本発明の例示的な実施形態を以下に記載する。明確さのため、実際に実施される全ての機構が本明細書に記載されるわけではない。当然ながら、任意のそのような実際の実施形態の開発において、実施によって異なる、システム及びビジネスに関連する制約の順守等、開発者の特定の目的を達成するために、多数の実施に特有の決定が行われるべきであることが理解される。さらに、そのような開発努力は、複雑かつ時間のかかるものであり得るが、それでもなお、本開示の利益を有する当業者にとっては日常的な取り組みであることが理解される。本明細書に開示されるシステムは、個別及び組み合わせの両方で特許権保護が保証される、種々の発明的な機構及び構成要素を有する。本明細書には主に腰椎の側方外科手術における使用に関して記載されるが、本開示のシステム及び方法また、全て本開示から逸脱することなく、後方、後側方、前方、前側方の腰椎、胸椎、及び/又は頸椎の処置を含む、任意の多数の他の脊椎の外科処置にも用いられ得ることも、明示的に留意される。本明細書に記載されるシステム及び方法は、個別及び組み合わせの両方で、特許権保護が保証される、種々の発明的な機構及び構成要素を有する。
神経生理学的監視システム10が本明細書に記載され、これは、執刀医(及び/又は外科手術チームの他の構成員)の指示で、多数の神経生理学的評価及び/又はガイダンス評価を実施することができる。単なる例として、図1〜2は、システム10の基本的な構成要素を図示する。本システムは、制御ユニット12(好ましくはグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を備える主ディスプレイ34と、システム10を制御するのに不可欠な処理機能を集合的に含む処理ユニット36とを含む)、患者モジュール14、刺激補助装置(例えば、刺激プローブ16、種々の外科手術器具との接続のための刺激クリップ18、インライン刺激ハブ20、及び刺激電極22)、及び電位を検出するための複数の記録電極24を備える。
刺激補助装置は、それ自体が刺激部位に挿入される種々の証明デバイス、処置を通じて何回も使用される標準的な器具に取り付けられ、そこに刺激信号(刺激シグナル)を給送するクリップ、並びに表面電極の形態であり得る。刺激クリップ18は、肉茎アクセス針26、k線27、タップ28、拡張器(複数可)30、組織開創器32等を含むが必ずしもこれらに限定されない、任意の様々な外科手術器具をシステム10に接続するために使用され得る。ユーザへの出力の追加表現及び/又はユーザからの入力の受信のために、1つ以上の補助フィードバックデバイス(例えば、図20〜21の補助ディスプレイ46)もまた提供され得る。
一実施形態において、システム10は、神経筋経路評価(「攣縮試験」)、非誘発監視(「持続EMG」)、静的肉茎完全性試験(「基礎刺激EMG」)、動的肉茎完全性試験(「動的刺激EMG」)、神経近接性検出(「XLIF(登録商標)」)、運動誘起電位監視(「手動MEP」及び「自動MEP」)、経皮神経根試験(「警告TCNR」及び「閾値TCNR」)、体性感覚誘起電位監視(「手動SSEP」及び「自動SSEP」)、並びに外科的矯正計画及び評価を含むが必ずしもこれらに限定されない、任意の機能モードを実行するように構成され得る。システム10はまた、脊椎の腰部領域、胸腰部領域、及び頸部領域のいずれかでの実施のために構成されてもよい。
これらの機能モード(例えば、攣縮試験、基礎刺激EMG、動的刺激EMG、XILF、手動MEP、自動MEP、警告TCNR、及び閾値TCNR)の多くを実施するための基礎となるのは、(患者モジュール14を介して)システム10によって伝送される刺激信号に関連してシステム10によって監視される、誘発された種々の筋肉の筋節の応答の評価である。誘発された応答の評価は、例えば、一実施形態では筋肉の機械的運動を検出するために加速度計又は他の類似のデバイスを用いることを必要とする機械的筋運動図(MMG)を介して、或いは本明細書に詳細に記載される筋電図(EMG)を介して、筋肉の物理的な運動を感知する任意の好適な手段であり得る。これは、図3〜5に図示されており、図5は、図3及び図4に表される例示的な刺激信号のうちの1つに応答して監視された筋節の結果として得られるEMG波形を図示する。EMG応答は、電気刺激によって引き起こされる神経脱分極の定量的尺度を提供する。EMG応答を特徴付けるための一手段は、図5に示される、
というピーク間電圧によるものである。神経組織は、それらが脱分極し、検出可能な筋活動をもたらすであろう特徴的な閾値電流レベル(I
thresh)を有する。この閾値電流レベルよりも低いと、刺激信号は有意なEMG応答を誘発しない。一実施形態によると、有意なEMG応答は、およそ100uVのV
ppを有するとして定義され得る。したがって、この例では100uVである閾値電圧(V
thresh)のEMG応答を誘発するのに必要な最も低い刺激電流を、I
threshと呼ぶことができる。刺激信号と神経との間の電気通信の程度が大きいほど、I
threshは小さくなる。対照的に、刺激信号と神経との間の電気通信の程度が小さいほど、I
threshは大きくなる。したがって、I
threshの判定、及び/又は経時的なI
threshの変化の監視は、以下により詳細に考察されるように、外科処置中に神経組織が危険に曝されるときに関する有益な情報を提供し得る。例として、MEP試験中の過剰に高いI
thresh又は以前の測定値を超える増加は、神経への刺激信号の伝送(通信)を阻害する脊髄又は運動経路の他の部分における問題を示し得る。それと同時に、基礎刺激EMG又は動的刺激EMGモード及びXLIFモードでは、低いI
thresh値は、それぞれ、電気信号(電気シグナル)が肉茎を通じて伝送することを可能にする肉茎内の切裂、又は刺激源への神経の近接近を示し得る。I
threshが伝達する有用な情報があるため、執刀医は、問題又は潜在的な問題を早期に検出し、次いで、その問題を回避する及び/又は軽減するための動作をとることができる。神経生理学システム10は、執刀医の指導及び操作の下で(所望される場合)迅速かつ正確にI
threshを判定し、執刀医による解釈のための単純かつ容易に理解される手段でI
threshが有する有用な情報を伝達することができる。
外科手術システム10の種々の機能モードにさらに注意を向ける前に、システム10のハードウェア構成要素及び機構についてより詳細に記載する。単なる例として図6に図示されるシステム10の制御ユニット12は、主ディスプレイ34と、システム10を制御するために不可欠な処理能力を集合的に有する処理ユニット36とを含む。主ディスプレイ34は、好ましくは、情報をユーザに図的に伝達し、ユーザから命令を受信することができる、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)を備える。処理ユニット36は、刺激源(例えば、患者モジュール14、図7〜9)に指令を出し、患者モジュール14からデジタル及び/もしくはアナログ信号(アナログシグナル)並びに他の情報を受信し、EMG及びSSEP応答信号を処理し、ディスプレイ34を介して処理されたデータをユーザに表示する、コンピュータハードウェア及びソフトウェアを含む。制御ユニット12内のソフトウェアの主要な機能には、タッチ画面の主ディスプレイ34を介してユーザコマンドを受信すること、適切なモード(攣縮試験、基礎刺激EMG、動的刺激EMG、XLIF、手動MEP、自動MEP、警告TCNR、閾値TCNR、手動SSEP、及び自動SSEP)で刺激を有効化すること、定義されたアルゴリズムに従って信号データを処理すること、受信したパラメータ及び処理したデータを表示すること、並びにシステム状態を監視することが含まれる。1つの例示的な実施形態によると、主ディスプレイ34は、好適なタッチ画面技術を備える15インチのLCDディスプレイを備え得、処理ユニット36は、2GHzを備え得る。図6に示される処理ユニット36は、患者モジュール14との接続のための電力供給されるUSBポート38、媒体ドライブ40(例えば、CD、CD−RW、DVD、DVD−RW等)、ネットワークポート、無線ネットワークカード、並びに単なる例として、ナビゲーションガイダンスセンサ、補助刺激アノード、及び外部デバイス(例えば、プリンタ、キーボード、マウス等)といった追加の補助装置を取り付けるための複数の追加のポート42(例えば、USB、IEEE 1394、赤外線等)をさらに含む。好ましくは、使用時に、制御ユニット12は、例えば、テーブルの上又は可動式スタンドの上といった、手術台の近くではあるが手術野の外側に置かれる。しかしながら、適正に覆われ、保護されていれば、制御ユニット12は、手術(無菌)野内に位置付けられてもよいことが理解されるであろう。
単なる例として図4〜6に示される患者モジュール14は、制御ユニット12に通信可能に連結される。この実施形態では、患者モジュール14は、USBデータケーブル44を介して制御ユニット12と通信可能に連結され、そこから電力を受信する。しかしながら、患者モジュール14に、それ自体の電力供給源及び他の既知のデータケーブル、並びに患者モジュール14と制御ユニット12との間の通信を確立するために利用することができる無線技術が提供されてもよいことが理解されるであろう。患者モジュール14は、制御ユニット12と通信するためのデジタル通信インターフェース、並びに攣縮試験、持続EMG、基礎刺激EMG、動的刺激EMG、XLIF、手動MEP及び自動MEP、警告TCNR、閾値TCNR、手動SSEP、並びに自動SSEPを含むが必ずしもこれらに限定されない、システム10の全ての機能モードを実施するために必要とされる、全ての記録及び刺激電極、信号調整回路(シグナル調製回路)、刺激装置駆動及びステアリング回路、並びに信号調整回路との電気的接続を含む。一実施例では、患者モジュール14は、32個の記録チャネル及び11個の刺激チャネルを含む。ディスプレイ(例えば、LCD画面)を、患者モジュール14の面上に提供することができ、単純な状態読み出し値(例えば、電力投入試験の結果、取り付けられる電極ハーネス、及びインピーダンスデータ等)又はより多くの処置関連データ(例えば、刺激閾値結果、電流刺激レベル、選択された機能等)を示すために用いることができる。患者モジュール14は、外科手術中、無菌野内の患者の近くに位置付けられ得る。例として、患者モジュール14は、患者モジュール14のケーシングに取り付けられるか、又はその一部を形成する、フック48を用いてベッドレールに取り付けられ得る。
図7〜9を参照すると、患者モジュール14は、患者モジュール14と他のシステム構成要素との間の接続を行い、それらの間の接続を検証するための多数のポート及びインジケータを備える。制御ユニットポート50が、前述のように、USBデータケーブル44を介して、制御ユニット12とのデータ及び電力の通信のために提供される。4つの補助装置ポート52が、刺激プローブ16、刺激クリップ18、インライン刺激ハブ20、及びナビゲーションガイダンスセンサ(又は傾斜センサ)54を含むが必ずしもこれらに限定されない、最大で同一数の外科手術補助装置を接続するために提供される。補助装置ポート52は、刺激カソードを含み、患者モジュール14と取り付けられた補助装置との間で、デジタル通信信号(デジタル通信シグナル)、3色LED駆動信号(3色LED駆動シグナル)、ボタン状態信号(ボタン状態シグナル)、識別信号(識別シグナル)、及び電力を伝送する。処置中に補助刺激アノードを取り付けることが望ましいか、又は必要となった場合には、好ましくは2本線のDINコネクタを備える1対のアノードポート56が使用され得る。1対のUSBポート58が、USBハブとして制御ユニット12に接続され、これを使用して、単なる例として携帯型記憶ドライブといった任意の数の接続を行うことができる。
デバイスがポート50、52、56、又は58のうちのいずれか1つにプラグ接続されるとすぐに、システム10は、関連デバイスが正常に動作することを確実にするために回路の導通確認を自動的に実施する。各デバイスは、デバイスが互いに独立して確認され得るように、患者モジュールとの別個の閉鎖回路を形成する。1つのデバイスが正常に動作していない場合、このデバイスは、個別に識別され得、一方で残りのデバイスは、それらの有効状態を示し続ける。導通確認の結果をユーザに伝えるために、各ポートにインジケータLEDが提供される。したがって、図7〜9の例示的な実施形態によると、患者モジュール14は、1つの制御ユニットインジケータ60、4つの補助装置インジケータ62、2つのアノードインジケータ64、及び2つのUSBインジケータ66を含む。好ましい実施形態によると、本システムが導通確認中に不完全な回路を検出すると、適切なインジケータが赤色に変わり、デバイスが正常に動作していない可能性があることをユーザに警告する。一方で、完全な回路が検出されると、インジケータは緑色を示し、デバイスが所望の通りに動作しているはずであることを知らせる。システム及びMEP刺激の状態を示すために追加のインジケータLEDが提供される。システムインジケータ68は、システムが動作可能であるときには緑色を示し、システムが動作可能でないときには赤色を示す。MEP刺激インジケータ70は、患者モジュールがMEP刺激信号を給送できる状態であるときに点灯する。一実施形態では、MEP刺激インジケータ68は、動作可能状態を示すように黄色を示す。
システム10によって用いられる記録電極24及び刺激電極22のアレイを接続するために、患者モジュール14はまた、複数の電極ハーネスポートを含む。示される実施形態では、患者モジュール14は、EMG/MEPハーネスポート72、SSEPハーネスポート74、補助ハーネスポート76(拡張及び/又はカスタムハーネス、例えばTCNRハーネスのため)を含む。各ハーネスポート72、74、及び76は、形状化ソケット78を含み、これらは、適切な電極ハーネス80上の一致する形状化コネクタ82に対応する。加えて、システム10は、好ましくは、各モダリティ(例えば、EMG、EMG/MEP、及びSSEP)がそれに関連した固有の色を有する、色分けシステムを用いることができる。単なる例として、また本明細書に示されるように、EMG監視(ネジ試験、検出、及び神経開創器を含む)は緑色と関連付けられ、MEP監視は青色と関連付けられ、SSEP監視はオレンジ色と関連付けられ得る。したがって、各ハーネスポート72、74、76は、適切な色でマークされ、これらは、適切なハーネス80にも対応する。専用の色分け及び形状化ソケット/コネクタインターフェースの組み合わせを用いることにより、システムの設定が簡素化され、エラーが低減され、必要な術前の準備の量を大幅に最小化することができる。患者モジュール14、並びに特に種々のポート及びインジケータの数及び配置の構成は本発明の1つの例示的な実施形態に従って記載されている。しかしながら、患者モジュール14が、本発明の範囲から逸脱することなく、任意の数の異なる配置で構成されてもよいことを理解されたい。
上述のように、システム10の設定を簡素化するために、種々の機能モードのうちの1つを実施するために必要とされる全ての記録電極24及び刺激電極22(患者モジュール14内の前置増幅装置にグランド基準を提供する共通電極23、及び刺激電流の戻り経路を提供するアノード電極25を含む)は、単なる例として図10に図示されるように、一緒に束にされ、単一の電極ハーネス80に提供される。特定の処置の際に使用される所望の機能(複数可)に応じて、記録電極24及び刺激電極22の異なるグループ化が必要とされる場合がある。例として、SSEP機能は、EMG又はMEP機能のいずれかよりも多くの刺激電極22を必要とするだけでなく、EMG及びMEP機能のうちのいずれかよりも少なく記録電極を必要とする。種々の機能モードの異なる電極の必要性を考慮するために、システム10は、所望されるモードに適合する異なるハーネス80を用いてもよい。一実施形態によると、システム10での使用のために、EMGハーネス、EMG/MEPハーネス、及びSSEPハーネスの3つの電極ハーネス80が提供されてもよい。
ハーネス80の一端は、形状化コネクタ82である。上述のように、形状化コネクタ82は、形状化ソケット72、74、又は76(ハーネス80が提供される機能に応じて)とのインターフェースをとる。各ハーネス80は、患者モジュール14上の適切な形状化ソケット72、74、76に対応する形状化コネクタ82を用いる。ソケットとコネクタの形状がハーネス80と一致しない場合、患者モジュール14への接続を確立することができない。一実施形態によると、EMG及びEMG/MEPハーネスは、いずれも、EMG/MEPハーネスポート72にプラグ接続され、したがって、それらは、いずれも同一の形状化コネクタ82を用いる。単なる例として、図11A〜11Cは、異なるハーネスポート72、74、76、及びコネクタ82によって用いられる種々の形状プロファイルを図示する。図11Aは、EMG及びEMG/MEPハーネス並びにポート72と関連付けられる半円形状を図示する。図11Bは、SSEPハーネス及びポート74によって用いられる長方形状を図示する。最後に、図11Cは、補助ハーネス及びポート76によって用いられる三角形状を図示する。各ハーネスコネクタ82は、患者モジュール14へのハーネス80の種類を識別する、デジタル識別信号を含む。電極ハーネス80の反対側の端部は、リード線を介してハーネスコネクタ82に連結される複数の電極コネクタ102である。電極コネクタ102を使用することにより、単なる例として、表面乾燥ゲル電極、表面湿潤ゲル電極、及び針電極といった、任意の様々な既知の電極を使用することができる。
MEP及びSSEPモード中に使用される頭皮電極の容易な定置を促進するために、単なる例として図13Aに示される電極キャップ81を使用してもよい。電極キャップ81は、SSEP監視のための2つの記録電極23、MEP刺激給送のための2つの刺激電極22、及びアノード23を含む。異なる電極を絵で表すために、電極キャップ81上に図的インジケータが使用されてもよい。例として、刺激電極を示すために稲妻が使用されてもよく、記録電極を示すために二重円が使用されてもよく、アノード電極を示すために段付矢印が使用されてもよい。アノード電極線は、他の電極とさらに区別するために、白色に着色されており、患者の肩の上にアノード電極を定置することができるように他の電極線よりも大幅に長い。電極キャップ81の形状はまた、定置を簡素化するように設計されてもよい。単なる例として、キャップ81は、キャップ81が正しい配向で頭上の中心にあるときに、患者の鼻の方向を直接指し得る尖端部を有し得る。単線は、電極キャップ81を患者モジュール14又は電極ハーネス80に接続することができ、それによって患者の上部領域の周囲に線が密集することを減少させる。あるいは、キャップ81は、電力供給装置及びシステム10と通信するための無線アンテナを備えてもよい。図13Bは、キャップ81に類似の電極キャップ83の別の例示的な実施形態を図示する。電極を区別するために図的インジケータを使用するのではなく、色付きの線を用いることができる。例として、刺激電極22は黄色に着色され、記録電極24は灰色に着色され、アノード電極23は白色に着色される。アノード電極は、ここでは、患者の額に定置するために構成されていると見られる。代替的な実施形態によると、電極キャップ(示されない)は、患者の頭部に着用されるように構成される、ストラップ又は1セットのストラップを備えてもよい。適切な頭皮の記録及び刺激部位が、ストラップに示され得る。例として、電極キャップは、頭皮の記録部位(SSEPのため)及び頭皮の刺激部位(MEPのため)のそれぞれの上にある穴を有してもよい。さらなる例示的な実施形態によると、各穴の周囲の境界は、その部位に指定される電極のリード線の色と一致するように色分けされ得る。この場合、頭皮に指定される記録及び刺激電極は、好ましくは、キャップ内の穴を通して頭皮に定置することができる針電極及び螺旋状電極のうちの1つである。
以下により詳細に説明されるように、異なるサイズ及び構成の電極が、MEP、EMG、及びSSEPモードよりもTCNRモードに好ましい場合がある。一部の実装によると、後方のカソードは、位置付け(表面的には背側正中線上であり、L1−L2の脊髄レベルで脊髄円錐のほぼ上)を簡単にするために円形形状(放射状に対称)を有する単回使用のカソード電極である。完全な接触表面は、皮膚の準備を排除するために、導電接着ヒドロゲルである。接続リード線は、透視撮像がぼやけるのを回避するために、絶縁放射線透過性炭素鋼線でできている。終端の1.5mmメスDINコネクタを、嵌合するハーネスコネクタに対応する正しい極性を維持するために、紫色で色分けされる。前方のアノードは、位置付け(表面的には臍下の腹側正中線上)を簡単にし、配置の位置公差を増加させるために、比較的大きな表面積を有する正方形状(放射状に対称)を有する単回使用のアノード電極である。完全な接触表面は、皮膚の準備を排除するために、導電接着ヒドロゲルである。接続リード線は、透視撮像がぼやけるのを回避するために、絶縁放射線透過性炭素鋼線でできている。終端の1.5mmメスDINコネクタを、嵌合するハーネスコネクタに対応する正しい極性を維持するために、黄色で色分けされる。
指定の意図される定置のために電極リード線を色分けすることに加えて、又はその代わりに、電極コネクタ102の隣の各リード線の端部を、患者上への適正な位置付けを示し或いは表す、ラベル86でタグ付けしてもよい。ラベル86は、好ましくは、適正な電極の定置を図的に、及び文字で示す。図12に示されるように、ラベルは、関連する身体部分88及び厳密な電極位置90を示す、図的画像を含み得る。文字により、ラベル86は、定置のための側部100及び筋肉(又は解剖学的位置)96、電極の機能(例えば、刺激、記録チャネル、アノード、及び基準−図示せず)、患者皮膚面(例えば、前方又は後方)、脊髄領域94、並びに監視の種類92(例えば、EMG、MEP、SSEP、単なる例)を示し得る。一実施形態(単なる例として記載される)によると、電極ハーネス80は、種々の電極が、腰部EMGについては表1に、頸部EMGについては表2に、腰部/胸腰部EMG及びMEPについては表3に、頸部EMG及びMEPについては表4に、TCNRについては表5に、SSEPについては表6に記載されるように、患者の周囲に位置付けられる(及び好ましくは適宜ラベル付けされる)ように設計される。
患者モジュール14は、いったんシステムが設定され、電極ハーネスが接続され、患者に適用されると、システム10が、全ての電極の制御ユニット12の指示の下でインピーダンス試験を行い得るように構成される。プログラムの起動を受けて、適切な脊髄部位を選択した後(以下に記載される)、ユーザは、自動的に電極試験が行われる。図14A〜14Bは、単なる例として、電極試験画面104上で実施されるような、電極試験(複数可)の機構を捉えた図的実施を図示する。電極試験画面104は、電極の位置付けを伴う、ヒト姿の図108を含む。ハーネスインジケータ109は、どのハーネスが使用中であるかを示す。使用中のハーネス80上の各電極には、チャネルボタン110が存在する。これには、共通電極25及びアノード電極23が含まれ、これらは、いずれも独立してインピーダンスが確認される。これを達成するために、アノード電極23及び共通電極25は、いずれも二重電極として提供される。アノード電極上のアノードリード線のうちの少なくとも1つは、可逆である。インピーダンス確認中に、可逆アノードリード線は、リード線間のインピーダンスを測定できるように、カソードに切り替わる。インピーダンス試験が完了すると、可逆リード線はアノードに切り替わって戻る。チャネルボタン110は、筋肉名又は対応する電極の対称領域でラベル付けすることができる。チャネルボタン110を選択することにより、チャネルが無効化される。無効化されたチャネルは、インピーダンスが試験されず、再度有効化されない限り応答又はエラーが監視されることはない。開始ボタン106(「電極試験実行」)を選択すると、システムは、各電極を独立して試験して、インピーダンス値を判定する。インピーダンスが許容可能な限度内であると判定されると、チャネルボタン110及びヒト姿108上の電極の表示が緑色になる。いずれかの電極のインピーダンス値が許容可能であると判定されなかった場合、関連するチャネルボタン110及び電極表示が赤色になり、ユーザに警告する。試験が完了すると、「承認」ボタン112を選択することにより、システム10の主要監視画面200が開かれる。
システム10は、患者の脊髄円錐上、肉茎に形成されるかもしくは形成されている穴、及び/又はアクセス通路の周囲の組織といった刺激標的部位に、刺激信号を給送するために、種々の刺激補助装置を用いる。図15〜17は、システム10が外科処置中に既に使用されている種々の外科手術器具を通じて刺激信号を給送することを可能にする、刺激クリップ18の形態の刺激補助装置の例示的な実施形態を図示する。単なる例として、連結デバイス18は、システム10と、肉茎アクセス針26、タップ28、拡張器30、組織開創器32、及びk線27を含むが必ずしもこれらに限定されない器具とを接続することができる。刺激クリップ18は、バネ荷重プランジャ128を用いて外科手術器具を保持し、刺激信号をそこに伝送する。プランジャ128は、金属等の導電性材料で構成される。非導電性ハウジング130が、プランジャ128の中心の周囲を部分的に包囲する。外科手術器具を係止する終板132がハウジング130から延在している。本来の又は「閉鎖した」状態で、プランジャ128が終板132に近接近して置かれるように、バネ(示されない)がハウジング130内に配置される。バネに圧縮力を与えること(親指グリップ134を引くことによって等)により、終板132とプランジャ128との間の間隙が「開放」位置(図15〜17に示される、に広がり、それによって、終板132とプランジャ128との間に外科手術器具を挿入することが可能となる。親指グリップ134を解放することにより、バネが「閉鎖」位置へと戻ることが可能となり、プランジャ132が、終板に向かって横方向に戻って移動することが可能となり、結果として、外科手術器具に力が与えられ、それによって、終板132とプランジャ128との間で正しい位置に保たれるようになる。クリップ18は、刺激を開始するための起動ボタン131を含む、ボタンモジュール129をさらに含む。ボタンモジュール129は、クリップ18の本体部から離れて設置され、これらは、統合された線によって連結される。補助装置ポート133は、ボタンモジュール129のボタン131の隣に位置し、そのため、患者モジュール14及び無菌野の外側に接続して戻る線の数が最小となる。クリップ18は、3つのLED135、137、及び139を備える。LED135は、補助装置ポート133と関連付けられ、LED137は、クリップ18と関連付けられており、2つのうちのどちらが刺激しているかを示す。LED137及び137は、刺激が有効であるとき、紫色となり得る。刺激結果が判定されると、関連するLED135又は137は、赤色(結果が所定の安全でない可能性のある値に達した場合)、緑色(結果が所定の安全な値を満たした場合)、又は黄色(結果が安全な値と安全でない可能性がある値との間である場合)のいずれかとなり得る。第3のLED139は、親指グリップ134内に収容され、これは、閾値結果に応じて赤色、黄色、又は緑色となるであろう。クリップ18は、コネクタ136を介して患者モジュール14上の補助装置ポート62のうちの1つに接続する。コネクタ136は、患者モジュールに識別する識別信号を含む。
図18Aは、手術野内(in−field)起動装置330の形態の刺激補助装置の第2の実施形態例を図示する。起動装置330は、好ましくは、単回使用の無菌デバイスであり、独立して患者モジュール14とインターフェース接続するように設計される自立型デバイスとして設計され得るか或いは以下に説明されるように1つのアセンブリの一部であってもよい。一実施形態によると、起動装置330は、上述の図15〜17の刺激クリップ18の補助装置ポート133にプラグ接続されて、外科処置中に無菌野内からTCNRモードのユーザ制御及び状態表示を提供することができる。図19は、手術野内での使用のための補助装置ポート133にプラグ接続される起動装置330を示す。起動装置330及びクリップ18が、さらなる構成要素、さらなる線等を必要とすることなく、モジュール129を介してシステム10に一緒に接続され得るように、起動装置330がモジュール129と適合性であることが企図される。起動装置330は、上部331、底部332、ハウジング333、第1の端部334、第2の端部336、該第1の端部334から出ている接続プラグ338、刺激ボタン334、及び端部334と336の間に配置される多色LEDインジケータ342を含む。接続プラグ338は、補助装置ポート133内に嵌合するようにサイズ決定及び寸法決定が行われる。起動装置330は、起動装置330を外科手術器具、例えば、接合アーム又は開創装置(示されない)等に固定するための1つ以上の固定クリップ348(図18B)を含み得る。起動装置330/刺激クリップ18アセンブリは、コネクタ136を介して患者モジュール14上の補助装置ポート62のうちの1つに接続され得る。コネクタ136は、患者モジュールに識別する識別信号を含む。起動装置330を接続すると、システム10のソフトウェアは、TCNRモードを有効化し、試験選択タブ204上にそのモードのアイコンを配置し、同様にプロファイル及び設定画面内での構造及び他の設定を有効化する。
起動装置ボタン340は、無菌野からユーザが、1回ボタンを押すことでTCNRモードをナビゲートすること、及びTCNRモードでの経腹腔経皮刺激の開始の両方を行うことを可能にする。単なる例として、起動装置330は、以下により詳細に記載されるように、ユーザが、1回ボタンを押すことで、TCNRモードにアクセスすること及びTCNR刺激を開始することの両方を可能にすることができる。起動ボタン340は、円形であり得、周囲の境界を高くすることによって意図されない起動から保護されている。指グリップ334が、使用中に起動装置330を安定させるために、起動ボタン340の近くの起動装置ハウジング332の側面に提供されてもよい。
起動装置342は、多色LEDインジケータ342を備える。一部の実施形態(例えば、図18Aに示されるもの)では、刺激ボタン340及びLEDインジケータ342は、2つの異なる構成要素である。別の実施形態(例えば、図18Bに示されるもの)では、LEDインジケータ342は、刺激ボタン340に一体化されている。LEDインジケータ342は、TCNRモダリティの操作の種々の状態にあるユーザにフィードバックを提供する。単なる例として、LEDインジケータ342は、タイマーが時間切れとなった場合、刺激ボタン340が押されたとき、及びシステム10が刺激を送達しているときに、点灯する。
上述のように、システム10は、単なる例として、図20〜21に図示される補助ディスプレイ46等の補助ディスプレイを含み得る。補助ディスプレイ46は、主ディスプレイ34上に提供される情報の一部又は全てを表示するように構成され得る。補助ディスプレイ34でユーザに表示される情報には、任意の選択されたモード(例えば、攣縮試験、持続EMG、基礎刺激EMG、動的刺激EMG、XLIF、手動MEP、自動MEP、警告TCNR、閾値TCNR、手動SSEP、自動SSEP、及び外科的矯正計画及び評価)、取り付けられた補助装置(例えば、刺激プローブ16、刺激クリップ18、傾斜センサ54)、取り付けられた電極ハーネス(複数可)、インピーダンス試験結果、筋節/EMGレベル、刺激レベル、履歴報告、選択されたパラメータ、試験結果等に関する英数字及び/又は図的情報が含まれるが、必ずしもこれらに限定されない。一実施形態において、補助ディスプレイ46は、その表示機能に加えて、ユーザ入力を受信するように構成されてもよい。補助ディスプレイ46は、したがって、システム10の代替的な制御点として使用することができる。制御ユニット12及び補助ディスプレイ46は、一方のディスプレイからの入力が、他方のディスプレイに示される出力を変化させることなく受信されるように、連結され得る。これは、執刀医が、患者及び試験結果への焦点を維持することを可能にすると同時に、なおもORスタッフの他の構成員が、種々の目的(例えば、注釈の入力、履歴の閲覧等)でシステム10を操作することを可能にする。補助ディスプレイ46は、電池式であってもよい。有利なことには、補助ディスプレイ46は、無菌野の中、並びに無菌野の外に位置付けることができる。無菌野内に位置付けるために、ディスプレイを収容するための使い捨ての無菌ケース47が提供され得る。あるいは、ディスプレイ46は、無菌バッグに入れられてもよい。無菌ケース47及び補助ディスプレイ46のいずれも、外科手術野の近く及び/又はその中で見られるポール、ベッドフレーム、照明器具、又は他の装置に取り付けることができる。複数の補助ディスプレイ46が制御ユニット12に連結され得ることがさらに企図される。これにより、手術室全体で神経生理学的情報を効果的に分散し、制御することができる。例として、補助ディスプレイ46は、麻酔医にも提供され得る。これは、麻酔医に攣縮試験からの結果を提供し、システム10の精度に悪影響を及ぼし得る麻酔薬の使用に関する注意を提供するのに特に有用であり得る。有線又は無線技術を用いて、補助ディスプレイ46を制御ユニット12に連結させることができる。
システム10及びそれを備えるハードウェア構成要素の例示的な実施形態を記載してきたが、これより、システム10の神経生理学的機能性及び方法論が、より詳細に記載される。システム10の種々のパラメータ及び構成は、外科処置の標的位置(すなわち、脊髄領域)及び/又はユーザの好みに依存し得る。一実施形態では、システム10を起動すると、ソフトウェアは、単なる例として図33に図示される起動画面を開く。起動画面には、ユーザが標準的なプロファイル(例えば、「標準頸部」、「標準胸腰部」、及び「標準腰部」)又はシステムに既に保存されている任意のカスタムプロファイルから、そのうちの1つを選択することができる、プロファイル選択ウインドウ160が含まれる。プロファイルは、選択のために、アルファベット順、脊髄領域ごと、又は他の好適な基準で並べられ得る。プロファイルは、制御ユニットのハードドライブ、又は例えばUSBメモリドライブ等の携帯型メモリデバイスに或いはウェブサーバ上に保存され得る。
プロファイルを選択することで、システム10は、選択されたプロファイル(標準又はカスタム)に割り当てられるパラメータに構成される。異なる機能モードの利用可能性は、選択されるプロファイルに依存し得る。単なる例として、頸部及び胸腰部脊髄領域の選択は、攣縮試験、手動SSEP、自動SSEP、基礎刺激EMG、動的刺激EMG、XLIF、手動MEP、自動MEP、持続EMGモードの選択を可能にするように選択肢を自動的に構成し得、一方で攣縮試験、基礎、差異、及び動的刺激EMG試験、XLIF(登録商標)、並びに神経開創器モードの選択を可能にするように選択肢を自動的に構成することができる。種々の機能モードと関連付けられたデフォルトのパラメータもまた、選択されるプロファイルに依存し得、例えば、システム10によって送達される刺激信号の特徴は、プロファイルに応じて多様であり得る。例として、刺激EMGモードに利用される刺激信号は、腰部プロファイルが選択されたときと、胸腰部プロファイル及び頸部プロファイルのうちの1つが選択されたときで異なるように構成され得る。
上述のように、ハードウェア構成要素のそれぞれは、制御ユニット12が、どのデバイスが接続されており、手術に使用できる状態であるかを判定できるようにする、識別タグを含む。一実施形態では、プロファイルは、適切なデバイス(例えば、適正な電極ハーネス80及び刺激補助装置)が接続されている、及び/又は手術に使用できる状態である場合にのみ、選択が可能であり得る。あるいは、ソフトウェアは、それが認識している補助装置及び/又はハーネスがプラグ接続されていることに基づいて、起動画面を飛び越え、機能モードのうちの1つに直接ジャンプしてもよい。標準パラメータ、及び特にカスタマイズされた好みに基づいてプロファイルを選択することができることは、処置の開始時に時間を大幅に節約することができ、開始直後から利用可能性の監視を提供する。起動画面から移動して、ソフトウェアは、上述のように全ての電極で実施される、電極試験画面及びインピーダンス試験へと直接進む。許容されるインピーダンス試験が完了すると、システム10は監視を開始できる状態となり、ソフトウェアは、システム10の神経生理学的監視機能が実施される監視画面へと進む。
監視画面上に表示される情報には、機能モード(例えば、攣縮試験、持続EMG、基礎刺激EMG、動的刺激EMG、XLIF、手動MEP、自動MEP、警告TCNR、閾値TCNR、手動SSEP、自動SSEP、並びに外科的矯正計画及び評価)、取り付けられる補助装置(例えば、刺激プローブ16、刺激クリップ18、傾斜センサ54)、取り付けられる電極ハーネス(複数可)、インピーダンス試験結果、筋節/EMGレベル、刺激レベル、履歴報告、選択されたパラメータ、試験結果等のいずれかに関する英数字及び/又は図的情報が含まれ得るが、必ずしもこれらに限定されない。一実施形態において、単なる例として記載されるが、主要監視画面上に表示される情報には、表8に記載される次の構成要素が含まれ得るが、必ずしもこれらに限定されない。
プロファイル設定ウインドウ160から、カスタムプロファイルを作成し、保存することができる。標準プロファイルのうちの1つで開始し、種々のボタンのうちの1つを選択し、所望されるパラメータが設定されるまで変更を行うことによって、パラメータを変えることができる。単なる例として、特定の処置(例えば、ACDF、XLIF、及び減圧)、特定の個人、及びそれらの組み合わせのプロファイルを生成し、保存することができる。各ボタンをクリックすることにより、選択されたボタンに特有のパラメータ選択肢がパラメータウインドウに表示される。試験選択ウインドウのパラメータ選択肢は、例として図22に図示される。単なる例として、試験選択ボタンを選択することにより、セッション試験が追加され得、表示選択肢を変更することができる。試験選択域内から、全ての利用可能な試験機能(部位選択、利用可能なデバイス等に基づいて)の機能に特有なパラメータがアクセスされ、必要に応じて設定され得る。試験選択ボタンの下で複数の機能に利用可能な1つの選択肢(示されない)は、3つの異なる表示選択肢から選択する能力である。ユーザは、数値形式で表示される結果、身体パネル上に表示される結果、及び各電極と関連付けられたラベルを反映するラベル上に表示される結果、又はこの3つの任意の組み合わせを見ることができる。図23〜38は、試験機能(例えば、攣縮試験、基礎刺激EMG、動的刺激EMG、XLIF、警告TCNR、閾値TCNR、持続、手動MEP、自動MEP、手動SSEP、自動SSEP)のそれぞれの試験選択タブ204の例を図示する。プロファイルは、制御ユニット12上に直接保存され得るか、携帯型メモリデバイスに保存され得るか或いはウェブサーバにアップロードされ得る。
システム10によって実施される機能には、攣縮試験、基礎刺激EMG、動的刺激EMG、XLIF(登録商標)、神経開創器、警告TCNR、閾値TCNR、持続EMG、手動MEP、自動MEP、手動SSEP、自動SSEP、並びに外科的矯正計画及び評価モードが含まれ得るが、必ずしもこれらに限定されず、これらの全てが、以下に記載される。攣縮試験モードは、骨完全性(例えば、肉茎)試験、神経検出、及び神経開創等の神経生理学に基づく試験を実施する前に、神経筋経路に筋肉弛緩剤がないことを確実にする、いわゆる「4連試験」を介して、神経筋経路を評価するように設計される。これは、2005年10月7日に出願された、「System and Methods for Assessing the Neuromuscular Pathway Prior to Nerve Testing」と題されるPCT特許出願第PCT/US2005/036089号により詳細に記載されており、その全内容は、本明細書に完全に記載されるかのように参照により本明細書に組み込まれる。基礎刺激EMG動的刺激EMG試験は、パイロット穴形成(例えば、千枚通しを介した)、パイロット穴準備(例えば、タップを介した)、並びにネジ導入(最中及び後)の全ての局面中に、骨(例えば、肉茎)の完全性を評価するように設計される。これらのモードは、2002年10月30日に出願された「System and Methods for Performing Percutaneous Pedicle Integrity Assessments」と題されるPCT特許出願第PCT/US02/35047号及び2004年8月5日に出願された「System and Methods for Performing Dynamic Pedicle Integrity Assessments」と題されるPCT特許出願第PCT/US2004/025550号により詳細に記載されており、これらの全内容はいずれも、本明細書に完全に記載されるかのように、参照により本明細書に組み込まれる。XLIFモードは、肉茎アクセス針26、k線42、拡張器44、開創器アセンブリ70を含む、システム10の種々の外科手術アクセス器具の使用中に、神経の存在を検出するように設計される。このモードは、2002年7月11日に出願された「System and Methods for Determining Nerve Proximity,Direction, and Pathology During Surgery」と題されるPCT特許出願第PCT/US2002/22247号により詳細に記載され、その全内容は、本明細書に完全記載されるかのように参照により本明細書に組み込まれる。神経開創器モードは、外科処置中の神経の切開創前、最中、及び後に、神経の健康状態又は病理学を評価するように設計される。このモードは、2002年9月25日に出願された「System and Methods for Performing Surgical Procedures and Assessments」と題されるPCT特許出願第PCT/US2002/30617号により詳細に記載され、その全内容は、本明細書に完全に記載されるかのように、参照により本明細書に組み込まれる。手動MEP及び自動MEPモードは、運動経路を試験して、脳内の運動皮質を刺激し、上肢及び下肢の種々の筋肉の結果として生じるEMG応答を記録することによって、脊髄への潜在的損傷を検出するように設計される。手動MEP及び自動MEPモードは、2006年2月2日に出願された「System and Methods for Performing Neurophysiologic Assessments During Spine Surgery」と題されるPCT特許出願第PCT/US2006/003966号により詳細に記載され、その全内容は、本明細書に完全に記載されるかのように、参照により本明細書に組み込まれる。手動SSEP及び自動SSEPモードは、感覚経路を試験して、標的脊髄レベルよりも下位の末梢神経を刺激し、脊髄レベルよりも上位の活動電位を記録することによって、脊髄への潜在的損傷を検出するように設計される。手動SSEP及び自動SSEPモードは、2009年10月15日に出願された「Neurophysiologic Monitoring System and Related Methods」と題されるPCT特許出願第PCT/US2009/05650号により詳細に記載され、その全内容は、本明細書に完全に記載されるかのように、参照により本明細書に組み込まれる。外科的矯正計画及び評価モードは、「Systems for Planning, Performing,and Assessing Spinal Correction during Spine Surgery」と題されるPCT特許出願第PCT/US2014/059974号により詳細に記載され、その全内容は、本明細書に完全に記載されるかのように、参照により本明細書に組み込まれる。これより、これらの機能を簡潔に詳細に説明する。
システム10は、適用可能な電極ハーネス内に収容され、神経の上の皮膚に定置される刺激電極22を介して、末梢神経(好ましくは、腰部及び胸腰部適用での腓骨神経ならびに頸部適用での正中神経)を電気的に刺激することによって、或いはプローブ116等の外科手術補助装置を使用した脊髄神経の直接的な刺激によって、攣縮試験モードを介して神経筋経路(NMP)評価を実施する。刺激された神経によって支配される筋肉から誘発応答が検出及び記録され、その結果が分析され、少なくとも2つの応答又は刺激信号と応答との間の関係が識別される。識別される関係は、NMPの電流状態の表示を提供する。識別される関係には、複数の誘発応答間の大きさの比ならびに所与の刺激信号(複数可)に対する誘発応答の存在又は不在のうちの1つ以上が含まれ得るが、必ずしもこれらに限定されない。図23を参照すると、NMPの状態を示す試験の詳細及び神経試験を継続することの相対的な安全性が、GUIディスプレイ34を介して執刀医に伝達される。システム10によって実施される種々の機能によって用いられる監視画面200上で、機能に特有のデータが中央の結果域201に表示される。結果は、数値210、電極ラベル86に対応する強調表示されたラベル、又は(攣縮試験の場合にのみ)刺激結果の棒グラフとして、表され得る。中央の結果域201の片側には、縮小可能デバイスメニュー202がある。デバイスメニューは、患者モジュール14に接続された各デバイスの図的表現を表示する。デバイスメニュー202の反対側には、縮小可能試験メニュー204がある。試験メニュー204は、動作可能な設定プロファイルで利用可能な各試験を強調表示し、機能間を行き来するために使用され得る。縮小可能刺激バー206は、現在の刺激状態を示し、刺激を有効化し、制御するための刺激開始及び停止ボタン(示されない)を提供する。縮小可能事象バー208は、処置を通じて取得された全ての刺激試験結果を格納する。特定の事象をクリックすることにより、ノートボックスが開き、後で処置報告に含めるための注釈を入力し、応答とともに保存することができる。事象バー208はまた、上述のように、システム10が遠隔監視システムに接続される場合、チャットボックス機構も収容する。結果域202内に、攣縮試験に特有の結果が表示され得る。
図23は、選択された機能は攣縮試験であるときの監視画面200を描写しているが、監視画面200の機構は、全ての機能に同様に適用されることを理解されたい。結果に特有オンデータが、中央の結果域201に表示される。大きな飽和色数値(示されない)が、閾値結果を示すために使用される。3つの異なる選択肢が、刺激応答レベルを示すために提供される。第1に、ユーザは、波形を見ることができる。第2に、色分けされた電極ハーネスラベル86の類似度をディスプレイに示すことができる。第3に、色分けされたラベル212を、身体画像と統合することができる。中央の結果域201の片側には、縮小可能デバイスメニュー202がある。デバイスメニューは、患者モジュール14に接続された各デバイスの図的表現を表示する。デバイスメニュー202からデバイスが選択されると、インピーダンス試験が開始され得る。デバイスメニュー202の反対側には、縮小可能試験メニュー204がある。試験メニュー204は、動作可能な設定プロファイルで利用可能な各試験を強調表示し、機能間を行き来するために使用され得る。縮小可能刺激バー206は、現在の刺激状態を示し、刺激を有効化し、制御するための刺激開始及び停止ボタン(示されない)を提供する。縮小可能事象バー208は、ユーザが監視画面から全事例の履歴を見ることができるように、処置を通じて取得された全ての刺激試験結果を格納する。特定の事象をクリックすることにより、ノートボックスが開き、処置中に行われた全ての神経監視機能ならびに神経監視の結果を時間順に記録する処置報告に後で含めるための注釈を入力し、応答とともに保存することができる。一実施形態において、報告は、手術室に置かれた1つ以上のプリンタから即座に印刷することができるか、或いは単なる例として、フロッピーディスク及び/又はUSBメモリスティック等の従来技術において既知の種々のメモリデバイスのうちのいずれかにコピーすることができる。システム10は、ユーザの特定の必要性に応じて完全な報告又は概略の報告のいずれかを生成し得る。一実施形態において、患者モジュールに対する外科手術用補助装置を識別するために使用される識別子はまた、それらのロット番号又は他の識別情報を識別するように符号化され得る。補助装置が識別されると、ロット番号が自動的に報告に追加され得る。あるいは、携帯式スキャナが提供され、制御ユニット12又は患者モジュール14に連結されてもよい。補助装置パッケージをスキャンすることができ、ここでも、情報が処置報告に直接送られ得る。事象バー208はまた、システム10が遠隔監視システムに接続されている場合に、手術室内のユーザが遠隔位置で関連する神経監視を実施している人物と同時に通信することができるように、チャットボックス機構を収容する。
システム10はまた、システムが本明細書に記載されるモードのいずれかにある場合に、持続EMG監視を行うことができる。持続EMG監視は、潜在的な危険性を示し得る自発性筋肉活動を継続的に聞く。システム10は、5秒間の休止状態の後、自動的に持続監視の周期に入り得る。選択されたモードで刺激信号を開始することにより、システム10が再度5秒間休止状態となるまで持続監視を中断し、システム10が再度5秒間休止状態となった時点で、持続が再開する。
システム10は、基礎刺激EMG及び動的刺激EMG試験によって、肉茎穴(形成中及び/又は形成後)ならびに/あるいはネジ(導入中及び/又は導入後)の完全性を試験することができる。基礎刺激EMGを実施するために、試験プローブ116を、ネジ挿入前にネジ穴に定置するか、或いは導入されたネジの頭部に定置し、刺激信号を適用する。骨の絶縁特性が、ある特定の振幅まで刺激電流が神経と通信するのを阻止することになり、したがって、以下に記載される基礎閾値検索アルゴリズムによって判定される比較的高いIthreshをもたらす。しかしながら、肉茎壁がネジ又はタップによって切裂されている事象では、切裂域における電流密度は、刺激電流ガ隣接する神経根に通過する点まで増加し、それらはより低い刺激電流で脱分極し、したがってIthreshは比較的低くなる。本明細書に記載されるシステムは、この知識を利用して、試験されたネジの電流Ithreshを施術者に知らせ、パイロット穴又はネジが肉茎壁を切裂したかどうかを決定することができる。
動的刺激EMGモードでは、試験プローブ116は、外科手術器具、例えば、タップ部材28又は肉茎アクセス針26等をシステム10と連結させるために用いることができる、クリップ18と置き換えられてもよい。この方式では、刺激信号は外科手術器具を通過することができ、肉茎完全性試験は、この器具の使用中に実施され得る。したがって、試験は、アクセス針26をシステム10に連結させることによりパイロット穴を形成している間、及びタップ28をシステム10に連結することによりパイロット穴を準備している間に実施され得る。同様に、肉茎ネジをシステム10に連結させることによって(肉茎ネジ器具を介して等)、ネジ導入中に完全性試験を実施することができる。
基礎刺激EMG及び動的刺激EMGモードのいずれにおいても、腰部試験でも試験に使用される信号特性(シグナル特性)は、脊髄と胸部及び頸部肉茎との近接性のため、胸部及び/又は頸部レベルを監視する場合には効果的でない可能性がある。腰椎の肉茎に形成された切裂は神経根への刺激の適用をもたし、胸部又は頸部肉茎における切裂は代わりに脊髄の刺激をもたらし得るが、脊髄は、神経根と同じように刺激信号に応答するわけではない場合がある。これを考慮して、外科手術システム10は、選択された領域に基づいて異なる特性を有する刺激信号を送達するように備えられる。単なる例として、腰部領域が選択される場合、刺激EMGモードの刺激信号は、単一パルス信号を含む。一方で、胸部及び頸部領域が選択される場合、刺激信号は、多重パルス信号として構成され得る。
刺激結果(数値Ithresh値及び色分けされた安全性レベル表示のうちの少なくとも1つを含むが必ずしもこれらに限定されない)及び他の関連データは、図24及び25に図示されるように、少なくとも主ディスプレイ34においてユーザに伝えられる。図24は、基礎刺激EMG試験が選択されている、監視画面200を図示する。図25は、動的刺激EMG試験が選択されている、監視画面200を図示する。神経ネジ試験機能の一実施形態において(基礎及び動的)、緑色は、10ミリアンペア(mA)よりも高い刺激閾値範囲に対応し、黄色は7〜10mAの刺激閾値範囲に対応し、赤色は、6mA以下の刺激閾値範囲に対応する。対応する神経のIthreshを示すために、タッチ画面ディスプレイ26を介してEMGチャネルタブが選択され得る。さらに、最も低いIthreshを処理するEMGチャネルが自動的に強調表示及び/又は着色されて、この事実がユーザに明確に示され得る。
システム10は、外科手術標的部位への安全かつ再現可能なアクセスを確保するために、XLIFモードを介して、神経近接性試験を実施することができる。外科手術アクセス構成要素26〜32を使用して、システム10は、接触又は衝突した場合に患者の神経の機能的障害をもたらしかねない神経構造を有する任意の種々の組織を通る(或いはその付近を通る)手術通路の確立の前、最中、及び後に、神経構造の存在を検出する。外科手術アクセス構成要素26〜32は、患者の皮膚と外科手術標的部位との間の組織を鈍的に切開するように設計される。開創器32を標的部位に進めるのに十分な手術通路が確立されるまで、1つ以上の刺激電極を備える直径が増加する拡張器が標的部位に向かって進められる。拡張器が標的部位に進められるとき、電気刺激信号が刺激電極を介して放出される。刺激信号は、刺激電極に近接近する神経を刺激し、対応するEMG応答が監視される。神経が刺激電極に近づくにつれ、ヒト組織によって引き起こされる抵抗が減少するため、筋肉応答を誘発するのに必要とされる刺激電流は減少し、神経組織を脱分極させるのに必要な電流がより少なくなる。以下に記載される基礎閾値検索アルゴリズムを使用して、刺激信号と神経との間の通信手段を提供し、それによって、アクセス構成要素と神経との間の近接性の相対的な表示を得ることで、Ithreshが計算される。XLIFモードが有効な監視画面200の例が、図26に示される。好ましい実施形態において、緑色又は安全なレベルは、10ミリアンペア(mA)以上の刺激閾値範囲に対応し、黄色のレベルは5〜9mAの刺激閾値範囲を示し、赤色のレベルは4mA以下の刺激閾値範囲を示す。
MEPモードでは、刺激信号は、患者モジュール14を介して運動皮質に送達され、結果として得られる応答は、上肢及び下肢の様々な筋肉から検出される。以前の試験からの後の試験でのIthreshの増加は、脊髄機能の低下を示し得る。同様に、以前に同じか或いはより低いIstimに対して有意な応答が報告されているチャネルでの所与のIstimに対する有意なEMG応答の不在もまた、脊髄機能の低下を示す。これらのインジケータは、MEPモードでシステムによって検出され、執刀医に報告される。手動MEPモードでは、ユーザが刺激電流レベルを選択し、システムは、刺激信号が各チャネルに有意な応答を誘発するかどうかを報告する。刺激結果は、図27に示されるように、「はい」及び「いいえ」の応答又は他の同等な表示の形式で、ディスプレイ34に示され得る。自動MEPモードでは、システムは、記載される多重チャネルアルゴリズムを使用して、好ましくは処置の初期に、種々の監視される筋肉に対応する各チャネルのIthreshベースラインを判定する。処置全体を通じて、各チャネルのIthreshを判定するために後続の試験が再び行われ得る。結果として得られるIthresh値と対応するベースラインとの間の差が、システム10によって計算され、所定の「安全な」差異値と「危険な」差異値に対して比較される。Ithresh、ベースライン、及び差異値が、図28に図示されるように、判定される安全レベルの任意の他の表示(赤色、黄色、緑色の色分け等)とともに、ディスプレイ34においてユーザに表示される。したがって、いずれのモードを使用しても、執刀医は脊髄の可能性のある合併症について警告され得、執刀医の判断で必要と見られる任意の是正措置をとることができる。
経皮神経根刺激モードでは、システム10は、外科手術表的部位への手術通路の作成の前、最中、及び/又は後に、外科手術部位よりも上位及び下位の運動神経経路に沿った、危険性のある神経の健康及び/又は状態を確定することができる。これを達成するために、刺激電極22が所望される脊髄神経根(単なる例として、L1及びL2神経根及び患者の脊髄円錐の位置等)の上の皮膚に定置されてもよく、記録電極24が、記録部位(単なる例として、上述の表5に記載される記録部位等)に位置付けられる。制御ユニット12及び患者モジュール14が協働して、患者の背中の後方に定置された刺激カソードに電気刺激信号を伝送する。これらの刺激信号が、刺激電極に対して深い神経を脱分極させ、下の神経によって支配される筋肉から活動を誘発する。システム10は、神経筋応答を検出及び記録し、場合によっては神経信号との関係性を分析する(以下に記載される)。結果として得られる記録及び/又は評価データは、本明細書に記載される画面200及び/又は起動装置330でユーザに伝えられる。本明細書に記載されるTCNR試験は、患者が中立の場所に位置していること、及び手術通路が確立された後に神経構造が全く衝突されていなかったことを検証する能力を提供する。脊髄手術では、例えば、これは、システム10が、脊柱の後部骨要素を避けることができるように後側部経腰筋的な様式で椎間標的部位への手術通路を確立するのに特に好適であるという点で、特に有利である。
一実施形態において、刺激カソードは、外科手術部位よりも上位の位置で、後方に定置され、アノードは前方に定置され、神経筋応答(経皮神経根「TCNR」応答)が、経皮経腹腔運動経路刺激に応答して誘発される。単なる例として、刺激カソードは、脊髄レベルL1〜L2で脊髄円錐の上に定置される単一のカソード接着性表面電極であり得、好ましくは電極対が神経孔の上で横並びで対称となるように配向される。アノード電極は、臍下の前方腹側正中線に定置される接着性表面電極であり得、好ましくは電極対が横並びで正中線に対して対称となるように配向される。この方法で刺激モンタージュを実装することは、少なくとも2の理由で有益である。第1に、経腹腔的に刺激することは、頭部、上肢、又は上半身の筋肉攣縮を誘発せず、経頭蓋MEP試験よりももたらす患者の動きが少ない。第2に、前方の表面電極がより大きく、後方の表面電極がより小さい表面電極を使用することで、経腹腔的に移動する電流密度を減少させ、腹筋の脱分極化を低減させ、さらに、患者の動きの量を減少させることができる。第3に、本明細書に記載されるTCNR技法で神経根を刺激することにより、目的の運動神経経路の特定の区域を活性化し、固定の極性の単一パルス刺激で有意な神経筋応答を誘起することができ、一方でMEP試験は、臨床的に有意な神経筋応答を誘起するためには運動皮質及び全皮質脊髄経路を活性化するために多重パルス列の刺激(しばしば、双極性の刺激でもある)を要する。これは、より高い特有性、より少ない患者の動き、及びより少ない電力の患者への送達をもたらす。記録電極は、腰神経叢の1つ以上の神経によって支配される筋肉上又はその中に定置され得る。電極ハーネス80は、種々の電極が表5に記載されるように患者の周囲に位置付けられ得るように、設計され得る。
経皮経腹腔刺激を実施し、結果として得られる誘発電位を記録するステップは、好ましくは、まず側部アクセス通路を確立する前に実施され、続いて外科処置中に周期的に実施される。このように、システム10は、これらの神経の健康/状態に対する変化を示し得る、これらの神経の経時的な刺激閾値強度に対する変化を検出することができる(例えば、圧迫又は患者の位置付けにより)。一実施形態によると、システム10は、警告モード及び閾値モードという2つのモードのうちのいずれかで、TCNRを実施することができる。警告モードでは、システム10は、応答の存在/不在についての神経筋応答を評価する。閾値モードでは、システム10は、有意な応答を誘起するのに必要とされる刺激強度に対する変化を検出する。単なる例として、神経の健康又は状態における変化は、筋肉からの神経筋応答を誘起するのに必要とされる刺激強度が所定の基準(ベースライン刺激閾値よりも200A高い)を超えると、有意とみなすことができる。システム10は、このデータを迅速かつ正確に判定し、有用な情報を執刀医、神経生理学者、又は他の医療従事者による解釈のための単純かつ容易に理解できる方式で伝えることができる。システム10の制御ユニット12は、この情報を自動で確定する、ならびに/あるいはこれらの発見のうちの1つ以上に対応する任意の数値による、図的な、音による、及び視覚的なフィードバックを伝えることができることが企図される。この有用な情報を有することで、執刀医は、問題又は潜在的な問題を早期に検出し、次いで、その問題を回避及び/又は軽減するための行動をとることができる。
図29〜34は、システム10の一実施形態によるTCNRモードの例示的な画面表示である。図29は、TCNRモードの種々の機構及びパラメータをユーザによって所望のように制御及び/又は調節することができる、手術中監視(IOM)設定画面を図示する。TCNRモード及びTCNR試験がユーザによって有効化され得る任意の多数の手段が存在することが企図される。例えば、ユーザは、試験選択タブ204からTCNRモードを選択することができる。ユーザは、上述のように、起動装置330を補助装置ポート133にプラグ接続することができる。ユーザは、起動装置330上の刺激ボタン340を押すことができ、これが、自動的にシステム10をTCNRモードの選択前に実施していたモードからTCNRモード(例えば、XLIFモード)へと切り替える。一部の実装によると、この方式340で刺激ボタン340を押すことにより、システム10をTCNRモードに切り替えるだけでなく、TCNR刺激試験も即座に開始して、ユーザに下位運動神経経路の種々の側面の健康及び状態の評価における急速な柔軟性をユーザに提供する。図29に示されるように、デバイスタブ202は、起動装置330及びTCNR/EMGハーネス80が適正にシステム10に接続されていることを示す起動装置のアイコン350及びTCNR/EMGのアイコン350をユーザに示す。
試験選択タブ204からTCNRボタンを選択することにより、TCNRメニューウインドウ354が提示される。ユーザは、TCNRモードフィールド356において警告モードと閾値モードとの間で切り替えを行い、1つ以上のプロファイル設定を変更することができる(例えば、タイマー、波形の拡大縮小、応答閾値最大刺激)。以下により詳細に説明されるように、一部の実装では、ユーザは、TCNR刺激間で、いつ所定の期間が経過したかを知りたいと思う場合がある。1つ以上の実施形態によると、そのような必要性を満たすためにタイマーが提供される。タイマーの設定は、タイマーフィールド358で調節することができる。タイマーの入切を行うことができ、時間は、0〜30分の間の範囲で選択することができ、デフォルトの値は5分である。タイマーの設定は、(単なる例として)「+5」及び「−5」とラベル付けされたタイマー選択ボタンを使用して、5分刻みで増減することができる。波形の拡大縮小は、波形拡大縮小フィールド360において、(単なる例として)「拡大」及び「縮小」とラベル付けされたボタンを使用することによって、ゲインを増減することによって達成することができる。一実施例によると、ゲインは、10μV〜10,000μVの範囲であり、デフォルトのゲイン設定は200μVである。各調節は、固定の増分(例えば、10μV)でゲインを増減する。所与の応答が応答と認められる最小限の閾値設定は、応答閾値フィールド362に表示され、そこで調節することができる。選択された応答閾値設定は、「+10」及び「−10」とラベル付けされたボタンを使用して、10μV刻みで増減することができる。一実施例によると、閾値設定は、10μV〜300μVの範囲から選択され得、デフォルト値は30μVである。閾値TCNRモードで送達することができる最大刺激強度もまた、閾値最大刺激フィールド364で選択することができる。一実施例によると、最大閾値は、50mA〜1500mAの範囲で選択することができ、初期値は100mAである。閾値設定は、(単なる例として)「+50」及び「−50」とラベル付けされたボタンを使用して、50A刻みで増減することができる。例として図29に示されるように、最大閾値は900mAで示される、すなわち、患者に送達され得る最大閾値は、900mAである。
図30〜31は、TCNR監視機能の警告モードの例示的な画面表示を示す。これらの画面表示は、解釈が容易な方式で執刀医又は他の人物に情報を伝えることを意図する。この情報には、試験モードの表示212、監視される脊髄レベル(例えば、L.Add.Mag.)、誘発された応答の波形、誘発された応答の電圧(を示す)各筋節のチャネル10、刺激(例えば、刺激パラメータの詳細を示す刺激バー206、応答を誘起するのに必要とされる刺激強度、及び応答を誘起するのに必要とされる刺激強度を含み得るが、必ずしもこれらに限定されない。この情報は、視覚的表示(英数字、発光要素、及び/又は図等)ならびに音による通信(スピーカー要素等)の使用を含むがこれらに限定されない、任意の多数の好適な様式で通信され得る。
警告TCNRモードでは、根底にある操作の神経生理学的原理は、監視される各筋肉の誘発される神経筋応答の存在/不在を介して、下位運動神経経路の健康及び状態を評価することである。警告モードでTCNR監視を実施するために、ユーザは、まず、刺激電極に送達される刺激強度を手動で選択する。警告TCNRで送達することができる刺激強度はまた、警告刺激フィールド366でも選択することができる。一実施例によると、刺激強度は、50mA〜1500mAの範囲から選択することができ、初期値は100mAである。設定は、50mA刻みで増減することができ、初期値は100mAである。設定は、(単なる例として)「+50」及び「−50」とラベル付けされたボタンを使用して、50mA刻みで増減することができる。例として図30に示されるように、送達される刺激強度は、500mAである。
1つ以上の実装によると、所与の刺激強度(mA)について、特定の筋肉の有意なEMG応答の存在は緑色のインジケータによってユーザに提示され、特定の筋肉の有意なEMG応答の不在は赤色のインジケータによってユーザに提示される。図30に示されるように、500mAの刺激を用いて全ての筋肉について全10個のチャネルで応答が得られた。そのため、緑色のインジケータが、各チャネル110に示されている。ここで図31を参照すると、250mAの刺激を用いた左及び右の内側広筋チャネルを除き、全てのチャネルで応答が得られた。そのため、赤色のインジケータが、左及び右の内側広筋チャネルに示されており、緑色のインジケータが、有意な応答が記録された残りのチャネルに示されている。一部の実施形態によると、システム10は、応答が不在である場合には視覚及び音による警告を提供する。例として、システム10は、画面200上に警告通知又は可聴音を表し得る。
警告TCNRモードでは、TCNR応答の存在/不在の周期的な試験が、下位運動神経経路の健康及び状態を監視するために行われる。上述のように、ユーザは、TCNR刺激間でいつ所定の期間が経過したかについてどれを認識するかの可能性がある。そのような情報を目的として、ユーザは、別のTCNRを実施してもよく、或いは外科処置の後の時点でそれを行うまで待機してもよい。タイマーの感覚は、上述のように設定することができる。各TCNR試験の後、システム10は、選択された時間間隔に対応するタイマーを開始し、時間が経過したときに、システム10はリマインダー警告を起動することになる。リマインダー警告には、単なる例として、可聴音、音声記録、画面点灯、ポップアップウインドウ、スクローリングメッセージ、又はTCNR試験を再度実施するようにユーザに催促するような他の警告のうちのいずれか1つ、又はこれらの組み合わせが含まれ得る。警告は、画面200(例えば、刺激バー)に、起動装置に(例えば、LEDインジケータ342により)、又は画面200と起動装置330の両方に同時に、表示され得る。
TCNR試験とそれが提供する情報との最適な整合性のため、TCNR刺激は、好ましくは、外科処置を通じて設定された時間間隔(例えば、5分間に1回)で行われる。一実施形態によると、5分が経過した後、LEDインジケータ342及び/又は画面上の刺激装置バー206が、1Hzの速度で緑色に点滅する。ユーザは、ボタン340又は「刺激開始」ボタン370のいずれかを押すことによって別のTCNR試験を実施することを決定してもよく、或いは外科処置の後の時点まで待機してもよい。10分が経過した後、LEDインジケータ342(及び/又は画面上の刺激装置バー206)は緑色の点滅を続けるが、2Hzの速度である。ユーザが刺激を行うことを決定すると、彼/彼女は、起動装置の刺激装置ボタン340又は「刺激開始」ボタン370を押して、TCNR試験を実行し、タイマー機能が再起動する。本明細書では警告TCNRモードに関して記載されているが、タイマー機能は閾値TCNRモードでも実装することができることが企図される。
図32〜34は、TCNR監視機能の閾値モードの例示的な画面表示を示す。TCNR閾値モードでは、根底にある神経生理学的原理は、腰部運動神経経路の健康を監視するために、誘発された応答が刺激信号に対して変化しているかどうかをユーザが判定できる必要があることである。この変化を監視するために、ベースラインTCNR応答を目的の全筋肉について(好ましくは外科手術操作の前に)確立し、次いで、後続のTCNR応答を処置を通じて周期的に比較する。
閾値TCNRモードのベースライン機構を、これより、図32に関連して記載する。画面200上の「ベースライン発見」ボタン368を選択するか、或いは起動装置330上の刺激ボタン340を押すことによって、ベースライン刺激シーケンスが開始する。システム10は、次いで、ベースラインTCNR応答が1つ又は全ての筋肉チャネルに誘発されるまで、1つ以上刺激パルス及び/又はパルス列を送達する。単なる例として、システム10は、以下に記載される閾値検索及び閾値決定アルゴリズムのうちの1つ以上によって、刺激応答の閾値(Ithresh)を判定するように構成され得る。図32は、ベースラインTCNR応答及びベースライン応答閾値(IThresh−Base)が全10個の筋肉チャネルにおいて発見された、例示的な応答セットを示す(各チャネルについて200mAとして結果フィールド372に示される)。一部の実施形態によると、ベースラインTCNR応答の波形は、後続の刺激試行との比較のために、波形ウインドウ内に残る。これにより、応答波形の振幅及び形態のより詳細な比較が可能となる。ベースライン及び後続オン結果の両方のピーク間振幅測定値(マイクロボルト単位)が、波形ウインドウに表示される。一部の実装では、ベースライン波形及び後続の波形のベイは、異なって示されるが、例として、ベースライン波形は紫色で示されてもよく、現在の波形は白色で示されてもよい。
システムが神経筋応答を誘起するために必要とされる刺激強度の量(I
Thresh)に大幅な増加を検出する事象では、或いは許容される最大刺激強度で神経筋応答が得られない場合には、関連するウインドウを、好ましくは、所定の色(例えば、赤色)で強調表示して、執刀医に潜在的な危険性を示すことができる。好ましくは、刺激結果は、執刀医が危険性を容易に把握し、診断し、そのような危険性を回避もしくは軽減するための是正措置をとることができるように、色分けとともに彼/彼女に示される。これは、例えば、専門の監視要員を必ずしも必要とすることなく、執刀医又は助手がTCNR監視結果を解釈することを、より容易に可能にし得る。単なる例として、閾値刺激強度の増加が所定の安全なレベルの範囲内である場合には、赤色が使用される。閾値刺激強度の増加が所定の安全なレベルと危険なレベルの間である場合には、黄色が使用される。単なる例として、システム10はまた、ポップアップウインドウ、可聴音、音声記録、画面点灯、スクローリングメッセージ、又は潜在的な危険性をユーザに通知するような任意の他の警告のうちのいずれか1つ、又はそれらの組み合わせによって、ユーザに伝えることができる警告通知の使用を通じて、潜在的な危険性をユーザに通知することができる。一実施形態によると、システム10は、以下のシナリオに従ってユーザに通知を行うことができる。
図33〜34は、図32のベースラインTCNR応答に続いて得られた例示的なTCNR応答を示す。ベースラインIthresh応答結果は、結果フィールド372からベースラインフィールド374へと移動する。図33に示されるように、後続の試験において、応答が、200mAの刺激(Ithresh−subsequent)により全チャネル110で得られた、神経生理学的記録にベースラインからの有意な変化がなかったことを示す。これらの結果は、結果フィールド372に表示される。したがって、上記で表9に示され、説明される実施形態に従って、これらのチャネルのそれぞれに対して、緑色のインジケータが示される。ここで図34を参照すると、別の後続の試行において全てのチャネルで応答が得られ、両側方外側広筋、前脛骨筋、大腿二頭筋、及び大内転筋チャネルにおいて有意な神経筋応答を誘起するのに200mAの刺激が必要であったため、神経生理学的記録のベースラインからの有意な変化がなかったことを示す。緑色のインジケータが、各チャネルに示される。しかしながら、両側方内側広筋チャネルにおいては有意な神経筋応答を誘起するためには600mAの刺激強度が必要であり、これは、ベースライン要件の200mAから400mAの増加である。赤色のインジケータがこれらのチャネルのそれぞれに示される。上記の所定の安全性レベル、色、音によるフィードバック、及び神経生理学的解釈は、単なる例示目的に過ぎず、決して制限することを意味するものではないことが理解される。
一部の外科処置では、外科処置中に一種類以上の神経生理学的試験を実施することが有利な場合がある。しばしば、処置中に間欠的に複数種類の神経生理学的試験及び監視モードを実施することが有利である。絶えずモードを切り替えること及び各モードにおいて試験を開始/再開することは、煩雑で時間がかかり、ユーザを苛立たせる可能性がある。彼らは、システム10に耐えられなくなる可能性がある。本発明によると、システム10は、以下に記載されるように、2つ以上の神経生理学的監視モードを迅速かつ途切れなく切り替える(toggle)或いは切り替える(switch)ための機能性を含む。
単なる例示目的で、侵襲性が最小限の側方アプローチによる脊椎処置(例えば、XLIF(登録商標))では、神経近接性試験及び皮下神経根試験の両方を間欠的にではあるが外科処置を通じて互いに異なる時点で実施することが望ましい場合がある。制御ユニット12は、ユーザが指示したようにXLIFモードとTCNRモードとの間の切り替え(toggle)又は切り替え(switch)を行うために必要な機能性を有する。一部の実装では、切り替え(toggling)又は切り替え(switching)は、上述の刺激クリップ18/起動装置330アセンブリによって達成される。一部の実装によると、ユーザがXLIFモードを選択した場合、システム10は、ユーザから指示されるまでXLIFモードのままである。この指示は、起動装置330の刺激ボタン340を押すことであり得る。刺激ボタン340を1回押すことにより、適切なTCNRモード画面へと同時に切り替わり、TCNRモードで刺激が実施される。XLIFモードに切り替え(toggle)又は切り替え(switch)て戻すために、ユーザは、ボタンモジュール129上の起動ボタン131を押して、同時にXLIFモード画面へと切り替え、XLIFモードで刺激を実施することができるか、或いはXLIFモードでの刺激試行がその時点で所望されない場合、ユーザは何も行わなくてもよい。TCNR画面が時間切れ(例えば、前回のTCNR刺激試行から1分後)になる場合があり、システム10は、XLIFモード画面200へと切り替わり(toggle)或いは切り替わり(switch)戻ることになる。しかしながら、TCNRタイマー機能は、依然として有効となり、上述のようにタイマーが経過したときに別の刺激を実施するようにユーザに最速することになる。したがって、そのような実施形態によると、病院職員がモード間の切り替えを行うために画面200で変更を行う及び/又は病院職員にそのように指示することを必要とすることなくその必要なく、ユーザが1つを上回る神経生理学的監視モードを間欠的に実施することができる。
手動及び自動SSEPモードでは、刺激信号が、所望される末梢神経(単なる例として、後脛骨神経及び/又は尺骨神経等)の上に定置される抹消感知電極に送達され、記録電極23が、記録部位(単なる例として、C2椎骨、頭皮、エルブ点、及び膝窩等)に、或いはその上に位置付けられ、刺激信号が患者モジュール14から送達される。脊髄における損傷は、脊髄を上る信号の伝達を妨害し、記録部位での減弱又は遅延された信号をもたらし得る。手動SSEPモードでは、信号応答の波形及びこれらの波形と関連する経過時間値が、ユーザに表示される。ユーザは、次いで、図35に示されるように、ベースライン信号応答と信号応答との間の比較を行う。自動SSEPモードでは、システム10は、信号応答の振幅及び経過時間と、ベースライン信号応答の振幅及び経過時間との間の差を比較する。これらの差は、所定の「安全」及び「危険」レベルに対して比較され、結果がディスプレイ34に表示される。結果は、図36に図示されるように、任意の他の判定された安定性レベルの表示(赤色、黄色、緑色の色分け等)とともに、ディスプレイ34上でユーザに表示される)。一部の実施形態によると、システム10は、各有効な刺激チャネル上でSSEP試験を行うのに最適な刺激パラメータを迅速に選択するために1つ以上のアルゴリズムを採用してもよい。これは、最も望ましい結果をもたらす組み合わせが達成されるまで、種々のパラメータを自動的に調節する任意の多数のアルゴリズムに従って行われ得る。
外科的矯正計画及び評価モードでは、システム10は、ユーザが、脊髄処置中に彼/彼女が外科手術の目標を達成した程度に関して計画及び評価することを補助する。図示されるように、単なる例として、図37では、システム10が、画面200上で埋め込まれるネジの位置をデジタル化し、ロッドの屈曲指令を出力し、ロッドの形状を予見することができる機構が含まれ得る。一部の実装では、ロッド屈曲指令は、埋め込まれるネジの位置内で特別に嵌合するように成形されたロッドに対するものである。他の実装では、システム10はさらに、それらの埋め込まれるネジの位置から離れた位置で嵌合するように成形されたロッドに対する屈曲指令を見るための1つ以上の高度な選択肢機構を介して、矯正入力を受け入れることができる。この様式で成形されたロッドを導入することにより、ユーザに命じられた手術計画に従って患者の脊椎の弯曲変形を矯正することができる。一部の脊髄処置では、患者の脊椎をバランスが取れた位置に復元することが、所望される外科手術結果であり得る。図38に示されるように、システム10が、画面200を介して1)術前の脊椎パラメータ入力、2)標的脊椎パラメータ入力、3)術中の脊椎パラメータ入力、及び/又は術後の脊椎パラメータ入力を受信し、評価するように構成される、機構も含まれ得る。脊椎パラメータは、患者の骨盤の入射角(PI)、骨盤の傾斜(PT)、仙骨の傾き(SS)、腰部前弯(LL)、上腰部前弯(↑LL)、下腰部前弯(↓LL)、C7測鉛線オフセット(C7PL)、胸椎後弯(TK)、T1傾斜、及び矢状垂直軸(SVA)の測定値を含み得る。これらの入力のうちの1つ以上を、手術計画に向けた外科的矯正の進行具合を評価するために追跡及び/又は他の入力と比較し、所望される外科的矯正を達成するための手術計画を展開/改善することができる。
Ithreshを取得し、それが提供する有用な上方を利用するために、システム10は、所与の刺激電流(IStim)に対応する各EMG応答のピーク間電圧(Vpp)を識別し、測定する。誤ったVpp測定値をもたらす可能性のある刺激及び/ノイズのアーチファクトの存在によって、応答の真のVppを識別することが困難な場合がある。この課題を克服するために、本発明のシステム10は、上記で参照される、同時係属中であり、同一出願人の2004年8月5日に出願された「System and Methods for Performing Dynamic Pedicle Integrity Assessments」と題されるPCT出願第PCT/US2004/025550号に完全に示され、記載されるもの等の任意の多数の好適なアーチファクト除去技法を用いることができる。各EMG応答のVppを測定すると、所定のVppEMG応答をもたらすことができる最小刺激電流(IThresh)を特定するために、Vpp情報が対応する刺激電流(Istim)に対して分析される。本発明によると、IThreshの判定は、任意の様々な好適なアルゴリズム又は技法を介して達成され得る。
図39A〜Dは、単なる例として、Ithreshを迅速に発見するために使用される本発明の閾値検索アルゴリズムの原理を図示する。Ithreshを発見するための方法は、区分化方法及び二分化方法を用いる。区分化方法により、Ithreshを含むはずである刺激電流の範囲(区分)を迅速に発見し、二分化方法により、指定される精度でIthreshが明らかとなるまでその区分を狭める。チャネルの刺激電流閾値Ithreshが最大刺激電流を上回る場合、その閾値は範囲外とみなされる。
図39A〜Dは、本発明の閾値検索アルゴリズムの区分化機構を図示する。刺激は、(単なる例として)1mA等の最小刺激電流で開始する。関連する電流値が、実施される機能に部分的に依存すること(例えば、MEPには高い電流が使用され、他の機能には一般に低い電流が使用される)、及び本明細書に記載される電流値が、単なる例に過ぎず、実際には任意の規模で調節され得ることが、理解されるであろう。各後続の刺激のレベルは、刺激電流が動員する(すなわち、Vthresh以上のVppでのEMG応答をもたらす)まで、先行の刺激レベルの2倍にされる。動員する最初の刺激電流(図39Bでは8mA)が、動員しなかった最後の刺激電流(図39Bでは4mA)とともに、初期区分を形成する。
図39C〜Dは、本発明の閾値検索アルゴリズムの二分化機構を図示する。閾値電流Ithreshが区分化された(図39B)後、初期区分は、(単なる例として)0.25mA等の所定の幅で二分化することにより、逐次的に縮小される。これは、初期区分を二分化する(すなわち、その中間点を形成する)、第1の二分化刺激電流(図39Cで6mA)を適用することによって達成される。この第1の二分化刺激電流が動員する場合、区分は、初期区分の下半分(例えば、図39Cでは4mA〜6mA)に縮小される。この第1の二分化刺激電流が動員しない場合、区分は、初期区分の上半分(例えば、図39Cでは6mA〜8mA)に縮小される。このプロセスを、Ithreshが所定の幅(この事例では0.25mA)で分離される刺激電流によって区分化されるまで、各逐次区分について継続する。示される本実施例では、これは、第2の二分化刺激電流(第2の区分の中間点を形成するか、或いは本実施例では5mA)を適用することによって達成される。この第2の二分化刺激電流はIthreshよりも低いため、動員しない。このため、第2の区分は、その上半分(5mA〜6mA)に縮小され、第3の区分を形成する。次いで、第3の区分の中間点を形成する第3の二分化刺激電流(この事例では、5.50mA)が適用される。この第3の二分化刺激電流はIthreshであるため、動員しない。このため、第3の区分は、その上半分(5.50mA〜6mA)に縮小され、第4の区分を形成する。次いで、第4の区分の中間点を形成する第4の二分化刺激電流(この事例では、5.75mA)が適用される。この第2の二分化刺激電流はIthreshよりも低いため、動員しない。最後の区分は、したがって、5.50mA〜5.75mAである。5.50mAでの「応答」又は動員及び5.75mAでの「無応答」又は動員の欠如のため、Ithreshがこの範囲内であると推測することができる。一実施形態において、この最終区分の中間点を、Ithreshとして定義してもよいが、しかしながら、最終区分に含まれる任意の値が、本発明の範囲から逸脱することなく、Ithreshとして選択されてもよい。有効なモードに応じて、アルゴリズムは、第1の応答チャネル(すなわち、最も低いIthreshを有するチャネル)のIthreshを発見した後に停止することができるか、或いは区分化及び二分化ステップを、各チャネルに対して繰り返して、各チャネルのIthreshを判定してもよい。一実施形態において、この複数チャネルのIthreshの判定は、以下に記載される多重チャネル閾値検出アルゴリズムの追加のステップを用いることによって達成することができる。
さらに、動的刺激EMG及びXLIFを含むが必ずしもこれらに限定されない「動的」機能モードでは、本システムは、刺激閾値レベルを継続的に更新し、そのレベルをユーザに示すことができる。そうするために、閾値検索アルゴリズムは、Ithreshレベルを改めて繰り返し判定するのではなく、刺激電流閾値が変化しているかどうかを判定する。これは、図39Dに図示されるように、最終区分の下端での刺激と上端での刺激との間での切り替えを伴う監視段階によって達成される。閾値が変化していない場合、区分の下端の刺激電流は応答を誘発するはずがないが、上端は誘発するはずである。これらの条件のいずれかが満たされない場合、区分は適宜調節される。各閾値が区分化されることを確実にするために、このプロセルは、有効なチャネルのそれぞれに対して繰り返される。刺激が、3回連続で予期される応答を誘発できない場合、アルゴリズムは、区分を再確立するために区分化状態へと戻る。監視段階中にIthreshにおける変化が検出される事象では、ユーザは、画面表示及び/又は音によるフィードバックを介して即座に警報され得る。単なる例として、以前のIthreshに対応するディスプレイに示される色は、Ithreshにおける変化が検出された直後ではあるが、新しいIthresh値が判定される前に、中間色(例えば、黒色、灰色等)に変更され得る。可聴音を使用して特定の安定性レベルが表される場合、音は、変化が検出されるとすぐに、停止され得る。新しいIthresh値が判定されると、色及び/又は可聴音は、その値を示すように再び変更され得る。
代替的な実施形態では、最小刺激電流で区分化段階に入ることにより開始し、Ithreshが区分化されるまで上方に区分化するのではなく、閾値検索アルゴリズムは、適切な安全性レベルを即座に判定することによって開始し、その後で区分化段階に入ってもよい。アルゴリズムは、境界電流レベルのうちの1つ以上で刺激を開始することによって、これを達成することができる。単なる例として、また図40を参照して、アルゴリズムは、危険レベル(例えば、赤色)と注意レベル(例えば、黄色)との間の境界で刺激を送達することによって開始し得る。第1の刺激の後に安全性レベルが明らかではない場合、アルゴリズムは、注意レベル(例えば、黄色)と安全レベル(例えば、緑色)との間の境界で再度刺激を行い得る。安全性レベルがわかると(すなわち、安全性レベルが赤色である場合は第1の刺激の後、或いは安全性レベルが黄色もしくは緑色である場合は第2の刺激の後)、画面表示が適切な色に更新されてもよく、並びに/或いは符号化された音声信号が放出されてもよい。画面表示が更新されるとき、アルゴリズムは、実際のIthresh値を判定するために、区分化及び二分化段階へと移行し得る。Ithresh値が判定されると、表示が、追加の情報を反映するように再び更新され得る。動的モードでは、監視段階がIthreshの変化を検出するならば、アルゴリズムは、必要に応じて境界レベル(複数可)で再び刺激を行い、新しいIthreshを判定するために区分化及び二分化段階に移行する前に、色及び/又は音の信号を更新する。
(例として)MEP等の一部の機能については、機能が実施される度に各有効なチャネルのIthreshを取得することが望ましい場合がある。これは、潜在的な問題を検出する手段として経時的にIthreshの変化を評価する(刺激EMGモード等において、安全であると判定された所定のレベルよりも低いIthreshを検出することとは対照的に)場合に、特に有利である。Ithreshは、上述のようにアルゴリズムを使用して各有効なチャネルに対して発見され得るが、これは、可能性としては多数の刺激を必要とし、刺激のそれぞれが応答時間を大幅に増加させ得る特有の時間遅延と関連している。繰り返し行われることにより、外科処置を完了するのに必要とされる全体的な時間も大幅に増加させ得、これは、患者に対する危険性の増加及び費用の増加を呈し得る。この欠点を克服するために、システム10の好ましい実施形態は、各チャネルのIthreshを迅速に判定すると同時に、刺激の数を最小限に抑え、それによってそのような判定を実施するのに必要とされる時間を短縮することができるように、多重チャネル閾値検索アルゴリズムを有する。
多重チャネル閾値検索アルゴリズムは、Ithreshが複数のチャネルに発見されている場合、区分化及び二分化ステップを完了するのに必要とされる刺激数を減少させる。多重チャネルアルゴリズムは、既に取得されたデータから結果が予測可能である刺激を省略することによって、これを行う。刺激信号が省略されると、アルゴリズムは、刺激が行われたかのように進む。しかしながら、実際の動員結果を報告する代わりに、報告される結果は、以前のデータから推測される。これにより、アルゴリズムが、刺激信号と関連する時間遅延なしに、即座に次のステップに進むことが可能となる。
どのチャネルのIthreshが処理されているかにかかわらず、各刺激信号が、全ての有効なチャネルから応答を誘起する。すなわち、いずれのチャネルも、刺激信号に応答して動員するか、或いは動員しないかのいずれかである(ここでも、刺激信号がおよそ100uVのVpp等、そのチャネル上で有意であるとみなされるEMG応答を誘発する場合、チャネルは、動員したと考えられる)。これらの動員結果は、各チャネルに関して記録及び保存されている。後で、異なるチャネルのIthreshが処理される場合、保存されたデータにアクセスすることができ、そのデータに基づいて、アルゴリズムは、刺激信号を省略し、チャネルが所与の刺激電流で動員するかどうかを推測することができる。
アルゴリズムが刺激信号を省略し、以前の動員結果を報告することができる、2つの理由が存在する。刺激信号は、選択された刺激電流が以前の刺激の繰り返しである場合に省略することができる。単なる例として、1つのチャネルのIthreshを判定するために1mAの刺激電流が適用され、1mAでの刺激が別のチャネルのIthreshを判定するために後で必要とされる場合、アルゴリズムは、刺激を省略し、以前の結果を報告してもよい。必要とされる特定の刺激電流が以前に使用されていない場合でも、結果が以前のデータから既に明らかである場合には、刺激信号は、依然として省略されてもよい。単なる例として、以前のチャネルのIthreshを判定するために2mAの刺激電流が適用され、現在のチャネルが動員しなかった場合、1mAでの刺激が、現在のチャネルのIthreshを判定するために後で必要となる場合には、アルゴリズムは、現在のチャネルが2mAでは動員しなかったため、1mAで動員しないであろうと推測することができる。したがって、アルゴリズムは刺激を省略し、以前の結果を報告し得る。
図41は、多重チャネル閾値検索アルゴリズムが刺激を行うか、或いは刺激を行わず、単純に以前の結果を報告するかを判定する。アルゴリズムは、まず、選択された刺激電流が既に使用されているかどうかを判定する(ステップ302)。刺激電流が既に使用されている場合、刺激は省略され、現在のチャネルの以前の刺激の結果が報告される(ステップ304)。刺激電流が使用されていなかった場合、アルゴリズムは、現在のチャネルのIrecruit(ステップ306)及びInorecruit(ステップ308)を判定する。Irecruitは、現在のチャネルで動員された最も低い刺激電流である。Inorecruitは、現在のチャネルで動員できなかった最も高い刺激電流である。アルゴルズムは、次に、IrecruitがInorecruitよりも高いかどうかを判定する(ステップ310)。Inorecruitよりも高くないIrecruitは、そのチャネルでのIthreshに変化が起きたことを示す。したがって、以前の結果は現在の閾値状態を反映したものではない可能性があり、アルゴリズムは、所与の刺激電流に対する応答を推測するのにそれらを使用することはない。アルゴリズムは、選択された電流で刺激を行い、現在のチャネルの結果を報告する(ステップ312)。IrecruitがInorecruitよりも高い場合、アルゴリズムは、選択された刺激電流がIrecruitよりも高いか、Inorecruitよりも低いか、或いはIrecruitとInorecruitとの間であるかを判定する(ステップ314)。選択された刺激電流がIrecruitよりも高い場合、アルゴリズムは、刺激を省略し、現在のチャネルが指定された電流で動員することを報告する(ステップ316)。閾値刺激電流がInorecruitよりも低い場合、アルゴリズムは、現在のチャネルが選択された電流では動員しないことを推測し、その結果を報告する(ステップ318)。選択された刺激電流がIrecruitとInorecruitとの間に含まれる場合、刺激の結果は推測することができず、アルゴリズムは、選択された電流で刺激を行い、現在のチャネルの結果を報告する(ステップ312)。この方法は、全ての有効なチャネルのIthreshが判定されるまで繰り返され得る。
明確さの目的で、図42A〜Cは、2つのみのチャネルにおけるIthreshを判定するための多重チャネル閾値検索アルゴリズムの使用を例証する。しかしながら、多重チャネルアルゴリズムは、2つのチャネルのIthreshを発見することに限定されず、むしろ、システム10の好ましい実施形態に従って(例えば)8個のチャネル等、任意の多数のチャネルのIthreshを発見するために使用され得ることを理解されたい。図42Aを参照すると、チャネル1は、6.25mAであることがわかるIthreshを有し、チャネル2は4.25mAであることがわかるIthreshを有する。チャネル1のIthreshは、図38Bに図示されるように、上述の区分化及び二分化方法を使用して、最初に発見される。区分化は、(単なる例として)1mAの最小刺激電流で開始する。これが処理される最初のチャネルであり、以前の動員結果が存在しないため、刺激は省略されない。刺激電流は、8mAで有意なEMG応答が誘発されるまで、各逐次的刺激ごとに2倍となる。4〜8mAの初期区分を、上述の二分化方法を使用して、刺激閾値Ithreshが選択された幅又は分解能(ここでも25mA)で分離される最終区分内に含まれるまで二分化する。この実施例では、最終区分は、6mA〜6.25mAである。Ithreshは、最終区分内の任意の点として、或いは最終区分の中間点(この事例では6.125mA)として、定義され得る。いずれの事象でも、Ithreshは、チャネル1のIthreshとして選択され、報告される。
チャネル1のIthreshが発見されると、アルゴリズムは、図42Cに図示されるように、チャネル2に移る。アルゴリズムは、ここでも4〜8mAである初期区分を判定することによって、チャネル2の処理を開始する。区分化段階で必要とされる全ての刺激電流を、チャネル1のIthreshを判定する際に使用した。アルゴリズムは、チャネル1が以前の刺激にどのように応答したかを判定するために、保存されたデータに戻って参照する。保存されたデータから、アルゴリズムは、チャネル2が1、2、及び4mAの刺激電流では動員せず、8mAで動員するであろうことを推測することができる。これらの刺激は省略され、推測された結果が表示される。二分化プロセスで選択された第1の二分化刺激電流(この事例では6mA)は以前に使用されており、そのため、アルゴリズムは刺激を省略し、チャネル2がその刺激電流で動員することを報告し得る。選択された次の二分化刺激電流(この事例では5mA)は以前にしようされておらず、そのため、アルゴリズムは、5mAでの結果が依然として推測可能であるかどうかを判定しなければならない。示される実施例では、Irecruit及びInorecruitは、それぞれ、6mA及び4mAであると判定される。5mAは、IrecruitとInorecruitとの間に含まれるため、アルゴリズムは、以前のデータから結果を推測することができず、そのため、刺激は省略することができない。次いで、アルゴリズムは、5mAで刺激を行い、そのチャネルが動員することを報告する。区分は下半分に縮小される(次の二分化刺激電流が4.50mAとなる)。4.5mAの刺激電流は以前に使用されておらず、そのため、アルゴリズムは、Irecruit及びInorecruit(この事例では5mA及び4mA)を再度判定する。選択された刺激電流(4.5mA)は、Irecruit、Inorecruitの間に含まれ、そのため、アルゴリズムは、4.5mAで刺激を行い、結果を報告する。ここで、区分はその最終幅25mA(例示目的に過ぎない)である。Ithreshは、最終区分内の任意の点として、或いは最終区分の中間点(この事例では4.125mA)として、定義され得る。いずれの事象でも、Ithreshは、チャネル2のIthreshとして選択され、報告される。
多重チャネル閾値検索アルゴリズムは、番号順にチャネルを処理するとして上述されているが、チャネルが処理される実際の順序は、重要ではないことが理解される。チャネル処理の順序は、最も高いか或いは最も低い閾値を最初に得る(以下に記載される)ように偏っていてもよく、或いは任意の処理順序が用いられてもよい。さらに、アルゴリズムの中間状態が各チャネルについて維持されるという条件で、1つのチャネルのアルゴリズムを完了した後で次のチャネルの処理を開始する必要はないことが理解される。チャネルは、依然として1つずつ処理される。しかしながら、アルゴリズムは、1つ以上のチャネル間を循環してもよく、そのチャネルに1つ程度の少ない刺激電流を処理した後に次のチャネルに移動する。単なる例として、アルゴリズムは、第1のチャネルのIthreshを処理している間、10mAで刺激を行うことができる。20mA(区分段階における次の刺激電流)で刺激する前に、アルゴリズムは、任意の他のチャネルを巡回し、それを10mAの刺激電流で処理してもよい(該当する場合は刺激を省略する)。第1のチャネルに戻って次の刺激を適用する前に、チャネルのうちのいずれか又は全てをこのように処理してもよい。同様に、アルゴリズムは、第1のチャネルに戻って20mAで刺激を行う必要はなく、代わりに、異なるチャネルを選択して、まず20mAレベルで処理してもよい。この方法では、アルゴリズムは、全てのチャネルを本質的に一緒に進行させ、最も低い閾値チャネルを最初に発見するために、或いは最も高い閾値チャネルを最初に発見するために、順序を偏らせることができる。単なる例として、アルゴリズムは、1つの電流レベルで刺激を行い、そのレベルで各チャネルを処理した後に、次の刺激電流レベルに進んでもよい。アルゴリズムは、最も低いIthreshを有するチャネルが区分化されるまで、このパターンで継続し得る。アルゴリズムは、次いで、Ithreshが判定されるまでそのチャネルだけを処理し、その後で、次の最も低いIthreshが区分化されるまで、他のチャネルを1回に1つの刺激レベルずつ処理してもよい。このプロセスは、最も低いIthreshから最も高いIthreshの順で、各チャネルのIthreshを判定するまで、繰り返され得る。1つを上回るチャネルのIthreshが同じ区分に含まれる場合、その区分を二分化し、最も低いIthreshを有するものがどれかが明らかとなるまで、その区分内の各チャネルを処理してもよい。最も高いIthreshを最初に判定することがより有益となる場合、アルゴリズムは、全てのチャネルの区分が発見されるまで継続した後、各チャネルを降順で二分化してもよい。
図43A〜Bは、有利なことに特定のチャネルのIthresh値が以前に判定されている場合に、Ithreshを発見するのに必要とされる刺激の数をさらに低減する能力を提供する、本発明の閾値検索アルゴリズムのさらなる機構を図示する。特定のチャネルに関して以前のIthresh判定が存在する事象では、アルゴリズムは、区分化及び二分化方法で改めて開始するのではなく、単に以前のIthreshを確認することによって開始し得る。アルゴリズムは、まず、チャネルの初期閾値判定を行っているかどうか、或いは以前のIthresh判定が存在するかどうかを判定する(ステップ320)。初回の判定ではない場合、アルゴリズムは、以下に記載されるように以前の判定を確認する(ステップ322)。以前の閾値が確認された場合、アルゴリズムは、その値を現在のIthreshとして報告する(ステップ324)。それが初回のIthresh判定である場合、或いは以前の閾値が確認できない場合、アルゴリズムは、区分化機能(ステップ326)を実施して、Ithreshを判定し、次いでその値を報告する(ステップ324)。
検索アルゴリズムは、Ithresh(所定のEMG応答を誘発する最も低い刺激)を発見することに関して本明細書に記載されているが、代替的な刺激閾値が、脊髄の健康の評価又は神経監視機能においては有用であり得、検索アルゴリズムによって判定され得ることが企図される。単なる例として、検索アルゴリズムは、刺激電圧閾値を判定するためにシステム10によって用いられ得る。これは、有意なEMG応答を誘発するのに必要な最も低い刺激電圧である。各有効なチャネルの区分化、二分化、及び監視の状態が上述のように行われ、電圧に基づく区分が、前述の電流に基づく区分と置き換えられる。さらに、MEP監視の文脈内で上述されたが、本明細書に記載されるアルゴリズムはまた、肉茎完全性(ネジ試験)、神経検出、及び神経根開創を含むがこれらに限定されない、任意の他のEMG関連機能の刺激閾値(電流又は電圧)を判定するために用いることもできることが理解されるであろう。
図44A〜Bは、単なる例として、有意な誘発される神経筋応答を迅速に誘起するために使用される本発明の集中線形閾値決定アルゴリズムの原理を図示する。誘発される神経筋応答を発見するための方法は、ベースライン傾斜方法及び後続傾斜方法を用いてIthreshを発見する。ベースライン傾斜方法は、指定される精度で各チャネルにおける有意な誘発神経筋応答をもたらす刺激強度を迅速に発見する。後続傾斜方法は、ベースライン傾斜の結果を用いて、指定される精度で各チャネルにおける有意な神経筋応答をもたらす刺激電流閾値強度を発見する。
ベースライン線形傾斜方法は、各チャネルのIthreshが指定される精度で判明するまで、線形様式でIstimを増加させることによって、応答をもたらす最小刺激強度を迅速に発見する。刺激は、(単なる例として)100mA等の開始刺激電流で開始する(ステップ376)。関連する電流値が、実施される機能に部分的に依存すること(例えば、TCNR及びMEPには高い電流が使用され、他の機能には一般に低い電流が使用される)、及び本明細書に記載される電流値が、単なる例に過ぎず、実際には任意の規模で調節され得ることが、理解されるであろう。
アルゴリズムは、刺激レベルが各チャネルに対してベースライン神経筋応答(Ithresh−baseline)を動員するまで、各刺激(レベル)を固定量(例えば、50mA)で先行する刺激レベルから増分させる(ステップ382)。少なくとも1つのチャネルにおいてベースライン神経筋応答を動員する最も低い刺激レベルが、後続の集中線形傾斜アルゴリズムで呼び戻すために保存される(ステップ378)。全てのチャネルのベースラインIthreshが定義されると、結果が制御ユニット12に報告される(ステップ380)。
一部の神経生理学的監視モダリティ(例えば、MEP)によると、二重極性刺激構造でベースライン応答を取得することが望ましい場合がある。一部の実装では、ベースライン線形傾斜方法は、各刺激強度レベルで刺激の極性を切り替え、Ithreshの結果及び関連する極性をステップ380で報告する、任意選択のステップを含む。
Ithreshは、線形傾斜方法に関して上述のように各チャネルに対して毎回発見することができるが、これは、非常に多くの刺激を必要とする可能性があり、刺激のそれぞれが、応答時間を大幅に増加させ得る固有の時間遅延と関連している。繰り返し行われることにより、外科処置と競合するのに必要とされる全体的な時間も大幅に増加させ得、これは、患者に対する危険性の増加及び費用の増加を呈し得る。この欠点を克服するために、集中線形閾値決定アルゴリズムは、各チャネルのIthreshを迅速に判定し、同時に総刺激数を最小化し、送達される総エネルギーを低下させ、そのような判定を実施するのに必要とされる時間を短縮することができるように、後続集中傾斜方法を含む。
後続集中線形傾斜方法は、ベースライン後の後続刺激の際、特にIthreshが複数のチャネルに発見されている場合に、Ithreshを発見するのに必要とされる刺激数を低減させることができる。アルゴリズムは、既に取得されたベースラインデータから結果が予測可能である刺激を省略することによって、これを行う。これにより、アルゴリズムが、不必要な刺激信号と関連する時間遅延なしに、即座に次のステップに進むことが可能となる。アルゴリズムは、次いで、最も低いIthresh−baseline(すなわち、第1のチャネルがベースラインで動員する閾値刺激強度)を使用し、各チャネルのIthresh−subsequentが指定される精度で判明するまで、線形様式で刺激強度を増加させることによって、迅速にIthresh−subsequentを発見することができる。
図44Bのフロー図に戻って参照すると、後続のTCNR試験では、アルゴリズムは、そのIstimでの刺激によって、少なくとも1つのチャネルにおける応答を動員する最も低いベースラインIthreshを確認する(ステップ376)。極性の切り替えを含むそれらの実装では、アルゴリズムは、最も低いIthreshが得られた極性でベースラインを確認する。ステップ376のIstimが全てのチャネルにおいて応答をもたらした場合、シーケンスは停止され、結果が制御ユニット12に報告される(ステップ380)。ステップ380でIstimが全てのチャネルにおける応答をもたらさない場合、刺激は所定の量で増加され(ステップ382)、シーケンスは応答が各チャネルに繰り返されるまで、繰り返される。全てのチャネルの後続Ithresh値が定義されると、結果が制御ユニット12に報告される(ステップ380)。
集中線形閾値決定アルゴリズムは、Ithresh(所定のEMG応答を誘発する最も低い閾値刺激強度)を発見することに関して本明細書に記載されているが、代替的な閾値が、腰部運動神経経路、脊髄の健康、又は神経監視機能においては有用であり得、アルゴリズムによって判定され得ることが企図される。単なる例として、アルゴリズムは、判定された刺激電圧閾値Vstimthreshを行うシステム10によって用いられ得る。これは、有意なEMG応答を誘発するのに必要な最も低い刺激電圧(最も低い刺激電流とは対照的な)Vthreshである。
本明細書に記載される集中線形閾値決定アルゴリズムはまた、TCNR試験及びMEP監視を含むがこれらに限定されない、任意のEMG関連機能の刺激閾値(電流又は電圧)を判定するためにも使用され得る。さらに、各神経生理学的試験モードは、その最適な刺激プロファイルを含み得ることを理解されたく、その結果、「刺激」という用語が複数の意味を含み得ることになる。単なる例として、TCNR刺激は、単一パルスであり得、その結果、「刺激」という用語は、刺激エネルギーの単一のパルスを指し得、一方でMEP刺激は、3〜8つの刺激パルスの列であり得、結果として「刺激」という用語は、複数列の刺激を指し得る。
本発明の別の広範な態様によると、運動神経経路の状態を監視するための方法が提供され、これは、(a)外科手術部位よりも上位(後ろ側、上方)の位置から、経皮かつ経腹腔的な様式で運動経路を刺激するステップと、(b)外科手術部位よりも下位(後ろ側、下方)の1つ以上の位置から、その経皮経腹腔的な刺激によって誘発される神経生理学的応答を記録するステップと、(c)経時的に誘発された応答を比較して、回運動神経経路の健康及び状態を評価するステップと、を含む。この特定の方法は、運動機能が危険に曝される可能性のある腰部(ならびに胸部及び胸腰部)脊椎外科手術において、処置中の腰部運動神経機能を監視及び検証するために有用である。
本発明は、本発明の目的を達成するための最良の形態に関して記載されてきたが、これらの教示を考慮して、本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく、変化形が達成され得ることが、当業者によって理解される。例えば、本発明は、コンピュータプログラミングソフトウェア、ファームウェア、又はハードウェアの任意の組み合わせを使用して実装され得る。本発明を実践する、或いは本発明に従って装置を構築する準備ステップとして、本発明によるコンピュータプログラミングコード(ソフトウェア又はファームウェアに関わらず)は、典型的に、固定(ハード)ドライブ、ディスケット、光学ディスク、磁気テープ、ROM、PROM等の半導体メモリ等の1つ以上の機械可読記憶媒体に記憶することができ、それによって、本発明による製品を作製することができる。コンピュータプログラミングコードを含有する製品は、記憶デバイスからコードを直接実行することによって、記憶デバイスからハードディスク、RAM等の別の記憶デバイスにコードをコピーすることによって、或いは遠隔実行のために、コードをネットワーク上で伝送することによって、使用される。当業者であれば想定できるように、上記の多くの異なる組み合わせを使用することができ、したがって、本発明は、指定される範囲に制限されない。
本明細書に記載される神経監視方法の任意の組み合わせは、本開示の範囲から逸脱することなく、どの時点においても用いることができる。例えば、本明細書に記載される経皮経腹腔神経根刺激方法は、外科手術アクセスシステムを用いた外科手術アクセス中に、上述の監視方法とともに使用されてもよい。