JP2020165221A - 建築用柱材 - Google Patents

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綾那 久積
Ayana Hisazumi
綾那 久積
清水 信孝
Nobutaka Shimizu
信孝 清水
佐藤 圭一
Keiichi Sato
圭一 佐藤
知季 小橋
Tomoki KOBASHI
知季 小橋
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Abstract

【課題】中空部における作業性の向上と、柱材としての強度の確保とを、好適に両立できる。【解決手段】建築用柱材10は、平面視で、90度±5度の3個の内角と1個の開口部20とが形成されるように、隣接する側壁板12,14,16,18どうしが結合して設けられた4枚の側壁板12,14,16,18を備え、開口部20は、側壁板12,14,16,18の長手方向全体に亘って延び、開口部20の幅W2は、開口部20の幅W2と同じ方向に沿った最大幅W1の45%以上、かつ、開口部20に位置する側壁板12,14,16,18の厚みの10倍以下である。【選択図】図1

Description

本開示は、建築用柱材に関する。
従来、鉄骨プレハブ住宅等、鉄骨構造を有する建築物中で用いられる柱材として、軽量形鋼の角形鋼管等が、一般的に使用される。角形鋼管は、閉断面構造の建築用柱材であり、座屈耐力や曲げ強度といった、柱材として求められる基本的な強度(構造性能)において優れる一方、内側の中空部を活用することは難しい。中空部を活用できると、例えば、建築用柱材に梁や耐力壁等の他の建築部材を接続する作業を、容易に行うことが可能になる。
柱材の中空部を活用する技術として、例えば特許文献1には、外壁パネル間に設けられ、長手方向全体に亘って延びる切欠き部が外面に設けられた、開断面構造の柱が開示されている。特許文献1の柱は、中空部を有する四角柱状であり、四角柱の側面における1個の角部の領域に切欠き部が形成されることによって、中空部が、外部に連通している。特許文献1では、切欠き部を介して、中空部に断熱材を設けることが可能になるとされている。
実開昭64−12811号公報
ここで、切欠き部のような開口部が柱材の側壁に設けられる場合、開口部の幅が拡がる程、手やボルト締め用の締結工具等を中空部に差し込むことが容易になり、例えば、柱材とベースプレートとの接続作業等の負担が低減する。一方、開口部の幅が拡がり過ぎると、柱材としての強度が低下する懸念がある。
この点、特許文献1では、切欠き部によって中空部における作業が可能になることは開示されているものの、柱材としての強度を確保する点については、何ら検討されていない。すなわち、開口部の幅がどの程度拡がれば、中空部における作業性の向上と、柱材としての強度の確保とを両立できるか、検討されていない。
このため、特許文献1の開断面構造の柱において、例えば、開口部を有さない角形鋼管のような閉断面構造の柱材と同等の強度を確保しようとすると、断面の矩形の縦横の最大寸法を、閉断面構造の柱材の場合より大きくする必要が生じる。結果、柱材及び建築物の設計における制約が大きくなってしまう。一方、矩形の縦横の最大寸法が閉断面構造の柱材と同等の状態で、側面の1個の角部に開口部を形成すると、そのままでは、柱材としての強度が低下する。
本開示は、上記の問題に鑑み、中空部における作業性の向上と、柱材としての強度の確保とを、好適に両立できる建築用柱材を提供することを目的とする。
本開示の第1の態様に係る建築用柱材は、平面視で、90度±5度の3個の内角と1個の開口部とが形成されるように、隣接する側壁板どうしが結合して設けられた4枚の側壁板を備え、開口部は、側壁板の長手方向全体に亘って延び、開口部の幅は、開口部の幅と同じ方向に沿った最大幅の45%以上、かつ、開口部に位置する側壁板の厚みの10倍以下である。
第1の態様では、4枚の側壁板が、90度±5度の3個の内角と1個の開口部とが形成されるように、隣接する側壁板どうしが結合して設けられるため、4枚の側壁板の内側には、開口部からアクセス可能な中空部が形成される。開口部の幅が、開口部の幅と同じ方向に沿った建築用柱材の最大幅の45%以上の場合、中空部における作業性が向上するとともに、例えば、矢弦のような工具を挿入してブレーキ曲げによって建築用柱材を製造することが可能になるため、簡易に製造できる。一方、開口部の幅が、開口部に位置する側壁板の幅の45%未満の場合、中空部における作業性が低下するだけでなく、製造手間がかかる。
また、第1の方向に沿った開口部の幅が、側壁板の厚みの10倍以下であると、断面形状の外縁の縦横の最大寸法が等しい角形鋼管の場合と同等程度以上の断面二次モーメントが確保できる。
本開示によれば、中空部における作業性の向上と、柱材としての強度の確保とを、好適に両立できる建築用柱材を提供できる。
第1実施形態に係る建築用柱材の構成を説明する斜視図である。 第1実施形態に係る建築用柱材の構成を説明する平面図である。 第1実施形態に係る建築用柱材においてボルトの締結位置の他のパターンを説明する平面図である。 第1実施形態に係る建築用柱材の開口部の幅厚比と断面二次モーメントの大きさとの関係を説明する図である。 図5(A)は、第1実施形態に係る建築用柱材を用いた耐力壁の構成を説明する正面図であり、図5(B)は、図5(A)中の5B−5B線断面図である。 第2実施形態に係る建築用柱材の構成を説明する平面図である。 第2実施形態に係る建築用柱材の開口部の幅厚比と断面二次モーメントの大きさとの関係を説明する図である。 図8(A)及び図8(B)は、ウェブがフランジに対して偏心した軽量H形鋼を用いた第2実施形態に係る建築用柱材の製造方法を、(A)→(B)の順に説明する図であり、図8(C)は、ウェブが偏心していない軽量H形鋼のフランジを切断する状態を説明する図である。 第3実施形態に係る建築用柱材の構成を説明する平面図である。 第3実施形態に係る建築用柱材の開口部の幅厚比と断面二次モーメントの大きさとの関係を説明する図である。 図11(A)は、第3実施形態の変形例に係る建築用柱材の構成を説明する平面図であり、図11(B)及び図11(C)は、変形例に係る建築用柱材の製造方法を、開口部が上側に位置するように長手方向を水平にして建築用柱材を配置し、長手方向の端部を正面から見た状態で(B)→(C)の順に説明する図である。 実施例に係る建築用柱材の局部座屈耐力を説明する図である。
以下に本開示の第1〜第3実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一の部分及び類似の部分には、同一の符号又は類似の符号を付している。但し、図面における厚みと平面寸法との関係、各装置や各部材の厚みの比率等は現実のものとは異なる。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判定すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
−第1実施形態−
<建築用柱材の構造>
まず、第1実施形態に係る建築用柱材10を、図1〜図4を参照して説明する。建築用柱材10は、図1に示すように、4枚の鋼製の側壁板12,14,16,18を備える。4枚の側壁板12,14,16,18は、第1の方向X又は第2の方向Yに沿ってそれぞれ設けられている。第1の方向X及び第2の方向Yは、互いに交差する。図1中の左手前側の側壁板12の右端部と、図1中の右手前側の側壁板18の左端部との間には、開口部20が、建築用柱材10の材軸方向(図1中の上下方向)全体に亘って延びるように形成されている。
図2に示すように、4枚の側壁板12,14,16,18の内側には、中空部が形成され、中空部では、90度±5度の3個の内角と1個の開口部20とが形成されている。なお、図2中では、便宜上、中空部の3個の90度±5度の内角の位置に、90度±5度を表すL字状の記号が付されている。また、同様に、図6、図9及び図11(A)中でも、3個の90度±5度の内角の位置に、90度±5度を表すL字状の記号が付されている。
ここで、4枚の側壁板12,14,16,18の結合状態について説明する。図2中の左上の角部では、左側の側壁板12と上側の側壁板14とが結合され、図2中の右上の角部では、右側の側壁板16と上側の側壁板14とが結合されている。また、図2中の右下の角部では、右側の側壁板16と下側の側壁板18とが結合されている。しかし、図2中の左下の角部では、左側の側壁板12と下側の側壁板18とは、結合されていない。
しかし、本開示では、図1及び図2に示したように、1個の角部で側壁板12,18どうしが結合されていなくても、中空部を形成する4枚の側壁板12,14,16,18が平面視で、90度±5度で交差するように配置された状態を「正方形状」又は「長方形状」と表現する。また、後で説明する第2実施形態及び第3実施形態の補剛板のような、中空部の外側又は内側に突出する領域が、開口部20に位置する側壁板12,18に付加的に設けられてもよい。また、「正方形状」とは、厳密に4辺が同じ長さの場合だけでなく、若干の長さの違いが生じていても、実質的に概ね同じ長さと見做せる場合を含む。例えば、4辺のうちのある1辺の長さが、他の1辺の長さに対して±5%以内の長さの違いを有するような場合である。また、「正方形状」及び「長方形状」をまとめて、「四角形状」とも称する。
第1実施形態に係る建築用柱材10の場合、図2中の左下の角部に例示された交点Rの位置では、左側の側壁板12の鉛直な外縁の直線が下側に向かって延長された仮想線と、下側の側壁板18の水平な外縁の直線が左側に向かって延長された仮想線とが交差する。90度±5度の内角を形成して交差する2本の仮想線と、4枚の側壁板12,14,16,18の外縁をなす外側の板面の輪郭とによって、建築用柱材10の外縁の全体形状を、平面視で、概ね同じ長さの四辺を有する正方形状と見做すことが可能である。
正方形状の建築用柱材10では、図2中の上側の側壁板14の水平な外縁の幅と、右側の側壁板16の鉛直な外縁の幅とは、ほぼ等しい。側壁板14の外縁の幅は、建築用柱材10の第1の方向(図2中の左右方向)Xに沿って測った最大幅W1をなす。同様に、側壁板16の外縁の幅は、建築用柱材10の第2の方向(図2中の上下方向)Yに沿って測った最大幅W1をなす。開口部20は、側壁板12の開口端Aと側壁板18の開口端Bとの間に、一定の開口端間隔Lを有して形成される。
また、図2中では、ベースプレート30が、建築用柱材10の下端に溶接等によって接合された場合が例示されている。図示を省略するが、ベースプレート30の中央には、ボルト孔が設けられており、ボルト孔に差し込まれて締結されたボルト32によって、建築用柱材10は、ベースプレート30の下側の基礎等の構造物(図示省略)に固定されている。
図2中のボルト32の周囲には、ボルト32を締結するためのソケットレンチ等の締結工具が備えるソケット34の外縁が、円形状の破線によって例示されている。ボルト32の中心、及び、ソケット34の外縁上の2点C,Dを通る線分CDは、ソケット34の外縁の円の直径に対応する。また、線分CDは、側壁板12の開口端Aと側壁板18の開口端Bとを結ぶ直線と平行である。
建築用柱材10の製造方法としては、例えば、ウェブの両端に、ウェブと交差するフランジがそれぞれ設けられた溝形鋼を用意する。そして、プレスブレーキ等の折り曲げ加工によって、開口部20を形成しつつ、開口部20に例えば矢弦等の工具を差し込んでウェブの中央を約90度±5度に折り曲げることによって、建築用柱材10を得ることができる。折り曲げ加工は、後で説明する第2実施形態に係る建築用柱材10Aの製造方法における折り曲げ加工と同様である(図8(B)参照)。
また、建築用柱材10の他の製造方法としては、例えば、同じ幅の2枚の側壁板14,16と、この2枚の側壁板14,16より短い同じ幅の2枚の側壁板12,18とを用意する。そして、4枚の側壁板12,14,16,18を溶接等により、3箇所で接合して、開口部20を有する建築用柱材10を製造してもよい。なお、プレスブレーキ等、開口部20に矢弦等を差し込んで折り曲げる製造方法を利用するには、「開口率」の条件として、開口部20の幅W2が最大幅W1の45%以上である必要がある。
本開示では、開口部20の「開口率」とは、最大幅W1に対する開口部20の幅W2の比(W2/W1)を意味する。開口率W2/W1は、第1の方向X及び第2の方向Yのそれぞれにおいて算出される。すなわち、第1実施形態では、図2中の下側の側壁板18の左側の開口部20の幅W2と、側壁板18に平行な図2中の上側の側壁板14の幅(最大幅W1)とが、第1の方向Xにおける開口率W2/W1として算出される。また、図2中の左側の側壁板12の下側の開口部20の幅W2と、側壁板12に平行な図2中の右側の側壁板16の幅(最大幅W1)とが、第2の方向Yにおける開口率W2/W1として算出される。
また、開口部20の「幅厚比」とは、開口部20に位置する側壁板12,18の厚みT1に対する開口部20の幅W2の比(W2/T1)を意味する。幅厚比W2/T1も、開口率W2/W1の場合と同様に、第1の方向X及び第2の方向Yのそれぞれにおいて算出される。
また、第1実施形態では、建築用柱材10が、平面視で正方形状であると共に、それぞれ開口部20に位置する側壁板12及び側壁板18は、同じ厚みT1を有する。また、側壁板12側の開口部20の幅W2と、側壁板18側の開口部20の幅W2とは等しい。このため、側壁板12と側壁板18との間の開口端間隔Lは、L=(W2−T1)×(√2)である。
第1実施形態に係る建築用柱材10では、開口率W2/W1は、45%以上に設定されている(0.45≦W2/W1)。同時に、開口部20の幅W2は、側壁板12,18の厚みT1の10倍以下に設定されている(W2/T1≦10)。ただし、最大幅W1に対して厚みT1が小さくなり過ぎると、0.45≦W2/W1、及び、W2/T1≦10が同時に成り立たないため、厚みT1としては、最大幅W1の(9/200)倍以上、すなわち4.5%以上の大きさの値が必要である。第1実施形態における、0.45≦W2/W1、及び、W2/T1≦10の2つの条件は、中空部における作業性の向上と、柱材としての強度の確保とを、好適に両立するために規定されている。加えて、2つの条件は、建築用柱材10Aを製造する際の加工性を向上させるためにも設定されている。
作業性および加工性について、開口率W2/W1が45%以上の場合、中空部における作業性が向上し、ブレーキ曲げ等の簡易な製造方法で加工が可能である。一方、開口率W2/W1が45%未満の場合、中空部における作業性が低下するだけでなく、加工手間が大きくなる。具体的には、中空部の内側でボルト32を締結する際、締結作業者が効率よく締結可能であるように、予定されるボルト32の締結位置、ボルト32の直径及び締結工具の寸法、ブレーキ曲げの矢弦寸法等を考慮して、開口端間隔Lが設定される。
ボルト32の締結位置としては、図2に示したように、ベースプレート30の中央の1箇所であってもよいし、或いは図3に示すように、平面視で、正方形状のベースプレート30の対角線上の2箇所であってもよく、適宜設定できる。例えば、ボルト32及びボルト孔の個数は、3個以上の任意の個数で複数設けられてよい。また、複数のボルト32の締結位置も、対角線上だけに限定されず、対角線上以外の位置であってもよい。なお、図3に示したボルト32の締結位置の場合、開口端間隔Lは、開口部20から最も離間する図2中の右上の角部寄りの位置において、締結作業をする状態を想定して設定することが、効率のよい締結作業を考慮して好ましい。
一方、ボルト32の締結位置を、図2に示したようにベースプレート30の中央の1箇所と設定した場合、検討の結果、効率よく締結可能な開口端間隔Lとしては、ソケット34の直径の2倍程度が好ましいことが分かった。ソケット34の直径は、図2中の線分CDに対応する。例えば、ボルト32としてM16の六角ボルトを使用する際、使用されるソケット34の直径は、32.5mm程度となる。また、本形状をブレーキ曲げで製造するには、開口部20に差し込む矢弦の寸法を考慮して、開口端間隔L(開口端距離)が60mm程度必要であるため、開口端間隔Lが約60mm程度以上であれば、効率のよい締結作業およびブレーキ曲げが可能である。
例えば、最大幅W1が100mm、かつ、厚みT1が3mmの場合、開口率について、0.45≦W2/W1より、開口部20の幅W2は、45mm以上であればよい。また、幅厚比について、W2/T1≦10より、開口部20の幅W2は、50mm以下である必要が生じる。すなわち、開口部20の幅W2は、45mm以上、50mm以下の範囲内で設定される(45≦W2≦50)。そして、開口端間隔Lは、L=(W2−T1)×(√2)、及び、45≦W2≦50より、約59.4mm以上、約66.5mm以下の範囲内で設定される(59.4≦L≦66.5)。
また、ソケット34の直径(線分CD)が32.5mm程度であれば、ソケット34の直径の2倍程度のため、開口端間隔Lは、60mm程度が好ましい。開口端間隔Lが60mm程度であれば、ブレーキ曲げ時の矢弦の寸法に起因する、約60mm程度以上という条件は満たされる。また、開口部20の開口率及び幅厚比の条件が、59.4≦L≦66.5である。以上より、本実施形態では、開口端間隔Lが、少なくとも、59.4≦L≦66.5の範囲内で設定されれば、開口部20の開口率及び幅厚比の条件が満たされているため、中空部における作業性を向上できる。
なお、矢弦の寸法に起因する条件は必須ではないが、矢弦の寸法を考慮して、開口端間隔Lが、60.0≦L≦66.5の範囲内で設定されてもよい。矢弦の寸法に起因する条件が満たされることによって、加工性が向上するという効果を付加できる。また、ソケット34の直径の2倍程度という条件も必須ではないが、ソケット34の直径を考慮して、開口端間隔Lが、65≦L≦66.5の範囲内で設定されてもよい。ソケット34の直径の2倍程度という条件が満たされることによって、中空部におけるソケット34を用いたボルト32の締結作業を滞りなく実施できるという効果を、更に付加できる。
一方、柱材としての強度については、図4に示すように、第1実施形態に係る建築用柱材10を、幅厚比W2/T1を11パターンに変化させて製造し、それぞれの建築用柱材10の断面二次モーメントの大きさを測定した。図4中では、開口部20を有さない閉断面構造の角形鋼管の断面二次モーメントの値(約940000mm)が、参考値として水平な破線で例示されている。測定した建築用柱材10及び角形鋼管の外形寸法は、いずれも約80mm×約80mmであった。すなわち、建築用柱材10の最大幅W1は、約80mmであった。また、角形鋼管の厚みT1は、約3.2mmであった。
図4に示したように、幅厚比W2/T1が10以下であると、測定された最大値の断面二次モーメントが約1200000mmであるように、断面形状の外縁の縦横の最大寸法が等しい角形鋼管の場合と同等程度以上の断面二次モーメントが確保できる。なお、図4中の11個のデータ点のうち最も右側のデータ点から分かるように、この測定では、幅厚比W2/T1が10を超える場合であっても、断面形状の外縁の縦横の最大寸法が等しい角形鋼管の場合と比べ、同等程度の断面二次モーメントが確保できた。図4中の最も右側のデータ点の場合、幅厚比が約13であっても、約930000mmの断面二次モーメントが実現されていると共に、角形鋼管の断面二次モーメントの約930000mmに対し、断面二次モーメントの低下は、約1.1%に抑えられている。
(作用効果)
第1実施形態に係る建築用柱材10では、開口率W2/W1が45%以上、かつ、幅厚比W2/T1が10以下に設定されているため、中空部における作業性の向上と、柱材としての強度の確保とを、好適に両立できる。また、例えばブレーキ曲げ等の折り曲げ加工によって建築用柱材を製造することが可能になるため、簡易に製造できる。
特に、第1実施形態では、開口部20によって、長手方向全体に亘る開断面構造が実現されているため、開口部20を介して、4枚の側壁板12,14,16,18によって囲まれた中空部に、手や締結工具を差し込むことが可能になる。例えば、建築用柱材10を基礎上に設置して固定する際、ベースプレート30の外形寸法を、建築用柱材10の外形寸法と揃えても、中空部を用いてボルト32で接合することが可能である。このため、例えば、ベースプレート30の外縁を建築用柱材10の外側に張り出させることなく、コンパクトに実現できる。また、設置作業の負担も低減する。
また、例えば、建築用柱材10の上側に、異なる柱材や梁等の横架材といった他の建築部材を接続する作業の際、特開2001−27011号に開示されたような、ボルト着脱空間形成用の接続金物を別途用意する必要がない。このため、接続作業の手間および柱材製造時の加工手間を低減できる。具体的には、例えば、建築用柱材10の両端を部分的に切断して端部を分断し、分断した端部の位置に接続金物を溶接する必要がなくなる。また、材軸方向の全長に亘って断面が同じ形状であることで、建築用柱材10の成形時の手間を省力することが可能である。
また、第1実施形態では、4枚の側壁板12,14,16,18は、平面視で、正方形状となるように配置されている。このため、建築現場で柱材として多用される角形鋼管と同様に取り扱うことが可能であり、汎用性に優れる。
<耐力壁>
図5(A)に示すように、第1実施形態に係る建築用柱材10を用いた耐力壁36は、一対の建築用柱材10,10と、一対の支持板36A,36Aと、一対のデバイス接合板36B,36Bと、エネルギ吸収デバイス36Cと、を備える。支持板36Aは、鋼板製部材であり、図5(B)に示すように、建築用柱材10と、ボルト32及びナット33で接合されている。
デバイス接合板36Bは、鋼板製部材であり、デバイス接合板36Bの、対応する建築用柱材10側となる一方の板面には、支持板36Aの建築用柱材10と反対側の端面が溶接されている。なお、支持板36A及びデバイス接合板36Bは、H形鋼を用いて一体的に構成されてもよい。デバイス接合板36Bの他方の板面には、エネルギ吸収デバイス36Cが、ボルト締めによって、接合されている。なお、溶接等、ボルト締め以外の接合方法が用いられてもよい。
エネルギ吸収デバイス36Cは、例えば、U字状に湾曲された鋼板製部材であり、図5(A)中では、合計4個のエネルギ吸収デバイス36Cが、U字の開口部を対向させて上下方向に隙間を開けて配置された場合が例示されている。上下一組のエネルギ吸収デバイス36C,36Cは、図5(A)中の左右に設けられたデバイス接合板36Bによって支持されている。地震時、耐力壁に地震のエネルギが入力されると、エネルギ吸収デバイス36Cが変形することで、エネルギが吸収される。
なお、エネルギ吸収デバイスはここで記載するU字状のものに拘らず、エネルギ吸収可能な機構であれば、問題なく使用できる。さらに、デバイスを設ける際のデバイスの個数や支持板36Aの形状は例示したものと異なってもよい。さらに、デバイスを設ける際のデバイスの個数や支持板36Aの形状は例示したものと異なってもよい。また、エネルギ吸収デバイス36Cの素材としては、鋼製だけでなく、粘弾性を有する素材であってもよい。
(作用効果)
第1実施形態に係る建築用柱材10を用いた耐力壁36では、建築用柱材10に開口部20が設けられているため、建築用柱材10と支持板36Aとをボルト締めする際、開口部20によって建築用柱材10の中空部に手や締結工具を差し込むことが可能になる。この点、例えば、角形鋼管を柱材として用いた耐力壁の場合、角形鋼管を閉鎖断面とする前に、角形鋼管の内壁面上で支持板36Aとボルト締めする位置に、タップ等でネジ溝を設けた接続部材を予め溶接等によって接合しておく必要が生じる。
一方、第1実施形態に係る耐力壁36では、建築用柱材10の内壁面上に接続部材を接合する必要がないため、角形鋼管を柱材として用いた耐力壁の場合と比べ、支持板36Aとのボルト締め作業を容易に行うことが可能になる。また、図5(B)のように一対の建築用柱材10,10を、中央のエネルギ吸収デバイス36Cを中心として、点対称に配置するだけでなく、中央のエネルギ吸収デバイス36Cに対して左右対称(線対称)に配置しても構わない。さらに、支持板36Aへのボルト32の挿入方向については、図5(B)に示すように建築用柱材10の開口部20からボルトを挿入しても、建築用柱材10の外から挿入しても問題ない。
−第2実施形態−
<建築用柱材の構造>
次に、第2実施形態に係る建築用柱材10Aを、図6〜図8を参照して説明する。図6に示すように、第2実施形態に係る建築用柱材10Aは、4枚の側壁板12,14,16,18が、平面視で、正方形状に配置され、内側に中空部を有する点は、第1実施形態に係る建築用柱材10と同様である。また、正方形の4個の角部に対応する位置に、90度±5度の3個の内角が形成されると共に、開口部20が、建築用柱材10Aの長手方向全体に亘って延びるように形成される点も、第1実施形態に係る建築用柱材10と同様である。しかし、第2実施形態では、鋼製の補剛板13,17が、開口部20に位置する一対の側壁板12,18のそれぞれに設けられている点が、第1実施形態の場合と異なる。
補剛板13,17は、側壁板12,18のそれぞれと連続し、側壁板12,18の開口部20と反対側の端部から中空部の外側に向かって突出する。図示を省略するが、補剛板13,17の長手方向の長さは、側壁板12,18の長手方向の長さと等しい。
補剛板13,17の厚みT1は、側壁板12,18の厚みT1と等しい。図6中の左上の補剛板13は、隣接する側壁板12と同一直線上において鉛直に延び、補剛板13の板面と側壁板12の板面とは、面一である。また、図6中の右下の補剛板17は、隣接する側壁板18と同一直線上において水平に延び、補剛板17の板面と側壁板18の板面とは、面一である。
第2実施形態では、建築用柱材10Aの最大幅W1は、補剛板13,17の開口部20と反対側の端部から、交点Rまでの長さである。第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、開口率W2/W1が45%以上、かつ、幅厚比W2/T1が10以下に設定されている。
図6中には、上側の側壁板14の上下方向の中央を通って、水平に延びる中心線Eが例示されている。中心線Eは、図6中の左上の補剛板13と、補剛板13に連続する側壁板12とを分ける。また、図6中には、左上の補剛板13の上端面から中心線Eまでの間を第2の方向Yに沿って測った長さW3が、例示されている。そして、補剛板13及び側壁板12を一枚の平板状に一体化された側壁部(12,13)と見做した際、平面視で、中心線Eは、側壁部(12,13)の図2中の上下方向の中心ではなく、中心より上側に位置している。
同様に、図6中の右下においても、右側の側壁板16の中心線(図示省略)を設定すると共に、補剛板17及び側壁板18を一体化された側壁部(17,18)と見做した際、平面視で、中心線は、側壁部(12,13)の左右方向の中心から右側に偏心している。すなわち、開口部20に位置する一対の側壁板12,18の間に挟まれた2枚の側壁板14,16の中心は、それぞれ結合する側壁部の幅方向の中心に対して、偏心して設けられている。なお、本開示では、中心線Eの偏心は、必須ではない。
また、開口部20に位置する一対の側壁板12,18の厚みT1は、一対の側壁板12,18の間に位置する残る2枚の側壁板14,16の厚みT2より厚い。このように、本開示では、開口部20に位置する一対の側壁板の厚みと、他の2枚の側壁板の厚みとを異ならせてもよい。第2実施形態に係る建築用柱材10Aの他の構成については、第1実施形態に係る建築用柱材10における同名の部材とそれぞれ等価であるため、重複説明を省略する。
第2実施形態においても中空部における作業性については、第1実施形態の場合と同様に、開口率W2/W1が45%以上の場合、作業性および加工性が向上する。一方、開口率W2/W1が45%未満の場合、中空部における作業性および加工性が低下する。また、柱材としての強度の確保については、図7に示すように、第2実施形態に係る建築用柱材10Aを、幅厚比W2/T1を9パターンに変化させて製造し、それぞれの建築用柱材10Aの断面二次モーメントの大きさを測定した。
図7中では、開口部20を有さない閉断面構造の角形鋼管の断面二次モーメントの値(約940000mm)が、参考値として水平な破線で例示されている。測定した建築用柱材10A及び角形鋼管の外形寸法は、いずれも約80mm×約80mmであった。すなわち、建築用柱材10Aの最大幅W1は、約80mmであった。また、角形鋼管の厚みT1は、約3.2mmであった。
図7中、データ点F1の断面二次モーメントの値は、約820000mmである。データ点F1は、幅厚比W2/T1が10となる位置に描かれた破線状の縦線と交わる。このため、第2実施形態の場合、幅厚比W2/T1が10以下であると、断面形状の外縁の縦横の最大寸法が等しい角形鋼管の場合と比べ、断面二次モーメントの低下は、12%程度に抑えられ、角形鋼管の場合と概ね同等程度の性能を有している。また、幅厚比W2/T1が8以下であると、断面二次モーメントの値は、約940000mm以上であるため、断面形状の外縁の縦横の最大寸法が等しい角形鋼管の場合と同等以上の断面二次モーメントが確保できる。
(作用効果)
第2実施形態に係る建築用柱材10Aによれば、第1実施形態の場合と同様、開口率W2/W1が45%以上、かつ、幅厚比W2/T1が10以下に設定されているため、中空部における作業性の向上と、柱材としての強度の確保とを、好適に両立できる。
また、第2実施形態では、補剛板13,17が、側壁板12,18のそれぞれに連続し、側壁板12,18の開口部20と反対側の端部から中空部の外側に向かって突出するように設けられている。このため、建築用柱材10Aの圧縮強度等が高められ、柱材としての強度を一層向上できる。第2実施形態に係る建築用柱材10Aの他の効果については、第1実施形態の場合と同様である。
<建築用柱材の製造方法>
次に、第2実施形態に係る建築用柱材10Aの製造方法を説明する。まず、図8(A)に示すように、ウェブ22及び一対のフランジ24,26を有する軽量H形鋼10A1を用意する。軽量H形鋼10A1では、ウェブ22が、フランジ24,26の中心(図8(A)中の左右方向の中心)に対して偏心して取り付いている。
次に、図8(B)に示すように、ウェブ22の中央部を、折り曲げ加工装置である下型40の凹部40A内に配置する。凹部40Aは、図8(B)中の上側に開口すると共に、下側に向かって窄んでいる。凹部40Aの左右で対向する一対の傾斜面は、凹部40Aの先端の位置で交差している。
そして、折り曲げ加工用の上型42を開口部20に差し込むと共にウェブ22の中央部に対して押し込み、上側から力を加えることによって、凹部40Aの傾斜面に沿って、ウェブ22の中央部を材軸方向全体に亘って、約90度±5度で折り曲げる。折り曲げの際、第1フランジ部12P,18Pの間には、隙間が形成される。
折り曲げ加工によって、図8(A)中の軽量H形鋼10A1でウェブ22の左側に位置していた第1フランジ部12P,18Pが、建築用柱材10Aの側壁板12,18として機能する。また、図8(A)中の軽量H形鋼10A1でウェブ22の右側に位置していた領域が、補剛板13,17として機能する。
第1フランジ部12P,18Pの間の隙間は、開口部20として機能する。また、本製造方法を利用するには開口部20の幅W2が最大幅W1の45%以上である必要がある。また、開口端間隔Lが60mm程度以上であれば、一般に多用される公知の上型42をそのまま活用できるため、有効である。以上の工程によって、第1実施形態に係る建築用柱材10Aを製造できる。
また、図8(C)に示すように、ウェブ22が、偏心しておらず、フランジ24,26の中心に取り付く軽量H形鋼10A2を使用することもできる。図8(C)中の軽量H形鋼10A2の上側のフランジ24は、第1フランジ部12P及び第2フランジ部13Pを有する。また、図8(C)中の下側のフランジ26は、第1フランジ部18P及び第2フランジ部17Pを有する。図8(C)中の一対のフランジ24,26は、左右方向に沿って同じ幅(フランジ幅)を有する。ウェブ22が偏心していない軽量H形鋼10A2を使用する場合、例えば、図8(C)中でウェブ22を挟んだ左右いずれか一方側に位置するフランジ部を切断すれば、建築用柱材10Aを製造することができる。
具体的には、例えば、図8(C)中の鉛直な破線で示すように、ウェブ22の右側に位置する第2フランジ部13P,17Pを、それぞれウェブ22寄りの領域を部分的に残しつつ、切断する。切断によって、ウェブ22が、フランジ24,26の幅方向の中心に対し、右側に偏心する。なお、本開示では、ウェブ22が、一方側(図8(A)中の左側)に偏心するように切断されてもよい。そして、図8(B)に示した場合と同様に、切断した軽量H形鋼10A2を折り曲げれば、第1実施形態に係る建築用柱材10Aを得ることができる。
なお、建築用柱材10Aの製造方法としては、図8中で例示したようなH形鋼の折り曲げ加工に限定されず、例えば、4枚の鋼板を、開口部20を有するように、溶接等により隣接する側壁板が交差するように接合する方法も採用できる。
(作用効果)
第2実施形態に係る建築用柱材10Aの製造方法によれば、1本の軽量H形鋼に対して折り曲げ加工を施すだけで、建築用柱材10Aを得ることが可能になる。このため、例えば、4枚の側壁板12,14,16,18及び補剛板13,17を溶接する場合に比べ、加工負担が小さく、建築用柱材10Aを容易に製造できる。なお、第2実施形態では、軽量H形鋼を用いた建築用柱材10Aの製造方法を例示的に説明したが、本開示ではこれに限定されない。例えば軽量H形鋼より幅の広いH形鋼や厚みが厚いH形鋼等、軽量H形鋼以外のH形鋼を用いて、建築用柱材10Aを製造してもよい。
また、通常、低層住宅等に使用される建築用柱材として流通する角形鋼管の寸法は、75mm×75mm、80mm×80mm、90mm×90mm、100mm×100mm等、寸法のパターンが、数個で固定されている。このため、角形鋼管の場合、調達の際の寸法自由度が低い。一方、第2実施形態に係る建築用柱材10Aの製造方法の場合、軽量H形鋼を使用して建築用柱材10Aを容易に製造できるため、製品としての寸法の可変性が高い。このため、建築物の構造に適合するように柱材の形状を自由に実現できる。
−第3実施形態−
<建築用柱材の構造>
次に、第3実施形態に係る建築用柱材10Bを、図9及び図10を参照して説明する。図9に示すように、第3実施形態に係る建築用柱材10Bは、4枚の側壁板12,14,16,18が、平面視で、正方形状に配置され、内側に中空部を有する点は、第1実施形態に係る建築用柱材10と同様である。
また、正方形の4個の角部に対応する位置に、90度±5度の3個の内角が形成されると共に、開口部20が、建築用柱材10Bの長手方向全体に亘って延びるように形成される点も、第1実施形態に係る建築用柱材10と同様である。また、第3実施形態では、補剛板11,19が、側壁板12,18のそれぞれに連続して設けられている点は、第2実施形態に係る建築用柱材10Aと同様である。しかし、第3実施形態では、鋼製の補剛板11,19が、側壁板12,18に設けられている点が、第2実施形態の場合の補剛板13,17と異なる。
補剛板11,19は、側壁板12,18の開口部20側の端部から中空部の内側に向かって突出する。補剛板11,19の長手方向の長さは、側壁板12,18の長手方向の長さと等しい。また、補剛板11,19の厚みT1は、側壁板12,18の厚みT1と等しい。図9中の左上の補剛板11は、一定の幅W4を有し、隣接する側壁板12と交差して水平に延びる。また、図6中の右下の補剛板19も、同様に、一定の幅W4を有し、隣接する側壁板18と交差して鉛直に延びる。第3実施形態では、開口部20は、補剛板11の開口端Aと補剛板19の開口端Bとの間に、一定の開口端間隔Lを有して形成される。
第3実施形態では、建築用柱材10Bの最大幅W1は、第1実施形態の場合と同様に、図9中の上側の側壁板14及び右側の側壁板16の幅と同じである。側壁板14,16は、開口部20に位置する一対の側壁板12,18の間に挟まれている。第3実施形態においても、開口率W2/W1が45%以上、かつ、幅厚比W2/T1が10以下に設定されている。第3実施形態に係る建築用柱材10Bの他の構成については、第1実施形態に係る建築用柱材10における同名の部材とそれぞれ等価であるため、重複説明を省略する。
第3実施形態においても中空部における作業性については、第1及び第2実施形態の場合と同様に、開口率W2/W1が45%以上の場合、作業性および加工性が向上する。一方、開口率W2/W1が45%未満の場合、中空部における作業性および加工性が低下する。また、柱材としての強度の確保については、図10に示すように、第3実施形態に係る建築用柱材10Bを、幅厚比W2/T1を16パターンに変化させて製造し、それぞれの建築用柱材10Bの断面二次モーメントの大きさを測定した。
図10中では、開口部20を有さない閉断面構造の角形鋼管の断面二次モーメントの値(約940000mm)が、参考値として水平な破線で例示されている。測定した建築用柱材10B及び角形鋼管の外形寸法は、いずれも約80mm×約80mmであった。すなわち、建築用柱材10Bの最大幅W1は、約80mmであった。また、角形鋼管の厚みT1は、約3.2mmであった。
図10中、データ点F2の断面二次モーメントの値は、約870000mmである。また、図10中、データ点F2の左側に隣接し、重なった2個のデータ点の断面二次モーメントの値も、約870000mmである。データ点F2は、幅厚比W2/T1が10である位置に描かれた破線状の縦線と交わる。このため、第3実施形態の場合、幅厚比W2/T1が10以下であると、断面形状の外縁の縦横の最大寸法が等しい角形鋼管の場合と比べ、断面二次モーメントの低下は、7%程度であり、角形鋼管の場合と概ね同等程度の性能を有している。また、幅厚比W2/T1が8以下であると、断面二次モーメントの値は、約940000mm以上であるため、断面形状の外縁の縦横の最大寸法が等しい角形鋼管の場合と同等以上の断面二次モーメントが確保できる。
(作用効果)
第3実施形態に係る建築用柱材10Bによれば、第1実施形態の場合と同様、開口率W2/W1が45%以上、かつ、幅厚比W2/T1が10以下に設定されているため、中空部における作業性の向上と、柱材としての強度の確保とを、好適に両立できる。
また、第3実施形態では、補剛板11,19が、側壁板12,18のそれぞれに連続し、側壁板12,18の開口部20側の端部から中空部の内側に向かって突出するように設けられている。このため、第2実施形態の場合と同様、建築用柱材10Bの圧縮強度等が高められることによって、柱材としての強度を一層向上できる。すなわち、本開示では、補剛板は、中空部の外側及び内側のどちらに向かって突出しても、柱材としての強度向上に寄与する。第3実施形態に係る建築用柱材10Bの他の効果については、第1実施形態の場合と同様である。
なお、図示を省略するが、本開示の補剛板の壁面は、第3実施形態の補剛板11,19のように、平坦である必要はない。本開示では、例えば、側壁板12,18との結合部と反対側の端部であって側壁板12,18に固定されていない側の端部が、側壁板12,18側に近づくように、さらに内側に折り曲げられた場合も含まれ得る。具体的には、例えば、補剛板11,19を約90度で折り曲げることによって、平面視でL字状に表れる場合や、約180度で折り曲げることによって、平面視でU字状に表れる場合が含まれる。
<変形例>
図1〜図10中に例示された建築用柱材10,10A,10Bでは、4枚の側壁板12,14,16,18が隣接する側壁板どうしで結合し、側壁板の外縁及び外縁を延長した仮想線を含めた全体の形状が、平面視で「正方形状」又は「長方形状」であった。しかし、本開示では、これに限定されず、図11(A)に示す第3実施形態の変形例に係る建築用柱材10Cのように、隣接する側壁板14,16間に、面取り部のようなテーパー領域15が設けられてもよい。
なお、本開示では、テーパー領域15に替えて、平面視で、外側に膨らむように湾曲した領域等が、4枚の側壁板の間に設けられてもよい。すなわち、平面視で、隣接する二辺が交差するように4枚の側壁板が配置されており、4枚の側壁板の間に、テーパー領域15や湾曲した領域といった中間領域が設けられていても、全体の外縁形状が、実質的に正方形状又は長方形状であると見做せればよい。中間領域の第1の方向X又は第2の方向Yに沿った幅は、例えば、最大幅W1の側壁板14,16の幅の50%以内であれば、建築用柱材を平面視で正方形状又は長方形状と見做すことが可能である。中間領域の幅が、最大幅W1の50%以内の場合、ボルト接合の際、中間領域を除く側壁板14,16の平坦な板面の領域を用いて、ボルトを安定的に締結できる。
変形例に係る建築用柱材10Cの製造方法としては、まず、図11(B)に示すように、ウェブ28、一対のフランジ(側壁板12,18)及び一対のフランジの端部にそれぞれ設けられたリップ(補剛板11,19)を有するリップ溝形鋼10C1を用意する。そして、リップ溝形鋼10C1を、折り曲げ加工用の下型50の凹部50A内に配置する。
凹部50Aは、図11(B)中の上側に開口すると共に、下側に向かって窄む。凹部50Aの左右には、対向する一対の傾斜面が設けられ、傾斜面は、平坦な底面と約135度の交差角度をなして、連続している。すなわち、凹部50Aは、上底が下底より長い等脚台形状である。また、折り曲げ加工用の上型52において、リップ溝形鋼10C1に接触する下面の形状は、凹部50Aの底面に応じて平坦である。
次に、上型52をリップ溝形鋼10C1のウェブ28の中央部に近接させる。そして、図11(C)に示すように、上型42をウェブ28の中央部に対して押し込み、上側から力を加えることによって、ウェブ28の中央部を、長手方向全体に亘って、凹部50Aの傾斜面に沿って屈曲させる。ウェブ28の中央部は、凹部50Aの一対の傾斜面及び底面の形状によって、約45度の内角を有するように2箇所で折り曲げられる。
屈曲後、ウェブ28の2箇所の屈曲位置に挟まれた領域は、テーパー領域15(図11(A)参照)として機能する。また、テーパー領域15の両側に位置する領域が、側壁板14,16として機能する。以上の工程によって、変形例に係る建築用柱材10Cを製造できる。
次に、図1に示した第1実施形態に係る建築用柱材10の第1実施例、及び、図6に示した第2実施形態に係る建築用柱材10Aの第2実施例の構造性能としての局部座屈耐力(圧縮強度)を説明する。第1実施例及び第2実施例は、平面視で、正方形状である。また、比較例として、平面視で、正方形状であって、開口部20を有さない閉断面構造の角形鋼管を用意した。
第1実施例の最大幅W1は、約75mmであった。第2実施例の最大幅W1は、約89.4mmであった。比較例の最大幅W1は、約75mmであった。また、開口部20を有する第1実施例及び第2実施例では、開口率W2/W1がいずれも約46.7%であると共に、幅厚比W2/T1がいずれも約8.75であるように、建築用柱材10,10Aを構成した。なお、第1実施例、第2実施例及び比較例で、比較した局所におけるそれぞれの断面の断面積は、約920mm〜約990mmの範囲内であり、概ね同程度である。そして、それぞれについて、有限帯板法(Finite Strip Method,FSM)を実施し、局部座屈耐力を算出した。
図12に示すように、第1実施例の座屈耐力の値は、約1480MPaであり、比較例の座屈耐力の値(約1250MPa)の約1.18倍であった。また、第2実施例の座屈耐力の値は、約1740MPaであり、比較例の座屈耐力の値の約1.39倍であった。実施例によって、第1実施形態に係る建築用柱材10及び第2実施形態に係る建築用柱材10Aでは、比較例と比べ、座屈耐力が向上したことが確認できた。
<その他の実施形態>
本開示は上記の開示した実施の形態によって説明したが、この説明は、本開示を限定するものではない。本開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかになると考えられるべきである。例えば、第1〜第3実施形態では、4枚の側壁板が、平面視で、正方形状に配置された場合が例示されたが、本開示では、これに限定されず、4枚の側壁板が長方形状に配置されてもよい。
また、本開示では、柱材とは建築用柱材だけでなく、耐力壁の縦枠材も含まれる。すなわち、開口部からアクセス可能な中空部を有する柱材であれば、本開示は、部材の名称に限定されない。また、図1〜図12中に示した構成を部分的に組み合わせて、本開示に係る建築用柱材を構成することもできる。本開示は、上記に記載していない様々な実施の形態等を含むと共に、本開示の技術的範囲は、上記の説明から妥当な特許請求の範囲の発明特定事項によってのみ定められるものである。
10,10A〜10C 建築用柱材
12,14,16,18 側壁板
20 開口部
T1,T2 側壁板の厚み
W1 最大幅
W2 開口部の幅
X 第1の方向
Y 第2の方向

Claims (2)

  1. 平面視で、90度±5度の3個の内角と1個の開口部とが形成されるように、隣接する側壁板どうしが結合して設けられた4枚の側壁板を備え、
    前記開口部は、前記側壁板の長手方向全体に亘って延び、
    前記開口部の幅は、前記開口部の幅と同じ方向に沿った最大幅の45%以上、かつ、前記開口部に位置する前記側壁板の厚みの10倍以下である、
    建築用柱材。
  2. 4枚の前記側壁板は、平面視で、正方形状に配置されている、
    請求項1に記載の建築用柱材。
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