JP2020160099A - 光学デバイス - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた配光性能を有する光学デバイスを提供する。【解決手段】光透過性を有する第一基板10と、第一基板10に対向して配置された光透過性を有する第二基板20と、第一基板10の第二基板20側に配置された第一電極30と、第一電極30の第二基板20側に配置された凹凸構造50と、第二基板20の第一基板10側に配置された第二電極40と、凹凸構造50と第二電極40との間に配置され、第一電極30と第二電極40との間に印加される電圧に応じて屈折率が変化する屈折率可変層60とを備え、屈折率可変層60は、絶縁性液体61と、絶縁性液体61に含まれ、帯電したナノ粒子62とを有し、ナノ粒子62の屈折率は、絶縁性液体61の屈折率よりも高い。【選択図】図3B
Description
本発明は、光学デバイスに関し、特に、入射する光を配光することができる光学デバイスに関する。
従来、光学デバイスとして、入射する光を配光することができる配光デバイスが提案されている。このような光学デバイスは、建物又は車等の窓等に用いられる。例えば、光学デバイスを建物の窓に設置することで、室外から入射する太陽光等の外光の進行方向を変更して当該外光を室内の天井に向けて導入することができる(例えば特許文献1、2)。
この種の配光デバイスとして、液晶を用いたものが知られている。例えば、特許文献3には、一対の透明基板と、一対の透明基板の内側に配置された一対の透明電極と、一対の透明電極の間に配置された液晶層とを備える液晶光学素子が開示されている。液晶を用いた配光デバイスでは、一対の透明電極に印加する電圧に応じて液晶層の液晶分子の配向状態を変化させることで、配光デバイスに入射する光の進行方向を変化させている。
しかしながら、液晶を用いた配光デバイスでは、十分な配光性能を得ることができない。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、優れた配光性能を有する光学デバイスを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る第1の光学デバイスの一態様は、光透過性を有する第一基板と、前記第一基板に対向して配置された光透過性を有する第二基板と、前記第一基板の前記第二基板側に配置された第一電極と、前記第一電極の前記第二基板側に配置された凹凸構造と、前記第二基板の前記第一基板側に配置された第二電極と、前記凹凸構造と前記第二電極との間に配置され、前記第一電極と前記第二電極との間に印加される電圧に応じて屈折率が変化する屈折率可変層とを備え、前記屈折率可変層は、絶縁性液体と、前記絶縁性液体に分散された帯電するナノ粒子とを有し、前記ナノ粒子の屈折率は、前記絶縁性液体の屈折率よりも高い。
また、本発明に係る第2の光学デバイスの一態様は、入射する光を制御する光学デバイスであって、光透過性を有する第一基板と、前記第一基板に対向して配置された光透過性を有する第二基板と、前記第一基板の前記第二基板側に配置された第一電極と、前記第一電極の前記第二基板側に配置された凹凸構造と、前記第二基板の前記第一基板側に配置された第二電極と、前記凹凸構造と前記第二電極との間に配置され、絶縁性液体及び前記絶縁性液体に分散された帯電するナノ粒子を有するナノ粒子分散層とを備え、前記光学デバイスは、前記第一電極と前記第二電極との間に印加される電圧に応じて、前記光学デバイスに入射する光の進行方向を制御する。
また、本発明に係る第3の光学デバイスの一態様は、光透過性を有する第一基板と、前記第一基板に対向して配置された光透過性を有する第二基板と、前記第一基板の前記第二基板側に配置された第一電極と、前記第一電極の前記第二基板側に配置された凹凸構造と、前記第二基板の前記第一基板側に配置された第二電極と、前記凹凸構造と前記第二電極との間に配置され、絶縁性液体及び前記絶縁性液体に分散された帯電するナノ粒子を有するナノ粒子分散層とを備え、前記第一電極と前記第二電極との間に印加される電圧に応じて、前記ナノ粒子分散層における前記ナノ粒子の粒子分布が変化する。
本発明によれば、優れた配光性能を有する光学デバイスを実現できる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であって本発明を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、各図において縮尺等は必ずしも一致していない。なお、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
また、本明細書及び図面において、X軸、Y軸及びZ軸は、三次元直交座標系の三軸を表しており、本実施の形態では、Z軸方向を鉛直方向とし、Z軸に垂直な方向(XY平面に平行な方向)を水平方向としている。X軸及びY軸は、互いに直交し、かつ、いずれもZ軸に直交する軸である。なお、Z軸方向のプラス方向を鉛直下方としている。また、本明細書において、「厚み方向」とは、光学デバイスの厚み方向を意味し、第一基板10及び第二基板20の主面に垂直な方向(本実施の形態では、Y軸方向)のことである。
(実施の形態)
まず、実施の形態に係る光学デバイス1の構成について、図1及び図2を用いて説明する。図1は、実施の形態に係る光学デバイス1の断面図である。図2は、同光学デバイス1の拡大断面図であり、図1の破線で囲まれる領域IIの拡大図を示している。
まず、実施の形態に係る光学デバイス1の構成について、図1及び図2を用いて説明する。図1は、実施の形態に係る光学デバイス1の断面図である。図2は、同光学デバイス1の拡大断面図であり、図1の破線で囲まれる領域IIの拡大図を示している。
光学デバイス1は、光学デバイス1に入射する光を制御する光制御デバイスである。具体的には、光学デバイス1は、光学デバイス1に入射する光の進行方向を制御する。本実施の形態において、光学デバイス1は、入射する光の進行方向を変更して(例えば配光して)出射させることができる配光デバイスである。
図1及び図2に示すように、光学デバイス1は、第一基板10と、第二基板20と、第一電極30と、第二電極40と、凹凸構造50と、屈折率可変層60とを備える。
光学デバイス1は、一対の第一基板10及び第二基板20の間に、第一電極30、凹凸構造50、屈折率可変層60及び第二電極40がこの順で厚み方向に沿って配置された構成となっている。
また、図1に示すように、光学デバイス1において、第一基板10、第一電極30及び凹凸構造50は、第一積層基板100を構成し、第二基板20及び第二電極40は、第二積層基板200を構成している。
第一積層基板100及び第二積層基板200は、ギャップを介して互いに対向するように配置されており、外周端部の全周が封止されている。これにより、第一積層基板100と第二積層基板200との間に充填された屈折率可変層60を閉じ込めることができる。例えば、第一積層基板100及び第二積層基板200の外周端部に沿って内面に額縁状に接着剤等のシール部材を形成したり、レーザによって第一基板10と第二基板20とを溶着したりすることで、第一積層基板100及び第二積層基板200の外周端部を封止することができる。
以下、光学デバイス1の各構成部材について、図1及び図2を参照して詳細に説明する。
[第一基板、第二基板]
図1及び図2に示すように、第一基板10は、第一積層基板100の基材であり、第二基板20は、第二積層基板200の基材である。
図1及び図2に示すように、第一基板10は、第一積層基板100の基材であり、第二基板20は、第二積層基板200の基材である。
第一基板10及び第二基板20は、光透過性を有する基板(透光性基板)である。第一基板10及び第二基板20は、透明な透明基板であるとよい。
第一基板10及び第二基板20としては、例えば、樹脂材料からなる樹脂基板又はガラス材料からなるガラス基板を用いることができる。樹脂基板の材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、アクリル又はエポキシ等が挙げられる。ガラス基板の材料としては、ソーダガラス、無アルカリガラス又は高屈折率ガラス等が挙げられる。樹脂基板は、破壊時の飛散が少ないという利点がある。一方、ガラス基板は、光透過率が高く、かつ、水分の透過性が低いという利点がある。
第一基板10と第二基板20とは、同じ材料で構成されていてもよいし、異なる材料で構成されていてもよいが、同じ材料で構成されている方がよい。また、第一基板10及び第二基板20は、リジッド基板に限るものではなく、フレキシブル基板又はフィルム基板であってもよい。本実施の形態では、第一基板10及び第二基板20として、いずれもPETからなる透明樹脂基板(PET基板)を用いている。
第一基板10及び第二基板20の厚さは、例えば5μm〜3mmであるが、これに限るものではない。本実施の形態において、第一基板10及び第二基板20の厚さは、いずれも50μmである。
また、第一基板10及び第二基板20の平面視の形状は、例えば正方形や長方形の矩形状であるが、これに限るものではなく、円形又は四角形以外の多角形であってもよく、任意の形状が採用され得る。
[第一電極、第二電極]
図1及び図2に示すように、第一電極30及び第二電極40は、電気的に対になっており、屈折率可変層60に電界を与えることができるように構成されている。また、第一電極30と第二電極40とは、配置的にも対になっており、互いに対向するように配置されている。
図1及び図2に示すように、第一電極30及び第二電極40は、電気的に対になっており、屈折率可変層60に電界を与えることができるように構成されている。また、第一電極30と第二電極40とは、配置的にも対になっており、互いに対向するように配置されている。
第一電極30は、第一基板10の第二基板20側に配置されている。また、第二電極40は、第二基板20の第一基板10側に配置されている。具体的には、第一電極30は、第一基板10の第二基板20側の主面に形成されており、第二電極40は、第二基板20の第一基板10側の主面に形成されている。
また、本実施の形態において、一対をなす第一電極30及び第二電極40は、少なくとも凹凸構造50及び屈折率可変層60を挟むように、第一基板10と第二基板20との間に配置されている。具体的には、第一電極30は、第一基板10と凹凸構造50との間に配置されており、第二電極40は、第二基板20と屈折率可変層60との間に配置されている。
第一電極30及び第二電極40の各々の厚さは、例えば5nm〜2μmであるが、これに限るものではない。本実施の形態において、第一電極30及び第二電極40の各々の厚さは、いずれも100nmである。
また、第一電極30及び第二電極40の平面視の形状は、第一基板10及び第二基板20と同様に、例えば正方形や長方形の矩形状であるが、これに限るものではない。本実施の形態において、第一電極30及び第二電極40は、第一基板10及び第二基板20の各々の表面のほぼ全面に形成された平面視形状が矩形状のべた電極である。
第一電極30及び第二電極40は、透光性を有する電極であり、入射した光を透過する。第一電極30及び第二電極40は、例えば透明導電層からなる透明電極である。透明導電層の材料としては、ITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)等の透明金属酸化物、銀ナノワイヤや導電性粒子等の導電体を含有する樹脂によって構成された導電体含有樹脂、又は、銀薄膜等の金属薄膜等を用いることができる。なお、第一電極30及び第二電極40は、これらの単層構造であってもよいし、これらの積層構造(例えば透明金属酸化物と金属薄膜との積層構造)であってもよい。
第一電極30及び第二電極40は、外部電源との電気接続が可能となるように構成されている。例えば、屈折率可変層60を封止するシール樹脂の外部にまで第一電極30及び第二電極40の各々が引き出されて、この引き出された部分を外部電源に接続するための電極端子にしてもよい。
[凹凸構造]
図1及び図2に示すように、凹凸構造50は、凹凸面を有する凹凸層であり、マイクロオーダサイズ又はナノオーダサイズの複数の凸部51が配列された構成である。
図1及び図2に示すように、凹凸構造50は、凹凸面を有する凹凸層であり、マイクロオーダサイズ又はナノオーダサイズの複数の凸部51が配列された構成である。
凹凸構造50は、第一基板10の第二基板20側に配置されている。本実施の形態において、凹凸構造50は、第一電極30の第二基板20側に配置されている。具体的には、凹凸構造50は、第一電極30の第二基板20側の主面に設けられている。
本実施の形態において、凹凸構造50は、複数の凸部51が屈折率可変層60側に突出するように第一電極30の上に設けられている。この場合、第一電極30と凹凸構造50との間に密着層が形成されていてもよい。なお、凹凸構造50の第一電極30側の面(凸部51の第一電極30側の面)は平坦な面となっている。
また、複数の凸部51は、ストライプ状に形成されている。具体的には、複数の凸部51の各々は、断面形状が三角形でX軸方向に延在する長尺状の略三角柱形状であり、Z軸方向に沿って等間隔に配列されている。また、全ての凸部51が同じ形状となっているが、これに限るものではない。
各凸部51は、例えば、高さが100nm以上100μm以下で、アスペクト比(高さ/底辺)が0.5〜10程度であるが、これに限るものではない。一例として、各凸部51は、高さが10μm程度で、底辺が5μm程度である。
また、Z軸方向に隣り合う2つの凸部51の間隔は、例えば0以上100mm以下である。つまり、Z軸方向に隣り合う2つの凸部51は、底部が接触することなく所定の間隔をあけて配置されていてもよいし、底部が接触して配置(間隔ゼロで)されていてもよいが、Z軸方向に隣り合う2つの凸部51の間隔は、凸部51の底辺以下であるとよい。一例として、上記サイズの凸部51(高さ10μm、底辺5μm)の場合、隣り合う2つの凸部51の間隔は、2μm程度である。
複数の凸部51の各々は、一対の側面を有する。本実施の形態において、各凸部51の断面形状は、第一基板10から第二基板20に向かう方向(Y軸マイナス方向)に沿って先細りのテーパ形状である。したがって、各凸部51の一対の側面の各々は、厚み方向に対して所定の傾斜角で傾斜する傾斜面となっており、各凸部51において一対の側面の間隔(凸部51の幅)は、第一基板10から第二基板20に向かって漸次小さくなっている。各凸部51の2つの側面の傾斜角は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。本実施の形態において、各凸部51の断面形状は二等辺三角形であり、各凸部51の2つの側面の傾斜角(底角)は同じである。
各凸部51の一対の側面は、屈折率可変層60と接する面であり、第二基板20から入射した光は、凸部51の一対の側面で光学作用を受ける。
具体的には、凸部51の一対の側面において、第二基板20から入射した光は、凸部51と屈折率可変層60との屈折率差に応じて、屈折して透過したり屈折せずにそのまま透過したり、あるいは、全反射したりする。つまり、凸部51の一対の側面は、凸部51と屈折率可変層60との屈折率差及び光の入射角に応じて全反射面となりうる。
凹凸構造50(凸部51)の材料としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂又はシリコーン樹脂等の透光性を有する樹脂材料を用いることができる。凹凸構造50は、例えばレーザ加工又はインプリント等によって形成することができる。本実施の形態において、凹凸構造50は、屈折率が約1.6のアクリル系の高屈折率樹脂を用いて形成した。
なお、後述の屈折率可変層60の屈折率は高ければ高い方が良いため、凹凸構造50の屈折率は、1.6に限らない。屈折率可変層60の屈折率を1.6よりも高くできる場合には、凹凸構造50の屈折率も1.6よりも高くするとよい。例えば、屈折率可変層60の屈折率が1.7以上の場合は、凹凸構造50の屈折率も1.7以上にするとよい。
また、凹凸構造50は、第一電極30及び第二電極40によって屈折率可変層60に電界を与えることができさえすれば、絶縁性の樹脂材料のみによって構成されていてもよいが、導電性を有していてもよい。この場合、凹凸構造50の材料は、PEDOT等の導電性高分子、又は、導電体を含む樹脂(導電体含有樹脂)等を用いることができる。
[屈折率可変層]
図1及び図2に示すように、屈折率可変層60は、絶縁性液体61と、絶縁性液体61に含まれるナノ粒子62とを有する。屈折率可変層60は、無数のナノ粒子62が絶縁性液体61に分散されたナノ粒子分散層である。
図1及び図2に示すように、屈折率可変層60は、絶縁性液体61と、絶縁性液体61に含まれるナノ粒子62とを有する。屈折率可変層60は、無数のナノ粒子62が絶縁性液体61に分散されたナノ粒子分散層である。
絶縁性液体61は、絶縁性を有する透明な液体であり、分散質としてナノ粒子62が分散される分散媒となる溶媒である。絶縁性液体61としては、例えば、屈折率(溶媒屈折率)が約1.3〜約1.5のものを用いることができる。本実施の形態では、屈折率が約1.4の絶縁性液体61を用いている。
なお、絶縁性液体61の動粘度は、100mm2/s以下であるとよい。また、絶縁性液体61は、低誘電率(凹凸構造50の誘電率以下)であるとよい。つまり、凹凸構造50の誘電率は、絶縁性液体61の誘電率よりも高い方がよい。また、絶縁性液体61は、非引火性(引火点が250℃以上の高引火点)及び低揮発性を有するとよい。具体的には、絶縁性液体61は、炭化水素(脂肪族炭化水素、ナフサ、及びその他の石油系溶剤など)、低分子量ハロゲン含有ポリマー、又は、これらの混合物等である。一例として、絶縁性液体61は、フッ化炭素水素等のハロゲン化炭素水素である。なお、絶縁性液体61としては、シリコーンオイル等を用いることもできる。
ナノ粒子62は、絶縁性液体61に複数分散されている。ナノ粒子62は、粒径がナノオーダサイズの微粒子である。具体的には、入射光の波長をλとすると、ナノ粒子62の粒径は、λ/4以下であるとよい。ナノ粒子62の粒径をλ/4以下にすることで、ナノ粒子62での光散乱を少なくして、ナノ粒子62と絶縁性液体61との平均的な屈折率を得ることができる。ナノ粒子62の粒径は、小さいほどよく、好ましくは100nm以下、より好ましくは、数nm〜数十nmである。
ナノ粒子62は、高屈折率材料によって構成されているとよい。具体的には、ナノ粒子62の屈折率は、絶縁性液体61の屈折率よりも高い。本実施の形態において、ナノ粒子62の屈折率は、凹凸構造50の屈折率よりも高い。
ナノ粒子62としては、金属酸化物微粒子を用いることができる。また、ナノ粒子62は、透過率が高い材料で構成されているとよい。本実施の形態では、ナノ粒子62として、酸化ジルコニウム(ZrO2)によって構成された屈折率が2.1の透明なジルコニア粒子を用いている。なお、ナノ粒子62は、酸化ジルコニウムに限らず、酸化チタン等によって構成されていてもよい。
また、ナノ粒子62は、帯電している荷電粒子である。例えば、ナノ粒子62の表面を修飾したり、絶縁性液体61にナノ粒子62分散させた後の絶縁性液体61を含めた屈折率可変層60全体のPHを調整したりすることで、ナノ粒子62を正(プラス)又は負(マイナス)に帯電させることができる。本実施の形態において、ナノ粒子62は、正(プラス)に帯電している。
このように構成された屈折率可変層60では、帯電したナノ粒子62が絶縁性液体61全体に分散されている。本実施の形態では、ナノ粒子62として屈折率が2.1のジルコニア粒子を用いて、このナノ粒子62を溶媒屈折率が約1.4の絶縁性液体61に分散させたものを屈折率可変層60としている。
また、屈折率可変層60全体の屈折率(平均屈折率)は、ナノ粒子62が屈折率可変層60(絶縁性液体61)内に均一に分散された状態において、凹凸構造50の屈折率と略同一に設定されており、本実施の形態では、約1.6である。なお、屈折率可変層60全体の屈折率は、絶縁性液体61に分散するナノ粒子62の濃度(量)を調整することによって変えることができる。ナノ粒子62の量は凹凸構造50の屈折率と同じ屈折率になるようにするとよく、本実施の形態では、屈折率が約1.4の絶縁性液体61に対するナノ粒子62の濃度は、約30体積%(比重が約5程度のナノ粒子62の場合は、約70wt%)である。
また、屈折率が約1.3〜約1.5の絶縁性液体61を用いた場合、ナノ粒子62の濃度は、約15体積%〜約40体積%(同約45wt%〜約80wt%)の範囲であるとよい。
なお、屈折率変化のダイナミックレンジを大きくするためには、ナノ粒子62の量は多ければ多いほど良いが、少なくとも電圧無印加時にナノ粒子62が絶縁性液体61の中で凝集しないようにしなければならない。本実施の形態では、電圧無印加時の屈折率可変層60全体の屈折率が約1.6になるように調整したが、ナノ粒子62の凝集が起こらなければ、屈折率可変層60の屈折率は約1.7以上にするとよい。この場合、絶縁性液体61の屈折率を約1.3〜約1.5にすると、屈折率が2.1のナノ粒子62の濃度は、約30体積%〜約50体積%にするとよい。
屈折率可変層60は、凹凸構造50と第二電極40との間に配置されている。具体的には、屈折率可変層60は凹凸構造50に接している。つまり、屈折率可変層60における凹凸構造50の凹凸表面との接触面は、屈折率可変層60と凹凸構造50の凹凸表面との界面である。なお、屈折率可変層60は、第二電極40にも接しているが、屈折率可変層60と第二電極40との間に他の層(膜)が介在していてもよい。
また、屈折率可変層60は、第一電極30と第二電極40との間に印加される電圧に応じて屈折率が変化する。具体的には、屈折率可変層60は、第一電極30と第二電極40との間に配置されており、第一電極30と第二電極40との間に電圧が印加されることによって屈折率可変層60に電界が与えられる。例えば、第一電極30と第二電極40との間には直流電圧が印加される。
絶縁性液体61中に分散するナノ粒子62は帯電しているので、屈折率可変層60に電界が与えられると、ナノ粒子62は、電界分布にしたがって絶縁性液体61中を泳動し、絶縁性液体61内で偏在する。これにより、屈折率可変層60内のナノ粒子62の粒子分布が変化して屈折率可変層60内にナノ粒子62の濃度分布を持たせることができるので、屈折率可変層60内の屈折率分布が変化する。つまり、屈折率可変層60の屈折率が部分的に変化する。このように、屈折率可変層60は、主に可視光領域の光に対する屈折率を調整することができる屈折率調整層として機能する。
このように構成される屈折率可変層60は、第一積層基板100と第二積層基板200との間に配置されている。具体的には、ナノ粒子62が分散された絶縁性液体61が第一積層基板100と第二積層基板200との間に封止されている。
屈折率可変層60の厚さ(つまり、第一積層基板100と第二積層基板200とのギャップ)は、例えば1μm〜1mmであるが、これに限るものではない。一例として、凹凸構造50の凸部51の高さが10μmである場合、屈折率可変層60の厚さは、例えば40μmである。
[光学デバイスの製造方法]
次に、光学デバイス1の製造方法について、図1及び図2を参照しながら説明する。
次に、光学デバイス1の製造方法について、図1及び図2を参照しながら説明する。
まず、第一基板10として例えばPET基板を用いて、PET基板の上に第一電極30としてITO膜を形成し、ITO膜の上にアクリル樹脂(屈折率1.6)によって構成された複数の凸部51からなる凹凸構造50をインプリント法により形成することで第一積層基板100を作製する。
次に、第二基板20として例えばPET基板を用いて、PET基板の上にITO膜からなる第二電極40を形成することで、第二積層基板200を作製する。
次に、第一積層基板100と第二積層基板200との間に、屈折率可変層60として、ナノ粒子62が分散された絶縁性液体61を充填するとともに、第一積層基板100と第二積層基板200との外周部分を接合することで第一積層基板100と第二積層基板200との間に屈折率可変層60を封止する。
このようにして、図1に示される構造の光学デバイス1を製造することができる。
[光学デバイスの光学作用]
次に、実施の形態に係る光学デバイス1の光学作用について、図3A及び図3Bを用いて説明する。図3Aは、実施の形態に係る光学デバイス1の第一光学作用を説明するための図であり、図3Bは、同光学デバイス1の第二光学作用を説明するための図である。
次に、実施の形態に係る光学デバイス1の光学作用について、図3A及び図3Bを用いて説明する。図3Aは、実施の形態に係る光学デバイス1の第一光学作用を説明するための図であり、図3Bは、同光学デバイス1の第二光学作用を説明するための図である。
光学デバイス1は、例えば建物の窓に設置することによって配光制御機能付き窓として実現することができる。光学デバイス1は、例えば、粘着層を介して建物の窓に貼り合わされる。この場合、凹凸構造50の凸部51の長手方向が水平方向となるように光学デバイス1を窓に設置する。窓に設置された光学デバイス1には、例えば太陽光が入射する。本実施の形態では、凹凸構造50のない第二基板20が光入射側(建物の外側)に位置するように光学デバイス1を設置しているので、光学デバイス1は、第二基板20から入射した光(太陽光)を透過して、第一基板10から光学デバイス1の建物の内側(例えば室内)に出射させることができる。
このとき、光学デバイス1に入射した光は、光学デバイス1を透過する際に光学デバイス1から光学作用を受ける。具体的には、光学デバイス1は、屈折率可変層60の屈折率の変化によって光学作用が変化する。このため、光学デバイス1に入射した光は、屈折率可変層60の屈折率に応じて異なる光学作用を受けることになり、屈折率可変層60の屈折率に応じて進行方向が制御される。
本実施の形態において、光学デバイス1は、第一電極30と第二電極40との間に印加される電圧に応じて、光学デバイス1に入射する光の進行方向を制御することができる。具体的には、第一電極30と第二電極40との間に印加される電圧に応じて、屈折率可変層60(ナノ粒子分散層)におけるナノ粒子62の粒子分布が変化し、これにより、屈折率可変層60の屈折率が部分的に変化する。この結果、光学デバイス1の光学作用が変化する。本実施の形態における光学デバイス1は、2つの光学作用を有する。以下、光学デバイス1の2つの光学作用について詳細に説明する。
まず、図3Aを用いて、光学デバイス1の第一光学作用を説明する。第一電極30及び第二電極40に電位が与えられていない場合、つまり、第一電極30と第二電極40との間に電圧が印加されていない場合(電圧無印加時の場合)、光学デバイス1は、第一光学モードとなり、入射した光に対して第一光学作用を与える。
第一光学モードでは、屈折率可変層60に電界が与えられないので、図3Aに示すように、屈折率可変層60において、ナノ粒子62は、絶縁性液体61全体にわたって分散された状態となる。このとき、本実施の形態では、上記のように、ナノ粒子62が絶縁性液体61全体に分散された状態での屈折率可変層60の屈折率は、図3Aに示すように屈折率可変層60全体で一様(一定)で、約1.6である。また、凹凸構造50の屈折率も約1.6である。したがって、第一電極30と第二電極40との間に電圧が印加されていない場合(第一光学モードの場合)、屈折率可変層60全体の屈折率が凹凸構造50の屈折率と略同一となる。この結果、凹凸構造50(凸部51)と屈折率可変層60との間の屈折率差がほぼなくなる(屈折率差Δn≒0)。
この場合、図3Aに示すように、光学デバイス1に対して斜め方向から光L1が入射すると、凹凸構造50(凸部51)と屈折率可変層60との界面には屈折率差がないので、光学デバイス1に入射した光L1は、屈折率可変層60と凸部51の側面との界面では屈折されずに進行方向が変わらない。このため、第一光学モードでは、光学デバイス1に入射した光L1は、光学デバイス1で進行方向が曲げられることなく、光学デバイス1内をそのまま直進して光学デバイス1の外部に出射する。
このように、第一電極30と第二電極40との間に電圧が印加されていない場合、光学デバイス1は、第二基板20に入射された光を直進させて第一基板10を透過させる。つまり、第一光学モードは透明モードであり、第一光学モードにおいて、光学デバイス1は透明状態になっている。この場合、第二基板20に入射した光は、光学デバイス1によって配光されることなく直進透過して第一基板10から出射する。
なお、詳細は図示していないが、第二基板20の入射光側の界面、第二基板20と第二電極40との界面、屈折率可変層60と第二電極40との界面、凹凸構造50と第一電極30の界面、第一電極30と第一基板10、第一基板10の出射光側の界面等、各部材間の界面で屈折率差が存在する箇所においては、第二基板20から入射した光は、その界面で屈折することになる。ただし、各部材の表面が全て平行な面であり、光学デバイス1の入射側と出射側の媒体(本実施の形態では空気)が同じである場合には、第二基板20から入射して第一基板10から出射する光は、第一光学モード(透明モード)においては、第二基板20に入射するときの入射角と第一基板10から出射するときの出射角とは同じになる。つまり、進行方向の角度は同じであり変化しない。
また、第一光学モードにおいて、屈折率可変層60全体の屈折率と凹凸構造50の屈折率とが略同一とは、屈折率可変層60と凹凸構造50との屈折率差が0.01以下、より好ましくは0.005以下のことである(Δn≦0.005)。屈折率可変層60及び凹凸構造50の屈折率差が0.005を超えると、屈折率可変層60と凹凸構造50との界面で光が散乱し、ヘイズが発生するおそれがある。
次に、図3Bを用いて、光学デバイス1の第二光学作用を説明する。第一電極30及び第二電極40に電位が与えられた場合、つまり、第一電極30と第二電極40との間に電圧が印加された場合(電圧印加時の場合)、光学デバイス1は、第二光学モードとなり、入射した光に対して第二光学作用を与える。具体的には、第一電極30と第二電極40との間には直流電圧が印加される。第一電極30と第二電極40との間に印加する電圧(電位差)は、例えば数V〜数十V程度である。
第二光学モードでは、第一電極30と第二電極40との間に直流電圧が印加されることで屈折率可変層60に電界が与えられるので、屈折率可変層60では、帯電したナノ粒子62がその電界分布にしたがって絶縁性液体61内を泳動する。つまり、ナノ粒子62は、絶縁性液体61内を電気泳動する。
具体的には、第二光学モードでは、第一電極30にプラス電位が印加され、第二電極40にマイナス電位が印加されるので、プラスに帯電したナノ粒子62は、第二電極40に向かって泳動し、屈折率可変層60内の第二電極40側に凝集されて偏在する。このとき、凹凸構造50の凹部、つまり隣り合う2つの凸部51の間の領域に入り込んでいたナノ粒子62は、第二電極40側に移動し、凹凸構造50の凹部のナノ粒子62の濃度は、減少する。
このように、ナノ粒子62が屈折率可変層60内の第二電極40側に偏在することで、ナノ粒子62の粒子分布が変化し、屈折率可変層60内の屈折率分布が一様ではなくなる。具体的には、屈折率可変層60内には、ナノ粒子62全体の泳動によりナノ粒子62が集まってきてナノ粒子62の濃度が高くなった第二電極40側の第一領域60a(高濃度領域)と、ナノ粒子62全体の泳動によりナノ粒子62が無くなっていってナノ粒子62の濃度が低くなった凹凸構造50側の第二領域60b(低濃度領域)とが発生し、第一領域60aと第二領域60bとで図3Bに示すような屈折率分布が生じる。
この場合、ナノ粒子62の屈折率が絶縁性液体61の屈折率よりも高いので、屈折率可変層60の第二電極40側の第一領域60aの屈折率は、屈折率可変層60の凹凸構造50側の第二領域60bの屈折率よりも高くなる。
本実施の形態では、上記のように、屈折率が2.1のジルコニア粒子からなるナノ粒子62を溶媒屈折率が約1.4の絶縁性液体61に分散させることで屈折率可変層60が構成されており、電圧無印加時の屈折率可変層60全体の屈折率が約1.6である。したがって、電圧印加時において、屈折率可変層60の第二電極40側の第一領域60aの屈折率は、電圧無印加時の屈折率可変層60全体の初期の屈折率(1.6)よりも高くなり、厚み方向に約1.95〜約1.6で分布する。ここで、屈折率可変層60内の屈折率の最大値は、屈折率2.1の球状のナノ粒子62が屈折率1.4の絶縁性液体61(溶媒)の中で最密充填した場合に得られる値である。また、電圧印加時において、屈折率可変層60の凹凸構造50側の第二領域60bの屈折率は、電圧無印加時の屈折率可変層60全体の初期の屈折率(1.6)よりも低くなり、厚み方向に約1.6〜約1.4で分布する。
これにより、上記のように、凹凸構造50の屈折率は約1.6であるので、第二光学モードの場合(第一電極30と第二電極40との間に電圧が印加されている場合)、凹凸構造50の屈折率(約1.6)と屈折率可変層60の凹凸構造50側の第二領域60bの屈折率(約1.6〜約1.4)との間には屈折率差が生じる。
ここで、屈折率可変層60内の屈折率分布は、図3Bに示すようなシグモイド関数的な分布となるが、通常、第二領域60b(初期の屈折率より屈折率が低くなる低屈折率領域)の厚み(幅)の方が、第一領域60a(初期の屈折率よりも屈折率が高くなる高屈折率領域)の厚み(幅)より大きくなる。すなわち、屈折率が低くなる第二領域60bでは、凹凸構造50の高さ方向に亘って屈折率の変化が少なく、安定した屈折率分布となる。これにより、屈折率が高くなる第一領域60a側に凹凸構造50を形成する構造よりも、本実施の形態のように、第二領域60b側に凹凸構造50が形成された構造の方が、配光の指向性(同一角度に出射できる割合、半値幅)を向上させることができる。
さらに、屈折率可変層60において、凸部51のある領域の幅よりも凸部51のない領域の幅を広くすることで、凹凸構造50の高さ方向(凸部51の高さ方向)に亘って屈折率の変化をさらに少なくできるので、屈折率分布をより安定させることができる。例えば、屈折率可変層60の幅に対し、凹凸構造50の凸部51の高さを1/2未満にしたり、屈折率可変層60の幅を凹凸構造50の凸部51の高さの2倍を超えるようにしたりすることで、凹凸構造50の高さ方向に亘って屈折率の変化を少なくして屈折率分布を安定させることができる。これにより、配光の指向性を一層向上させることができる。
このように、第一電極30と第二電極40とに電圧を印加して屈折率可変層60内のナノ粒子62を電気泳動させた場合に、図3Bに示すように、光学デバイス1に対して斜め方向から光L1が入射すると、凹凸構造50(凸部51)と屈折率可変層60との界面には屈折率差があるので、光L1は、屈折率可変層60と凸部51の上側の側面との界面で屈折してから、屈折率可変層60と凸部51の下側の側面との界面で全反射し、跳ね返る方向に進行方向が曲げられて光学デバイス1の外部に出射する。つまり、光学デバイス1に入射した光L1は、光学デバイス1によって配光される。
なお、ナノ粒子62の濃度が高くなった第二電極40側の第一領域60aでは屈折率が徐々に変化しており、また、第一領域60aには屈折率が異なる構造物が存在しないので、第一領域60aの範囲において、入射光L1は、屈折のみし、反射したり散乱したりしない。
このように、第一電極30と第二電極40との間に電圧が印加されている場合、光学デバイス1は、第二基板20に入射する光を配光して第一基板10を透過させる。つまり、第二光学モードは配光モードであり、第二光学モードにおいて、光学デバイス1は配光状態になっている。この場合、第二基板20に入射した光は、上記のように、光学デバイス1の凹凸構造50で反射させられて進行方向が変化して第一基板10から出射する。
なお、詳細は図示していないが、第二光学モードの場合も、第二基板20の入射光側の界面、第二基板20と第二電極40との界面、屈折率可変層60と第二電極40との界面、凹凸構造50と第一電極30の界面、第一電極30と第一基板10、第一基板10の出射光側の界面等、各部材間の界面で屈折率差が存在する箇所においては、第二基板20から入射した光は、その界面で屈折することになる。
また、第一電極30と第二電極40とに印加する電位をゼロにして電圧無印加状態にすると、ナノ粒子62は絶縁性液体61内を泳動し、図3Aに示すように、ナノ粒子62が絶縁性液体61全体にわたって均一に分散された状態に戻る。
以上のように構成される光学デバイス1は、凹凸構造50と屈折率可変層60との屈折率マッチングを電界によって制御することで光学作用を変化させることができるアクティブ型の光学制御デバイスである。つまり、第一電極30と第二電極40との間に印加する電圧を制御することによって、光学デバイス1を複数の光学モードに切り替えることができる。本実施の形態では、光学デバイス1を第一光学モード(透明モード)及び第二光学モード(配光モード)の2つのモードに切り替えることができる。
なお、第一電極30と第二電極40との間に印加する電圧によって生成される電界は、誘電率が低い方に付与されやすい。このため、凹凸構造50(凸部51)の誘電率は、屈折率可変層60の絶縁性液体61の誘電率よりも大きい方がよい。つまり、凹凸構造50(凸部51)に対して絶縁性液体61の誘電率が低い方がよい。これにより、凹凸構造50の方に電界がくわれてしまうことを抑制できる。
[まとめ]
以上、本実施の形態に係る光学デバイス1によれば、第一電極30と第二電極40との間に凹凸構造50及び屈折率可変層60が配置されており、屈折率可変層60として、帯電したナノ粒子62が分散された絶縁性液体61(ナノ粒子分散層)を用いている。
以上、本実施の形態に係る光学デバイス1によれば、第一電極30と第二電極40との間に凹凸構造50及び屈折率可変層60が配置されており、屈折率可変層60として、帯電したナノ粒子62が分散された絶縁性液体61(ナノ粒子分散層)を用いている。
この構成により、第一電極30と第二電極40との間に電圧を印加することでナノ粒子62が絶縁性液体61内を泳動するので、屈折率可変層60の屈折率を変化させることができる。具体的には、屈折率可変層60におけるナノ粒子62の粒子分布が変化して、屈折率可変層60の屈折率分布が変化する。これにより、凹凸構造50と屈折率可変層60との屈折率差が変化するので、光学デバイス1に入射する光の進行方向を制御することができる。
本実施の形態では、ナノ粒子62として高屈折率材料を用いている。具体的には、ナノ粒子62の屈折率を絶縁性液体61の屈折率よりも高くしている。より具体的には、ナノ粒子62の屈折率を凹凸構造50の屈折率よりも高くしている。
そして、光学デバイス1では、第一電極30と第二電極40との間に電圧が印加されていない場合(電圧無印加時)において、屈折率可変層60の屈折率は、凹凸構造50の屈折率と略同一となっている。したがって、電圧無印加時では、凹凸構造50と屈折率可変層60との間に屈折率差がなくなり、光学デバイス1は、透明モードとなって、第二基板20に入射された光を直進させて第一基板10を透過させる。
また、第一電極30と第二電極40との間に電圧が印加されると、本実施の形態では、屈折率が高いナノ粒子62が第二電極40側向かって泳動して第二電極40側に偏在する。これにより、屈折率可変層60の凹凸構造50側の第二領域60bの屈折率が、屈折率可変層60の第二電極側の第一領域60aの屈折率より低くなる。したがって、電圧印加時では、凹凸構造50と屈折率可変層60との間に屈折率差が生じ、光学デバイス1は、配光モードとなって、第二基板20に入射する光を配光して第一基板10を透過させる。
このように構成される本実施の形態における光学デバイス1は、屈折率可変層が液晶層である光学デバイスと比べて、凹凸構造50と屈折率可変層60との屈折率差(Δn)を大きくすることができるので、配光制御範囲を大きくすることができる。
例えば、屈折率可変層が液晶層である場合は、屈折率可変層(液晶層)は、1.5〜1.7の範囲内でしか屈折率が変化しないので、屈折率可変層と凹凸構造との屈折率を略同一とする場合には、凹凸構造の屈折率を1.5〜1.7の範囲でしか設定することができず、凹凸構造と屈折率可変層との最大の屈折率差は0.2にとどまる。
これに対して、本実施の形態における光学デバイス1では、屈折率可変層60が屈折率2.1のナノ粒子62と溶媒屈折率約1.4の絶縁性液体61とによって構成されているので、屈折率可変層60は、部分的に、1.4〜1.95の範囲で屈折率を変化させることが可能となる。これにより、凹凸構造50の屈折率も1.4〜1.95の範囲で設定することができ、屈折率が1.4〜1.95の凹凸構造50と屈折率可変層60との最大の屈折率差を0.55にまで拡大することができる。
このように、凹凸構造50と屈折率可変層60との屈折率差が大きくなることで、光学デバイス1に入射した光が凹凸構造50で反射するときの角度を大きくしたり小さくしたりすることができる範囲(配光制御範囲)を拡大させることができる。つまり、配光角度のダイナミックレンジを拡大させることができる。
また、本実施の形態における光学デバイス1は、屈折率可変層が液晶層である光学デバイスと比べて、配光率を向上させることができる。つまり、液晶層は、複屈折性を有する液晶分子によって構成されているので、液晶層を用いた光学デバイスでは、S波及びP波のいずれかしか配光させることができない。これに対して、絶縁性液体61及びナノ粒子62は、S波及びP波に対して無依存であるので、本実施の形態における光学デバイス1は、S波及びP波のいずれに対しても配光させることができる。したがって、本実施の形態における光学デバイス1は、液晶層を用いた光学デバイスに対して、配光率が2倍になる。
以上のように、本実施の形態における光学デバイス1によれば、屈折率可変層が液晶層である光学デバイスと比べて、配光制御範囲を大きくすることができるとともに、配光率を向上させることができる。したがって、優れた配光性能を有する光学デバイスを実現できる。
また、光学デバイス1が配光モードのときに凹凸構造50の凸部51の下側の側面の全面を反射面にするために、第二電極40側に偏在させるナノ粒子62は、凹凸構造50の凹部(隣り合う2つの凸部51の間の領域)の全てから無くなるようにするとよい。つまり、ナノ粒子62が凸部51の頂点にまでには無くなるとよい。この場合、凹凸構造50の凹部の全てから無くなるためには、ナノ粒子62の濃度および凹凸構造50の高さに応じて屈折率可変層60の厚さを調整して決定すればよい。
(変形例)
以上、本発明に係る光学デバイスについて、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
以上、本発明に係る光学デバイスについて、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施の形態において、ナノ粒子62はプラスを帯電させたが、これに限らない。つまり、ナノ粒子62をマイナスに帯電させてもよい。この場合、第二電極40にはプラス電位を印加し、第一電極30にはマイナス電位を印加することで、第一電極30と第二電極40との間に直流電圧を印加するとよい。
また、上記実施の形態において、第二光学モードでは、第二電極40にマイナス電位を印加し、第一電極30にプラス電位を印加したが、これに限らない。例えば、第一電極30と第二電極40との間に所定の電圧(電位差)が印加されれば、第二光学モードにおいて、第一電極30及び第二電極40の両方にプラス電位が印加されてもよいしマイナス電位が印加されてもよい。
また、上記実施の形態において、凹凸構造50を構成する凸部51は、断面形状が三角形の長尺状の三角柱であったが、これに限らない。例えば、凸部51は、断面形状が略台形の長尺状の略四角柱であってもよい。また、凸部51の側面の断面形状は、直線に限らず、曲線又は鋸状であってもよい。さらに、複数の凸部51の各々は、X軸方向に直線状に延在する場合に限らず、曲線状、波状または鋸状であっても良く、また、X軸方向に延在する1本の長尺状部材に限らず、X軸方向に部分的に分断されていてもよい。この場合、複数の凸部51は、X軸方向に沿ってドット状に形成されていてもよい。
また、上記実施の形態において、凹凸構造50の複数の凸部51は、互いに分離して形成されていたが、これに限らない。例えば、複数の凸部51は、根元で互いに連結されていてもよい。この場合、複数の凸部51を連結する連結層は、意図的に残すように形成されていてもよいし、残膜によって形成されていてもよい。
また、上記実施の形態において、複数の凸部51の高さは、一定としたが、これに限るものではない。例えば、複数の凸部51の高さがランダムに異なっていてもよい。あるいは、凸部51の間隔がランダムに異なっていてもよいし、高さと間隔の両方がランダムであってもよい。
また、上記実施の形態において、光学デバイス1に入射する光として太陽光を例示したが、これに限るものではない。例えば、光学デバイス1に入射する光は、照明器具等の発光装置が発する光であってもよい。
また、上記実施の形態において、凸部51の長手方向がX軸方向となるように光学デバイス1を窓に配置したが、これに限らない。例えば、凸部51の長手方向がZ軸方向となるように光学デバイス1を窓に配置してもよい。
また、上記実施の形態では、凹凸構造50のない第二基板20が入射側(建物の外側)で凹凸構造50のある第一基板10が光出射側(建物の内側)となるように光学デバイス1を配置する例を説明したが、これに限らない。例えば、凹凸構造50のない第二基板20が光出射側(建物の内側)で凹凸構造50のある第一基板10が光入射側(建物の外側)となるように光学デバイス1を配置してもよい。
また、上記実施の形態において、光学デバイス1を窓に貼り付けたが、光学デバイス1を建物の窓そのものとして用いてもよい。また、光学デバイス1は、建物の窓に設置する場合に限るものではなく、例えば車の窓等に設置してもよい。
なお、その他、上記実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、又は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で上記の各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
1 光学デバイス
10 第一基板
20 第二基板
30 第一電極
40 第二電極
50 凹凸構造
60 屈折率可変層(ナノ粒子分散層)
60a 第一領域
60b 第二領域
61 絶縁性液体
62 ナノ粒子
10 第一基板
20 第二基板
30 第一電極
40 第二電極
50 凹凸構造
60 屈折率可変層(ナノ粒子分散層)
60a 第一領域
60b 第二領域
61 絶縁性液体
62 ナノ粒子
Claims (12)
- 光透過性を有する第一基板と、
前記第一基板に対向して配置された光透過性を有する第二基板と、
前記第一基板の前記第二基板側に配置された第一電極と、
前記第一電極の前記第二基板側に配置された凹凸構造と、
前記第二基板の前記第一基板側に配置された第二電極と、
前記凹凸構造と前記第二電極との間に配置され、前記第一電極と前記第二電極との間に印加される電圧に応じて屈折率が変化する屈折率可変層とを備え、
前記屈折率可変層は、絶縁性液体と、前記絶縁性液体に分散された帯電するナノ粒子とを有し、
前記ナノ粒子の屈折率は、前記絶縁性液体の屈折率よりも高い、
光学デバイス。 - 前記第一電極と前記第二電極との間に電圧が印加されていない場合、前記屈折率可変層の屈折率は、前記凹凸構造の屈折率と略同一である、
請求項1に記載の光学デバイス。 - 前記第一電極と前記第二電極との間に電圧が印加されている場合、前記屈折率可変層の前記凹凸構造側の第一領域の屈折率は、前記屈折率可変層の前記第二電極側の第二領域の屈折率より低い、
請求項1又は2に記載の光学デバイス。 - 前記ナノ粒子の屈折率は、前記凹凸構造の屈折率よりも高い、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学デバイス。 - 入射する光を制御する光学デバイスであって、
光透過性を有する第一基板と、
前記第一基板に対向して配置された光透過性を有する第二基板と、
前記第一基板の前記第二基板側に配置された第一電極と、
前記第一電極の前記第二基板側に配置された凹凸構造と、
前記第二基板の前記第一基板側に配置された第二電極と、
前記凹凸構造と前記第二電極との間に配置され、絶縁性液体及び前記絶縁性液体に分散された帯電するナノ粒子を有するナノ粒子分散層とを備え、
前記光学デバイスは、前記第一電極と前記第二電極との間に印加される電圧に応じて、前記光学デバイスに入射する光の進行方向を制御する、
光学デバイス。 - 前記第一電極と前記第二電極との間に電圧が印加されていない場合、前記光学デバイスは、前記光学デバイスに入射された光を直進させて透過させる、
請求項5に記載の光学デバイス。 - 前記第一電極と前記第二電極との間に電圧が印加されている場合、前記光学デバイスは、前記光学デバイスに入射する光を配光して透過させる、
請求項5又は6に記載の光学デバイス。 - 光透過性を有する第一基板と、
前記第一基板に対向して配置された光透過性を有する第二基板と、
前記第一基板の前記第二基板側に配置された第一電極と、
前記第一電極の前記第二基板側に配置された凹凸構造と、
前記第二基板の前記第一基板側に配置された第二電極と、
前記凹凸構造と前記第二電極との間に配置され、絶縁性液体及び前記絶縁性液体に分散された帯電するナノ粒子を有するナノ粒子分散層とを備え、
前記第一電極と前記第二電極との間に印加される電圧に応じて、前記ナノ粒子分散層における前記ナノ粒子の粒子分布が変化する、
光学デバイス。 - 前記第一電極と前記第二電極との間に電圧が印加されている場合、前記ナノ粒子は、前記ナノ粒子分散層内の前記第二電極側に偏在している、
請求項8に記載の光学デバイス。 - 前記ナノ粒子の屈折率は、前記凹凸構造の屈折率よりも高い、
請求項1〜9のいずれか1項に記載の光学デバイス。 - 前記凹凸構造の誘電率は、前記絶縁性液体の誘電率よりも高い、
請求項1〜10のいずれか1項に記載の光学デバイス。 - 前記屈折率可変層の幅は、前記凹凸構造の凸部の高さの2倍を超えている、
請求項1〜11のいずれか1項に記載の光学デバイス。
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---|---|---|---|
JP2018061521A Pending JP2020160099A (ja) | 2017-07-27 | 2018-03-28 | 光学デバイス |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2020160099A (ja) |
-
2018
- 2018-03-28 JP JP2018061521A patent/JP2020160099A/ja active Pending
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