JPH10195597A - 接合性に優れた薄鋼板 - Google Patents

接合性に優れた薄鋼板

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JPH10195597A
JPH10195597A JP4514897A JP4514897A JPH10195597A JP H10195597 A JPH10195597 A JP H10195597A JP 4514897 A JP4514897 A JP 4514897A JP 4514897 A JP4514897 A JP 4514897A JP H10195597 A JPH10195597 A JP H10195597A
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JP
Japan
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steel sheet
steel
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brazing
welding
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Application number
JP4514897A
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English (en)
Inventor
Jun Haga
純 芳賀
Masanori Taiyama
正則 泰山
Naomitsu Mizui
直光 水井
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】成形性に優れ、ろう付けや溶接時の溶融金属脆
性による破断や疲労強度の低下がない接合性に優れた薄
鋼板を提供すること。 【解決手段】C:0.003〜0.01%、Mn:0.
05〜0.5%、P:0.02%以下、sol.Al:
0.1%以下、Ti:48×(N/14)〜48×
{(N/14)+(S/32)}%、Nb:93×(C
/12)〜0.1%、B:0.0005〜0.003
%、N:0.01%以下、Ni:0.05%以下、であ
る接合性に優れた薄鋼板、および、上記の化学組成の
内、N含有量が0.004〜0.01%、Ni含有量
0.05%以下、かつ(Ni/Cu)≧1、Cu含有量
が0.05%以下である接合性に優れた薄鋼板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、成形性が良好で、
溶接やろう付け等の方法で鋼板を接合するときの加熱の
影響による脆化や強度低下が生じ難い接合性に優れた薄
鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車あるいは家電製品に用いられる薄
鋼板は、成形後はんだ合金やろう材を用いてろう付けし
たり、溶接して組立てられる場合が多い。ろう付け時に
はろう材は融点以上に加熱されて溶融状態になった後に
再凝固する。また、めっき鋼板を溶接する場合には、め
っき層は一旦溶融状態になった後に再凝固する。このよ
うにろう付けや溶接をする場合に、鋼板表面に融点が低
い金属が溶融して存在する瞬間がある。
【0003】一般的にプレス成形すると製品には様々な
残留応力が残る。残留応力が存在する高温の鋼板にろう
材やZn、Alなどが溶融状態で接すると、これらの金
属が鋼板の結晶粒界に侵入して結晶粒界の強度を弱め、
粒界脆性破壊を生じたり、繰り返し応力を受けた際に疲
労強度が大幅に低下したりすることがある。これは一般
的には、はんだ脆性または溶融金属脆性と称されてい
る。
【0004】自動車や家電製品には、プレス成形性を重
視して極低炭素IF(Interstitial Fr
ee)鋼板を使用することが多くなっている。IF鋼で
は鋼中のCが全て炭化物として固定され結晶粒界が清浄
になるので溶融金属が粒界に浸入しやすい。このため、
極低炭素IF鋼板あるいはこれを母材とするめっき鋼板
ではろう付け部や溶接熱影響部で溶融金属脆性が生じや
すい。
【0005】また、極低炭IF鋼を母材としたZn めっ
き鋼板あるいはAl めっき鋼板において、Cu含有量が
高い母材を用いると溶接部近傍の鋼が脆くなりやすい。
この理由は定かではないが、めっき層のZnやAlおよ
び鋼板中のCuが溶融して溶融部近傍の結晶粒界に浸入
し、結晶粒界でZn−Cu合金やAl−Cu合金が形成
されて結晶粒界が脆化するのではないかと推定される。
Alめっき鋼板を溶接する場合には、亜鉛めっき鋼板以
上にCuによる脆化現象が生じやすい。Znめっき鋼板
の場合には、溶融部のZnはある程度蒸発するが、Al
は沸点が亜鉛よりも高く、Zn以上にAlが溶接部に残
留しやすいためであろうと推測される。固溶Cを炭化物
として固定して製造される極低炭素のIF鋼板ではこの
現象が顕著に現れる。これらの問題が成形性に優れるI
F鋼の活用を妨げる要因になっている。
【0006】溶融金属脆性を防止する方法が種々提案さ
れている。特開昭60−92453号公報にはTi−B
−Crを含有するろう付溶接用冷延鋼板が開示されてい
る。特開昭63−243225号公報には、極低C鋼に
Ti−B、Ti−B−Cr、Ti−Nb−BあるいはT
i−Nb−B−Crを含有させた耐ろう接割れ性に優れ
た冷延鋼板の製造法が開示されている。特開平3−17
3717号公報には低C−Alキルド鋼にBを含有させ
る銅系ろう付け用冷延鋼板の製造方法が開示されてい
る。特開昭64−4456号公報には低C−Alキルド
鋼にBを含有させた母材を用いる耐溶接割れ性に優れた
銅めっき鋼板とその製造法が開示されている。しかしこ
れらの方法のみでは、溶融金属脆性の防止効果は十分で
はない。
【0007】溶接部近傍の熱影響部はオーステナイト域
以上に加熱される。ろう付けにおいても、安価で施工し
やすいので広く用いられる4−6黄銅の融点は900℃
前後であるので、ろう付けに際して接合部は950℃以
上、即ちオーステナイト域まで加熱される。鋼板をオー
ステナイト域以上に加熱すると鋼板中の炭化物が溶解す
るため、オーステナイト結晶粒が異常に大きく成長する
ことがある。粗大なオーステナイト結晶粒から生成する
フェライト結晶粒は粒径が大きくなりやすく、その部分
の静的強度や疲労強度が低下しやすい。特に結晶粒界が
清浄な極低炭IF鋼においてこの現象が著しい。
【0008】鋼板の接合においてはこれらの溶融金属脆
性や強度低下を共に防止することが望まれるが、これま
での方法ではいずれもその効果が十分ではなく、所望の
強度を確保するために接合部材の厚みを増したり、溶接
部のめっき皮膜を除去して溶接する等の対応がとられて
いる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、成形性に優れ、ろう付け部や溶接部で溶融
金属脆性や接合強度の低下がない接合性に優れた薄鋼板
を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は下記
(1)および(2)に記載の接合性に優れた薄鋼板にあ
る。
【0011】(1)重量%で、C:0.003〜0.0
1%、Mn:0.05〜0.5%、P:0.02%以
下、sol.Al:0.1%以下、Ti:48×(N/
14)〜48×{(N/14)+(S/32)}%、N
b:93×(C/12)〜0.1%、B:0.0005
〜0.003%、N:0.01%以下、Ni:0.05
%以下、残部Feおよび不可避的不純物からなる化学組
成を有する接合性に優れた薄鋼板。ここで、記号Sは鋼
板中のSの含有量(重量%)を表す。
【0012】(2)重量%で、C:0.003〜0.0
1%、Mn:0.05〜0.5%、P:0.02%以
下、sol.Al:0.01〜0.1%、Ti:48×
(N/14)〜48×{(N/14)+(S/32)}
%、Nb:93×(C/12)〜0.1%、B:0.0
005〜0.003%、N:0.004〜0.01%、
Ni:0.05%以下、かつ(Ni/Cu)≧1、残部
Feおよび不可避的不純物からなる化学組成を有し、不
可避的不純物中のCu含有量が0.05%以下である接
合性に優れた薄鋼板。ここで、記号Sは、鋼板中のSの
含有量(重量%)を表す。
【0013】本発明は、ろう付け時や溶接時に受ける熱
履歴による鋼板の組織と強度の変化に関する以下の新た
な知見を得て完成されたものである。
【0014】 極低炭素鋼中にNbCを析出させてお
けば、オーステナイト域に加熱された場合に生じやすい
オーステナイト結晶粒の異常成長を抑制できる。
【0015】極低炭素鋼をIF鋼化するときに生じるN
bC、TiC等の炭化物は結晶粒界移動の障害になるの
で結晶粒の粗大化防止に有効な手段である。しかし、い
ずれの炭化物もオーステナイト域のような高温では鋼中
に再固溶する。
【0016】鋼板を加熱した場合、TiCは、フェライ
ト域では殆ど再固溶しないがオーステナイト域になると
一気に再固溶する。フェライト域での結晶粒成長を強力
に抑制していたTiCが突然無くなるため、オーステナ
イト結晶粒は逆に急激に成長する。このため、TiCを
含む鋼板をオーステナイト域に加熱すると、結果的には
TiCを含まない鋼よりも粗大なオーステナイト結晶粒
組織になる場合がある。
【0017】他方、NbCを含む鋼板が加熱されると、
NbCはフェライト域から徐々に再固溶し、これに伴っ
て結晶粒も徐々に大きくなる。このため、鋼板温度がオ
ーステナイト域になってNbCが完全に再固溶してしま
った後でも、結晶粒はそれ以上にはさほど大きくはなら
ない。したがい、オーステナイトの異常粒成長を防止す
る炭化物としては、TiCではなくてNbCが適してい
る。
【0018】 鋼板中に所定の量以上のNbCを確保
し、かつ、Bと共存させると、ろう付け後や溶接後の急
冷により硬質なアシキュラー・フェライト組織が生じ
る。これにより、ろう付け部や溶接部の強度低下を防ぐ
ことができる。これは一旦固溶したNbCが溶接後再析
出する前に急速に冷却されるため、焼入れ効果が生じる
ためと考えられる。
【0019】 めっき鋼板の母材である極低炭IF鋼
に、そのCu含有量に対応して適量のNiを含有させる
と溶接溶融部近傍の脆化が抑制される。この理由は定か
ではないが、溶融部が凝固するときにCu−Ni合金が
形成されて、結晶粒界でのZn−Cu合金や、Al−C
u合金の形成が抑制されるのではないかと推測される。
【0020】 IF鋼では鋼中の不純物が少ないため
に、溶接時に一旦溶融する部分の結晶組織は粗大化しや
すい。このため、溶接部の静的強度および疲労強度が低
下する場合がある。溶融部の結晶組織は鋼板中にTiN
を含ませることで微細にできる。これはTiNが凝固核
となること、および、TiNが結晶粒界の移動を抑制す
るためと推測される。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の実施に際し、各要因や条
件を限定した理由を以下に述べる。なお、以下に記す化
学組成の%表示は重量%を意味する。
【0022】C:一般的には、成形性の観点から少ない
ほど好ましい。しかし本発明では、溶接時の加熱による
熱影響部の結晶粒の粗大化に伴う溶接組み立て製品の強
度や疲労強度の低下等を防ぐための析出物形成元素とし
て積極的に添加する。加熱による強度低下を防止するに
は析出物の数を増すのが効果的である。このため鋼中の
C含有量は0.003%以上とする。C含有量が高すぎ
ると固溶Cを固定するのに必要なNbの量が増すので経
済性を損なう。また、NbCの析出量が多くなり過ぎる
と、再結晶温度が高くなり、鋼板の成形性が低下する。
このためC含有量は0.01%を上限とする。望ましく
は、0.004〜0.006%含有させる。
【0023】Mn:鋼中の不純物であり熱間脆性の原因
ともなるSは、本発明では、まずTiSとして固定して
無害化する。しかし後述するようにTiCの析出を避け
るためにTi含有量を低めに制限する必要があるので、
TiSにならないでSが残存する場合がある。Mnは、
TiSとして固定されなかったSをMnSとして固定す
るために含有させる。このため、Mn含有量の下限は
0.05%とする。Mnが過剰になると鋼中の全SがM
nSになり、TiSになるべきTiがTiCを形成す
る。TiCはオーステナイト結晶粒の粗大化させ、溶接
熱影響部の強度を低くするおそれがあるので好ましくな
い。これを避けるためにMn含有量の上限は0.5%と
する。 P:不可避的不純物として鋼中に含有されるが、溶接時
やろう付け時の熱影響部で結晶粒界に偏析して、これら
の部分を脆化させるおそれがあるので、Pの含有量は
0.02%以下とする。
【0024】Ti:鋼中のN全量と、Sの全量または一
部をTiNまたはTiSとして固定して成形性を改善す
るために添加する。本発明では、TiCを形成させな
い。N全量を固定するためにTi含有量の下限は48×
(N/14)%とする。TiCを形成させないためにT
i含有量の上限は48×{(N/14)+(S/3
2)}%とする。
【0025】Nb:固溶CをNbCとして固定すること
で成形性を改善し、また、NbCを高温域での結晶粒成
長を抑制するのに活用する。そのため、Nb含有量の下
限は93×(C/12)%とする。しかし、0.1%を
超えて含有させると再結晶温度が高くなり製品の特性が
低下するので、0.1%を上限とする。
【0026】B:IF鋼の結晶粒界に偏析して溶接時や
ろう付け時に生じる溶融金属脆性を防止する効果があ
る。溶融金属脆性を防止するにはBを0.0005%以
上含有させることが必要である。他方、過剰に含有させ
るとその防止効果が飽和するうえ深絞り性の劣化も顕著
になるので、その含有量の上限を0.003%とする。 sol.Al:必須元素ではないが、鋼を脱酸する作用
があるので、脱酸剤として用いるのが望ましい。脱酸効
果を確保するためにsol.Alは0.01%以上添加
するのが好ましく、また、sol・Alを過剰に含有す
ると経済性が損なわれるのでその上限は0.1%とす
る。
【0027】N:必須元素ではないが、Tiと結合して
窒化物を形成し、溶接時に生じる溶融部の結晶組織を微
細化し、溶接部の強度を改善する効果があるので必要に
応じて添加してもよい。結晶組織を微細化する効果を十
分に得るにはNは0.004%以上含有させるのが好ま
しい。Nを0.01%を超えて含有させると、Ti添加
量が多くなり経済性に欠けるうえ、TiNの析出量が多
くなって鋼板の成形性が損なわれる。このため、Nの上
限は0.01%とする。
【0028】Ni:不可避的不純物としてのCuを多く
含む母材にZnやAlをめっきした鋼板を溶接した時に
生じやすい溶融部近傍の脆化を抑制する効果がある。こ
のため、必要に応じてNiを含有させることが出来る。
この効果を得るにはCu含有量の1倍以上Niを含有さ
せるのが好ましい。過剰に含有させても、脆化を抑制す
る効果が飽和するうえ、加工性が損なわれるのでその上
限は0.05%とする。
【0029】上記以外はFeおよび不可避的不純物であ
るが、不可避的不純物の中でもCuおよびSについては
以下のように制限するのが好適である。
【0030】Cu:溶解原料等から混入する不可避的不
純物である。高温状態でZnやAlと共存すると溶接時
にZnやAlと共に結晶粒界に浸入して溶融部近傍を脆
化させるので、少ないほど好ましい。Ni含有量を調整
して溶接部の脆化を効果的に抑制するためにCuの含有
量は0.05%以下とする。
【0031】S:不可避的不純物として鋼中に含有され
るが、鋼を熱間圧延する時の赤熱脆性の原因になること
があり、また、鋼板の成形性を阻害するので0.01%
以下とするのがよい。
【0032】本発明の薄鋼板の製造方法は特定するもの
ではないが、例えば、転炉や電気炉など通常用いられて
いる方法で溶製し、必要に応じて真空脱ガス処理等を施
して上記の化学組成の鋼とし、鋼塊にして分塊圧延する
方法や連続鋳造法等によってスラブとし、熱間圧延し、
必要に応じて酸洗して熱延鋼板とする。また、常法によ
り、冷間圧延、焼鈍、調質圧延などを施して冷延鋼板と
するか、さらには、これらの熱延鋼板や冷延鋼板の表面
にめっきを施してもよい。めっきする金属はFeよりも
融点が低い金属または合金が適用でき、例えば、Zn、
Al、Pb、Snなどや、Zn−Fe、Zn−Alその
他の合金が挙げられる。めっき方法は任意であるが、例
えば、電気めっき法、溶融めっき法、蒸着めっき法等が
適用できる。
【0033】熱間圧延鋼板として使用する場合には、鋼
板の成形性を向上させるために熱間圧延工程における巻
取温度を550℃以上にするのが好ましい。また冷間圧
延鋼板として用いる場合には、その焼鈍を連続焼鈍法で
施すのが経済的であり好ましい。連続焼鈍を施す際に
は、焼鈍温度で均熱した後650℃までの冷却を平均5
℃/秒以下の冷却速度で徐冷するのが好ましい。これら
の処理によりBのフェライト粒界への偏析が促進され、
耐溶融金属脆性が一層向上する。
【0034】
【実施例】
(実施例1)実験用真空溶解炉を用いて、表1に示した
化学組成を有する鋼を溶解し、熱間鍛造により厚さ25
mm、幅210mmの実験用スラブとした。
【0035】
【表1】
【0036】これらを電気炉で1250℃にて1時間加
熱した後、1150℃から930℃の温度範囲で、実験
用熱間圧延機による3パスの圧延で5mmの厚さに圧延
した。圧延後直ちに強制空冷あるいは水スプレー冷却に
より450〜800℃の温度に冷却し、それぞれの温度
に保持した電気炉に入れて1時間保持した後、20℃/
時で常温まで炉冷した。得られた鋼板の表裏面を研削し
て厚さ3.2mmとし、これを冷間圧延して厚さ0.8
mm、幅210mmの冷延板を得た。これらの冷延板を
赤外線加熱炉にて、10℃/秒の加熱速度で820℃ま
で加熱し、40秒間保持し、650℃まで3℃/秒の冷
却速度で徐冷し、それ以降は50℃/秒の冷却速度で室
温まで冷却した。焼鈍後、伸び率0.8%の調質圧延を
施した。得られた冷間圧延鋼板の成形性を、JIS Z
2201に規定される5号引張試験片による引張特性
で評価した。
【0037】耐溶融金属脆性は図1に示す方法で評価し
た。幅25mm、長さ60mmの平行部を有する鋼板試
料1に、両端に装備した保持具3、ワイヤー4を介して
重錘2による引張荷重を負荷する。その状態で鋼板試料
1の上面中央部にフラックス(ナイス社製F10S)を
置き、鋼板試料下面のガスバーナー(図示せず)によっ
て20℃/秒の加熱速度で950℃まで加熱する。ろう
材6としてはJISZ 3262に規定されるBCuZ
n−2(4―6黄銅)を用い、これをフラックスの上に
置く。ろう材の溶解により鋼板試料の温度は一旦低下す
るが、この温度が再度950℃に復帰してから30秒間
その荷重を掛けたまま保持する。重錘2の質量を変えて
試験を行ない、上記の30秒間に脆性破壊する下限の荷
重を求め、初期断面に対する応力を計算してこれを「脆
化臨界応力」とした。試料の温度は試料に付した熱電対
(図示せず)で測定した。
【0038】ろう付け時や溶接時に高温に加熱されるこ
とによる鋼板の強度低下状況は、これらの熱履歴を模擬
した熱処理を施した鋼板の常温での引張破断応力をJI
SZ 2201に規定される5号引張試験片で求めて評
価した。以下、この応力を「熱処理後の破断応力」と記
す。上記の熱処理は、電気炉にて鋼板試料を20℃/秒
の加熱速度で950℃まで加熱し、30秒間保持した後
500℃まで空冷し、以降常温まで水冷するものであ
る。
【0039】鋼板試料の引張特性、脆化臨界応力、熱処
理後の破断応力等の測定結果を表2に示す。
【0040】
【表2】
【0041】表2に示されるように、本発明の化学組成
を満たす鋼1〜5から試作した鋼板はいずれも脆化臨界
応力が18MPa以上あり、熱処理後の破断応力も30
0MPa以上の優れたろう付け性を有する。これらの鋼
板は、r値が1.7以上、全延びが45%以上の引張特
性を示しており、プレス成形性も良好である。これに対
し、C含有量が本発明に規定する範囲に満たない鋼6の
鋼板は熱処理後の破断応力が低下している。CとNbを
過剰に含む鋼7およびBを過剰に含む鋼9の鋼板は、い
ずれも脆化臨界応力は良好であるが、NbCの過剰な析
出あるいはBの過剰な固溶により成形性を示す特性が劣
化している。Bが不足している鋼8の鋼板は脆化臨界応
力が低く、Tiを過剰に含有する鋼10の鋼板はTiC
が過剰に析出し、高温加熱時に結晶粒が粗大化したため
に熱処理後の破断応力が低下した。鋼11は、P含有量
が高く、脆化臨界応力が劣る。鋼12はN含有量が過剰
であり、成形性が好ましくない。
【0042】(実施例2)実験用真空溶解炉を用いて、
表3に示した化学組成を有する鋼を溶解し、熱間鍛造に
より厚さ25mm、幅210mmの実験用スラブとし
た。
【0043】
【表3】
【0044】これらを実施例1に記載したのと同一の条
件で、熱間圧延、冷間圧延、焼鈍および調質圧延を施し
て厚さ0.8mm、幅210mmの冷延鋼板を得た。こ
れらの冷延鋼板に、電気めっきシミュレーターにて片面
当たりの付着量が30g/m2 のZnめっきを両面に施
した。得られたZnめっき鋼板からJIS Z 220
1に規定される5号引張試験片を採取して引張試験に供
した。また、実施例1に記載したのと同様の方法で脆化
臨界応力と熱処理後の破断応力を求めた。さらに、それ
ぞれのめっき鋼板から得た幅50mmの試験片2枚を重
ね合わせ、直径6mmのドーム型電極を用いて、通電時
間10サイクル、電流8kA、加圧力200kgfの条
件でスポット溶接を行った。溶接後、溶接部に試験片表
面に平行な方向の引張荷重を0〜max.の間で繰り返
して付加する片振り法で試験し、107 回の繰り返しで
破断しない最大荷重(せん断引張疲労強度)を求めた。
これらの諸性能測定結果を表4に示す。
【0045】
【表4】
【0046】本発明が規定する化学組成である鋼A、
B、C、D、EおよびFはいずれも成形性が良好で、脆
化臨界応力や熱処理後の破断応力も良好である。さらに
NとNiの含有量が、本発明の規定する好ましい範囲で
ある鋼A、B、CおよびDは、スポット溶接部のせん断
引張疲労強度が1290N以上で良好である。これに対
して、N含有量が好ましい範囲よりも低い鋼Eでは溶融
部の結晶組織が粗大になったために疲労強度が鋼A等に
較べてやや劣り、Ni/Cu比が好ましい範囲よりも低
い鋼Fでは溶接部の疲労強度が鋼A等に較べて低下して
いる。Cu含有量が本発明の規定する上限を外れた鋼G
ではNiを過剰に添加しているにもかかわらず疲労強度
が低下している。
【0047】
【発明の効果】本発明の薄鋼板は成形性が良好で、耐溶
融金属脆性が優れており、ろう付け部の強度や、溶接部
の疲労強度も優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】耐溶融金属脆化臨界応力の測定方法の概要を示
す斜視図である。
【符号の説明】
1 鋼板試料 2 重錘 3 鋼板試料保持具 4 荷重負荷用ワイヤー 5 固定壁 6 ろう材

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、C:0.003〜0.01%、
    Mn:0.05〜0.5%、P:0.02%以下、so
    l.Al:0.1%以下、Ti:48×(N/14)〜
    48×{(N/14)+(S/32)}%、Nb:93
    ×(C/12)〜0.1%、B:0.0005〜0.0
    03%、N:0.01%以下、Ni:0.05%以下、
    残部Feおよび不可避的不純物からなる化学組成を有す
    る接合性に優れた薄鋼板。ここで、記号Sは鋼板中のS
    の含有量(重量%)を表す。
  2. 【請求項2】重量%で、C:0.003〜0.01%、
    Mn:0.05〜0.5%、P:0.02%以下、so
    l.Al:0.01〜0.1%、Ti:48×(N/1
    4)〜48×{(N/14)+(S/32)}%、N
    b:93×(C/12)〜0.1%、B:0.0005
    〜0.003%、N:0.004〜0.01%、Ni:
    0.05%以下、かつ(Ni/Cu)≧1、残部Feお
    よび不可避的不純物からなる化学組成を有し、不可避的
    不純物中のCu含有量が0.05%以下である接合性に
    優れた薄鋼板。ここで、記号Sは、鋼板中のSの含有量
    (重量%)を表す。
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