JP2020165315A - 空調機制御装置、これを備える空調機、空調機の制御方法および空調機の制御プログラム - Google Patents
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Abstract
Description
一方、室外機が1台であり、さらに圧縮機も1台である場合、圧縮機に故障が発生すると室外機が停止状態となり、空調機の使用ができなくなる虞がある。このような課題に対し、圧縮機の故障を検知することが行われている。例えば、特許文献1には、モータコイルに加わる電流及び/又は電圧の情報に基づき、圧縮機の内部情報を推定して圧縮機の故障を検知することが開示されている。
本開示の幾つかの実施形態における一態様に係る空調機制御装置は、圧縮機及びインバータを有する1の室外機に備えられた空調機制御装置であって、前記室外機は、前記圧縮機または前記インバータに基づく所定の値を検知する検知センサを有し、前記所定の値が所定の閾値を超える回数を兆候検知回数としてカウント、または、前記所定の値を前記兆候検知回数とし、前記兆候検知回数が所定の回数以上となると、前記圧縮機へ油を返油する返油制御または前記圧縮機の負荷を抑制する負荷抑制制御を行う。
空調機1は、1台の室外機2に、室内機3が接続されたものである。室内機3は1台でも複数台でもよく、複数台が接続される場合は、室内機3は室外機2に接続されているガス側配管(図示せず)と液側配管(図示せず)との間に分岐器6を介して互いに並列に接続されるものとする。
室外機2側の上記各機器は、冷媒配管22を介して順次接続され、公知の室外側冷媒回路23を構成している。また、室外機2には、室外熱交換器13に対して外気を送風する室外ファン24が設けられている。
室内膨張弁31は、通常運転時に対応する室内機3が停止する場合は、停止時所定開度とされる。冷房運転の場合の停止時所定開度は全閉、暖房運転の場合の停止時所定開度は全閉に近い微開とされる。
空調機制御装置50は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体等から構成されている。そして、各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記憶媒体等に記憶されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、ROMやその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等である。
圧縮機10で圧縮され、吐出された高温高圧の冷媒ガスは、四方切換弁12により室外熱交換器13側に循環され、室外熱交換器13で室外ファン24により送風される外気と熱交換されて凝縮液化される。この液冷媒は、過冷却コイル14で更に冷却された後、室外膨張弁15を通過し、レシーバ16内にいったん貯留される。
圧縮機10により圧縮され、吐出された高温高圧の冷媒ガスは、四方切換弁12を介してガス側操作弁20側に循環される。この高圧ガス冷媒は、ガス側操作弁20、ガス側配管を経て室外機2から導出され、分岐器6を経て室内機3に導入される。
これを防ぐために本願発明では、インバータを含む圧縮機10の故障の兆候を監視し、故障兆候が検知されると完全に故障するまでの時間を延ばすように延命措置となる制御を行うものとする。
本実施形態では、空調機制御装置50は、室外機2に備えられた各検知センサが検知する所定の値を取得する。空調機制御装置50は、所定の値が所定の閾値を超える回数を故障兆候の指針とする兆候検知回数としてカウントする、または、所定の値自体を兆候検知回数とする。兆候検知回数が所定の回数以上となると、空調機制御装置50は、室外機2に故障の兆候がみられることを検知する。
図2には、故障内容とそれに対応する兆候検知回数とが図に表されている。
本実施形態では、(1)過電流、(2)パワートランジスタ過熱、(3)圧縮機起動不良、(4)インバータ通信異常、および(5)圧縮機脱調の5つの故障内容について故障検知を行い、それぞれ兆候を検知するものとする。
電流センサ(図示せず)(検知センサ)は、インバータから圧縮機10に流れるカレント電流値を検知する。カレント電流値が、過電流であるか否かの判断基準となる電流閾値(所定の閾値)を超えると、過電流が流れていると判定する。空調機制御装置50は、カレント電流値が電流閾値を超えた回数を兆候検知回数としてカウントする。
ここで、カレント電流値が電流閾値を超える回数が15分以内に4回カウントされると、室外機2は永久停止となり使用できなくなる。このように、永久停止に至る場合の条件を永久停止条件とする。また永久停止とは、自動で運転復帰不可能な停止状態を表す。例えば、カレント電流値が電流閾値を超えると、圧縮機10は保護のため運転を停止する。電流値が下がるなど運転再開可能な状態が検知されると、圧縮機10は自動で運転を復帰する。永久停止となった場合は、圧縮機10は運転を停止したまま自動で運転復帰することはない。
永久停止条件に至る前に、故障の兆候があることを検知するため、故障兆候検知条件を設定する。故障兆候検知条件は、例えば永久停止条件の50%以下の値、さらに好適には20乃至30%程度の値を設定するものとする。
過電流による故障の兆候を検知する場合の故障兆候検知条件は、兆候検知回数が2回以上であることとする。空調機制御装置50は、カウントされた兆候検知回数が2回以上となると、故障の兆候がみられることを検知する。
過電流における永久停止条件としては、圧縮機10の回転数が80(rps)以上で兆候検知回数がカウントされる場合に30分以内に5回カウントされることが設定されてもよい。この場合の故障兆候検知条件は、カウントされた兆候検知回数が2回以上であることとする。
パワートランジスタ温度センサ(図示せず)(検知センサ)は、インバータ基板に搭載されたパワートランジスタ(図示せず)の温度であるパワートランジスタ温度を検知する。パワートランジスタ温度が、パワートランジスタが異常発熱しているか否かの判断基準となる温度閾値(所定の閾値)を超えると、パワートランジスタ過熱状態であると判定する。空調機制御装置50は、パワートランジスタ温度が温度閾値を超えた回数を兆候検知回数としてカウントする。
ここで、パワートランジスタ温度が温度閾値を超える回数が60分以内に5回カウントされることをパワートランジスタ過熱における永久停止条件であるとする。
パワートランジスタ過熱による故障の兆候を検知する場合の故障兆候検知条件は、兆候検知回数が2回以上であることとする。空調機制御装置50は、カウントされた兆候検知回数が2回以上となると、故障の兆候がみられることを検知する。
パワートランジスタ過熱における永久停止条件としては、パワートランジスタ温度が温度閾値を15分連続で検知することが設定されてもよい。この場合の故障兆候検知条件は、パワートランジスタ温度が温度閾値を5分連続で検知することとする。
空調機制御装置50(検知センサ)は、圧縮機10が起動できないなど圧縮機10に起動不良が発生した回数である起動不良回数を検知し、兆候検知回数としてカウントする。
ここで、起動不良が20回連続で発生、すなわち起動不良回数が正常起動を挟まず20回連続でカウントされることを圧縮機起動不良における永久停止条件であるとする。
圧縮機起動不良による故障の兆候を検知する場合の故障兆候検知条件は、兆候検知回数が5回以上連続であることとする。空調機制御装置50は、カウントされた兆候検知回数が連続で5回以上となると、故障の兆候がみられることを検知する。
空調機制御装置50(検知センサ)は、インバータ基板と制御基板との間の通信において、インバータ基板の故障または断線などにより通信異常が発生した回数である通信異常回数を検知し、兆候検知回数としてカウントする。
ここで、通信異常回数が4回カウントされることをインバータ通信異常における永久停止条件であるとする。
インバータ通信異常による故障の兆候を検知する場合の故障兆候検知条件は、兆候検知回数が2回以上であることとする。空調機制御装置50は、カウントされた兆候検知回数が2回以上となると、故障の兆候がみられることを検知する。
空調機制御装置50(検知センサ)は、インバータの回転数指令に対し圧縮機10が該当の回転数で運転できないなど圧縮機10が脱調(入力に同期しない状態)した回数である圧縮機脱調回数を検知し、兆候検知回数としてカウントする。
ここで、圧縮機脱調回数が4回カウントされることを圧縮機脱調における永久停止条件であるとする。
圧縮機脱調による故障の兆候を検知する場合の故障兆候検知条件は、兆候検知回数が2回以上であることとする。空調機制御装置50は、カウントされた兆候検知回数が2回以上となると、故障の兆候がみられることを検知する。
空調機制御装置50により故障の兆候が検知されると、空調機制御装置50は、返油制御を行う。返油制御は、オイルセパレータ電磁弁制御または油上り積算量閾値変更制御のいずれかの制御により行われる。
圧縮機10の吐出側に設けられたオイルセパレータ40では、前述したように圧縮冷媒中のミスト状の潤滑油(オイル)が冷媒から分離される。オイルセパレータ40で分離されオイルセパレータ40内に貯留された潤滑油は、油戻し配管、電磁弁41及び第1キャピラリ部42または第2キャピラリ部43を介して圧縮機10に戻される。
ここで、故障兆候の検知により返油制御を行う場合は、圧縮機10が運転中の場合は、圧縮機10の回転数によらず電磁弁41を常に開とする。これにより、オイルセパレータ40内に貯留された潤滑油が積極的に圧縮機10へ返油されることとなる。
空調機1における油戻し制御は、オイルセパレータ40から室内機3側へ流出した油の量の積算値である油上り積算量が所定の積算閾値を超えたことを開始条件としている。この所定の積算閾値をToilとすると、空調機制御装置50が積算した油上り積算量がToilを超えると、オイルセパレータ40から圧縮機10へ潤滑油が戻される油戻し制御が開始される。
ここで、故障兆候の検知により返油制御を行う場合は、Toilの値をToilに積算閾値変数0.5をかけたToil×0.5に変更する、すなわち油戻し制御の開始条件となる所定の積算閾値を下げるとし、油戻し制御に入りやすくする。これにより、空調機1内に貯留した潤滑油が積極的に圧縮機10へ返油されることとなる。
故障兆候の検知により負荷抑制制御を行う場合は、圧縮機10の上限回転数をNmaxとすると、Nmaxの値をNmaxに上限回転数変数0.8をかけたNmax×0.8に変更するとし、圧縮機10の負荷を抑制する。
これを用いて、本実施形態の空調機制御装置50は、故障の真因を推測する故障診断モードを有するとしてもよい。
空調機制御装置50は、故障診断モードを用いることで、返油制御により状況が改善した場合は故障の真因が圧縮機10にあると判定し、返油制御により状況が改善しない場合は故障の真因がインバータにあると判定する。
また、空調機制御装置50が各故障内容とそれに適した延命措置とを関連付けて収集して機械学習により学習し、検知された故障兆候に最も適した制御を推測して行うとしてもよい。さらには、各故障内容とそれに関連する室外機2の各種情報の値、及びその場合の延命措置を関連付けて収集して機械学習により学習し、検知された故障兆候およびそれに関連する室外機2の各種情報の値に最も適した制御を推測して行うとしてもよい。
報知装置としては、室外機2、室内機3、ワイヤレスリモコンまたはワイヤードリモコン(図示せず)、空調機1にネットワークを通じて接続されたPCや集中管理装置など、空調機1のユーザまたは管理者に報知を行える装置であればいずれであってもよい。
報知装置による報知には、音声、文字表示、ランプなどのいずれか、またはその組み合わせが挙げられる。
各故障内容に対する兆候検知回数が故障兆候検知条件を満たす場合は、報知装置は室外機2に故障の兆候がみられることを空調機1のユーザや管理者に報知する。
幾つかの実施形態に係る空調機制御装置の一態様によれば、圧縮機10またはインバータに基づく所定の値を検知し、所定の値が閾値を超える回数または所定の値である兆候検知回数が所定の回数以上となると、返油制御又は負荷抑制制御を行うことから、室外機2の故障の兆候を故障前に検知することができる。また、故障の兆候を検知すると、室外機2の運転を抑制し保護する制御を行うことから、室外機2が完全な故障に至るのを遅らせることができる。故障の兆候を事前に検知し室外機2が故障に至るのを遅らせることで、室外機2が永久停止となる前にメンテナンスを行うことができ、室外機2が使用不可となることを防ぐことができる。
2 室外機
3 室内機
10 圧縮機
50 空調機制御装置
Claims (10)
- 圧縮機及びインバータを有する1の室外機に備えられた空調機制御装置であって、
前記室外機は、前記圧縮機または前記インバータに基づく所定の値を検知する検知センサを有し、
前記所定の値が所定の閾値を超える回数を兆候検知回数としてカウント、または、前記所定の値を前記兆候検知回数とし、前記兆候検知回数が所定の回数以上となると、前記圧縮機へ油を返油する返油制御または前記圧縮機の負荷を抑制する負荷抑制制御を行う空調機制御装置。 - 前記所定の値は、
前記インバータから前記圧縮機に流れる電流値、
前記インバータのパワートランジスタの温度、
前記圧縮機が起動不良となった回数である起動不良回数、
前記インバータと制御基板との通信が異常となった回数である通信異常回数、
前記圧縮機が前記インバータの指令に応じた運転が行えなかった回数である圧縮機脱調回数
のいずれかであり、
前記所定の値が前記電流値または前記温度の場合に所定の閾値を超える回数を兆候検知回数としてカウントする、または、前記所定の値が前記起動不良回数、前記通信異常回数または前記圧縮機脱調回数のいずれかである場合に前記所定の値を前記兆候検知回数とする請求項1に記載の空調機制御装置。 - 前記返油制御は、前記圧縮機が運転している場合に、前記圧縮機の吐出側に設けられたオイルセパレータから圧縮機へ油を返油する回路上に設けられた電磁弁を常時開とする制御、または、前記オイルセパレータから室内機側へ流出した油の量の積算値である油上り積算量が所定の積算閾値を超えると油戻し制御が開始される場合に、前記所定の積算閾値を下げる制御のいずれかである請求項1または2に記載の空調機制御装置。
- 前記負荷抑制制御は、前記圧縮機の回転数の上限値である上限回転数を下げる制御である請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の空調機制御装置。
- 前記返油制御の結果に応じて、前記室外機の故障兆候の真因が前記圧縮機または前記インバータのいずれにあるかを判定する故障診断モードを有する請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の空調機制御装置。
- 前記空調機制御装置は、前記所定の値と対応する故障兆候とを関連付けて収集し、
収集した前記所定の値及び故障兆候に基づき前記所定の回数を導き出し、前記兆候検知回数が該所定の回数以上となると前記返油制御または前記負荷抑制制御を行う請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の空調機制御装置。 - 前記兆候検知回数が所定の回数以上となると、前記室外機の故障兆候を報知する報知部を備える請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の空調機制御装置。
- 1以上の室内機と、
1の室外機と、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の空調機制御装置を備える空調機。 - 圧縮機及びインバータを有する1の室外機を備える空調機の制御方法であって、
前記圧縮機または前記インバータに基づく所定の値を検知する工程と、
前記所定の値が所定の閾値を超える回数を兆候検知回数としてカウント、または、前記所定の値を前記兆候検知回数とする工程と、
前記兆候検知回数が所定の回数以上となると、前記圧縮機へ油を返油する返油工程または前記圧縮機の負荷を抑制する負荷抑制工程と
を備える空調機の制御方法。 - 圧縮機及びインバータを有する1の室外機を備える空調機の制御プログラムであって、
前記圧縮機または前記インバータに基づく所定の値を検知するステップと、
前記所定の値が所定の閾値を超える回数を兆候検知回数としてカウント、または、前記所定の値を前記兆候検知回数とするステップと、
前記兆候検知回数が所定の回数以上となると、前記圧縮機へ油を返油する返油ステップまたは前記圧縮機の負荷を抑制する負荷抑制ステップと
を実行する空調機の制御プログラム。
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