JP2020165610A - 焼結鉱冷却装置、および焼結鉱冷却装置を用いた焼結鉱の冷却方法 - Google Patents

焼結鉱冷却装置、および焼結鉱冷却装置を用いた焼結鉱の冷却方法 Download PDF

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Abstract

【課題】冷却性能の低下を抑制できる焼結鉱冷却装置を提供する。【解決手段】焼結鉱冷却装置(1)は、堆積槽(2)と周方向ダクト(32)を備える。堆積槽(2)の周壁(21)(22)の内面に、外部と連通可能な開口部(213)(223)が設けられている。周方向ダクト(32)は、空気(10)が流通可能な通路(33)を形成し、通路(33)に連通する界面(330)を介して空気(10)を堆積槽(2)の内部に供給する。開口部(213)(223)から堆積槽(2)の内部に供給される空気(10A)の量と、界面(330)から堆積槽(2)の内部に供給される空気(10B)の量との差が、所定値以下となるように設けられている。【選択図】図6

Description

本発明は、焼結鉱を冷却するための焼結鉱冷却装置に関する。
従来、焼結機から供給される高温の焼結鉱を冷却するための焼結鉱冷却装置が知られている。例えば特許文献1に開示される焼結鉱冷却装置は、内側板と外側板を有し、焼結機からの焼結鉱が上方から堆積されると共に下方の外周部から排出される環状の堆積槽を備える。この堆積槽は、外部から空気を取り込み、堆積された焼結鉱の下方から上方へ上記取り込んだ空気を通過させて、該焼結鉱全体を冷却するように設けられている。内側板の下部には、外部の空気を取り込むための複数の内側ルーバ部が設けられている。外側板の下部には、外部の空気を取り込むための複数の外側ルーバ部が設けられている。
さらに、上記焼結鉱冷却装置は、堆積槽の下部の内側と外側の間を横断するように配置された複数の通風ダクトと、隣り合う通風ダクト同士を接続して環状に配置された複数の中央ルーバ部とを備える。通風ダクトから取り込まれた外部の空気は、中央ルーバ部のルーバ同士の間から堆積槽の下部中央へ供給される。外部の空気は、内側ルーバ部と外側ルーバ部では、それらのルーバ同士の間から堆積槽内へ直接取り込まれる。
特開2008−232519号公報
本発明者は、以下のような課題を新たに見出した。すなわち、堆積槽の内部に堆積した焼結鉱と、堆積槽の側板(すなわち内側板および外側板)の内面とは、いわば点接触している。このため、堆積槽の内部における焼結鉱同士の間の隙間よりも、側板の内面と焼結鉱との間の隙間のほうが大きくなりがちである。よって、側板に設けられたルーバ部を介して堆積槽の内部に供給される空気のうち、側板の内面に沿う空気の流れは、通気抵抗が小さく、よって通風量が多くなりやすい。一方、中央ルーバ部から堆積槽の内部に供給され上方へ向かう空気の流れは、中央ルーバ部より上方では焼結鉱同士の間を通ることになるので、通気抵抗が大きく、よって通風量が少なくなりやすい。このように、堆積槽の内部において側板から離れた位置で通風量が少なくなると、堆積槽の内部の焼結鉱を冷却する効率が悪化し、焼結鉱冷却装置の冷却性能が低下するおそれがある。焼結鉱の焼成の状況または焼結後の破砕の状況によっては、焼結鉱冷却装置に装入される焼結鉱のサイズ分布が変化し、この現象が顕著になる場合がある。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、冷却性能の低下を抑制することが可能な、新規かつ改良された焼結鉱冷却装置、および焼結鉱冷却装置を用いた焼結鉱の冷却方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、焼結鉱を冷却するための焼結鉱冷却装置であって、内周壁と外周壁を有し、内周壁と外周壁の内面に外部と連通可能な開口部が設けられ、焼結機からの焼結鉱が上部から供給されて堆積し、外部から供給される冷却気体が堆積した焼結鉱の間を通過して上部へ向かうように設けられ、冷却された焼結鉱を下部の排出口から排出する環状の堆積槽と、堆積槽の内部に水平方向に延びるように配置され、冷却気体が流通可能な通路を形成するとともに、上記通路に連通する供給口を介して冷却気体を堆積槽の内部の焼結鉱に供給する通路形成部材と、を備え、上記開口部から堆積槽の内部に供給される冷却気体の量と、上記供給口から堆積槽の内部に供給される冷却気体の量との差が、所定値以下となるように設けられている、焼結鉱冷却装置が提供される。
通路形成部材は、内周壁および外周壁から離れた位置で、堆積槽の周方向に延びるように配置されていてもよい。
上記開口部の上端が、上記供給口の上端よりも、下方に設けられてもよい。
通路形成部材は中空であり、上記供給口は通路形成部材の下方に位置してもよい。
通路形成部材のうち上記開口部の側の側面の下縁が上方へ切り欠かれた形状を有してもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、焼結鉱冷却装置を用いた焼結鉱の冷却方法であって、焼結鉱冷却装置は、上下方向に並び、外部と連通可能な複数の開口部が周壁の内面に設けられた、環状の堆積槽と、堆積槽の内部に配置され、冷却気体が流通可能な通路を形成する通路形成部材と、を備え、周壁の内面における複数の開口部のうち上方に位置する開口部と外部との連通を遮断し、焼結機からの焼結鉱を堆積槽の上部から堆積槽の内部へ供給し、周壁の内面における複数の開口部のうち下方に位置する開口部を介して外部から供給される冷却気体と、通路形成部材により形成される通路から供給される冷却気体とを、堆積槽の内部に堆積した焼結鉱の間を通過させて上部へ向わせることで前記焼結鉱を冷却し、冷却された焼結鉱を堆積槽の下部に設けられた排出口から排出する、焼結鉱の冷却方法が提供される。
以上説明したように本発明に係る焼結鉱冷却装置、および焼結鉱冷却装置を用いた焼結鉱の冷却方法によれば、冷却性能の低下を抑制することができる。
本発明の実施形態に係る焼結鉱冷却装置の軸方向断面図である。 同実施形態に係る焼結鉱冷却装置の上面図である。 同実施形態に係る堆積槽の下部を上方から見た模式図である(図5のIII−III視)。 同実施形態に係る堆積槽に設置された複数の径方向ダクトおよび周方向ダクトを水平方向から見た模式図である(図3のIV−IV視)。 同実施形態に係る堆積槽の軸方向断面図である(図3のV−V視)。 同実施形態に係る焼結鉱冷却装置の動作の説明図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
まず、図1〜5を参照して、実施形態に係る焼結鉱冷却装置の概略構成について説明する。図1および図2は、本実施形態に係る焼結鉱冷却装置1の概略構成を示す模式図である。図1は、堆積槽2の軸200を通る平面で焼結鉱冷却装置1を切った断面を示す。図2は、焼結鉱冷却装置1の一部を上方から見た上面図である。
焼結鉱冷却装置1は、焼結鉱11を冷却するためのクーラであり、本体部、掻き出し部、駆動部、吸引部および焼結鉱供給部を備える。本体部は、堆積槽2、気体導入部材3および架橋5を備える。説明の便宜上、図1において、気体導入部材3の図示を省略している。掻き出し部はスクレーパ6を有する。駆動部は、複数の支持ローラ70、および駆動モータ71を有する。吸引部は、フード80、排気ダクト81、吸引ファン82およびボイラ83を有する。焼結鉱供給部は供給シュート9を有する。
図3は、堆積槽2の内部の一部を上方から見た模式図である。図4は、堆積槽2の内部に設置された気体導入部材3の一部を水平方向から見た模式図である。図5は、軸200を通る平面で堆積槽2を切った断面を模式的に示す。図3は図5のIII−III視に、図4は図3のIV−IV視に、図5は図3のV−V視に、それぞれ相当する。
図1,図5に示すように、堆積槽2は、テーブル20、内周壁21および外周壁22を有する。テーブル20は、軸200の周りに延びる円環状の底板であり、水平方向に広がる。以下、軸200の周り方向を周方向という。軸200を中心とする半径方向、言い換えると軸200を通り水平に延びる直線方向を、径方向という。テーブル20の下面側には、周方向に延びる円環状のレール23が2列設けられている。
堆積槽2は、周方向に延びる環状である。軸200を通る平面で切った堆積槽2の断面は、テーブル20、内周壁21および外周壁22に囲まれた逆台形状である。内周壁21は、内側の周壁であり、下端がテーブル20の内周縁に接続し、上方へ向かうにつれて径方向内側(すなわち軸200の側)へ向かうように鉛直方向に対し傾いている。外周壁22は、外側の周壁であり、下端がテーブル20の上面に対向し、上方へ向かうにつれて径方向外側へ向かうように鉛直方向に対し傾いている。焼結鉱11の排出口24は、堆積槽2の下部に設けられている。排出口24は、内周壁21に設けられておらず、外周壁22の側に設けられている。排出口24は、外周壁22の下端とテーブル20の上面との間の隙間であり、堆積槽2の全周にわたって設けられている。
図3,図5に示すように、内周壁21の下部には、複数の開口部210と複数のルーバ部211が設けられている。開口部210とルーバ部211は、内周壁21の周方向で交互に隣接して、内周壁21の全周にわたって設けられている。図5に示すように、各ルーバ部211において、周方向に延びる複数のルーバ(すなわち羽板)212が上下方向に並んで配置されている。各ルーバ212は、堆積槽2の径方向における内側から外側へ向かうにつれて下方へ傾斜するように配置されている。言い換えると、上下で隣接するルーバ212の間の間隙214が、堆積槽2の内部へ向かうにつれて下方へ向かうように、水平方向に対して傾いている。
内周壁21の内面には、間隙214に接続する開口部213が、上下方向に複数(図5では4つ)並んで設けられている。これら複数の開口部213は、間隙214を介して堆積槽2の外部と連通可能である。複数の開口部213のうち上方に位置する開口部213(図5では上方の2つ)が、遮蔽部材41により閉塞されている。遮蔽部材41は、例えば板状の部材であってよい。なお、遮蔽部材41は、間隙214を介した堆積槽2の内部と外部との連通を遮断することができる部材であればよく、間隙214のいずれかの位置、または内周壁21の外面の側における間隙214の開口を塞いでもよい。遮蔽部材41は、間隙214を介した上記連通を完全に遮断しなくてもよく、遮蔽部材41とルーバ212等との間に、遮蔽部材41の設置等に必要な程度の隙間は許容される。内周壁21の内面における複数の開口部213のうち下方に位置する開口部213(図5では下方の2つ)は、遮蔽部材41により閉塞されずに、堆積槽2の内部と外部とを連通させる。
図3,図5に示すように、外周壁22の下部には、排出口24の上側に、複数の開口部220と複数のルーバ部221が設けられている。開口部220とルーバ部221は、外周壁22の周方向で交互に隣接して、外周壁22の全周にわたって設けられている。開口部220は、内周壁21の開口部210に対し径方向で対向する位置にある。図5に示すように、各ルーバ部221において、周方向に延びる複数のルーバ222が上下方向に並んで配置されている。各ルーバ222は、堆積槽2の径方向における外側から内側へ向かうにつれて下方へ傾斜するように配置されている。言い換えると、上下で隣接するルーバ222の間の間隙224が、堆積槽2の内部へ向かうにつれて下方へ向かうように、水平方向に対して傾いている。
外周壁22の内面には、間隙224に接続する開口部223が、上下方向に複数(図5では3つ)並んで設けられている。これら複数の開口部223は、間隙224を介して堆積槽2の外部と連通可能である。複数の開口部223のうち上方に位置する開口部223(図5では上方の2つ)が、遮蔽部材42により閉塞されている。遮蔽部材42は、例えば板状の部材であってよい。なお、遮蔽部材42は、間隙224を介した堆積槽2の内部と外部との連通を遮断することができる部材であればよく、間隙224のいずれかの位置、または外周壁22の外面の側における間隙224の開口を塞いでもよい。遮蔽部材42は、間隙224を介した上記連通を完全に遮断しなくてもよく、遮蔽部材42とルーバ222等との間に、遮蔽部材42の設置等に必要な程度の隙間は許容される。外周壁22の内面における複数の開口部223のうち下方に位置する開口部213(図5では下方の1つ)は、遮蔽部材42により閉塞されずに、堆積槽2の内部と外部とを連通させる。
気体導入部材3は、堆積槽2の内部に設置される。気体導入部材3は、径方向ダクト31および周方向ダクト32を有する。
図3〜5に示すように、径方向ダクト31は、筒状の箱型部材であって、両端に吸気口310が設けられている。径方向ダクト31の幅広の両側面は逆台形状であり、上面と下面は長方形である。径方向ダクト31の下面は閉じられている。径方向ダクト31の中央部には、上面および幅広の両側面に跨って、接続開口部311が設けられている。接続開口部311は、幅広の両側面を矩形状に切り欠くように設けられている。
図3〜5に示すように、周方向ダクト32は、半筒状の部材であって、下方に開口する。周方向ダクト32は、例えば板状部材を折り曲げ加工することで形成される。周方向ダクト32の外面は、側面321,322と上面323を有する。両側面321,322は、鉛直方向に沿うように配置される。両側面321,322の下縁は、テーブル20に対する高さが互いに等しく、かつ周方向に延びるように配置される。上面323は、一方の側面321から他方の側面322に向かうにつれて下方へ傾斜するように、水平方向に対して傾いている。すなわち、周方向ダクト32の頂部は、不等辺山形である。周方向ダクト32の両端部には接続開口部320が設けられている。接続開口部320は、各側面321,322の両端部を矩形状に切り欠くように設けられ、周方向ダクト32の下縁に開口する。
径方向ダクト31は、堆積槽2の内部に径方向に延びるように配置され、内周壁21と外周壁22に接続する。複数の径方向ダクト31は、堆積槽2の周方向に並んで配置される。具体的には、吸気口310を有する径方向ダクト31の一端は、内周壁21の下部の開口部210に嵌まる。吸気口310を有する径方向ダクト31の他端は、外周壁22の下部の開口部220に嵌まる。
周方向ダクト32は、径方向ダクト31に接続する。周方向ダクト32は、堆積槽2の周方向で隣り合う径方向ダクト31同士を接続するように配置される。複数の周方向ダクト32は、全体として、堆積槽2の全周にわたって周方向に延びる環状に配置される。具体的には、接続開口部320を有する周方向ダクト32の端部は、径方向ダクト31の接続開口部311に嵌まる。接続開口部311を構成する径方向ダクト31の縁と、接続開口部320を構成する周方向ダクト32の縁は、互いに溶接等により結合されている。また、径方向ダクト31の接続開口部311の上方で互いに対向する周方向ダクト32の端部同士は、互いに溶接等により結合されている。径方向ダクト31の内部と周方向ダクト32の内部は、接続開口部311,320を介して、互いに連通する。
図5に示すように、周方向ダクト32のうち内周壁21の側の側面321の下縁は、内周壁21の内面における複数の開口部213のうち下方に位置して遮蔽部材41により閉塞されない開口部213(図5では下方の2つ)の上縁よりも、上方にある。周方向ダクト32のうち外周壁22の側の側面322の下縁は、外周壁22の内面における複数の開口部223のうち下方に位置して遮蔽部材42により閉塞されない開口部223(図5では下方の1つ)の上縁よりも、上方にある。図5に示す例では、テーブル20の上面から周方向ダクト32の下端(すなわち側面321,322の上記下縁)までの距離は、テーブル20の上面から堆積槽2の上端(すなわち周壁21,22の上端)までの距離の、30%弱である。
図1に示すように、架橋5は、堆積槽2の内周側に設けられ、堆積槽2を支持する。架橋5は、基礎50の上に設置された軸受51を介して、基礎50に対して回転自在に設けられている。架橋5の回転中心すなわち軸受51は軸200と重なる。
スクレーパ6は、棒状の部材であり、排出口24から堆積槽2の内部に挿入されている。スクレーパ6は、気体導入部材3よりも下方に、水平方向に延びるように配置される。
複数の支持ローラ70は、周方向に延びる円環状に2列、基礎50の上に配置されており、テーブル20のレール23に接している。駆動モータ71は、複数の支持ローラ70のうちいくつかに接続され、これらの支持ローラ70を回転させる力を発生する。回転駆動される支持ローラ70とレール23との摩擦力により、テーブル20が回転駆動され、堆積槽2が軸200の周りに回転する。
図2に示すように、フード80は、円環状であり、堆積槽2の上部の開口を覆うように配置される。基礎50に対して位置が固定されたフード80に対して、堆積槽2が回転する。排気ダクト81の一端は、フード80に接続され、フード80の内部と連通する。図1に示すように、排気ダクト81の他端の先には、吸引ファン82が接続されている。吸引ファン82は、排気ダクト81を介してフード80の内部の空気10を吸引する。吸引ファン82の手前に、ボイラ83が接続されている。ボイラ83は、熱交換を行うことで、フード80からの高温の空気10から熱エネルギを回収する。なお、ボイラ83とフード80との間に、除塵機84が接続されてもよい。また、フード80と堆積槽2の上端との間の隙間からの空気10のリークを防止するためのシール構造が設けられている。
供給シュート9は、フード80を貫通するように配置されている。供給シュート9には、焼結機から、冷却前の高温の焼結鉱11が供給される。供給シュート9に供給された焼結鉱11は、供給シュート9を通過して堆積槽2の上部から堆積槽2の内部に供給され、堆積する。なお、供給シュート9の内部に常時所定量の焼結鉱11が充填されているように設けられてよい。この場合、堆積槽2の回転に応じて焼結鉱11が供給シュート9から堆積槽2へ連続的に供給されるため、堆積槽2に堆積する焼結鉱11の高さの変動を抑制できる。
次に、図1,図6を参照して、焼結鉱冷却装置1の動作を説明する。図6は、図5と同様の断面の模式図であり、焼結鉱11の流れを実線の矢印で示す。空気10の流れを一点鎖線の矢印で示す。
堆積槽2の周方向における堆積槽2とスクレーパ6との相対移動により、堆積槽2の下部の焼結鉱11が、スクレーパ6により押され、排出口24から堆積槽2の外部へ排出される。堆積槽2の周方向において、堆積槽2に対してスクレーパ6が進行する方向を前方とし、スクレーパ6に対して堆積槽2が進行する方向を後方とする。図2において、スクレーパ6に対する堆積槽2の進行方向(すなわち後方)を、矢印201で示す。堆積槽2が回転することで、スクレーパ6の前方にある焼結鉱11が押されるとともに、スクレーパ6の後方に空洞が発生する。この空洞に焼結鉱11が上方から入り込むことで、図6に示すように、堆積槽2の内部において、上方から下方へ向かう焼結鉱11の流れ(いわば荷下がり)が発生する。
周方向ダクト32は、周方向に延びるように、堆積槽2の内部に配置されている。上方から下方へ流動する焼結鉱11の一部は、周方向ダクト32の下方の空間に流入する。この空間に焼結鉱11が所定の安息角で進入するため、焼結鉱11の流下に伴い、周方向ダクト32の直下に、焼結鉱11が存在しない空洞33が形成される。空洞33は、周方向ダクト32の下方の開口部を介して周方向ダクト32の内部の空間34に連通しており、周方向ダクト32に沿って周方向に延びるように形成される。
一方、吸引ファン82によりフード80の内部の空気10が吸引されることにより、外部の空気10が堆積槽2の内部に取り込まれる。図6に示すように、外部の空気10は、堆積槽2の周壁21,22では、堆積槽2の内部へ直接取り込まれる。内周壁21についてみると、空気10は、ルーバ部211におけるルーバ212同士の間の間隙214(図5参照)から、開口部213を介して堆積槽2の内部へ取り込まれる。外周壁22についてみると、空気10は、ルーバ部221におけるルーバ222同士の間の間隙224(図5参照)から、開口部223を介して堆積槽2の内部へ取り込まれる。このように、周壁21,22の内面における開口部213,223を介して外部から供給される空気10を、空気10Aとも記載する。
一方、外部の空気10は、周壁21,22に接続された径方向ダクト31の吸気口310(図5参照)からも、堆積槽2の内部へ取り込まれる。吸気口310から径方向ダクト31の内部に取り込まれた空気10は、径方向ダクト31に接続された周方向ダクト32に導入され、堆積槽2の周方向に、周方向ダクト32の内部の空間34および空洞33を流通する。このように、空間34および空洞33は、冷却気体が流通可能な通路として機能する。周方向ダクト32は、上記通路を形成するための通路形成部材として機能する。焼結鉱11に面する空洞33の界面330は、上記通路に連通しており、上記通路から空気10を堆積槽2の内部の焼結鉱11に供給する供給口として機能する。界面330を介して上記通路から供給される空気10を、空気10Bとも記載する。
堆積槽2の内部に取り込まれた空気10A,10Bは、当該内部に堆積した焼結鉱11の間を通過して、堆積槽2の下部から上部へ移動する。この間、空気10が焼結鉱11の熱を吸収することにより、上記堆積した焼結鉱11が冷却される。このように、空気10は、堆積槽2の内部の焼結鉱11を冷却するための気体(以下、冷却気体ともいう。)として機能する。堆積槽2は冷却槽として機能する。フード80の内部へ移動した高温の空気10は、排気ダクト81から排気される。冷却された焼結鉱11は、堆積槽2の下部において、排出口24から、堆積槽2の回転に伴い連続的に排出される。すなわち、焼結鉱11は、堆積槽2の上部から連続的に供給されるとともに、外部から吸引された空気10と熱交換して冷却され、順次堆積槽2の内部を降下し、最後に排出口24から排出されることになる。この際、堆積槽2の内部の焼結鉱11は、徐々に下方へ移動することになり、下方へ徐々に移動する間に、吸引されて上方へ向かう空気10により冷却されるため、焼結鉱11の全体が効率的に冷却される。このように、焼結鉱冷却装置は、空気等の冷却気体を下から上に流す対向流式の熱交換を可能にしたものである。
次に、図6を参照して、本実施形態の焼結鉱冷却装置1および当該装置1を用いた焼結鉱11の冷却方法の利点を説明する。
堆積槽2の内周壁21の側についてみると、内周壁21の内面と焼結鉱11とは、いわば点接触している。このため、堆積槽2の内部における焼結鉱11同士の間の隙間よりも、内周壁21の内面と焼結鉱11との間の隙間のほうが大きくなりがちである。よって、内周壁21の内面に沿う空気10Aの流れは、通気抵抗が小さくなり、通風量が多くなりやすい。具体的には、堆積槽2の外部から内周壁21のルーバ部211を介して内部に供給される空気10Aは、図6において破線で示すように、堆積槽2の上端まで続く内周壁21の内面に沿って通風しやすい。言い換えると、焼結鉱11とあまり接触することなく堆積槽2の内部を通過しやすい。一方、内周壁21の内面から離れた位置における空気10Bの流れは、通気抵抗が大きくなり、通風量が少なくなりやすい。具体的には、周方向ダクト32の直下に形成される空洞33から内周壁21の側に向かって堆積槽2の内部に供給され、上方へ向かう空気10Bの経路には、焼結鉱11と点接触する面が少ない。すなわち、周方向ダクト32より上方では空気10Bは焼結鉱11同士の間を通ることになるため、当該経路の通気抵抗が大きい。このように、内周壁21から離れた位置で冷却気体としての空気の通風量が少なくなると、堆積槽2の内部の焼結鉱11を冷却する効率が悪化し、焼結鉱冷却装置1の冷却性能が低下するおそれがある。外周壁22の側についてみても、同様である。
これに対し、本実施形態の焼結鉱冷却装置1を用いた焼結鉱11の冷却方法は、内周壁21の内面における複数の開口部213のうち、上方に位置する開口部213と堆積槽2の外部との連通を、遮蔽部材41により遮断する。これにより、堆積槽2の内部と外部とを実際に連通させる開口部213の上端P1が下方に位置するようになる。堆積槽2の内部と外部とを実際に連通させる開口部213(の上端P1)から堆積槽2の上端までの距離が大きくなるため、当該開口部213から堆積槽2の内部に供給されて上方へ向かう空気10Aの流れの抵抗が大きくなる。よって、開口部213から堆積槽2の内部に供給される空気10Aの量が減少する一方、空気10Aの量の減少に応じて、空洞33の界面330から堆積槽2の内部に供給される空気10Bの量が増加しうる。したがって、内周壁21の内面に沿って流れる空気10Aの量が少なくなる一方、内周壁21から離れた位置で上方へ向かう空気10Bの量が多くなるため、焼結鉱11の冷却効率の悪化を抑制し、焼結鉱冷却装置1の冷却性能を向上できる。外周壁22の側についてみても、同様である。
言い換えると、焼結鉱冷却装置1は、内周壁21の開口部213から堆積槽2の内部に供給される空気10Aの量と、供給口としての界面330から堆積槽2の内部に内周壁21の側へ供給される空気10Bの量との差が、所定値以下となるように設けられている。これにより、開口部213から堆積槽2の内部に供給される空気10Aの量、言い換えると内周壁21の内面に沿って流れる空気10Aの量を抑制できる。一方、空洞33の界面330から内周壁21の側へ堆積槽2の内部に供給される空気10Bの量、言い換えると内周壁21から離れた位置で上方へ向かう空気10Bの量をある程度以上確保できる。よって、焼結鉱11の冷却効率の悪化を抑制し、焼結鉱冷却装置1の冷却性能を向上できる。上記所定値は、内周壁21に近い位置と内周壁21から離れた位置との間で空気10の通風量が不均一であることに起因する冷却性能の低下量が、焼結鉱冷却装置1の所定の冷却性能を確保できる程度に小さくなる値であってよい。外周壁22の側についてみても、同様である。
なお、空気10Aの量と空気10Bの量は次のように求めることができる。すなわち、空気10Bの量は、周壁21,22に接続された径方向ダクト31の吸気口310の断面積とそこから取り込まれる空気の流速との積として求められる。一方、空気10Aの量は、吸引ファン82により吸引される空気の量から空気10Bの量を差し引くことで求められる。
通路形成部材としての周方向ダクト32は、内周壁21および外周壁22から離れた位置で、堆積槽2の周方向に延びるように配置されてよい。この場合、空洞33の界面330が、内周壁21の内面および外周壁22の内面から離れて位置するため、界面330から堆積槽2の内部に供給される空気10Bは、周壁21,22の内面に沿って通風しにくい。言い換えると、空気10Bの通気抵抗が大きくなり、通風量が少なくなりやすい。よって、空気10Aの量と空気10Bの量との差を所定値以下とすることによる上記利点を効果的に得ることができる。なお、上記供給口を介して冷却気体を堆積槽2の内部の焼結鉱11に供給する通路形成部材は、周方向ダクト32に限らず、例えば、堆積槽2の径方向に延びるように配置された径方向ダクト31であってもよい。
堆積槽2の底面としてのテーブル20の上面と、界面330のうち内周壁21の側の上端Q1(図6参照)との間の距離が、テーブル20の上面と堆積槽2の上端との間の距離の40%以下であってよい。このように、上端Q1の高さが堆積槽2の高さの40%以下である場合、界面330から供給される空気10Bと焼結鉱11とが接触する領域の鉛直方向距離をある程度以上大きく確保できる。また、空気10Bが焼結鉱11の間を通って堆積槽2の上端に到達するまでの時間、言い換えると空気10Bによる焼結鉱11の冷却時間を長く確保できる。一方、この場合、空気10Bの通気抵抗が大きくなり、空気10Bの通風量が少なくなりやすい。よって、空気10Aの量と空気10Bの量との差を所定値以下とすることによる上記利点を、効果的に得ることができる。上端Q1の高さが堆積槽2の高さの30%以下である場合、上記利点をより効果的に得ることができる。外周壁22の側、すなわち上端Q2についてみても、同様である。
内周壁21の側についてみると、堆積槽2の内部と外部とを実際に連通させる開口部213の上端P1が、界面330の上端Q1よりも、下方に設けられている。この場合、上端P1が上端Q1よりも下方に位置することで、堆積槽2の内部において、開口部213から供給される空気10Aの流れの全長が相対的に大きくなる一方、界面330から供給される空気10Bの流れの全長が相対的に小さくなる。よって、内周壁21の内面に沿う流れを含めた空気10Aの流れの抵抗が大きくなるとともに、空気10Bの流れの抵抗が小さくなり、開口部213から供給される空気10Aの量と界面330から供給される空気10Bの量との差を所定値以下とすることが容易となる。外周壁22の側、すなわち上端P2,Q2の関係についてみても、同様である。
周方向ダクト32は中空であり、界面330は周方向ダクト32の下方に位置する。この場合、界面330が周方向ダクト32の下方に位置することで、界面330から供給される空気10Bと焼結鉱11とが接触する領域の鉛直方向距離をより大きく確保できる。また、空気10Bが焼結鉱11の間を通って堆積槽2の上端に到達するまでの時間、言い換えると空気10Bによる焼結鉱11の冷却時間をより長く確保できる。一方、この場合、空気10Bの通気抵抗が大きくなり、空気10Bの通風量が少なくなりやすい。よって、空気10Aの量と空気10Bの量との差を所定値以下とすることによる上記利点を、効果的に得ることができる。
また、上記の場合、周方向ダクト32の直下に形成される空洞33の界面330により供給口を形成可能であるため、空気10を供給するための開口部を、周方向ダクト32の側面321,322に設けることが不要となる。よって、通路形成部材としてルーバユニットを用いる場合に比べ、通路形成部材の構造を簡素化できるとともに、ルーバ同士の間の隙間に焼結鉱11が入り込んで詰まるといった事態を予め回避し、冷却性能を安定させることができる。また、空洞33が周方向ダクト32の内部の空間34に連続する。これにより、周方向ダクト32によって形成され空気10が流通する通路の流路断面積が増大する。よって、上記通路の流路抵抗を減少し、効率よく空気10を流通させることができるため、冷却性能を向上することができる。
周方向ダクト32のうち、外周壁22の側についてみると、開口部223の側の側面322の下縁が、上方へ切り欠かれた形状を有してもよい。例えば、図4において破線で示すように、側面322の下縁に対して上方へ台形状に凹んだ切り欠き部としての凹部326が設けられてよい。この場合、空気10Bの供給口に凹部326が含まれるため、当該供給口から堆積槽2の内部に供給される空気10Bの量が増加しうる。よって、空気10Aの量と空気10Bの量との差を所定値以下とすることが容易となる。また、凹部326の上縁が上記供給口の上端Q2となるため、開口部223の上端P2を供給口の上端Q2よりも下方に設けることが容易となる。内周壁21の側についても同様であり、周方向ダクト32の側面321に凹部326が設けられてもよい。
なお、周方向ダクト32の形状は任意である。例えば、図5に示される周方向ダクト32の断面の形状が、矩形状であってもよい。ここで、堆積槽2の内部のうち、排出口24が設けられた外周壁22の側のほうが、排出口24が設けられていない内周壁21の側よりも、焼結鉱11の流動速度が速くなりやすい。よって、図5に示すように、堆積槽2の周壁21,22のうち、排出口24が設けられた外周壁22に対向する周方向ダクト32の面である上面323が、上方から下方へ向かうにつれて外周壁22に近づく側に、鉛直方向に対し傾いて設けられていてもよい。この場合、上面323と外周壁22との間で、焼結鉱11の流動抵抗が増大することで、外周壁22の側における流動速度を減少させることができる。これにより、堆積槽2の径方向における焼結鉱11の流動速度の分布の不均一を抑制し、冷却性能の向上を図ることができる。
また、堆積槽2の径方向における周方向ダクト32の位置は任意である。図5に示すように、堆積槽2の径方向における周方向ダクト32の中心線325が、堆積槽2の径方向における中心線202よりも外周壁22の側に配置されてもよい。この場合、周方向ダクト32と内周壁21との間の距離が大きくなるとともに、周方向ダクト32と外周壁22との間の距離が小さくなるため、内周壁21の側における焼結鉱11の流動抵抗を減少させて流動速度を増大させるとともに、外周壁22の側における焼結鉱11の流動抵抗を増大させて流動速度を減少させることができる。これにより、堆積槽2の径方向における焼結鉱11の流動速度の分布の不均一を抑制し、冷却性能の向上を図ることができる。
また、堆積槽2の断面形状は任意であり、逆台形状に限らず、矩形状または台形状等であってもよい。言い換えると、堆積槽2の周壁21,22の鉛直方向に対する傾きは任意に設定可能である。また、内周壁21に排出口24が設けられ、外周壁22に排出口24が設けられていなくてもよい。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1 焼結鉱冷却装置
10 空気(冷却気体)
11 焼結鉱
2 堆積槽
21 内周壁
213 開口部
22 外周壁
223 開口部
24 排出口
32 周方向ダクト(通路形成部材)
33 空洞(通路)
330 界面(供給口)

Claims (6)

  1. 焼結鉱を冷却するための焼結鉱冷却装置であって、
    内周壁と外周壁を有し、前記内周壁と前記外周壁の内面に外部と連通可能な開口部が設けられ、焼結機からの焼結鉱が上部から供給されて堆積し、外部から供給される冷却気体が前記堆積した焼結鉱の間を通過して上部へ向かうように設けられ、冷却された焼結鉱を下部の排出口から排出する環状の堆積槽と、
    前記堆積槽の内部に水平方向に延びるように配置され、前記冷却気体が流通可能な通路を形成するとともに、前記通路に連通する供給口を介して前記冷却気体を前記堆積槽の内部の焼結鉱に供給する通路形成部材と、
    を備え、
    前記開口部から前記堆積槽の内部に供給される前記冷却気体の量と、前記供給口から前記堆積槽の内部に供給される前記冷却気体の量との差が、所定値以下となるように設けられている、
    焼結鉱冷却装置。
  2. 前記通路形成部材は、前記内周壁および前記外周壁から離れた位置で、前記堆積槽の周方向に延びるように配置されている、請求項1に記載の焼結鉱冷却装置。
  3. 前記開口部の上端が、前記供給口の上端よりも、下方に設けられている、請求項1または請求項2に記載の焼結鉱冷却装置。
  4. 前記通路形成部材は中空であり、前記供給口は前記通路形成部材の下方に位置する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の焼結鉱冷却装置。
  5. 前記通路形成部材のうち前記開口部の側の側面の下縁が上方へ切り欠かれた形状を有する、請求項4に記載の焼結鉱冷却装置。
  6. 焼結鉱冷却装置を用いた焼結鉱の冷却方法であって、
    前記焼結鉱冷却装置は、
    上下方向に並び、外部と連通可能な複数の開口部が周壁の内面に設けられた、環状の堆積槽と、
    前記堆積槽の内部に配置され、冷却気体が流通可能な通路を形成する通路形成部材と、
    を備え、
    前記周壁の内面における前記複数の開口部のうち上方に位置する開口部と外部との連通を遮断し、
    焼結機からの焼結鉱を前記堆積槽の上部から前記堆積槽の内部へ供給し、
    前記周壁の内面における前記複数の開口部のうち下方に位置する開口部を介して外部から供給される冷却気体と、前記通路形成部材により形成される前記通路から供給される冷却気体とを、前記堆積槽の内部に堆積した焼結鉱の間を通過させて上部へ向わせることで前記焼結鉱を冷却し、
    前記冷却された前記焼結鉱を前記堆積槽の下部に設けられた排出口から排出する、
    焼結鉱の冷却方法。
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