JP2020157358A - 亜鉛系めっき鋼板のスポット溶接方法 - Google Patents

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【課題】亜鉛系めっき鋼板を含む複数枚の鋼板を接合するに際し、溶接部におけるLME割れ発生を抑制できるスポット溶接方法を提供する。【解決手段】本実施形態のスポット溶接方法は、少なくとも1枚は亜鉛系めっき鋼板である2枚以上の鋼板を含む板組を、スポット溶接によって接合するにあたり、前記板組を加圧しつつ主通電した後に、加圧を維持したまま電流値を段階的に下げて通電するダウンスロープ工程を含み、前記ダウンスロープ工程の開始から終了までの時間t(ms)を16≦t≦4000の範囲とする。【選択図】なし

Description

本発明は、少なくとも亜鉛系めっき鋼板を含む複数枚の鋼板を接合するためのスポット溶接方法に関する。
近年、自動車の構造用部材に用いられる鋼板には、車体の軽量化と衝突安全性向上を両立させるために、高強度化とともに低強度鋼板並みの加工性が求められる。また鋼板表面に亜鉛系めっき層を形成した亜鉛系めっき鋼板は、耐食性に優れていることから、自動車の構造用部材として広く使用されており、高強度の亜鉛系めっき鋼板が各種開発されている。
自動車の構造用部材は、複雑な形状を有しており、且つ各種の要求特性を満足させる必要があることから、自動車の構造用部材には、高強度鋼板や低強度鋼板等、様々な鋼板を接合した部材が適用されている。
自動車の構造用部材の組み立て時の鋼板同士の接合には、主としてスポット溶接が採用されている。このスポット溶接では、複数枚の鋼板を含む板組を、一対の電極で挟んで加圧しつつ通電し、鋼板の接合界面を溶融・凝固させてナゲットを形成して鋼板同士を接合する。このときの通電は、チリ(散り)が発生しない溶接電流範囲で行われるが、このような溶接電流範囲においても溶接部に割れが生じることが知られている。
このような溶接部割れが生じるのは、鋼板表面の亜鉛系めっき層が、溶接時のジュール熱によって溶融して溶融亜鉛となり、鋼板の熱収縮による引張応力が溶接部に加わることによって、溶融亜鉛が結晶粒界に侵入して粒界強度を低下させる、いわゆる液体金属脆化(LME:Liquid Metal Embrittlement)に起因するとされている。
このような液体金属脆化に起因する割れ(以下、「LME割れ」と呼ぶことがある)は、溶接される複数枚の鋼板のうち、少なくとも1枚が亜鉛系めっき鋼板である場合に生じる。
LME割れの発生を防止する技術として、例えば特許文献1、2には、
「スポット溶接で形成されるナゲットが、下記(1)式で定義されるナゲット径d0以上で、且つ溶融残厚が0.05mm以上となるように、スポット溶接条件を調整して溶接する、高張力亜鉛めっき鋼板のスポット溶接方法。
d0=k√t …(1)
ここで、d0:所望のナゲット径(mm)
k:係数;3〜6の2間で施工条件に合わせて選択される係数
t:鋼鈑板厚(mm) 」
が提案されている。
一方、特許文献3には、アルミめっき鋼板同士またはアルミめっき鋼板と他の金属板を重ね合わせてスポット溶接する際に、電極チップの汚染や摩耗が生じることへの対策として、「溶接部に一定の交流サイクルで通電する本溶接工程の後工程として、通電量を漸減させるダウンスロープ工程を付加し、前記溶接部から前記電極チップへの熱伝導を徐々に減少させ、前記溶接部の冷却スピードを穏やかにする、アルミめっき鋼板のスポット溶接方法。」が提案されている。
特許第3849539号公報 特許第3849525号公報 特開2006−212649号公報
特許文献1、2は、ナゲットの板厚方向への溶け込みを比較的少なくし、鋼板表面から溶融金属までの最短距離で規定される溶融残厚を大きくすれば、すなわち扁平なナゲットを形成すれば、溶接部におけるLME割れ発生が抑制できるという着想の下でなされた技術である。
しかしながら、溶融残厚の制御のみでは、主通電終了後の冷却過程で発生する引張応力を十分に緩和することが困難となる。そのため、複数枚の高張力亜鉛めっき鋼板を重ねてスポット溶接したときに、溶接部におけるLME割れ発生を十分に抑制できないという問題がある。
一方、特許文献3は、少なくともアルミめっき鋼板を溶接対象としてスポット溶接したときに、亜鉛系めっき鋼板をスポット溶接とするときに比べて電極チップの汚染や摩耗が生じやすいことから、ダウンスロープ工程を付加することによって、電極チップが汚染、摩耗しても、溶接スポットに十分な電流密度を与え、必要十分な大きさのナゲットを形成する技術である。
しかしながら、特許文献3の技術では、亜鉛系めっき鋼板をスポット溶接したときに発生しやすいLME割れに対して、ダウンスロープ工程がどのような効果を発揮するかについては何ら検討されていない。
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、亜鉛系めっき鋼板を含む複数枚の鋼板を接合するに際し、溶接部におけるLME割れ発生を抑制できるスポット溶接方法を提供することにある。
本発明の一局面は、
少なくとも1枚は亜鉛系めっき鋼板である2枚以上の鋼板を含む板組を、スポット溶接によって接合するにあたり、
前記板組を加圧しつつ主通電した後に、加圧を維持したままで電流値を段階的に下げて通電するダウンスロープ工程を含み、前記ダウンスロープ工程の開始から終了までの時間t(ms)を16≦t≦4000の範囲とする点に要旨を有するスポット溶接方法である。
本実施形態のスポット溶接方法においては、前記2枚以上の鋼板のうち少なくとも1枚は、引張強度が980MPa以上の鋼板であることが好ましい。
本発明の好ましい実施形態として、前記ダウンスロープ工程後に通電を停止し、加圧を保持する工程を16ms以上行ってもよい。
本発明によれば、亜鉛系めっき鋼板を含む2枚以上の鋼板をスポット溶接するに際し、溶接部におけるLME割れ発生が抑制できる。こうしたスポット溶接方法は、例えば自動車用部品、自動車の構造材や補強材等のように、高強度が要求される構造用部材の接合法として有用である。
本発明者らは、亜鉛系めっき鋼板を含む2枚以上の鋼板をスポット溶接するに際し、溶接部におけるLME割れ発生を抑制するための条件について様々な角度から検討した。そして、接合される2枚以上の鋼板を含む板組を、加圧しつつ主通電した後に、加圧を維持したまま電流値を段階的に下げて通電するダウンスロープ工程を含んでスポット溶接を行えば、LME割れ発生を抑制した溶接部が得られるとの知見が得られた。
溶接部におけるLME割れは、主通電終了後の冷却過程において、鋼板表面の亜鉛系めっき層が溶融した溶融亜鉛が存在している状態で、鋼板の熱収縮による引張応力が溶接部に加わり、溶融亜鉛が結晶粒界に侵入して粒界強度を低下させることによって発生すると考えられる。そして引張応力は、主通電終了後、加圧がなくなることで発生する。また引張応力は溶接部内部で均等に負荷される訳ではなく、局部的に引張応力が高く、且つ溶融亜鉛が存在することにより、LME割れの発生位置や発生度合いが変化すると考えられる。
本発明者らは、主通電終了後も溶接部に加圧による圧縮応力を付与し続けることで、鋼板の熱収縮によって発生する引張応力をある程度緩和できると予想した。しかしながら、加圧の保持だけでは、LME割れ発生を十分に抑制できないことが判明した。
そこで、板組を加圧しつつ主通電した後に、加圧を維持したままで電流値を段階的に下げて通電するダウンスロープ工程を含んでスポット溶接を行えば、LME割れ発生を抑制した溶接部が得られるとの知見が得られ、その条件について更に検討した。
その結果、ダウンスロープ工程の開始から終了までの時間を所定の範囲とすれば、LME割れ発生を抑制した溶接部が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、上記目的を達成することのできた本実施形態のスポット溶接方法は、少なくとも1枚は亜鉛系めっき鋼板である2枚以上の鋼板を含む板組を、スポット溶接によって接合するにあたり、前記板組を加圧しつつ主通電した後に、加圧を維持したままで電流値を段階的に下げて通電するダウンスロープ工程を含み、前記ダウンスロープ工程の開始から終了までの時間t(ms)を16≦t≦4000の範囲とすることを特徴とする。
まず本実施形態のスポット溶接方法で規定する各要件について説明する。
[少なくとも1枚は亜鉛系めっき鋼板である2枚以上の鋼板を含む板組]
本実施形態のスポット溶接方法において、溶接対象となる板組は、少なくとも1枚は亜鉛系めっき鋼板である。板組に亜鉛系めっき鋼板を含まない場合には、スポット溶接時に鋼板表面に溶融金属が生成されないため、LME割れが発生することがない。したがって、本実施形態のスポット溶接方法によってLME割れ発生抑制効果を発揮させるためには、板組に含まれる鋼板のうち、少なくとも1枚は亜鉛系めっき鋼板である。
なお、この亜鉛系めっき鋼板の種類については、何ら限定するものではなく、例えば溶融亜鉛めっき鋼板(GI鋼板)、合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA鋼板)、電気亜鉛めっき鋼板(EG鋼板)のいずれも含む。また、亜鉛系めっきの種類についても、Zn−Mg−Al系めっき等、各種の亜鉛系めっきが使用できる。また本実施形態のスポット溶接方法において、板組の枚数は2〜3枚程度が通常である。但し、板組の枚数はこれに限らず、必要に応じて4枚以上の板組であっても良い。
[ダウンスロープ工程を含んでスポット溶接を行う]
本実施形態のスポット溶接方法では、前記板組を加圧しつつ主通電した後に、ダウンスロープ工程を含んでスポット溶接を行うことが重要である。主通電の後に、電流を段階的に下げるダウンスロープ工程を付加することで、溶接部の冷却速度が小さくなり、溶接部の変形抵抗をより小さくできるので、加圧による溶接部への圧縮応力の付与による引張応力緩和が得られる。なお、主通電するときの加圧は、通常電極による行われるが、他の加圧手段を採用してもよい。
[ダウンスロープ工程の開始から終了までの時間t(ms;ミリ・秒):16≦t≦4000]
LME割れ発生を抑制するには、主通電終了後の冷却過程で発生する引張応力を緩和することが重要であるが、そのためにはダウンスロープ工程の開始から終了までの時間(以下、「ダウンスロープ時間t」と呼ぶことがある)を適正な範囲に設定する必要がある。
ダウンスロープ時間tが16ms未満になると、溶接部の冷却速度を十分に小さくできず、LME割れ発生抑制効果が発揮できない。
したがって、ダウンスロープ時間tは16ms以上とする必要がある。ダウンスロープ時間tの下限は、好ましくは166ms以上であり、より好ましくは250ms以上であり、更に好ましくは500ms以上である。
しかしながら、ダウンスロープ時間tが長くなり過ぎると、入熱量が大きくなり、鋼板表面の温度が極めて高くなるため、LME割れが却って発生しやすくなる。このため、ダウンスロープ時間tは4000ms以下とする必要がある。ダウンスロープ時間tの上限は、好ましくは2000ms以下であり、より好ましくは1000ms以下である。
なお、主通電の前の予熱通電や主通電の後の後熱通電を、必要によって行ってもよく、或は、ダウンスロープ工程後に、テンパー通電を行って溶接部を焼戻ししてもよい。ダウンスロープ工程での条件を満足していれば、予熱通電、主通電および後熱通電での条件は何ら限定されず、通常の通電条件であればよい。
上記各要件を満足させつつスポット溶接を行うことによって、溶接部におけるLME割れ発生が抑制できという効果が発揮される。
本実施形態のスポット溶接方法によって上記の効果が得られる理由については、その全てを解明できた訳ではないが、おそらく次のように考えることができる。すなわち、主通電の後に、電流を段階的に下げるダウンスロープ工程を付加することで、溶接部の冷却速度が小さくなり、溶接部の変形抵抗をより小さくできるので、加圧による溶接部への圧縮応力の付与による引張応力緩和によって、LME割れ発生抑制効果が最大限に引き出されると推察される。加えて、溶接部が高温で保持される時間が長くなるため、回復等によって、引張応力の絶対値が低下することも、LME割れ発生抑制効果に有利に作用すると推察される。
本実施形態のスポット溶接方法においては、必要によって下記の要件を満足することが好ましい。
[少なくとも1枚は、引張強度が980MPa以上の鋼板である]
板組に含まれる鋼板の引張強度については、何ら限定されないが、少なくとも1枚は引張強度が980MPa以上の鋼板であることが好ましい。上述のごとく、自動車の構造用部材には、各種特性が要求されるが、引張強度が980MPa以上である鋼板を少なくとも1枚含ませることによって、車体の軽量化と衝突安全性の向上に大きく寄与できる。
[ダウンスロープ工程後に通電を停止し、加圧を保持する工程を行う]
本実施形態のスポット溶接方法において、主通電およびダウンスロープ工程での通電を停止した後に、加圧を保持する工程を付加してもよい。このような加圧保持工程を含むことによって、引張応力の緩和効果がより一層発揮され、LME割れ発生を抑制した特性(この特性を、「耐LME割れ性」と呼ぶ)がより優れた溶接構造物を得ることができる。
上記のような加圧保持工程を付加する場合には、引張応力の緩和効果を発揮させるために、加圧の保持時間(以下、「ホールド時間」と呼ぶことがある)は、16ms以上であることが好ましく、より好ましくは80ms以上である。しかしながら、ホールド時間が長くなりすぎても、多数の打点をスポット溶接するための所要時間が長くなり、部材の生産性が低下するので、2000ms以下であることが好ましく、より好ましくは1000 ms以下、更に好ましくは500ms以下である。
[その他の要件]
板組に含まれる鋼板の化学成分組成は、何ら限定されない。例えば通常の高張力鋼や軟鋼の化学成分組成を満足している鋼板であってもよい。鋼板若しくは亜鉛系めっき鋼板の素地鋼板は、熱延鋼板または冷延鋼板のいずれであってもよい。また鋼板の製造条件(熱処理条件、焼鈍パターン、めっき層形成条件等)についても、何ら限定されず、通常の条件に従えばよい。
なお、加圧は主通電のときにも行なわれるが、加圧と同時に溶接電流を流す必要はなく、主通電を行う時期は、加圧後にある程度のスクイズ時間が経過してからであってもよい。
本実施形態のスポット溶接方法では、スポット溶接機の加圧方式(サーボ方式、エア方式)、電流方式(直流、交流)等は何ら限定されない。また電流の周波数についても、50Hz、60Hzのいずれも適用することができ、或いは100Hzの高周波であってもよい。上記各条件が本発明の効果に何ら影響を及ぼさない。
用いるスポット溶接機は、電流値と加圧力を制御可能なスポット溶接機であれば、本実施形態のスポット溶接方法の実施に適用できる。
主通電する電流値は、チリが発生しない程度の電流値であることが好ましい。チリの発生は加圧力によっても影響され、この加圧力が高くなればなるほどチリが発生しにくくなるが、例えば加圧力が600kgf(5880N)では、主通電する電流値は12kA程度まで高めることができる。また主通電時の通電パターンについても、何ら限定されず、単段通電や2段階以上の多段通電のいずれも採用できる。
ダウンスロープ工程終了時の電流値は、ダウンスロープ工程による耐LME割れ性を得ることができる範囲であれば、何ら限定されない。またダウンスロープ工程中の電流値の傾き(電流減少率)についても、ダウンスロープ工程による耐LME割れ性を得ることができる範囲であれば、何ら限定されない。
加圧力は、健全なナゲット径が得られる電流範囲を確保するという観点から、少なくとも250kgf(2450N)以上であることが好ましい。より好ましくは300kgf(2940N)以上である。しかしながら、加圧力が高くなりすぎると、電極の摩耗が大きくなり、生産性が低下するので、600kgf(5880N)以下であることが好ましく、より好ましくは500kgf(490N)以下である。
電極の打角(鋼板表面に対する垂線と、電極中心線のなす角度)は、5°以下であることが好ましい。電極の打角は、LME割れ発生を防止するために、できるだけ小さい方がよい。また溶接部の強度を確保するために、適切なナゲット径を形成する上でも電極の打角は小さい方が好ましい。こうした観点から、電極の打角は5°以下であることが好ましい。
上述したように、本発明の一局面は、少なくとも1枚は亜鉛系めっき鋼板である2枚以上の鋼板を含む板組を、スポット溶接によって接合するにあたり、前記板組を加圧しつつ主通電した後に、加圧を維持したままで電流値を段階的に下げて通電するダウンスロープ工程を含み、前記ダウンスロープ工程の開始から終了までの時間t(ms)を16≦t≦4000の範囲とするスポット溶接方法である。
このような構成を採用することによって、亜鉛系めっき鋼板を含む複数枚の鋼板を溶接するに際し、溶接部におけるLME割れ発生を抑制できるスポット溶接方法が実現できる。
本実施形態のスポット溶接方法においては、溶接対象となる2枚以上の鋼板のうち少なくとも1枚は、引張強度が980MPa以上の鋼板であることが好ましい。
溶接対象に引張強度が980MPa以上である鋼板を少なくとも1枚含ませることによって、車体の軽量化と衝突安全性の向上に大きく寄与できる。
また、本実施形態のスポット溶接方法において、主通電およびダウンスロープ工程での通電を停止した後に、加圧を保持する工程を16ms以上行ってもよい。
このような加圧保持工程を含むことによって、引張応力の緩和効果がより一層発揮され、耐LME割れ性がより優れた溶接構造物を得ることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例によって制限されず、前記、後記の趣旨に適合し得る範囲で変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含有される。
表1に示す強度クラス(鋼種)、板厚、めっきの種類の各種鋼板記号a〜dを用いた。これらの鋼板に対し、下記表2に示す溶接条件でスポット溶接を実施し、溶接構造物を作製した。なお、表2に示した「電流値」は、交流の場合は、実効値を示している。また鋼板1〜3はこの順で鋼板を重ね、各鋼板の接合される部分を重ねて、電極で加圧して、通電した。
Figure 2020157358
このとき、サーボ式定置型交流スポット溶接機を用い、電極はキャップチップ型(DR型)、先端径:8mmのCu−Cr合金製電極を使用した。主通電時の通電パターンは、2段通電を採用し、前段の電流値より後段の電流値を高くなるように設定した。スポット溶接開始から終了までの加圧力は350kgf(3430N)の一定とし、電極の打角は5°の一定とした。スポット溶接は、室温(25℃)で実施し、スポット溶接中は常に電極内に水を流し、電極を冷却しながら行った。
得られた溶接構造物の溶接部に対し、打角と平行方向で且つ鋼板板厚方向に切断後、断面を鏡面研磨およびエッチングし、投影機(倍率:10倍)によりLME割れの有無およびナゲット径を観察した。LME割れは、下記の基準で評価した。
(評価基準)
○:LME割れ無し
×:LME割れ有り
これらの結果を、鋼板1〜3の適用鋼種(表1の鋼板記号a〜d)、および溶接条件(ダウンスロープ時間t、ホールド時間)とともに下記表2に示す。なお、表2では、ダウンスロープ時間tおよびホールド時間については、[cyc/60Hz](cyc:サイクル)の単位で示した値と、[ms]に換算した値の両方を示す。
Figure 2020157358
これらの結果から、次のように考察できる。試験No.1〜4、7、9〜12、15、16は、本実施形態で規定する要件を満足する発明例であり、LME割れが発生しておらず、耐LME割れ性に優れていることが分かる。またナゲット径については、ナゲット測定位置の上下の板のうち、最薄の鋼板の板圧をtminとしたとき、いずれも4√tminとなっていた(前記特許文献1、2参照)。
これに対し、本実施形態で規定する要件を満たさない比較例では、耐LME割れ性が劣化している。具体的には、試験No.5、6、8、13、14および17は、ダウンスロープ工程が付加されておらず、溶接部の冷却速度が大きいため、溶接部の変形抵抗が大きくなり、加圧による溶接部への圧縮応力の付与による、LME割れ発生の抑制効果を最大限に引き出すことができていない。それに加えて、溶接部が高温で保持される時間が短くなるため、回復等による引張応力の緩和効果が発揮されず、耐LME割れ性が劣化した。またナゲット径については、いずれも4√tminとなっていた。

Claims (3)

  1. 少なくとも1枚は亜鉛系めっき鋼板である2枚以上の鋼板を含む板組を、スポット溶接によって接合するにあたり、
    前記板組を加圧しつつ主通電した後に、加圧を維持したままで電流値を段階的に下げて通電するダウンスロープ工程を含み、前記ダウンスロープ工程の開始から終了までの時間t(ms)を16≦t≦4000の範囲とすることを特徴とするスポット溶接方法。
  2. 前記2枚以上の鋼板のうち少なくとも1枚は、引張強度が980MPa以上の鋼板である請求項1に記載のスポット溶接方法。
  3. 前記ダウンスロープ工程後に通電を停止し、加圧を保持する工程を16ms以上行う請求項1または2に記載のスポット溶接方法。

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