JP2020170753A - 光検出器、これを用いた撮像装置、及び光検出器の製造方法 - Google Patents

光検出器、これを用いた撮像装置、及び光検出器の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】暗電流の増加を抑制し、高感度でS/N比の高い光検出器を提供する。【解決手段】光検出器20は、量子井戸層17と量子井戸層17を積層方向に挟む障壁層12とを含む活性層19を有し、量子井戸層17は、面内方向に周期的なポテンシャル変化を有する。【選択図】図3

Description

本発明は、光検出器、これを用いた撮像装置、及び光検出器の製造方法に関する。
量子型光検出器は、入射光の波長に対して活性な半導体層(活性層)と、活性層を挟む電極層とによって形成される。量子型光検出器に光が入射すると、活性層で光電変換されて光検出素子に光電流が流れる。素子を流れる電流の変化を読み取ることで、光信号が検出される。
量子型の赤外線検出器は、赤外域の光に感度を有し、赤外光が入射するとその光子によって活性層のキャリアが励起される。量子井戸型赤外線検出器(Quantum Well Infrared Photodetector:QWIP)は量子型の赤外線検出器の一種であり、活性層に量子井戸構造が採用されている。
図1に示すように、一般的な量子井戸型光検出器は、半導体基板上にエネルギーバンドギャップが大きい障壁層と、エネルギーバンドギャップが小さい量子井戸層が交互に形成された積層構造を有する。キャリアは量子井戸層の基底束縛準位に束縛されており、入射光が量子井戸層で吸収されると、その光エネルギーによってキャリアは励起される。励起されたキャリアは量子井戸層の束縛を脱し、電極を通じて外部回路に流れることにより光電流を形成する。
微細な量子構造を作製する方法として、ステップフロー成長モードを利用して、基板と垂直な方向に量子井戸層を成長する方法(例えば、特許文献1参照)、量子細線を形成する方法(例えば、特許文献2参照)などが知られている。
特許第6056249号 特開2007−251089号公報
図1の一般的な量子井戸型光検出器では、量子井戸に束縛されたキャリアは入射光によって励起されるため、束縛キャリアの数が多いほど光吸収が多く起こり、感度が高くなると考えられている。しかしながら、束縛キャリア数が多いと、熱的な励起によって束縛を脱するキャリアも増加し、暗電流が増大する。暗電流は雑音の原因となるため、束縛キャリアの数が一定レベル以上に増えると、光検出器の信号対雑音(S/N)比は、かえって低下する。
本発明は、光検出器における暗電流の増加を抑制し、高感度でS/N比の高い光検出器を提供することを目的とする。
本発明の一態様では、光検出器は、
量子井戸層と前記量子井戸層を積層方向に挟む障壁層とを含む活性層、
を有し、
前記量子井戸層は、面内方向に周期的なポテンシャル変化を有する。
光検出器における暗電流を抑制し、高感度でS/N比の高い光検出器を実現することができる。
一般的な量子井戸型光検出器の模式図である。 実施形態の光検出器の模式図である。 図2の活性層の構造を有する光検出器の動作を説明する図である。 実施形態の光検出器の製造工程図である。 実施形態の光検出器の製造工程図である。 実施形態の光検出器の製造工程図である。 実施形態の光検出器の製造工程図である。 実施形態の光検出器の製造工程図である。 実施形態の光検出器の製造工程図である。 実施形態の光検出器の製造工程図である。 実施形態の光検出器の製造工程図である。 実施形態の光検出器の製造工程図である。 実施形態の量子井戸の面内方向のE−k特性を一般的な量子井戸の面内方向のE−k特性と比較する図である。 実施形態の量子井戸の面内方向のE−k特性と暗電流抑制効果を説明する図である。 実施形態の光検出器の画素構造を示す図である。 実施形態の光検出器を用いた撮像装置の模式図である。
実施形態では、光検出器の量子井戸層において、面内方向に周期的なポテンシャルを形成する。たとえば、量子井戸層が広がる面をx−y平面とした場合、x方向またはy方向に、エネルギーポテンシャルが周期的に変化する構成にする。
好ましい構成例では、量子井戸層の内部の電子密度をNQWとすると、面内方向のポテンシャル変化の周期aを、
a<(π/2NQW1/2
とする。量子井戸内部の電子密度は、量子井戸層の不純物密度、または積層方向に量子井戸と障壁層が周期的に繰り返される多重量子井戸の場合は、一周期内の不純物密度と読み替えてもよい。
量子井戸層の面内方向にエネルギー構造が周期的に変化してエネルギーギャップが形成されることで、光吸収を維持したまま暗電流を抑制することができる。このメカニズムの詳細については、後述する。
図2は、実施形態の光検出器10の模式図である。光検出器10は、コンタクト層11と、活性層19と、コンタクト層18がこの順に積層された積層構造を有する。活性層19は、積層方向に交互に繰り返し配置される障壁層12と量子井戸層17を有し、多重量子井戸(MQW:Multiple Quantum Well)構造を採用する。
量子井戸層17は、その面内で一定の方向に高ポテンシャル層16と低ポテンシャル層15が繰り返し配置された周期構造を有する。この例では、活性層19の積層方向をz方向、量子井戸層17が拡がる面をx−y平面、面内でポテンシャルが周期変化する方向をx方向としているが、この例に限定されない。量子井戸層17の面内で、y方向に周期ポテンシャルを形成してもよい。
光検出器10は、積層方向に複数の量子井戸層17を有し、各量子井戸層17が面内方向にポテンシャル変化の周期構造を有している。
積層方向では、薄い量子井戸層17を、それよりもバンドギャップの大きい障壁層12で挟む込むことで、量子井戸層17の内部のエネルギーの準位が量子化され、離散化した量子準位間(サブバンド間)で光が吸収される。量子井戸層17と障壁層12の組成、繰り返し回数、組成の変化の態様等を調整することで、サブバンド準位を制御して、活性層19で吸収される光の波長域を制御することができる。
面内方向では、各量子井戸層17は周期的なポテンシャル変化を持ち、このポテンシャル変化の周期で決まる波数平面(ブラッグ面、もしくはブリルアンゾーン境界)、またはその近傍で、面内方向のエネルギーにギャップが生じる。波数空間においてすべてのブラッグ面の内側(原点側)として定義される第1ブリルアンゾーンでは、ゾーン境界近傍でエネルギーが低下する。
第1ブリルアンゾーンの境界近傍でのエネルギーの低下により、この領域で状態密度が高くなる。そのため、束縛電子の数が同じであるとすると、束縛電子が第1ブリルアンゾーン内に収まる場合にはフェルミ準位は低下する。このとき、熱励起によって電子が脱出するときの障壁が相対的に高くなり、暗電流を抑制することができる。このメカニズムについては、図6を参照してより詳細に説明する。
量子井戸層17の内部の高ポテンシャル層16と、積層方向の障壁層12に、同じ材料を用いてもよいし、格子整合が維持される範囲で異なる材料を用いてもよい。同じ材料を用いるときは、組成を異ならせてもよい。障壁層12のエネルギーバンドギャップを、面内の高ポテンシャル層16のバンドギャップよりも大きく設定してもよい。
たとえば、光検出器10を8〜12μmの波長に感度を有する赤外線検出器として用いるときは、GaAs系の材料を用い、x−y面内の所定の方向(たとえばx方向)にGaAsの低ポテンシャル層15とAlGaAsの高ポテンシャル層16を繰り返し配置して量子井戸層17を形成する。
この量子井戸層17を、積層方向(z方向)にAlGaAsの障壁層12で挟み込む。高ポテンシャル層16のAl組成を、障壁層12のAl組成より小さく設定してもよい。これにより積層方向には多重量子井戸が形成され、かつ、面内方向に周期的なポテンシャル変化を有する赤外線検出器が得られる。
図3は、光検出器20の動作を説明する図である。光検出器20では、下部のコンタクト層11と上部のコンタクト層18にそれぞれ電極を設けて電圧を印加し、励起された自由キャリアを電極に集めて、光電流を測定する。
図3では、図2の積層構造が部分的に除去されて、下部のコンタクト層11の一部を露出する。露出したコンタクト層11の上面に、電極23を配置する。上部のコンタクト層18の表面に回折格子24を設け、回折格子24を有するコンタクト層18に上部の電極22を設ける。電極22は反射ミラーとして機能してもよい。
コンタクト層11の底面側から光が入射すると、活性層19で所定の波長域の光が吸収され、量子井戸層17の内部の電子が励起され、サブバンド間を遷移して自由キャリアが生成される。活性層19の両端に印加される電圧によって電界が生成され、自由キャリアが電界に沿って流れて、光電流が取り出される。光電流の量は入射光の強度と相関するので、光電流をモニタすることで入射光の強度を測定することができる。
活性層19の積層方向(コンタクト層11と垂直な方向)の量子閉じ込めにより電子の準位が量子化されているため、量子力学的選択則により、垂直に入射する光は吸収されない。入射光は活性層19を透過したのち、回折格子24により散乱され、活性層19に戻る。散乱光は多重量子井戸に斜めに入射し、光吸収を生じ、光検出を可能とする。
各量子井戸層17の面内方向のポテンシャル周期によって、変換効率を維持して雑音が抑制されているので、高感度で光検出することができる。
図4A〜図4Iは、実施形態の光検出器20の製造工程図である。一例として赤外域に感度を有する赤外線検出器を作製する。
図4Aで、半絶縁性のGaAs基板21の上に、下部のコンタクト層11となるn型のGaAs層を分子線エピタキシー法により形成する。n型のGaAsのドーパントとしてSiを用いる。Siの濃度は、たとえば2×1018/cm3である。このn型GaAs層のコンタクト層11の厚さは、たとえば1000nmである。
ここで用いられるGaAs基板21は、微傾斜基板である。一例として、GaAs基板は、(100)面から[0−11]方向に0.5°程度傾斜しており、基板表面に、32nm程度のテラス幅W1の微細なステップが存在する。
ステップ構造の傾斜基板の上に成長するGaAsのコンタクト層11も、下地の基板の表面形状を反映して、同程度のテラス幅W1のステップを有する。
図4Bで、障壁層12としてAlGaAs層を50nm成長する。障壁層12のAl組成は、たとえば0.3である。成長したAl0.3Ga0.7As層の表面には、基板21の表面形状を反映した微細なステップが存在する。
図4C〜図4Fで、面内周期ポテンシャルを持つ量子井戸層17を形成する。まず、図4Cで、n型AlGaAs層13を5nmに成長する。ドーパントにはSiを用い、濃度は4×1017/cm3とする。ドープされるSiからは電子が遊離し、その電子は量子井戸層17の束縛キャリアとなり得る。
次に、図4Dで、ステップフロー成長モードを利用してGaAs層151を成長する。原料分子はステップのコーナーにトラップされやすく、段差に近い側からGaAs層151が形成される。原料のGaとAsは、GaAs層151がテラス幅W1の半分(この例では16nm)の幅W2だけ成長するように供給される。
次に、図4Eで、ステップフロー成長モードを利用して、AlGaAs層161を成長する。この場合も、原料分子は、ステップのコーナーから優先的に成長する。Alの組成を0.1とし、GaAs層151のステップ端から、テラス幅W1の残りの半分である16nmだけ成長するように、Al、Ga、及びAsを供給する。
図4Fで、図4Dと図4Fの工程を17回繰り返して量子井戸層17−1を形成する。量子井戸層17−1では、GaAs層151層と、GaAsよりもエネルギーバンドギャップの大きいAlGaAs層161が、面内方向に繰り返し形成されている。GaAs層151とAlGaAs層の繰り返し周期は、テラス幅W1に相当する。
図4Gで、面内周期構造を有する量子井戸層17−1の上に、障壁層12−1となるAlGaAs層を40nm成長する。Alの組成は0.3とする。
図4Hで、図4C〜図4Fの工程をn回繰り返して、障壁層12、及び12−1〜12−nの各層の間に挟まれた量子井戸層17−1〜17−nを形成する。この例では、図4C〜図4Fを20回繰り返して、20層のMQWを形成する。最上層の障壁層12−nの上に、上部のコンタクト層18として、n型のGaAs層を1500nm成長する。
図4Iで、標準的なリソグラフィとエッチングにより、回折格子24を形成し、所定の領域で下部のコンタクト層11まで掘削する。その後、金属蒸着法により、上部の電極22と下部の電極23を形成する。電極は、たとえばAuGe/Au電極である。
下部の電極23と上部の電極22の間に電位差を与え、間に流れる電流を計測することで、光入射による電流変化を観察することができ、光検出器として機能する。
図5は、実施形態の量子井戸の面内方向のE−k特性を、面内方向のポテンシャル周期を持たない一般的な量子井戸の面内方向のE−k特性と比較する図である。図5(A)と図5(B)において、横軸は面内方向の波数k、縦軸は面内方向のエネルギーEである。
図5(A)で、実施形態の量子井戸では、面内方向のポテンシャル周期により、この周期で決まる波数面においてエネルギーギャップが発生する。より詳細には、面内方向のポテンシャル周期に対してブラッグ条件を満たす波数面(ブラッグ面、ブリルアンゾーン境界)でエネルギーギャップを生じ、その近傍でエネルギーが変化する。
ブリルアンゾーン境界近傍では、第1ブリルアンゾーンではエネルギーが低下し、ブリルアンゾーン境界の外側(第2ブリルアンゾーン)ではエネルギーが上昇する。
これに対し、図5(B)では、面内にポテンシャル分布がないので、エネルギーギャップは生じない。
図6は、実施形態と面内に周期ポテンシャルがない構成とを比較し、暗電流抑制の効果を説明する図である。ここで、基底準位および励起準位のエネルギー位置は量子井戸層17と障壁層12の組成、繰り返し回数、組成の変化の態様等により適切に調整されているものとする。
束縛電子はフェルミ準位までのエネルギー準位を占有しており、フェルミ準位と障壁層の伝導帯底のエネルギーEとのエネルギー差ΔEは熱的な励起による脱出障壁エネルギーを表す。束縛電子はΔE以上のエネルギーを熱的に得ることで、光励起によらず量子井戸の束縛を脱し、暗電流を形成する。
実施形態において、エネルギーギャップの形成により、第1ブリルアンゾーン境界近傍でエネルギーが下がると、束縛電子が第1ブリルアンゾーン内に収まる場合にはフェルミ準位が下がり、脱出障壁エネルギーΔEが大きくなる。これは、熱励起による電子の脱出が抑制され、暗電流が低減することを意味する。
ここで、光検出器の感度(光吸収効率)は量子井戸の束縛電子の数に比例し、暗電流Jdは束縛電子の脱出確率に比例するとする。
面内の周期ポテンシャルがない従来構造では、束縛電子の数nは式(1)で表される。
右辺の(EF−E1)はフェルミ準位と基底準位の差であり、束縛電子が存在するエネルギー領域である。m*/πh2は量子井戸の状態密度、AQWは井戸面積である。また、m*は電子の有効質量、hはプランク定数である。
素子中で、電子はフェルミ−ディラック分布しているが、フェルミ準位EFから一定程度を超えてエネルギーが大きい領域では、マックスウェル−ボルツマン分布で近似される(電子のエネルギーをE、ボルツマン定数をK、絶対温度をTとして、E−EF>>KBT)。
障壁層の伝導帯底のエネルギーECよりも高いエネルギーを持つ電子については、マックスウェル−ボルツマン分布で近似できる。典型的に、E−EF>100meV、KBT<7meVである。
Cよりも高いエネルギーを持った電子が暗電流として流れるため、暗電流は式(2)で表される。
式(1)のEFを式(2)に代入してEFを消すと、式(3)になる。ここでCは比例係数である。
面内の周期ポテンシャルのない従来構造だと、束縛電子数n(感度に比例)と暗電流Jdの関係は、式(3)で概ね決まってしまう。
求めるものは、感度を変えずに、暗電流を低減すること、すなわち、束縛電子数を変えずに、フェルミ準位EFを下げ、熱的な励起に対する脱出障壁エネルギーΔEを増大させることである。そのためには、束縛電子が第1ブリルアンゾーンにのみ分布すればよい。
束縛電子が第1ブリルアンゾーンにのみ分布する十分条件は以下のようになる。
光検出器の多重量子井戸構造と全体の不純物ドーピングプロファイルは、単一の量子井戸構造と不純物ドーピングプロファイルを周期的に繰り返したものであるとする。また、不純物はすべて活性化してキャリアを生成し、生成されたキャリアはほぼすべて量子井戸に束縛されるものとする(exp(−ΔE/KBT)<<1)。
通常の量子井戸の状態密度は、
で表される。フェルミ準位をEF、基底準位をE、不純物の面密度をN2Dとすると、式(1)と同様に、式(4)が成り立つ。
つまり、量子井戸内に埋まっている状態数と電子数は同じである。
エネルギーEFを持つ電子の波数kFは、
より、式(5)となる。
つまり(2次元の)k空間中で電子は、
の領域を占有している。
周期aを持つ(1次元の)周期的ポテンシャルによりエネルギーギャップが形成される波数(第1ブリルアンゾーンの境界)は、k=π/aであるから、
であれば、束縛電子は、エネルギーギャップ位置より小さい波数領域に分布することになる。上式を変形して、式(6)が得られる。
式(6)の不純物面密度N2Dを、実施形態の量子井戸層17に存在する不純物の面密度NQWに置き換えると、実施形態の量子井戸層17の面内ポテンシャル周期aが
a<(π/2NQW1/2
を満たす場合に、束縛電子はエネルギーギャップ位置よりも小さい波数領域に分布する。
一方、量子井戸内の波動関数を量子井戸層17の面に対して垂直な方向に分離すると、光の吸収確率は垂直方向の成分に依存し、面内方向の成分には依存しない。このため、ポテンシャル周期による面内方向のE−k特性の変調は吸収確率に影響せず、感度は従前と同様に維持することができる。
これは、量子井戸内における基底状態から励起状態への変化が、電子状態としては量子井戸の垂直方向の運動量変化に対応するためである。
このように、実施形態の量子井戸層17の面内方向のポテンシャル変化の周期aと、多重井戸を形成する量子井戸層17の一層当たりの不純物密度(面密度)NQWが、
a<(π/2NQW1/2
を満たすことで、感度を保ったまま暗電流を抑制することができる。
図7は、実施形態の構成をアレイ型の光検出器30に適用したときの画素構造を示す図である。光検出器20では、たとえば図2に示す光検出構成の画素31が2次元アレイ状に配置されている。
各画素の活性層19は、量子井戸層17と障壁層12が交互に積層されたMQW構造を有し、量子井戸層17は、面内方向に周期的なポテンシャル変化をもつ。活性層19が赤外光に感度を持つ場合、2次元アレイに配置される複数の赤外線検出素子で物体から放射される赤外光を検知し、測定対象の表面の温度分布情報を取得することができる。
隣接する画素31と画素31の間は、下部のコンタクト層11に達する分離溝33で分離されており、画素31の表面とコンタクト層11の露出面は、絶縁膜32で保護されている。光は基板21の裏面から入射し、コンタクト層11は、共通電極として機能する。上部の電極22はバンプ電極34と電気的に接続されている。
各画素で、量子井戸の伝導帯側に生じる量子準位のサブバンド間遷移による光吸収により、所定のピーク波長で分光応答が得られる。各画素31の検出値を読み出すときは、コンタクト層11と、上部の電極22に電圧が印加され、光吸収によって励起された電荷をバンプ電極34から読み出す。各画素31の電流値の分布を得ることで、2次元画像が得られる。
量子井戸層17の面内方向のポテンシャル周期によって暗電流が抑制される一方、量子井戸の垂直方向への状態遷移によって、面内方向のポテンシャル周期に影響されずに光検出感度を維持することができる。
図8は、図7の光検出器30を用いた撮像装置50の模式図である。光検出器30は、各画素31に設けられたバンプ電極34によって、読出し回路51にフリップチップ実装されている。読出し回路51の外周には、垂直走査回路(シフトレジスタ)、水平走査回路(シフトレジスタ)、水平読出し回路、ノイズキャンセラ等の回路が配置されている。
読出し回路51から光検出器30の下部のコンタクト層11に所定のバイアス電圧を印加し、バンプ電極34に順次電圧を印加することで、各画素31の電荷量が順次読み出される。読み出された電荷量はアナログ電気信号として読出し回路51に入力される。アナログ電気信号は、読出し回路51によってノイズキャンセル、増幅等の処理を受けてもよい。その後、デジタル変換、二値化処理等により、検出された光分布を表わす二次元画像を生成してもよい。
光検出器30において、量子井戸層の面内方向のポテンシャル周期により雑音(暗電流)が抑制されているので、光検出器30を必ずしも極低温環境に維持しなくてもよいが、光検出器30をデューワ等の冷却容器内に配置してもよい。この場合、冷却温度の条件を緩和することができる。
以上、特定の構成例に基づいて本発明を説明してきたが、本発明は上記の構成に限定されない。たとえば、x−y面内でポテンシャル周期を有する量子井戸層17は、x方向またはy方向に、InGaAsの領域とAlGaAsの領域を交互に配置してもよい。この場合、ステップフロー成長モードを利用してInGaAs量子井戸を形成する際に、Gaの原料濃度を制御して、初期のInAs種結晶から横方向にInGaAsを成長してもよい。
量子井戸層17の面内周期をステップフロー成長で形成する繰り返し回数は17回に限定されず、所望のエネルギー準位を設計するために適切な回数に設定してもよい。同様に積層方向の多重井戸の繰り返し回数は20回に限定されない。積層方向に量子井戸層17を挟み込む障壁層12をAlGaAsで形成する場合は、障壁層12のAl組成を、量子井戸層17の面内に配置される高ポテンシャル層16のAl組成よりも大きく設定してもよい。
実施形態の光検出器と撮像装置は、セキュリティ監視、設備の熱管理等に広く用いることができる。
以上の説明に対し、以下の付記を提示する。
(付記1)
量子井戸層と前記量子井戸層を積層方向に挟む障壁層とを含む活性層、
を有し、
前記量子井戸層は、面内方向に周期的なポテンシャル変化を有する
ことを特徴とする光検出器。
(付記2)
前記量子井戸層は、前記ポテンシャル変化の周期をa、前記量子井戸層に含まれる不純物の面内密度をNQWとすると、
a<(π/2NQW1/2
を満たす付記1に記載の光検出器。
(付記3)
前記活性層は、前記積層方向に前記量子井戸層と前記障壁層が交互に複数回繰り返された多重量子井戸を有し、前記面内密度は、前記多重量子井戸に含まれる前記量子井戸層の1層あたりの不純物密度である付記2に記載の光検出器。
(付記4)
前記量子井戸層は、第1のエネルギーバンドギャップを有する第1の化合物半導体と、前記第1のエネルギーバンドギャップよりも大きい第2のエネルギーバンドギャップを有する第2の化合物半導体が、前記面内方向で交互に配置されている、付記1〜3のいずれかに記載の光検出器。
(付記5)
前記障壁層は、前記第2のエネルギーバンドギャップよりも大きい第3のエネルギーバンドギャップを有する付記4に記載の光検出器。
(付記6)
前記第2の化合物半導体と前記障壁層は、同じ材料で、異なる組成で形成されている付記5に記載の光検出器。
(付記7)
前記活性層を支持する基板、
をさらに有し、
前記基板は傾斜基板である付記1〜6のいずれかに記載の光検出器。
(付記8)
前記傾斜基板は、表面に所定の幅のステップを有し、
前記ポテンシャル変化の前記周期は前記幅に相当する付記7に記載の光検出器。
(付記9)
付記1〜8のいずれかに記載の光検出器と、
前記光検出器が実装された読出し回路と、
を有する撮像装置。
(付記10)
前記光検出器は、分離溝によって互いに分離された複数の画素の配列を有し、
前記画素の各々が前記活性層を有し、
前記光検出器は、前記複数の画素に形成された突起電極によって前記読出し回路にフリップチップ実装されている付記9に記載の撮像装置。
(付記11)
基板の上の第1領域に第1の化合物半導体の層を形成し、
前記基板の面内方向で前記第1領域と隣接する第2領域に、前記第1の化合物半導体よりもエネルギーバンドギャップの大きい第2の化合物半導体の層を形成して前記面内方向に周期的なポテンシャル変化を有する第1の層を形成し、
前記第1の層を、前記第1の化合物半導体よりも前記エネルギーバンドギャップの大きい第2の層で積層方向に挟む、
光検出器の製造方法。
(付記12)
前記第1の化合物半導体と、前記第2の化合物半導体をステップフロー成長モードで形成する付記11に記載の光検出器の製造方法。
(付記13)
表面に所定の幅のステップを有する傾斜基板を前記基板として用いる、付記11または12に記載の光検出器の製造方法。
(付記14)
前記第1の化合物半導体を、前記ステップの前記面内方向の第1の位置まで成長し、
前記第2の化合物半導体を、前記第1の位置から前記ステップの端部まで成長する、
付記13に記載の光検出器の製造方法。
10、20、30 光検出器
11 コンタクト層
12,21−1〜12−n 障壁層
15 低ポテンシャル層(第1の化合物半導体)
16 高ポテンシャル層(第2の化合物半導体)
17、17−1〜17−n 量子井戸層
18 コンタクト層
22,23 電極
34 バンプ電極(突起電極)
50 撮像装置
51 読出し回路

Claims (7)

  1. 量子井戸層と前記量子井戸層を積層方向に挟む障壁層とを含む活性層、
    を有し、
    前記量子井戸層は、面内方向に周期的なポテンシャル変化を有する
    ことを特徴とする光検出器。
  2. 前記量子井戸層は、前記ポテンシャル変化の周期をa、前記量子井戸層に含まれる不純物の面内密度をNQWとすると、
    a<(π/2NQW1/2
    を満たす請求項1に記載の光検出器。
  3. 前記活性層は、前記積層方向に前記量子井戸層と前記障壁層が交互に複数回繰り返された多重量子井戸を有し、前記面内密度は、前記多重量子井戸に含まれる前記量子井戸層の1層あたりの不純物密度である請求項2に記載の光検出器。
  4. 前記量子井戸層は、第1のエネルギーバンドギャップを有する第1の化合物半導体と、前記第1のエネルギーバンドギャップよりも大きい第2のエネルギーバンドギャップを有する第2の化合物半導体が、前記面内方向で交互に配置されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光検出器。
  5. 前記障壁層は、前記第2のエネルギーバンドギャップよりも大きい第3のエネルギーバンドギャップを有する請求項4に記載の光検出器。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の光検出器と、
    前記光検出器が実装された読出し回路と、
    を有する撮像装置。
  7. 基板の上の第1領域に第1の化合物半導体の層を形成し、
    前記基板の面内方向で前記第1領域と隣接する第2領域に、前記第1の化合物半導体よりもエネルギーバンドギャップの大きい第2の化合物半導体の層を形成して前記面内方向に周期的なポテンシャル変化を有する第1の層を形成し、
    前記第1の層を、前記第1の化合物半導体よりも前記エネルギーバンドギャップの大きい第2の層で積層方向に挟む、
    光検出器の製造方法。
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