JP2020158891A - アクリル系繊維、その製造方法及びそれを用いた不織布 - Google Patents

アクリル系繊維、その製造方法及びそれを用いた不織布 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、不織布加工時の工程通過性が良好で、開繊性に優れたアクリル系繊維を提供する。【解決手段】本発明は、上記の課題を解決せんとするものであって、単繊維繊度が0.10〜0.80dtexのアクリル系繊維であって、F/F静止摩擦係数μsが0.15〜0.25、単繊維のアスペクト比(単繊維長÷単繊維直径)が3.0×103以上5.0×103以下であり、該合成繊維に付与された機械捲縮の捲縮数が6山/2.54cm以上12山/2.54cm以下、かつ、捲縮数(山/2.54cm)と捲縮率(%)の比が0.8以上1.3以下であることを特徴とするアクリル系繊維である。【選択図】 なし

Description

本発明は、高次加工性に優れた極細のアクリル系繊維に関するものである。
極細繊維を含む不織布は優れた吸音特性や軽量性を併せ持つことから、ダッシュパネルやエンジンフード等に吸音材として用いられるなど、車両内装材への適用範囲が拡大してきている。さらに近年では、電気自動車やプラグインハイブリッド車等、静粛性に優れる自動車の普及が加速していることも相まって、静粛性や制振性といった社内環境の向上、及び車両の軽量化による燃費性能の向上がより一層求められている。
軽量化については、例えば特許文献1に、中空率5〜40%の中空断面を有する熱可塑性ポリエステル中空短繊維を用いたニードルパンチ不織布が提案されており、中空構造とすることで軽量化を図った自動車内装用部品が提案されている。
吸音特性については、一般的に、吸音材に用いる繊維は細繊度であればあるほど吸音性能が向上することが知られていることから、不織布形成に用いられる繊維の更なる細繊度化が進められている。しかし、従来の吸音材向け繊維材料としては、ポリエステル系繊維が用いられることが一般的であるが、単繊維繊度1dtexを下回るような極細繊度のポリエステル繊維の生産は困難である。そのため、細繊度品の製造により有利であるアクリル系繊維の利用が検討されている。
吸音材用途への極細繊度アクリル系繊維の適用を検討した例として、特許文献2では、0.01〜0.5dtexの極細繊度アクリル系繊維を吸・遮音材用繊維として用いる方法が提案されている。
一方、極細繊維からなる不織布の強度や形態安定性を補うため、不織布を複合化する技術もあり、例えば特許文献3では、繊維径が6μm以下の極細繊維からなるメルトブロー不織布と、繊維径が7〜40μmである短繊維不織布とを複合し、流体交絡法またはニードルパンチ法により一体化する方法が提案されている。
特開平2018−24957号公報 WO2018/021319公報 特開2001−279570号公報
特許文献1では、繊維成形体とした際に優れた嵩高性や軽量性を持つ中空捲縮繊維を提案しているものの、吸音性については考慮しておらず、またニードルパンチ不織布であることもあり、不織布加工性については必ずしも良好ではない場合があった。
また特許文献2の方法では、アクリル系極細繊維を用いているため吸音性は良好であるが、カード工程における工程通過性には劣るものであった。すなわち、一般に、不織布加工においては原料となる繊維をカーディングやフリースマシンにより混合・ウェブ化した後、ニードルパンチによる成形や、熱接着繊維を混合して熱処理するサーマルボンドによる成形が行われる。しかし、使用する繊維の細繊度化に伴い同じ重量の繊維を使用する場合でも繊維の構成本数は増加し、構成本数の増加により繊維間の絡み合いが強まるため、十分な開繊が困難となり、カード工程における工程通過性などの不織布加工性に劣るものとなる。特許文献3では、強度の維持向上のため2種類以上の不織布を各々形成したのちに、それらを積層して一体化する工程が必要となり、加工工程が増えることから工業的に必ずしも好ましいものではない。さらに、カード機からの紡出性を理由に、用いる短繊維不織布の単糸繊維径は7μm以上であることが好ましいとされていることからも、極細繊度を用いる場合の不織布加工性については依然問題点として残されていた。
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、極細繊度の短繊維を用いても開繊性、カード通過性に優れたアクリル系繊維を提供することが課題である。
本発明は、上記の課題を解決せんとするものであって、本発明のアクリル系繊維は単繊維繊度が0.10〜0.80dtexのアクリル系繊維であって、F/F静止摩擦係数μsが0.15〜0.25、単繊維のアスペクト比(単繊維長÷単繊維直径)が3.0×10以上5.0×10以下であり、付与された機械捲縮の捲縮数が6山/2.54cm以上12山/2.54cm以下、かつ捲縮数(山/2.54cm)と捲縮率(%)の比が0.8以上1.3以下であることを特徴とするアクリル系繊維に関する。
また本発明は、押し込みクリンパーで機械捲縮を付与する工程を含む請求項1に記載のアクリル系繊維の製造方法であって、該押し込みクリンパーに入るトウの温度を60〜75℃、該クリンパーで処理するトウ厚み(ktex)と該押し込みクリンパーのローラー幅(mm)との比が0.8〜1.5(ktex/mm)あることを特徴とする、アクリル系繊維の製造方法に関する。
本発明によれば、不織布加工時の工程通過性が良好で、開繊性に優れたアクリル系繊維を提供することができる。
本発明のアクリル系繊維は、単繊維繊度が0.10〜0.80dtexのアクリル系繊維であって、繊維間静止摩擦係数が0.15〜0.25、単繊維のアスペクト比(単繊維長÷単繊維直径)が3.0×10以上5.0×10以下であり、付与された機械捲縮の捲縮数が6山/2.54cm以上12山/2.54cm以下、かつ捲縮数(山/2.54cm)と捲縮率(%)の比が0.8以上1.3以下であることを特徴とするものである。
本発明のアクリル系繊維を構成するアクリル系重合体は繊維形成が可能であれば特に限定はないが、アクリロニトリルを80質量%以上、好ましくは90質量%以上含むものが好適に用いられ、アクリロニトリル単体からなる重合体のほか、共重合成分を任意に含むことができる。共重合成分としてはアクリル酸、メタクリル酸またはこれらのエステル類、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデンなどのオレフィン系モノマー、あるいはアリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、アクリルスルホン酸、メタリルスルホン酸及びP−スチレンスルホン酸などの不飽和スルホン酸またはこれらの塩類などを用いることができ、特にアクリル酸メチルやメタリルスルホン酸ナトリウムが好ましく用いられる。
なお、本発明のアクリル系繊維は単一組成のアクリル系重合体からなるものの他、異なる2種以上の組成のアクリル系重合体からなるものであってもよく、その複合形態としては単純混合の他、サイドバイサイド型や芯鞘複合型、偏心芯鞘型、多層複合型などの手段をとることが可能である。共重合成分の異なるポリマーをサイドバイサイド型や多層複合型とすることで熱処理後の発現捲縮が発生するため、嵩高性が求められる場合においては好ましい態様となる。
また、本発明で用いられる重合体には必要に応じ、添加剤として、重合開始剤、pH調整剤及び分子量調整剤等を配合することができる。
上記のような構成からなる重合体は、後述の製造方法によってアクリル系繊維とすることができ、その特徴を次に示す。
本発明のアクリル系繊維は、単繊維繊度が0.10dtex以上0.80dtex以下であり、好ましくは0.20dtex以上0.50dtex以下である。単繊維繊度が0.10dtex以上であることで紡績加工におけるカード等の工程通過性に優れ、0.80dtex以下であることで吸音材として用いたときに優れた吸音性能を得ることができる。なお、本発明における単繊維繊度は、後述する測定方法で測定した値をいう。
本発明のアクリル系繊維は、繊維間静止摩擦係数が0.15以上0.25以下であり、好ましくは0.17以上0.23以下である。繊維間静止摩擦係数は用いる重合体組成や紡糸条件の影響を受けるが、繊維に付与する油剤の種類や付着量により調整することが可能である。言い換えると、上記の繊維間静止摩擦係数となるように油剤の付与量を適正化することで本発明のアクリル系繊維に必要な繊維間静止摩擦係数が得られる。繊維間静止摩擦係数が0.15以上であることで繊維間に適度な摩擦が生じ、ウェブ形成時の目付を安定させることができ、0.25以下とすることで極細繊維でも良好な開繊性を得ることができる。なお、本発明における繊維間静止摩擦係数は、後述する測定方法で測定した値をいう。
本発明のアクリル系繊維は、単繊維のアスペクト比(単繊維長÷単繊維直径)が3.0×10以上5.0×10以下であり、より好ましくは3.5×10以上4.5×10以下ある。単繊維のアスペクト比が3.0×10以上であることで、ウェブを形成した際に1本あたりの繊維に絡合する単繊維の本数が十分に保たれることでウェブの素抜けを抑制することができる。また、5.0×10以下であることでウェブ形成時の単繊維内、あるいは単繊維間の絡まりを防ぎ、ネップの発生を抑制することができる。なお、本発明におけるアスペクト比は、後述する測定方法で測定した値をいう。
また、本発明のアクリル系繊維は、付与された二次元の機械捲縮の捲縮数が6山/2.54cm以上12山/2.54cm以下、より好ましくは8山/2.54cm以上10山/2.54cm以下であり、かつ、捲縮数(山/2.54cm)と捲縮率(%)の比が0.8以上1.3以下である。二次元の機械捲縮の捲縮数が6山/2.54cm以上であることで、繊維間の絡合性を十分に保ち、ウェブを形成した時の素抜けを防止するとともに、単繊維間の空隙を形成することでウェブ厚みを保つことができるため好適である。また、12山/2.54cm以下とすることで単繊維間の過度な絡合を防ぎ、ネップの発生を抑制することができる。さらに捲縮数(山/2.54cm)と捲縮率(%)の比が0.8以上であることで熱処理後の捲縮形態を保持することで加工後のシートの引っ張り強度を保つことができ、1.3以下とすることで単繊維間の絡合を抑え、ウェブ形成時に優れた開繊性を得ることができる。なお、本発明における捲縮数および捲縮率は、後述する測定方法で測定した値をいう。
本発明のアクリル系繊維は吸音材等の資材に適用が可能な不織布に好適に用いられる。
不織布の製造方法としては一般的に実施されている方法が採用できる。例えば熱接着性繊維を混合してカーディングにより開繊してウェブを形成したのち、熱処理により繊維間を結合するサーマルボンド法や、形成したウェブをニードルパンチ機にてパンチングするニードルパンチ法、あるいはウェブをジェット水流により交絡させる水流交絡法などが用いられる。ニードルパンチ法では刺孔の発生により吸音性能が低下する可能性があることや、水流交絡法では排水の発生があることから、サーマルボンド法が好適である。不織布を構成する素材としては本発明のアクリル系繊維の他、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリ乳酸繊維などを用いることができ、これらの他の繊維は単成分、あるいは2種類以上の成分からなる繊維として芯鞘、サイドバイサイド、多層複合などの複合形態をもつ繊維が採用できる。これらの他の繊維の混率は合計で、不織布全体の重量に対して60重量%以下であることが好ましく、より好ましくは40重量%以下である。このような範囲を取ることで、本発明のアクリル系繊維による優れた高次加工性、及び吸音性能を維持、発現されるため好ましい。
本発明のアクリル系繊維の製造方法としては、本発明のアクリル系繊維が得られる限り特に制限はないが、例えば以下のような製造方法をとることができる。
本発明で用いることができるポリマーの重合方法は特に制限はなく、懸濁重合法、乳化重合法、及び溶液重合法等、一般的な重合方法を用いることが可能である。また、重合工程で有機溶媒を使用する場合は、ジメチルスルホキシド(以下、DMSOという。)、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等の有機溶媒を使用することができる他、ロダン酸ソーダ水溶液、硝酸水溶液、塩化亜鉛水溶液などの水系溶剤を用いることも可能である。アクリル系繊維においてはDMSO系湿式紡糸において極細繊維の紡糸性に優れることから、重合方法もDMSOを使った溶液重合法が望ましい。
本発明のアクリル系繊維の紡糸方法は、乾式紡糸法、湿式紡糸法、及び乾湿式紡糸法などが採用でき、中でも多ホールの口金を用いることで紡糸速度を下げ、極細繊維を比較的安定的に生産可能な湿式紡糸法が好適である。
重合体を溶剤に溶解した紡糸原液において、アクリル系重合体の濃度は20〜25質量%、溶剤の割合を75〜80質量%にすることが好ましく、より好ましくはアクリル系重合体の割合が21〜24質量%、溶剤の割合は76〜79質量%である。重合体の濃度が20質量%以上であれば、溶媒の拡散速度が十分に速く、凝固ばらつきが抑制された均一な組成の糸条が得られるため極細繊度繊維の紡糸に有利である。また、重合体の濃度が25質量%以下であれば凝固の際に糸条に適度な延伸性が付与され、良好な紡糸性が得られる。
紡糸工程で口金から吐出する部分でのポリマー温度は60〜80℃が好ましく、より好ましくは70〜75℃である。60℃以上とすることで紡糸原液の粘度を低下させることができ、吐出線速度が高くなることで紡糸ドラフトが低下し、紡糸糸条の延伸性が向上することで細繊度アクリル系繊維の生産における延伸切れを低減することも可能である。また、80℃以下とすることでポリマーの熱変性を抑制でき、安定した延伸性を得ることができる。
紡糸に用いる口金吐出孔の孔径は40〜70μm、孔長が50μm以上であることが望ましい。口金吐出孔の孔径がこの範囲にあることで適正な吐出線速度が得られ、良好な延伸性が付与される。また、孔長がこの範囲にあることで口金の背面圧を確保することができ、口金の各孔に紡糸原液が均等に分配されることで繊度ばらつきが抑制され、細繊度アクリル系繊維の紡糸に有利である。
紡糸ノズルから紡糸原液を吐出する際の引き取り速度/吐出線速度は0.5〜1.5、であることが好ましく、0.7〜1.2であることがより好ましい。この値が0.5以上であることで紡糸糸条が適度な張力を保ち、隣接する単糸同士が接着せずに紡糸することが可能であり、1.5以下であることで過剰な張力による単糸切れを抑制することが可能である。
湿式紡糸法、乾湿式紡糸法を用いる場合、紡糸浴液の温度は30℃〜45℃が好ましく、より好ましくは35〜40℃である。温度が30℃以上とすることで繊維形成後の延伸性が良好で優れた紡糸性が得られ、また45℃以下とすることで適切な凝固速度が得られ形成されるボイドのサイズを抑制し、極細繊度の繊維でも強度を保つことのできる緻密な繊維構造を得ることが可能である。
また、湿式紡糸、乾湿式紡糸を行う際、繊維を凝固させるための凝固浴に用いる紡糸浴液としては、溶剤/貧溶媒の混合液が用いられるのが通常であるが、溶剤の分離、回収が比較的容易であるという点から溶剤/水混合溶液が好ましい。溶剤/水の混合溶液を用いる場合、紡糸浴液の溶剤濃度は50〜70質量%が好ましく、55〜65質量%がより好ましい。溶剤濃度が50質量%以上とすることで適切な凝固速度が得られ細繊度繊維においても安定して紡糸することが可能であり、70質量%以下とすることで単糸間の接着等を回避することが可能である。
紡糸工程以降、延伸、水洗、乾燥緻密化させ油剤を付与することができる。
油剤は繊維の摩擦特性を決定する重要な要素であるが、本発明におけるアクリル系繊維では繊維間静止摩擦係数が0.15〜0.25であることを満たす限り、付与する油剤の種類、付着量が制限されるものではない。
本発明に用いることのできる油剤としては特に制限はないが、例えばカチオン界面活性剤として四級アンモニウム塩、アルキルアミン類、アニオン系界面活性剤としてアルキルスルホネートアルカリ金属塩、高級脂肪族カルボン酸塩、アルキルホスフェート塩、ポリオキシアルキレンアルキルホスフェート塩、などが挙げられる。ノニオン界面活性剤では、ラウリルアルコールエチレンオキシド(以下、EOという。)及び(または)プロピレンオキシド(以下、PO)付加物、イソトリデシルアルコールEO及び(または)PO付加物、イソステアリルアルコールEO及び(または)PO付加物、ポリエチレングリコールモノアルキレート、ポリエチレングリコールモノ脂肪酸エステル、硬化ヒマシ油のEO及び(または)PO付加物、アルキルアミンのEO及び(または)PO付加物、多価アルコールの脂肪酸部分エステル、および高級脂肪酸アルカノールアミドが挙げられる。また、脂肪酸エステルとしては、イソプロピルミリスチレート、ブチルステアレート、イソオクチルパルミテート、イソオクチルステアレート、イソトリデシルステアレート、イソトリデシルオレエート、イソステアリルオレエート、ネオペンチルグリコールジラウレート、ネオペンチルグリコールジオレエート、トリメチロールプロパントリラウレート、グリセリントリオレエート、ペンタエリスリトールテトラオレエート、ソルビタンテトラオレエート、ソルビトールヘキサオレエート、ジオクチルセバケート、ジオレイルアジペート、ジラウリルフタレート、ジイソトリデシルチオジプロピオネート、イソトリデシルアルコールEO及び(または)PO付加物とチオジプロピオン酸とのエステル、ラウリン酸とのエステルなどが使用でき、これら単体、または2種類以上を組み合わせて使用することができる。
捲縮の付与方法としては公知の機械捲縮付与方法を用いることができるが、特に均一で安定した捲縮付与性に優れる点から押し込みクリンパーが好適に使用できる。各種の捲縮付与方法において、適切な条件設定により本発明のアクリル系繊維に必要な捲縮数、及び捲縮率を与えることができる。例えば押し込みクリンパーを用いる方法において、該押し込みクリンパーに入るトウの温度は60℃以上75℃以下であることが好ましく、より好ましくは65℃以上70℃以下である。60℃以上とすることでトウの柔軟性を付与し、捲縮付与性を向上させることができる。また、75℃以下とすることで単繊維間の接着を抑制し、不織布加工における開繊性を維持することができる。トウの昇温方法はスチームによる湿熱処理の他、ホットローラーや熱風による乾熱処理など公知の方法が採用できる。また、押し込みクリンパーのニップ圧は0.10MPa以上0.70MPa以下、スタッフィング圧は0.05MPa以上0.40MPa以下であることが安定した捲縮形態を与える上で好ましい。
また、該クリンパーで処理するトウ厚み(ktex)と該押し込みクリンパーのローラー幅(mm)との比を1.0(ktex/mm)以上1.7(ktex/mm)以下とすることが好ましく、より好ましくは1.1(ktex/mm)以上1.5(ktex/mm)以下である。1.0(ktex/mm)以上とすることで目的の捲縮を安定して付与することが可能となる。
捲縮付与後のトウは湿熱又は乾熱による熱処理と、水分を蒸発させる乾燥処理を行い、切断工程を経ることで本発明のアクリル系繊維を得ることができる。
トウの切断工程においては、本発明のアクリル系繊維に必要なアスペクト比が得られる限り、公知の方法をとることができ、縦型、あるいは横型のローター式カッターの他、ギロチン式カッターなどが用いることができる。
かくして得られる本発明のアクリル系繊維は、不織布加工時の工程通過性が良好で、原綿の開繊性に優れることから吸音材用途に好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(1)単繊維繊度
JIS L1015:2010化学繊維ステープル試験方法に記載のA法に準拠して測定した。
(2)アスペクト比
アクリル系繊維のアスペクト比は繊維横断面の光学顕微鏡観察により定量した繊維直径と、JIS L1015:2010化学繊維ステープル試験方法に記載の方法に準拠して測定した繊維長から算出した。以下に手順を示す。
測定試料である繊維束を任意の長さにカットし、その中から構成本数が100〜1000本となるよう試料を取り、手で引き揃えて繊維の方向を揃えた後、先端をこより状に細め、孔径1mmの孔が開いた厚み0.5mmの銅板に繊維試料を通し、観察時に繊維試料が抜け落ちない程度に引き入れた。
剃刀を用い、銅板の表面に沿って繊維試料を水平に切断し、厚み0.5mmの繊維束薄板サンプルを作成した。光学顕微鏡BX−51(オリンパス社製)を用い、倍率400倍で繊維横断面を観察した。任意の繊維断面20本分の最小外接円(繊維断面に外接し、直径が最小となる円)の直径を測定した平均値(n=20)を算出し、次式
アスペクト比=繊維長(mm)÷最小外接円の直径の平均値(μm)×1000
によりアスペクト比を求めた。
(3)繊維間静止摩擦係数
JIS L1015:2010化学繊維ステープル試験方法に記載の方法に準拠して測定した。
(4)捲縮数・捲縮率
JIS L1015:2010化学繊維ステープル試験方法に記載の方法に準拠して測定した。
(5)不織布加工性
本発明のアクリル系繊維100gを、ウェブ目付が20〜25g/mとなるように豊田自動織機(株)製カード機に投入し、紡出速度10m/分でウェブを作成したときのシリンダーへの巻付発生、ウェブの素抜けの発生有無、未開繊糸の個数により評価した。シリンダーへの巻付発生は、上記の方法で紡出した際に各シリンダーへの巻付き有無を目視で判断するものである。ウェブ素抜けは、上記の方法で紡出したウェブを巻き取る際、途切れることなく巻き取り可能なものを素抜けの発生無しと判断した。未開繊糸は、上記の方法にて紡出したウェブを目視で判断し、5本以上の単繊維が距離0.1mm以下の間隔で平行に固まって存在する部分を1個とカウントし、100gのウェブ全体における未開繊部分の個数をカウントした。
シリンダー巻付、及びウェブの素抜けの発生が無く、未開繊糸の個数が5個未満であるものを◎、シリンダー巻付、及びウェブの素抜けの発生が無く、未開繊糸の個数が5個以上15個未満であるものを〇、シリンダー巻付、及びウェブの素抜けの発生が無く、未開繊糸の個数が15個以上であるものを△、シリンダー巻付、又はウェブの素抜けが発生したものを×として、○以上を加工性良好として判定した。
[実施例1]
アクリロニトリル93.8質量%、アクリル酸メチル5.0質量%、メタリルスルホン酸ソーダ1.2質量%からなるアクリル系重合体をDMSO系溶液重合により得た重合体をDMSOに溶解し、アクリル系重合体溶液の濃度を20質量%に調整した紡糸原液とした。この紡糸原液を60℃に温調し、30℃、55質量%のDMSO水溶液中に湿式紡糸した。延伸、水洗、乾燥緻密化、油剤付与の後、スチームによる湿熱処理にてトウを65℃に昇温し、押し込みクリンパーのローラー幅(mm)と該クリンパーで処理するトウ厚み(ktex)の比を1.5(ktex/mm)で捲縮付与し、乾燥、切断することにより、単繊維繊度0.7dtex、カット長38mm、アスペクト比4.2×10、繊維間静止摩擦係数が0.21、捲縮数12山/2.54cm、捲縮数(山/2.54cm)と捲縮率(%)の比が0.92であるアクリル系繊維を得た。
得られたアクリル系繊維100gを用い、カードマシンにて幅30cm、目付20g/mのウェブシートを紡出速度10m/分で紡出した。この時のシリンダーへの巻付発生、及びウェブの素抜けの発生は無く、未開繊糸の個数は3個であった。
[実施例2]
アクリロニトリル93.8質量%、アクリル酸メチル5.0質量%、メタリルスルホン酸ソーダ1.2質量%からなるアクリル系重合体をDMSO系溶液重合により得た重合体をDMSOに溶解し、アクリル系重合体溶液の濃度を20質量%に調整した紡糸原液とした。この紡糸原液を60℃に温調し、30℃、55質量%のDMSO水溶液中に湿式紡糸した。延伸、水洗、乾燥緻密化、油剤付与の後、スチームによる湿熱処理にてトウを65℃に昇温し、押し込みクリンパーのローラー幅(mm)と該クリンパーで処理するトウ厚み(ktex)の比を1.2(ktex/mm)で捲縮付与し、乾燥、切断することにより、単繊維繊度0.5dtex、カット長38mm、アスペクト比5.0×10、繊維間静止摩擦係数が0.22、捲縮数11山/2.54cm、捲縮数(山/2.54cm)と捲縮率(%)の比が1.10であるアクリル系繊維を得た。
得られたアクリル系繊維100gを用い、カードマシン幅30cm、目付20g/m2のウェブシートを紡出速度10m/分で紡出した。この時のシリンダーへの巻付発生、及びウェブの素抜けの発生は無く、未開繊糸の個数は2個であった。
[実施例3]
アクリロニトリル93.8質量%、アクリル酸メチル5.0質量%、メタリルスルホン酸ソーダ1.2質量%からなるアクリル系重合体をDMSO系溶液重合により得た重合体をDMSOに溶解し、アクリル系重合体溶液の濃度を20質量%に調整した紡糸原液とした。この紡糸原液を60℃に温調し、30℃、55質量%のDMSO水溶液中に湿式紡糸した。延伸、水洗、乾燥緻密化、油剤付与の後、スチームによる湿熱処理にてトウを65℃に昇温し、押し込みクリンパーのローラー幅(mm)と該クリンパーで処理するトウ厚み(ktex)の比を1.2(ktex/mm)で捲縮付与し、乾燥、切断することにより、単繊維繊度0.5dtex、カット長30mm、アスペクト比3.9×10、繊維間静止摩擦係数が0.24、捲縮数10山/2.54cm、捲縮数(山/2.54cm)と捲縮率(%)の比が1.00であるアクリル系繊維を得た。
得られたアクリル系繊維100gを用い、カードマシン幅30cm、目付20g/m2のウェブシートを紡出速度10m/分で紡出した。この時のシリンダーへの巻付発生、及びウェブの素抜けの発生は無く、未開繊糸の個数は2個であった。
[実施例4]
アクリロニトリル93.8質量%、アクリル酸メチル5.0質量%、メタリルスルホン酸ソーダ1.2質量%からなるアクリル系重合体をDMSO系溶液重合により得た重合体をDMSOに溶解し、アクリル系重合体溶液の濃度を20質量%に調整した紡糸原液とした。この紡糸原液を60℃に温調し、30℃、55質量%のDMSO水溶液中に湿式紡糸した。延伸、水洗、乾燥緻密化、油剤付与の後、スチームによる湿熱処理にてトウを65℃に昇温し、押し込みクリンパーのローラー幅(mm)と該クリンパーで処理するトウ厚み(ktex)の比を1.0(ktex/mm)で捲縮付与し、乾燥、切断することにより、単繊維繊度0.4dtex、カット長25mm、アスペクト比3.7×10、繊維間静止摩擦係数が0.19、捲縮数10山/2.54cm、捲縮数(山/2.54cm)と捲縮率(%)の比が0.91であるアクリル系繊維を得た。
得られたアクリル系繊維100gを用い、カードマシン幅30cm、目付20g/m2のウェブシートを紡出速度10m/分で紡出した。この時のシリンダーへの巻付発生、及びウェブの素抜けの発生は無く、未開繊糸の個数は2個であった。
[実施例5]
アクリロニトリル93.8質量%、アクリル酸メチル5.0質量%、メタリルスルホン酸ソーダ1.2質量%からなるアクリル系重合体をDMSO系溶液重合により得た重合体をDMSOに溶解し、アクリル系重合体溶液の濃度を20質量%に調整した紡糸原液とした。この紡糸原液を60℃に温調し、30℃、55質量%のDMSO水溶液中に湿式紡糸した。延伸、水洗、乾燥緻密化、油剤付与の後、スチームによる湿熱処理にてトウを65℃に昇温し、押し込みクリンパーのローラー幅(mm)と該クリンパーで処理するトウ厚み(ktex)の比を1.0(ktex/mm)で捲縮付与し、乾燥、切断することにより、単繊維繊度0.2dtex、カット長20mm、アスペクト比4.2×10、繊維間静止摩擦係数が0.16、捲縮数7山/2.54cm、捲縮数(山/2.54cm)と捲縮率(%)の比が1.17であるアクリル系繊維を得た。
得られたアクリル系繊維100gを用い、カードマシン幅30cm、目付20g/m2のウェブシートを紡出速度10m/分で紡出した。この時のシリンダーへの巻付発生、及びウェブの素抜けの発生は無く、未開繊糸の個数は7個であった。
[実施例6]
アクリロニトリル93.8質量%、アクリル酸メチル5.0質量%、メタリルスルホン酸ソーダ1.2質量%からなるアクリル系重合体をDMSO系溶液重合により得た重合体をDMSOに溶解し、アクリル系重合体溶液の濃度を20質量%に調整した紡糸原液とした。この紡糸原液を60℃に温調し、30℃、55質量%のDMSO水溶液中に湿式紡糸した。延伸、水洗、乾燥緻密化、油剤付与の後、スチームによる湿熱処理にてトウを65℃に昇温し、押し込みクリンパーのローラー幅(mm)と該クリンパーで処理するトウ厚み(ktex)の比を0.8(ktex/mm)で捲縮付与し、乾燥、切断することにより、単繊維繊度0.1dtex、カット長15mm、アスペクト比4.4×10、繊維間静止摩擦係数が0.16、捲縮数12山/2.54cm、捲縮数(山/2.54cm)と捲縮率(%)の比が1.30であるアクリル系繊維を得た。
得られたアクリル系繊維100gを用い、カードマシン幅30cm、目付20g/m2のウェブシートを紡出速度10m/分で紡出した。この時のシリンダーへの巻付発生、及びウェブの素抜けの発生は無く、未開繊糸の個数は12個であった。
[比較例1]
アクリロニトリル93.8質量%、アクリル酸メチル5.0質量%、メタリルスルホン酸ソーダ1.2質量%からなるアクリル系重合体をDMSO系溶液重合により得た重合体をDMSOに溶解し、アクリル系重合体溶液の濃度を20質量%に調整した紡糸原液とした。この紡糸原液を60℃に温調し、30℃、55質量%のDMSO水溶液中に湿式紡糸した。延伸、水洗、乾燥緻密化、油剤付与の後、スチームによる湿熱処理にてトウを65℃に昇温し、押し込みクリンパーのローラー幅(mm)と該クリンパーで処理するトウ厚み(ktex)の比を1.3(ktex/mm)で捲縮付与し、乾燥、切断することにより、単繊維繊度1.1dtex、カット長38mm、アスペクト比3.4×10、繊維間静止摩擦係数が0.21、捲縮数12山/2.54cm、捲縮数(山/2.54cm)と捲縮率(%)の比が0.71であるアクリル系繊維を得た。
得られたアクリル系繊維100gを用い、カードマシン幅30cm、目付20g/m2のウェブシートを紡出速度10m/分で紡出した。この時ウェブの素抜けの発生は無かったものの、シリンダーへの巻付発生が有り、未開繊糸の個数は16個であった。
[比較例2]
アクリロニトリル93.8質量%、アクリル酸メチル5.0質量%、メタリルスルホン酸ソーダ1.2質量%からなるアクリル系重合体をDMSO系溶液重合により得た重合体をDMSOに溶解し、アクリル系重合体溶液の濃度を20質量%に調整した紡糸原液とした。この紡糸原液を60℃に温調し、30℃、55質量%のDMSO水溶液中に湿式紡糸した。延伸、水洗、乾燥緻密化、油剤付与の後、スチームによる湿熱処理にてトウを65℃に昇温し、押し込みクリンパーのローラー幅(mm)と該クリンパーで処理するトウ厚み(ktex)の比を1.7(ktex/mm)で捲縮付与し、乾燥、切断することにより、単繊維繊度0.7dtex、カット長51mm、アスペクト比5.7×10、繊維間静止摩擦係数が0.27、捲縮数11山/2.54cm、捲縮数(山/2.54cm)と捲縮率(%)の比が1.10であるアクリル系繊維を得た。
得られたアクリル系繊維100gを用い、カードマシン幅30cm、目付20g/m2のウェブシートを紡出速度10m/分で紡出した。この時のシリンダーへの巻付発生、及びウェブの素抜けの発生は無かったものの、未開繊糸の個数は17個であった。
[比較例3]
アクリロニトリル93.8質量%、アクリル酸メチル5.0質量%、メタリルスルホン酸ソーダ1.2質量%からなるアクリル系重合体をDMSO系溶液重合により得た重合体をDMSOに溶解し、アクリル系重合体溶液の濃度を20質量%に調整した紡糸原液とした。この紡糸原液を60℃に温調し、30℃、55質量%のDMSO水溶液中に湿式紡糸した。延伸、水洗、乾燥緻密化、油剤付与の後、スチームによる湿熱処理にてトウを65℃に昇温し、押し込みクリンパーのローラー幅(mm)と該クリンパーで処理するトウ厚み(ktex)の比を1.2(ktex/mm)で捲縮付与し、乾燥、切断することにより、単繊維繊度0.5dtex、カット長40mm、アスペクト比5.3×10、繊維間静止摩擦係数が0.22、捲縮数5山/2.54cm、捲縮数(山/2.54cm)と捲縮率(%)の比が0.83であるアクリル系繊維を得た。
得られたアクリル系繊維100gを用い、カードマシン幅30cm、目付20g/m2のウェブシートを紡出速度10m/分で紡出した。この時のシリンダーへの巻付発生は無かったが、及びウェブの素抜け発生が有り、未開繊糸の個数は7個であった。
[比較例4]
アクリロニトリル93.8質量%、アクリル酸メチル5.0質量%、メタリルスルホン酸ソーダ1.2質量%からなるアクリル系重合体をDMSO系溶液重合により得た重合体をDMSOに溶解し、アクリル系重合体溶液の濃度を20質量%に調整した紡糸原液とした。この紡糸原液を60℃に温調し、30℃、55質量%のDMSO水溶液中に湿式紡糸した。延伸、水洗、乾燥緻密化、油剤付与の後、スチームによる湿熱処理にてトウを65℃に昇温し、押し込みクリンパーのローラー幅(mm)と該クリンパーで処理するトウ厚み(ktex)の比を1.2(ktex/mm)で捲縮付与し、乾燥、切断することにより、単繊維繊度0.5dtex、カット長15mm、アスペクト比2.0×10、繊維間静止摩擦係数が0.13、捲縮数8山/2.54cm、捲縮数(山/2.54cm)と捲縮率(%)の比が0.62であるアクリル系繊維を得た。
得られたアクリル系繊維100gを用い、カードマシン幅30cm、目付20g/m2のウェブシートを紡出速度10m/分で紡出した。この時ウェブの素抜けの発生は無かったものの、シリンダーへの巻付発生が有り、未開繊糸の個数は3個であった。
[比較例5]
アクリロニトリル93.8質量%、アクリル酸メチル5.0質量%、メタリルスルホン酸ソーダ1.2質量%からなるアクリル系重合体をDMSO系溶液重合により得た重合体をDMSOに溶解し、アクリル系重合体溶液の濃度を20質量%に調整した紡糸原液とした。この紡糸原液を60℃に温調し、30℃、55質量%のDMSO水溶液中に湿式紡糸した。延伸、水洗、乾燥緻密化、油剤付与の後、スチームによる湿熱処理にてトウを65℃に昇温し、押し込みクリンパーのローラー幅(mm)と該クリンパーで処理するトウ厚み(ktex)の比を0.4(ktex/mm)で捲縮付与し、乾燥、切断することにより、単繊維繊度0.04dtex、カット長10mm、アスペクト比4.6×10、繊維間静止摩擦係数が0.17、捲縮数11山/2.54cm、捲縮数(山/2.54cm)と捲縮率(%)の比が1.10であるアクリル系繊維を得た。
得られたアクリル系繊維100gを用い、カードマシン幅30cm、目付20g/m2のウェブシートを紡出速度10m/分で紡出した。この時のシリンダーへの巻付発生は無かったものの、ウェブの素抜けの発生が有り、未開繊糸の個数は12個であった。
[比較例6]
アクリロニトリル93.8質量%、アクリル酸メチル5.0質量%、メタリルスルホン酸ソーダ1.2質量%からなるアクリル系重合体をDMSO系溶液重合により得た重合体をDMSOに溶解し、アクリル系重合体溶液の濃度を20質量%に調整した紡糸原液とした。この紡糸原液を60℃に温調し、30℃、55質量%のDMSO水溶液中に湿式紡糸した。延伸、水洗、乾燥緻密化、油剤付与の後、スチームによる湿熱処理にてトウを65℃に昇温し、押し込みクリンパーのローラー幅(mm)と該クリンパーで処理するトウ厚み(ktex)の比を0.1(ktex/mm)で捲縮付与し、乾燥、切断することにより、単繊維繊度0.01dtex、カット長10mm、アスペクト比9.3×10、繊維間静止摩擦係数が0.16、捲縮数6山/2.54cm、捲縮数(山/2.54cm)と捲縮率(%)の比が1.50であるアクリル系繊維を得た。
得られたアクリル系繊維100gを用い、カードマシン幅30cm、目付20g/m2のウェブシートを紡出速度10m/分で紡出した。この時のシリンダーへの巻付発生、及びウェブの素抜けの発生が有り、未開繊糸の個数は22個であった。
Figure 2020158891

Claims (3)

  1. 単繊維繊度が0.10〜0.80dtexのアクリル系繊維であって、単繊維のアスペクト比(単繊維長÷単繊維直径)が3.0×10以上5.0×10以下、繊維間静止摩擦係数が0.15〜0.25であり、付与された機械捲縮の捲縮数が6山/2.54cm以上12山/2.54cm以下、かつ、捲縮数(山/2.54cm)と捲縮率(%)の比が0.8以上1.3以下であることを特徴とするアクリル系繊維。
  2. 請求項1に記載のアクリル系繊維を用いた不織布。
  3. 請求項1に記載のアクリル系繊維の製造方法であって、押し込みクリンパーで機械捲縮を付与する工程を含み、該押し込みクリンパーに入るトウの温度を60〜75℃、該クリンパーで処理するトウ厚み(ktex)と該押し込みクリンパーのローラー幅(mm)との比を0.8〜1.5(ktex/mm)とすることを特徴とするアクリル系繊維の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2021172529A1 (ja) * 2020-02-28 2021-09-02 三菱ケミカル株式会社 繊維成型体の製造方法、繊維成型体、吸音材、自動車内装材及び極細繊維

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WO2021172529A1 (ja) * 2020-02-28 2021-09-02 三菱ケミカル株式会社 繊維成型体の製造方法、繊維成型体、吸音材、自動車内装材及び極細繊維

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