JP2020169968A - 二次電池の金属リチウム析出検知装置および方法 - Google Patents
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Abstract
Description
また従来から、定電圧制御を行うことなく、金属リチウムの析出の有無を判定するリチウムイオン二次電池のリチウム析出判別装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。このリチウムイオン二次電池のリチウム析出判別装置では、判定対象のリチウムイオン二次電池の定電流放電が行われ、定電流放電の中止後のリチウムイオン二次電池の電圧回復量が閾値以上である場合に、金属リチウムの析出が発生していないと判定され、電圧回復量が閾値未満である場合に、金属リチウムの析出が発生していると判定される。
特許文献1および特許文献2に記載された技術では、リチウムの析出の有無の判定手法に改善の余地があり、リチウムの析出の有無を正確に判定することができない。
そのため、上記(1)に記載の二次電池の金属リチウム析出検知装置では、金属リチウムの析出が発生しているか否かを正確に判定することができる。
二次電池に対する充電を終了した後における所定時間当たりの二次電池の開回路電圧の減少量が第1閾値以上である場合に金属リチウムの析出が発生していると判定される二次電池の金属リチウム析出検知装置では、金属リチウムの析出が発生しているか否かを正確に判定することができる。
二次電池に対する充電を終了してから第1時間経過後における所定時間当たりの二次電池の開回路電圧の変化量に基づいて金属リチウムの析出が発生しているか否かが判定される二次電池の金属リチウム析出検知装置では、金属リチウムの析出が発生しているか否かを正確に判定することができる。
二次電池に対する充電を終了した後における、二次電池が拡散律速状態になっている期間中の所定時間当たりの二次電池の開回路電圧の減少量が第1閾値以上である場合に、金属リチウムの析出が発生していると判定される二次電池の金属リチウム析出検知装置では、二次電池が拡散律速状態になっているか否かが考慮され、金属リチウムの析出が発生しているか否かが判定される。そのため、例えば二次電池が拡散律速状態になっていない期間中の所定時間当たりの二次電池の開回路電圧の減少量が第1閾値以上である場合に金属リチウムの析出が発生していると判定される二次電池の金属リチウム析出検知装置よりも正確に、金属リチウムの析出が発生しているか否かを判定することができる。
二次電池を開回路状態にしてから60秒経過後における単位時間当たりの二次電池の開回路電圧の減少量が第1閾値以上である場合に金属リチウムの析出が発生していると判定される二次電池の金属リチウム析出検知装置では、二次電池を開回路状態にしてから60秒経過前における単位時間当たりの二次電池の開回路電圧の減少量が第1閾値以上である場合に金属リチウムの析出が発生していると判定される二次電池の金属リチウム析出検知装置よりも正確に、金属リチウムの析出が発生しているか否かを判定することができる。
二次電池を開回路状態にしてから500秒経過後、かつ、二次電池を開回路状態にしてから1000秒経過前の期間中における単位時間当たりの二次電池の開回路電圧の減少量が第1閾値以上である場合に金属リチウムの析出が発生していると判定される二次電池の金属リチウム析出検知装置では、二次電池を開回路状態にしてから1000秒経過後の期間中における単位時間当たりの二次電池の開回路電圧の減少量が第1閾値以上である場合に金属リチウムの析出が発生していると判定される二次電池の金属リチウム析出検知装置よりも正確に、金属リチウムの析出が発生しているか否かを判定することができる。
金属リチウムの析出が発生していると判定された場合に金属リチウムの析出量を算出する金属リチウム析出量算出部を更に備える二次電池の金属リチウム析出検知装置では、特許文献1に記載されたリチウムイオン電池の劣化判定装置などとは異なり、金属リチウムの析出量を得ることができる。
金属リチウムの析出が発生していると判定された場合に二次電池に対する充電許可電流または二次電池からの放電許可電流を算出する許可電流算出部を更に備え二次電池の金属リチウム析出検知装置では、金属リチウムの析出が発生した後においても適切に二次電池に対する充電または二次電池からの放電を継続することができる。
二次電池のグラファイト負極のステージ構造の切り替え点であって二次電池が拡散律速状態になっている期間中における単位時間当たりの二次電池の開回路電圧の変化量に基づいて金属リチウムの析出が発生しているか否かが判定される二次電池の金属リチウム析出検知装置では、グラファイト負極のステージ構造が利用されない場合よりも高感度に、金属リチウムの析出が発生しているか否かを判定することができる。
二次電池に対する充電をグラファイト負極のステージ構造の切り替え点に相当する二次電池のSOCまで行って終了する二次電池の金属リチウム析出検知装置では、二次電池に対する充電がグラファイト負極のステージ構造の切り替え点に相当する二次電池のSOCまで行われない二次電池の金属リチウム析出検知装置よりも高感度に、金属リチウムの析出が発生しているか否かを判定することができる。
第1減少量を用いることによって金属リチウムの析出が発生しているか否かが判定される二次電池の金属リチウム析出検知装置では、第2減少量のみを用いることによっては金属リチウムの析出が発生しているか否かを高感度に判定できない場合であっても、金属リチウムの析出が発生しているか否かを高感度に判定することができる。
そのため、上記(12)に記載の二次電池の金属リチウム析出検知方法では、金属リチウムの析出が発生しているか否かを正確に判定することができる。
そのため、上記(13)に記載の二次電池の金属リチウム析出検知装置では、金属リチウムの析出が発生しているか否かを正確に判定し、許可電流を適切に設定することができる。
そのため、上記(14)に記載の二次電池の金属リチウム析出検知装置では、金属リチウムの析出が発生しているか否かを正確に判定し、許可電流を適切に設定することができる。
図1は第1実施形態の金属リチウム析出検知装置1が適用された一例を示す図である。
図1に示す例では、金属リチウム析出検知装置1が、正極(図示せず)と負極(図示せず)とを有する例えばリチウムイオン二次電池、例えば非水二次電池などのような二次電池2(単電池または組電池)における金属リチウムの析出を検知する。詳細には、第1実施形態の金属リチウム析出検知装置1は、電圧がリチウムイオンの充電量に依存する材料を使用する任意の二次電池に適用可能である。
また、金属リチウム析出検知装置1は、例えばプロセッサ/ECU(電子制御ユニット)によって構成される。金属リチウム析出検知装置1には、二次電池2に流れる電流を検出する電流センサ3と、二次電池2の開回路電圧などを検出する電圧センサ4と、二次電池2の温度を検出する温度センサ5とが接続されている。金属リチウム析出検知装置1は、電流積算・RLS(Recursive Least Squares)法等によるSOC(State of Charge)推定器、SOC−OCV(Open Circuit Voltage)テーブル、SOC−dE/dtテーブルなどを有する。また、金属リチウム析出検知装置1は、充電制御部11と、放電制御部12と、回路状態設定部13と、拡散律速状態判定部14と、開回路電圧変化量算出部15と、金属リチウム析出判定部16と、金属リチウム析出量算出部17と、許可電流算出部18とを備えている。
充電制御部11は、例えば外部電源(図示せず)等から二次電池2への充電を制御する。放電制御部12は、二次電池2から例えばモータ(図示せず)等のような負荷への放電を制御する。回路状態設定部13は、二次電池2の回路状態(例えば開回路状態、閉回路状態など)を設定する。
拡散律速状態判定部14は、二次電池2の負極内部が拡散律速状態であるか否かを判定する。つまり、拡散律速状態判定部14は、オーミック抵抗や電荷移動抵抗を含まない、二次電池2の負極内部でリチウムの拡散が支配的となっている状態(拡散律速状態)であるか否かを判定する。詳細には、拡散律速状態判定部14は、例えば二次電池2の交流インピーダンスに基づいて、二次電池2の負極内部が拡散律速状態であるか否かを判定する。
開回路電圧変化量算出部15は、電圧センサ4によって検出された二次電池2の開回路電圧に基づいて、所定時間(単位時間)当たりの二次電池2の開回路電圧の変化量を算出する。開回路電圧変化量算出部15によって算出される所定時間当たりの二次電池2の開回路電圧の変化量は、後述するように、金属リチウムの析出が二次電池2に発生しているか否かに大きく依存する。
金属リチウム析出判定部16は、開回路電圧変化量算出部15によって算出された所定時間当たりの二次電池2の開回路電圧の変化量などに基づいて、金属リチウムの析出が二次電池2に発生しているか否かを判定する。金属リチウム析出量算出部17は、開回路電圧変化量算出部15によって算出された所定時間当たりの二次電池2の開回路電圧の変化量などに基づいて、金属リチウムの析出量を算出する。許可電流算出部18は、二次電池2対する充電許可電流または二次電池2からの放電許可電流を算出する。
図2および図3に示す例では、ステップS11において、充電制御部11が、例えば外部電源などから二次電池2への充電を開始する。
図2および図3に示す例では、ステップS11において、充電制御部11が、二次電池2に対して定電流充電を行うが、他の例では、ステップS11において、充電制御部11が、二次電池2に対して例えばパルス充電、定電圧充電などのような他の手法の充電を行ってもよい。
詳細には、第1実施形態の金属リチウム析出検知装置1では、二次電池2に対する充電時にリチウムイオンの充電反応が発生する周波数(例えば数kHz)以下で電流を印加する任意の手法の充電が、ステップS11において行われる。
ステップS13において、充電制御部11は、例えば外部電源などから二次電池2への充電を終了する。
次いで、ステップS14において、回路状態設定部13は、二次電池2の回路状態を開回路状態に設定する。図3に示す例では、時刻t0に、充電制御部11が二次電池2への充電を終了し、回路状態設定部13が二次電池2を開回路状態に設定する。詳細には、ステップS14では、二次電池2側と充電回路側との間のスイッチ(例えばコンタクタ等)の切り替え(ON→OFF)が行われることにより、二次電池2が開回路状態に設定され、充電が終了した状態、すなわち、充電電流が流れていない状態(無負荷の状態)で、電圧センサ4が二次電池2の電圧(開回路電圧)を検出している。
次いで、ステップS15において、拡散律速状態判定部14は、二次電池2の負極内部が拡散律速状態になったか否かを判定する。二次電池2の負極内部が拡散律速状態になった場合に、開回路電圧変化量算出部15は、電圧センサ4によって検出された二次電池2の開回路電圧(図3に示す例では、時刻t1における開回路電圧V1および時刻t2における開回路電圧V2)に基づいて、所定時間(t2−t1)当たりの二次電池2の開回路電圧の変化量ΔV(dE/dt)(=V1−V2)を算出する。つまり、開回路電圧変化量算出部15は、リチウム拡散抵抗に支配される時間帯における所定時間当たりの二次電池2の開回路電圧の変化量ΔVを算出する。
二次電池2が車両の例えば走行用に用いられる場合には、図6のステップS15が、例えば車両走行中、外部電源から二次電池2への充電が行われる時などのような任意のタイミングで実行される。また、二次電池2が車両の例えば走行用に用いられる場合には、ステップS15における所定時間当たりの二次電池2の開回路電圧の変化量ΔVの演算が、オンボード演算によって行われる。
詳細には、ステップS16では、金属リチウム析出判定部16は、ステップS13において充電制御部11が二次電池2に対する充電を終了し、ステップS14において回路状態設定部13が二次電池2を開回路状態に設定し、二次電池2が拡散律速状態になっている期間中の所定時間(t2−t1)当たりの二次電池2の開回路電圧の減少量ΔV(=V1−V2)が第1閾値VTH1以上であるか否かを判定する。
二次電池2が拡散律速状態になっている期間中の所定時間(t2−t1)当たりの二次電池2の開回路電圧の減少量ΔV(=V1−V2)が第1閾値VTH1以上である場合には、ステップS17において、金属リチウム析出判定部16は、金属リチウムの析出が発生していると判定する。
一方、二次電池2が拡散律速状態になっている期間中の所定時間(t2−t1)当たりの二次電池2の開回路電圧の減少量ΔV(=V1−V2)が第1閾値VTH1未満である場合には、ステップS18において、金属リチウム析出判定部16は、金属リチウムの析出が発生していないと判定する。
金属リチウムの析出が発生している例(図4中の「Li析出有」)では、二次電池2が拡散律速状態になっている期間中の所定時間(t2−t1)当たりの二次電池2の開回路電圧の減少量(V1−V2)が第1閾値VTH1以上であるため、金属リチウム析出判定部16によって、金属リチウムの析出が発生していると判定される。
一方、金属リチウムの析出が発生していない例(図4中の「通常劣化」)では、二次電池2が拡散律速状態になっている期間中の所定時間(t2−t1)当たりの二次電池2の開回路電圧の減少量(V3−V4)が第1閾値VTH1未満であるため、金属リチウム析出判定部16によって、金属リチウムの析出が発生していないと判定される。
一方、二次電池2が拡散律速状態になっていない期間中においては、金属リチウムの析出が発生している例(「Li析出有」)における所定時間(t1−t0)当たりの二次電池2の開回路電圧の減少量(=V0−V1)が、金属リチウムの析出が発生していない例(「通常劣化」)における所定時間(t1−t0)当たりの二次電池2の開回路電圧の減少量(V0−V3)よりも小さくなる。
そこで、第1実施形態の金属リチウム析出検知装置1では、金属リチウムの析出が発生しているか否かを判定するために、二次電池2が拡散律速状態になっていない期間中における所定時間(t1−t0)当たりの二次電池2の開回路電圧の減少量ではなく、二次電池2が拡散律速状態になっている期間中における所定時間(t2−t1)当たりの二次電池2の開回路電圧の減少量が用いられる。
詳細には、第1実施形態の金属リチウム析出検知装置1では、上述したように、二次電池2が拡散律速状態になっている期間中の所定時間(t2−t1)当たりの二次電池2の開回路電圧の減少量ΔV(=V1−V2)が第1閾値VTH1以上である場合に、金属リチウムの析出が発生していると判定される。
そのため、第1実施形態の金属リチウム析出検知装置1では、例えば二次電池2が拡散律速状態になっていない期間中の所定時間当たりの二次電池2の開回路電圧の減少量が第1閾値VTH1以上である場合に金属リチウムの析出が発生していると判定される金属リチウム析出検知装置よりも正確に、金属リチウムの析出が発生しているか否かを判定することができる。
金属リチウムの析出が発生している例(「Li析出有」)では、まず、二次電池2に対する充電終了後に、負極のうちの金属リチウムが析出していない部分が「ステージ1」の状態になる。次いで、負極のうちの金属リチウムが析出している部分が「ステージ2」の状態になる。次いで、負極全体が「ステージ2a/2b」の状態になる。
一方、金属リチウムの析出が発生していない例(「通常劣化」)では、まず、負極の一部分が「ステージ2a」の状態になり、負極の残りの部分が「ステージ2b」の状態になる。次いで、負極全体が「ステージ2a/2b」の状態になる。
図5に示すように、金属リチウムの析出が発生していない例(「析出無し」)では、二次電池2が劣化しても(つまり、二次電池2の耐久時間が増加しても)、所定時間当たりの二次電池2の開回路電圧の減少量が、一定の範囲内の値になる。
一方、金属リチウムの析出が発生している例(「析出有り」)では、二次電池2が劣化すると(つまり、二次電池2の耐久時間が増加すると)、所定時間当たりの二次電池2の開回路電圧の減少量が、上述した範囲から外れる。
そこで、図5に示す例では、図2のステップS16において用いられる第1閾値VTH1が、一定値に設定されている。図5に示すように、金属リチウムの析出が発生している例(「析出有り」)では、所定時間当たりの二次電池2の開回路電圧の減少量が第1閾値VTH1以上になるため、金属リチウム析出判定部16によって、金属リチウムの析出が発生していると判定される。一方、金属リチウムの析出が発生していない例(「析出無し」)では、所定時間当たりの二次電池2の開回路電圧の減少量が第1閾値VTH1未満になるため、金属リチウム析出判定部16によって、金属リチウムの析出が発生していないと判定される。
二次電池2の電圧は、二次電池2の正極電位と負極電位との差分である。負極電位は、負極に挿入されたリチウム(Li)の量で決定する。二次電池2の充電時に電極の面方向にLiの偏りが生じると、二次電池2が開回路状態になったとき、偏ったLiは均一になるように、電極の固相内を拡散していく。このリチウムの偏りが均一になる過程が電圧の挙動として現れる。Li析出があると、上記の偏りが極端になり、開回路電圧が安定化するまで時間がかかる。そこで、第1実施形態の金属リチウム析出検知装置1では、電圧の安定化に要する時間差が判定に使用される。
つまり、新品の二次電池2に対して確実に有意差の現れる時間帯は、二次電池2を開回路状態にしてから500秒が経過した後の時間帯であると言える。
そこで、第1実施形態の金属リチウム析出検知装置1では、図3および図4に示す時刻t1が、二次電池2を開回路状態にしてから500秒が経過する時刻に設定される。そのため、第1実施形態の金属リチウム析出検知装置1では、図3および図4に示す時刻t1が、二次電池2を開回路状態にしてから500秒が経過する前の時刻に設定される場合よりも正確に、金属リチウムの析出が発生しているか否かを判定することができる。
なお、充電制御部11が二次電池2への充電を終了し、回路状態設定部13が二次電池2を開回路状態に設定した後、1秒が経過すると、二次電池2の負極内部でリチウムの拡散が支配的となる(つまり、二次電池2の負極内部が拡散律速状態になる)。そのため、第1実施形態の金属リチウム析出検知装置1の他の例では、図3および図4に示す時刻t1を、例えば二次電池2を開回路状態にしてから例えば100秒が経過する時刻に設定してもよい。
そこで、第1実施形態の金属リチウム析出検知装置1では、図3および図4に示す時刻t2が、二次電池2を開回路状態にしてから1000秒が経過する前の時刻に設定される。そのため、第1実施形態の金属リチウム析出検知装置1では、図3および図4に示す時刻t2が、二次電池2を開回路状態にしてから1000秒が経過した後の時刻に設定される場合よりも正確に、金属リチウムの析出が発生しているか否かを判定することができる。
図6に示す処理は、図2のステップS17において、金属リチウムの析出が発生していると金属リチウム析出判定部16が判定した場合に開始される。
まず、ステップS21において、金属リチウム析出量算出部17は、図2のステップS15において算出された所定時間当たりの二次電池2の開回路電圧の変化量などに基づいて、金属リチウムの析出量を算出する。詳細には、金属リチウム析出量算出部17は、図2のステップS16における判定に用いられた所定時間当たりの二次電池2の開回路電圧の減少量ΔVと、二次電池2の温度およびSOC毎に予め作成された所定時間当たりの二次電池2の開回路電圧の減少量ΔVと金属リチウムの析出量との関係とに基づいて、金属リチウムの析出量を算出する。
図7に示すように、所定時間当たりの二次電池2の開回路電圧の減少量ΔV(dE/dt)が増加するに従って、二次電池2における金属リチウムの析出量は増加する。つまり、所定時間当たりの二次電池2の開回路電圧の減少量ΔV(dE/dt)は、金属リチウムの析出量に応じて異なる。
図7に示す例では、金属リチウムの析出量が少なく、二次電池2の劣化の程度が小さいレベルが「レベル1」に設定される。金属リチウムの析出量が「レベル1」より多く、二次電池2の劣化の程度が「レベル1」より大きいレベルが「レベル2」に設定される。金属リチウムの析出量が「レベル2」より多く、二次電池2の劣化の程度が「レベル2」より大きいレベルが「レベル3」に設定される。「レベル3」は、「不安全事象」に相当し、二次電池2の作動(二次電池2に対する充電、および、二次電池2からの放電)が停止させられるレベルである。
第1実施形態の金属リチウム析出検知装置1では、図7に示す関係が、例えば検量線として予め作成される。二次電池2が車両の例えば走行用に用いられる場合には、図6のステップS21が、例えば車両走行中、外部電源から二次電池2への充電が行われる時などのような任意のタイミングで実行される。
ステップS23では、充電制御部11および放電制御部12が、二次電池2の作動を停止する。詳細には、充電制御部11が二次電池2に対する充電を停止し、放電制御部12が二次電池2からの放電を停止する。
ステップS24では、許可電流算出部18が、ステップS21において算出された金属リチウムの析出量と、二次電池2の温度およびSOC毎に予め作成された金属リチウムの析出量と充電許可電流との関係、または、二次電池2の温度およびSOC毎に予め作成された金属リチウムの析出量と放電許可電流との関係に基づいて、二次電池2に対する充電許可電流または二次電池2からの放電許可電流を算出する。
つまり、ステップS24では、許可電流算出部18が、二次電池2の劣化の程度に応じた適切な二次電池2に対する充電許可電流または二次電池2からの放電許可電流を算出する。
すなわち、第1実施形態の金属リチウム析出検知装置1では、充電制御部11が、二次電池2の劣化の程度を反映して二次電池2への充電のフィードバック制御を実行し、放電制御部12が、二次電池2の劣化の程度を反映して二次電池2からの放電のフィードバック制御を実行する。
図8に示す例では、「不安全事象」に相当しないレベルとして「レベル1」および「レベル2」が設定されている図7に示す例に対応して、「レベル1」用の充電許可電流マップと「レベル2」用の充電許可電流マップとが設定されている。
「レベル1」用の充電許可電流マップおよび「レベル2」用の充電許可電流マップは、二次電池2の温度と、二次電池2のSOCと、二次電池2対する充電許可電流との関係が定められた3次元マップである。「レベル1」用の充電許可電流マップは、図6のステップS21において算出された金属リチウムの析出量が図7の「レベル1」に相当する場合に用いられ、「レベル2」用の充電許可電流マップは、図6のステップS21において算出された金属リチウムの析出量が図7の「レベル2」に相当する場合に用いられる。
図8に示す例では、二次電池2の温度が25[℃]であり、二次電池2のSOCが50[%]である場合であって、図6のステップS21において図7の「レベル2」に相当する金属リチウムの析出量が算出される場合に、図6のステップS24において、許可電流算出部18が、図8の「レベル2」用の充電許可電流マップに基づいて、二次電池2対する充電許可電流200[A]を算出する。
また、第1実施形態の金属リチウム析出検知装置1では、金属リチウムの析出が発生していると判定された場合に、許可電流算出部18によって二次電池2に対する充電許可電流または二次電池2からの放電許可電流が算出される。そのため、第1実施形態の金属リチウム析出検知装置1では、金属リチウムの析出が発生した後においても適切に二次電池2に対する充電または二次電池2からの放電を適切に継続することができる。つまり、第1実施形態の金属リチウム析出検知装置1では、過剰な安全率を含めることなく、適切な二次電池2に対する充電許可電流または二次電池2からの放電許可電流を算出することができる。すなわち、第1実施形態の金属リチウム析出検知装置1では、二次電池2に対する充電許可電流または二次電池2からの放電許可電流が過剰に抑制されてしまう事態を抑制し、二次電池2に対する充電速度または二次電池2からの放電速度を向上させることができる。その結果、第1実施形態の金属リチウム析出検知装置1が車両に適用される場合に、車両の性能を向上させることができる。
また、第1実施形態の金属リチウム析出検知装置1では、二次電池2の劣化の程度が「不安全事象」に相当する場合に、二次電池2の作動が停止させられる。そのため、第1実施形態の金属リチウム析出検知装置1では、二次電池2の劣化抑制および安全性を両立することができる。
換言すれば、第1実施形態の金属リチウム析出検知装置1では、二次電池2の劣化を抑制しつつ、不安全事象に至らない簡便な手法によって二次電池2に対する充電または二次電池2からの放電を行うことができる。また、第1実施形態の金属リチウム析出検知装置1では、二次電池2に対する充電の手法(例えば、定電流充電、パルス充電、定電圧充電など)を限定することなく、試行錯誤によることなく、二次電池2に対する適切な印加電流を設定することができる。
図9に示す「Li析出劣化品」、「通常劣化品(Li析出無)」および「新品」の二次電池2に対して第1実施形態の金属リチウム析出検知装置1が適用される場合においても、開回路電圧変化量算出部15は、オーミック抵抗や電荷移動抵抗を含まない、二次電池2の負極内部でリチウムの拡散が支配的となっている期間中に、所定時間当たりの二次電池2の開回路電圧の変化量を算出する。
オーミック抵抗や電荷移動抵抗を含む期間中における所定時間当たりの二次電池2の開回路電圧の変化量によっては、金属リチウムの析出による二次電池2の劣化と、金属リチウムの析出以外が原因の二次電池2の劣化とを区別することができず、金属リチウムの析出が二次電池2に発生しているか否かを、金属リチウム析出判定部16が正確に判定できないからである。
上述したように、第1実施形態の金属リチウム析出検知装置1では、金属リチウムの析出が二次電池2に発生しているか否かを判定するために、二次電池2が拡散律速状態になっている期間中の所定時間当たりの二次電池2の開回路電圧の変化量が用いられる。
一方、第1実施形態の金属リチウム析出検知装置1の第1変形例では、金属リチウムの析出が二次電池2に発生しているか否かを判定するために、図3に示すような、二次電池2が拡散律速状態になっている期間中の所定時間当たりの二次電池2の開回路電圧の変化量と、図10に示すような、緩和時間が600[秒]以降の期間中の二次電池2の負極静電位OCPとが用いられる。
図11に示す処理は、図2のステップS17において、金属リチウムの析出が発生していると金属リチウム析出判定部16が判定した場合に開始される。
まず、ステップS31において、金属リチウム析出量算出部17は、図2のステップS16における判定に用いられた所定時間当たりの二次電池2の開回路電圧の減少量ΔV(dE/dt)と、二次電池2の温度およびSOC毎に予め作成された所定時間当たりの二次電池2の開回路電圧の減少量ΔV(dE/dt)とセル当たりの金属リチウムの析出量との関係とに基づいて、セル当たりの金属リチウムの析出量を算出する。
図12に示すように、所定時間当たりの二次電池2の開回路電圧の減少量ΔV(dE/dt)が増加するに従って、二次電池2におけるセル当たりの金属リチウムの析出量は増加する。つまり、所定時間当たりの二次電池2の開回路電圧の減少量ΔV(dE/dt)は、セル当たりの金属リチウムの析出量に応じて異なる。
図12に示す例では、所定時間当たりの二次電池2の開回路電圧の減少量ΔV(dE/dt)とセル当たりの金属リチウムの析出量との関係が、二次電池2の温度およびSOC毎に複数作成されている。また、セル当たりの金属リチウムの析出量が、「安全許容限界の析出量」と「不安全事象に達する析出量」とに区分されている。
第1実施形態の金属リチウム析出検知装置1の第2変形例では、図12に示す複数の関係が、例えば検量線またはマップとして予め作成される。
ステップS33では、充電制御部11および放電制御部12が、二次電池2の作動を停止する。つまり、充電許可電流および放電許可電流がゼロに設定される。
ステップS34では、許可電流算出部18が、ステップS31において算出されたセル当たりの金属リチウムの析出量と、二次電池2の温度およびSOC毎に予め作成されたセル当たりの金属リチウムの析出量と充電許可電流との関係に基づいて、二次電池2に対する充電許可電流を算出する。
図13に示す例では、図12中のプロットED1に対応する充電許可電流マップと、プロットED2に対応する充電許可電流マップと、プロットED3に対応する充電許可電流マップとが設定されている。
プロットED1に対応する充電許可電流マップ、プロットED2に対応する充電許可電流マップおよびプロットED3に対応する充電許可電流マップは、二次電池2の温度と、二次電池2のSOCと、二次電池2対する充電許可電流との関係が定められた3次元マップである。プロットED1に対応する充電許可電流マップは、図11のステップS31において算出されたセル当たりの金属リチウムの析出量が図12中のプロットED1に相当する場合に用いられる。プロットED2に対応する充電許可電流マップは、図11のステップS31において算出されたセル当たりの金属リチウムの析出量が図12中のプロットED2に相当する場合に用いられる。プロットED3に対応する充電許可電流マップは、図11のステップS31において算出されたセル当たりの金属リチウムの析出量が図12中のプロットED3に相当する場合に用いられる。
プロットED1に対応する充電許可電流マップ、プロットED2に対応する充電許可電流マップおよびプロットED3に対応する充電許可電流マップはで、所定時間当たりの二次電池2の開回路電圧の減少量ΔV(dE/dt)が大きいほど、充電許可電流が小さくなるように、充電許可電流が設定されている。
ステップS36では、例えば許可電流算出部18が、例えば図13に示す3つの充電許可電流マップを据え置く。
ステップS37では、例えば許可電流算出部18が、例えば図13に示す3つの充電許可電流マップを、例えば2つの充電許可電流マップに絞り込む。詳細には、許可電流算出部18が、入力頻度と電流値とから所定時間当たりの二次電池2の開回路電圧の減少量ΔV(dE/dt)を予測し、許可電流値を決定する(つまり、絞り込まれる充電許可電流マップを決定する)。
また、第1実施形態の金属リチウム析出検知装置1では、許可電流算出部18は、二次電池2に対する充電を終了し、二次電池2を開回路状態にし、二次電池2が拡散律速状態になっている期間中に開回路電圧変化量算出部15によって算出された所定時間当たりの二次電池2の開回路電圧の変化量が第3閾値以上である場合(詳細には、金属リチウム析出量算出部17によって算出された金属リチウムの析出量が、「不安全事象に達する析出量」に相当する場合)に、許可電流をゼロにする。
以下、本発明の二次電池の金属リチウム析出検知装置および二次電池の金属リチウム析出検知方法の第2実施形態について説明する。
第2実施形態の金属リチウム析出検知装置1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の金属リチウム析出検知装置1と同様に構成されている。従って、第2実施形態の金属リチウム析出検知装置1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の金属リチウム析出検知装置1と同様の効果を奏することができる。
一方、第2実施形態の金属リチウム析出検知装置1では、上述したように、図2のステップS16において用いられる第1閾値VTH1が、耐久時間に応じて変化する値に設定されている。
図14に示すように、第1実施形態の金属リチウム析出検知装置1において用いられる第1閾値VTH1は、一定値に設定されている。一方、第2実施形態の金属リチウム析出検知装置1において用いられる第1閾値VTH1は、二次電池2の耐久時間が増加するに従って(すなわち、二次電池2が劣化するに従って)大きくなるように、設定されている。
詳細には、第2実施形態の金属リチウム析出検知装置1では、耐久時間がゼロである二次電池2(未使用の二次電池2)の判定に用いられる第1閾値VTH1(初期第1閾値)は、耐久時間がゼロである二次電池2が拡散律速状態になっている期間中の所定時間(t2−t1)当たりの二次電池2の開回路電圧の減少量ΔVに設定されている。
また、第2実施形態の金属リチウム析出検知装置1では、未使用の二次電池2の判定に用いられる第1閾値VTH1(初期第1閾値)を所定の割合(図14に示す右下がりの直線の傾きに相当するもの)で増加させたものが、耐久後の二次電池2の判定に用いられる第1閾値VTH1(耐久後第1閾値)として設定されている。
以下、本発明の二次電池の金属リチウム析出検知装置および二次電池の金属リチウム析出検知方法の第3実施形態について説明する。
第3実施形態の金属リチウム析出検知装置1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の金属リチウム析出検知装置1と同様に構成されている。従って、第3実施形態の金属リチウム析出検知装置1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の金属リチウム析出検知装置1と同様の効果を奏することができる。
図15に示す例では、金属リチウム析出検知装置1が、正極(図示せず)とグラファイト負極2Aとを有する例えばリチウムイオン二次電池などのような二次電池2(単電池または組電池)における金属リチウムの析出を検知する。
金属リチウム析出検知装置1は、充電制御部11と、放電制御部12と、回路状態設定部13と、拡散律速状態判定部14と、開回路電圧変化量算出部15と、金属リチウム析出判定部16と、金属リチウム析出量算出部17と、許可電流算出部18と、ステージ構造切り替え点検出部19と、析出指標値算出部1Aとを備えている。
ステージ構造切り替え点検出部19は、二次電池2のグラファイト負極2Aのステージ構造の切り替え点を検出する。析出指標値算出部1Aは、金属リチウム析出判定部16における判定に用いられる析出指標値を算出する。
図16(A)に示すように、金属リチウムの析出が発生しているグラファイト負極2Aを有する二次電池2に対する充電中、グラファイト負極2Aのうちの金属リチウムが析出している部分には、Liが挿入されにくく、金属リチウムが析出していない部分には、Liが集中して挿入される。
次いで、図16(B)に示すように、二次電池2が開回路状態になって緩和(休止)状態に入ると、グラファイト負極2AのうちのLi濃度が低い部分(金属リチウムが析出している部分)へLiが拡散していき、金属リチウムが析出している部分のLi濃度が大きく上昇し、次いで、図16(C)に示す緩和後の状態になる。
一方、図16(D)に示すように、金属リチウムの析出が発生していないグラファイト負極2Aでは、二次電池2に対する充電中に、図16(A)に示すようなLi挿入量の分布の偏りが発生しない。そのため、図16(E)に示すように、二次電池2が開回路状態になって緩和(休止)状態になるときのLi拡散量は、図16(B)および図16(C)に示す場合よりも小さくなる。
第3実施形態の金属リチウム析出検知装置1は、この性質を利用し、拡散緩和中の変化を捉えることによって、二次電池2における金属リチウムの析出を検知する。
グラファイト負極は充電深度(SOC)によってステージ構造と呼ばれる異なる結晶形態をとることが知られている。図17に示すように、それぞれのステージ構造は、固有の負極電位(負極の開回路電位OCP)を有する。ステージ構造の切り替え点付近においては、Li挿入量の差により、充電直後に金属リチウムが析出した部分と、金属リチウムが析出していない部分とが、異なるステージ構造に存在する可能性がある。
ステージ構造の切り替え点付近において拡散緩和によってステージ構造の切り替わりが発生する場合には、図17に示すように、負極の開回路電位OCPが変化するため、セル開回路電圧OCVも大きく変化する。
一方、金属リチウムの析出が発生していないグラファイト負極では、ステージ構造の切り替え点においても、拡散緩和によるステージ構造の変化はほとんど起こらない。そのため、金属リチウムの析出が発生していないグラファイト負極におけるセル開回路電圧OCVの変化は、金属リチウムの析出が発生しているグラファイト負極におけるセル開回路電圧OCVの変化よりも小さくなる。
この性質を利用することによって、二次電池2における金属リチウムの析出をより高精度に検知することができる。
上述したように、セル開回路電圧OCVには負極の開回路電位OCPの形状が反映されている(つまり、負極の開回路電位OCPが変化すると、セル開回路電圧OCVも変化する)ことから、図19に示すように、微分値「dVcell/dQ」からも、微分値「dV負極/dQ」と同様に、グラファイト負極のステージ構造の変化を検出することができる。
図18に示す例では、微分値「dV負極/dQ」から二次電池2のグラファイト負極2Aのステージ構造の切り替え点を検出することができ、図19に示す例では、微分値「dVcell/dQ」から二次電池2のグラファイト負極2Aのステージ構造の切り替え点を検出することができる。
他の例では、積算容量の測定値以外に、満充電容量を100[%]とするSOCを横軸にとることによって、二次電池2のグラファイト負極2Aのステージ構造の切り替え点を検出してもよい。
他の例では、図20に示す関係を利用し、開回路電圧OCVからリチウムイオン二次電池のSOCを求め、そこから現在のグラファイト負極2Aのステージ構造の切り替え点を検出してもよい。
更に他の例では、リチウムイオン二次電池の内部抵抗Rがセンサ(図示せず)および状態推定方法により取得できている場合に、セル閉回路電圧CCVからセル開回路電圧OCVおよびリチウムイオン二次電池のSOCを推定することによって、グラファイト負極2Aのステージ構造の切り替え点を検出してもよい。
セル閉回路電圧CCVからセル開回路電圧OCVを推定する場合には、電流センサ3によって検出されるリチウムイオン二次電池に流れる電流iと、以下のような式とを用いることができる。
OCV=CCV−IR
また、n段のR(RC)n等価回路モデルを用いることによって、遅れ成分を含む内部抵抗Rを計算し、セル開回路電圧OCVを計算することもできる。
図21に示す例では、ステップS41において、二次電池2のグラファイト負極2Aのステージ構造の切り替え点に相当する二次電池2のSOCになるまで、充電制御部11が、例えば外部電源などから二次電池2への充電を行う。
次いで、ステップS42では、回路状態設定部13が、二次電池2の回路状態を開回路状態に設定し、拡散律速状態判定部14は、二次電池2の負極内部が拡散律速状態になったか否かを判定する。二次電池2の負極内部が拡散律速状態になった場合に、充電制御部11は、電圧センサ4によって検出される二次電池2のセル開回路電圧OCVを取得する。
次いで、ステップS43では、析出指標値算出部1Aは、金属リチウム析出判定部16における判定に用いられる析出指標値を算出する。詳細には、析出指標値算出部1Aは、電圧センサ4によって検出された二次電池2のセル開回路電圧OCV(図3に示す例では、時刻t1における開回路電圧V1および時刻t2における開回路電圧V2)に基づいて、所定時間(t2−t1)当たりの二次電池2のセル開回路電圧OCVの変化量である析出指標値ΔOCV(=V1−V2)を算出する。つまり、析出指標値算出部1Aは、リチウム拡散抵抗に支配される時間帯における所定時間当たりの二次電池2のセル開回路電圧OCVの変化量である析出指標値ΔOCVを算出する。
詳細には、ステップS44では、金属リチウム析出判定部16は、ステップS41において二次電池2のグラファイト負極2Aのステージ構造の切り替え点に相当する二次電池2のSOCになると充電制御部11が二次電池2に対する充電を終了し、ステップS42において回路状態設定部13が二次電池2を開回路状態に設定し、二次電池2が拡散律速状態になっている期間中の所定時間(t2−t1)当たりの二次電池2のセル開回路電圧OCVの減少量である析出指標値ΔOCV(=V1−V2)が第1閾値VTH1以上であるか否かを判定する。
二次電池2が拡散律速状態になっている期間中の所定時間(t2−t1)当たりの二次電池2のセル開回路電圧OCVの減少量である析出指標値ΔOCV(=V1−V2)が第1閾値VTH1以上である場合には、ステップS45において、金属リチウム析出判定部16は、金属リチウムの析出が発生していると判定する。
一方、二次電池2が拡散律速状態になっている期間中の所定時間(t2−t1)当たりの二次電池2のセル開回路電圧OCVの減少量である析出指標値ΔOCV(=V1−V2)が第1閾値VTH1未満である場合には、ステップS46において、金属リチウム析出判定部16は、金属リチウムの析出が発生していないと判定する。
セル開回路電圧OCVの変化量である析出指標値ΔOCVに伝導抵抗や電荷移動抵抗(反応抵抗)成分の緩和に伴う変化が含まれると、金属リチウムの析出の発生を正確に検知できない。そのため、第3実施形態の金属リチウム析出検知装置1では、上述した抵抗成分を除外できる時刻t1から、拡散抵抗成分の変化を観測するために十分な時刻t2までの区間での析出指標値ΔOCVが用いられる。その結果、拡散時のステージ構造の変化に伴う電位変化を検出することができる。
ステージ構造の切り替え点としては、例えば「Stage2/1」(図18および図19参照)や、「Stage3/2」(図18および図19参照)を用いることができる。
時刻t1は、交流インピーダンス測定などで電荷移動抵抗成分の時定数を求めることにより、その時定数よりも大きく設定されることが望ましい。
時間t1〜t2は、拡散緩和のために十分な時間である必要があり、かつ、拡散緩和が収束するまでの時間範囲で設定されることが好ましい。一方で、時刻t2は、計測時間を不必要に長くしないようにするために、図3に示す右下がりの曲線の傾きがゼロになる時刻よりも前の時刻に設定されることがのぞましい。
第1閾値VTH1は、例えば予め析出量が分かっているセルと析出していない通常劣化セルとでそれぞれ析出指標値ΔOCVを算出し、通常の劣化品と区別ができる析出指標値ΔOCVの値を設定する方法などによって、設定することができる。
そのため、第3実施形態の金属リチウム析出検知装置1では、二次電池2に対する充電がグラファイト負極2Aのステージ構造の切り替え点に相当する二次電池2のSOCまで行われない場合よりも高感度に、金属リチウムの析出が発生しているか否かを判定することができる。
以下、本発明の二次電池の金属リチウム析出検知装置および二次電池の金属リチウム析出検知方法の第4実施形態について説明する。
第4実施形態の金属リチウム析出検知装置1は、後述する点を除き、上述した第3実施形態の金属リチウム析出検知装置1と同様に構成されている。従って、第4実施形態の金属リチウム析出検知装置1によれば、後述する点を除き、上述した第3実施形態の金属リチウム析出検知装置1と同様の効果を奏することができる。
第4実施形態の金属リチウム析出検知装置1の第1例では、ステージ構造の切り替え点(図22中の「Stage3/2」)のセル開回路電圧OCVの減少量ΔOCVstage3/2(第2減少量)が算出され、ステージ構造の切り替え点以外(図22中の「A」と「B」との間の「Stage2」に相当する領域)におけるセル開回路電圧OCVの減少量ΔOCVstage2(第1減少量)が算出され、第2減少量と第1減少量との比(ΔOCVstage3/2/ΔOCVstage2)が析出指標値として用いられる。
第4実施形態の金属リチウム析出検知装置1の第2例では、ステージ構造の切り替え点(図22中の「Stage2/1」)のセル開回路電圧OCVの減少量ΔOCVstage2/1(第2減少量)が算出され、ステージ構造の切り替え点以外(図22中の「A」と「B」との間の「Stage2」に相当する領域)におけるセル開回路電圧OCVの減少量ΔOCVstage2(第1減少量)が算出され、第2減少量と第1減少量との比(ΔOCVstage2/1/ΔOCVstage2)が析出指標値として用いられる。
第4実施形態の金属リチウム析出検知装置1の第3例では、N/P比(リチウムイオン二次電池の正極と負極の対向する面積あたりの容量比)が小さく、「Stage1」まで利用されるリチウムイオン二次電池に対して、金属リチウム析出検知装置1が適用される。第4実施形態の金属リチウム析出検知装置1の第3例では、ステージ構造の切り替え点(図22中の「Stage2/1」)のセル開回路電圧OCVの減少量ΔOCVstage2/1(第2減少量)が算出され、ステージ構造の切り替え点以外(図22中の「C」の位置の「Stage1」に相当する領域)におけるセル開回路電圧OCVの減少量ΔOCVstage1(第1減少量)が算出され、第2減少量と第1減少量との比(ΔOCVstage2/1/ΔOCVstage1)が析出指標値として用いられる。
図23に示す例では、ステップS51において、二次電池2のグラファイト負極2Aのステージ構造の切り替え点(図22中の「Stage3/2」)に相当する二次電池2のSOCになるまで、充電制御部11が、例えば外部電源などから二次電池2への充電を行う。
次いで、ステップS52では、回路状態設定部13が、二次電池2の回路状態を開回路状態に設定し、拡散律速状態判定部14は、二次電池2の負極内部が拡散律速状態になったか否かを判定する。二次電池2の負極内部が拡散律速状態になった場合に、充電制御部11は、電圧センサ4によって検出される二次電池2のセル開回路電圧OCVを取得する。
また、ステップS52では、析出指標値算出部1Aは、金属リチウム析出判定部16における判定に用いられる第2減少量ΔOCVstage3/2を算出する。詳細には、析出指標値算出部1Aは、電圧センサ4によって検出された二次電池2のセル開回路電圧OCV(図3に示す例では、時刻t1における開回路電圧V1および時刻t2における開回路電圧V2)に基づいて、所定時間(t2−t1)当たりの二次電池2のセル開回路電圧OCVの減少量である第2減少量ΔOCVstage3/2(=V1−V2)を算出する。つまり、析出指標値算出部1Aは、リチウム拡散抵抗に支配される時間帯における所定時間当たりの二次電池2のセル開回路電圧OCVの変化量である第2減少量ΔOCVstage3/2を算出する。
次いで、ステップS54では、回路状態設定部13が、二次電池2の回路状態を開回路状態に設定し、拡散律速状態判定部14は、二次電池2の負極内部が拡散律速状態になったか否かを判定する。二次電池2の負極内部が拡散律速状態になった場合に、充電制御部11は、電圧センサ4によって検出される二次電池2のセル開回路電圧OCVを取得する。
また、ステップS54では、析出指標値算出部1Aは、金属リチウム析出判定部16における判定に用いられる第1減少量ΔOCVstage2を算出する。詳細には、析出指標値算出部1Aは、電圧センサ4によって検出された二次電池2のセル開回路電圧OCVに基づいて、所定時間当たりの二次電池2のセル開回路電圧OCVの減少量である第1減少量ΔOCVstage2を算出する。つまり、析出指標値算出部1Aは、リチウム拡散抵抗に支配される時間帯における所定時間当たりの二次電池2のセル開回路電圧OCVの変化量である第1減少量ΔOCVstage2を算出する。
詳細には、ステップS56では、金属リチウム析出判定部16は、ステップS55において算出された析出指標値(ΔOCVstage3/2/ΔOCVstage2)が第1閾値VTH1以上であるか否かを判定する。
析出指標値(ΔOCVstage3/2/ΔOCVstage2)が第1閾値VTH1以上である場合には、ステップS57において、金属リチウム析出判定部16は、金属リチウムの析出が発生していると判定する。
一方、析出指標値(ΔOCVstage3/2/ΔOCVstage2)が第1閾値VTH1未満である場合には、ステップS58において、金属リチウム析出判定部16は、金属リチウムの析出が発生していないと判定する。
図24に示す金属リチウム析出判定結果では、新品の二次電池2(金属リチウムの析出量がゼロの二次電池2)および通常劣化品の二次電池2(金属リチウムの析出量がゼロの二次電池2)の析出指標値(ΔOCVstage3/2/ΔOCVstage2)が第1閾値VTH1未満であると、図23のステップS56において判定された。
金属リチウムの析出量が約200[mg/セル]の二次電池2、金属リチウムの析出量が約400[mg/セル]の二次電池2および金属リチウムの析出量が約850[mg/セル]の二次電池2の析出指標値(ΔOCVstage3/2/ΔOCVstage2)は第1閾値VTH1以上であると、図23のステップS56において判定された。
図25に示す例では、ステップS61において、二次電池2のグラファイト負極2Aのステージ構造の切り替え点以外(図22中の「A」と「B」との間の「Stage2」)に相当する二次電池2のSOCになるまで、充電制御部11が、例えば外部電源などから二次電池2への充電を行う。
次いで、ステップS62では、回路状態設定部13が、二次電池2の回路状態を開回路状態に設定し、拡散律速状態判定部14は、二次電池2の負極内部が拡散律速状態になったか否かを判定する。二次電池2の負極内部が拡散律速状態になった場合に、充電制御部11は、電圧センサ4によって検出される二次電池2のセル開回路電圧OCVを取得する。
また、ステップS62では、析出指標値算出部1Aは、金属リチウム析出判定部16における判定に用いられる第1減少量ΔOCVstage2を算出する。詳細には、析出指標値算出部1Aは、電圧センサ4によって検出された二次電池2のセル開回路電圧OCVに基づいて、所定時間当たりの二次電池2のセル開回路電圧OCVの減少量である第1減少量ΔOCVstage2を算出する。つまり、析出指標値算出部1Aは、リチウム拡散抵抗に支配される時間帯における所定時間当たりの二次電池2のセル開回路電圧OCVの変化量である第1減少量ΔOCVstage2を算出する。
次いで、ステップS64では、回路状態設定部13が、二次電池2の回路状態を開回路状態に設定し、拡散律速状態判定部14は、二次電池2の負極内部が拡散律速状態になったか否かを判定する。二次電池2の負極内部が拡散律速状態になった場合に、充電制御部11は、電圧センサ4によって検出される二次電池2のセル開回路電圧OCVを取得する。
また、ステップS64では、析出指標値算出部1Aは、金属リチウム析出判定部16における判定に用いられる第2減少量ΔOCVstage2/1を算出する。詳細には、析出指標値算出部1Aは、電圧センサ4によって検出された二次電池2のセル開回路電圧OCVに基づいて、所定時間当たりの二次電池2のセル開回路電圧OCVの減少量である第2減少量ΔOCVstage2/1を算出する。つまり、析出指標値算出部1Aは、リチウム拡散抵抗に支配される時間帯における所定時間当たりの二次電池2のセル開回路電圧OCVの変化量である第2減少量ΔOCVstage2/1を算出する。
詳細には、ステップS66では、金属リチウム析出判定部16は、ステップS65において算出された析出指標値(ΔOCVstage2/1/ΔOCVstage2)が第1閾値VTH1以上であるか否かを判定する。
析出指標値(ΔOCVstage2/1/ΔOCVstage2)が第1閾値VTH1以上である場合には、ステップS67において、金属リチウム析出判定部16は、金属リチウムの析出が発生していると判定する。
一方、析出指標値(ΔOCVstage2/1/ΔOCVstage2)が第1閾値VTH1未満である場合には、ステップS68において、金属リチウム析出判定部16は、金属リチウムの析出が発生していないと判定する。
図26に示す金属リチウム析出判定結果では、新品の二次電池2(金属リチウムの析出量がゼロの二次電池2)および2つの通常劣化品の二次電池2(金属リチウムの析出量がゼロの二次電池2)の析出指標値(ΔOCVstage2/1/ΔOCVstage2)が第1閾値VTH1未満であると、図25のステップS66において判定された。
金属リチウムの析出量が約200[mg/セル]の二次電池2、金属リチウムの析出量が約400[mg/セル]の二次電池2および金属リチウムの析出量が約850[mg/セル]の二次電池2の析出指標値(ΔOCVstage2/1/ΔOCVstage2)は第1閾値VTH1以上であると、図25のステップS66において判定された。
図27に示す例では、ステップS71において、二次電池2のグラファイト負極2Aのステージ構造の切り替え点(図22中の「Stage2/1」)に相当する二次電池2のSOCになるまで、充電制御部11が、例えば外部電源などから二次電池2への充電を行う。
次いで、ステップS72では、回路状態設定部13が、二次電池2の回路状態を開回路状態に設定し、拡散律速状態判定部14は、二次電池2の負極内部が拡散律速状態になったか否かを判定する。二次電池2の負極内部が拡散律速状態になった場合に、充電制御部11は、電圧センサ4によって検出される二次電池2のセル開回路電圧OCVを取得する。
また、ステップS72では、析出指標値算出部1Aは、金属リチウム析出判定部16における判定に用いられる第2減少量ΔOCVstage2/1を算出する。詳細には、析出指標値算出部1Aは、電圧センサ4によって検出された二次電池2のセル開回路電圧OCVに基づいて、所定時間当たりの二次電池2のセル開回路電圧OCVの減少量である第2減少量ΔOCVstage2/1を算出する。つまり、析出指標値算出部1Aは、リチウム拡散抵抗に支配される時間帯における所定時間当たりの二次電池2のセル開回路電圧OCVの変化量である第2減少量ΔOCVstage2/1を算出する。
次いで、ステップS74では、回路状態設定部13が、二次電池2の回路状態を開回路状態に設定し、拡散律速状態判定部14は、二次電池2の負極内部が拡散律速状態になったか否かを判定する。二次電池2の負極内部が拡散律速状態になった場合に、充電制御部11は、電圧センサ4によって検出される二次電池2のセル開回路電圧OCVを取得する。
また、ステップS74では、析出指標値算出部1Aは、金属リチウム析出判定部16における判定に用いられる第1減少量ΔOCVstage1を算出する。詳細には、析出指標値算出部1Aは、電圧センサ4によって検出された二次電池2のセル開回路電圧OCVに基づいて、所定時間当たりの二次電池2のセル開回路電圧OCVの減少量である第1減少量ΔOCVstage1を算出する。つまり、析出指標値算出部1Aは、リチウム拡散抵抗に支配される時間帯における所定時間当たりの二次電池2のセル開回路電圧OCVの変化量である第1減少量ΔOCVstage1を算出する。
詳細には、ステップS76では、金属リチウム析出判定部16は、ステップS75において算出された析出指標値(ΔOCVstage2/1/ΔOCVstage1)が第1閾値VTH1以上であるか否かを判定する。
析出指標値(ΔOCVstage2/1/ΔOCVstage1)が第1閾値VTH1以上である場合には、ステップS77において、金属リチウム析出判定部16は、金属リチウムの析出が発生していると判定する。
一方、析出指標値(ΔOCVstage2/1/ΔOCVstage1)が第1閾値VTH1未満である場合には、ステップS78において、金属リチウム析出判定部16は、金属リチウムの析出が発生していないと判定する。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶部のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
Claims (14)
- 金属リチウムの析出が二次電池に発生しているか否かを判定する金属リチウム析出判定部を備え、
前記金属リチウム析出判定部は、
前記二次電池に対する充電を終了した後における、所定時間当たりの前記二次電池の開回路電圧の変化量に基づいて、金属リチウムの析出が発生しているか否かを判定する、
二次電池の金属リチウム析出検知装置。 - 前記金属リチウム析出判定部は、
前記二次電池に対する充電を終了した後における、所定時間当たりの前記二次電池の開回路電圧の減少量が第1閾値以上であるか否かを判定し、
前記減少量が前記第1閾値以上である場合に、金属リチウムの析出が発生していると判定する、
請求項1に記載の二次電池の金属リチウム析出検知装置。 - 前記金属リチウム析出判定部は、
前記二次電池に対する充電を終了してから第1時間経過後における、所定時間当たりの前記二次電池の開回路電圧の変化量に基づいて、金属リチウムの析出が発生しているか否かを判定する、
請求項1又は2に記載の二次電池の金属リチウム析出検知装置。 - 前記金属リチウム析出判定部は、
前記二次電池に対する充電を終了した後における、前記二次電池が拡散律速状態になっている期間中の所定時間当たりの前記二次電池の開回路電圧の減少量が第1閾値以上であるか否かを判定し、
前記減少量が前記第1閾値以上である場合に、金属リチウムの析出が発生していると判定する、
請求項3に記載の二次電池の金属リチウム析出検知装置。 - 前記金属リチウム析出判定部は、
前記二次電池を開回路状態にしてから60秒経過後における所定時間当たりの前記二次電池の開回路電圧の減少量が第1閾値以上である場合に、金属リチウムの析出が発生していると判定する、
請求項3に記載の二次電池の金属リチウム析出検知装置。 - 前記金属リチウム析出判定部は、
前記二次電池を開回路状態にしてから500秒経過後、かつ、前記二次電池を開回路状態にしてから1000秒経過前の期間中における前記減少量が前記第1閾値以上である場合に、金属リチウムの析出が発生していると判定する、
請求項5に記載の二次電池の金属リチウム析出検知装置。 - 前記金属リチウム析出判定部によって、金属リチウムの析出が発生していると判定された場合に、前記金属リチウム析出判定部による判定に用いられた所定時間当たりの前記二次電池の開回路電圧の減少量と、前記二次電池の温度およびSOC毎に予め作成された前記減少量と金属リチウムの析出量との関係とに基づいて、金属リチウムの析出量を算出する金属リチウム析出量算出部を更に備える、
請求項3、請求項5および請求項6のいずれか一項に記載の二次電池の金属リチウム析出検知装置。 - 前記金属リチウム析出判定部によって、金属リチウムの析出が発生していると判定された場合に、前記金属リチウム析出量算出部によって算出された金属リチウムの析出量と、前記二次電池の温度およびSOC毎に予め作成された金属リチウムの析出量と充電許可電流との関係に基づいて、前記二次電池に対する充電許可電流または前記二次電池からの放電許可電流を算出する許可電流算出部を更に備える、
請求項7に記載の二次電池の金属リチウム析出検知装置。 - 前記二次電池はグラファイト負極を有し、
前記グラファイト負極のステージ構造の切り替え点を検出するステージ構造切り替え点検出部を更に備え、
前記金属リチウム析出判定部は、
前記グラファイト負極のステージ構造の前記切り替え点であって、前記二次電池が拡散律速状態になっている期間中における所定時間当たりの前記二次電池の開回路電圧の変化量に基づいて、金属リチウムの析出が発生しているか否かを判定する、
請求項2から請求項8のいずれか一項に記載の二次電池の金属リチウム析出検知装置。 - 前記金属リチウム析出判定部は、
前記二次電池に対する充電を、前記切り替え点に相当する前記二次電池のSOCまで行って終了し、
前記二次電池を開回路状態にし、
前記二次電池が拡散律速状態になっている期間中の所定時間当たりの前記二次電池の開回路電圧の減少量が前記第1閾値以上であるか否かを判定し、
前記減少量が第1閾値以上である場合に、金属リチウムの析出が発生していると判定する、
請求項9に記載の二次電池の金属リチウム析出検知装置。 - 前記二次電池はグラファイト負極を有し、
前記グラファイト負極のステージ構造の切り替え点を検出するステージ構造切り替え点検出部と、
前記金属リチウム析出判定部における判定に用いられる析出指標値を算出する析出指標値算出部とを更に備え、
前記析出指標値算出部は、
前記二次電池に対する充電を、前記切り替え点以外の点に相当する前記二次電池のSOCまで行って終了し、前記二次電池を開回路状態にし、前記二次電池が拡散律速状態になっている期間中の所定時間当たりの前記二次電池の開回路電圧の減少量である第1減少量を算出し、
前記二次電池に対する充電を、前記切り替え点に相当する前記二次電池のSOCまで行って終了し、前記二次電池を開回路状態にし、前記二次電池が拡散律速状態になっている期間中の所定時間当たりの前記二次電池の開回路電圧の減少量である第2減少量を算出し、
前記第2減少量と前記第1減少量との比である前記析出指標値を算出し、
前記金属リチウム析出判定部は、前記析出指標値に基づいて、金属リチウムの析出が発生しているか否かを判定する、
請求項1に記載の二次電池の金属リチウム析出検知装置。 - 二次電池に対する充電を終了する第1ステップと、
前記充電の終了後における所定時間当たりの前記二次電池の開回路電圧の変化量に基づいて、金属リチウムの析出が前記二次電池に発生しているか否かを判定する第2ステップとを備える、
二次電池の金属リチウム析出検知方法。 - 所定時間当たりの二次電池の開回路電圧の変化量を算出する開回路電圧変化量算出部と、
前記二次電池に対する充電許可電流または前記二次電池からの放電許可電流である許可電流を算出する許可電流算出部とを備え、
前記許可電流算出部は、
前記二次電池に対する充電を終了した後における、前記開回路電圧変化量算出部によって算出された前記変化量が大きくなるほど、前記許可電流を小さくする、
二次電池の金属リチウム析出検知装置。 - 所定時間当たりの二次電池の開回路電圧の変化量を算出する開回路電圧変化量算出部と、
前記二次電池に対する充電許可電流または前記二次電池からの放電許可電流である許可電流を算出する許可電流算出部とを備え、
前記許可電流算出部は、
前記二次電池に対する充電を終了した後における、
前記開回路電圧変化量算出部によって算出された前記変化量が第3閾値以上である場合に、前記許可電流をゼロにする、
二次電池の金属リチウム析出検知装置。
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