ポリウレタンフォーム等の多孔質の接着剤に広く用いられている。
これらの用途ではクロロプレン重合体の結晶化にともないフィルム強度、接着強度が発現する。そのためクロロプレン重合体の結晶化速度が速いことは接着剤としての機能発現に非常に重要である。
下記特許文献1には、2−クロロ−1,3−ブタジエンを主たる単量体成分とするクロロプレン系重合体ラテックスであって、前記重合体ラテックスの固形分中のゲル含有量が3質量%未満であり、前記重合体ラテックスの固形分中のテトラハイドロフラン可溶成分の重量平均分子量が55万〜110万、かつ分子量分布(Mw/Mn)が2.0〜3.1の範囲にあり、前記重合体ラテックスの固形分乾燥物の−10℃における硬度上昇で表される結晶化速度R(Rは、JIS−K6301に基いて−10℃で測定される初期(時間=0)硬度から30ポイント上昇するまでに要する時間)が、60分未満であることを特徴とするクロロプレン系重合体ラテックスが開示されている。
下記特許文献2には、下記の成分(a)および(b)を含有する水性ポリマー分散液を含有する接着剤:
(a)60〜220nmの平均粒径を有するポリクロロプレンの分散液、および
(b)粒子表面上にヒドロキシル基を有するSiO粒子の粒径が1〜400nmである水性二酸化ケイ素分散液が開示されている。
国際公開第08/026671号 特許第5405258号公報
雨宮・篠原、「X線小角散乱の基礎と今後の展開」、放射光、日本放射光学会、2006年11月、第19巻、第6号、p.338−348
特許文献1には、被接着支持体に塗布して接合した後で、特に湿潤状態において高い初期強度(湿潤強度)をもたらす水性接着剤組成物を提供することを課題とし、重合温度や連鎖移動剤の添加濃度を制御することで、所望の初期剥離接着力を得ていたが、乾燥時に核剤を添加することは、記載も示唆もない。
特許文献2には、粘着力(コンタクト性)が優れ、かつ、初期接着力、耐水性とのバランスに優れた接着剤用クロロプレン系重合体ラテックスを提供することを課題とし、シリカ粒子径への言及はあるが、シリカ粒子が二次凝集しない特定の範囲を設定するとの技術的思想は記載も示唆もない。
従来技術でクロロプレン重合体の結晶化速度を増大させ、初期接着強度が向上させようとすると、より低温での重合にてクロロプレン重合体を重合させる必要がある。しかしながら、低温で重合を行う場合にはより大型の冷凍機による反応槽の冷却が必要となり、また乳化重合の分散媒である水の凍結温度(0℃)の兼ね合いから重合温度にも下限があることから、初期接着強度の向上にも限界があった。
本発明は、このようなこのような状況下になされたもので、結晶化速度を増大させ、初期接着強度の向上を可能とした粘・接着性組成物を提供することを目的とする。
かかる状況下において、本発明者達は鋭意検討した結果、クロロプレン重合体ラテックスに、核剤として無機フィラーを含むことで、著しくクロロプレン重合体ラテックスの結晶化速度が増大し、初期接着強度が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の構成は以下の通りである。
[1]クロロプレン重合体ラテックスと、動的光散乱法にて測定した数平均粒子径が10〜150nmの無機フィラーを含む、粘・接着性組成物。
[2]前記無機フィラーがシリカである、[1]に記載の粘・接着性組成物。
[3]前記シリカがコロイダルシリカ粒子である、[2]に記載の粘・接着性組成物。
[4]前記クロロプレン重合体ラテックスと、前記無機フィラーとの、体積比(固形分基準)が2〜40である、[1]〜[3]のいずれかに記載の粘・接着性組成物。
[5][1]〜[4]のいずれかに記載の粘・接着性組成物を乾燥してなる、粘・接着層。
[6]二次凝集していない無機フィラーを含む、[5]に記載の粘・接着層。
本発明によれば、クロロプレン重合体ラテックスが、特定サイズの無機フィラーを含むことで、著しく結晶化速度が増大し、初期接着強度が向上する。
示差走査熱量測定による、結晶化時間の測定結果を示す。 小角X線散乱測定結果を示す。
以下、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施形態に限定されるものではない。
本発明の粘・接着性組成物[C]は、クロロプレン重合体ラテックス[A]クロロプレン重合体ラテックス[A]と無機フィラー[B]を少なくとも含む。また本発明の一実施態様においては、粘・接着性組成物[C]を少なくとも乾燥して粘・接着層[D]となる。乾燥とは、キャストともいい、溶媒に分散あるいは溶解させ揮発させることで膜を得る手法である。
クロロプレン重合体ラテックス[A]
本発明に用いるクロロプレン重合体は、2−クロロ−1,3−ブタジエン(クロロプレン)を100質量%とする重合体を基本とするが、他の共重合可能なモノマー、例えば、2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン、1−クロロ−1,3−ブタジエン、ブタジエン、イソプレン、スチレン、アクリロニトリル、アクリル酸及びそのエステル類、メタクリル酸及びそのエステル類等を本発明の目的を阻害しない範囲で使用できる。必要に応じて2種類以上用いても良い。クロロプレンモノマーおよび共重合可能なモノマーの合計中の他の共重合可能なモノマーの含有量は、クロロプレンおよび共重合可能なモノマーの合計中の5質量%以下が好ましく、より好ましくは2質量%以下、更に好ましくは0質量%である。他の共重合可能なモノマーの含有量が、クロロプレンモノマーおよび共重合可能なモノマーの合計中の5質量%以下であれば、良好な結晶化速度、即ち初期接着強度が得られ好ましい。
クロロプレン重合体ラテックスの製造方法は、水性乳化重合で製造することができる。分散媒は水である。
水性乳化重合法における乳化剤としては、アニオン系の乳化剤が好ましい。特に、pHの調整により、コロイド状態の安定化、接着剤層形成のための不安定化が容易な点で、ロジン酸のカリウム塩またはナトリウム塩あるいはこれらの併用系を用いることが好ましい。ロジン酸のカリウム塩またはナトリウム塩あるいはこれらの併用系は、クロロプレン重合体ラテックスのpHが10.0〜13.5の範囲で安定である。pHが10.0以上であれば良好な安定性を保つためクロロプレン重合体が凝集することなく、結果として良好な結晶化速度、すなわち初期接着強度が良好であり好ましい。pHが13.5以下であれば、イオン強度が小さく、コロイド粒子間で凝集しにくく好ましい。
乳化剤の使用量は、クロロプレンモノマーおよび共重合可能なモノマーの合計100質量部に対して、0.5〜8.0質量部が好ましく、より好ましくは1.0〜5.0質量部であり、最も好ましくは1.5〜4.0質量部である。乳化剤が0.5質量部以上であれば、クロロプレン重合体粒子径が小さいため、接着剤として使用する際の加圧時の成膜性が良く好ましい。8.0質量部以下であれば、クロロプレン重合体ラテックス中の乳化剤量が過剰ではなく、良好な結晶化速度が得られ、乾燥時の発泡を抑制でき、また製品の色調を抑制でき好ましい。
さらに、クロロプレン重合体粒子間の凝集防止のために乳化補助剤を用いることもできる。乳化補助剤として、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミンなどのドデシルベンゼンスルホン酸塩系や、ジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム、ジフェニルエーテルスルホン酸アンモニウムなどのジフェニルエーテルスルホン酸塩系、β−ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物のナトリウム塩などのナフタレンスルホン酸塩系などのアニオン系の乳化補助剤を併用することができる。また、ノニオン系の乳化補助剤として、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルやポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテルなどを併用することができる。
これら乳化補助剤の使用量は、クロロプレンモノマーおよび共重合可能なモノマーの合計100質量部に対して、0.05〜1.00質量部が好ましく、より好ましくは0.10〜0.50質量部であり、さらに好ましくは0.20〜0.30質量部である。0.05質量部以上の場合、良好な分散が得られ、凝集物の生成抑制や良好な粘着剤外観が得られ好ましい。1.00質量部以下の場合、乳化剤が残留しにくいため重合体の耐水性が良好となり、結果として良好な粘着力や接着力が得られ、また乾燥時の発泡抑制や製品の良好な色調が得られ好ましい。
分子量や分子量分布を調整するために、連鎖移動剤を用いることもできる。連鎖移動剤としては、特に限定するものではなく、好ましくはジアルキルキサントゲンジスルフィドやアルキルメルカプタン等を使用でき、より好ましくアルキルメルカプタンであり、更に好ましくはn−ドデシルメルカプタンである。
ジアルキルキサントゲンジスルフィドとしては、例えばジイソプロピルキサントゲンジスルフィド、ジエチルキサントゲンジスルフィド、ジシクロヘキシルキサントゲンジスルフィド、ジラウリルキサントゲンジスルフィド、ジベンジルキサントゲンジスルフィド等が挙げられ、アルキルメルカプタンとしては、例えばn−ドデシルメルカプタン、n−デシルメルカプタン、オクチルメルカプタン等を挙げることができる。2種類以上の連鎖移動剤を併用することも本発明の目的を阻害しない限り可能である。連鎖移動剤の添加量はその種類や所望の重合転化率により好ましい量は異なるが、一例としてn−ドデシルメルカプタンを使用する場合にはクロロプレンおよび共重合可能なモノマーの合計100質量部に対して0.05〜0.20質量部添加することが好ましく、より好ましくは0.07〜0.15質量部であり、更に好ましくは0.09〜0.11質量部である。
重合体におけるモノマーの重合転化率は、65〜90%であることが好ましく、さらに好ましくは70〜85%であり、より好ましくは73〜80%である。重合転化率が65%以上である場合は、所望の重合体ラテックスの固形分が得られ、接着剤塗布後の乾燥工程が容易となり、均一な接着力が得られ、また残留モノマーが少ないため臭気が少なく良好な重合体が得られる。重合転化率が90%以下である場合は、重合体中の分岐が少なく、適切な分子量分布が得られ好ましい。この観点で、本発明では、重合転化率の調整が極めて重要である。なお、重合転化率の制御は、目標転化率に到達した時点で後述の重合停止剤を添加して反応を停止させる。
重合温度は、0〜30℃であることが好ましく、より好ましくは3〜20℃であり、更に好ましくは5〜15℃である。重合温度が0℃以上では、重合体の良好な生産性、コンタクト性、耐水性が得られ好ましい。また重合温度が30℃以下であれば、結晶化速度が十分に速くなり好ましい。
クロロプレン重合体ラテックス[A]中の固形分中のゲル含有量、すなわちテトラヒドロフラン(THF)不溶分量が、3質量%以下であることが好ましく、より好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。クロロプレン重合体ラテックスの固形分中のゲル含有量が3質量%未満の場合、良好な耐水性が得られ好ましい。
クロロプレン重合体ラテックスにおいて、テトラヒドロフラン不溶分の含有量は、例えば以下のようにして測定することができる。水を40質量%以上65質量%以下の範囲で含有するクロロプレン重合体ラテックス0.5gを、テトラヒドロフラン100mLに滴下し、一晩振とうした後に、遠心分離機にて分離して、上澄みの溶解相を得る。得られた溶解相を100℃に加熱し、1時間かけてテトラヒドロフランを蒸発・乾固させ、溶解相中に溶解していた溶解分の質量を測定する。クロロプレン重合体ラテックス中のクロロプレン重合体の質量から前記溶解分の質量を差し引いて、テトラヒドロフラン不溶分を算出する。
なお、ここでクロロプレン重合体の質量は、クロロプレン重合体ラテックスの固形分の質量にて近似することができる。
重合開始剤としては、通常のラジカル重合開始剤を使用することができる。例えば、過酸化ベンゾイル、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の有機あるいは無機の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物が使用される。併せて、適宜、アントラキノンスルホン酸塩や亜硫酸カリウム、亜硫酸ナトリウムなどの助触媒を使用できる。
一般に、クロロプレン重合体の製造では所望の分子量及び分布の重合体を得る目的で、所定の重合転化率に到達した時点で、重合停止剤を添加し、反応を停止させる。重合停止剤としては、特に制限が無く、通常用いられる重合停止剤、例えばフェノチアジン、パラ−t−ブチルカテコール、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ジエチルヒドロキシルアミン等を用いることができる。
クロロプレン重合体は、一般に酸素による劣化を受けやすいため、発明の効果を損なわない範囲で、受酸剤や酸化防止剤などの安定剤を適宜使用することが望ましい。
クロロプレン重合体ラテックスの固形分100質量部に対して、受酸剤0.01〜5.00質量部、酸化防止剤0.1〜3.0質量部をさらに配合することが好ましい。受酸剤や酸化防止剤が水に不溶である場合や、重合体ラテックスのコロイド状態を不安定化させる場合には、予め水系分散体を作製してから重合体ラテックスに添加する。受酸剤や酸化防止剤が前記濃度範囲内にある場合は、接着力や耐熱性の経時安定性が改良された組成物が得られ好ましい。
受酸剤としては、特に制限が無いが、具体的には酸化亜鉛、ハイドロタルサイト(協和化学(株)製;DHT−4A(登録商標),DHT−6)が挙げられる。これらは2種以上を併用して用いることもできる。これらの受酸剤の添加量はクロロプレン重合体ラテックスの固形分100質量部に対して0.01〜5.00質量部が好ましく、より好ましくは0.05〜1.00質量部である。0.01質量部以上では、経時的な重合体から発生する脱離塩酸の中和が十分であり好ましい。5.00質量部以下であれば、良好な粘着力や接着力が得られ好ましい。
接着剤用途では、貼り付け糊のはみ出し部(glueline)の変色や衛生性の観点から、酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、特にヒンダードフェノール系酸化防止剤が好んで使用される。かかるヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、p−クレゾールとジシクロペンタジエンのブチル化反応生成物などを挙げることができる。酸化防止剤の添加量はクロロプレン重合体ラテックスの固形分100質量部に対して、0.1〜3.0質量部が好ましく、さらに好ましくは0.5〜2.0質量部である。酸化防止剤の添加量が0.1質量部以上では、十分な酸化防止効果が得られ好ましい。酸化防止剤の添加量が3.0質量部以下であれば、良好な粘着力、接着力が得られ好ましい。
必要に応じて、本発明の効果を阻害しない範囲で、上記受酸剤及び酸化防止剤以外の添加剤を使用することができる。すなわち、粘着付与剤、顔料、着色剤、湿潤剤、消泡剤、増粘剤などを適宜、使用することができる。
無機フィラー[B]
本発明の無機フィラーとしては、シリカ(ホワイトカーボン、珪藻土、焼成珪藻土、石英、クリストバライト、コロイダルシリカ等)、ケイ酸塩(カオリナイト、カオリンクレー、焼成クレー、タルク等)、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、酸化アルミニウム等があげられる。
このうち無機フィラーとしてはシリカが好ましく、より好ましくはコロイダルシリカである。
無機フィラーの粒子径は、動的光散乱法にて測定した数平均粒子径が10〜150nmであり、好ましくは40〜140nmであり、より好ましくは100〜130nmである。動的光散乱法にて測定した数平均粒子径が10nm以上であれば、無機フィラー同士が凝集することなく、核剤としてクロロプレン重合体ラテックス粒子を良好に分散させるので好ましい。動的光散乱法にて測定した数平均粒子径が150nm以下であれば、無機フィラーが核剤として良好に作用し、結晶化速度を向上させることができ好ましい。
粘・接着性組成物[C]
本発明の粘・接着性組成物[C]は、クロロプレン重合体ラテックス[A]と無機フィラー[B]を少なくとも含む。
クロロプレン重合体ラテックス[A]の固形分と無機フィラー[B]の固形分の体積比は、好ましくは2以上40以下であり、より好ましくは3以上30以下であり、更に好ましくは4以上20以下である。クロロプレン重合体ラテックス[A]と無機フィラー[B]の固形分の体積比が2以上であれば、無機フィラーが核剤となり結晶化速度が増大し好ましい。クロロプレン重合体ラテックス[A]と無機フィラー[B]の固形分の体積比が40以下であれば、クロロプレン重合体ラテックスの濃度が適正であり、適切な結晶化速度が得られ好ましい。なお結晶化速度は、初期接着力の代替指標として用いることができる。
クロロプレン重合体ラテックス[A]の固形分と無機フィラー[B]の固形分の体積は、それぞれクロロプレン重合体ラテックス[A]および無機フィラー[B]の固形分濃度を、それぞれの密度で割ることで求める。
粘・接着層[D]
本発明の粘・接着層[D]は、少なくとも粘・接着性組成物[C]を乾燥して製造される。本明細書において乾燥とは、キャストともいい、溶媒に分散あるいは溶解させ揮発させることで膜を得る手法である。
粒子が二次凝集することなく好ましい範囲は、粘・接着層[D]中の無機フィラーの粒子径を小角X線散乱(以下SAXSと呼ぶこともある)にて測定した結果と、無機フィラーの数平均粒子径を動的光散乱法(以下DLSと呼ぶこともある)にて測定した結果の比から求めることができる。粘・接着層[D]中で二次凝集していることを確認するためには、粘・接着層[D]中の無機フィラーの粒子径をSAXSにて測定した結果と、無機フィラーの数平均粒子径を動的光散乱法にて測定した結果との比が、5以上であることが好ましく、より好ましくは4以上であり、更に好ましくは2以上である。
粘・接着層[D]の結晶化速度は、粘・接着層[D]の示差走査熱量測定(以下DSCということもある)における時間当たりの吸熱量が極大値(ピーク)を示すときの時間の逆数を、結晶化速度(min−1)とした。結晶化速度の具体的な測定法は、実施例に示す。結晶化速度は、0.065min−1以上が好ましく、より好ましくは0.066min−1以上、更に好ましくは0.067min−1以上である。
本発明における粘・接着層[D]の好適な被着体とは、例えば、ポリウレタン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンなどの材質からなる発泡体(フォーム)あるいは、木材、布、織物などの被着体を挙げることができる。
[無機フィラーの小角X線散乱法による粒子径測定]
本実施形態の一実施態様にかかるクロロプレン重合体中の無機フィラーは、平均粒子径を以下のように得られる。
無機フィラーの粒子径2Rは、非特許文献1に記載されている下記式(1)を用い測定データをフィッティングし算出した。
I(q):単位体積あたりの散乱強度
Δρ:無機フィラーと、クロロプレン重合体ラテックスの電子密度ρの差
V:体積分率(無機フィラーと、クロロプレン重合体の比率)
q:散乱ベクトル=4πsinθ/λ(ここで2θは(π―(入射X線と散乱X線との間の角度))であり、λは測定に使用されたX線の波長である)
R:無機フィラーの半径
以下、本発明について、実施例により説明するが、本発明はこれらに何ら限定的に解釈されない。
<示差走査熱量測定>
アルミ皿(直径4cm)に、粘・接着性組成物[C]2mlを計り取り、オーブン(ヤマト科学株式会社製、DKN402)にて105℃に昇温し、105℃を維持したまま30分乾燥し、粘・接着層[D]を作製する。
示差走査熱量測定(以下DSCということもある)はセイコーインスツル株式会社社製DSC7200を用いて実施した。上記で得られた粘・接着層[D]5mgをサンプルとして用いた。
クロロプレン重合体の融点以上である60℃にて5分間保持したのち、毎分10℃で降温し、2℃まで冷却し、2℃に達した時刻から60分間2℃にて保持、その間の結晶化に伴う発熱を測定した。60℃とした時点から時間を測定し、時間当たりの吸熱量が極大値(ピーク)を示すときの時間の逆数を、その粘・接着物の結晶化速度とした。
<動的光散乱法による粒子径>
無機フィラーの粒子径測定はMalvern Panalytical社製 ゼータサイザーナノSを用い、動的光散乱法(以下DLSということもある)にて体積平均粒子径を測定し、換算し数平均粒子径を求めた。
<重合転化率およびクロロプレン重合体ラテックスの固形分濃度>
クロロプレン重合体ラテックスの固形分及び重合転化率は下記式にて求めた。
固形分濃度(質量%)
=[(141℃、30分間乾燥後の質量)/(乾燥前のラテックス質量)]×100
重合転化率[%]=[(ポリマー生成量/クロロプレン単量体仕込み量)]×100
ここで、ポリマー生成量は、重合後固形分からポリマー以外の固形分を差し引いて求めた。ポリマー以外の固形分は141℃条件において揮発しない成分を重合原料仕込み量から算出した。
<小角X線散乱測定による無機フィラーの粒子径>
厚さ0.5mmの粘・接着層[D]を試料として、小角X線散乱測定(SPring―8 BL03XU第二ハッチを利用した)を行い、無機フィラーの粒子径を測定した。その際、測定条件を、カメラ長(試料―検出器間の距離)2.26m、X線波長0.1nm、検出器PILATUS、散乱ベクトルqの測定範囲を0.04nm―1〜0.8nm―1とした。
粒径9nmのフィッティングの際には、式(1)に以下を代入した、
Δρ:1(横軸に影響を与えないため、任意の値を入力できる)
V:1(横軸に影響を与えないため、任意の値を入力できる)
θ:2.4×10-3〜3.75
λ:0.1
R:4.5
[合成例1]
内容積60リットルの反応器を使用して、クロロプレンモノマー(昭和電工株式会社製)20kg、n−ドデシルメルカプタン(連鎖移動剤、東京化成工業株式会社製)20g、ロジン酸カリウム(荒川化学工業株式会社製、R−300)300g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(花王株式会社製、ネオペレックス(登録商標)G−15)50g、イオン交換水19kg、水酸化カリウム(富士フイルム和光純薬株式会社製特級品)200g、亜硫酸カリウム20g、を仕込み、乳化させた後、過硫酸カリウムを開始剤として用い、窒素ガス雰囲気下、20℃で重合を行った。重合転化率が79%に達したところで、直ちにフェノチアジンの乳濁液を添加して重合を停止し、水蒸気を添加しストリッピングを行い、クロロプレン重合体ラテックス(固形分濃度44%)を得た。
[実施例1]
合成例1で合成したクロロプレン重合体ラテックス20gに対し、コロイダルシリカ(スノーテックス(登録商標)ZL)3.8g(クロロプレン重合体ラテックスの固形分の体積100部に対し、シリカ粒子の固形分として15体積部)を加え、23℃にて5分間攪拌し、粘・接着性組成物を得た。なお体積を求める際には、クロロプレンの密度として1.23g/cm、コロイダルシリカの密度として2.20g/cmを用いた。
[実施例2、3、比較例1〜3]
無機フィラーの添加量を表1の通りとした以外は、実施例1と同様に行った。
使用した試薬は、以下である。
スノーテックス(登録商標)ZL 日産化学株式会社製、シリカ粒子。固形分濃度40質量%、粒子径118nm
MP―2040 日産化学株式会社製、シリカ粒子。固形分濃度40質量%、粒子径190nm
スノーテックス(登録商標)30 日産化学株式会社製、シリカ粒子。固形分濃度30質量%、粒子径4.6nm
結晶化時間の測定結果を図1に示す。なお図1中の時間当たりの吸熱量が極大値(ピーク)を示すときの時間に、矢印を付した。無機フィラーの動的光散乱法にて測定した数平均粒子径が190nmの比較例1や、無機フィラーの動的光散乱法にて測定した数平均粒子径が4.6nmの比較例2や、無機フィラーが無添加の比較例3は、無機フィラーの動的光散乱法にて測定した数平均粒子径が118nmの実施例1〜3に比べ、結晶化速度が小さいことが確認された。結晶化速度が小さいことは、初期接着力が低いことを示唆する。
実施例1、比較例1、比較例2の粘・接着性組成物[C]について、それぞれポリスチレン製のシャーレに、粘・接着性組成物[C]を深さ1mmになるよう浸し、23℃、相対湿度50%にて24時間乾燥し、溶媒を揮発させ[D]粘・接着剤を得た。
[D]粘・接着剤の小角X線散乱分析結果を、図2に示す。
実施例1および比較例2では、式(1)を用いて求めた小角X線散乱による粒子径がそれぞれ126nmと192nmであった。よって、動的光散乱法にて測定した数平均粒子径とほぼ同じ値を得ていることから孤立粒子由来の散乱が見られ、また高次のピークまで確認できることから、シリカは乾燥した粘・接着層[D]中に均一に一次粒子をとして分散していることが確認された。一方、比較例2では、式(1)を用いて求めた小角X線散乱による粒子径が60nm、30nmであり、無機フィラーの動的光散乱法にて測定した数平均粒子径が4.6nmとの対比から二次凝集していると考えられる。この二次凝集により、結晶化促進効果が見られなかったと推定する。

Claims (6)

  1. クロロプレン重合体ラテックスと、動的光散乱法にて測定した数平均粒子径が10〜150nmの無機フィラーを含む、粘・接着性組成物。
  2. 前記無機フィラーがシリカである、請求項1に記載の粘・接着性組成物。
  3. 前記シリカがコロイダルシリカ粒子である、請求項2に記載の粘・接着性組成物。
  4. 前記クロロプレン重合体ラテックスと、前記無機フィラーとの、体積比(固形分基準)が2〜40である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の粘・接着性組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の粘・接着性組成物を乾燥してなる、粘・接着層。
  6. 二次凝集していない無機フィラーを含む、請求項5に記載の粘・接着層。

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