JP3849525B2 - 高張力亜鉛系めっき鋼板のスポット溶接方法 - Google Patents

高張力亜鉛系めっき鋼板のスポット溶接方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、重ね抵抗溶接法の一種であるスポット溶接法に係り、とくに高張力亜鉛系めっき鋼板のスポット溶接における耐溶接割れ性の改善に関する。なお、ここでいう亜鉛系めっきとは、電気亜鉛めっき、溶融亜鉛めっき(合金化溶融亜鉛めっきを含む)に代表される、亜鉛や亜鉛合金のめっきをいうものとする。
【0002】
【従来の技術】
亜鉛系めっき鋼板は、耐食性が良好であることから、自動車、家電などの分野で幅広く用いられている。特に自動車用として用いられる亜鉛系めっき鋼板は、自動車車体の軽量化、および衝突安全性の観点から、高強度化が要望され、各種の高張力亜鉛系めっき鋼板が開発されてきた。しかしながら、このような高張力亜鉛系めっき鋼板では、スポット溶接を行うと、スポット溶接部に割れが発生するという問題がある。
【0003】
このスポット溶接部の割れは、溶接部表面の亜鉛が溶融するとともに、電極の加圧力や鋼板の熱膨張、収縮による引張応力が溶接部に加わることにより、溶融した亜鉛が鋼板の結晶粒界に侵入して粒界強度を低下させ、割れを引き起こす、いわゆる液体金属脆性に起因する割れであるといわれている。
このような液体金属脆性起因の割れを防止する対策としては、例えば、特開平10-195597 号公報には、被溶接材である鋼板の組成を特定範囲の組成、具体的には、C:0.003 〜0.01%、Mn:0.05〜0.5 %、P:0.02%以下、sol.Al:0.1 %以下、Ti:48×(N/14)〜48×{(N/14)+(S/32)}%、Nb:93×(C/12)〜0.1 %、B:0.0005〜0.003 %、N:0.01%以下、Ni:0.05%以下を含有する組成とする接合性に優れた鋼板が提案されている。
【0004】
また、特開平9-291338号公報には、液体金属脆性割れを防止できる鋼板、具体的には、組成がC:0.05〜0.15%、Si:0.3 %以下、Mn:2%以下、sol.Al:0.1 %以下を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、Sを0.01%以下に制御してなる組成を有し、α/γ2相域で圧延することによって生成させた展伸フェライトを主体とする組織が、50μm 以上の厚みで鋼板表層部に存在する鉄塔用鋼板が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
近年、自動車車体の軽量化要求が厳しくなるにともない、自動車用鋼板には更なる高強度化が要望されている。一般に、液体金属脆性割れは鋼板強度が高くなればなるほど発生しやすい傾向にあると言われており、引張強さ300MPa程度から問題となり、引張強さ600MPa以上ではさらに顕著となる。したがって、更に高強度化された自動車用高張力亜鉛系めっき鋼板のスポット溶接部における割れは、特開平10-195597 号公報、特開平9-291338号公報に記載されたような鋼板組成、組織を制御する方法のみでは、完全には防止することができないという問題がある。また、特開平10-195597 号公報、特開平9-291338号公報に記載されたような、鋼板組成、組織を制御する方法は、加工性や靱性等の鋼板諸特性を劣化させる場合があり、鋼板用途が限定されるという欠点もある。
【0006】
本発明は、上記した従来技術の問題を有利に解決し、高張力亜鉛系めっき鋼板のスポット溶接部割れを防止し、高品質のスポット溶接部を形成できる高張力亜鉛系めっき鋼板のスポット溶接方法を提案することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記した課題を達成するために、スポット溶接部の液体金属脆性割れ(以下、スポット溶接部割れ、あるいは単に溶接部割れともいう)と、スポット溶接条件、および形成されるナゲット形状との関係について、鋭意研究した。その結果、高張力亜鉛系めっき鋼板を種々の溶接条件にてスポット溶接を行い溶接部割れの発生を調査したところ、図1に示すような、ナゲットの板厚方向への溶けこみが比較的少なく溶融残厚が大きい、すなわち偏平なナゲット形状が得られる場合に、溶接部割れ発生が抑制されることを見いだした。なお、ここでいう「溶融残厚」とは、図1に示すように、鋼板表面からスポット溶接により溶融した溶融面までの最短距離Δtをいうものとする。
【0008】
また、本発明者らは、高張力亜鉛系めっき鋼板のスポット溶接では、溶接部割れ防止のためには、溶融残厚が0.05mm以上のナゲット形状とする必要があることを見出した。
さらに、本発明者らは、上記したような偏平なナゲット形状を得て、溶接部割れを防止するためには、スポット溶接に際し、溶接途中に溶接電流が変化する2段通電とすることが、溶接効率上からも好ましいことを知見した。また、2段通電とし、さらに、溶接電流、通電時間等の溶接条件を調整して、適正電流範囲ΔIが1.0kA 以上とすることが溶接作業上好ましいことを見出した。また、上記したような偏平なナゲット形状および上記した適正電流範囲を得るためには、2段通電のスポット溶接における通電時間、あるいはさらに溶接電流を適正範囲内とすることがよいことを見出した。
【0009】
本発明は、かかる知見に基づいて、さらに検討を加えて完成されたものである。すなわち、本発明は、高張力亜鉛系めっき鋼板をスポット溶接するにあたり、形成されるナゲットが、次(1)式
d=k√t ………(1)
(ここで、d:所望のナゲット径(mm)、k:係数、3〜6の間で施工条件に合わせて選択される係数、t:鋼板板厚(mm))
で定義される所望のナゲット径d以上で、かつ溶融残厚が0.05mm以上であるナゲットとなるように、溶接条件を調整して2段通電とするスポット溶接で、溶接することを特徴とする高張力亜鉛系めっき鋼板のスポット溶接方法である。
【0010】
発明では、前記溶接条件を、適正電流範囲ΔIが1.0 kA以上となるように第1段通電の通電時間が2サイクル以上、6サイクル以下とし、第2段通電の通電時間が第1段の通電時間の1倍以上、5倍以下となるように設定するまた、 本発明では、前記溶接条件を第2段通電の溶接電流が、第1段通電の溶接電流よりも低くなるように設定することが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
従来から、スポット溶接では、使用する電極、溶接電流、電極加圧力、通電時間等を所望のナゲット形状が得られるように、とくに溶接電流を調整している。本発明では、高張力亜鉛系めっき鋼板をスポット溶接する際に、溶接部割れの発生もなく、高品質のナゲット溶接部を得るために、形成されるナゲットが、所望のナゲット径d以上で、かつ溶融残厚が0.05mm以上であるナゲットとなるように、スポット溶接条件を調整して、溶接途中に溶接電流が変化する2段通電とするスポット溶接で溶接する。ナゲットの溶融残厚が0.05mm未満となるようなスポット溶接条件では、溶接割れが発生する。
【0012】
なお、所望のナゲット径dは、被溶接材である高張力亜鉛系めっき鋼板の板厚(t)に依存して決定されている。一般には、所望のナゲット径dは、次(1)式
Figure 0003849525
を用いて決定されている。係数kは、3〜6の間の施工条件に合わせて任意に選択されているが、k=4を選択する場合が多い。
【0013】
所望のナゲット径dを得るためには、一定以上の溶接電流で溶接することが必要となる。通常は、溶接電流を一定のまま保持しつづけてスポット溶接を行う。しかし、溶接電流を一定のまま保持しつづけるスポット溶接の場合は、小電流で通電時間を長くすることにより、比較的偏平なナゲット形状が得やすいが、溶接効率が低下する。一方、大電流で短時間通電すると通電中の温度上昇にともない、鋼板の軟化、接触面積の拡大が十分起こる前にナゲットが形成、成長するため、図2に示すような、径に比べ厚みのあるナゲット形状となりやすい。
【0014】
本発明では、溶接途中で電流値が変化する2段通電としてスポット溶接を行う。同一板厚の高張力亜鉛系めっき鋼板を溶接電流値を変化させて、2段通電とするスポット溶接を行った場合のナゲット径と溶融残厚との関係を模式的に図3に示す。
図3中の溶接条件(a)、(b)は通電時間、(第1段の通電時間)/(第2段の通電時間)が異なる条件でスポット溶接した場合である。溶接電流を増加するにしたがい、ナゲット径は増大するが、それとともに被溶接材(鋼板)の板厚方向へも溶融領域が拡大し、溶融残厚Δtが少なくなり、ついには0.05mm未満となり、前記したような溶接部割れが発生する。
【0015】
図3の溶接条件(a)のように、溶接部割れを発生させないで、すなわち溶融残厚Δtが0.05mm以上で、かつ所望のナゲット径d以上のナゲット径を有するナゲットが得られる条件(図3の斜線領域内となりうる条件)が広く取りうるほど、すなわち所望のナゲット径dが得られる電流条件(電流値)と溶接部割れ(または溶着)が発生する電流条件(電流値)の差(以下、適正電流範囲:ΔIという)が大きい溶接条件であるほど、溶接部割れの発生を安定して抑制でき、高品質スポット溶接部を安定して得るというスポット溶接作業上は好都合である。
【0016】
なお、適正電流範囲ΔIは、2段通電の第2段通電における電流値で算出するものとする。2段通電における適正電流範囲ΔIは、第1段通電の溶接電流を固定、または(第1段溶接電流)/(第2段溶接電流)を一定として、第2段通電の溶接電流を変化させ、ナゲット径が所望のナゲット径dを超えた第2段電流の最小電流をIa、溶接割れが発生した第2段通電の最小電流をIbとすると、ΔI=Ib−Iaで表される。
【0017】
本発明では、スポット溶接作業上から、適正電流範囲ΔIが1.0 kA以上、好ましくは2.0kA 以上である溶接条件でスポット溶接することが、高品質のスポット溶接部を安定して得るというスポット溶接作業上から好ましい。
2段通電のスポット溶接における電流値の変化の一例を模式的に図4に示す。本発明における2段通電では、第2段通電の溶接電流を第1段通電の溶接電流よりも下げることが好ましい。これにより、比較的偏平なナゲット形状がより短時間通電でも得られるようになる。
【0018】
2段通電により、比較的偏平なナゲット形状が短時間通電でも得られるようになる理由については、 現在までに十分には解明されていないが、本発明者らは以下のように考えている。
すなわち、第1段通電により、ナゲット形成開始前後まで鋼板の軟化、接触面積の拡大が図られ、第2段通電により、ナゲットの成長速度を抑えることにより急激な板厚方向への溶けこみが防止され、扁平なナゲット形状となると考えられる。第2段通電の溶接電流を第1段に比べ低くすることがナゲットの成長速度を抑えることに有効であると考えられる。
【0019】
本発明では、上記した形状のナゲット形成、および上記した適正電流範囲ΔIを1.0 kA以上とするには、2段通電の各段の、通電時間あるいはさらに溶接電流を適正に調整して、スポット溶接する
スポット溶接では、初期の電極加圧により鋼板の接触した部分から通電が開始され、通電経路にナゲットが形成され始める。第1段通電の通電時間が2サイクル未満では、温度上昇にともなう鋼板の軟化と接触面積の拡大が起こる以前に、通電が終了してしまう。このため、通電面積が限定され、板厚方向に厚いナゲット形状となり、溶融残厚が0.05mm未満となりやすい。また、通電時間が短すぎると電流の制御が困難となる問題もある。一方、第1段通電の通電時間が6サイクルを超えると、第1段通電でナゲットの生成、成長が進行してしまうため、第2段通電の効果が得られなくなる。なお、より好ましくは2〜4サイクルである。
【0020】
本発明では、上記した条件で第1段通電を行ったのち、引き続いて、第2段通電を行う。本発明では、第2段通電の通電時間は、第1段通電の通電時間の1倍以上、5倍以下とする第2段通電の通電時間が第1段通電の通電時間の1倍未満では、ナゲットの成長が十分に行われない。一方、第2段通電の通電時間を第1段通電の通電時間の5倍を超えて延長しても、通電時間中にナゲットの凝固が開始され、ナゲットの成長には寄与しないため、溶接効率の低下を招く。
【0021】
また、本発明では、第2段通電の溶接電流を第1段通電の溶接電流よりも低くすることが好ましいが、より好ましくは、第2段通電の溶接電流を第1段通電の溶接電流の0.3 倍以上、0.9 倍以下とすることが好ましい。第2段通電の溶接電流が第1段通電の溶接電流の0.9 倍を超えると、ナゲットの成長速度を抑える効果が低下する。一方、第2段通電の溶接電流が第1段通電の溶接電流の0.3 倍未満では第2段通電の溶接電流が過小となり、第2段通電時のナゲット径の成長が十分に行われなくなる。
【0022】
通電時間、あるいはさらに溶接電流を上記した範囲に調整することにより、板厚方向の溶融を調整することができ、適正電流範囲ΔIを1.0 kA以上に調整することもできる。
なお、本発明では、使用する電極については特に限定する必要はなく、通常公知の電極がいずれも使用可能であるが、なかでも電極の先端径が所望のナゲット径d以上で、かつ先端曲率半径が40mm以上である形状の電極を使用することが好ましい。
【0023】
電極の先端径が所望のナゲット径d未満では、スポット溶接初期に鋼板との接触面積が小さく、したがって通電面積が限られるため、必要ナゲット径dに達するまでに板厚方向への溶融も進行し、厚みのあるナゲット形状となる。このため、溶融残厚Δtが少なくなり、溶接部割れが発生しやすくなる。なお、より好ましくはd+1mm以上、さらに好ましくはd+2mm以上である。
【0024】
また、使用する電極の先端曲率半径が40mm未満では、スポット溶接初期に鋼板との接触面積が小さく、したがって通電面積が限られるため、先端径が小さいときと同様に、必要ナゲット径dに達するまでに板厚方向への溶融も進行し、厚みのあるナゲット形状となる。このため、溶融残厚Δtが少なくなり、溶接部割れが発生しやすくなる。
【0025】
本発明により、高張力亜鉛めっき系鋼板をスポット溶接すると、溶接部割れ性が改善される理由については、現在までのところ十分には解明されてはいないが、本発明者らは以下のように推測している。すなわち、本発明のスポット溶接方法では、板厚方向への溶けこみが少ないナゲットが得られ、溶融面から鋼板表面への距離(溶融残厚Δt)が長くなるため、同一ナゲット径で比較して溶融残厚Δtの小さいナゲット(図2)が得られる従来の溶接方法に比べ、鋼板表面の温度が比較的低く抑えられていると予想される。鋼板表面温度が低く抑えられていると、温度上昇が少なく粒界強度の低下も少ないことから、溶接部割れ性が改善されたと考えられる。
【0026】
【実施例】
590MPa級高張力鋼板( 板厚:1.2mm )の表裏面に片面当たり45g/m2の合金化溶融亜鉛めっき(GAめっき)を施した高張力亜鉛系めっき鋼板を重ね合わせて、2段通電とするスポット溶接を実施した。必要ナゲット径は、4√t=4.38mm(t:鋼板板厚)と設定した。
【0027】
なお、スポット溶接では、元径:16mmφ、先端径:6mmφで、先端曲率半径:40mmのDR型電極を使用した。
溶接機は、単相交流抵抗スポット溶接機を使用した。なお、通電時の電極加圧力は2450N、溶接電流は第1段通電の電流値を5.0 kAから0.5 kA毎に増加させ、第2段通電の電流値は第1段通電の電流値と一定の比になるように設定し、溶着発生まで溶接を行った。なお、(第2段通電の溶接電流値)/(第1段通電の溶接電流値)の比は、0.2 、0.3 、0.5 、0.8 、1.0 に変化させた。また、通電時間は第1段通電の通電時間を1、2、3、6、10サイクルとし、第2段通電の通電時間を第1段通電の通電時間と一定の比になるように設定した。なお、(第2段通電の通電時間)/(第1段通電の通電時間)の値は、0.5 、0.67、0.83、1.0 、3.0 、4.0 、6.0 に変化させた。
【0028】
得られたスポット溶接部について、溶接部割れの発生およびナゲット形状の調査を実施した。
溶接部割れ発生の調査は、スポット溶接部を目視観察により割れ発生の有無を調査した。また、ナゲット形状の調査は、溶接部を含む試験片を溶接部中央で切断し、研磨、エッチングして、ナゲット径を測定した。これらの結果からナゲット径が所望のナゲット径dを超える溶接電流値と、溶着または溶接部割れが発生する溶接電流値との差、すなわち、適正電流範囲ΔI、を各溶接条件で算出した。この適正電流範囲ΔIを、溶接部割れの発生がない、高品質スポット溶接部安定形成性(高品質溶接部形成性ともいう)の指標とした。ΔIが2kA以上で◎、2kA未満1.0 kA以上が○、1.0 kA未満が△、0 kAが×として評価した。ΔI=0kAでは、所望のナゲット径d以上で、 溶接割れなしを満足するナゲットが形成されないことを意味する。
【0029】
また、溶接施工においては、溶接効率の向上は重要項目であり、溶接施工時間の長短は溶接コストの高低に影響する。スポット溶接においては通電時間が溶接効率を支配しており、通電時間で溶接効率を評価した。通電時間:15サイクル以下を○、16サイクル以上30サイクル以下を△、31サイクル以上を×として評価した。
【0030】
また、さらに、高品質溶接部形成性と溶接効率の評価を考慮して、総合評価を行った。総合評価では、高品質溶接部形成性が○以上で溶接効率が○の場合を総合評価◎とし、高品質溶接部形成性が○以上で溶接効率が△の場合を総合評価○、高品質溶接部形成性が○以上で溶接効率が×の場合を総合評価△、高品質溶接部形成性が△で溶接効率が○または△、または×の場合を総合評価△、高品質溶接部形成性が×で溶接効率が○、または△、または×の場合を総合評価×とした。
【0031】
得られた結果を表1に示す。
【0032】
【表1】
Figure 0003849525
【0033】
【表2】
Figure 0003849525
【0034】
【表3】
Figure 0003849525
【0035】
本発明例はいずれも、溶接部割れの発生する危険性が少なくなり、高品質溶接部形成性に優れた溶接方法となっている。これに対し、本発明の範囲を外れる比較例は、溶接部割れの発生する危険性が高く、高品質溶接部形成性が低下している。通電時間、溶接電流のいずれかまたは全部が本発明の好適範囲を外れると溶接部割れが発生しやすくなり、高品質溶接部形成性が低下または顕著に低下する。
【0036】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、表面に亜鉛系めっき層を形成した高張力亜鉛めっき系鋼板をスポット溶接した際に多発する溶接部割れを安定して抑制でき、高品質のスポット溶接部を安価にしかも安定して形成でき、産業上格段の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスポット溶接方法を適用したスポット溶接部のナゲット形成状況の一例を示す模式断面図である。
【図2】本発明範囲を外れる溶接方法で溶接したスポット溶接部のナゲット形成状況の一例を示す模式断面図である。
【図3】溶接電流変化による、ナゲット径と溶融残厚の関係を模式的に説明する説明図である。
【図4】本発明の2段通電とするスポット溶接における溶接電流の変化の一例を示す説明図である。

Claims (2)

  1. 高張力亜鉛系めっき鋼板をスポット溶接するにあたり、形成されるナゲットが、下記(1)式で定義される所望のナゲット径d以上で、かつ溶融残厚が0.05mm以上であるナゲットとなるように、溶接条件を、適正電流範囲ΔIが 1.0 kA 以上となるように、第1段通電の通電時間が2サイクル以上、6サイクル以下とし、第2段通電の通電時間が第1段の通電時間の1倍以上、5倍以下となるように設定する2段通電とするスポット溶接で溶接することを特徴とする高張力亜鉛系めっき鋼板のスポット溶接方法。

    d=k√t ………(1)
    ここで、d:所望のナゲット径(mm)
    k:係数;3〜6の間で施工条件に合わせて選択される係数
    t:鋼板板厚(mm)
  2. 記第2段通電の溶接電流が、第1段通電の溶接電流よりも低くなるように設定することを特徴とする請求項に記載の高張力亜鉛系めっき鋼板のスポット溶接方法。
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