JP2020164739A - ポリ乳酸系延伸シート、フィルム用カッター刃、ポリ乳酸系延伸シートの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ポリ乳酸系延伸シート、フィルム用カッター刃、ポリ乳酸系延伸シートの製造方法を提供する。【解決手段】本発明のポリ乳酸系延伸シートは、ポリ乳酸系樹脂(A)とポリスチレン系共重合樹脂(B)を含む樹脂組成物からなるマット層(I)を有する単層のポリ乳酸系延伸シート、または、前記マット層(I)を少なくとも一方の表面層に有する積層のポリ乳酸系延伸シートであり、前記樹脂組成物中にポリ乳酸系樹脂(A)は、主成分として含み、ポリスチレン系共重合樹脂(B)は、メタクリル酸メチル成分を含む。【選択図】なし
Description
本発明は、ポリ乳酸系樹脂を主成分とするポリ乳酸系延伸シートであって、シートの剛性と滑り性を両立しつつ、シート厚が大きくても延伸性が良好なポリ乳酸系延伸シート、このポリ乳酸系延伸シートを用い、ラップフィルムの巻戻りを抑制し、かつ、厚手に製膜できる特徴を有するフィルム用カッター刃、並びにポリ乳酸系延伸シートの製造方法に関する。
プラスチックは、我々の生活においてあらゆる分野に浸透しており、全世界の年間生産量が2億トン以上にも達している。プラスチックは、大半が使用後廃棄されており、これが地球環境を乱す原因の一つとして認識されてきた。そのため、プラスチックは、枯渇性資源の有効活用が近年重要視され、再生可能資源の利用が重要となっている。現在、プラスチックの再生可能資源の利用の解決策として最も注目されているのは、植物由来プラスチックの利用である。植物由来プラスチックは、非枯渇資源を利用し、プラスチック製造時における枯渇性資源の節約を図ることができる。植物由来プラスチックの中でも、特に、ポリ乳酸系樹脂は、澱粉の発酵により得られる乳酸を原料とし、化学工学的に量産可能であり、かつ、透明性や剛性が優れていることから、ポリスチレンやポリエチレンテレフタレートなどの代替材料としての展開が期待されている。さらに、ポリ乳酸系樹脂は、廃棄のしやすさと、剛性に優れている特徴から、フィルム用カッター刃のように、金属材料の代替材料としても用途展開が期待されている。
ラップフィルムやアルミホイル、クッキングシート等の薄膜フィルムは、紙筒等に巻かれた巻回体として紙製の収納箱(カートン)内に収納され、必要な時に必要な長さが収納箱から引き出され、紙製収納箱に取り付けられた鋸刃状フィルム用カッター刃で切断されて使用される。
プラスチック製のフィルム用カッター刃には、フィルムのカット性、耐久性、さらにフィルムとの滑り性が求められる。この理由は、薄膜フィルム、例えば、ラップフィルムを収容する収納箱において、切断後のラップフィルムの先端部がフィルム用カッター刃の表面に密着し、蓋体の開放時に容器内に入り込む、いわゆる巻戻り現象を防止するためである。この巻戻り現象が発生すると、ラップフィルム先端部が収納箱内のラップフィルムの巻回体の周面に張り付くため、次回使用時にラップフィルム先端部を取り出すことが困難になる。ポリ乳酸系樹脂を主成分としたフィルム用カッター刃では、特に使用を繰り返すことにより巻戻り現象の発生が顕著になり、使用上不都合を生じる場合があった。
この課題の解決を検討した例が特許文献1である。特許文献1では、マット層のポリ乳酸系樹脂に所定の貯蔵弾性率を有する非相溶樹脂を所定割合配合することで、マット層の表面を粗面化し、ラップフィルムとの滑り性を最適化することによって、巻き戻り現象を抑制できるフィルム用カッター刃が提案されている。
しかしながら特許文献1では、ポリ乳酸系樹脂にポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂などを添加して、表面を粗面化し、ラップフィルムとの滑り性を最適化させているが、特許文献1に開示されているポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂などは、ポリ乳酸系樹脂に非相溶な樹脂であるので、シートの延伸工程で破断しやすくなるという懸念があった。
さらに、ラップフィルムとのカット性を向上させるために、シートの剛性を高める必要があり、フィルム用カッター刃に用いるポリ乳酸系シートの厚さを大きくすることが好ましい。しかし、シートの厚さが大きくなるほど、前述の延伸工程で破断しやすくなるという問題が顕著となってきた。
さらに、ラップフィルムとのカット性を向上させるために、シートの剛性を高める必要があり、フィルム用カッター刃に用いるポリ乳酸系シートの厚さを大きくすることが好ましい。しかし、シートの厚さが大きくなるほど、前述の延伸工程で破断しやすくなるという問題が顕著となってきた。
本発明は、シートの剛性と滑り性を両立しつつ、シートの厚さが大きくても延伸性が良好なポリ乳酸系延伸シート、このポリ乳酸系延伸シートをフィルム用カッター刃として、フィルムカット性に優れると共に、巻戻り現象を抑制することができるフィルム用カッター刃、並びにポリ乳酸系延伸シートの製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記の実情に鑑み、ポリ乳酸系樹脂と特定のポリスチレン系共重合樹脂を含む樹脂組成物を使用することにより、破断することなく延伸性が安定し、同時に表面の滑り性も解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明のポリ乳酸系延伸シートは、ポリ乳酸系樹脂(A)とポリスチレン系共重合樹脂(B)を含む樹脂組成物からなるマット層(I)を有する単層のポリ乳酸系延伸シート、または、前記マット層(I)を少なくとも一方の表面層に有する積層のポリ乳酸系延伸シートであって、下記(i)および(ii)を満たす。
(i)ポリ乳酸系樹脂(A)は、主成分として含む
(ii)ポリスチレン系共重合樹脂(B)は、メタクリル酸メチル成分を含む
(i)ポリ乳酸系樹脂(A)は、主成分として含む
(ii)ポリスチレン系共重合樹脂(B)は、メタクリル酸メチル成分を含む
上記ポリ乳酸延伸シートにおいては、前記マット層(I)の表面粗さSaが250nm以上であることが好ましい。
上記ポリ乳酸延伸シートにおいては、前記マット層(I)の樹脂組成物中のポリスチレン系共重合樹脂(B)成分の分散径が2.2μm以下であることが好ましい。
上記ポリ乳酸延伸シートにおいては、前記(i)ポリ乳酸系樹脂(A)の結晶融解熱量ΔHmが30J/g以上であることが好ましい。
また、本発明は、上記ポリ乳酸系延伸シートを用いたフィルム用カッター刃である。
また、本発明は、延伸面積倍率16倍以下で延伸する工程を少なくとも有する、ポリ乳酸系延伸シートの製造方法である。
本発明によれば、非相溶樹脂として、メタクリル酸メチルを含むポリスチレン系共重合樹脂(B)を選択すれば、ポリ乳酸系樹脂(A)における分散性が良好となり、樹脂(B)と樹脂(A)の界面を起点とする破断を抑制することができるので、延伸性と表面の滑り性を両立したポリ乳酸系延伸シートが提供される。
以下、本発明の実施形態の一例としての本発明のポリ乳酸系延伸シート、フィルム用カッター刃、ポリ乳酸系延伸シートの製造方法について説明する。ただし、本発明の範囲が以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「主成分」とは、各層を構成する成分の合計を100質量%したとき、50質量%以上を占める成分であることを示し、60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が特に好ましい。
また、「X〜Y」(X、Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」及び「好ましくはYより小さい」の意を包含するものである。
また、本明細書における数値範囲の上限値及び下限値は、本発明が特定する数値範囲内から僅かに外れる場合であっても、当該数値範囲内と同様の作用効果を備えている限り本発明の均等範囲に包含するものとする。
なお、本明細書において、「主成分」とは、各層を構成する成分の合計を100質量%したとき、50質量%以上を占める成分であることを示し、60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が特に好ましい。
また、「X〜Y」(X、Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」及び「好ましくはYより小さい」の意を包含するものである。
また、本明細書における数値範囲の上限値及び下限値は、本発明が特定する数値範囲内から僅かに外れる場合であっても、当該数値範囲内と同様の作用効果を備えている限り本発明の均等範囲に包含するものとする。
<ポリ乳酸系延伸シート>
本発明のポリ乳酸系延伸シート(以下本発明の延伸シート、本発明のシートともいう。)は、ポリ乳酸系樹脂(A)とポリスチレン系共重合樹脂(B)を含む樹脂組成物からなるマット層(I)を有する単層のポリ乳酸系延伸シート、または、前記マット層(I)を少なくとも一方の表面層に有する積層のポリ乳酸系延伸シートであり、前記樹脂組成物中にポリ乳酸系樹脂(A)は、主成分として含み、ポリスチレン系共重合樹脂(B)は、メタクリル酸メチル成分を含むことが必要である。
本発明のポリ乳酸系延伸シート(以下本発明の延伸シート、本発明のシートともいう。)は、ポリ乳酸系樹脂(A)とポリスチレン系共重合樹脂(B)を含む樹脂組成物からなるマット層(I)を有する単層のポリ乳酸系延伸シート、または、前記マット層(I)を少なくとも一方の表面層に有する積層のポリ乳酸系延伸シートであり、前記樹脂組成物中にポリ乳酸系樹脂(A)は、主成分として含み、ポリスチレン系共重合樹脂(B)は、メタクリル酸メチル成分を含むことが必要である。
<ポリ乳酸系樹脂(A)>
本発明で用いられるポリ乳酸系樹脂(A)は、構造単位がL乳酸であるポリ(L乳酸)、構造単位がD乳酸であるポリ(D乳酸)、構造単位がL乳酸及びD乳酸であるポリ(DL乳酸)、あるいはこれらの混合樹脂を用いることができる。また、これらと、α−ヒドロキシカルボン酸やジオール及び/又はジカルボン酸との共重合樹脂を用いることもできる。
本発明で用いられるポリ乳酸系樹脂(A)は、構造単位がL乳酸であるポリ(L乳酸)、構造単位がD乳酸であるポリ(D乳酸)、構造単位がL乳酸及びD乳酸であるポリ(DL乳酸)、あるいはこれらの混合樹脂を用いることができる。また、これらと、α−ヒドロキシカルボン酸やジオール及び/又はジカルボン酸との共重合樹脂を用いることもできる。
ポリ乳酸系樹脂(A)におけるL−乳酸(L体)とD−乳酸(D体)の比率(モル比)を最適化することにより、(A)/(B)層に最適な結晶融解熱量(ΔHm)に調整することが好ましい。すなわち、L−乳酸(L体)とD−乳酸(D体)の比率(モル比)を最適化することにより、ポリ乳酸系樹脂(A)の結晶融解熱量(ΔHm)が30J/g以上となるように調整することが好ましい。
ポリ乳酸系樹脂(A)の結晶融解熱量(ΔHm)が30J/g以上であれば、フィルム用カッター刃としての強度を十分に維持することができ、カット性も十分に高めることができる。
かかる観点から、ポリ乳酸系樹脂(A)の結晶融解熱量(ΔHm)は35J/g以上に調整するのがより好ましく、中でも40J/g以上に調整するのがさらに好ましい。なお、ポリ乳酸系樹脂(A)の結晶融解熱量(ΔHm)の上限は特に設ける必要はなく、結晶融解熱量(ΔHm)は高いほど強度も高くなり、フィルム用カッター刃、つまりプラスチック製の刃としての性能を十分に発揮させることが可能である。
かかる観点から、ポリ乳酸系樹脂(A)の結晶融解熱量(ΔHm)は35J/g以上に調整するのがより好ましく、中でも40J/g以上に調整するのがさらに好ましい。なお、ポリ乳酸系樹脂(A)の結晶融解熱量(ΔHm)の上限は特に設ける必要はなく、結晶融解熱量(ΔHm)は高いほど強度も高くなり、フィルム用カッター刃、つまりプラスチック製の刃としての性能を十分に発揮させることが可能である。
ポリ乳酸系樹脂(A)は、前述のようにα−ヒドロキシカルボン酸や脂肪族ジオール等のジオール及び/又は脂肪族ジカルボン酸等のジカルボン酸との共重合樹脂であってもよい。
この際、ポリ乳酸系樹脂(A)に共重合されるα−ヒドロキシカルボン酸としては、乳酸の光学異性体(L−乳酸に対してはD−乳酸、D−乳酸に対してはL−乳酸)、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシn−酪酸、2−ヒドロキシ3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ3−メチル酪酸、2−メチル乳酸、2−ヒドロキシカプロン酸等の2官能脂肪族ヒドロキシカルボン酸や、カプロラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン等のラクトン類が挙げられる。
ポリ乳酸系樹脂(A)に共重合される脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられ、脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等が挙げられる。
この際、ポリ乳酸系樹脂(A)に共重合されるα−ヒドロキシカルボン酸としては、乳酸の光学異性体(L−乳酸に対してはD−乳酸、D−乳酸に対してはL−乳酸)、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシn−酪酸、2−ヒドロキシ3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ3−メチル酪酸、2−メチル乳酸、2−ヒドロキシカプロン酸等の2官能脂肪族ヒドロキシカルボン酸や、カプロラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン等のラクトン類が挙げられる。
ポリ乳酸系樹脂(A)に共重合される脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられ、脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等が挙げられる。
ポリ乳酸系樹脂(A)の重合法としては、縮重合法、開環重合法、その他の公知の重合法を採用することができる。例えば、縮重合法では、L−乳酸またはD−乳酸、或いはこれらの混合物を直接脱水縮重合して任意の組成を持ったポリ乳酸系樹脂を得ることができる。
また、開環重合法では、乳酸の環状二量体であるラクチドを、必要に応じて重合調整剤等を用いながら、選ばれた触媒を使用してポリ乳酸系重合体を得ることができる。この際、ラクチドにはL−乳酸の2量体であるL−ラクチド、D−乳酸の2量体であるD−ラクチド、或いはL−乳酸とD−乳酸とからなるDL−ラクチドを用いることができ、これらを必要に応じて混合して重合することにより任意所望の組成、結晶性をもつポリ乳酸系樹脂を得ることができる。
また、開環重合法では、乳酸の環状二量体であるラクチドを、必要に応じて重合調整剤等を用いながら、選ばれた触媒を使用してポリ乳酸系重合体を得ることができる。この際、ラクチドにはL−乳酸の2量体であるL−ラクチド、D−乳酸の2量体であるD−ラクチド、或いはL−乳酸とD−乳酸とからなるDL−ラクチドを用いることができ、これらを必要に応じて混合して重合することにより任意所望の組成、結晶性をもつポリ乳酸系樹脂を得ることができる。
耐熱性を更に向上させるなどの必要に応じ、ポリ乳酸系樹脂の本質的な性質を損なわない範囲で、すなわちポリ乳酸系樹脂成分を90質量%以上含有する範囲で、少量共重合成分として、テレフタル酸のような非脂肪族ジカルボン酸、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物のような非脂肪族ジオールを加えてもよい。
さらにまた、分子量増大を目的として少量の鎖延長剤、例えば、ジイソシアネート化合物、エポキシ化合物、酸無水物などを加えてもよい。
さらにまた、分子量増大を目的として少量の鎖延長剤、例えば、ジイソシアネート化合物、エポキシ化合物、酸無水物などを加えてもよい。
ポリ乳酸系樹脂(A)の重量平均分子量は、5万以上40万以下であるのが好ましく、特に10万以上25万以下であるのがより好ましい。ポリ乳酸系樹脂(A)の重量平均分子量がこの範囲の下限値以上であれば、好ましい実用物性を得ることができ、上限値以下であれば、溶融粘度が高過ぎることがないことから、良好な成形加工性を得ることができる。
本発明で好ましく使用されるポリ乳酸系樹脂(A)の代表的なものとしては、NatureWorks社製の商品名「NWシリーズ」等が商業的に入手できるものとして挙げられる。
<ポリスチレン系共重合樹脂(B)>
本発明で用いられるポリスチレン系共重合樹脂(B)は、共重合成分としてメタクリル酸メチル含むことが必要である。メタクリル酸メチルを含むことにより、ポリ乳酸系樹脂(A)との相容性が良好となり好ましい。
具体的には、スチレン・メタクリル酸メチル共重合樹脂、スチレン・ブタジエン・メタクリル酸メチル共重合樹脂などが挙げられる。共重合樹脂中のメタクリル酸メチルの含有量としては、5〜80質量%が好ましく、特に20〜50質量%がより好ましい。
なお、ポリスチレン系共重合樹脂(B)には、メタクリル酸メチル以外の共重合成分を含んでも構わない。
上記ポリスチレン系共重合樹脂の代表的なものとしては、デンカ社製の商品名「TXシリーズ」や、新日鐵住金社製の商品名「エスチレンMSシリーズ」が挙げられる。
本発明で用いられるポリスチレン系共重合樹脂(B)は、共重合成分としてメタクリル酸メチル含むことが必要である。メタクリル酸メチルを含むことにより、ポリ乳酸系樹脂(A)との相容性が良好となり好ましい。
具体的には、スチレン・メタクリル酸メチル共重合樹脂、スチレン・ブタジエン・メタクリル酸メチル共重合樹脂などが挙げられる。共重合樹脂中のメタクリル酸メチルの含有量としては、5〜80質量%が好ましく、特に20〜50質量%がより好ましい。
なお、ポリスチレン系共重合樹脂(B)には、メタクリル酸メチル以外の共重合成分を含んでも構わない。
上記ポリスチレン系共重合樹脂の代表的なものとしては、デンカ社製の商品名「TXシリーズ」や、新日鐵住金社製の商品名「エスチレンMSシリーズ」が挙げられる。
<マット層(I)>
本発明のマット層(I)は、フィルムとの滑り性が良く、フィルムの巻戻りを抑制するための層であるので、積層シートである場合は、少なくとも一方の表面層に有することが必要である。本発明のマット層(I)は、ポリ乳酸系樹脂(A)を主成分として含み、メタクリル酸メチルを含むポリスチレン系共重合樹脂(B)とを含む樹脂組成物であることが必要である。
本発明のマット層(I)は、フィルムとの滑り性が良く、フィルムの巻戻りを抑制するための層であるので、積層シートである場合は、少なくとも一方の表面層に有することが必要である。本発明のマット層(I)は、ポリ乳酸系樹脂(A)を主成分として含み、メタクリル酸メチルを含むポリスチレン系共重合樹脂(B)とを含む樹脂組成物であることが必要である。
ポリ乳酸系樹脂(A)がマット層(I)中に主成分として含むことで、ポリ乳酸系樹脂(A)の有する剛性、耐熱性を維持することができ、フィルム用カッター刃としての性能を十分に発揮することができる。
一方、ポリスチレン系共重合樹脂(B)は、ポリ乳酸系樹脂(A)とポリスチレン系共重合樹脂(B)の樹脂組成物を100質量%としたとき、0.5質量%以上50質量%未満であることが好ましく、1質量%以上40質量%未満であることがより好ましく、2質量%以上30質量%未満であることがさらに好ましい。
ポリスチレン系共重合樹脂(B)が0.5質量%以上であれば、フィルムの滑りが良好となり、巻戻り現象を有効に防止することができ、また、50質量%以下であれば、延伸工程においてフィルムが破断することなく製造することができる。
一方、ポリスチレン系共重合樹脂(B)は、ポリ乳酸系樹脂(A)とポリスチレン系共重合樹脂(B)の樹脂組成物を100質量%としたとき、0.5質量%以上50質量%未満であることが好ましく、1質量%以上40質量%未満であることがより好ましく、2質量%以上30質量%未満であることがさらに好ましい。
ポリスチレン系共重合樹脂(B)が0.5質量%以上であれば、フィルムの滑りが良好となり、巻戻り現象を有効に防止することができ、また、50質量%以下であれば、延伸工程においてフィルムが破断することなく製造することができる。
<マット層(I)の表面粗さ>
本発明のマット層(I)の表面粗さSaが、250nm以上であることが好ましく、280nm以上であることがさらに好ましい。上限は特に限定されないが、2000nm以下であることが好ましい。
マット層(I)の表面粗さが規定範囲の下限以上であれば、フィルム用カッター刃として用いる際にフィルムの巻戻りが生じることがなく好ましく、一方で表面粗さが規定範囲の上限以下であれば、製膜工程での延伸性が良好となるため好ましい。マット層(I)の表面粗さは、後掲の実施例の項に記載の方法で測定される。
マット層(I)の表面粗さは、延伸工程にて、ポリスチレン系共重合樹脂(B)がシート表面に突出することで付与されるため、延伸シートであることが必要である。
ポリスチレン系共重合樹脂(B)の代わりに、ポリ乳酸系樹脂(A)との相容性が良くない樹脂を使用すると、延伸工程で破断しやすくなるなどの不具合を生じていたが、ポリスチレン系共重合樹脂(B)は、ポリ乳酸系樹脂(A)への分散性が良く、分散径を制御することが可能となるため、延伸工程での不具合を生じることがない。
本発明のマット層(I)の表面粗さSaが、250nm以上であることが好ましく、280nm以上であることがさらに好ましい。上限は特に限定されないが、2000nm以下であることが好ましい。
マット層(I)の表面粗さが規定範囲の下限以上であれば、フィルム用カッター刃として用いる際にフィルムの巻戻りが生じることがなく好ましく、一方で表面粗さが規定範囲の上限以下であれば、製膜工程での延伸性が良好となるため好ましい。マット層(I)の表面粗さは、後掲の実施例の項に記載の方法で測定される。
マット層(I)の表面粗さは、延伸工程にて、ポリスチレン系共重合樹脂(B)がシート表面に突出することで付与されるため、延伸シートであることが必要である。
ポリスチレン系共重合樹脂(B)の代わりに、ポリ乳酸系樹脂(A)との相容性が良くない樹脂を使用すると、延伸工程で破断しやすくなるなどの不具合を生じていたが、ポリスチレン系共重合樹脂(B)は、ポリ乳酸系樹脂(A)への分散性が良く、分散径を制御することが可能となるため、延伸工程での不具合を生じることがない。
<ポリスチレン系共重合樹脂(B)成分の分散径>
本発明のポリスチレン系共重合樹脂(B)の分散径は2.2μm以下であることが好ましく、2.1μm以下であることがより好ましい。ポリスチレン系共重合樹脂(B)の分散径が、2.2μm以下であることにより、延伸工程においてフィルムが破断することなく製膜することができる。
ポリスチレン系共重合樹脂(B)の分散径の下限は特に規定はしないが、0.5μm以上が好ましく、0.8μm以上がより好ましい。0.5μm以上とすることで、フィルムに適度な表面粗さを付与しやすくなるため、フィルムの滑り性が良好となり、フィルム用カッター刃としてのフィルムの巻戻り現象をより有効に防止することができる。
本発明のポリスチレン系共重合樹脂(B)の分散径は後掲の実施例の項に記載の方法で測定される。
本発明のポリスチレン系共重合樹脂(B)の分散径は2.2μm以下であることが好ましく、2.1μm以下であることがより好ましい。ポリスチレン系共重合樹脂(B)の分散径が、2.2μm以下であることにより、延伸工程においてフィルムが破断することなく製膜することができる。
ポリスチレン系共重合樹脂(B)の分散径の下限は特に規定はしないが、0.5μm以上が好ましく、0.8μm以上がより好ましい。0.5μm以上とすることで、フィルムに適度な表面粗さを付与しやすくなるため、フィルムの滑り性が良好となり、フィルム用カッター刃としてのフィルムの巻戻り現象をより有効に防止することができる。
本発明のポリスチレン系共重合樹脂(B)の分散径は後掲の実施例の項に記載の方法で測定される。
<マット層(I)の静摩擦係数(滑り性)>
本発明のマット層(I)の静摩擦係数は、0.1〜2.0であることが好ましく、0.2〜1.0であることがより好ましい。静摩擦係数が規定範囲の上限以下であれば、フィルムとの滑り性が好適で巻戻り現象を防止することができるため好ましく、規定範囲の下限以上であれば、製膜工程で滞留せず安定して生産することができるため好ましい。
本発明のマット層(I)の静摩擦係数は後掲の実施例の項に記載の方法で測定される。
上述したラップフィルムの巻戻り現象は、フィルム用カッター刃にラップフィルムを押し付けてカットした後に、フィルム用カッター刃にラップフィルムが密着したまま残ることで発生する。そこで、フィルム用カッター刃表面のラップフィルムに対する滑り性を向上することで、ラップフィルムをカットした後に、フィルム用カッター刃から剥離しやすくなり、巻戻り現象を抑制することができる。つまり、巻戻り現象は、ラップフィルムとの静摩擦係数(滑り性)を測定することで評価できる。
本発明のマット層(I)の静摩擦係数は、0.1〜2.0であることが好ましく、0.2〜1.0であることがより好ましい。静摩擦係数が規定範囲の上限以下であれば、フィルムとの滑り性が好適で巻戻り現象を防止することができるため好ましく、規定範囲の下限以上であれば、製膜工程で滞留せず安定して生産することができるため好ましい。
本発明のマット層(I)の静摩擦係数は後掲の実施例の項に記載の方法で測定される。
上述したラップフィルムの巻戻り現象は、フィルム用カッター刃にラップフィルムを押し付けてカットした後に、フィルム用カッター刃にラップフィルムが密着したまま残ることで発生する。そこで、フィルム用カッター刃表面のラップフィルムに対する滑り性を向上することで、ラップフィルムをカットした後に、フィルム用カッター刃から剥離しやすくなり、巻戻り現象を抑制することができる。つまり、巻戻り現象は、ラップフィルムとの静摩擦係数(滑り性)を測定することで評価できる。
<添加剤、その他の樹脂>
本発明のマット層(I)には、本発明の効果を損なわない範囲で、無機粒子、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、可塑剤、核剤、滑剤、顔料、染料等の添加剤やポリ乳酸系樹脂(A)及びポリスチレン系共重合樹脂(B)以外の樹脂も配合することができる。
特に、フィルム用カッター刃としての使用時には、視認性を高めて安全性を確保するなどの目的で、無機粒子(C)を配合することが好ましい。
本発明のマット層(I)には、本発明の効果を損なわない範囲で、無機粒子、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、可塑剤、核剤、滑剤、顔料、染料等の添加剤やポリ乳酸系樹脂(A)及びポリスチレン系共重合樹脂(B)以外の樹脂も配合することができる。
特に、フィルム用カッター刃としての使用時には、視認性を高めて安全性を確保するなどの目的で、無機粒子(C)を配合することが好ましい。
無機微粒子(C)としては、タルク、カオリン、炭酸カルシウム、ベントナイト、マイカ、セリサイト、ガラスフレーク、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、三酸化アンチモン、硫酸バリウム、酸化チタン、チタン酸鉛、チタン酸カリウム、酸化ジルコン、硫化亜鉛、酸化アンチモン、酸化亜鉛、ホウ酸亜鉛、含水ホウ酸カルシウム、アルミナ、マグネシア、ウォラストナイト、ゾノトライト、セピオライト、ウィスカー、ガラス繊維、ガラスフレーク、金属粉末、ビーズ、シリカバルーン、シラスバルーンなどを挙げることができる。これらのうちの何れかを単独で用いることも、また、2種類以上を組み合わせて用いることもできる。
これらの中でも、特に屈折率が1.6以上、特に2.0以上のものを用いること、より低添加量で効率的に隠蔽性を付与し、優れた視認性を得ることができる。屈折率が1.6以上、特に2.0以上の無機微粒子の具体例としては、硫酸バリウム、マグネシア、酸化亜鉛、硫化亜鉛、酸化ジルコン、チタン酸カリウム、チタン酸鉛、酸化チタンなどを挙げることができるが、屈折率の最も高い酸化チタンを配合することが特に好ましい。
上記無機微粒子(C)の平均粒径は0.1μm〜5.0μmが好ましく、0.15μm〜2.0μmがより好ましい。平均粒径が2.0μm以下であれば、無機微粒子(C)が破壊の開始点となり難いためフィルム用カッター刃の強度や伸びを維持することができる。一方、平均粒径が0.1μm以上であれば、無機微粒子(C)が凝集し難いため、分散不良を生じ難く好適である。
これらの中でも、特に屈折率が1.6以上、特に2.0以上のものを用いること、より低添加量で効率的に隠蔽性を付与し、優れた視認性を得ることができる。屈折率が1.6以上、特に2.0以上の無機微粒子の具体例としては、硫酸バリウム、マグネシア、酸化亜鉛、硫化亜鉛、酸化ジルコン、チタン酸カリウム、チタン酸鉛、酸化チタンなどを挙げることができるが、屈折率の最も高い酸化チタンを配合することが特に好ましい。
上記無機微粒子(C)の平均粒径は0.1μm〜5.0μmが好ましく、0.15μm〜2.0μmがより好ましい。平均粒径が2.0μm以下であれば、無機微粒子(C)が破壊の開始点となり難いためフィルム用カッター刃の強度や伸びを維持することができる。一方、平均粒径が0.1μm以上であれば、無機微粒子(C)が凝集し難いため、分散不良を生じ難く好適である。
<マット層(I)のその他の成分>
マット層(I)には、その他の成分として、無機微粒子(C)を含んでもよい。マット層(I)における無機微粒子(C)は、マット層(I)の樹脂組成物の合計100質量%としたとき、0質量%以上30質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1質量%以上20質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以上15質量%以下であり、特に好ましくは1質量%以上10質量%以下である。
マット層(I)には、その他の成分として、無機微粒子(C)を含んでもよい。マット層(I)における無機微粒子(C)は、マット層(I)の樹脂組成物の合計100質量%としたとき、0質量%以上30質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1質量%以上20質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以上15質量%以下であり、特に好ましくは1質量%以上10質量%以下である。
マット層(I)が無機微粒子(C)を含む場合、その含有量が0.1質量%以上であれば、フィルム用カッター刃の隠蔽性が十分であり、且つ使用時における視認性が十分であって取り扱い時の安全性を高めることができる。他方、無機微粒子(C)の含有量が30質量%以下であれば、本発明のポリ乳酸系延伸シートの製造時において、樹脂成分と無機微粒子(C)との界面にボイドが発生することを抑え、シートの延伸性を高めることができ、フィルム用カッター刃としての剛性が充分となり、フィルム用カッター刃としての切断性が良好となる。
<その他の層>
本発明のポリ乳酸系延伸シートは、マット層(I)を有すれば単層であっても、マット層(I)とマット層(I)以外の層との積層シートであってもよい。積層のシートである場合には、少なくとも一方の表面層にマット層(I)を有すればよい。マット層(I)以外層(以下、その他の層と呼称する)の層としては、例えばフィルムの収納箱に固着するためのシーラント層を設けることができる。マット層(I)と反対側の表面層にシーラント層を設けることで、フィルムの収納箱にヒートシールや超音波溶着によって簡便に固着することができる。
シーラント層は、ヒートシールや超音波溶着ができればよく、特に成分は限定はされないが、熱可塑性樹脂を含むことが好ましく、具体的には、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、エポキシ系、シリコン系、アクリル系、ポリアミド系、ポリスチレン系、ポリビニル系の樹脂などが好ましく使用できる。これらの熱可塑性樹脂を単独、または、2種以上を混合して用いてもよく、ポリ乳酸系樹脂を混合して用いることもできる。また、シーラント層の厚さも特に限定はされないが、3〜150μmの範囲が好ましい。
本発明のポリ乳酸系延伸シートは、マット層(I)を有すれば単層であっても、マット層(I)とマット層(I)以外の層との積層シートであってもよい。積層のシートである場合には、少なくとも一方の表面層にマット層(I)を有すればよい。マット層(I)以外層(以下、その他の層と呼称する)の層としては、例えばフィルムの収納箱に固着するためのシーラント層を設けることができる。マット層(I)と反対側の表面層にシーラント層を設けることで、フィルムの収納箱にヒートシールや超音波溶着によって簡便に固着することができる。
シーラント層は、ヒートシールや超音波溶着ができればよく、特に成分は限定はされないが、熱可塑性樹脂を含むことが好ましく、具体的には、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、エポキシ系、シリコン系、アクリル系、ポリアミド系、ポリスチレン系、ポリビニル系の樹脂などが好ましく使用できる。これらの熱可塑性樹脂を単独、または、2種以上を混合して用いてもよく、ポリ乳酸系樹脂を混合して用いることもできる。また、シーラント層の厚さも特に限定はされないが、3〜150μmの範囲が好ましい。
<フィルム用カッター刃>
図1は、本実施形態のフィルム用カッター刃の一例を示す図である。図1に示すように、フィルム用カッター刃11は、鋸刃12を備えている。本発明のシートを、例えばトムソン刃などを用いて、鋸刃状に切断することにより、鋸刃12を備えたフィルム用カッター刃11を作製することができる。但し、本発明のシートで作成されるフィルム用カッター刃の形状は、図1に示されるような形状に限定されるものではない。
図1は、本実施形態のフィルム用カッター刃の一例を示す図である。図1に示すように、フィルム用カッター刃11は、鋸刃12を備えている。本発明のシートを、例えばトムソン刃などを用いて、鋸刃状に切断することにより、鋸刃12を備えたフィルム用カッター刃11を作製することができる。但し、本発明のシートで作成されるフィルム用カッター刃の形状は、図1に示されるような形状に限定されるものではない。
<ポリ乳酸系延伸シートの製造方法>
本発明のシート製造方法は、特に制限されるものではなく、公知の方法により製造することができる。なお、本発明のシートは延伸シートであるので、延伸する工程を少なくとも有する。
例えば、押出機を用いてシートの構成材料を溶融し、ダイからシート状に押出し、冷却ロールや空冷、水冷にて冷却固化して得られる。また、上述の手法により得られたシートを、少なくとも一方向に延伸処理した後、巻取機にて巻き取ることによりシートを得る方法が例示できる。
本発明のシート製造方法は、特に制限されるものではなく、公知の方法により製造することができる。なお、本発明のシートは延伸シートであるので、延伸する工程を少なくとも有する。
例えば、押出機を用いてシートの構成材料を溶融し、ダイからシート状に押出し、冷却ロールや空冷、水冷にて冷却固化して得られる。また、上述の手法により得られたシートを、少なくとも一方向に延伸処理した後、巻取機にて巻き取ることによりシートを得る方法が例示できる。
マット層(I)を有する単層の本発明のシートを得る方法としては、シートを構成する材料を混合、混練した後、単軸押出機、異方向二軸押出機、同方向二軸押出機などの押出機を使用し、該材料の均一な分散分配を促す。本発明のシートを構成する材料が複数の種類からなる場合、タンブラーミキサー、ミキシングロール、バンバリーミキサー、リボンブレンダ―、スーパーミキサーなどの混合機で混合した後、押出機に投入してもよく、他の混練機の先端にストランドダイを接続し、ストランドカット、ダイカットなどの方法により一旦ペレット化した後に得られたペレットを押出機に投入してもよい。
また、一旦ペレット化した後、得られたペレットと共にその他の成分も一緒に押出機に投入してもよい。マット層(I)を少なくとも一方の表面層に有する積層の場合、上述したマット層(I)に加え、その他の層の樹脂組成物もマット層(I)と別に押出機に投入することで製造することができる。
押出機により溶融された樹脂組成物は、押出機の先端にTダイなどの口金を接続し、シート状に成形された後、冷却ロールで冷却固化される。
また、一旦ペレット化した後、得られたペレットと共にその他の成分も一緒に押出機に投入してもよい。マット層(I)を少なくとも一方の表面層に有する積層の場合、上述したマット層(I)に加え、その他の層の樹脂組成物もマット層(I)と別に押出機に投入することで製造することができる。
押出機により溶融された樹脂組成物は、押出機の先端にTダイなどの口金を接続し、シート状に成形された後、冷却ロールで冷却固化される。
押出温度は、160〜250℃程度が好ましく、より好ましくは180〜220℃である。押出温度やせん断の状態を最適化することにより、種々の物理的特性、機械的特性を所望の値にするのに有効となる。
マット層(I)とその他の層とは、共押出、押出ラミネート、熱ラミネート、ドライ
ラミネート等により積層することができる。
ラミネート等により積層することができる。
マット層(I)とその他の層を、複数台の押出機を用いてフィードブロックやマルチマニホールドダイを通じ樹脂組成物を合流させて共押出して積層シートを製造することもできる。
本発明のシートは、少なくとも一方向に延伸されていることが必要である。少なくとも一方向に延伸することにより、表面粗さが付与され、滑り性、剛性などの機械特性、フィルムカット性、耐熱性に優れたフィルム用カッター刃とすることができる。
本発明のシートの延伸方法としては、特に制約されるものではないが、シートの流れ方向(以下、縦方向またはMDと表記することがある)へのロール延伸や、シート流れ方向に対する垂直方向(以下、横方向またはTDと表記することがある)へのテンター延伸等により、少なくとも一方向に延伸される。また、未延伸シートを裁断し、バッチ式の延伸機により少なくとも一方向に延伸されてもよい。
本発明のシートの延伸方法としては、特に制約されるものではないが、シートの流れ方向(以下、縦方向またはMDと表記することがある)へのロール延伸や、シート流れ方向に対する垂直方向(以下、横方向またはTDと表記することがある)へのテンター延伸等により、少なくとも一方向に延伸される。また、未延伸シートを裁断し、バッチ式の延伸機により少なくとも一方向に延伸されてもよい。
さらに、上述のように縦方向に延伸した後、横方向に延伸してもよく、横方向に延伸した後、縦方向に延伸してもよい。また、縦方向及び横方向に延伸処理されていれば、同じ方向に2回以上延伸してもよい。さらには、縦方向に延伸した後、横方向に延伸し、さらに縦方向に延伸してもよい。また、同時二軸延伸機により縦方向、横方向に同時に延伸されてもよい。延伸条件は、本発明のシートの密度が後述の好適範囲となるように調整することが好ましい。具体的には、延伸温度範囲としては65℃以上95℃以下が好ましく、67℃以上90℃以下がより好ましく、70℃以上87℃以下がさらに好ましい。延伸温度がかかる範囲の下限値以上であれば、延伸時におけるボイドの発生を抑制でき、密度の低下を防ぎ、結果としてフィルム用カッター刃の剛性並びにフィルムカット性の低下を防ぐことができる。一方、延伸温度がかかる範囲の上限値以下であれば、延伸時にポリ乳酸系樹脂(A)が結晶化しないため、十分な延伸を行うことができ、シートの破断を生じることがない。
また、延伸倍率としては、面積倍率で16倍以下が好ましく、12倍以下がより好まししく、9倍以下がさらに好ましい。面積倍率の下限は特に限定されないが2倍以上であることが好ましい。面積延伸倍率がかかる範囲の上限値以下であれば、延伸時にシート内のボイドを抑制し、密度の低下を防ぐことができ、結果としてフィルム用カッター刃の剛性及びフィルムカット性の低下を防ぐことができる。面積延伸倍率がかかる範囲の下限値以上であれば、延伸時の厚さ分布にムラが生じることがなく、フィルムカット性の低下を防止できる。
一方、上記の延伸処理後は、熱収縮を抑制するために、延伸後のシートを把持した状態で熱処理(ヒートセット)を行うことが好ましい。通常、ロール法では延伸後加熱ロールに接触させて熱処理を行い、テンター法ではクリップでフィルムを把持した状態で熱処理を行う。熱処理温度は使用する樹脂の配合比率、種類によるが、100℃以上150℃以下の範囲とすることが好ましい。このような熱処理を施すことにより、より優れた耐熱性、機械特性を付与することができる。
防曇剤、帯電防止剤、離型剤等の塗布層は、ダイからシート状に押出し、冷却ロールや空冷、水冷にて冷却固化後、または、シートの延伸後に、公知の方法でシート表面に塗布して形成することができる。また、塗布層の形成前に、公知の方法でシート表面にコロナ処理を施すことができる。
<本発明のシートの厚さ>
本発明のシートの厚さは、マット層(I)を有する単層である場合、50μm以上500μm以下であるが好ましく、60μm以上450μm以下であるのがより好ましく、65μm以上400μm以下であるのがさらに好ましい。厚さが上記範囲であれば、フィルムの剛性とフィルム用カッター刃として使用した際にラップフィルム等カット性のバランスが良くなるため好ましい。
本発明のシートの厚さは、マット層(I)を有する単層である場合、50μm以上500μm以下であるが好ましく、60μm以上450μm以下であるのがより好ましく、65μm以上400μm以下であるのがさらに好ましい。厚さが上記範囲であれば、フィルムの剛性とフィルム用カッター刃として使用した際にラップフィルム等カット性のバランスが良くなるため好ましい。
本発明のシートの厚さは、マット層(I)を少なくとも一方の表面層に有する積層である場合、55μm以上600μm以下が好ましく、65μm以上500μm以下がより好ましく、75μm以上450μm以下であることがさらに好ましい。厚さが上記範囲であれば、フィルムの剛性とフィルム用カッター刃として使用した際にラップフィルム等カット性のバランスが良くなるため好ましい。
また、本発明のシートが積層である場合、そのマット層(I)の厚さ(複数有するときはその合計厚さ)は、50μm以上であることが好ましく、上限は特に定めないが、上記の本発明のシートがマット層(I)を少なくとも一方の表面層に有する積層である場合の上限以下が好ましい。
[測定・評価方法]
実施例及び比較例における物性等の測定・評価方法は以下の通りである。
実施例及び比較例における物性等の測定・評価方法は以下の通りである。
(1)表面粗さ(算術平均粗さ)の測定
実施例、比較例で得られたポリ乳酸系延伸シートの表面粗さ(算術平均粗さ)は、下記の装置、条件により、表面の算術平均粗さを測定して求めた。
測定装置は、ブルカージャパン社製の3次元白色干渉型顕微鏡、商品名「Contour2.0」を用い、観察モードは「Waveモード」で計測した。
実施例、比較例で得られたポリ乳酸系延伸シートの表面粗さ(算術平均粗さ)は、下記の装置、条件により、表面の算術平均粗さを測定して求めた。
測定装置は、ブルカージャパン社製の3次元白色干渉型顕微鏡、商品名「Contour2.0」を用い、観察モードは「Waveモード」で計測した。
(2)マット層(I)のポリスチレン系共重合樹脂(B)の分散径の測定
各実施例及び比較例について、ポリ乳酸系樹脂(a)−1中に分散したポリスチレン系共重合樹脂(B)について、次の装置、条件、算出方法により、分散径を評価した。
測定装置は、日立ハイテク社製の走査型電子顕微鏡、商品名「SU3500」を用い、観察モードは、「2次電子像」、加速電圧は4.0kV、観察倍率は5000倍で計測した。
測定方法は、本発明のシート上の任意の点で、シートの幅方向に切断し、断面を上記の装置、条件で観察した。観察断面において、ポリ乳酸系樹脂(a)−1中に分散したポリスチレン系共重合樹脂(B)を任意に10点選択し、シート面方向の分散径を各粒子について測定した。測定した10点の分散径の平均値を算出し、その値をシート幅方向での平均分散径と定めた。さらにシートの長手方向にも切断し、同様の操作で長手方向での平均分散径を求めた。シートの幅、長手両方向の平均分散径をさらに平均して、シート中の平均分散径を算出した。
各実施例及び比較例について、ポリ乳酸系樹脂(a)−1中に分散したポリスチレン系共重合樹脂(B)について、次の装置、条件、算出方法により、分散径を評価した。
測定装置は、日立ハイテク社製の走査型電子顕微鏡、商品名「SU3500」を用い、観察モードは、「2次電子像」、加速電圧は4.0kV、観察倍率は5000倍で計測した。
測定方法は、本発明のシート上の任意の点で、シートの幅方向に切断し、断面を上記の装置、条件で観察した。観察断面において、ポリ乳酸系樹脂(a)−1中に分散したポリスチレン系共重合樹脂(B)を任意に10点選択し、シート面方向の分散径を各粒子について測定した。測定した10点の分散径の平均値を算出し、その値をシート幅方向での平均分散径と定めた。さらにシートの長手方向にも切断し、同様の操作で長手方向での平均分散径を求めた。シートの幅、長手両方向の平均分散径をさらに平均して、シート中の平均分散径を算出した。
(3)巻戻り防止性評価(静摩擦係数の測定)
各実施例及び比較例で得られたシートの巻戻り防止性評価のために、JISK7125にてラップフィルム(クレハ社製:商品名「クレラップ」、ポリ塩化ビニリデン樹脂製、厚さ10μm、幅22cm)との静摩擦係数を測定しシートの滑り性を評価した。静摩擦係数は、各実施例及び比較例で得られたシートの幅方向と長手方向に対して各3回測定し、その平均値より求めた。
静摩擦係数が1.0以下であるものを滑り性が良好であり巻戻り防止性を「○」、1.0を超えるものを滑り性が不足しており巻戻り防止性を「×」と評価した。
各実施例及び比較例で得られたシートの巻戻り防止性評価のために、JISK7125にてラップフィルム(クレハ社製:商品名「クレラップ」、ポリ塩化ビニリデン樹脂製、厚さ10μm、幅22cm)との静摩擦係数を測定しシートの滑り性を評価した。静摩擦係数は、各実施例及び比較例で得られたシートの幅方向と長手方向に対して各3回測定し、その平均値より求めた。
静摩擦係数が1.0以下であるものを滑り性が良好であり巻戻り防止性を「○」、1.0を超えるものを滑り性が不足しており巻戻り防止性を「×」と評価した。
(4)延伸性の評価
各実施例及び比較例で作成したシートの延伸過程において、後掲に記載の延伸条件で問題なく延伸できたものを「○」、延伸はできたが延伸時にシートに厚さムラが生じたものを「△」、延伸時にシートが破断し製膜できなかったものを「×」と評価した。なお、評価「○」であったものは延伸性が良好であり、評価「△」または、「×」であったものを延伸性が不良と判断した。
各実施例及び比較例で作成したシートの延伸過程において、後掲に記載の延伸条件で問題なく延伸できたものを「○」、延伸はできたが延伸時にシートに厚さムラが生じたものを「△」、延伸時にシートが破断し製膜できなかったものを「×」と評価した。なお、評価「○」であったものは延伸性が良好であり、評価「△」または、「×」であったものを延伸性が不良と判断した。
(5)結晶融解熱量(ΔHm)の測定
樹脂の結晶融解熱量(ΔHm)は、JIS K7121に基づき、10mg程度に削り出したサンプルについて、パーキンエルマー社製の熱分析装置、商品名「DSC−7」を用いて10℃/分の速度にて30℃から200℃まで昇温し、得られたサーモグラムより、結晶融解熱量(ΔHm)を読み取ることで測定した。
樹脂の結晶融解熱量(ΔHm)は、JIS K7121に基づき、10mg程度に削り出したサンプルについて、パーキンエルマー社製の熱分析装置、商品名「DSC−7」を用いて10℃/分の速度にて30℃から200℃まで昇温し、得られたサーモグラムより、結晶融解熱量(ΔHm)を読み取ることで測定した。
各実施例、比較例で使用した原材料は、下記の通りである。
<ポリ乳酸系樹脂(A)>
(a)−1:NatureWorks社製のポリ乳酸系樹脂(ポリ乳酸、ポリD乳酸の割合=1.5モル%、ポリL乳酸の割合=98.5モル%、重量平均分子量=20万、ΔHm=42J/g)
(a)−2:NatureWorks社製のポリ乳酸系樹脂(ポリ乳酸、ポリD乳酸の割合=10.7モル%、ポリL乳酸の割合=89.4モル%、重量平均分子量=20万、ΔHm=0J/g)
(a)−1:NatureWorks社製のポリ乳酸系樹脂(ポリ乳酸、ポリD乳酸の割合=1.5モル%、ポリL乳酸の割合=98.5モル%、重量平均分子量=20万、ΔHm=42J/g)
(a)−2:NatureWorks社製のポリ乳酸系樹脂(ポリ乳酸、ポリD乳酸の割合=10.7モル%、ポリL乳酸の割合=89.4モル%、重量平均分子量=20万、ΔHm=0J/g)
<ポリスチレン系共重合樹脂(B)>
(b)−1:デンカ社製の商品名「TX−800LF」(スチレン・メタクリル酸メチル共重合樹脂、スチレン:メタクリル酸メチル=53.5:46.5(質量比)、MFR:1.6g/10分(200℃、49N))
(b)−2:新日鐵住金社製の商品名「MS−200NT」(スチレン・メタクリル酸メチル共重合樹脂、スチレン:メタクリル酸メチル=78.5:21.5(質量比)、MFR:1.6g/10分(200℃、49N))
(b)−3:PSジャパン社製の商品名「G9305」(ポリスチレン、MFR:1.5g/10分(200℃、49N))、メタクリル酸メチル含有なし)
(b)−1:デンカ社製の商品名「TX−800LF」(スチレン・メタクリル酸メチル共重合樹脂、スチレン:メタクリル酸メチル=53.5:46.5(質量比)、MFR:1.6g/10分(200℃、49N))
(b)−2:新日鐵住金社製の商品名「MS−200NT」(スチレン・メタクリル酸メチル共重合樹脂、スチレン:メタクリル酸メチル=78.5:21.5(質量比)、MFR:1.6g/10分(200℃、49N))
(b)−3:PSジャパン社製の商品名「G9305」(ポリスチレン、MFR:1.5g/10分(200℃、49N))、メタクリル酸メチル含有なし)
<添加剤(C)>
(c)−1:堺化学社製の商品名「酸化チタンA−1」(アナターゼ型酸化チタン、平均粒径=0.15μm、屈折率=2.52)
(c)−1:堺化学社製の商品名「酸化チタンA−1」(アナターゼ型酸化チタン、平均粒径=0.15μm、屈折率=2.52)
<シーラント樹脂(D)>
(d)−1:三井デュポンポリケミカル社製の商品名「エバフレックスEV260(エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂、酢酸ビニル含有量=28質量%、Tm=69℃、ΔHm=79J/g)」
(d)−1:三井デュポンポリケミカル社製の商品名「エバフレックスEV260(エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂、酢酸ビニル含有量=28質量%、Tm=69℃、ΔHm=79J/g)」
[実施例1]
(a)−1および(b)−1を95:5重量比で混合したものをマット層(I)用成形材料として、φ25mm同方向二軸押出機にて210℃で押出し、押出シートを得た。次いで、この押出シートを50℃のキャスティングロールにて急冷し、未延伸シートを得た。未延伸シートの厚さは、平均で400μmになるように押出機からの溶融樹脂の吐出量とライン速度を調整した。
未延伸シートは、ストレッチャーを用いて、80℃の温度条件下で、長手方向に2.5倍、幅方向に2.5倍に逐次延伸し、さらに熱処理オーブンで140℃の温度で熱処理して、延伸シートを得た。延伸面積倍率は6.25倍であった。得られた延伸シートについて、(b)−1の平均分散径、延伸シートの表面粗さ、静摩擦係数の評価を行った結果を表1に示す。
(a)−1および(b)−1を95:5重量比で混合したものをマット層(I)用成形材料として、φ25mm同方向二軸押出機にて210℃で押出し、押出シートを得た。次いで、この押出シートを50℃のキャスティングロールにて急冷し、未延伸シートを得た。未延伸シートの厚さは、平均で400μmになるように押出機からの溶融樹脂の吐出量とライン速度を調整した。
未延伸シートは、ストレッチャーを用いて、80℃の温度条件下で、長手方向に2.5倍、幅方向に2.5倍に逐次延伸し、さらに熱処理オーブンで140℃の温度で熱処理して、延伸シートを得た。延伸面積倍率は6.25倍であった。得られた延伸シートについて、(b)−1の平均分散径、延伸シートの表面粗さ、静摩擦係数の評価を行った結果を表1に示す。
[比較例1,2]
ポリ乳酸系樹脂(A)、ポリスチレン系共重合樹脂(B)として、表1に示すものを表1に示す質量比で用いたこと以外は、実施例1同様の方法でシートの作製と評価を行った。結果を表1に示す。
ポリ乳酸系樹脂(A)、ポリスチレン系共重合樹脂(B)として、表1に示すものを表1に示す質量比で用いたこと以外は、実施例1同様の方法でシートの作製と評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例2]
(a)−1、(b)−1及び(c)−1を、質量比93:5:2の割合で混合したものをマット層(I)用成形材料として、(a)−2および(d)−1を、65:35の割合で混合したものをシーラント層(II)として、同方向二軸押出機とマルチマニホールド口金を用いて共押出シートを得た。この時マット層(I)とシーラント層(II)の厚さ比が13:1になるように製膜した。
次いで、この共押出シートをキャスティングロールにて急冷した後、長手方向に2倍にロール延伸、幅方向にテンターで3倍に延伸し、さらにテンターの熱処理ゾーンで熱処理して延伸シートを得た。延伸面積倍率は6倍であった。延伸後の積層シートの厚さは平均で275μm(マット層(I)が255μm、シーラント層(II)が20μm)となるように溶融樹脂の吐出量とライン速度を調整した。
(a)−1、(b)−1及び(c)−1を、質量比93:5:2の割合で混合したものをマット層(I)用成形材料として、(a)−2および(d)−1を、65:35の割合で混合したものをシーラント層(II)として、同方向二軸押出機とマルチマニホールド口金を用いて共押出シートを得た。この時マット層(I)とシーラント層(II)の厚さ比が13:1になるように製膜した。
次いで、この共押出シートをキャスティングロールにて急冷した後、長手方向に2倍にロール延伸、幅方向にテンターで3倍に延伸し、さらにテンターの熱処理ゾーンで熱処理して延伸シートを得た。延伸面積倍率は6倍であった。延伸後の積層シートの厚さは平均で275μm(マット層(I)が255μm、シーラント層(II)が20μm)となるように溶融樹脂の吐出量とライン速度を調整した。
得られた延伸シートについて、(b)−1の平均分散径、延伸シートの表面粗さ、静摩擦係数の評価を行った結果を表2に示す。
[実施例3、比較例3]
ポリ乳酸系樹脂(A)、ポリスチレン系共重合樹脂(B)、無機粒子(C)およびシーラント樹脂(D)として、表2に示すものを表2に示す質量比で用いたこと以外は、実施例2と同様の方法でシートの作製と評価を行った。結果を表2に示す。
ポリ乳酸系樹脂(A)、ポリスチレン系共重合樹脂(B)、無機粒子(C)およびシーラント樹脂(D)として、表2に示すものを表2に示す質量比で用いたこと以外は、実施例2と同様の方法でシートの作製と評価を行った。結果を表2に示す。
表1から明らかなように、比較例1のようにポリ乳酸系樹脂(A)のみで製膜すると静摩擦係数が大きく滑り性が不足し、巻戻り防止性に劣っていた。メタクリル酸メチル成分を含まないポリスチレン系共重合樹脂(B)として(b−1)を用いた比較例2では、ポリスチレン系共重合樹脂(B)の分散径が2.3μmと大きく、幅方向に延伸する際の応力が上昇し、シートに厚さムラが生じ延伸性が不良であった。
一方で、メタクリル酸メチル成分を含むポリスチレン系共重合樹脂(B)として(b−1)を用いた実施例1では、破断することなく容易に延伸し、かつ、静摩擦係数が小さく滑り性を向上させることができた。
実施例1の延伸シートであれば、フィルム用カッター刃として用いた際に、ラップフィルム等の薄膜フィルムの巻戻り現象を防止することができる。
一方で、メタクリル酸メチル成分を含むポリスチレン系共重合樹脂(B)として(b−1)を用いた実施例1では、破断することなく容易に延伸し、かつ、静摩擦係数が小さく滑り性を向上させることができた。
実施例1の延伸シートであれば、フィルム用カッター刃として用いた際に、ラップフィルム等の薄膜フィルムの巻戻り現象を防止することができる。
同様に実施例2および3のようにマット層(I)を255μmと厚くしても、破断することなく延伸ができ、かつ静摩擦係数が小さく滑り性も向上できた。また、片面にシーラント層(II)を積層しても、問題なく延伸することができた。これに対して、メタクリル酸メチル成分を含まないポリスチレン系共重合樹脂(B)として(b−1)を用いた比較例3では、延伸工程で破断し採取できず、評価不能であった。
実施例2および3の延伸シートように、ポリスチレン系共重合樹脂(B)として、メタクリル酸メチル成分を含むポリスチレン系共重合樹脂(B)を用いることにより、延伸シートの滑り性・剛性を両立することができ、フィルム用カッター刃として用いた際に、ラップフィルム等の薄膜フィルムの巻戻り現象を防止することができる。
以上より、本発明の効果は明らかである。
実施例2および3の延伸シートように、ポリスチレン系共重合樹脂(B)として、メタクリル酸メチル成分を含むポリスチレン系共重合樹脂(B)を用いることにより、延伸シートの滑り性・剛性を両立することができ、フィルム用カッター刃として用いた際に、ラップフィルム等の薄膜フィルムの巻戻り現象を防止することができる。
以上より、本発明の効果は明らかである。
11 フィルム用カッター刃
12 鋸刃
12 鋸刃
Claims (6)
- ポリ乳酸系樹脂(A)とポリスチレン系共重合樹脂(B)を含む樹脂組成物からなるマット層(I)を有する単層のポリ乳酸系延伸シート、または、前記マット層(I)を少なくとも一方の表面層に有する積層のポリ乳酸系延伸シートであって、
下記(i)および(ii)を満たす、ポリ乳酸系延伸シート。
(i)ポリ乳酸系樹脂(A)は、主成分として含む
(ii)ポリスチレン系共重合樹脂(B)は、メタクリル酸メチル成分を含む - 前記マット層(I)の表面粗さSaが、250nm以上である、請求項1に記載のポリ乳酸系延伸シート。
- 前記マット層(I)の樹脂組成物中のポリスチレン系共重合樹脂(B)成分の分散径が2.2μm以下である、請求項1または請求項2に記載のポリ乳酸系延伸シート。
- 前記ポリ乳酸系樹脂(A)の結晶融解熱量ΔHmが30J/g以上である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のポリ乳酸系延伸シート。
- 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のポリ乳酸系延伸シートを用いたフィルム用カッター刃。
- 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のポリ乳酸系延伸シートの製造方法であって、延伸面積倍率16倍以下で延伸する工程を少なくとも有する、ポリ乳酸系延伸シートの製造方法。
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JP2019068900A JP2020164739A (ja) | 2019-03-29 | 2019-03-29 | ポリ乳酸系延伸シート、フィルム用カッター刃、ポリ乳酸系延伸シートの製造方法 |
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