JP2020158945A - 樹脂強化用ガラス繊維及びガラス繊維強化樹脂成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】生産性に優れ、かつ、荷重たわみ温度が120℃以上の高耐熱性樹脂を含む繊維強化樹脂成形品の機械的強度を向上することができる、樹脂強化用ガラス繊維及び、それを用いるガラス繊維強化樹脂成形品を提供する。【解決手段】樹脂強化用ガラス繊維は、荷重たわみ温度が120℃以上の樹脂の強化に用いられる。樹脂強化用ガラス繊維は、表面に酸と、シランカップリング剤とが付着しており、前記酸は、カルボキシル基のα炭素位の平均水素数が0.5以上の酸であり、前記酸の付着量が樹脂強化用ガラス繊維の全量に対して10〜400ppmの範囲である。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂強化用ガラス繊維及びそれを用いるガラス繊維強化樹脂成形品に関する。
近年、金属の代替材料として、繊維強化樹脂材料が注目されている。ところが、樹脂の耐熱性は、金属に劣るため、高耐熱性が求められる用途においては、繊維強化樹脂材料による金属の代替が進んでいないという問題がある。
前記問題を解決するために、高耐熱性が求められる用途でも使用可能な繊維強化樹脂材料として、熱変形温度が300℃以上である、ポリエーテルイミド樹脂(PEI)や、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)といった高耐熱性樹脂を含む、繊維強化樹脂成形品が検討されている(例えば、特許文献1、2参照)。
通常、繊維強化樹脂成形品に用いられる、強化繊維においては、強化繊維と樹脂との密着性を向上させ、繊維強化樹脂成形品の強度を向上させるために、有機物を強化繊維の表面に付着させることが行われている。しかし、高耐熱性樹脂は成形温度が高く、ほとんどの有機物が熱分解される。そこで、前記特許文献1、2に記載された発明では、高耐熱性樹脂強化用の強化繊維の表面に、高耐熱性樹脂自体を付着させることが提案されている。
国際公開第2018/079700号 特表2017−505843号公報
しかしながら、高耐熱性樹脂を強化繊維の表面に付着させるには、高耐熱性樹脂を高温で溶融させる必要があり、生産性が低減するという不都合がある。
本発明は、かかる不都合を解消して、生産性に優れ、かつ、荷重たわみ温度が120℃以上の高耐熱性樹脂を含む繊維強化樹脂成形品の機械的強度を向上することができる、樹脂強化用ガラス繊維及び、それを用いるガラス繊維強化樹脂成形品を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するために、本発明の樹脂強化用ガラス繊維は、荷重たわみ温度が120℃以上の樹脂の強化に用いられる、樹脂強化用ガラス繊維であって、表面に酸と、シランカップリング剤とが付着しており、前記酸は、カルボキシル基のα炭素位の平均水素数が0.5以上の酸であり、前記酸の付着量が樹脂強化用ガラス繊維の全量に対して10〜400ppmの範囲であることを特徴とする。
本発明の樹脂強化用ガラス繊維は、前記構成を備えることにより、該樹脂強化用ガラス繊維の表面に高耐熱性樹脂を付着させることなく、繊維強化樹脂成形品としたときに、該樹脂強化用ガラス繊維と、前記樹脂との密着性を向上させることができるので、該繊維強化樹脂成形品の生産性に優れており、しかも、該繊維強化樹脂成形品の強度を向上させることができる。
本発明の樹脂強化用ガラス繊維において、前記酸の付着量が、樹脂強化用ガラス繊維の全量に対して10ppm未満であるときには、該樹脂強化用ガラス繊維と樹脂との密着性を向上させることができない。一方、前記酸の付着量を、樹脂強化用ガラス繊維の全量に対して400ppm超としても、それ以上に該樹脂強化用ガラス繊維と樹脂との密着性を向上させることができない。
本発明の樹脂強化用ガラス繊維において、前記酸は、カルボキシル基のα炭素位の平均水素数が好ましくは1.2以上、さらに好ましくは2.0以上の酸である。本発明の樹脂強化用ガラス繊維において、前記酸としては、例えば、酢酸を用いることができる。
また、本発明の樹脂強化用ガラス繊維において、前記酸の付着量は、樹脂強化用ガラス繊維の全量に対して90〜200ppmの範囲であることが好ましい。
また、本発明の樹脂強化用ガラス繊維において、前記シランカップリング剤は、アミンを含有するシランカップリング剤であることが好ましい。
また、本発明は、前記本発明の樹脂強化用ガラス繊維と、荷重たわみ温度が120℃以上の樹脂とを含むガラス繊維強化樹脂成形品にもある。
次に、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
本実施形態の樹脂強化用ガラス繊維は、荷重たわみ温度が120℃以上の樹脂の強化に用いられる、樹脂強化用ガラス繊維であって、表面に酸と、シランカップリング剤とが付着しており、前記酸は、カルボキシル基のα炭素位の平均水素数が0.5以上、好ましくは1.2以上、さらに好ましくは2.0以上の酸であり、前記酸の付着量が樹脂強化用ガラス繊維の全量に対して10〜400ppm、好ましくは90〜200ppmの範囲にある。
本実施形態の樹脂強化用ガラス繊維で強化される樹脂は、荷重たわみ温度が120℃以上の樹脂であり、好ましくは、荷重たわみ温度が150℃以上の樹脂であり、より好ましくは、荷重たわみ温度が、180℃以上の樹脂である。本実施形態の樹脂強化用ガラス繊維で強化される樹脂の荷重たわみ温度の上限としては、400℃を例示することができる。ここで、樹脂の荷重たわみ温度は、ASTM D648(1.8MPa)に準拠して測定することができる。
前記荷重たわみ温度が120℃以上の樹脂としては、例えば、熱可塑性ポリイミド、ポリアリールエーテルケトン、ポリアリーレンサルファイド、液晶ポリエステル、ポリエーテルスルホン、半芳香族ナイロン、シンジオタクチックポリスチレン等の樹脂を挙げることができる。より耐熱性に優れ、より高い温度で成形してもガラス繊維強化樹脂成形品が劣化しにくいことから、本実施形態の樹脂強化用ガラス繊維で強化される樹脂は、熱可塑性ポリイミド、又は、ポリアリールエーテルケトンであることが好ましく、ポリエーテルイミド、又は、ポリエーテルエーテルケトンであることがより好ましく、本実施形態の樹脂強化用ガラス繊維を用いることによる、ガラス繊維強化樹脂成形品の強度向上効果が特に大きいことから、ポリエーテルイミドであることがさらに好ましい。
前記酸としては、酢酸、マロン酸、クエン酸、マレイン酸、プロピオン酸、コハク酸、リンゴ酸等の有機酸を挙げることができるが、酢酸であることが好ましい。前記酸において、カルボキシル基のα炭素位の平均水素数が0.5以上であるとは、その酸の中に存在するそれぞれのカルボキシル基のα炭素位の水素数の平均が0.5以上であることを意味する。ここで、前記酸の化学構造は、前記樹脂強化用ガラス繊維表面に付着した酸を水系の溶媒で抽出し、H−NMR等で分析することにより同定することができる。
また、前記シランカップリング剤としては、例えば、アミノシラン(γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−N’−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン等)、クロルシラン(γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等)、エポキシシラン(γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等)、メルカプトシラン(γ−メルカプトトリメトキシシラン等)、ビニルシラン(ビニルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等)、アクリルシラン(γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等)、カチオニックシラン(N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩等)が挙げられ、ガラス繊維強化樹脂成形品の強度向上の効果が大きいことから、アミンを含有するシランカップリング剤であることが好ましく、アミノシランであることがより好ましい。ここで、本実施形態の樹脂強化用ガラス繊維から、水系または有機系の溶媒を用いてシランカップリング剤を抽出した後、GC−MSを使用することにより、シランカップリング剤の化学構造の同定を行うことができる。
本実施形態の樹脂強化用ガラス繊維には、前記酸及び前記シランカップリング剤以外に、界面活性剤、樹脂エマルジョン等が付着していてもよいが、樹脂との密着性が向上することから、前記酸と前記シランカップリング剤のみが付着していることが好ましい。
本実施形態の樹脂強化用ガラス繊維に用いるガラス繊維の形態としては、織物(ガラスクロス)、編物、ヤーン、チョップドストランド、ロービング、チョップドストランドマット、ペーパー、メッシュ、組布、ミルドファイバーなどを挙げることができるが、織物(ガラスクロス)であることが好ましい。
本実施形態の樹脂強化用ガラス繊維は、前記ガラス繊維が織物(ガラスクロス)である場合、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、所定のガラス組成となるように調整されたガラスバッチ(ガラス原材料)を溶融して繊維化することにより、ガラスフィラメントを得る。
前記所定のガラス組成としては、最も汎用的であるEガラス組成(ガラス繊維の全量に対し、酸化物換算で、52.0〜56.0質量%の範囲のSiOと、12.0〜16.0質量%の範囲のAlと、合計で20.0〜25.0質量%の範囲のMgO及びCaOと、5.0〜10.0質量%の範囲のBとを含む組成)、高強度高弾性率ガラス組成(ガラス繊維の全量に対し64.0〜66.0質量%の範囲のSiOと、24.0〜26.0質量%の範囲のAlと、9.0〜11.0質量%の範囲のMgOとを含む組成)、高弾性率易製造性ガラス組成(ガラス繊維の全量に対し、57.0〜60.0質量%の範囲のSiOと、17.5〜20.0質量%の範囲のAlと、8.5〜12.0質量%の範囲のMgOと、10.0〜13.0質量%の範囲のCaOと、0.5〜1.5質量%の範囲のBとを含み、かつ、SiO、Al、MgO及びCaOの合計量が98.0質量%以上である組成)、及び、低誘電率低誘電正接ガラス組成(ガラス繊維全量に対し、48.0〜62.0質量%の範囲のSiOと、17.0〜26.0質量%の範囲のBと、9.0〜18.0質量%の範囲のAlと、0.1〜9.0質量%の範囲のCaOと、0〜6.0質量%の範囲のMgOと、合計0.05〜0.5質量%の範囲のNaO、KO及びLiOと、0〜5.0質量%の範囲のTiOと、0〜6.0質量%の範囲のSrOと、合計0〜3.0質量%の範囲のF及びClと、0〜6.0質量%の範囲のPとを含む組成)を挙げることができる。
前記ガラスフィラメントのフィラメント径は、特に限定されないが、例えば、30μm以下であることが好ましく、3〜25μmの範囲であることがより好ましく、6〜20μmの範囲であることが特に好ましい。
前記ガラスフィラメントは、例えば、25〜5000本、好ましくは、200〜800本、より好ましくは、300〜600本の範囲の本数で、それ自体公知の方法により集束され、ガラス繊維糸とされる。なお、ガラスバッチを溶融し、繊維化してガラスフィラメントを得て、次いで、このガラスフィラメント複数本を集束してガラス繊維糸を得ることを紡糸という。
前記ガラス繊維糸の番手は、例えば、0.5〜2500texであり、30〜1500texであることが好ましく、40〜500texであることがより好ましく、50〜250texであることがさらに好ましく、60〜135texであることが特に好ましい。なお、ガラス繊維糸の番手(tex)とは、ガラス繊維の1000mあたりの質量(g)に相当する。ここで、ガラス繊維糸の番手は、JIS R 3420:2013に準拠して測定することができる。
前記ガラス繊維糸は、0〜2回/25mmの撚りがかけられていてもよい。ここで、ガラス繊維糸の撚数は、JIS R 3420:2013に準拠して測定することができる。
前記ガラス繊維糸は、例えば、2〜5本のガラス繊維糸を撚り合わさずに束ねて用いることも、2〜5本のガラス繊維糸を撚り合わせて用いることもできる。複数のガラス繊維糸を撚り合わせる際の撚り数としては、0〜5回/25mmが挙げられる。
次に、前記ガラス繊維糸を経糸又は緯糸として製織することにより織物(ガラスクロス)を得る。前記製織の方法は、特に限定されないが、例えば、平織、朱子織、綾織、畝織、斜子織等を挙げることができ、平織であることが好ましい。前記製織の際の前記ガラス繊維糸の経糸及び緯糸の織密度は、特に限定されないが、例えば、10〜150本/25mmとすることができ、15〜65本/25mmであることが好ましく、20〜45本/25mmであることがより好ましい。ここで、前記織密度は、JIS R 3420:2013に準拠して測定することができる。
前記製織の際には、前記ガラスフィラメントの集束や経糸の整経等にサイズ剤を用いる。前記サイズ剤としては、例えば、被膜形成剤成分がデンプン系又はPVA(ポリビニルアルコール)系であるサイズ剤を挙げることができる。前記サイズ剤は、油剤又は柔軟剤等を含んでもよい。
前記織物(ガラスクロス)における前記サイズ剤の付着量は、前記ガラス繊維糸100質量部に対して該サイズ剤の付着量が0.1〜3質量部であることが好ましく、0.5〜1.5質量部であることがより好ましい。なお、前記サイズ剤の付着量の範囲や特に指定しない場合のサイズ剤の付着量は、経糸又は緯糸に対するサイズ剤の付着量の平均を表したものである。
前記織物(ガラスクロス)は、例えば、50〜1500g/mの範囲の重量を有し、好ましくは、110〜800g/mの範囲の質量を有し、より好ましくは、150〜400g/mの範囲の質量を有する。ここで、織物の質量は、JIS R 3420:2013に準拠して測定することができる。
次に、前記織物(ガラスクロス)に対して開繊処理を施してもよい。前記開繊処理としては、例えば、水流圧力による開繊、液体を媒体とした高周波の振動による開繊、面圧を有する流体の圧力による開繊、ロールによる加圧での開繊等を挙げることができる。前記開繊処理の中では、水流圧力による開繊、又は液体を媒体とした高周波の振動による開繊を使用することが、経糸及び緯糸のそれぞれにおいて、開繊処理後の糸幅のバラツキが低減されるので好ましい。また、前記開繊処理は、複数の処理方法を併用してもよい。
次に、前記織物(ガラスクロス)に対し、脱油処理を施す。前記脱油処理は、例えば、前記ガラスクロスを雰囲気温度が350℃〜450℃の加熱炉内に40〜80時間配置し、該ガラスクロスに付着している紡糸用集束剤と製織用集束剤とを加熱分解することにより行うことができる。
次に、前記脱油処理が施された織物(ガラスクロス)を、前記シランカップリング剤と、前記酸とを含む表面処理剤溶液に浸漬する。次いで前記表面処理剤溶液が付与された前記織物(ガラスクロス)から、余分な水分を絞液した後、80〜180℃の範囲の温度で、1〜30分間の時間、例えば110℃で5分間加熱乾燥することにより、本実施形態の樹脂強化用ガラス繊維としての表面処理ガラスクロスを得る。なお、前記表面処理剤溶液が付与された表面処理ガラスクロスにおいて、表面に付着している酸の一部は、該表面処理ガラスクロスを加熱乾燥した際に揮発する。
前記表面処理剤溶液の溶媒としては、水、エチレングリコール、エタノール等を挙げることができる。また、前記脱油処理後に、前記表面処理ガラスクロスに、2回目の開繊処理を行うことができる。
得られた表面処理ガラスクロスの厚さは、例えば、50〜1500μmの範囲にあり、好ましくは、110〜700μmの範囲にあり、より好ましくは、140〜400μmの範囲にあり、さらに好ましくは、160〜250μmの範囲にある。ここで、表面処理ガラスクロスの厚さは、JIS R 3420:2013に準拠して測定することができる。
本実施形態の樹脂強化用ガラス繊維において、前記シランカップリング剤の付着量は、樹脂強化用ガラス繊維の全量に対して、例えば、400〜2000ppm、好ましくは500〜1200ppm、より好ましくは600〜1000ppmの範囲である。
前記シランカップリング剤の付着量は次のようにして測定することができる。
[シランカップリング剤付着量測定]
表面処理ガラスクロスを1cm×3cm程度の大きさに細かく切り、秤量後、スクリュー管に溶媒を入れ、ホットプレートで所定の温度まで加熱し、シランカップリング剤を抽出する。具体的には、塩化メチレン溶媒中、45℃で加熱することで洗浄したのち、不溶物を濾別し、70℃のメタノール及び80℃の水で2回ずつ抽出する。
抽出液をそれぞれ濃縮したもののH−NMR測定し、積分値から内部標準法(内部標準:1,4−ピラジン)にて各抽出液中のシランカップリング剤量を定量する。メタノール抽出液中のシランカップリング剤量と水抽出液中のシランカップリング剤とを合算したものと、表面処理ガラスクロスの重量とから、本実施例で得られた表面処理ガラスクロスのシランカップリング剤付着量を算出する。
また、本実施形態の樹脂強化用ガラス繊維において、強熱減量は、樹脂強化用ガラス繊維の全量に対して、例えば、500〜5000ppm、好ましくは600〜4800ppm、より好ましくは700〜4500ppm、さらに好ましくは750〜3000ppm、特に好ましくは800〜2000ppm、最も好ましくは850〜1500ppmの範囲である。前記強熱減量は、JIS R 3420:2013に準拠して測定することができる。
本実施形態のガラス繊維強化樹脂成形品は、前述した本実施形態の荷重たわみ温度が120℃以上の樹脂と、前述した本実施形態の樹脂強化用ガラス繊維を含む。
本実施形態のガラス繊維強化樹脂成形品は、前述した本実施形態の荷重たわみ温度が120℃以上の樹脂と、前述した本実施形態の樹脂強化用ガラス繊維を用いて、射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、中空成形法、発泡成形法(超臨界流体発泡成形法を含む)、インサート成形法、インモールドコーティング成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法、ブロー成形法、スタンピング成形法、インフュージョン法、ハンドレイアップ法、スプレイアップ法、レジントランスファーモールディング法、シートモールディングコンパウンド法、バルクモールディングコンパウンド法、プルトルージョン法、フィラメントワインディング法等の公知の成形法により成形することで得ることができる。
次に、本発明の実施例及び比較例を示す。
〔実施例1〕
本実施例では、まず、IPC規格で7628に相当するEガラスクロス(経糸及び緯糸に、フィラメント径9μmのEガラスフィラメントが集束されてなる68texのEガラス繊維糸を用い、経糸織密度が44本/25.4mm、緯糸織密度が31本/25.4mmである、200g/mであり、厚さ175μmの平織ガラスクロス)を製織したあと、ヒートクリーニングによりガラスクロス表面に存在する有機物を除去したガラスクロスを用意した。
次に、酸として酢酸が83.7mmol/kgとなるように調製した水溶液に、シランカップリング剤として3−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業株式会社製、商品名:KBE−903)を0.5質量%となるように添加した水系処理溶液中に、前記ガラスクロスを浸漬させたあと、マングルにより絞液し、さらに110℃で5分間乾燥させて本実施例の樹脂強化用ガラス繊維としての表面処理ガラスクロスを得た。得られた表面処理ガラスクロスの酸付着量は120ppm、シランカップリング剤の付着量は830ppm、強熱減量は0.101%であった。
次に、本実施例で得られた樹脂強化用ガラス繊維としての表面処理ガラスクロス10枚と、厚さ100μmのポリエーテルイミドフィルム(三菱樹脂株式会社製、商品名:スペリオUT Eタイプ、荷重たわみ温度200℃)18枚とを重ね合わせ、380℃にて、接圧で10分間保持したのち、面圧を30kgw/cmにして5分間保持し、室温まで冷却することで、本実施例のガラス繊維強化樹脂成形品として、体積含有率40%厚さ2mmのポリエーテルイミド複合材料を得た。
本実施例で得られた樹脂強化用ガラス繊維としての表面処理ガラスクロスについて、次のようにして酸付着量を算出する一方、本実施例で得られたガラス繊維強化樹脂成形品としてのポリエーテルイミド複合材料について、次のようにして常体曲げ強度を測定し、強度上昇率を算出した。結果を表1に示す。
なお、表1において、「平均水素数」は、カルボキシル基のα炭素位の平均水素数を意味し、「アミノシラン」は、3−アミノプロピルトリエトキシシランを意味する。
[酸付着量]
本実施例で得られた表面処理ガラスクロスを切り取り、秤量後、クロロホルムを添加し、超音波浴によって洗浄し、希アルカリ溶液にて振とう及び超音波浴による酸抽出を行った。抽出液を遠心分離処理し、水層部を試料溶液とした。次いで、電気泳動システム(Agilent Technologies社製、商品名:7100キャピラリー電気泳動システム、緩衝液:Agilent Technologies社製有機酸分析バッファ)を用いて、試料溶液および標準品溶液の測定を行い、1点検量線法により、試料溶液中の酸量を定量した。次いで、表面処理ガラスクロスの質量と定量した酸の質量から、前記表面処理ガラスクロスの酸付着量を算出した。
[常体曲げ強度]
JIS K 7017:1999(A法・クラスIII試験片)に準拠し、精密万能試験機(株式会社島津製作所製、商品名:オートグラフAG−5000B)によって測定した。
[強度上昇率]
酸が付着していない表面処理ガラスクロスを用いた以外は、本実施例と全く同一にして得られたガラス繊維強化樹脂成形品(酸が付着していないガラス繊維強化樹脂成形品)について、前述の方法により常体曲げ強度を測定し、次式により算出した。なお、本実施例において、「酸が付着していないガラス繊維強化樹脂成形品」は、下記比較例1で得られたガラス繊維強化樹脂成形品に相当する。
強度上昇率(%)=((本実施例で得られたガラス繊維強化樹脂成形品の常体曲げ強度−酸が付着していないガラス繊維強化樹脂成形品の常体曲げ強度)/酸が付着していないガラス繊維強化樹脂成形品の常体曲げ強度)×100
〔実施例2〕
本実施例では、前記水系処理溶液中に前記ガラスクロスを浸漬させ、マングルにより絞液した後に、さらに110℃で30分間乾燥させた以外は、実施例1と全く同一にして本実施例の樹脂強化用ガラス繊維としての表面処理ガラスクロスを得た。
次に、本実施例で得られた表面処理ガラスクロスを用いた以外は、実施例1と全く同一にして、本実施例のガラス繊維強化樹脂成形品としてのポリエーテルイミド複合材料を得た。
次に、実施例1と全く同一にして、本実施例で得られた樹脂強化用ガラス繊維としての表面処理ガラスクロスについて酸付着量を算出する一方、本実施例で得られたガラス繊維強化樹脂成形品としてのポリエーテルイミド複合材料について、常体曲げ強度を測定し、強度上昇率を算出した。結果を表1に示す。なお、本実施例において、「酸が付着していないガラス繊維強化樹脂成形品」は、下記比較例1で得られたガラス繊維強化樹脂成形品に相当する。
〔実施例3〕
本実施例では、酸としてマロン酸が83.7mmol/kgとなるように調製した水系処理溶液を用いた以外は、実施例1と全く同一にして本実施例の樹脂強化用ガラス繊維としての表面処理ガラスクロスを得た。
次に、本実施例で得られた表面処理ガラスクロスを用いた以外は、実施例1と全く同一にして、本実施例のガラス繊維強化樹脂成形品としてのポリエーテルイミド複合材料を得た。
次に、実施例1と全く同一にして、本実施例で得られた樹脂強化用ガラス繊維としての表面処理ガラスクロスについて酸付着量を算出する一方、本実施例で得られたガラス繊維強化樹脂成形品としてのポリエーテルイミド複合材料について、常体曲げ強度を測定し、強度上昇率を算出した。結果を表1に示す。なお、本実施例において、「酸が付着していないガラス繊維強化樹脂成形品」は、下記比較例1で得られたガラス繊維強化樹脂成形品に相当する。
〔実施例4〕
本実施例では、酸としてクエン酸が83.7mmol/kgとなるように調製した水系処理溶液を用いた以外は、実施例1と全く同一にして本実施例の樹脂強化用ガラス繊維としての表面処理ガラスクロスを得た。
次に、本実施例で得られた表面処理ガラスクロスを用いた以外は、実施例1と全く同一にして、本実施例のガラス繊維強化樹脂成形品としてのポリエーテルイミド複合材料を得た。
次に、実施例1と全く同一にして、本実施例で得られた樹脂強化用ガラス繊維としての表面処理ガラスクロスについて酸付着量を算出する一方、本実施例で得られたガラス繊維強化樹脂成形品としてのポリエーテルイミド複合材料について、常体曲げ強度を測定し、強度上昇率を算出した。結果を表1に示す。なお、本実施例において、「酸が付着していないガラス繊維強化樹脂成形品」は、下記比較例1で得られたガラス繊維強化樹脂成形品に相当する。
〔実施例5〕
本実施例では、酸としてマレイン酸が83.7mmol/kgとなるように調製した水系処理溶液を用いた以外は、実施例1と全く同一にして本実施例の樹脂強化用ガラス繊維としての表面処理ガラスクロスを得た。
次に、本実施例で得られた表面処理ガラスクロスを用いた以外は、実施例1と全く同一にして、本実施例のガラス繊維強化樹脂成形品としてのポリエーテルイミド複合材料を得た。
次に、実施例1と全く同一にして、本実施例で得られた樹脂強化用ガラス繊維としての表面処理ガラスクロスについて酸付着量を算出する一方、本実施例で得られたガラス繊維強化樹脂成形品としてのポリエーテルイミド複合材料について、常体曲げ強度を測定し、強度上昇率を算出した。結果を表1に示す。なお、本実施例において、「酸が付着していないガラス繊維強化樹脂成形品」は、下記比較例1で得られたガラス繊維強化樹脂成形品に相当する。
〔実施例6〕
本実施例では、シランカップリング剤としてγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(ダウ・東レ株式会社製、商品名:XIAMETER OFS6030)を0.5質量%となるように添加した水系処理溶液を用いた以外は、実施例1と全く同一にして本実施例の樹脂強化用ガラス繊維としての表面処理ガラスクロスを得た。得られた表面処理ガラスクロスの酸付着量は120ppm、シランカップリング剤の付着量は1050ppm、強熱減量は0.106%であった。
次に、本実施例で得られた表面処理ガラスクロスを用いた以外は、実施例1と全く同一にして、本実施例のガラス繊維強化樹脂成形品としてのポリエーテルイミド複合材料を得た。
次に、実施例1と全く同一にして、本実施例で得られた樹脂強化用ガラス繊維としての表面処理ガラスクロスについて酸付着量を算出する一方、本実施例で得られたガラス繊維強化樹脂成形品としてのポリエーテルイミド複合材料について、常体曲げ強度を測定した。結果を表1に示す。
なお、表1において、「メタクリルシラン」は、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを意味する。
〔実施例7〕
本実施例では、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン(ダウ・東レ株式会社製、商品名:DOWSIL Z−6040)を0.5質量%となるように添加した水系処理溶液を用いた以外は、実施例1と全く同一にして本実施例の樹脂強化用ガラス繊維としての表面処理ガラスクロスを得た。得られた表面処理ガラスクロスの酸付着量は120ppm、シランカップリング剤の付着量は1030ppm、強熱減量は0.090%であった。
次に、本実施例で得られた表面処理ガラスクロスを用いた以外は、実施例1と全く同一にして、本実施例のガラス繊維強化樹脂成形品としてのポリエーテルイミド複合材料を得た。
次に、実施例1と全く同一にして、本実施例で得られた樹脂強化用ガラス繊維としての表面処理ガラスクロスについて酸付着量を算出する一方、本実施例で得られたガラス繊維強化樹脂成形品としてのポリエーテルイミド複合材料について、常体曲げ強度を測定した。結果を表1に示す。
なお、表1において、「エポキシシラン」は、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシランを意味する。
〔実施例8〕
本実施例では、実施例1と全く同一にして樹脂強化用ガラス繊維としての表面処理ガラスクロスを得た。
次に、本実施例で得られた表面処理ガラスクロス10枚と、厚さ100μmのポリエーテルエーテルケトンフィルム(Victrex社製、商品名:APTIVフィルム1000、荷重たわみ温度156℃)13枚とを重ね合わせ、400℃にて、接圧で10分間保持したのち、面圧を10kgw/cmにして5分間保持し、室温まで冷却することで、本実施例のガラス繊維強化樹脂成形品として、体積含有率40%厚さ2mmのポリエーテルエーテルケトン複合材料を得た。
次に、実施例1と全く同一にして、本実施例で得られた樹脂強化用ガラス繊維としての表面処理ガラスクロスについて酸付着量を算出する一方、本実施例で得られたガラス繊維強化樹脂成形品としてのポリエーテルエーテルケトン複合材料について、常体曲げ強度を測定し、強度上昇率を算出した。結果を表1に示す。なお、本実施例において、「酸が付着していないガラス繊維強化樹脂成形品」は、下記比較例4で得られたガラス繊維強化樹脂成形品に相当する。
〔比較例1〕
本比較例では、酸を全く用いなかった以外は実施例1と全く同一にして、樹脂強化用ガラス繊維としての表面処理ガラスクロスを得た。
次に、本比較例で得られた表面処理ガラスクロスを用いた以外は、実施例1と全く同一にして、本比較例のガラス繊維強化樹脂成形品としてのポリエーテルイミド複合材料を得た。
次に、実施例1と全く同一にして、本比較例で得られた樹脂強化用ガラス繊維としての表面処理ガラスクロスについて酸付着量を算出する一方、本比較例で得られたガラス繊維強化樹脂成形品としてのポリエーテルイミド複合材料について、常体曲げ強度を測定した。結果を表2に示す。
なお、表2において、「平均水素数」は、カルボキシル基のα炭素位の平均水素数を意味し、「アミノシラン」は、3−アミノプロピルトリエトキシシランを意味する。
〔比較例2〕
本比較例では、酸としてギ酸が83.7mmol/kgとなるように調製した水系処理溶液を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、樹脂強化用ガラス繊維としての表面処理ガラスクロスを得た。
次に、本比較例で得られた表面処理ガラスクロスを用いた以外は、実施例1と全く同一にして、本比較例のガラス繊維強化樹脂成形品としてのポリエーテルイミド複合材料を得た。
次に、実施例1と全く同一にして、本比較例で得られた樹脂強化用ガラス繊維としての表面処理ガラスクロスについて酸付着量を算出する一方、本比較例で得られたガラス繊維強化樹脂成形品としてのポリエーテルイミド複合材料について、常体曲げ強度を測定し、強度上昇率を算出した。結果を表2に示す。なお、本比較例において、「酸が付着していないガラス繊維強化樹脂成形品」は、前記比較例1で得られたガラス繊維強化樹脂成形品に相当する。
〔比較例3〕
本比較例では、酸としてシュウ酸が83.7mmol/kgとなるように調製した水系処理溶液を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、樹脂強化用ガラス繊維としての表面処理ガラスクロスを得た。
次に、本比較例で得られた表面処理ガラスクロスを用いた以外は、実施例1と全く同一にして、本比較例のガラス繊維強化樹脂成形品としてのポリエーテルイミド複合材料を得た。
次に、実施例1と全く同一にして、本比較例で得られた樹脂強化用ガラス繊維としての表面処理ガラスクロスについて酸付着量を算出する一方、本比較例で得られたガラス繊維強化樹脂成形品としてのポリエーテルイミド複合材料について、常体曲げ強度を測定し、強度上昇率を算出した。結果を表2に示す。なお、本比較例において、「酸が付着していないガラス繊維強化樹脂成形品」は、前記比較例1で得られたガラス繊維強化樹脂成形品に相当する。
〔比較例4〕
本比較例では、比較例1と全く同一にして樹脂強化用ガラス繊維としての表面処理ガラスクロスを得た。
次に、本比較例で得られた表面処理ガラスクロスを用いた以外は、実施例8と全く同一にして、本比較例のガラス繊維強化樹脂成形品としてのポリエーテルエーテルケトン複合材料を得た。
次に、実施例1と全く同一にして、本比較例で得られた樹脂強化用ガラス繊維としての表面処理ガラスクロスについて酸付着量を算出する一方、本比較例で得られたガラス繊維強化樹脂成形品としてのポリエーテルエーテルケトン複合材料について、常体曲げ強度を測定した。結果を表2に示す。
〔比較例5〕
本比較例では、比較例2と全く同一にして樹脂強化用ガラス繊維としての表面処理ガラスクロスを得た。
次に、本比較例で得られた表面処理ガラスクロスを用いた以外は、実施例8と全く同一にして、本比較例のガラス繊維強化樹脂成形品としてのポリエーテルエーテルケトン複合材料を得た。
次に、実施例1と全く同一にして、本比較例で得られた樹脂強化用ガラス繊維としての表面処理ガラスクロスについて酸付着量を算出する一方、本比較例で得られたガラス繊維強化樹脂成形品としてのポリエーテルエーテルケトン複合材料について、常体曲げ強度を測定し、強度上昇率を算出した。結果を表2に示す。なお、本比較例において、「酸が付着していないガラス繊維強化樹脂成形品」は、前記比較例4で得られたガラス繊維強化樹脂成形品に相当する。
〔比較例6〕
本比較例では、実施例1と全く同一にして樹脂強化用ガラス繊維としての表面処理ガラスクロスを得た。
次に、本比較例で得られた表面処理ガラスクロス10枚と、厚さ100μmのポリブチレンテレフタレートフィルム(ポリプラスチックス社製、商品名:ジュラネックス2000、荷重たわみ温度68℃、)17枚とを重ね合わせ、260℃にて、接圧で5分間保持したのち、面圧を20kgw/cmにして3分間保持し、室温まで冷却することで、本比較例のガラス繊維強化樹脂成形品として、体積含有率40%厚さ2mmのポリブチレンテレフタレート複合材料を得た。
次に、実施例1と全く同一にして、本比較例で得られた樹脂強化用ガラス繊維としての表面処理ガラスクロスについて酸付着量を算出する一方、本比較例で得られたガラス繊維強化樹脂成形品としてのポリブチレンテレフタレート複合材料について、常体曲げ強度を測定し、強度上昇率を算出した。結果を表2に示す。なお、本比較例において、「酸が付着していないガラス繊維強化樹脂成形品」は、下記比較例7で得られたガラス繊維強化樹脂成形品に相当する。
なお、表2において、「PBT」は、ポリブチレンテレフタレートを意味する。
〔比較例7〕
本比較例では、比較例1と全く同一にして樹脂強化用ガラス繊維としての表面処理ガラスクロスを得た。
次に、本比較例で得られた表面処理ガラスクロスを用いた以外は、比較例6と全く同一にして、本比較例のガラス繊維強化樹脂成形品としてのポリブチレンテレフタレート複合材料を得た。
次に、実施例1と全く同一にして、本比較例で得られた樹脂強化用ガラス繊維としての表面処理ガラスクロスについて酸付着量を算出する一方、本比較例で得られたガラス繊維強化樹脂成形品としてのポリブチレンテレフタレート複合材料について、常体曲げ強度を測定した。結果を表2に示す。
〔比較例8〕
本比較例では、比較例2と全く同一にして樹脂強化用ガラス繊維としての表面処理ガラスクロスを得た。
次に、本比較例で得られた表面処理ガラスクロスを用いた以外は、比較例6と全く同一にして、本比較例のガラス繊維強化樹脂成形品としてのポリブチレンテレフタレート複合材料を得た。
次に、実施例1と全く同一にして、本比較例で得られた樹脂強化用ガラス繊維としての表面処理ガラスクロスについて酸付着量を算出する一方、本比較例で得られたガラス繊維強化樹脂成形品としてのポリブチレンテレフタレート複合材料について、常体曲げ強度を測定し、強度上昇率を算出した。結果を表2に示す。なお、本比較例において、「酸が付着していないガラス繊維強化樹脂成形品」は、前記比較例7で得られたガラス繊維強化樹脂成形品に相当する。
Figure 2020158945
Figure 2020158945
表1から、表面にカルボキシル基のα炭素位の平均水素数が0.5以上の酸と、アミンを含有するシランカップリング剤とが付着しており、前記酸の付着量が樹脂強化用ガラス繊維の全量に対して10〜400ppmの範囲である実施例1〜8のガラス繊維によれば、該ガラス繊維と、荷重たわみ温度が120℃以上高耐熱性樹脂とを用いるガラス繊維強化樹脂成形品の機械的強度を向上させることができることが明らかである。
一方、表2から、表面にカルボキシル基のα炭素位の平均水素数が0.5以上の酸と、アミンを含有するシランカップリング剤とが付着しているか、又は、酸が全く付着していない比較例1〜8のガラス繊維によれば、該ガラス繊維と、荷重たわみ温度が120℃以上の高耐熱性樹脂とを用いるガラス繊維強化樹脂成形品の機械的強度を向上させることができないことが明らかである。

Claims (7)

  1. 荷重たわみ温度が120℃以上の樹脂の強化に用いられる、樹脂強化用ガラス繊維であって、
    表面に酸と、シランカップリング剤とが付着しており、
    前記酸は、カルボキシル基のα炭素位の平均水素数が0.5以上の酸であり、
    前記酸の付着量が樹脂強化用ガラス繊維の全量に対して10〜400ppmの範囲であることを特徴とする、樹脂強化用ガラス繊維。
  2. 請求項1記載の樹脂強化用ガラス繊維において、前記酸は、カルボキシル基のα炭素位の平均水素数が1.2以上の酸であることを特徴とする、樹脂強化用ガラス繊維。
  3. 請求項1又は請求項2記載の樹脂強化用ガラス繊維において、前記酸は、カルボキシル基のα炭素位の平均水素数が2.0以上の酸であることを特徴とする、樹脂強化用ガラス繊維。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項記載の樹脂強化用ガラス繊維において、前記酸は、酢酸であることを特徴とする、樹脂強化用ガラス繊維。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項記載の樹脂強化用ガラス繊維において、前記酸の付着量が樹脂強化用ガラス繊維の全量に対して90〜200ppmの範囲であることを特徴とする、樹脂強化用ガラス繊維。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項記載の樹脂強化用ガラス繊維において、前記シランカップリング剤は、アミンを含有するシランカップリング剤であることを特徴とする、樹脂強化用ガラス繊維。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項記載の樹脂強化用ガラス繊維と、荷重たわみ温度が120℃以上の樹脂とを含むことを特徴とする、ガラス繊維強化樹脂成形品。
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