JP2013108681A - 空調システム - Google Patents
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Abstract
【課題】異常発生頻度の高い圧縮ユニットが含まれているときでも空調システム全体の異常発生頻度を低くすることができる空調システムを提供する。
【解決手段】空調システムは、複数の圧縮ユニットを備え、低負荷時において複数の前記圧縮ユニットをローテーション駆動する。そして、圧縮ユニットの運転状態を示す各種検査項目を圧縮ユニット毎に取得し、圧縮ユニット毎に前記各種検査項目に基づいて異常発生頻度を示す異常パラメータを導出する。そして、異常パラメータが大きい圧縮ユニットほど駆動時間が短くなるように各圧縮ユニットの設定駆動時間Txの比率を変更する。
【選択図】図8
【解決手段】空調システムは、複数の圧縮ユニットを備え、低負荷時において複数の前記圧縮ユニットをローテーション駆動する。そして、圧縮ユニットの運転状態を示す各種検査項目を圧縮ユニット毎に取得し、圧縮ユニット毎に前記各種検査項目に基づいて異常発生頻度を示す異常パラメータを導出する。そして、異常パラメータが大きい圧縮ユニットほど駆動時間が短くなるように各圧縮ユニットの設定駆動時間Txの比率を変更する。
【選択図】図8
Description
本発明は、複数の圧縮ユニットを備える空調システムに関する。
複数の圧縮ユニットを備える空調システムの制御として特許文献1に記載の技術が知られている。
この種の空調システムでは、負荷に応じて駆動する圧縮ユニットの台数を増減する。例えば、負荷が大きいときには複数の圧縮ユニットを同時駆動し、負荷が小さいときには1台の圧縮ユニットを駆動する。
この種の空調システムでは、負荷に応じて駆動する圧縮ユニットの台数を増減する。例えば、負荷が大きいときには複数の圧縮ユニットを同時駆動し、負荷が小さいときには1台の圧縮ユニットを駆動する。
また、次の理由により低負荷時においては圧縮ユニットを切り換えて駆動している。
低負荷時に駆動する圧縮ユニットが固定されている場合、低負荷時に駆動する圧縮ユニットの積算駆動時間が他の圧縮ユニットの積算駆動時間よりも長くなることから、当該圧縮ユニットは他の圧縮ユニットよりも先に製品寿命に到達する。この結果、低負荷時に駆動する圧縮ユニットの製品寿命に到達したとき、他の圧縮ユニットについては使用可能であるにも拘らず空調システム全体が使用することができなくなる。
低負荷時に駆動する圧縮ユニットが固定されている場合、低負荷時に駆動する圧縮ユニットの積算駆動時間が他の圧縮ユニットの積算駆動時間よりも長くなることから、当該圧縮ユニットは他の圧縮ユニットよりも先に製品寿命に到達する。この結果、低負荷時に駆動する圧縮ユニットの製品寿命に到達したとき、他の圧縮ユニットについては使用可能であるにも拘らず空調システム全体が使用することができなくなる。
このようなことから低負荷のとき、複数の圧縮ユニットを順番に交替して駆動するローテーション制御を実行している。これにより、特定の圧縮ユニットの積算駆動時間が他の圧縮ユニットの積算駆動時間よりも長くなることを抑制している。
圧縮ユニットは種々の要因、例えば、摺動部品の摩擦の増大、脱調、印加電圧および供給電流の異常、過大なサージ電圧等により正常に動作しないことがある。これらの異常は一時的に発生するものが多く、かつ時間経過により解消することが多いため、圧縮ユニットの再起動によりこれらの異常を解消している。
空調システムは、駆動時間に差が生じないように各圧縮ユニットを駆動するため、各圧縮ユニットの経年劣化は同じように進行すると考えられる。しかし、圧縮ユニットの異常発生頻度は個々に異なる。圧縮ユニットを構成する部品寸法ばらつき、圧縮ユニットの冷媒の抜け度合い、金属劣化の進行度合い、異物の混入度合い、潤滑油の劣化度合い、摺動部品の磨耗度合い等について、個々の圧縮ユニットで異なるためである。このため、各圧縮ユニットの時間を等しくする駆動制御を行っても、他の圧縮ユニットより異常を起こしやすい圧縮ユニットが現れることがある。
異常発生頻度が高い圧縮ユニットが存在するとき、圧縮ユニットの再起動の頻度が高くなる。圧縮ユニットの再起動は、空調の一時的な停止を伴うため、空調の快適性が一時的に損なわれる。このようなことから、異常発生頻度の高い圧縮ユニットが存在する場合において空調システム全体の異常発生頻度を抑制することが要求されている。
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、異常発生頻度の高い圧縮ユニットが含まれているときでも空調システムの異常発生頻度を低くすることができる空調システムを提供することにある。
請求項1に記載の発明は、複数の圧縮ユニット(22A,22B,22C)を備え、低負荷時において複数の前記圧縮ユニットをローテーション駆動する空調システム(1)において、前記圧縮ユニットの運転状態を示す各種検査項目を前記圧縮ユニット毎に取得し、前記圧縮ユニット毎に前記各種検査項目に基づいて異常発生頻度を示す異常パラメータを導出し、前記異常パラメータが大きい前記圧縮ユニットほど駆動時間が短くなるように前記各圧縮ユニットの設定駆動時間の比率を変更することを要旨とする。なお、ここで、圧縮ユニットは、少なくとも1台の圧縮機と、圧縮機のモータを制御するモータ制御回路とを含む。
圧縮ユニット(22A,22B,22C)の駆動時間が等しくなるように制御するとき、仮に1台の圧縮ユニットの異常発生頻度が高くなった場合、空調システム(1)の異常頻度も高くなる。このため、空調システム(1)全体が停止する頻度も高くなる。
これに対し、本発明では、圧縮ユニット(22A,22B,22C)についての各種検査項目に基づいて異常パラメータを算出し、異常パラメータが大きい圧縮ユニットほど駆動時間が短くなるように各圧縮ユニットの設定駆動時間(Tx)の比率を変更する。すなわち、異常発生頻度の高い圧縮ユニットの設定駆動時間(Tx)を相対的に短くするため、空調システムの異常発生頻度を低くすることができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の空調システム(1)において、前記各種検査項目の値が設定範囲を超える回数を異常回数とし、前記各種検査項目の前記異常回数の総和を当該圧縮ユニットの前記異常パラメータとして導出することを要旨とする。
この発明によれば、各種検査項目の重みを均等にする。すなわち、各種検査項目の異常発生を予想することは困難であるため、各種検査項目の種類に関係なく重みを同じにして、異常発生の都度、異常パラメータの値を更新して異常パラメータの値に反映させる。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の空調システム(1)において、前記各種検査項目が設定範囲を超える値をとる回数を異常回数とし、前記各種検査項目の重み付け係数を異常係数とし、前記各種検査項目の前記異常回数と前記異常係数との積を異常項とし、前記各種検査項目のうち、前記検査項目が前記設定範囲を超えた後に再び当該検査項目が前記設定範囲を超える可能性が高くなる前記検査項目ほど、当該検査項目に対する前記異常係数を大きい値として、前記各種検査項目の前記異常項の総和を前記圧縮ユニットの前記異常パラメータとして導出することを要旨とする。
この発明では、検査項目が設定範囲を超えた後に当該検査項目が再び設定範囲を超える可能性が高くなる検査項目ほど、当該検査項目に対する異常係数を大きい値とする。すなわち、異常発生を再発させる可能性に応じて圧縮ユニットの設定駆動時間(Tx)を設定するため、各圧縮ユニットの駆動時間について適正化を図ることができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の空調システム(1)において、前記空調システムを管理する外部管理装置(110)と通信する通信装置をさらに備え、前記異常パラメータが増大するとき、前記異常パラメータが増大した旨の情報を前記通信装置が前記外部管理装置(110)に出力することを要旨とする。
この発明によれば、異常パラメータが増大するとき、圧縮ユニットに異常が発生したことを示す情報が当該空調システムから外部管理装置(110)に出力される。これにより、外部の管理者に当該空調システムの異常発生を知らせることができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の空調システム(1)において、前記圧縮ユニットは、少なくとも1つの圧縮機(25)とこの圧縮機(25)のモータを制御するモータ制御回路(23)とを備え、前記圧縮機のロック検出、前記圧縮機のモータの脱調検出、前記モータ制御回路(23)の瞬時過電流検出、前記モータ制御回路(23)の設定周波数における電流異常検出、前記モータ制御回路(23)のスイッチング素子の異常検出、前記モータ制御回路(23)の電源電圧異常検出、前記モータ制御回路(23)の記憶装置異常検出、前記モータ制御回路(23)の非動作検出、前記モータ制御回路(23)の通信不可検出、前記モータ制御回路(23)の部品温度異常検出、前記モータ制御回路(23)のフィン温度センサの異常値検出、前記モータ制御回路(23)の電流センサの異常検出、前記モータ制御回路(23)の電源電圧の異常検出、前記モータ制御回路(23)の電源電圧の相間電圧の異常検出により構成される項目群のうちから選択される少なくとも1つを前記検査項目とすることを要旨とする。
この発明によれば、上記検査項目に基づいて異常パラメータが導かれる。これらの検査項目は圧縮ユニットの運転状態を精確に反映するため、これらの検査項目を用いて変更される各圧縮ユニットの設定駆動時間(Tx)は適正なものとなる。
本発明によれば、異常発生頻度の高い圧縮ユニットが含まれているときでも空調システム全体の異常発生頻度を低くすることができる空調システムを提供することができる。
図1を参照して、複数の部屋の空調を行う空調システム1について説明する。
空調システム1は、複数の室外機20と複数の室内機10とを備えている。本実施形態では、室外機20は3台とされている。
空調システム1は、複数の室外機20と複数の室内機10とを備えている。本実施形態では、室外機20は3台とされている。
室内機10は、熱交換器と電子膨張弁とを含む室内冷媒回路11と、室内冷媒回路11を制御する室内制御装置12とを備えている。
各室外機20は、熱交換器と四路切換弁とを含む室外冷媒回路21と、2台の圧縮機25と、各圧縮機25を制御するインバータ回路23(モータ制御回路)と、インバータ回路23および室外冷媒回路21を制御する室外制御装置24とを備えている。2台の圧縮機25は協働する。すなわち、室外機20が駆動状態にあるとき2台の圧縮機25が駆動する。なお、以降の説明においては、1台の室外機20にある2台の圧縮機25および各圧縮機25のインバータ回路23を含めて圧縮ユニットという。すなわち、圧縮ユニットが駆動するときは室外機20が運転していることと同じ意味である。以降の説明において、各圧縮ユニットについて区別するときは、第1圧縮ユニット22A、第2圧縮ユニット22B、第3圧縮ユニット22Cという。
各室外機20は、熱交換器と四路切換弁とを含む室外冷媒回路21と、2台の圧縮機25と、各圧縮機25を制御するインバータ回路23(モータ制御回路)と、インバータ回路23および室外冷媒回路21を制御する室外制御装置24とを備えている。2台の圧縮機25は協働する。すなわち、室外機20が駆動状態にあるとき2台の圧縮機25が駆動する。なお、以降の説明においては、1台の室外機20にある2台の圧縮機25および各圧縮機25のインバータ回路23を含めて圧縮ユニットという。すなわち、圧縮ユニットが駆動するときは室外機20が運転していることと同じ意味である。以降の説明において、各圧縮ユニットについて区別するときは、第1圧縮ユニット22A、第2圧縮ユニット22B、第3圧縮ユニット22Cという。
各室内機10の室内冷媒回路11と各室外機20の室外冷媒回路21とは冷媒配管30により接続されている。各室内機10の室内冷媒回路11と各室外機20の室外冷媒回路21とは、主冷媒配管30Aに対して並列接続されている。
室外制御装置24のうちの1台は、各室内制御装置12と各室外制御装置24とを統括的に管理する。以下、この室外制御装置24を「統括制御装置24A」という。統括制御装置24Aは、空調システム1外の外部管理装置110と通信する通信装置を備えている。統括制御装置24Aと外部管理装置110とは、情報通信ネットワーク100を介して接続されている。情報通信ネットワーク100としては例えばインターネット、LANシステム等が挙げられる。外部管理装置110は、統括制御装置24Aに記憶された各種のデータにアクセスすることができるアクセス機能を有する。
統括制御装置24Aと室内制御装置12と室外制御装置24とは専用通信回線により接続されている。統括制御装置24Aは、室内制御装置12および室外制御装置24から送られてくる駆動情報および異常情報、または外部管理装置110から送られている指令情報に基づいて室内制御装置12および室外制御装置24を制御する。
統括制御装置24Aは、室内制御装置12と室外制御装置24との関係で次の制御を行う。
第1に、室内機10の駆動状況を確認する。そして、運転している室内機10の台数、各室内機10の負荷等に基づいて圧縮ユニットの駆動台数を決定する。以降の説明では、この制御を「圧縮ユニットの駆動方法の選択処理」という。
第1に、室内機10の駆動状況を確認する。そして、運転している室内機10の台数、各室内機10の負荷等に基づいて圧縮ユニットの駆動台数を決定する。以降の説明では、この制御を「圧縮ユニットの駆動方法の選択処理」という。
第2に、負荷が小さいとき、各圧縮ユニットについてローテーション制御を実行する。ローテーション制御としては、2種類ある。すなわち、圧縮ユニットを1台ずつ順に交替して駆動する第1ローテーション制御と、2台の圧縮ユニットを並行駆動する第2ローテーション制御とがある。
第3に、圧縮ユニットの異常発生時に空調システム1の運転を停止させる。すなわち、圧縮ユニットに関連する各種検査項目に基づいて圧縮ユニットの異常有無判断を行い、異常と判定したときに空調システム1の運転を停止し、その後、空調システム1の運転を再開する。また、圧縮ユニットの異常発生に基づいてローテーション制御における圧縮ユニットの設定駆動時間Txを変更する。
第4に、各圧縮ユニットについて異常発生の回数(以下、異常パラメータ)を数える。そして、各圧縮ユニットについて、異常パラメータが設定値SA以下であるか否かに基づいて空調システム1を異常停止するか否かの判定をする。すなわち、異常パラメータが設定値SAを超えるほど異常が頻発するとき、もしくは空調システム1の長期使用により異常パラメータが設定値SAを超えるとき、空調システム1を停止する。以下、統括制御装置24Aの実行する各種制御について説明する。
図2を参照して、圧縮ユニットの駆動方法の選択処理の手順について説明する。なお、空調システム1の運転中、同処理が統括制御装置24Aにより周期的に実行される。
ステップS10においては、空調システム1に加わる負荷を推定負荷として算出する。具体的には、推定負荷は、運転中の室内機10の台数、各室内機10に加わっている負荷等に基づいて算出される。なお、室内機10について1台当たりの推定負荷は、例えば室内温度と目標設定温度等に基づいて算出される。
ステップS10においては、空調システム1に加わる負荷を推定負荷として算出する。具体的には、推定負荷は、運転中の室内機10の台数、各室内機10に加わっている負荷等に基づいて算出される。なお、室内機10について1台当たりの推定負荷は、例えば室内温度と目標設定温度等に基づいて算出される。
ステップS11においては、推定負荷が第1設定負荷よりも大きいか否かについて判定される。なお、第1設定負荷は、圧縮ユニットを2台駆動したときの能力を超える負荷に相当する。ステップS11で肯定判定されたとき、すなわち推定負荷が第1設定負荷よりも大きいときは、ステップS12において、圧縮ユニットを3台駆動する全圧縮ユニット駆動制御を行うということを決定する。ステップS11において否定判定されたときは次のステップに移行する。
ステップS13においては、推定負荷が第2設定負荷よりも大きいか否かについて判定される。なお、第2設定負荷は、圧縮ユニットを1台駆動したときの能力に相当する。ステップS13で肯定判定されたとき、すなわち推定負荷が第2設定負荷よりも大きいときは、ステップS14において、圧縮ユニットを2台駆動する第2ローテーション制御を行うということを決定する。ステップS13において否定判定されたときは次のステップS15に移行する。ステップS15では、圧縮ユニットを1台駆動する第1ローテーション制御を行うということを決定する。
図3を参照して、第1ローテーション制御について説明する。
第1ローテーション制御では、第1圧縮ユニット22A、第2圧縮ユニット22B、第3圧縮ユニット22Cの順に圧縮ユニットを駆動する。各圧縮ユニットの設定駆動時間Tx(すなわち駆動開始から駆動停止までの駆動時間)は予め時間Taに設定されている。設定駆動時間Txは変更可能とされている。
第1ローテーション制御では、第1圧縮ユニット22A、第2圧縮ユニット22B、第3圧縮ユニット22Cの順に圧縮ユニットを駆動する。各圧縮ユニットの設定駆動時間Tx(すなわち駆動開始から駆動停止までの駆動時間)は予め時間Taに設定されている。設定駆動時間Txは変更可能とされている。
停止状態から駆動状態に切り換わった圧縮ユニットは「親」に指定される。そして、親に指定された圧縮ユニットの次に駆動する順になっている圧縮ユニットは「子1」に指定される。「子1」に指定された圧縮ユニットの次に駆動する順になっている圧縮ユニットは「子2」に指定される。すなわち、「親」は駆動する圧縮ユニットを示す。「子1」と「子2」は、負荷が増大したときに優先して駆動させる圧縮ユニットの順位を示す。「子1」は「子2」よりも優先順位が高い。例えば、「親」の圧縮ユニットが駆動中に負荷が増大したとき、「子1」の圧縮ユニットが駆動開始する。負荷が増大した状態が続くときは、「親」と「子1」が並行駆動する。なお、「親」のみが駆動するとき第1ローテーション制御が実行され、「親」と「子1」が並行駆動する場合は、第2ローテーション制御が実行される。
図4を参照して、第1ローテーション制御処理の手順について説明する。
第1ローテーション制御処理は、第1ローテーション制御の実行中、周期的に実行される。
第1ローテーション制御処理は、第1ローテーション制御の実行中、周期的に実行される。
ステップS20において、所定の圧縮ユニットが駆動開始したとき、計測値としての駆動時間が設定駆動時間Txよりも大きいか否かが判定される。駆動開始時は、駆動時間が「0」であるため、否定判定される。なお、設定駆動時間Txは、例えば、1時間または2時間に設定されている。ステップS20において否定判定されたときは、ステップS21に以降する。
ステップS21においては、圧縮ユニットの運転停止命令があるか否かについて判定される。なお、運転停止命令は、圧縮ユニットについて異常発生があったときに統括制御装置24Aから出される。ステップS21においては肯定判定されたとき、すなわち圧縮ユニットの異常があったときは、当該圧縮ユニットを運転停止する(ステップS22)。
一方、ステップS21において否定判定されたときは、すなわち異常発生がないときは、このフローは一旦終了し、所定時間経過後、再び第1ローテーション制御処理が実行される。ステップS20で否定判定およびステップS21で否定判定が成立するとき、すなわち、圧縮ユニットの駆動時間が設定駆動時間Txを超えず、かつ運転停止命令のないときは、当該圧縮ユニットは駆動し続ける。一方、ステップS20の肯定判定されたとき、すなわち圧縮ユニットの駆動時間が設定駆動時間Txを超えたとき、ステップS23において駆動する圧縮ユニットが切り換えられるとともに、当該運転開始した圧縮ユニットの駆動時間が計測される。
図5を参照して、第2ローテーション制御について説明する。
第2ローテーション制御では、第1圧縮ユニット22Aと第2圧縮ユニット22B、第2圧縮ユニット22Bと第3圧縮ユニット22C、第3圧縮ユニット22Cと第1圧縮ユニット22Aの順に駆動する。2台の圧縮ユニットが駆動しているときは、他の1台の圧縮ユニットは停止する。第2ローテーション制御中は第2ローテーション制御処理が実行される。設定駆動時間Txは時間Tbに設定されている。第2ローテーション制御処理は、第1ローテーション制御処理と同様である。
第2ローテーション制御では、第1圧縮ユニット22Aと第2圧縮ユニット22B、第2圧縮ユニット22Bと第3圧縮ユニット22C、第3圧縮ユニット22Cと第1圧縮ユニット22Aの順に駆動する。2台の圧縮ユニットが駆動しているときは、他の1台の圧縮ユニットは停止する。第2ローテーション制御中は第2ローテーション制御処理が実行される。設定駆動時間Txは時間Tbに設定されている。第2ローテーション制御処理は、第1ローテーション制御処理と同様である。
図6を参照して、「異常検出処理」について説明する。
異常検出処理は、統括制御装置24Aの第3の制御のうち、異常有無の判定を行う処理である。この処理は、空調システム1の起動開始から停止までの期間にわたって周期的に実行される。
異常検出処理は、統括制御装置24Aの第3の制御のうち、異常有無の判定を行う処理である。この処理は、空調システム1の起動開始から停止までの期間にわたって周期的に実行される。
圧縮機25が異常により動かなくなることを抑制するため、予防として、各圧縮機25および各インバータ回路23について次の検査項目が検査されている。すなわち、(1)圧縮機25のロック検出、(2)圧縮機25のモータの脱調検出、(3)インバータ回路23の瞬時過電流検出、(4)インバータ回路23の設定周波数における電流異常検出、(5)インバータ回路23のスイッチング素子の異常検出、(6)インバータ回路23の電源電圧異常検出、(7)インバータ回路23の記憶装置異常検出、(8)インバータ回路23の非動作検出、(9)インバータ回路23の通信不可検出、(10)インバータ回路23の部品温度異常検出、(11)インバータ回路23のフィン温度センサの異常値検出、(12)インバータ回路23の電流センサの異常検出、(13)インバータ回路23の電源電圧の異常検出、(14)インバータ回路23の電源電圧の相間電圧の異常検出を行なう。以下に各検査項目の内容を説明する。
(1)圧縮機25のロック検出は、圧縮機25のモータ位置検出器の値により行う。すなわち、モータの回転角速度と目標回転角速度との差が設定値よりも大きいとき、例えば潤滑油に含まれる異物等によりロータに異常な負荷が加えられている可能性が高いと推定し、これを異常として検出する。
(2)圧縮機25の脱調検出は、圧縮機25のモータの電流および電圧により推定磁束を算出し、推定磁束が設定値よりも大きいとき、これを脱調として検出する。これにより、ロータの回転が止まっていること、若しくはロータの回転が入力信号に対して追従していないことを検出する。
(3)インバータ回路23の瞬時過電流検出は、インバータ回路23に接続されている電力供給配線の電流値に基づいて行われる。すなわち、インバータ回路23に定格を超える電流が流れるとき、IGBT等のスイッチング素子が破壊される可能性があるため、これを抑制する目的で検査されている。例えば、電流値が設定値よりも大きいとき、瞬時過電流異常として検出する。
(4)インバータ回路23の設定周波数における電流異常検出は、雷サージがあったとき、これを異常として検出する。具体的には、インバータ回路23内において、設定範囲の周波数(設定周波数)の電流値を検出する。そして、この電流値が設定値を超えるとき、雷サージである旨判定する。
(5)インバータ回路23のスイッチング素子の異常検出は、スイッチング素子のゲート信号が一定期間にわたってHIGTまたはLOWのいずれか一方に維持されているとき、スイッチング素子が正常に駆動していないと推定し、これを異常として検出する。
(6)インバータ回路23の電源電圧異常検出は、インバータ回路23に接続されている電力供給配線の配線間電圧を検出し、これが設定値よりも大きいとき、これを異常として検出する。これにより、インバータ回路23に過電圧が加わることを抑制する。
(7)インバータ回路23の記憶装置異常検出は、インバータ回路23に接続されている回路基板のEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)の異常を検出する。具体的には、EEPROM内のデータと、このデータのミラーデータとの照合を行い、データにエラーが生じていないかを判定する。なお、記憶装置異常検出は、空調システム1の起動時に行われる。
(8)インバータ回路23の非動作検出は、インバータ回路23が起動しないことを異常として検出する。具体的には、インバータ回路23により形成されるパルス波形を検出し、パルス波形の有無またはパルス形状に基づいて判定する。
(9)インバータ回路23の通信不可検出は、インバータ回路23からの応答がないことを異常として検出する。例えば、室外制御装置24とインバータ回路23との間での通信が不通であるとき、通信不可であると判定する。
(10)インバータ回路23の部品温度異常検出は、インバータ回路23のスイッチング素子等の部品に接触するサーミスタからの出力信号に基づいて電子部品の過温を検出する。電子部品が設定温度よりも大きいとき、過温すなわち異常である旨判定する。
(11)インバータ回路23のフィン温度センサの異常値検出は、インバータ回路23の放熱フィンに接触するサーミスタからの出力信号に基づいて放熱フィンの過温を検出する。放熱フィンが設定温度よりも大きいとき、過温すなわち異常である旨判定する。
(12)インバータ回路23の電流センサの異常検出は、インバータ回路23に接続されている電力供給配線の電流値を検出する電流センサ自体の異常を検出するものである。すなわち、電流センサに流れる電流は、通常では設定範囲内にあるが、電流センサが異常状態になると、設定範囲の上限を超える値または下限よりも小さい値を出力する。この場合、モータを精確に駆動することができなくなる。このため、電流センサの出力値が設定範囲内にないとき、これを異常として検出する。
(13)インバータ回路23の電源電圧の異常検出は、インバータ回路23に接続されている電力供給配線の電圧値に基づいて行われる。すなわち、インバータ回路23に定格を超える電圧が加わるとき、IGBT等のスイッチング素子が破壊される可能性があるため、これを抑制する目的で検査されている。例えば、電圧値が設定値よりも大きいとき、電源電圧の異常として検出する。
(14)インバータ回路23の電源電圧の相間電圧の異常検出は、グランド線と各相との間の電圧を周期的に計測し、この電圧値が設定値よりも小さいとき、電圧不足として検出する。
次に、異常検出処理の手順について説明する。
ローテーションが切り換わったとき、および圧縮ユニットの駆動中、圧縮ユニットに対して「異常検出処理」が実行される。
ローテーションが切り換わったとき、および圧縮ユニットの駆動中、圧縮ユニットに対して「異常検出処理」が実行される。
ステップS30において上記(1)〜(14)の検査が実行される。本実施形態では圧縮ユニットに圧縮機25とインバータ回路23の組が2組あるため、各組について上記(1)〜(14)の検査項目について検査される。
ステップS31において、各検査項目のいずれか一つでも異常があるか否かが判定される。異常があったときは、ステップS32において異常信号が出力される。次に、異常信号の信号出力例を挙げる。
(1)一方の圧縮機25に異常があったときは、この圧縮ユニットに1個の異常があった旨の異常信号が出力される。(2)一方の圧縮機25のインバータ回路23に1つの異常があったときは、この圧縮ユニットに1個の異常があった旨の異常信号が出力される。(3)一方の圧縮機25に2つの異常があったときは、この圧縮ユニットに2個の異常があった旨の異常信号が出力される。(4)両方の圧縮機25に各1つの異常があったときは、この圧縮ユニットに2個の異常があった旨の異常信号が出力される。すなわち、異常の発生した装置に関らず、圧縮ユニットに発生した異常は、それぞれ同じ重みで、異常の回数が「1」として数えられる。
図7を参照して、異常信号があったときの処理すなわち「異常停止処理」の手順について説明する。
なお、この処理は空調システム1の運転中にわたって周期的に実行される。
なお、この処理は空調システム1の運転中にわたって周期的に実行される。
ステップS40において、異常信号の有無が判定される。ステップS40で否定判定されたとき、すなわち異常信号がないときは「異常停止処理」は終了する。ステップS40で肯定判定されたときは、次のステップに移行する。
ステップS41においては、異常のあった圧縮ユニットの運転を停止する。そして、ステップS42において異常パラメータに「1」を加算する。なお、異常パラメータの初期値「0」である。初期値は、空調システム1の出荷時もしくは空調システム1のメンテナンス完了時に設定される。
次に、ステップS43において、異常パラメータが設定値SAよりも大きいか否かを判定する。ステップS43で肯定判定されたとき、すなわち異常パラメータが設定値SAよりも大きいとき、空調システム1を停止し(ステップS46)、異常である旨の報知をする(ステップS47)。報知として、例えば、情報通信ネットワーク100を介して外部管理装置110に異常である旨の通知を出す処理を行う。一方、ステップS43で否定判定されたとき、次のステップに移行する。
ステップS44において、異常パラメータの値に基づいて各圧縮ユニットの設定駆動時間Txを変更する。具体的には、第1ローテーション制御のときの設定駆動時間Txは、(1)式により設定される。第2ローテーション制御のときは、2台の圧縮ユニットが並行駆動するため、(2)式により設定される。
設定駆動時間Tx=Ta/(Pmi+1) … (1)
設定駆動時間Tx=((Tb/(Pmi+1)+Tb/(Pmii+1))/2 …(2)
なお、「Ta」は第1ローテーション制御における設定駆動時間Txの初期値である。「Tb」は第2ローテーション制御における設定駆動時間Txの初期値である。「Pmi」は所定圧縮ユニットの異常パラメータの値を示す。「Pmii」は、「子1」の圧縮ユニットの異常パラメータを示す。
設定駆動時間Tx=((Tb/(Pmi+1)+Tb/(Pmii+1))/2 …(2)
なお、「Ta」は第1ローテーション制御における設定駆動時間Txの初期値である。「Tb」は第2ローテーション制御における設定駆動時間Txの初期値である。「Pmi」は所定圧縮ユニットの異常パラメータの値を示す。「Pmii」は、「子1」の圧縮ユニットの異常パラメータを示す。
次に、ステップS45において、圧縮ユニットを切り換えて、当該圧縮ユニットを駆動する。すなわち、第1ローテーション制御の場合は、異常の発生した圧縮ユニットの次に駆動する順にある圧縮ユニットを駆動する。そして、当該圧縮ユニットの駆動時間を計測する。第2ローテーション制御の場合は、異常の発生した圧縮ユニットの次に駆動する順にある2台の圧縮ユニットを駆動する。そして、当該これら圧縮ユニットの駆動時間を計測する。
図8を参照して、設定駆動時間Txの設定変更後の第1ローテーション制御について説明する。
なお、ここでは、第3圧縮ユニット22Cの異常パラメータの値が1のときの駆動パターンについて説明する。
なお、ここでは、第3圧縮ユニット22Cの異常パラメータの値が1のときの駆動パターンについて説明する。
第1圧縮ユニット22A、第2圧縮ユニット22B、第3圧縮ユニット22Cの順に圧縮ユニットを順に駆動する。各圧縮ユニットは、上記異常停止処理により更新された設定駆動時間Txに基づいて駆動する。第1圧縮ユニット22Aの設定駆動時間Txは初期設定値、すなわち時間Taである。第2圧縮ユニット22Bの設定駆動時間Txは初期設定値、すなわち時間Taである。第3圧縮ユニット22Cの設定駆動時間Txは更新値、すなわち時間Ta/2である。このため、空調システム1の運転時間において第3圧縮ユニット22Cの設定駆動時間Txの比率は、設定変更前の1/3から設定変更後の1/5になる。
図9を参照して、各圧縮ユニットの駆動例を説明する。
なお、図9は、第1ローテーション制御における例である。
図9では、時刻taまでは、第1圧縮ユニット22Aの設定駆動時間Tx、第2圧縮ユニット22Bの設定駆動時間Tx、および第3圧縮ユニット22Cの設定駆動時間Txは等しい。
なお、図9は、第1ローテーション制御における例である。
図9では、時刻taまでは、第1圧縮ユニット22Aの設定駆動時間Tx、第2圧縮ユニット22Bの設定駆動時間Tx、および第3圧縮ユニット22Cの設定駆動時間Txは等しい。
時刻taのとき、異常検出処理により、第3圧縮ユニット22Cにおいて異常が検出される。このとき、統括制御装置24Aにおいて異常信号が形成される。そして、異常停止処理により、異常パラメータPm3の値に「1」が加算され、第3圧縮ユニット22Cの運転が停止する。そして、第3圧縮ユニット22Cの設定駆動時間Txが時間Ta/2に再設定される。このとき、異常パラメータPm3は「1」であり、設定値SAよりも小さいため、異常停止処理のステップS43の判定に基づいて空調システム1の停止は実行されない。このため、ローテーション制御において次の駆動する圧縮ユニット、すなわち第1圧縮ユニット22Aが駆動する。
第1圧縮ユニット22Aは、時間Taにわたって駆動する。次に、第2圧縮ユニット22Bが駆動する。第2圧縮ユニット22Bも時間Taにわたって駆動する。そして、次の親である第3圧縮ユニット22Cが駆動する。第3圧縮ユニット22Cは時間Ta/2にわたって駆動する。以降、このローテーションが繰り返される。
異常パラメータによる設定駆動時間Txの変更に伴う作用について説明する。
圧縮ユニットは、機械的要素の多い圧縮機25を含むため、次の性質を有する。すなわち、異常が発生した圧縮ユニットは、駆動時間が等しくかつ異常発生のない圧縮ユニットに比べて、再び異常が発生する頻度が高くなる。
圧縮ユニットは、機械的要素の多い圧縮機25を含むため、次の性質を有する。すなわち、異常が発生した圧縮ユニットは、駆動時間が等しくかつ異常発生のない圧縮ユニットに比べて、再び異常が発生する頻度が高くなる。
これは、上記にあげた検査項目に関らず、いずれの検査項目についても同じ傾向にある。これら検査項目は互いに影響し合っているためである。例えば、瞬時過電流は、圧縮機25において過大なトルクを発生させている可能性が高い。すなわち、瞬時過電流の異常が発生する場合、圧縮機25のロックが発生する可能性が高くなる。
すなわち、圧縮ユニットの異常発生の確率は、異常発生の回数すなわち異常パラメータPmに従って増大すると考えられる。例えば、圧縮ユニットの異常発生の確率の初期値をPとすると、異常パラメータがPmであるときの異常発生の確率は「(Pm+1)×P」…(3)とおくことができる。
1回のローテーション周期における異常発生確率Pxは(4)式で示される。
Px=P1+P2+P3 … (4)
P1は、第1圧縮ユニット22Aの異常発生確率、P2は第2圧縮ユニット22Bの異常発生確率、P3は第3圧縮ユニット22Cの異常発生確率を示す。
Px=P1+P2+P3 … (4)
P1は、第1圧縮ユニット22Aの異常発生確率、P2は第2圧縮ユニット22Bの異常発生確率、P3は第3圧縮ユニット22Cの異常発生確率を示す。
仮に、第3圧縮ユニット22Cの異常回数をNとすると、空調システムの異常発生確率は(5)式で示される。すなわち、異常発生した履歴のある第3圧縮ユニット22Cを他の圧縮ユニットと同様の時間駆動し続けると、空調システム1全体としての異常発生頻度も高くなる。
Px=P1+P2+(N+1)×P3 … (5)
そこで、本実施形態では、異常発生の回数すなわち異常パラメータの大きさに応じて圧縮ユニットの設定駆動時間Txを短くする。具体的には、上記(1)式で示したように、異常発生した履歴のある第3圧縮ユニット22Cの設定駆動時間TxをTa/(Pm+1)とする。このとき、第3圧縮ユニット22Cの異常発生の確率は、「P3」となる。すなわち、異常発生確率の増大に応じて設定駆動時間Txを短くすることにより、当該圧縮ユニットにおける異常発生確率を異常発生前の確率と同じ値とする。この場合の空調システム1の異常発生確率Pxは、次のようになる。
そこで、本実施形態では、異常発生の回数すなわち異常パラメータの大きさに応じて圧縮ユニットの設定駆動時間Txを短くする。具体的には、上記(1)式で示したように、異常発生した履歴のある第3圧縮ユニット22Cの設定駆動時間TxをTa/(Pm+1)とする。このとき、第3圧縮ユニット22Cの異常発生の確率は、「P3」となる。すなわち、異常発生確率の増大に応じて設定駆動時間Txを短くすることにより、当該圧縮ユニットにおける異常発生確率を異常発生前の確率と同じ値とする。この場合の空調システム1の異常発生確率Pxは、次のようになる。
Px=P1+P2+P3 … (6)
以上により、異常パラメータの大きさに応じて設定駆動時間Txを短くすることにより、設定駆動時間Txの変更前の異常発生頻度に比べて、空調システム1の異常発生頻度を小さくすることができる。
以上により、異常パラメータの大きさに応じて設定駆動時間Txを短くすることにより、設定駆動時間Txの変更前の異常発生頻度に比べて、空調システム1の異常発生頻度を小さくすることができる。
<変形例>
異常パラメータの算出方法の変形例を説明する。
上記実施形態では、異常パラメータの加算に対する重み付けは検査項目の別に拘わらず「1」としているが、変形例では、検査項目によって異常パラメータの加算に対する重み付けを異ならせている。
異常パラメータの算出方法の変形例を説明する。
上記実施形態では、異常パラメータの加算に対する重み付けは検査項目の別に拘わらず「1」としているが、変形例では、検査項目によって異常パラメータの加算に対する重み付けを異ならせている。
すなわち、各種検査項目のうち、検査項目が設定範囲を超えた後に当該検査項目が設定範囲を超える可能性が高くなる検査項目ほど、当該検査項目に対する重みを大きくする。
例えば、異常パラメータPmは次式で与えられる。
例えば、異常パラメータPmは次式で与えられる。
Pm=Σ(K(j)×N(j)) … (7)
・jは、各検査項目に付けられた設定番号を示す。
・K(j)は、設定番号jの検査項目に対する重み付け値(異常係数)を示す。
・N(j)は、設定番号jの検査項目の異常回数を示す。
・K(j)×N(j)は、設定番号jの検査項目について再び異常発生を生じさせる可能性の大きさを示す。K(j)×N(j)を「異常項」という。
・jは、各検査項目に付けられた設定番号を示す。
・K(j)は、設定番号jの検査項目に対する重み付け値(異常係数)を示す。
・N(j)は、設定番号jの検査項目の異常回数を示す。
・K(j)×N(j)は、設定番号jの検査項目について再び異常発生を生じさせる可能性の大きさを示す。K(j)×N(j)を「異常項」という。
異常パラメータPmは、上記式(7)で示されるように、検査項目の異常項についての総和として与えられる。なお、全ての検査項目について異常係数K(j)を1とするとき、上記実施形態の同じ算出方法となる。
この構成では、異常発生を再発させる可能性に応じて圧縮ユニットの設定駆動時間Txを設定する。
異常発生を再発させる可能性の高い検査項目について異常発生があったときは、異常パラメータPmは1よりも大きい値で増大する。このため、異常発生のあった圧縮ユニットの設定駆動時間Txは、より短く設定される。これにより、再発の可能性の高い圧縮ユニットの使用をより少なくするため、当該圧縮ユニットの異常発生の可能性をより小さくすることができる。
異常発生を再発させる可能性の高い検査項目について異常発生があったときは、異常パラメータPmは1よりも大きい値で増大する。このため、異常発生のあった圧縮ユニットの設定駆動時間Txは、より短く設定される。これにより、再発の可能性の高い圧縮ユニットの使用をより少なくするため、当該圧縮ユニットの異常発生の可能性をより小さくすることができる。
異常発生を再発させる可能性の低い検査項目について異常発生があったときは、異常パラメータPmは1よりも小さい値で増大する。このため、異常発生のあった圧縮ユニットの設定駆動時間Txはより長く設定される。これにより、再発の可能性の低い圧縮ユニットの使用をより長くするため、他の圧縮ユニットの設定駆動時間Txの増大分を小さくすることが可能となるため、他の圧縮ユニットの負担を軽減することが可能となる。
本実施形態によれば以下の作用効果を奏することができる。
(1)本実施形態では、異常パラメータが大きい圧縮ユニットほど他の圧縮ユニットに比べて駆動時間が短くなるように各圧縮ユニットの設定駆動時間Txの比率を変更する。
(1)本実施形態では、異常パラメータが大きい圧縮ユニットほど他の圧縮ユニットに比べて駆動時間が短くなるように各圧縮ユニットの設定駆動時間Txの比率を変更する。
圧縮ユニットの設定駆動時間Txを同じ比率とするとき、仮に1台の圧縮ユニットの異常発生率が高くなった場合、空調システム1全体の異常頻度も高くなる。これに対し、上記構成とすることにより、異常発生頻度の高い圧縮ユニットの駆動時間を相対的に短くすることができるため、空調システムの異常発生頻度を低くすることができる。
(2)各種検査項目の異常回数の総和を当該圧縮ユニットの異常パラメータとする。そして、異常パラメータの加算に対する各種検査項目の重みを均等にする。これは、検査項目に関連する物理量は互いに影響しあっているため、異常パラメータに寄与する検査項目の重みは均等である考えられることに基づいている。
(3)一方、変形例のように、各種検査項目の重みを異ならせて異常パラメータを導出することもできる。これによれば、各圧縮ユニットの駆動時間について適正化を図ることができる。
(4)空調システム1を管理する外部管理装置110と通信する通信装置をさらに備えている。通信装置は、異常パラメータが増大した旨の情報を外部管理装置110に出力する。これにより、外部の管理者に当該空調システム1の異常発生を知らせる。
(5)圧縮ユニットは、上記(1)〜(14)の検査項目の異常有無に基づいて異常パラメータを算出する。上記(1)〜(14)検査項目は圧縮ユニットの運転状態を精確に反映する。このため、これらの検査項目の内容が反映された異常パラメータにより変更される各圧縮ユニットの設定駆動時間Txは適正なものとなる。
なお、本発明の実施態様は上記実施形態にて例示した態様に限られるものではなく、これを例えば以下に示すように変更して実施することもできる。また以下の各変形例は、上記実施形態についてのみ適用されるものではなく、異なる変形例同士を互いに組み合わせて実施することもできる。
・上記実施形態では、空調システム1に3台の圧縮ユニットを備えているが、圧縮ユニットの台数は3台に限定されない。すなわち、圧縮ユニットが少なくとも2台以上を備える空調システム1に本発明は適用される。
・上記実施形態では、圧縮ユニットと室外機20とは1対1で対応しているが、次のような構成とすることもできる。例えば、1台の室外機に、独立駆動可能な複数の圧縮ユニットが配置される。これらの圧縮ユニットは、上記実施形態と同様、低負荷時においてローテーション制御される。
・上記実施形態では、圧縮ユニットに2台の圧縮機25が含まれているが、圧縮機25の台数は1台でもよく、また3台以上であってもよい。本発明は、圧縮ユニット毎に設定駆動時間Txを設定変更するものであるため、本発明の適用範囲は、圧縮ユニットに含まれる圧縮機25の台数によっては制限されない。
・上記実施形態では、異常パラメータを導出するための検査項目として、上記(1)〜(14)の検査項目を挙げているが、検査項目としてはこれらに限定されない。また、これらの検査項目のうちいずれか特定のものを選択して、異常パラメータを導出のための検査項目としてもよい。
・上記実施形態では、検査項目について検出値が設定値以上になったこと、すなわち異常検出したときに、異常パラメータの値を増大させているが、異常パラメータの増大の条件は、これに限定されない。例えば、検査項目について、異常判定をするための設定値とは異なる値であって通常許容範囲内のうちの上限または下限に近い第2設定値を設ける。そして、検出値が第2設定値(上限)を超えること、または第2設定値(下限)よりも小さくなることを異常パラメータの増大の条件とすることもできる。このような場合でも、本発明と同様の効果(上記(1)の効果)を得ることができる。
・上記実施形態では、異常発生のある圧縮ユニットについて設定駆動時間Txを短くしているが、異常発生のある圧縮ユニットの設定駆動時間Txを短くせず、他の圧縮ユニットの設定駆動時間Txを長くすることにより設定駆動時間Txの比率を変更してもよい。また、3台の圧縮ユニットのローテーションの期間が変わらないように、異常発生のある圧縮ユニットについて設定駆動時間Txを短くし、かつ他の圧縮ユニットの設定駆動時間Txを長くすることも可能である。
・上記実施形態では、異常パラメータが設定値SAよりも大きい値となったとき、(1)式または(2)式により設定駆動時間Txを変更しているが、設定駆動時間Txの変更方法がこれに限定されない。例えば、変更前の設定駆動時間Txから所定時間を減算した値を変更後の設定駆動時間Txとしてもよい。すなわち、異常発生のある圧縮ユニットの設定駆動時間Txを他の圧縮ユニットの設定駆動時間Txに比べて相対的に短くする処理であれば、如何なる方法でも変更方法として採用することができる。
すなわち、本発明は、空調システム1の駆動時間において、異常発生のある圧縮ユニットの設定駆動時間Txを他の圧縮ユニットの設定駆動時間Txに比べて相対的に短くすることにより、空調システム1全体としての異常発生頻度を低下させる制御を含む。
1…空調システム、10…室内機、11…室内冷媒回路、12…室内制御装置、20…室外機、21…室外冷媒回路、22A…第1圧縮ユニット、22B…第2圧縮ユニット、22C…第3圧縮ユニット、23…インバータ回路、24…室外制御装置、25…圧縮機、30…冷媒配管、30A…主冷媒配管、100…情報通信ネットワーク、110…外部管理装置、Tx…設定駆動時間。
Claims (5)
- 複数の圧縮ユニット(22A,22B,22C)を備え、低負荷時において複数の前記圧縮ユニットをローテーション駆動する空調システム(1)において、
前記圧縮ユニットの運転状態を示す各種検査項目を前記圧縮ユニット毎に取得し、
前記圧縮ユニット毎に前記各種検査項目に基づいて異常発生頻度を示す異常パラメータを導出し、
前記異常パラメータが大きい前記圧縮ユニットほど駆動時間が短くなるように前記各圧縮ユニットの設定駆動時間の比率を変更する
ことを特徴とする空調システム。 - 請求項1に記載の空調システム(1)において、
前記各種検査項目の値が設定範囲を超える回数を異常回数とし、
前記各種検査項目の前記異常回数の総和を当該圧縮ユニットの前記異常パラメータとして導出する
ことを特徴とする空調システム。 - 請求項1に記載の空調システム(1)において、
前記各種検査項目が設定範囲を超える値をとる回数を異常回数とし、
前記各種検査項目の重み付け係数を異常係数とし、
前記各種検査項目の前記異常回数と前記異常係数との積を異常項とし、
前記各種検査項目のうち、前記検査項目が前記設定範囲を超えた後に再び当該検査項目が前記設定範囲を超える可能性が高くなる前記検査項目ほど、当該検査項目に対する前記異常係数を大きい値として、
前記各種検査項目の前記異常項の総和を前記圧縮ユニットの前記異常パラメータとして導出する
ことを特徴とする空調システム。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の空調システム(1)において、
前記空調システムを管理する外部管理装置(110)と通信する通信装置をさらに備え、
前記異常パラメータが増大するとき、前記異常パラメータが増大した旨の情報を前記通信装置が前記外部管理装置(110)に出力する
ことを特徴とする空調システム。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載の空調システム(1)において、
前記圧縮ユニットは、少なくとも1つの圧縮機(25)とこの圧縮機(25)のモータを制御するモータ制御回路(23)とを備え、
前記圧縮機のロック検出、前記圧縮機のモータの脱調検出、前記モータ制御回路(23)の瞬時過電流検出、前記モータ制御回路(23)の設定周波数における電流異常検出、前記モータ制御回路(23)のスイッチング素子の異常検出、前記モータ制御回路(23)の電源電圧異常検出、前記モータ制御回路(23)の記憶装置異常検出、前記モータ制御回路(23)の非動作検出、前記モータ制御回路(23)の通信不可検出、前記モータ制御回路(23)の部品温度異常検出、前記モータ制御回路(23)のフィン温度センサの異常値検出、前記モータ制御回路(23)の電流センサの異常検出、前記モータ制御回路(23)の電源電圧の異常検出、前記モータ制御回路(23)の電源電圧の相間電圧の異常検出により構成される項目群のうちから選択される少なくとも1つを前記検査項目とする
ことを特徴とする空調システム。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2011254333A JP2013108681A (ja) | 2011-11-21 | 2011-11-21 | 空調システム |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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- 2011-11-21 JP JP2011254333A patent/JP2013108681A/ja active Pending
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