JP2020172047A - 加飾シート、加飾シートの製造方法、樹脂成形体、及び、樹脂成形体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の一実施形態にかかる加飾シートについて、図1を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる加飾シートの断面を模式的に示す図である。本実施形態にかかる加飾シート100は、図1に示すように、変性ポリエチレンテレフタレートを含む第1層10と、第1接着層20と、変性ポリエチレンテレフタレートを含む第2層30と、金属層40と、第2接着層50と、基材層60と、がこの順で積層しているものである。なお、第1層10が、加飾シート100の表層である。また、基材層60は、後述する樹脂部材200等の部材や部品等に接合し、接着する層である。
第1層10、及び、第2層30は、変性ポリエチレンテレフタレートを用いて形成されている。本実施形態における変性ポリエチレンテレフタレートは、エチレングリコール及びテレフタル酸の他に、エチレングリコールまたはテレフタル酸と共重合可能なモノマーと共重合することにより形成されたコポリマーからなるものである。前記変性ポリエチレンテレフタレートにおける変性剤は、エチレングリコールまたはテレフタル酸と共重合可能なモノマーである。本実施形態の変性ポリエチレンテレフタレートに用いる変性剤は、エチレングリコールと共重合可能なモノマーとテレフタル酸と共重合可能なモノマーとの両方でもよいし、エチレングリコールと共重合可能なモノマーとテレフタル酸と共重合可能なモノマーのいずれか一方でもよい。
第1接着層20は、第1層10と第2層30とを接着するものである。第1接着層20は、接着剤等により構成されており、顔料、染料等の着色材を含んでいてもよい。また、第1接着層20となる接着剤(第1接着剤)は、特に限定されず、例えば、溶剤系接着剤、無溶剤系接着剤、水分散系接着剤、一液系接着剤、二液系接着剤等の様々な形態の接着剤、ウレタン樹脂系接着剤、アクリル樹脂系接着剤、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂系接着剤等様々なポリマーの接着剤を用いることができる。特に、ポリオールとイソシアネートをそれぞれ含む2つの液剤を混合することでポリオールとイソシアネートとが重合体を形成して硬化する、2液混合型のウレタン樹脂系接着剤を好適に用いることができる。よって、第1接着層20が、ポリオールとイソシアネートとが重合体を含んでいてもよい。また、第1接着層20の厚さは、2μm〜9μmとすることで、加飾シート100の屈曲による第1層10、第2層30のずれに起因する、皺等の損傷の発生を防止することができる。第1接着層20の厚さが10μm以上の場合、加飾シート100を屈曲させたときに第1層10と第2層30の伸展度合に差が生じることに伴い、第1層10と第2層30との間にずれが生じて、皺等の損傷が発生するおそれがある。
金属層40は、第2層30の基材層60側に積層されている。金属層40を構成する金属は、特に限定されず、所望の色調等により適宜選択することができる。金属層40を構成する金属として、具体的には、すず、インジウム、クロム、アルミニウム等を挙げることができる。また、金属層40の厚さは、100Å〜1000Åとすることができる。
第2接着層50は、金属層40と、基材層60とを接着するものである。第2接着層50は接着剤等により構成され、第2接着層50となる接着剤(第2接着剤)は、特に限定されず、例えば、溶剤系接着剤、無溶剤系接着剤、水分散系接着剤、一液系接着剤、二液系接着剤等の様々な形態の接着剤、ウレタン樹脂系接着剤、アクリル樹脂系接着剤、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂系接着剤等様々なポリマーの接着剤を用いることができる。また、第2接着剤は、第1接着剤と同じ接着剤でもよく、異なる接着剤でもよい。また、第2接着層50の厚さは、2μm〜20μmとすることができる。
基材層60は、加飾シート100の基材となるものである。基材層60を構成する樹脂は特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリカーボネート系樹脂等を用いることができる。また、基材層60の厚さは、100μm〜200μmとすることができる。
本発明の一実施形態にかかる加飾シートの製造方法について、図3を参照して説明する。本実施形態においては、前述した加飾シート100を製造する方法を例示して説明する。なお、加飾シート100を構成する各層の材料等は、前述した加飾シート100と同様のものを用いることができる。
次に、本発明の一実施形態にかかる樹脂成形体500と樹脂成形体500の製造方法について、図4、図5、図8を参照して説明する。図8は、本実施形態の樹脂成形体500を用いた有機ELディスプレイ800を示す斜視図である。本実施形態の樹脂成形体500は、例えば、有機ELディスプレイ800(図8)等の電化製品や車両の内外装等を加飾対象とし、これらに意匠性を付与するために用いることができる。図8に示すように、樹脂成形体500を額縁状の加飾部材として用いるときに、有機ELディスプレイ800等の加飾対象に合わせた形状に屈曲させることから、樹脂成形体500には屈曲性が求められる。図5(A)は、樹脂成形体500の長手方向を図の横方向に配したときの、樹脂成形体500の側面図、図5(B)は、図5(A)の矢視A−A線断面における、樹脂成形体500の断面図である。本実施形態においては、図5(A)、図5(B)に示すように、樹脂部材200の断面が、断面視略T字状に形成された部材を例示する。本実施形態の樹脂成形体500は、前述した加飾シート100と、加飾シート100の基材層60を積層した樹脂部材200と、を備えている。
本発明の一実施形態にかかる樹脂成形体の製造方法について、図4、図5を参照して説明する。本実施形態においては、前述した樹脂成形体500を製造する方法を例示して説明する。なお、以下の説明は、樹脂成形体500の製造手順の一例にすぎず、問題のない範囲で手順等を変更することができる。
(実施例1)
以下の材料を用いて、加飾シートを製造した。第1層、第2層は、25μmの変性ポリエチレンテレフタレートフィルムFT‐3(帝人デュポンフィルム社製)を用いた。第1接着層は、ウレタン樹脂系接着剤100質量部と、着色剤としてVH805ブラック(日弘ビックス製)15質量部とを混合した第1接着剤を用いて、乾燥膜厚を5μmとした。第1接着剤に用いたウレタン樹脂系接着剤は、主剤としてA‐1143(三井化学製)と、硬化剤としてA‐3(三井化学製)と、溶剤として酢酸エチルとを用い、主剤を18質量部、硬化剤を3質量部、溶剤部を10質量部の割合で混合して使用した。金属層は、インジウムを用いて、厚さ200Åとした。第2接着層は、第2接着剤としてウレタン樹脂系接着剤を用いて、乾燥膜厚を5μmとした。第2接着剤に用いたウレタン樹脂系接着剤は、主剤としてA‐1143(三井化学製)と、硬化剤としてA‐3(三井化学製)と、溶剤として酢酸エチルとを用い、主剤を18質量部、硬化剤を3質量部、溶剤部を10質量部の割合で混合して使用した。基材層は、150μmのアクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂フィルム(HA150W3‐BK、住化プラステック製)を用いた。加飾シートとしては、厚さ210μmとした。また、加飾シートの横幅は、1.0cmとした。
実施例1における第1接着層の乾燥膜厚を10μmとしたこと以外は同じ条件で、厚さ215μmの加飾シートを得た。なお、第1接着剤は、ダイコーターを用いて塗布した。
本実施例においては、前述した実施形態の樹脂成形体製造装置1000を用いて、樹脂成形体を製造した。また、本実施例の樹脂部材として、前述した実施形態の樹脂部材200と同じ形状のものを製造した。また、加飾シートは、実施例1の加飾シート100と、比較例1の加飾シート600をそれぞれ用いた。
(着色均一性評価)
加飾シートの着色均一性評価は、目視評価に加えて、加飾シートのあらかじめ定めた5点における色差ΔEを測定することにより行った。まず、加飾シートの長手方向に5.0cm間隔の5点において、色差計(CM‐3600A コニカミノルタ社製)を用いてL*a*b*値を測定した。次に、L*a*b*値を測定した5点から2点を選んで、L*a*b*値から2点間の色差ΔEを算出した。色差ΔEは、5点から2点を選ぶすべての組み合わせ、すなわち10通りの色差ΔEを算出した。算出したすべての色差ΔEの値が3.0以下であるとき、加飾シート100の色差ΔEが3.0以下であると判定した。また、色差ΔEが3.0以下であれば、目視評価においても色むらが認められないことがわかっていることから、本試験においては、色差ΔEが3.0以下の場合、加飾シートには色むらがない、と判断した。
加飾シートの屈曲性評価は、樹脂成形体を屈曲させて、屈曲部に皺等の意匠性を低下させる損傷の発生の有無を確認して行った。また、屈曲部の最も屈曲した箇所と、屈曲部を挟んだ2箇所の非屈曲箇所の計3点において、目視と色差ΔEによる、色の均一性評価を行った。評価方法は、評価に用いる箇所を3点としたこと以外は、前述の加飾シートの着色均一性評価における方法と同様とした。
10 第1層
20 第1接着層
30 第2層
40 金属層
50 第2接着層
60 基材層
70 保護層
80 粘着層
200 樹脂部材
500 樹脂成形体
Claims (12)
- 変性ポリエチレンテレフタレートを含む第1層と、第1接着層と、変性ポリエチレンテレフタレートを含む第2層と、金属層と、第2接着層と、基材層と、がこの順で積層しており、
前記第1接着層の厚さが、2μm〜9μmである、加飾シート。 - 前記第1接着層が着色剤を含む、請求項1に記載の加飾シート。
- 前記第1接着層が、ポリオールとイソシアネートとの重合体を含む、請求項1または2に記載の加飾シート。
- 前記第1層の厚さが10μm〜40μmであり、
前記第2層の厚さが10μm〜40μmであり、
前記金属層の厚さが100Å〜1000Åであり、
前記第2接着層の厚さが2μm〜20μmであり、
前記基材層の厚さが100μm〜200μmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の加飾シート。 - 色差ΔEが、3.0以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の加飾シート。
- 前記第1層に粘着層が積層し、前記粘着層に保護層が積層している、請求項1〜5のいずれか1項に記載の加飾シート。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の加飾シートを製造するための加飾シートの製造方法であって、
前記第1層、及び、前記第2層に、前記第1接着層の材料である第1接着剤を、グラビア印刷によりそれぞれ塗布する、第1接着剤塗布工程と、
前記第1接着剤塗布工程後、前記第1接着剤を貼り合わせて、前記第1層と前記第2層とを接着する接着工程と、を含む、加飾シートの製造方法。 - 前記第1接着剤塗布工程において、少なくも前記第1層または前記第2層に、前記第1接着剤を乾燥膜厚で1μm以上となるように塗布する、請求項7に記載の加飾シートの製造方法。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の加飾シートと、前記加飾シートの前記基材層を積層した樹脂部材と、を備える、樹脂成形体。
- 前記加飾シートが、前記樹脂部材の表面と、側面と、裏面の少なくとも一部と、を被覆する、請求項9に記載の樹脂成形体。
- 請求項9または10に記載の樹脂成形体を製造するための樹脂成形体の製造方法であって、
押出成形により前記樹脂部材を成形する成形工程と、当該樹脂部材へ前記加飾シートの前記基材層を積層する積層工程と、を含む、樹脂成形体の製造方法。 - 前記成形工程と前記積層工程を同時に行う、請求項11に記載の樹脂成形体の製造方法。
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