JP2020161345A - 電極活物質、蓄電デバイス用電極、及び蓄電デバイス - Google Patents

電極活物質、蓄電デバイス用電極、及び蓄電デバイス Download PDF

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孫  仁徳
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弘司 福井
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Akira Nakasuga
章 中壽賀
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Yuya Oaki
佑哉 緒明
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Daiki Hasebe
大喜 長谷部
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Abstract

【課題】蓄電デバイスのレート特性やサイクル特性、あるいはキャパシタ特性を向上させることができる、電極活物質を提供する。【解決手段】電極活物質基体2と、電極活物質基体2の表面2aの少なくとも一部を被複している被覆層3と、を備える、電極活物質1であって、被覆層3が、電子求引性の官能基を有する芳香族炭化水素に由来する構造単位を含む導電性高分子により構成されており、空気雰囲気下及び昇温速度10℃/分の条件で、電極活物質1の熱重量分析をしたときに、100℃〜600℃の温度範囲における重量損失が、0.5重量%以上、60重量%以下である、電極活物質1。【選択図】図1

Description

本発明は、電極活物質、並びに該電極活物質を用いた蓄電デバイス用電極及び蓄電デバイスに関する。
近年、ハイブリッド自動車、電気自動車又は家庭用蓄電用途などに向けて、リチウムイオン二次電池やキャパシタ等の蓄電デバイスの研究開発が盛んに行われている。蓄電デバイスの電極活物質としては、例えば、リチウムイオン二次電池では、リチウム含有遷移金属酸化物が広く用いられている。しかしながら、一般的にリチウム含有遷移金属酸化物のような電極活物質は、導電性が低く、導電助剤を大量に添加する必要がある。そこで、このような導電助剤の添加量を削減する手法として、電極活物質の表面を有機系又は無機系の導電材により被覆する方法が提案されている。
例えば、下記の特許文献1には、Liを含有する電極活物質基体の一次粒子の表面が、導電性高分子と、電極活物質自体が有する以上の電子伝導性を導電性高分子に生じさせ得る陰イオンとを含む層により被覆されてなる二次電池用正極材料が開示されている。特許文献1では、陰イオンを含む層が、電子伝導性及びLiイオン伝導性を付与するとともに、充電の際の高電圧印可時の電解液の酸化分解や、正極材料中の遷移金属成分の電解液への溶出等の副反応を抑制する保護層としての機能を有する旨が記載されている。
国際公開第2014/185460号
ところで、リチウムイオン二次電池やキャパシタなどの蓄電デバイスの分野においては、電池特性やキャパシタ特性などのさらに一層の改善が求められている。しかしながら、特許文献1の二次電池用正極材料によっても、蓄電デバイスのレート特性やサイクル特性をなお十分に高めることができないという問題がある。また、蓄電デバイスがキャパシタである場合には、キャパシタ特性をなお十分に高めることができないという問題がある。
本発明の目的は、蓄電デバイスのレート特性やサイクル特性、あるいはキャパシタ特性を向上させることができる、電極活物質、並びに該電極活物質を用いた蓄電デバイス用電極及び蓄電デバイスを提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討した結果、電極活物質基体と、電極活物質基体の表面の少なくとも一部を被複している被覆層と、を備える、電極活物質であって、被覆層を、特定の導電性高分子により構成し、かつ電極活物質の熱重量分析により測定した重量損失を特定の範囲とすることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を成すに至った。
すなわち、本発明に係る電極活物質は、電極活物質基体と、前記電極活物質基体の表面の少なくとも一部を被複している被覆層と、を備える、電極活物質であって、前記被覆層が、電子求引性の官能基を有する芳香族炭化水素に由来する構造単位を含む導電性高分子により構成されており、空気雰囲気下及び昇温速度10℃/分の条件で、前記電極活物質の熱重量分析をしたときに、100℃〜600℃の温度範囲における重量損失が、0.5重量%以上、60重量%以下である。
本発明に係る電極活物質のある特定の局面では、前記芳香族炭化水素が、互いにパラ位に位置する2つの前記電子求引性の官能基を有する。
本発明に係る電極活物質の他の特定の局面では、前記芳香族炭化水素における前記電子求引性の官能基が、カルボニル基及びビニル基のうち少なくとも一方である。
本発明に係る電極活物質のさらに他の特定の局面では、前記芳香族炭化水素が、キノン及びキノン誘導体のうち少なくとも一方である。好ましくは、前記キノン誘導体が、ハロゲン基を有する。より好ましくは、前記ハロゲン基が、フッ素基である。
本発明に係る電極活物質のさらに他の特定の局面では、前記導電性高分子が、複素環式芳香族化合物に由来する構造単位をさらに含む。好ましくは、前記複素環式芳香族化合物を構成する複素環が、5員環又は6員環である。より好ましくは、前記複素環式芳香族化合物が、ピロール及びチオフェンのうち少なくとも一方である。
本発明に係る電極活物質のさらに他の特定の局面では、二次電池用の正極活物質又は負極活物質である。好ましくは、前記二次電池用の正極活物質であり、前記電極活物質基体が、コバルト酸リチウムである。好ましくは、前記二次電池用の負極活物質であり、前記電極活物質基体が、シリコン又はシリコン化合物である。
本発明に係る電極活物質のさらに他の特定の局面では、キャパシタ用の電極活物質であり、前記電極活物質基体が、炭素材料である。
本発明に係る蓄電デバイス用電極は、本発明に従って構成される電極活物質を含む。
本発明に係る蓄電デバイスは、本発明に従って構成される蓄電デバイス用電極を備える。
本発明によれば、蓄電デバイスのレート特性やサイクル特性、あるいはキャパシタ特性を向上させることができる、電極活物質、並びに該電極活物質を用いた蓄電デバイス用電極及び蓄電デバイスを提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る電極活物質を示す模式的断面図である。 図2は、気相法によって、電極活物質基体の表面に、電子求引性の官能基を有する芳香族炭化水素に由来する構造単位を含む導電性高分子をコーティングする方法の一例について説明するための模式図である。 図3は、実施例1で得られた表面被覆コバルト酸リチウム粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
(電極活物質)
図1は、本発明の一実施形態に係る電極活物質を示す模式的断面図である。図1に示すように、電極活物質1は、電極活物質基体2と、被覆層3とを備える。
本実施形態において、電極活物質基体2は、球状の粒子である。もっとも、電極活物質基体2の形状は、特に限定されず、略球状、楕円体状、略楕円体状、平板状、鱗片状などの形状であってもよい。
電極活物質基体2の表面2aを覆うように、被覆層3が設けられている。被覆層3は、本実施形態のように、電極活物質基体2の表面2aの全部を覆っていてもよく、一部を覆っていてもよい。
被覆層3は、電子求引性の官能基を有する芳香族炭化水素に由来する構造単位を含む導電性高分子により構成されている。
また、本実施形態においては、空気雰囲気下及び昇温速度10℃/分の条件で、電極活物質1の熱重量分析をしたときに、100℃〜600℃の温度範囲における重量損失が、0.5重量%以上、60重量%以下である。
本実施形態の電極活物質1は、上記のような構成を備えるので、蓄電デバイスの電極に用いたときに、蓄電デバイスのレート特性やサイクル特性を向上させることができる。また、蓄電デバイスがキャパシタである場合には、キャパシタ特性を向上させることができる。詳細には、下記のようなメカニズムにより、得られる蓄電デバイスのレート特性やサイクル特性、あるいはキャパシタ特性を向上させることができる。
電極活物質1が正極活物質である場合、本発明の被覆層を有することにより、正極活物質基体の構造が安定化され、遷移金属の溶出が抑制されると同時に、より高電圧での充放電が可能となる。結果として、レート特性とサイクル特性とが向上し、高容量化も可能となる。
電極活物質1が負極活物質である場合、本発明の被覆層を有することにより、負極活物質基体の構造が安定化されると同時に、電解液の分解を引き起こす表面活性点が低減される。つまり、充放電時の活物質の体積膨張・収縮や、電解液の分解を抑制することができる。その結果、レート特性とサイクル特性が向上する。また、電極活物質1がキャパシタ用の電極活物質である場合、本発明の被覆層が、レドックス(Redox)キャパシタとして機能するため、キャパシタ特性を一層向上させることができる。
このように、本発明者らは、電極活物質基体を被覆している被覆層に着目し、特に被覆層を、電子求引性の官能基を有する芳香族炭化水素に由来する構造単位を含む導電性高分子によって構成し、しかも電極活物質の熱重量分析による重量損失を特定の範囲とすることにより、蓄電デバイスのレート特性やサイクル特性を向上させ得ることを見出した。
本発明において、電極活物質の熱重量分析による上記重量損失は、0.5重量%以上、好ましくは0.8重量%以上、60重量%以下、好ましくは55重量%以下である。また、本発明に係る電極活物質が、二次電池用の正極活物質である場合、電極活物質の熱重量分析による上記重量損失は、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは0.8重量%以上、好ましくは20重量%以下、より好ましくは15重量%以下である。本発明に係る電極活物質が、二次電池用の負極活物質である場合、電極活物質の熱重量分析による上記重量損失は、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、好ましくは40重量%以下、より好ましくは35重量%以下である。本発明に係る電極活物質が、キャパシタ用の電極活物質である場合、電極活物質の熱重量分析による上記重量損失は、好ましくは15重量%以上、より好ましくは20重量%以上、好ましくは60重量%以下、より好ましくは55重量%以下である。
熱重量分析による上記重量損失が上記範囲内である場合、電極活物質基体の構造が安定化したり、レドックスキャパシタとしての機能に優れたりするため、蓄電デバイスのレート特性やサイクル特性、あるいはキャパシタ特性をより一層高めることができる。上記熱重量分析は、熱重量・熱量同時測定装置(日立ハイテクサイエンス社製、品番:TG/DTA7200)を用いて測定することができる。なお、上記熱重量分析は、下記の条件で測定する。
雰囲気:空気
昇温速度:10℃/分
温度範囲:25℃〜600℃
ここで、上記「100℃〜600℃の温度範囲における重量損失」とは、100℃到達ときの重量を基準に求める。
上記重量損失を任意の範囲内に調整する方法としては、使用する電極活物質基体によって、反応時間や反応温度を適宜設定することが挙げられる。
以下、本発明の電極活物質を構成する各材料の詳細について説明する。
(電極活物質基体)
電極活物質基体としては、特に限定されないが、電極活物質が正極活物質の場合には、例えば、リチウム金属酸化物、リチウム硫化物、又は硫黄等が挙げられる。
リチウム金属酸化物としては、層状岩塩型構造の化合物、スピネル型構造の化合物、オリビン型構造の化合物、又はそれらの混合物が挙げられる。
層状岩塩型構造の化合物としては、例えば、コバルト酸リチウムやニッケル酸リチウム等が挙げられる。
スピネル型構造の化合物としては、例えば、マンガン酸リチウム等が挙げられる。
オリビン型構造の化合物としては、例えば、オリビン酸鉄リチウム等が挙げられる。
これらのなかでも、正極活物質の電極活物質基体は、コバルト酸リチウムであることが好ましい。
また、電極活物質が負極活物質の場合には、電極活物質基体としては、例えば、金属又は金属化合物を用いることができる。
金属又は金属化合物としては、Co、Mn、Ni、P、Sn、Ge、Si、Ti、Zr、V、Al、又はこれらの化合物を用いることができる。なかでも、Si(シリコン)、Si(シリコン)の化合物、Sn、又はSnの化合物であることが好ましい。Siの化合物としては、Siと他の金属との合金、SiOやSiOなどのSi酸化物等であることが好ましい。Snの化合物としては、Snと他の金属との合金、SnOやSnOなどのSnの酸化物等であることが好ましい。この場合、蓄電デバイスの容量をより一層高めることができる。なお、これらの金属又は金属化合物は、1種類を単独で用いてもよく、複数種類を併用してもよい。
また、電極活物質基体は、天然黒鉛、人造黒鉛、ハードカーボン等の炭素材料であってもよい。鱗片状や平面状の天然黒鉛を機械的な球状化処理によって得られる、略球状又は略楕円体状の黒鉛であってもよい。また、人造黒鉛としては、石油ピッチやコールタールピッチから得られた炭素前駆体を高温焼成することによって得られる、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)であってもよい。なかでも、メソカーボンマイクロビーズは、その内部の炭素六角網面がラメラ状の配向を有し、全方向からアルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンをスムーズに吸蔵、放出ができるので、より一層好適に用いることができる。
電極活物質基体の平均粒子径は、特に限定されないが、好ましくは10nm以上、より好ましくは20nm以上、好ましくは70μm以下、より好ましくは50μm以下である。電極活物質基体の平均粒子径が上記範囲内にある場合、蓄電デバイスのレート特性やサイクル特性をより一層向上させることができる。なお、平均粒子径は、動的光散乱法による粒度分布測定装置又はレーザー回折法による粒度分布測定装置を用いて、体積基準分布で算出した値をいう。
(被覆層)
被覆層は、電極活物質基体の表面の少なくとも一部を覆っている。被覆層は、電極活物質基体の表面の30%以上を覆っていることが好ましく、50%以上を覆っていることがより好ましく、70%以上を覆っていることがさらに好ましい。この場合、蓄電デバイスのレート特性やサイクル特性をより一層向上させることができる。なお、被覆層は、電極活物質基体の表面の全部を覆っていてもよい。
被覆層は、電子求引性の官能基を有する芳香族炭化水素に由来する構造単位を含む導電性高分子により構成されている。導電性高分子は、電子求引性の官能基を有する芳香族炭化水素に由来する構造単位と、複素環式芳香族化合物に由来する構造単位とを含む重合体であることが好ましい。
電子求引性の官能基としては、特に限定されないが、例えば、ビニル基、カルボニル基、アシル基、シアノ基、ハロゲン基、ニトロ基、ヒドロキシ基、ハロゲン基、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。なかでも、電子求引性の官能基としては、ビニル基又はカルボニル基が好ましい。これらの官能基は、1種を単独で用いてもよく、複数種を併用してもよい。
電子求引性の官能基の数は、単数であっても、複数であってもよい。電子求引性官能基の数が2つである場合、置換基はオルト位、メタ位、パラ位のいずれをも取り得るが、パラ位であることが好ましい。
芳香族炭化水素の芳香環としては、例えば、ベンゼン環、シクロヘキサジエン、シクロペンタジエン等が挙げられる。
電子求引性の官能基を有する芳香族炭化水素しては、例えば、1,2−ベンゾキノン、1,4−ベンゾキノン、1,4−ナフトキノン、1,6−ナフトキノンなどのキノン;1,2−ジビニルベンゼン、1,4−ジビニルベンゼンなどのジビニルベンゼンが挙げられる。なかでも、電子求引性の官能基を有する芳香族炭化水素は、好ましくは1,4−ベンゾキノンである。
また、電子求引性の官能基を有する芳香族炭化水素は、置換基を有するキノン誘導体であってもよい。この場合、置換基としては、水素、ハロゲン基、ニトロ基、アミド基、チオール基、ヒドロキシル等が挙げられる。なかでも、ハロゲン基であることが好ましく、フッ素基であることがより好ましい。これらの置換基は、1種を単独で用いてもよく、複数種を併用してもよい。
キノン誘導体としては、例えば、2,3−ジクロロ−1,4−ナフトキノン(DCNQ)、2,5−ジクロロ−1,4−ベンゾキノン(DCBQ)が挙げられる。
これらの電子求引性の官能基を有する芳香族炭化水素は、1種を単独で用いてもよく、複数種を併用してもよい。
複素環式芳香族化合物としては、特に限定されないが、例えば、3〜6員環の不飽和化合物を用いることができる。なかでも、複素環式芳香族化合物としては、窒素原子又は硫黄原子を含む5員環又は6員環の不飽和化合物を用いることが望ましい。複素環式芳香族化合物は、含窒素複素環式芳香族化合物であることが好ましい。含窒素複素環式芳香族化合物は、窒素複素環中に炭素−炭素二重結合を有することが望ましい。
5員環の含窒素複素環式芳香族化合物としては、ピロール(1H−アゾール)、2H−ピロール(2H−アゾール)、イミダゾール(1,3−ジアゾール)、ピラゾール(1,2−ジアゾール)、チアゾール、イソチアゾール(1,3−チアゾール)、オキサゾール、イソオキサゾール(1,3−オキサゾール)、フラザン(1,2,5−オキサジアゾール)、1,2,5−チアジアゾール、1,2,3−チアジアゾール、1,2,3−トリアゾール等が挙げられる。なかでも、ピロールやチアゾールが好ましい。
6員環の含窒素複素環式芳香族化合物としては、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン等が挙げられる。
また、複素環式芳香族化合物としては、チオフェン、3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDOT)のような含硫黄複素環式芳香族化合物であってもよい。
なお、このような複素環式芳香族化合物は、1種を単独で用いてもよく、複数種を併用してもよい。
導電性高分子の一例としては、下記式(1)に示す構造を含む1,4−ベンゾキノンとピロールとの共重合体が挙げられる。
式(1)に示すように導電性高分子は、二次元状若しくは平面状の構造を有していてもよいし、立体状に延びる構造を有していてもよい。また、グラファイト又はグラフェン類似の層状構造を有していてもよい。
なお、導電性高分子は、1,4−ベンゾキノンのカルボニル基の酸素に水素が付加してヒドロキシとなった重合体の還元体であってもよい。
導電性高分子中における電子求引性の官能基を有する芳香族炭化水素に由来する構造単位の割合は、好ましくは30重量%以上、より好ましくは40重量%以上、好ましくは80重量%以下、より好ましくは70重量%以下である。電子求引性の官能基を有する芳香族炭化水素に由来する構造単位の割合が上記範囲内にある場合、導電性と溶剤や分散剤との適度な親和性をより一層効果的に実現できる。上記「導電性高分子中における電子求引性の官能基を有する芳香族炭化水素に由来する構造単位の割合」を測定する方法としては、例えば、IRやXPSを用いて、導電性高分子中の結合割合を求め、得られた結合割合から算出することができる。
導電性高分子中における複素環式芳香族化合物に由来する構造単位の割合は、好ましくは30重量%以上、より好ましくは40重量%以上、好ましくは80重量%以下、より好ましくは70重量%以下である。複素環式芳香族化合物に由来する構造単位の割合が上記範囲内にある場合、導電性をより一層高めることができ、蓄電デバイスのレート特性やサイクル特性をより一層高めることができる。
被覆層の厚みは、特に限定されないが、好ましくは0.5nm以上、より好ましくは1.0nm以上、好ましくは200nm以下、より好ましくは150nm以下である。被覆層の厚みが上記下限値以上である場合、導電性をより一層高めることができ、蓄電デバイスのレート特性やサイクル特性をより一層高めることができる。また、被覆層の厚みが上記上限値以下である場合、導電性をより確実に確保することができ、活物質成分の溶出を抑制したり、構造の崩壊を抑制したりすることもできる。
なお、被覆層の厚みは、透過型電子顕微鏡写真(TEM写真)により観察した任意の10個の電極活物質における被覆層の厚みの平均値から求めることができる。
(電極活物質の製造方法)
本発明の電極活物質の製造方法は、特に限定されないが、例えば、気相法によって、電極活物質基体の表面に、電子求引性の官能基を有する芳香族炭化水素に由来する構造単位を含む導電性高分子をコーティングすることにより得ることができる。
具体的には、まず、電子求引性の官能基を有する芳香族炭化水素と、複素環式芳香族化合物とをそれぞれ揮発させ、蒸気を発生させる。次に、発生させた蒸気と、電極活物質基体とを接触させることにより、電極活物質を製造することができる。
以下、図2を参照しつつ、気相法によって、電極活物質基体の表面に、電子求引性の官能基を有する芳香族炭化水素に由来する構造単位を含む導電性高分子をコーティングする方法の一例について説明する。なお、図2に示すコーティング方法には、限定されない。
図2に示すように、まず、第1の容器10としてのガラス瓶を用意する。次に、上部が開口した第2の容器13としてのガラス瓶に、モノマー成分としての電子求引性の官能基を有する芳香族炭化水素14を添加し、第1の容器10の底部に配置する。一方で、上部が開口した第3の容器15としてのガラス瓶に、モノマー成分としての複素環式芳香族化合物16を添加し、第1の容器10の底部に配置する。また、電極活物質基体12を第1の容器10の蓋11側に配置する。その状態で、第1の容器10に蓋11を取り付け、第1の容器10内を密閉する。この際、芳香族炭化水素14、複素環式芳香族化合物16、及び電極活物質基体12は、上述した芳香族炭化水素、複素環式芳香族化合物、及び電極活物質基体をそれぞれ用いることができる。
次に、第1の容器10内を密閉した状態で、所定時間静置する。これにより、芳香族炭化水素14及び複素環式芳香族化合物16をそれぞれ揮発させる。揮発した芳香族炭化水素14及び複素環式芳香族化合物16は、電極活物質基体12に吸着するとともに、互いに反応する。より具体的には、芳香族炭化水素14及び複素環式芳香族化合物16が、互いに付加環化反応する。それによって、芳香族炭化水素14及び複素環式芳香族化合物16が、炭素−炭素結合を形成し、縮合環を形成するように重合させることにより、二次元状若しくは平面状、又は立体状に延びる重合体(導電性高分子)が得られる。また、グラファイト又はグラフェン類似の層状構造を形成することができる。このようにして、電極活物質基体12の表面に、芳香族炭化水素14に由来する構造単位及び複素環式芳香族化合物16に由来する構造単位を含む導電性高分子をコーティングすることにより、被覆層を形成し、電極活物質を得ることができる。
なお、図2に示すように、第1の容器10内においては、芳香族炭化水素14及び複素環式芳香族化合物16を混合せずに、別々に配置した状態で揮発させることが望ましい。
芳香族炭化水素14及び複素環式芳香族化合物16は、溶媒に溶解させて用いてもよい。このような溶媒としては、特に限定されないが、アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、エタノール、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスファミド等が挙げられる。もっとも、本実施形態のように、溶媒に溶解させずに用いてもよい。
また、第1の容器10内を密閉した状態で、所定時間静置する際には、電子求引性の官能基を有する芳香族炭化水素14及び複素環式芳香族化合物16が揮発性を有する場合、室温で静置してもよい。もっとも、加熱して静置してもよい。
第1の容器10を静置する時間(重合時間)は、特に限定されないが、好ましくは5分以上、より好ましくは10分以上、好ましくは96時間以下、より好ましくは72時間以下とすることができる。第1の容器10を静置する時間が上記下限値以上である場合、得られた重合体が平面状により一層延びて電極活物質基体をより一層確実に被覆することができる。また、平面状に延びた構造がさらに複数積層し、より一層積層体構造を形成しやすい。得られた重合体は、より一層導電性に優れたグラファイト又はグラフェン類似の層状構造をより一層形成しやすい。第1の容器10を静置する時間が上記上限値以下である場合、構成材料がより一層劣化し難い。
第1の容器10を加熱する際には、加熱温度(重合温度)としては、特に限定されず、例えば、100℃以下で行うことが望ましい。第1の容器10の加熱温度は、好ましくは20℃以上、より好ましくは30℃以上、好ましくは90℃以下、より好ましくは80℃以下である。第1の容器10の加熱温度が上記下限値以上である場合、芳香族炭化水素14及び複素環式芳香族化合物16の反応をより一層促進させることができる。また、第1の容器10の加熱温度が上記上限値以下である場合、被着物質への均一な厚さでのコーティングが可能となる。
また、第1の容器10の加熱は、大気圧下で行ってもよく、反応をより一層促進させるために減圧下で行ってもよい。また、第1の容器10の加熱は、例えば、空気雰囲気下で行うことができる。もっとも、窒素雰囲気下などの不活性ガス雰囲気下で行ってもよい。
なお、導電性高分子により構成されている被覆層が形成されているか否かは、FT−IR、熱重量分析、元素分析、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡等により確認することができる。
被覆層の厚み(上記熱重量分析における重量損失)は、上記の静置時間(重合時間)、加熱温度(重合温度)、電極活物質基体12に対する仕込み量の割合等により調整することができる。
電極活物質基体12に対する芳香族炭化水素14及び複素環式芳香族化合物16の仕込み量の割合は、重量比((芳香族炭化水素14+複素環式芳香族化合物16)/電極活物質基体12)で、好ましくは5.0以上、より好ましくは10.0以上、好ましくは30.0以下、より好ましくは20.0以下である。この場合、被覆層の厚み(上記熱重量分析における重量損失)をより一層最適な範囲に調整することができる。
また、芳香族炭化水素14と複素環式芳香族化合物16との仕込み量の割合は、重量比(芳香族炭化水素14/複素環式芳香族化合物16)で、好ましくは1.1以上、より好ましくは1.5以上、好ましくは3以下である。この場合、被覆層の厚み(上記熱重量分析における重量損失)をより一層最適な範囲に調整することができる。
(蓄電デバイス用電極及び蓄電デバイス)
本発明の蓄電デバイスとしては、特に限定されないが、非水電解質一次電池、水系電解質一次電池、非水電解質二次電池、水系電解質二次電池、全固体電解質一次電池、全固体電解質二次電池、コンデンサ、電気二重層キャパシタ、又はリチウムイオンキャパシタなどが挙げられる。
本発明の蓄電デバイスは、本発明の電極活物質を含む蓄電デバイス用電極を備えているので、蓄電デバイスのレート特性やサイクル特性を向上させることができる。
特に、本発明の蓄電デバイスは、リチウムイオン二次電池などの二次電池やキャパシタに好適に用いることができる。
本発明の蓄電デバイスに用いる蓄電デバイス用電極は、正極であってもよく、負極であってもよい。従って、電極活物質は、正極活物質であってもよく、負極活物質であってもよい。
本発明の蓄電デバイス用電極は、本発明の電極活物質に、必要に応じて導電助剤や、バインダー、あるいは溶媒を含めた電極材料を賦形することにより得ることができる。
電極材料の賦形は、例えば、圧延ローラーでシート化した後、乾燥することにより行うことができる。また、本発明の電極活物質と溶媒と必要に応じて導電助剤やバインダーとからなる塗液を集電体に塗工し、その後乾燥することにより行ってもよい。
導電助剤としては、例えば、グラフェン、人造黒鉛、粒状黒鉛化合物、繊維状黒鉛化合物、カーボンブラック、又は活性炭等を用いることができる。
バインダーとしては、例えば、ポリビニルブチラール、ポリテトラフルオロエチレン、スチレンブタジエンゴム、ポリイミド樹脂、アクリル系樹脂、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素系ポリマーや、水溶性のカルボキシメチルセルロースなどの樹脂を用いることができる。好ましくは、ポリテトラフルオロエチレンを用いることができる。ポリテトラフルオロエチレンを用いた場合、分散性や耐熱性をより一層向上させることができる。
なお、上記溶媒としては、エタノール、N−メチルピロリドン(NMP)又は水等を使用することができる。
電極材料中における電極活物質の含有量は、電極材料全体を100質量%としたときに、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、好ましくは99質量%以下、より好ましくは98質量%以下である。電極活物質の含有量が上記範囲内にある場合、蓄電デバイスのレート特性やサイクル特性をより一層向上させることができる。なお、電極活物質は、一種類を用いてもよく、二種類または二種類以上を用いてもよい。
電極材料中における導電助剤の含有量は、電極材料全体を100質量%としたときに、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下である。導電助剤の含有量が上記範囲内にある場合、蓄電デバイスのレート特性やサイクル特性をより一層向上させることができる。
電極材料中におけるバインダーの含有量は、電極材料全体を100質量%としたときに、例えば、0.1質量%以上、30質量%以下とすることができる。
蓄電デバイスが、非水電解質二次電池である場合、非水電解質二次電池の正極及び負極は、集電体の片面又は両面に同じ電極を形成させた形態であってもよく、集電体の片面に正極、他方の面に負極を形成させた形態、すなわち、バイポーラ電極であってもよい。
非水電解質二次電池は、正極側と負極側との間にセパレータを配置したものを倦回したものであってもよいし、積層したものであってもよい。正極、負極及びセパレータには、リチウムイオン伝導を担う非水電解質が含まれている。
非水電解質二次電池は、上記積層体を倦回、あるいは複数積層した後にラミネートフィルムで外装してもよいし、角形、楕円形、円筒形、コイン形、ボタン形、シート形の金属缶で外装してもよい。外装には発生したガスを放出するための機構が備わっていてもよい。積層体の積層数は、特に限定されず、所望の電圧値、電池容量を発現するまで積層させることができる。
非水電解質二次電池は、所望の大きさ、容量、電圧によって、適宜直列、並列に接続した組電池とすることができる。上記組電池においては、各電池の充電状態の確認、安全性向上のため、組電池に制御回路が付属されていることが好ましい。
非水電解質二次電池に用いる非水電解質は、特に限定されないが、非水溶媒に溶質を溶解させた電解液を高分子に含浸させたゲル電解質、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドなどの高分子固体電解質、又はサルファイドガラス、オキシナイトライドなどの無機固体電解質を用いることができる。
非水溶媒としては、後述の溶質をより一層溶解させやすいことから、環状の非プロトン性溶媒及び/又は鎖状の非プロトン性溶媒を含むことが好ましい。環状の非プロトン性溶媒としては、環状カーボネート、環状エステル、環状スルホン又は環状エーテルなどが例示される。鎖状の非プロトン性溶媒としては、鎖状カーボネート、鎖状カルボン酸エステル又は鎖状エーテルなどが例示される。また、上記に加え、アセトニトリルなどの一般的に非水電解質の溶媒として用いられる溶媒を用いてもよい。より具体的には、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチルラクトン、1,2−ジメトキシエタン、スルホラン、ジオキソラン、又はプロピオン酸メチルなどを用いることができる。これら溶媒は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合しても用いてもよい。もっとも、後述の溶質をより一層容易に溶解させ、リチウムイオンの伝導性をより一層高める観点から、2種類以上混合した溶媒を用いることが好ましい。
溶質としては、特に限定されないが、例えば、LiClO、LiBF、LiPF、LiAsF、LiCFSO、LiBOB(Lithium Bis (Oxalato) Borate)、又はLiN(SOCFなどが好ましい。この場合、溶媒により一層容易に溶解させることができる。
蓄電デバイスは、上述したように水系電解質二次電池であってもよい。この場合、水系電解液としては、硝酸リチウム、硫酸リチウム、酢酸リチウムなどのリチウム塩等を溶解した水溶液を用いることができる。
また、蓄電デバイスをキャパシタに用いる場合、キャパシタの電解液としては、水系を用いてもよいし、非水系(有機系)を用いてもよい。
水系の電解液としては、例えば、溶媒に水を用い、電解質に硫酸や水酸化カリウムなどを用いた電解液が挙げられる。
他方、非水系の電解液としては、例えば、以下の溶媒や電解質、イオン性液体を用いた電解液を用いることができる。
溶媒としては、アセトニトリル、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、又はアクリロニトリル(AN)などが挙げられる。
電解質としては、6フッ化リン酸リチウム(LiPF)、4フッ化ホウ酸リチウム(LiBF)、4フッ化ホウ酸テトラエチルアンモニウム(TEABF)又は4フッ化ホウ酸トリエチルメチルアンモニウム(TEMABF)などが挙げられる。
イオン性液体としては、例えば、以下のカチオンとアニオンを有するイオン性液体を用いることができる。カチオンとしては、イミダゾリウムイオン、ピリジニウムイオン、アンモニウムイオン、ホスホニウムイオンなどが挙げられる。アニオンとしては、4フッ化ホウ素イオン(BF )、6フッ化ホウ素イオン(BF )、4塩化アルミニウムイオン(AlCl )、6フッ化タンタルイオン(TaF )、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタンイオン(C(CFSO )などが挙げられる。イオン性液体を用いた場合には、蓄電デバイスにおいて、駆動電圧をより一層向上させ得る。つまりエネルギー密度をより一層向上させることができる。
次に、本発明の具体的な実施例及び比較例を挙げることにより本発明を明らかにする。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
1,4−ベンゾキノン(BQ)の粉末(純度98.0%、東京化成工業社製)100mgとピロール(Py)の液体(純度99.0%、東京化成工業社製)0.5mLを図2に示すように別々の容器13,15に入れ、それらを容器10の底部に配置した。また、コート対象となる電極活物質基体12としてのコバルト酸リチウム(日本化学工業社製)100mgを容器10の上部に配置し、容器10の蓋11をして空気雰囲気で密閉した。密閉後、反応温度60℃で反応時間24時間静置した。その後、容器10から、電極活物質基体12を取り出し、電極活物質基体12の表面をアセトンで洗浄した。それによって、電極活物質基体12の表面に、1,4−ベンゾキノン(BQ)とピロール(Py)との重合体により構成される被覆層が設けられている電極活物質を得た。
得られた電極活物質を透過電子顕微鏡(TEM)で観察した結果を図3に示す。図3より、コバルト酸リチウム粒子の表面に、均一な被覆層が観察され、その被覆層の厚みが5nmであることが確認された。
得られた電極活物質について、熱重量・熱量同時測定装置(日立ハイテクサイエンス社製、品番:TG/DTA7200)を用いて、空気雰囲気下、100℃〜600℃の温度範囲、及び昇温速度10℃/分で、熱重量分析を行った。100℃〜600℃における重量損失は、0.92重量%であった。
得られた電極活物質と、導電助剤としてカーボンブラック(デンカ社製、デンカブラック)と、バインダーとしてPVDF(クレハ社製、KFポリマー#1100)とを重量比60:30:10の割合で配合し、適量N−メチルピロリドン(NMP)を添加し、乳鉢で均一に混合させ、正極活物質−導電助剤−バインダーの複合物を得た。その後、正極活物質の目付量が約2.0mgなるように、上記スラリー状の複合物を大きさ10mm×10mmのステンレスメッシュ(SUS304、ニラコ製、100メッシュ)に塗布した。その後、120℃で5時間真空乾燥することによって、正極を作製した。
(実施例2)
反応時間を24時間から72時間に変更した以外は、実施例1と同様にして、電極活物質を得た。
得られた電極活物質について、実施例1と同様の条件で、熱重量分析を行ったところ、100℃〜600℃における重量損失が3.0重量%であった。
このようにして得られた電極活物質を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、正極を作製した。
(実施例3)
1,4−ベンゾキノン(BQ)の粉末(純度98.0%、東京化成工業社製)1.00gとピロール(Py)の液体(純度99.0%、東京化成工業社製)0.5mLを図2に示すように別々の容器13,15に入れ、それらを容器10の底部に配置した。また、コート対象となる電極活物質基体12としてのシリコン粒子(Aldrich社製、<100nm)100mg(仕込み量)を容器10の上部に配置し、容器10の蓋11をして空気雰囲気で密閉した。密閉後、反応温度60℃で反応時間4時間静置した。その後、容器10から、電極活物質基体12を取り出し、電極活物質基体12の表面をアセトンで洗浄した。それによって、電極活物質基体12の表面に、1,4−ベンゾキノン(BQ)とピロール(Py)との重合体により構成される被覆層が設けられている電極活物質を得た。
得られた電極活物質について、実施例1と同様な条件で、熱重量分析を行ったところ、100℃〜600℃における重量損失が23.5重量%であった。
得られた電極活物質と、黒鉛(平均粒径18μm、大阪ガスケミカル社製)と、導電助剤としてカーボンブラック(デンカ社製、デンカブラック)と、バインダーとしてPVDF(クレハ社製、KFポリマー#1100)とを重量比12.75:72.25:5:10の割合で配合し、適量のN−メチルピロリドン(NMP)溶媒を添加し乳鉢で均一に混合することによって、負極活物質−黒鉛−導電助剤−バインダーの複合物を得た。その後、上記スラリー状の複合物を大きさ10mm×10mmのステンレスメッシュ(SUS304、ニラコ製、100メッシュ)に塗布した。その後、120℃で5時間真空乾燥することによって、負極を作製した。
(実施例4)
1,4−ベンゾキノン(BQ)の粉末(純度98.0%、東京化成工業社製)1.00gとピロール(Py)の液体(純度99.0%、東京化成工業社製)0.5mLを図2に示すように別々の容器13,15に入れ、それらを容器10の底部に配置した。また、コート対象となる電極活物質基体12としての導電性カーボン粒子(ライオン社製、型番ECP−200L、比表面積〜377m/g)100mgを容器10の上部に配置し、容器10の蓋11をして空気雰囲気で密閉した。密閉後、温度60℃で24時間静置した。その後、容器10から、電極活物質基体12を取り出し、電極活物質基体12の表面をアセトンで洗浄した。それによって、電極活物質基体12の表面に、1,4−ベンゾキノン(BQ)とピロール(Py)との重合体により構成される被覆層が設けられている電極活物質を得た。
得られた電極活物質について、実施例1と同様の条件で、熱重量分析を行ったところ、100℃〜600℃における重量損失が17.0重量%であった。
得られた電極活物質と、バインダーとしてPVDF(クレハ社製、KFポリマー#1100)とを重量比90:10の割合で配合し、適量のNMP溶媒を添加し乳鉢で均一に混合することによって、電極活物質−バインダーの複合物を得た。その後、上記複合物のペーストを大きさ10mm×10mmのステンレスメッシュ(SUS304、ニラコ製、100メッシュ)に塗布した。その後、120℃で5時間真空乾燥することによって、キャパシタ電極を作製した。
(実施例5)
1,4−ベンゾキノン(BQ)の粉末(純度98.0%、東京化成工業社製)1.00gとピロール(Py)の液体(純度99.0%、東京化成工業社製)0.5mLを図2に示すように別々の容器13,15に入れ、それらを容器10の底部に配置した。また、コート対象となる電極活物質基体12としての導電性カーボン粒子(ライオン社製、型番ECP−200L、比表面積〜377m/g)100mg(仕込み量)を容器10の上部に配置し、容器10の蓋11をして空気雰囲気で密閉した。密閉後、温度60℃で48時間静置した。その後、容器10から、電極活物質基体12を取り出し、電極活物質基体12の表面をアセトンで洗浄した。それによって、電極活物質基体12の表面に、1,4−ベンゾキノン(BQ)とピロール(Py)との重合体により構成される被覆層が設けられている電極活物質を得た。
得られた電極活物質について、実施例1と同様な条件で、熱重量分析を行ったところ、100℃〜600℃における重量損失が49.3重量%であった。
得られた電極活物質を用いたこと以外は、実施例4と同様にして、キャパシタ電極を作製した。
(比較例1)
電極活物質として、コバルト酸リチウム(日本化学工業社製)をそのまま用いたこと以外は、実施例1と同様にして正極を作製した。
(比較例2)
反応時間を24時間から6時間に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、電極活物質を作製した。
得られた電極活物質について、実施例1と同様の条件で、熱重量分析を行ったところ、100℃〜600℃の温度範囲における重量損失が0.3重量%であった。
このようにして得られた電極活物質を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、正極を作製した。
(比較例3)
シリコン粒子(Aldrich社製、<100nm)をそのまま用いたこと以外は、実施例3と同様にして、負極を作製した。
(比較例4)
導電性カーボン粒子(ライオン社製、型番ECP−200L、比表面積〜377m/g)をそのまま用いたこと以外は、実施例4と同様にして、キャパシタ電極を作製した。
(比較例5)
48時間のコーティングを2回施した以外は、実施例5と同様の方法でキャパシタ電極を作製した。
なお、比較例5で得られた電極活物質について、実施例1と同様の条件で、熱重量分析を行ったところ、100℃〜600℃の温度範囲における重量損失が90重量%であった。
<正極特性の評価>
電池特性評価は三極式セルを用いた。具体的には、100mlのビーカーセルに、実施例1,2及び比較例1,2で得られた正極と、負極及び参照極として、Li箔を付けた銅メッシュ(ニラコ社製、100メッシュ)を設置し、下記充放電条件で電池特性を評価した。電解液としては、体積比1:1のエチレンカーボネット(EC)とジメチルカーボネート(DMC)に溶解した1mol/L濃度のLiPFを用いた。
充放電装置:北斗電工 HJ1001SD8
測定電位:3.0〜4.5V
測定レート:0.05Ag−1(0.5C相当)、2.0Ag−1(20C相当)
それぞれのレートでサイクル試験を行った。その結果を表1中の実施例1,2及び比較例1,2に示した。なお、表1では、以下の判断基準により評価した。
<実施例1,2及び比較例1,2のサイクル特性及びレート特性の判断基準>
サイクル特性の判断基準:
充放電レート0.05Ag−1において、サイクル試験500回後の放電容量の維持率が80%以上:A
充放電レート0.05Ag−1において、サイクル試験500回後の放電容量の維持率が80%未満:B
レート特性の判断基準:
充放電レート2.0Ag−1において、サイクル試験10回後の放電容量が100mAh/g以上、且つ容量維持率が80%以上:A
充放電レート2.0Ag−1において、サイクル試験10回後の放電容量が100mAh/g以上、且つ容量維持率が80%未満:B
<負極特性の評価>
電池特性評価は三極式セルを用いた。具体的には、100mlのビーカーセルに、実施例3及び比較例3で得られた負極と、正極及び参照極として、Li箔を付けた銅メッシュ(ニラコ社製、100メッシュ)を設置し、下記充放電条件で電池特性を評価した。電解液は体積比1:1のエチレンカーボネット(EC)とジメチルカーボネット(DMC)に溶解した1mol/L濃度のLiPFを用いた。
充放電装置:北斗電工 HJ1001SD8
測定電位:0.01〜2.0V vs.Li/Li
測定レート:0.05Ag−1、1.0Ag−1
上記レートでそれぞれサイクル試験を行い、その結果を表1中の実施例3及び比較例3に示した。なお、表1では、以下の判断基準により評価した。
<実施例3及び比較例3のサイクル特性及びレート特性の判断基準>
サイクル特性の判断基準:
充放電レート0.05Ag−1において、サイクル試験30回後の放電容量の維持率が85%以上:A
充放電レート0.05Ag−1において、サイクル試験30回後の放電容量の維持率が85%未満:B
レート特性の判断基準:
充放電レート1.0Ag−1において、サイクル試験30回後の放電容量が200mAh/g以上、且つ容量維持率が75%以上:A
充放電レート1.0Ag−1において、サイクル試験30回後の放電容量が200mAh/g以上、且つ容量維持率が75%未満:B
<キャパシタ特性の評価>
キャパシタ特性の評価は、三極式セルを用いた。具体的には、100mlのビーカーセルに、実施例4,5及び比較例4,5で得られたキャパシタ電極を作用極とし、Li箔を貼り付けた銅メッシュ(ニラコ社製、100メッシュ)を対極及び参照極として設置し、下記条件でサイクリックボルタンメトリー(cyclic voltammetry CV)を測定し、電極のキャパシタ特性を求めた。電解液はプロピレンカーボネット(PC)に溶解した1mol/L濃度のテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボラート(TEABF)を用いた。
充放電装置:プリンストンアプライドリサーチ VersaSTAT 3
測定電位:1.0〜3.5V
走査速度:100mVs−1
結果を表1中の実施例4,5及び比較例4,5に示した。なお、表1では、以下の判断基準により評価した。
<実施例4,5及び比較例4,5のキャパシタ特性の判断基準>
5回サイクル後のキャパシタ容量が20F/g以上:A
5回サイクル後のキャパシタ容量が20F/g未満:B
1…電極活物質
2…電極活物質基体
2a…表面
3…被覆層
10…第1の容器
11…蓋
12…電極活物質基体
13…第2の容器
14…芳香族炭化水素
15…第3の容器
16…複素環式芳香族化合物

Claims (15)

  1. 電極活物質基体と、前記電極活物質基体の表面の少なくとも一部を被複している被覆層と、を備える、電極活物質であって、
    前記被覆層が、電子求引性の官能基を有する芳香族炭化水素に由来する構造単位を含む導電性高分子により構成されており、
    空気雰囲気下及び昇温速度10℃/分の条件で、前記電極活物質の熱重量分析をしたときに、100℃〜600℃の温度範囲における重量損失が、0.5重量%以上、60重量%以下である、電極活物質。
  2. 前記芳香族炭化水素が、互いにパラ位に位置する2つの前記電子求引性の官能基を有する、請求項1に記載の電極活物質。
  3. 前記芳香族炭化水素における前記電子求引性の官能基が、カルボニル基及びビニル基のうち少なくとも一方である、請求項1又は2に記載の電極活物質。
  4. 前記芳香族炭化水素が、キノン及びキノン誘導体のうち少なくとも一方である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電極活物質。
  5. 前記キノン誘導体が、ハロゲン基を有する、請求項4に記載の電極活物質。
  6. 前記ハロゲン基が、フッ素基である、請求項5に記載の電極活物質。
  7. 前記導電性高分子が、複素環式芳香族化合物に由来する構造単位をさらに含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の電極活物質。
  8. 前記複素環式芳香族化合物を構成する複素環が、5員環又は6員環である、請求項7に記載の電極活物質。
  9. 前記複素環式芳香族化合物が、ピロール及びチオフェンのうち少なくとも一方である、請求項7又は8に記載の電極活物質。
  10. 二次電池用の正極活物質又は負極活物質である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の電極活物質。
  11. 前記二次電池用の正極活物質であり、
    前記電極活物質基体が、コバルト酸リチウムである、請求項10に記載の電極活物質。
  12. 前記二次電池用の負極活物質であり、
    前記電極活物質基体が、シリコン又はシリコン化合物である、請求項10に記載の電極活物質。
  13. キャパシタ用の電極活物質であり、
    前記電極活物質基体が、炭素材料である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の電極活物質。
  14. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の電極活物質を含む、蓄電デバイス用電極。
  15. 請求項14に記載の蓄電デバイス用電極を備える、蓄電デバイス。
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