JP2020162378A - 導体接続構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】単相電力変換器の導体接続構造において、サージ電圧を抑制すると共に漏れ磁束を低減しつつ、ヒートシンクの冷却自由度の向上を図る単相電力変換器の導体接続構造を提供する。【解決手段】導体接続構造1において、第一ヒートシンク11と第二ヒートシンク12とが対称に傾斜配置される。第一ヒートシンク11の表面の下辺寄りの部位には、半導体デバイスT1、T3、T5、T7が配置される。第二ヒートシンク12の表面の下辺寄りの部位には、半導体デバイスT2、T4、T6、T8が配置される。正極導体P及び負極導体Nは、第一ヒートシンク11と第二ヒートシンク12との間で平滑コンデンサCを立設支持した状態で、単相電力変換器の半導体デバイスT1〜T8と平滑コンデンサCとを接続する。【選択図】図1

Description

本発明は、単相電力変換器の導体接続構造に関する。
高周波電流が流れる単相電力変換器は以下の点が重要となる。
(1)並列する半導体パワーデバイスの電流バランスを考慮し、導通経路長の均一化が要求される。
(2)サージ電圧、インダクタンスの低減のために導通経路長の縮小化が要求される。
(3)外部への漏れ磁束を低減させるために往復導体の対向近接化が要求される。
以上の要求を充足するために例えば特許文献1〜3に開示の導体の配置構造がある。
特許文献1の単相電力変換装置は、半導体パワーデバイス及び平滑コンデンサが横並びに配置され、また、正極導体と負極導体とが対向して近接する共にU相導体とV相導体とが対向して近接するように配置されている。
特許文献2の電力変換装置は、薄い板状のヒートシンクを上下配置し、これらのヒートシンクの間で正極導体と負極導体とを対向して近接させると共にU相導体とV相導体とを対向近接させて通している。
特許文献3の電力変換装置は、同一平面上の薄い板状の正極用,負極用のヒートシンクの間に絶縁部材を介して正極導体と負極導体が対向して近接するように配置されている。
特開2017−225235号公報 特開2017−188996号公報 特開2016−158342号公報
しかしながら、特許文献1の単相電力変換装置の導体接続構造は、半導体パワーデバイスの端子から引き出された後のU相導体とV相導体とが対向近接していない部分が長くなるので、漏れ磁束が大きくなり易い。
特許文献2の電力変換装置の導体接続構造は、ヒートシンクのサイズや冷却方式が限定されてしまう。
特許文献3の導体の配置構造は、半導体パワーデバイスと平滑コンデンサとの間の距離が大きくなり易くなるので、導通経路の短縮化が図れない。
本発明は、上記の事情を鑑み、単相電力変換器の導体接続構造において、サージ電圧を抑制すると共に漏れ磁束を低減しつつ、ヒートシンクの冷却自由度の向上を図ることを課題とする。
そこで、本発明の一態様は、単相電力変換器の導体接続構造であって、傾斜配置される第一ヒートシンクと、この第一ヒートシンクの表面の下辺寄りの部位に配置される単相電力変換器のU相側の複数の半導体デバイスと、前記第一ヒートシンクと対称に傾斜配置される第二ヒートシンクと、この第二ヒートシンクの表面の下辺寄りの部位に配置される前記単相電力変換器のV相側の複数の半導体デバイスと、前記第一ヒートシンクと前記第二ヒートシンクとの間で平滑コンデンサを立設支持した状態で前記単相電力変換器のU相側及びV相側の半導体デバイスの正極と当該平滑コンデンサとを接続する長板状の正極導体と、前記第一ヒートシンクと前記第二ヒートシンクとの間で前記平滑コンデンサを立設支持した状態で前記単相電力変換器のU相側及びV相側の半導体デバイスの負極と当該平滑コンデンサとを接続する前記正極導体と同形の負極導体と、前記単相電力変換器のU相側の半導体デバイスの共通接続点に接続されて前記第一ヒートシンクと前記第二ヒートシンクとの間から下方鉛直に引き出される板状のU相導体と、前記単相電力変換器のV相側の半導体デバイスの共通接続点に接続されて前記第一ヒートシンクと前記第二ヒートシンクとの間から前記U相導体と対向して下方鉛直に引き出される板状のV相導体と有する。
本発明の一態様は、前記単相電力変換器の導体接続構造において、前記正極導体及び前記負極導体は、前記U相側及びV相側の半導体デバイスの正極及び負極に対して着脱自在である。
本発明の一態様は、前記単相電力変換器の導体接続構造において、前記第一ヒートシンク及び前記第二ヒートシンクは板状またはヒートパイプ式のヒートシンクである。
以上の本発明によれば、単相電力変換器の導体接続構造において、サージ電圧を抑制すると共に漏れ磁束を低減しつつ、ヒートシンクの冷却自由度の向上が図られる。
(a)は本発明の実施形態1である単相電力変換器の導体接続構造の平面図、(b)は平滑コンデンサが配置された状態の当該構造の平面図(c)は当該構造の正面図。 本発明の実施形態2である単相電力変換器の導体接続構造の正面図。 本発明の実施形態3である単相電力変換器の導体接続構造の正面図。 実施形態3の導体接続構造の斜視図。 実施形態1〜3の単相電力変換器の回路図。
以下に図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1に示された本発明の一態様としての導体接続構造1は、IGBT等の図5に例示した4個の半導体デバイスT1〜T4を並列に接続した単相電力変換器を直列した電力変換回路に基づく単相電力変換器の導体接続構造である。
導体接続構造1は、第一ヒートシンク11、第二ヒートシンク12、正極導体P、負極導体N、U相導体U及びV相導体Vを有する。
第一ヒートシンク11は、板状の鋼材からなり、傾斜配置されている。そして、第一ヒートシンク11の表面の下辺寄りの部位には、単相電力変換器INVのU相側の半導体デバイスT1,T3,T5,T7が配置されている。また、第一ヒートシンク11の側面にはフィン111が備えられている。
第二ヒートシンク12は、第一ヒートシンク11と同形の板状の鋼材からなり、第一ヒートシンク11の表面に対して所定の角度θで第一ヒートシンク11と対称に傾斜配置される。そして、第二ヒートシンク12の表面の下辺寄りの部位には、単相電力変換器INVのV相側の半導体デバイスT2,T4,T6,T8が半導体デバイスT1,T3,T5,T7と対称に配置されている。また、第二ヒートシンク12の側面にはフィン121が備えられている。
正極導体Pは、第一ヒートシンク11と第二ヒートシンク12との間で平滑コンデンサCを立設支持した状態で、単相電力変換器INVの半導体デバイスT1〜T8の正極TPと平滑コンデンサCとを接続させる長板状の導体からなる。
負極導体Nは、第一ヒートシンク11と第二ヒートシンク12との間で平滑コンデンサCを立設支持した状態で、単相電力変換器INVの半導体デバイスT1〜T8の負極TNと平滑コンデンサCとを接続させる正極導体Pと同形の長板状の導体からなる。
U相導体Uは、単相電力変換器INVのU相側の半導体デバイスT1,T3,T5,T7の共通接続点に接続されて第一ヒートシンク11と第二ヒートシンク12との間から下方鉛直に引き出される板状の導体からなる。
V相導体Vは、単相電力変換器INVのV相側の半導体デバイスT2,T4,T6,T8の共通接続点に接続されて第一ヒートシンク11と第二ヒートシンク12との間から図示省略の絶縁部材を介してU相導体Uと対向して下方鉛直に引き出されるU相導体Uと同形の板状の導体からなる。
(本実施形態の効果)
以上の導体接続構造1によれば、第一ヒートシンク11と第二ヒートシンク12とが対称に傾斜配置されている。また、第一ヒートシンク11の表面の下辺寄りの部位に半導体デバイスT1,T3,T5,T7が配置され、第二ヒートシンク12の表面の下辺寄りの部位には、半導体デバイスT2,T4,T6,T8が配置されている。さらに、正極導体P及び負極導体Nは、第一ヒートシンク11と第二ヒートシンク12との間で平滑コンデンサCを立設支持した状態で、単相電力変換器INVの半導体デバイスT1〜T8と平滑コンデンサCとを接続させている。以上のように半導体デバイスT1〜T8と平滑コンデンサCが集約配置されるので、単相電力変換器は従来構造よりもコンパクトとなる。
また、半導体デバイスT1〜T8及び平滑コンデンサCが互いに近傍に配置された態様により、以下の式(1)(2)を根拠に導体の自己インダクタンスが低減してサージ電圧を抑制できる。
すなわち、導体が長いと、式(1)(2)のように、導体の自己インダクタンスLが大きくなり、単相電力変換器のサージ電圧ΔEが増大する。
式(1)(2)において、l:導体長さ、R:自己幾何学的平均距離、K:配線インダクタンス、M:相互インダクタンス、di/dt:遮断電流の瞬間変化率である。
Figure 2020162378
また、往復導体の導体間距離が大きいと、導体の配線インダクタンスを低減させる相互インダクタンスが小さくなり、以下の式(3)(4)のように、単相電力変換器のサージ電圧が増大する。式(3)はl/rが大である場合の相互インダクタンスMを示す式であり、式(4)はl/rが小である場合の相互インダクタンスM’を示す式であり、r:導体間距離(式(5)も同様)、D:相互幾何学的平均距離である。
Figure 2020162378
さらに、U相導体U、V相導体Vも互いに近傍に配置されているので、以下の式(5)(6)を根拠に漏れ磁束が低減する。
すなわち、往復導体の導体間距離が大きいと、式(5)〜(8)から明らかなように、近接する磁性体に作用する漏れ磁束Φが大きくなり、誘導起電圧εおよび渦電流損Qが大きくなり易くなる。式(5)〜(8)において、X:磁性体と往路導体の距離、B:近接する磁性体に作用する磁束密度、Ba,Bb:磁性体位置の往復導体による磁束密度、μ:透磁率、I:うず電流、R:抵抗である。
Figure 2020162378
また、正極導体Pと負極導体Nとが同一形状を成し、また、U相導体UとV相導体Vとが同一形状を成しているので、並列する半導体デバイスT1〜T8の電流バランスが改善する。
さらに、対称に傾斜配置された第一ヒートシンク11と第二ヒートシンク12が形成する角度θにより単相電力変換器の体積は変化する。単相電力変換器をよりコンパクトにするためには角度θを小さくすれば良いが、角度θを小さくし過ぎるとU相導体とV相導体が対向近接しない部分が増えるので、漏れ磁束の大きさとのトレードオフ関係となる。高周波電流が流れ漏れ磁束の影響が大きいケースでは角度θは90°前後が適当である。
デッドスペースを無くし、単相電力変換器をよりコンパクトにするためには第一ヒートシンク11及び第二ヒートシンク12の長さLを短くするのが効果的である。例えば、第一ヒートシンク11及び第二ヒートシンク12を、水冷化して小型化、または、冷却風の流れの向きを正面から背面へ向かう方向に変更することにより、長さLの短小化が図れる。
第一ヒートシンク11及び第二ヒートシンク12の長さ、厚み、幅方向に導体やその他の部品が無いので、ヒートシンクのサイズや冷却方式の自由度が高くなる。
[実施形態2]
また、図2に示したように、導体接続構造1において、正極導体P及び負極導体Nは、U相側及びV相側の半導体デバイスT1〜T8の正極TP及び負極TNに対して着脱自在であるとよい。これにより、半導体デバイスT1〜T8と平滑コンデンサCを個別に組み立てることができるようになるので組立作業性が改善する。
[実施形態3]
さらに、図3に示したように、導体接続構造1においては、第一ヒートシンク11及び第二ヒートシンク12には、板状のヒートシンクに代えて、ヒートパイプ式のヒートシンクを適用してもよい。冷媒としては、水に例示され周知の冷媒を適用すればよい。
第一ヒートシンク11の側面13及び第二ヒートシンク12の側面14には、冷媒を第一ヒートシンク11及び第二ヒートシンク12の内部に循環的に供給する複数のヒートパイプ21が接続されている。さらに、このヒートパイプ21には複数のフィン22が周設されている。
そして、本態様の第一ヒートシンク11及び第二ヒートシンク12は、図4に示された支持フレーム3に支持される。支持フレーム3は、第一固定フレーム31、第二固定フレーム32及び第三固定フレーム33を備える。第一固定フレーム31は、第一ヒートシンク11及び第二ヒートシンク12が固定支持される直方体の枠体からなる。第二固定フレーム32は、第一固定フレーム31の内部で正極導体P、負極導体N、U相導体U及びV相導体Vを固定支持する。第三固定フレーム33は、単相電力変換器INVの複数の平滑コンデンサCを第一固定フレーム31の上部にて固定支持する。
以上の本実施形態によれば、第一ヒートシンク11及び第二ヒートシンク12を斜めに配置される特徴を生かし、ヒートパイプ21内作動液の循環作用を高めて冷却能力を高めることができる。
1…導体接続構造
INV…単相電力変換器、T1〜T8…半導体デバイス、TP…正極、TN…負極、C…平滑コンデンサ
11…第一ヒートシンク、12…第二ヒートシンク
P…正極導体、N…負極導体、U…U相導体、V…V相導体
21…ヒートパイプ、22…フィン
3…支持フレーム、31…第一固定フレーム、32…第二固定フレーム、33…第三固定フレーム

Claims (3)

  1. 単相電力変換器の導体接続構造であって、
    傾斜配置される第一ヒートシンクと、
    この第一ヒートシンクの表面の下辺寄りの部位に配置される単相電力変換器のU相側の複数の半導体デバイスと、
    前記第一ヒートシンクと対称に傾斜配置される第二ヒートシンクと、
    この第二ヒートシンクの表面の下辺寄りの部位に配置される前記単相電力変換器のV相側の複数の半導体デバイスと、
    前記第一ヒートシンクと前記第二ヒートシンクとの間で平滑コンデンサを立設支持した状態で前記単相電力変換器のU相側及びV相側の半導体デバイスの正極と当該平滑コンデンサとを接続する長板状の正極導体と、
    前記第一ヒートシンクと前記第二ヒートシンクとの間で前記平滑コンデンサを立設支持した状態で前記単相電力変換器のU相側及びV相側の半導体デバイスの負極と当該平滑コンデンサとを接続する前記正極導体と同形の負極導体と、
    前記単相電力変換器のU相側の半導体デバイスの共通接続点に接続されて前記第一ヒートシンクと前記第二ヒートシンクとの間から下方鉛直に引き出される板状のU相導体と、
    前記単相電力変換器のV相側の半導体デバイスの共通接続点に接続されて前記第一ヒートシンクと前記第二ヒートシンクとの間から前記U相導体と対向して下方鉛直に引き出される板状のV相導体と
    有することを特徴とする導体接続構造。
  2. 前記正極導体及び前記負極導体は、前記U相側及びV相側の半導体デバイスの正極及び負極に対して着脱自在であること
    を特徴とする請求項1に記載の導体接続構造。
  3. 前記第一ヒートシンク及び前記第二ヒートシンクは板状またはヒートパイプ式のヒートシンクであることを特徴とする請求項1または2に導体接続構造。
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