JPH10624A - 3次元熱転写加飾型の製造方法 - Google Patents

3次元熱転写加飾型の製造方法

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JPH10624A
JPH10624A JP15566996A JP15566996A JPH10624A JP H10624 A JPH10624 A JP H10624A JP 15566996 A JP15566996 A JP 15566996A JP 15566996 A JP15566996 A JP 15566996A JP H10624 A JPH10624 A JP H10624A
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JP
Japan
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mold
manufacturing
convex
rubber
decorative
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Application number
JP15566996A
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English (en)
Inventor
Hiroko Kondo
浩子 近藤
Shinji Muramatsu
伸治 村松
Hirokazu Amano
浩和 天野
Shusuke Kotake
秀典 小竹
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KUNISHIRO KANAGATA KOGYO KK
Original Assignee
KUNISHIRO KANAGATA KOGYO KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 3次元熱転写加飾型の能率的かつ安価な製造
方法を得る。 【解決手段】 被加飾物18の裏面に合成樹脂を流し込
んで被加飾物支持部材16を製造し、それら被加飾物1
8および被加飾物支持部材16をシリコンゴム層成形用
凸型50の原型72とする。原型72の周囲に縮合タイ
プのシリコン樹脂88を流し込み、硬化収縮させて母型
90を製造する。母型90の凹部92にアルミニウム粉
末入り耐熱エポキシ樹脂94を流し込んで凸型50を製
造する。一方、発泡スチロールを削り出して押圧型本体
34の原型110を製造し、その原型110を基に鋳型
を製造し、押圧型本体34を鋳造する。押圧型本体34
の支持面44に未硬化のゴム状物質を置き、押圧型本体
34と凸型50との型締めを行い、未硬化のゴム状物質
を加熱により架橋硬化させて押圧型本体34に焼付け接
着し、シリコンゴム層38を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被加飾物の被加飾
面に熱転写フィルムを押圧するとともに加熱して加飾を
行う3次元熱転写加飾型の製造方法およびその製造方法
の実施時に使用されるゴム状弾性材層成形用凸型に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】被加飾物の被加飾面に熱転写フィルムを
押圧するとともに加熱して加飾を行う3次元熱転写加飾
型は、被加飾物を被加飾面とは反対側の裏面側から支持
する被加飾物支持部材と、熱転写フィルムを前記被加飾
物の被加飾面に押圧する押圧型とを含むのとされること
が多く、また、押圧型の熱転写フィルムを押圧する側の
面にはゴム状弾性材層が形成されることが多い。押圧型
にゴム状弾性材層を形成するために、ゴム状弾性材層成
形用凸型が使用される。押圧型の本体とゴム状弾性材層
成形用凸型との間にゴム状弾性材層の材料を介在させ、
加圧しつつ加熱することにより押圧型本体にゴム状弾性
材層を固着させるのである。
【0003】従来においては、上記被加飾物支持部材,
押圧型本体およびゴム状弾性材層成形用凸型は以下のよ
うに製造されていた。まず、ゴム状弾性材層成形用凸型
(以下、凸型と略称する)の製造方法であるが、被加飾
物の形状をCADにより作図した後、被加飾物の被加飾
面の形状を形取った凸型を作図する。この際、ゴム状弾
性材層形成時の熱膨張を考慮して凸型の寸法を被加飾物
より小さめにしておく。この2次元データを3次元デー
タに変換した後、NCデータに変換する。このNCデー
タによりNCフライス盤等を制御して鋼材ブロックから
凸型の3次元形状部分を削り出す。その後ガイドピン穴
等その他必要な部分の加工を行う。
【0004】また、押圧型の製造に当たっては、CAD
により作図された被加飾物の被加飾面よりゴム状弾性材
層の厚み分だけ外側にオフセットした面を設定し、これ
をゴム状弾性材層の支持面とする。この2次元データを
3次元データおよびNCデータに変換した後、凸型と同
様に押圧型本体を鋼材ブロックからNC加工する。ガイ
ドピン穴等を加工した後、押圧型本体のパーティング面
をテープ等で覆って支持面をサンドブラスト等によって
荒らす。これはゴム状弾性材層の接着力を高めるためで
ある。
【0005】上述のように凸型と押圧型本体とを製造し
た後、押圧型本体の支持面とパーティング面とをエアー
ブロワで清浄にしてから支持面にシリコン系接着剤を塗
布する。押圧型本体を下にして支持面が凸型に対向する
状態で、支持面に未硬化のゴム状物質を載せる。その
後、ガイドピンを凸型と押圧型本体とにそれぞれ形成さ
れた各ガイド穴に挿通して型締めを行い、未硬化ゴム状
物質を加熱により架橋硬化させて押圧型本体に焼付け接
着し、ゴム状弾性材層を形成する。また、エージングと
称する熱処理を行う。被加飾物支持部材は、作図した被
加飾物の被加飾面とは反対側の裏面側のデータを使用し
て凸型および押圧型本体と同様に、鋼材ブロックのNC
加工によって製造する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の3次元熱転写加飾型の製造方法においては、押圧
型,凸型および被加飾物支持部材を全て鋼材ブロックの
切削加工により製造していたため、多大な製造コストお
よび製造日数を要するという問題があった。例えば、上
記3部材の製造日数は延べ約105日,費用約400万
円を要し、試作段階から膨大なコストがかかる問題があ
った。
【0007】しかも、射出成形により製造される被加飾
物は必ずしも設計図面どおりに寸分違わず出来上がるわ
けではない。被加飾物の射出成形用金型は基本的にはN
C加工によって製造されるが、最終的には作業者により
手作業で仕上げが行われることが多いため、特に被加飾
物の3次元形状部分は図面形状と若干異なることが多
い。その上、図23に示すように、被加飾物300の被
加飾面とは反対側の裏面302において射出成形用金型
のスライド部分や入子部分にはスジ304,306が形
成されてしまう。また、押圧型,凸型および被加飾物支
持部材をそれぞれ被加飾物の図面に基づいて製造するの
であるため、これら部材の互いに対応する部分の形状相
互間にも不一致が生じることを避け得なかった。
【0008】この押圧型,凸型および被加飾物支持部材
相互間、ならびにこれらと被加飾物300との間の形状
の不一致が、実際に熱転写加飾作業を行う際に熱転写フ
ィルムの被加飾面への密着不良を発生させる。そこで、
熱転写作業を行って被加飾模様等が被加飾面に良好に転
写されない部分には、被加飾物支持部材に粘着テープ等
を貼付して調整するのであるが、作業中に粘着テープが
だれてきたり、テープが押圧型と被加飾物支持部材との
接近,離間方向に直角な平面に対して傾斜した面に貼付
されている場合には、剪断力によりテープがずれて、最
終的には剥がれてしまう。こうなると途中で作業を中断
して修正を施さなければならず、作業に時間がかかると
いう問題があった。しかも、このずれは予測し難いた
め、加飾済みの被加飾物に密着不良が発生しているか否
かを全ての被加飾物について検査,確認する必要があ
り、作業が面倒であるという問題もあった。
【0009】そこで、本願第一ないし第六発明に共通の
課題は、熱転写フィルムを被加飾物の被加飾面に押圧す
る押圧型を含む3次元熱転写加飾型を能率的にかつ低コ
ストで製造し得るようにすることである。特に、第一発
明の課題は、ゴム状弾性材層成形用凸型自体およびそれ
の母型の製造を容易にし、かつ、ゴム状弾性材層の形成
を迅速に行い得るようにすることである。第二発明の課
題は、被加飾物自体を母型製造のための原型として利用
しながら押圧型製造工程までの膨張分だけ被加飾物より
小さいゴム状弾性材層成形用凸型を製造し得るようにす
ることである。第三発明の課題は、押圧型本体の製造を
容易にすることである。第四発明の課題は、ゴム状弾性
材層成形用凸型製造のための母型の原型の製造を容易に
することである。第五発明の課題は、3次元熱転写加飾
型の被加飾物支持部材の製造を容易にするとともに、熱
転写フィルムの被加飾面への密着不良を低減させること
である。第六発明の課題は、安価でかつゴム状弾性材層
の成形を迅速に行い得るゴム状弾性材層成形用凸型を得
ることである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、第一発明に係る3次元熱転写加飾型の製造方法は、
被加飾物の被加飾面の形状と補完的な形状の母型を合成
樹脂の流し込みにより製造する母型製造工程と、母型に
充填材入り耐熱性樹脂を流し込んでゴム状弾性材層成形
用凸型を製造する凸型製造工程と、ゴム状弾性材層成形
用凸型と前記押圧型の本体との間でゴム状物質を成形
し、押圧型本体にゴム状弾性材層を形成して押圧型を製
造する押圧型製造工程とを含むものとされる。第二発明
においては、前記母型製造工程が、被加飾物の被加飾面
の周囲に前記合成樹脂を流し込んで母型を製造する工程
を含むものとされ、その際、合成樹脂の硬化時における
収縮率がゴム状弾性材層成形用凸型の、凸型製造工程と
押圧型製造工程とにおける膨張率とほぼ等しくされる。
【0011】第三発明に係る3次元熱転写加飾型の製造
方法は、前記押圧型の本体の原型を発泡スチロールを削
り出して製造する原型削出工程と、その原型を使用して
鋳型を製造する鋳型製造工程と、その鋳型を使用して前
記押圧型の本体を鋳造する本体鋳造工程とを含むものと
される。第四発明に係る3次元熱転写加飾型の製造方法
は、被加飾物の被加飾面とは反対側の裏面に合成樹脂を
流し込むことによりその被加飾物を支持する被加飾物支
持部材を製造する被加飾物支持部材製造工程と、その製
造した被加飾物支持部材に前記被加飾物を載置して前記
母型を製造するための原型とする原型製造工程とを含む
ものとされる。
【0012】第五発明に係る3次元熱転写加飾型の製造
方法は、母型の製造後、被加飾物支持部材を3次元熱転
写加飾型に被加飾物支持部材として取り付ける工程を含
むものとされる。第六発明においては、熱転写フィルム
を被加飾物の被加飾面に押圧する押圧型にゴム状弾性材
層を成形するためのゴム状弾性材層成形用凸型の、少な
くとも前記ゴム状弾性材層の前記被加飾面とほぼ補完関
係にある面を成形する部分が、充填材入り耐熱性樹脂で
形成される。
【0013】
【作用および発明の効果】第一発明によれば、ゴム状弾
性材層成形用凸型を合成樹脂の流し込みで製造すること
ができ、かつ、その流し込みのための母型も合成樹脂の
流し込みで製造することができるため、作業の能率が向
上し、製造コストが低減する効果が得られる。また、ゴ
ム状弾性材層成形用凸型は、充填材入り耐熱性樹脂を母
型に流し込んで製造するのであるため、ゴム状弾性材層
を形成する際に、ゴム状弾性材層成形用凸型の温度を十
分に高くして、ゴム状弾性材層を速やかに形成すること
ができる。
【0014】第二発明によれば、被加飾物自体を母型製
造のための原型として利用することにより原型の製造コ
ストを低減させ得る。また、母型製造時における合成樹
脂の硬化収縮率を、ゴム状弾性材層成形用凸型の、凸型
製造工程と押圧型製造工程とにおける膨張率とほぼ等し
くすることにより、被加飾物自体を母型製造のための原
型として利用しながら、押圧型製造工程における膨張分
だけ被加飾物より小さいゴム状弾性材層成形用凸型を製
造することができる。第三発明によれば、押圧型本体を
鋳造によって製造できるため、鋼材ブロックの削出しに
比較して作業能率が向上し、製造コストを低減させるこ
とができる。また、鋳物であるので切削加工し易い上
に、鋳肌面をそのまま利用してゴム状弾性材層を強固に
接着することができる。さらに、押圧型本体の原型には
発泡スチロールを使用しているため、原型の製造コスト
も低減させることができる。
【0015】第四発明によれば、被加飾物支持部材を被
加飾物の形状に正確に合わすことが容易であるため、被
加飾物と被加飾物支持部材との形状の不一致に起因する
熱転写フィルムの被加飾面への密着不良を低減させるこ
とができ、従来のように被加飾物支持部材を製造後に手
直しする必要がなくなる。したがって、作業の能率が向
上し、製造コストが低減する。第五発明によれば、被加
飾物支持部材を、ゴム状弾性材層成形用凸型の製造に使
用した後、3次元熱転写加飾型に取り付けて、熱転写加
飾作業を行うために被加飾物を支持させる目的でも使用
できるため、3次元熱転写加飾型を安価にかつ効率的に
製造することができる。
【0016】第六発明によれば、ゴム状弾性材層成形用
凸型の少なくともゴム状弾性材層の被加飾面とほぼ補完
関係にある面を成形する部分が充填材入り耐熱性樹脂で
形成されているため、押圧型にゴム状弾性材層を形成す
る際の加熱によってゴム状弾性材層成形用凸型が変形す
る等の不都合を回避することができ、ゴム状弾性材層を
十分高い温度で迅速に形成することができる。
【0017】
【発明の補足説明】本発明は各請求項記載の態様の他
に、以下の態様でも実施可能である。各態様は便宜上、
請求項と同じ形式の実施態様項として記載する。 (1)前記充填材入り耐熱性樹脂が、充填材として金属
粉末を含む請求項1ないし5のいずれか1つに記載の3
次元熱転写加飾型の製造方法、または請求項6に記載の
ゴム状弾性材層成形用凸型。充填材を金属粉末とすれ
ば、ゴム状弾性材層成形用凸型の熱伝導率が向上する効
果が得られる。 (2)前記金属粉末がアルミニウム粉末を含む態様1に
記載の3次元熱転写加飾型の製造方法またはゴム状弾性
材層成形用凸型。アルミニウム粉末は比較的安価で軽く
かつ熱伝導率が高い特徴を有しているが、アルミニウム
粉末と共にあるいはそれに代えて鉄,銅等の粉末を使用
することも可能である。 (3)前記充填材入り耐熱性樹脂が、耐熱性樹脂として
耐熱エポキシ樹脂を含む請求項1ないし5,態様1,2
のいずれか1つに記載の3次元熱転写加飾型の製造方
法、または請求項6,態様1,2のいずれか1つに記載
のゴム状弾性材層成形用凸型。耐熱性樹脂として、エポ
キシ樹脂以外にもウレタン樹脂等耐熱性の高い2液反応
型樹脂を使用することができる。耐熱性の評価方法とし
ては、JIS K 7207-1983 に規定されている硬質プラスチ
ックの荷重たわみ温度試験方法がある。この試験方法
は、加熱浴槽中の試験片に規定の曲げ応力を加えなが
ら、一定速度で伝熱媒体を昇温させ、試験片が規定のた
わみ量に達したときの伝熱媒体の温度を測定し、この温
度を荷重たわみ温度とするものである。ここで、硬質プ
ラスチックとは、20〜23°Cの室温において試験片
に規定の曲げ応力を加えたとき変形量が微少で無視でき
るものを言う。本明細書においては、この荷重たわみ温
度試験方法による荷重たわみ温度が150°C以上であ
る合成樹脂を耐熱性の高い合成樹脂であるものとする。 (4)前記母型の製造に使用される合成樹脂が、縮合タ
イプのシリコン樹脂を含むことを特徴とする請求項1な
いし5,態様1ないし3のいずれか1つに記載の3次元
熱転写加飾型の製造方法。縮合タイプのシリコン樹脂
は、付加重合タイプのシリコン樹脂と比較して安価であ
るため、製造コストを低減できる。 (5)前記合成樹脂の硬化収縮率が0.3%以上0.7
%以下であることを特徴とする請求項1ないし5,態様
1ないし4のいずれか1つに記載の3次元熱転写加飾型
の製造方法。 (6)前記母型製造工程における合成樹脂の硬化収縮率
と、前記ゴム状弾性材層成形用凸型の、前記凸型製造工
程と前記押圧型製造工程とにおける膨張率との比が0.
8以上1.2以下である請求項2ないし5,態様1ない
し5のいずれか1つに記載の3次元熱転写加飾型の製造
方法。このようにすれば、母型の収縮率とゴム状弾性材
層成形用凸型の膨張率とがほぼ等しくなり、従来のよう
にゴム状弾性材層成形用凸型の膨張率を考慮に入れて予
め母型を小さめに製造する手間を省くことができる。 (7)前記ゴム状弾性材層成形用凸型の、前記凸型製造
工程と前記押圧型製造工程とにおける膨張率が、前記凸
型製造工程における前記充填材入り耐熱性樹脂の硬化膨
張率と、前記押圧型製造工程における前記ゴム状弾性材
層成形用凸型の温度から前記凸型製造工程における前記
充填材入り耐熱性樹脂の硬化温度を差し引いた温度差と
前記ゴム状弾性材層成形用凸型の線膨張率との積で表さ
れる温度差対応膨張率とを含む請求項2ないし5,態様
1ないし6のいずれか1つに記載の3次元熱転写加飾型
の製造方法。 (8)前記母型製造工程が、前記被加飾物の原型を合成
樹脂製ブロックの削り出しにより製造する工程と、製造
された原型の周囲に前記合成樹脂を流し込んで前記母型
を製造する工程とを含む請求項1,3,態様1ないし7
のいずれか1つに記載の3次元熱転写加飾型の製造方
法。 (9)金属製ブロックの上に、前記被加飾物の被加飾面
に対応する表層部が、前記充填材入り耐熱性樹脂で形成
されて成る請求項6,態様1ないし3のいずれか1つに
記載のゴム状弾性材層成形用凸型。ゴム状弾性材層成形
用凸型の、内部を金属ブロックで形成すれば充填材入り
耐熱性樹脂の使用量を減らすことができ、また、押圧型
と接触するパーティング面を金属で形成すれば、ゴム状
弾性材層成形用凸型の耐久性が向上する効果が得られ
る。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、第一ないし第六発明に共通
の一実施形態である3次元熱転写加飾型およびその製造
方法について図面に基づいて詳細に説明する。図1にお
いて10は支持型であり、12は押圧型である。支持型
10はベッド14に水平方向に移動可能に支持されてお
り、図示しない移動装置により、図示の退避位置と、押
圧型12の真下の作動位置とに移動させられる。一方、
押圧型12は図示しない昇降装置に取り付けられてお
り、垂直方向に昇降させられる。これら支持型10と押
圧型12とにより3次元熱転写加飾型15が構成されて
いる。
【0019】支持型10が作動位置に移動させられ、押
圧型12が下降させられれば、支持型10の被加飾物支
持部材16に支持された被加飾物18の3次元形状を成
す被加飾面20に、加熱された押圧型12によって熱転
写フィルム22が押圧され、熱転写フィルム22にイン
ク層により形成された被転写模様等が被加飾面20に転
写され、加飾が行われる。
【0020】図2に示すように、被加飾物18は合成樹
脂製であり、穴や格子部分等が形成されている。また、
図1に示すように、支持型10は、概して浅い箱形を成
す支持型本体24を備え、支持型本体24の底面のほぼ
中央部には被加飾物支持部材16を支持する基盤26が
固定されている。支持型本体24の底面が一般面27を
成し、その一般面27から突部としての被加飾物支持部
材16が上方へ突出しているのである。被加飾物支持部
材16の周辺には図示しない吸引孔が複数個形成され、
真空装置(図示省略)に連通させられている。この真空
装置は、被加飾面20と熱転写フィルム22との間を脱
気するものである。
【0021】押圧型12を囲む位置には、概して枠状を
成すクランプ部材28が設けられている。クランプ部材
28は、押圧型12とは別の昇降装置により昇降させら
れて、支持型10の側壁30の上面32に熱転写フィル
ム22の被加飾模様等が形成された有効部を囲む周辺部
を押し付けてクランプする。押圧型12は押圧型本体3
4および加熱部材36を備えており、図3および図4に
示すように、押圧型本体34はシリコンゴム層38を備
えている。シリコンゴム層38は、被加飾物18の被加
飾面20の形状と補完的な形状の押圧面40を有してお
り、そのシリコンゴム層38が押圧面40とは反対側の
裏面42において押圧型本体34によって支持されてい
る。
【0022】以上の構成の3次元熱転写加飾型15の作
動について説明する。図1に示すように、支持型10が
退避位置に、熱転写フィルム22が離間位置にある間
に、被加飾物18が被加飾物支持部材16に供給される
一方、シリコンゴム層38の押圧面40が加熱部材36
によって加熱される。次に、図5に示すように、支持型
10が作動位置に移動させられるとともに、熱転写フィ
ルム22が被クランプ位置に下降させられる。続いて、
クランプ部材28が下降させられて熱転写フィルム22
がクランプされ、直ちに前記真空装置によって脱気さ
れ、熱転写フィルム22が少しの伸びを伴って被加飾物
18の被加飾面20に密着させられる。
【0023】熱転写フィルム22が被加飾面20に密着
させられた後直ちに、図6に示すように押圧型12が下
降させられ、熱転写フィルム22が加熱された押圧面4
0によって被加飾面20に押圧され、熱転写フィルム2
2に形成された被転写模様が被加飾面20に転写され
る。一定時間が経過して転写が終了した後、図7に示す
ように、押圧型12およびクランプ部材28が上昇させ
られ、図8に示すように、支持型10が退避位置へ移動
させられる。熱転写フィルム22が被加飾物18および
支持型10から離間させられ、加飾が施された被加飾物
18が外されて、1回の熱転写加飾作業が終了する。
【0024】この3次元熱転写加飾型15において、押
圧型12の押圧型本体34の支持面44にシリコンゴム
層38を形成するためには、図9に示すシリコンゴム層
成形用凸型50(以下、凸型50と略称する)が必要で
ある。押圧型本体34と凸型50との間にシリコンゴム
層38の材料を介在させ、加圧しつつ加熱することによ
り押圧型本体34にシリコンゴム層38を固着させるの
である。
【0025】この凸型50の製造方法を説明する。ま
ず、母型製造工程を実施する。被加飾物18の被加飾面
20に形成された穴や格子部分にポリプロピレン製等の
マスキングテープ51を貼付し、被加飾物18の表面を
滑らかにする。そして、図10に示すように、被加飾物
18の裏面52に石膏から成る充填材56を詰め、被加
飾物18が圧力で撓まないようにする。必要であれば被
加飾物18の下に支持台58を取り付ける。その後、支
持台58と共に被加飾物18を支持板60の上に固定す
る。この支持板60には四方から被加飾物18を取り囲
むよう状態で外壁62を固定する。そして、被加飾物1
8と外壁62との間の空間に石膏64を流し込み、被加
飾物18の表面形状を転写した被加飾物支持部材製造用
母型66を製造する。
【0026】石膏64が固化した後、支持板60と外壁
62とを被加飾物支持部材製造用母型66から取り外
す。さらに、充填材56と支持台58とを被加飾物18
および被加飾物支持部材製造用母型66から取り除き、
反転させた被加飾物18および被加飾物支持部材製造用
母型66の裏面52に2液性のウレタンパテ68を刷毛
塗りして硬化させることにより裏面52を覆うウレタン
パテ層を形成する。そして、そこに充填材入り耐熱性樹
脂である金属粉末入りエポキシ樹脂70を流し込んで硬
化させる。これらウレタンパテ68で形成された部分と
金属粉末入りエポキシ樹脂70で形成された部分とが被
加飾物支持部材16を構成することとなる。その後、被
加飾物支持部材製造用母型66を離型し、被加飾物18
も取り外して被加飾物支持部材16に仕上げ作業を行
う。この被加飾物支持部材16に被加飾物18を載置し
たものが原型72(図13参照)を構成する。被加飾物
支持部材16と基盤26とを連結するボルト用の雌ねじ
穴74を、被加飾物支持部材16の被加飾物18を支持
する面とは反対側の裏面76に形成する。以上のように
して製造した被加飾物支持部材16を図11に示す。
【0027】以上の方法によれば、被加飾物支持部材1
6を被加飾物18の形状に正確に合わすことが容易であ
るため、被加飾物18と被加飾物支持部材16との形状
の不一致に起因する熱転写フィルム22の被加飾面20
への密着不良を低減させることができ、従来のように被
加飾物支持部材を製造後に手直しする必要がなくなる。
したがって、作業の能率が向上し、製造コストが低減す
る効果が得られる。
【0028】前記基盤26はアルミニウム等の金属で形
成した矩形の板であり、図12に示すように、その四隅
にはガイドピン穴78を形成する。また、被加飾物支持
部材16の雌ねじ穴74に対応する位置にはボルト穴8
0を形成する。被加飾物支持部材16は、後述するよう
に原型72として使用された後、これら雌ねじ穴74お
よびボルト穴80にボルトが螺合されることにより基盤
26に固定され、基盤26と共に3次元熱転写加飾型1
5に取り付けられて被加飾物18を支持する。このよう
に、被加飾物支持部材16を前記凸型50の製造と熱転
写加飾作業との両方に使用することにより、3次元熱転
写加飾型15を能率的に製造することができ、製造コス
トを低減することができる。
【0029】図13に示すように、被加飾物支持部材1
6に被加飾物18を載置するとともに、被加飾物支持部
材16の側面に柔らかい木材等で形成した補助部材82
を取り付けて原型72を構成する。補助部材82は被加
飾物支持部材16の裏面76に向かうにつれて厚さ,長
さ共に増大しているため、原型72は概して基端部に向
かうに従って横断面積が増大する角錐台状を成してい
る。したがって、原型72を後述する母型90から離型
させる際におけるアンダーカットを回避することができ
る。
【0030】上記原型72を支持板84の上に固定し、
四方を外壁86で囲み、原型72と外壁86との間の空
間に合成樹脂、ここでは縮合タイプのシリコン樹脂88
を流し込み、常温で硬化させて母型90を製造する。一
般的にシリコン樹脂による成形では、収縮を回避するた
めに、高価ではあるが硬化時の収縮率の小さい付加重合
タイプのシリコン樹脂が用いられている。しかし、本実
施形態においては、硬化収縮率が0.3%以上0.7%
以下である縮合タイプのシリコン樹脂88をあえて使用
し、原型72の外のり寸法より内のり寸法が小さい母型
90を製造する。この硬化収縮率は、凸型50の、後述
する凸型製造工程と押圧型製造工程とにおける膨張率と
ほぼ等しくなるように選定する。縮合タイプのシリコン
樹脂は、付加重合タイプのシリコン樹脂と比較して安価
であるため、製造コストを低減できる。
【0031】シリコン樹脂88の硬化後、母型90から
原型72,支持板84および外壁86をそれぞれ取り外
す。そして、母型90の凹部92の寸法を測定し、目標
の収縮率が得られているかを確認する。目標の収縮率が
得られていない場合は、さらに比較的低温でポストキュ
アを行い、凹部92の収縮を促進させる。
【0032】次に、凸型製造工程を実施する。母型90
の凹部92にアルミニウム粉末入り耐熱エポキシ樹脂9
4を流し込む。耐熱エポキシ樹脂94を常温で硬化させ
た後、一次硬化を行い、その後ステップキュアリングに
より2次硬化を行い凸型50を製造する。充填材である
アルミニウム粉末は比較的安価で軽く、かつ熱伝導率が
高いため効果的であるが、アルミニウムと共にあるいは
それに代えて鉄,銅等の熱伝導率の高い金属の粉末を使
用することもできる。また、充填材は必ずしも粉末であ
る必要はなく、繊維等で構成することも可能である。
【0033】また、耐熱性樹脂としては、エポキシ樹脂
以外にも、ウレタン樹脂等耐熱性の優れた2液反応型樹
脂を使用することができる。荷重たわみ温度試験方法に
よる荷重たわみ温度が150°C以上である合成樹脂を
耐熱性の高い合成樹脂として使用することが可能である
が、荷重たわみ温度が170°C以上である合成樹脂が
望ましく、180°C以上の合成樹脂であればさらに望
ましい。
【0034】耐熱エポキシ樹脂94の硬化終了後、凸型
50と母型90とを離型させ、凸型50の凸面96とは
反対側の裏面98をフライス盤によって平面に仕上げ加
工し、さらに雌ねじ穴(図示省略)を形成する。以上の
ように、凸型50と凸型50製造用の母型90とを合成
樹脂の流し込みで製造すれば、殆ど機械加工を必要とし
ないため、作業の能率が向上し、製造コストを低減させ
ることができる。また、凸型50は耐熱エポキシ樹脂9
4で形成するのであるため、シリコンゴム層38を押圧
型12に形成する際に凸型50の温度を十分に高くし
て、シリコンゴム層38を速やかに形成することができ
る。さらに、被加飾物18を使用して母型90を製造す
るのであるため、凸型50を被加飾物18の形状に容易
に正確に合わせることができる。
【0035】図14に示すように、凸型50には凸型基
盤100を取り付ける。凸型基盤100は鋼材等から成
る矩形板であり、その四隅にはガイドピン穴102を形
成する。また、凸型50の裏面98に形成した雌ねじ穴
に対応する位置には、ボルト穴(図示省略)を形成し、
両者をボルトにより固定する。なお、凸型基盤100
は、シリコンゴム層38の成形後に凸型50から取り外
して、その他の3次元熱転写加飾型の凸型基盤として使
用することも可能である。
【0036】次に、押圧型12の製造方法を説明する。
図13に示すように、まず原型削出工程において、押圧
型12の押圧型本体34の図面に基づいて発泡スチロー
ルを削り出し、押圧型本体34の原型110を製造す
る。この原型110は、後に押圧型本体34を鋳造する
際の収縮率を考慮に入れ、所望の押圧型本体34の寸法
よりやや大きめの寸法で製造する。さらに、支持面44
にシリコンゴム層38を成形する際の凸型50とのパー
ティング面112と、支持面44とは反対側の加熱部材
36への取付面114とには、後に機械加工を施す必要
があるため、5mm程度の削り代を設けておく。
【0037】その後、鋳型製造工程において、原型11
0を基にして鋳型としての砂型(図示省略)を製造す
る。次の本体部製造工程においては、この砂型を基にし
て押圧型12の押圧型本体34を鋳造する。ここで、鋳
造に使用する材料は、アルミニウムや銅等でもよいが、
製造コストや加飾作業時の押圧型12の熱膨張率を考慮
に入れると、ねずみ鋳鉄や球状黒鉛鋳鉄等の鋳鉄を使用
することが望ましい。
【0038】押圧型本体34の鋳造後、押圧型本体34
を急冷を避けて徐冷し、冷却終了後前記砂型を取り除い
てサンドブラストにより清掃を行う。そして、削り代を
設けたパーティング面112と取付面114とをフライ
ス盤等で加工した後、ガイドピン穴116等を機械加工
する。その後、支持面44にシリコン系接着剤を刷毛塗
りで塗布し、含有の有機溶剤を十分に乾燥させておく。
以上のようにして製造した押圧型12の押圧型本体34
を図15に示す。
【0039】このように押圧型本体34を鋳造によって
製造するため、鋼材ブロックの削り出しに比較して作業
能率が向上し、製造コストを低減させることができる。
また、鋳物であるので切削加工し易い上に、凹凸を有す
る鋳肌面をそのまま支持面44として利用してシリコン
ゴム層38を接着することができるため、従来のように
サンドブラスト処理により表面に凹凸を形成する手間を
省くことができる。さらに、押圧型本体34の原型11
0には発泡スチロールを使用するため、原型110の製
造コストも低減させることができる。
【0040】図13および16に示すように、押圧型製
造工程において、押圧型本体34を下に、凸型50を上
にして、支持面44と凸型50の凸面96とを対向さ
せ、押圧型本体34に未硬化の熱硬化型シリコン樹脂の
コンパウンド120を載せ、凸型基盤100のガイドピ
ン穴102と押圧型本体34のガイドピン穴116とに
ガイドピン122を挿通して型締めを行い、未硬化のコ
ンパウンド120を加熱により架橋硬化させて押圧型本
体34の支持面44に焼付け接着し、ゴム状弾性材層と
してのシリコンゴム層38を形成する。凸型50は、前
記凸型製造工程において耐熱エポキシ樹脂94の硬化膨
張により膨張し、さらに、上記押圧型製造工程における
加熱によっても膨張するが、凸型50は前述のようにこ
れらの膨張分だけ小さく製造してあるため、凸型50は
原型72と実質的に等しい大きさとなる。
【0041】コンパウンド120を硬化させた後、押圧
型本体34およびシリコンゴム層38と凸型50とを離
間させ、残ったバリを除去する。その後、エージング処
理を行い、シリコンゴム層38のシリコン樹脂内に残っ
ている未反応の過酸化物を気化させ、放出させる。シリ
コンゴム層38を上にして加熱し、シリコンゴム層38
と押圧型本体34との間から少しずつ気体を放出させる
のである。このエージング処理が終了すれば、押圧型本
体34の支持面にシリコンゴム層38が強固に支持され
た押圧型12が得られる。
【0042】本実施形態においては、シリコン樹脂88
の硬化収縮率を0.3%以上0.7%以下としたが、こ
の硬化収縮率は要するに、凸型製造工程および押圧型製
造工程における凸型50の膨張率との比が0.8以上
1.2以下となるように選定すればよい。この凸型50
の凸型製造工程および押圧型製造工程における膨張率
は、凸型製造工程における耐熱エポキシ樹脂94の硬化
膨張率と、押圧型製造工程における凸型50の温度から
凸型製造工程における耐熱エポキシ樹脂94の硬化温度
を差し引いた温度差と凸型50の線膨張率との積で表さ
れる温度差対応膨張率との和である。一般的にアルミニ
ウム粉末入り耐熱エポキシ樹脂の硬化膨張率は0.12
%,線膨張率は3.0〜7.0×10-5cm/cm/°
Cである。
【0043】また、前述のように、母型90の凹部92
の寸法を測定し、目標の収縮率が得られていない場合に
はシリコン樹脂88を加熱する以外に、冷却することに
より母型90全体の温度を低下させて熱収縮させること
も可能である。その後凹部92に耐熱エポキシ樹脂94
を流し込むのであるが、耐熱エポキシ樹脂94の硬化発
熱は僅かであるため、母型90の温度は殆ど上昇せず、
熱膨張は無視し得る程度で済む。
【0044】前記実施形態においては、母型製造工程に
おいて、被加飾物支持部材16に被加飾物18を載置し
て凸型50製造用の原型72としたが、ABS樹脂等の
合成樹脂ブロックを削り出して原型126を製造し、そ
の原型126の周囲にシリコン樹脂88を流し込んで母
型90を製造することも可能である。母型製造後は、こ
の原型126自体に3次元熱転写加飾型により加飾を施
してデザインサンプルとして使用することも可能であ
る。また、この凸型50の凸型製造工程と押圧型製造工
程とにおける膨張率を考慮に入れて原型を予め小さめに
製造し、母型の製造に収縮率の小さい付加重合タイプの
シリコン樹脂を使用することも可能である。
【0045】図17に示すように、ゴム状弾性材層成形
用凸型130の被加飾物18の被加飾面20に対応する
表層部132(クロスハッチングを施して示す)のみを
耐熱エポキシ樹脂で形成し、表層部132に覆われたゴ
ム状弾性材層成形用凸型130の内部およびパーティン
グ面136をアルミニウム等の金属製ブロック134で
形成することも可能である。このようにすれば、耐熱性
樹脂の使用量を減らすことができ、凸型130を安価に
製造することができる。また、押圧型12と接触するパ
ーティング面136を金属で形成することにより、凸型
130の耐久性が向上する効果が得られる。その他、特
許請求の範囲を逸脱することなく、当業者の知識に基づ
いて種々の変更、改良を施した態様で本発明を実施する
ことができる。
【0046】
【実施例】以下、本発明の代表的な実施例を示し、本発
明をさらに具体的に明らかにすることとするが、本発明
はこれら実施例の記載によって何ら制約を受けるもので
はない。本実施例は、長さ900mm,幅300mm,高さ
50mmの被加飾物18用の3次元熱転写加飾型を製造し
たものである。被加飾物支持部材製造工程において、被
加飾物18の裏面52に2液性のウレタンパテ68とし
てフレクサン80P(アイ・ティ・ダブリュー・インダ
ストリー株式会社製)を刷毛塗りしてウレタンパテ層を
形成し、金属粉末入りエポキシ樹脂70としてブラッシ
ャブルセラミック(アイ・ティ・ダブリュー・インダス
トリー株式会社製)を流し込み、被加飾物支持部材16
を製造した。被加飾物支持部材16を支持する基盤26
はA5052P等のアルミニウム材で形成した。
【0047】母型製造工程において、原型72と外壁8
6との間の空間に流し込む縮合タイプのシリコン樹脂8
8としては、信越化学株式会社製のシリコン樹脂KE1
13,KE24,KE26等が使用可能であるが、本実
施例においては脱アルコール型のKE113を使用し
た。KE113の硬化収縮率は0.5%である。シリコ
ン樹脂88を常温で硬化させてから凹部92の寸法を測
定し、ポストキュアリングを40°Cで8時間行って所
望の硬化収縮率を得た。
【0048】凸型50の形成材料である耐熱エポキシ樹
脂94としてはゼオンライズ株式会社製のクインネート
MEZ300を使用した。クインネートMEZ300
は、主剤であるエポキシ樹脂粉末とアルミニウム粉末と
の混合物と、硬化剤である脂環式アミンとを100:
6.8の比率で混合したものであり、その熱膨張率は
3.0〜3.5×10-5cm/cm/°Cである。クイ
ンネートMEZ300を、母型90に流し込み、常温
(20°C)で24時間硬化させた。その後、40°C
で4時間、60°Cで4時間それぞれ加熱する一次硬化
を行い、さらに、80°Cで2時間、100°Cで2時
間、120°Cで3時間、150°Cで3時間のステッ
プキュアリングにより二次硬化させた。クインネートM
EZ300の一次硬化後の硬化収縮率は0.10%、二
次硬化後の硬化膨張率は0.12%であるため、結局こ
の段階では凸型50が0.02%膨張することになる。
硬化終了後、凸型50と、S55C等の鋼材で製造した
凸型基盤100とをM12のボルトで固定した。
【0049】押圧型12の本体製造工程においては、押
圧型本体34の鋳造にFC20〜FC25程度のねずみ
鋳鉄を使用した。鋳鉄の場合、収縮率は1/96である
ため、この収縮率を考慮に入れてやや大きめの砂型を製
造し、そこにねずみ鋳鉄を流し込み押圧型本体34を鋳
造した。使用したねずみ鋳鉄の成分測定結果を図18に
示す。
【0050】押圧型製造工程においては、押圧型本体3
4の支持面44にシリコン系接着剤としてプライマーN
o.16(信越化学株式会社製)を塗布し、乾燥させた
後、支持面44にシリコン樹脂のコンパウンド120と
してKE−574U(信越化学株式会社製)を載置して
型締めを行い、180°Cで2時間加熱し硬化させた
後、180°Cで8時間エージング処理を行って押圧型
12を製造した。
【0051】本実施例においては、凸型製造工程におけ
る耐熱エポキシ樹脂94の硬化温度が20°Cであり、
押圧型製造工程における凸型50の温度は180°Cで
あるため、これらの工程における耐熱エポキシ樹脂94
の温度差は160°Cとなる。したがって、温度差対応
膨張率は3.0〜3.5×10-5(cm/cm/°C)
×160(°C)=0.48〜0.56%である。ま
た、凸型製造工程における耐熱エポキシ樹脂94の硬化
膨張率は0.02%であり、結局、凸型50の膨張率は
全体で0.50〜0.58%となり、シリコン樹脂88
の硬化収縮率0.5%とほぼ等しくなる。
【0052】以上のようにして被加飾物支持部材16,
凸型50および押圧型12を製造したところ、製造日数
およびコストは、図19,20,21,22に示すよう
な結果となった。つまり、図22に示すように、上記3
部材の延べ製造日数は55日,費用約70万円と、従来
例と比較してその製造日数および費用を大幅に低減する
ことができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一ないし第六発明の適用対象である3次元熱
転写加飾型を含む3次元熱転写装置の要部を示す正面断
面図である。
【図2】上記3次元熱転写加飾型によって模様が転写さ
れる被加飾物を示す斜視図である。
【図3】上記3次元熱転写加飾型の押圧型の斜視図であ
る。
【図4】上記押圧型の正面断面図である。
【図5】前記3次元熱転写加飾装置の図1とは別の作動
状態を示す正面断面図である。
【図6】前記3次元熱転写加飾装置のさらに別の作動状
態を示す正面断面図である。
【図7】前記3次元熱転写加飾装置のさらに別の作動状
態を示す正面断面図である。
【図8】前記3次元熱転写加飾装置のさらに別の作動状
態を示す正面断面図である。
【図9】第一ないし第五発明に共通の一実施形態である
製造方法において、被加飾物にマスキングテープが貼付
された状態を示す斜視図である。
【図10】上記製造方法において被加飾物支持部材を製
造する工程を示す図である。
【図11】上記被加飾物支持部材の斜視図である。
【図12】上記被加飾物支持部材が取り付けられる基盤
の斜視図である。
【図13】前記第一ないし第五発明に共通の一実施形態
である製造方法において、ゴム状弾性材層成形用凸型と
押圧型とを製造する工程を示す図である。
【図14】上記工程で製造され、第六発明の一実施形態
であるゴム状弾性材層成形用凸型を示す斜視図である。
【図15】上記押圧型の押圧型本体の斜視図である。
【図16】上記押圧型本体にゴム状弾性材層を形成する
工程を示す図である。
【図17】第一ないし第五発明に共通の別の実施形態で
ある製造方法により製造され、第六発明の別の実施形態
であるゴム状弾性材層成形用凸型を示す斜視図である。
【図18】図15の押圧型本体の鋳造材料であるねずみ
鋳鉄の成分測定結果を示す図表である。
【図19】第一ないし第五発明に共通の一実施例におけ
る被加飾物支持部材の製造日数およびコストと、従来の
製造方法によった場合の製造日数およびコストとを比較
して示す図表である。
【図20】第一ないし第五発明に共通の一実施例におけ
るゴム状弾性材層成形用凸型の製造日数およびコスト
と、従来の製造方法によった場合の製造日数およびコス
トとを比較して示す図表である。
【図21】第一ないし第五発明に共通の一実施例におけ
る押圧型の製造日数およびコストと、従来の製造方法に
よった場合の製造日数およびコストとを比較して示す図
表である。
【図22】上記被加飾物支持部材,ゴム状弾性材層成形
用凸型および押圧型の延べ製造日数およびコストと、従
来の製造方法によった場合の延べ製造日数およびコスト
とを比較して示す図表である。
【図23】従来の製造方法および本発明の製造方法によ
り製造された3次元熱転写加飾型によってそれぞれ加飾
される被加飾物の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
10 支持型 12 押圧型 15 3次元熱転写加飾型 16 被加飾物支持部材 18 被加飾物 20 被加飾面 22 熱転写フィルム 34 押圧型本体 38 シリコンゴム層 50 シリコンゴム層成形用凸型 52 裏面 70 金属粉末入りエポキシ樹脂 72 原型 88 シリコン樹脂 90 母型 94 アルミニウム粉末入り耐熱エポキシ樹脂 110 原型 120 コンパウンド 126 原型 130 ゴム状弾性材層成形用凸型

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱転写フィルムを被加飾物の被加飾面に
    押圧する押圧型を含む3次元熱転写加飾型の製造方法で
    あって、 前記被加飾物の被加飾面の形状と補完的な形状の母型を
    合成樹脂の流し込みにより製造する母型製造工程と、 前記母型に充填材入り耐熱性樹脂を流し込んでゴム状弾
    性材層成形用凸型を製造する凸型製造工程と、 前記ゴム状弾性材層成形用凸型と前記押圧型の本体との
    間でゴム状物質を成形し、押圧型本体にゴム状弾性材層
    を形成して前記押圧型を製造する押圧型製造工程とを含
    むことを特徴とする3次元熱転写加飾型の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記母型製造工程が、前記被加飾物の被
    加飾面の周囲に前記合成樹脂を流し込んで前記母型を製
    造する工程を含み、その合成樹脂の硬化時における収縮
    率が、前記ゴム状弾性材層成形用凸型の、前記凸型製造
    工程と前記押圧型製造工程とにおける膨張率とほぼ等し
    くされたことを特徴とする請求項1に記載の3次元熱転
    写加飾型の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記押圧型の本体の原型を発泡スチロー
    ルを削り出して製造する原型削出工程と、 その原型を使用して鋳型を製造する鋳型製造工程と、 その鋳型を使用して前記押圧型の本体を鋳造する本体鋳
    造工程とを含むことを特徴とする請求項1または2に記
    載の3次元熱転写加飾型の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記被加飾物の被加飾面とは反対側の裏
    面に合成樹脂を流し込むことによりその被加飾物を支持
    する被加飾物支持部材を製造する被加飾物支持部材製造
    工程と、 その製造した被加飾物支持部材に前記被加飾物を載置し
    て前記母型を製造するための原型とする原型製造工程と
    を含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1
    つに記載の3次元熱転写加飾型の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記母型の製造後、前記被加飾物支持部
    材を前記3次元熱転写加飾型に被加飾物支持部材として
    取り付ける工程を含むことを特徴とする請求項4に記載
    の3次元熱転写加飾型の製造方法。
  6. 【請求項6】 熱転写フィルムを被加飾物の被加飾面に
    押圧する押圧型にゴム状弾性材層を成形するためのゴム
    状弾性材層成形用凸型であって、 少なくとも前記ゴム状弾性材層の前記被加飾面とほぼ補
    完関係にある面を成形する部分が充填材入り耐熱性樹脂
    で形成されたことを特徴とするゴム状弾性材層成形用凸
    型。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2030737A2 (en) 2007-08-27 2009-03-04 Mitsubishi Materials Corporation Hammer for breaking polycrystalline silicon
JP2013099913A (ja) * 2011-11-08 2013-05-23 Tsujikawa Kk 箔押転写加工方法および箔押転写加工システム
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