JP2020156476A - イタドリ葉の乾燥粉状物質およびその製造方法 - Google Patents

イタドリ葉の乾燥粉状物質およびその製造方法 Download PDF

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和仁 竹本
Kazuhito Takemoto
和仁 竹本
浩幸 渡邊
Hiroyuki Watanabe
浩幸 渡邊
賢希 井治
Kenki Iji
賢希 井治
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Abstract

【課題】運動量を増強させる活力剤機能のあるイタドリの葉の有効利用方法の提供。【解決手段】イタドリの葉を用いたことを特徴とするイタドリ葉の乾燥粉状物質。少なくとも下記(a)〜(d)の成分を含有することを特徴とするイタドリ葉の乾燥粉状物質。(a)ネオクロロゲン酸(b)クロロゲン酸(c)ルチン(d)ケルセチン。イタドリ葉の乾燥粉状物質を有効成分として含有することを特徴とする運動機能改善用組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、イタドリの葉を用いた乾燥粉状物質に関する。
イタドリはタデ科の多年生植物であり、従来より、乾燥させた根部分および根茎部分を生薬(虎杖根)として使用することが広く知られている(例えば、特許文献1参照)ほか、特に高知県においては、春頃に芽吹いた若い茎部分を採取したものが食材として一般家庭を中心として愛好されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、イタドリは、上述のように葉が茂る前(春頃)の若い茎部分を食用として採取するか、葉が枯れた後(秋〜冬頃)に根部分および根茎部分を生薬として採取するものであって、葉部分については有効な利用法が知られておらず、イタドリは成長が早く早々に葉が茂って茎が枝化して固くなるため、繁殖力の強い植物でありながら、十分な有効利用が図られてこなかった。食用として、わずかに「イタドリ餡のようかん」が示されている程度である(特許文献3参照)。
特開平6−56685号公報 特開2011−103849号公報 特開平7−203856号公報
本発明は、イタドリの葉の部分を有効利用することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するため、乾燥・粉砕したイタドリ葉の抽出物をマウスに与えて脂質代謝に関する評価を行ったところ、イタドリの葉には体重増加の抑制、脂質代謝の改善があること、および運動量を増強させる活力剤機能をも期待できることを見出し、更に、イタドリの葉には、少なくともネオクロロゲン酸,クロロゲン酸,ルチン,ケルセチンの4つの成分が含まれ、イタドリの他の部位と比較していずれの成分も多量に含まれ、また、他の食用葉に比較して特にネオクロロゲン酸が多量に含まれていることを見出し、本発明を完成させるに至った。
第1の発明は、イタドリの葉を用いたことを特徴とするイタドリ葉の乾燥粉状物質である。
第2の発明は、少なくとも下記(a)〜(d)の成分を含有することを特徴とするイタドリ葉の乾燥粉状物質である。
(a)ネオクロロゲン酸
(b)クロロゲン酸
(c)ルチン
(d)ケルセチン
第3の発明は、イタドリの葉が、少なくとも50mm以上の葉身であることを特徴とするイタドリ葉の乾燥粉状物質である。
第4の発明は、イタドリ葉の乾燥粉状物質を有効成分として含有することを特徴とする運動機能改善用組成物である。
第5の発明は、イタドリ葉の乾燥粉状物質を含有することを特徴とする食品である。本発明によれば、例えば麺、パン、青汁、スムージーその他の食品としてイタドリ葉の乾燥粉状物質に含まれる有効成分を容易に摂取することができる。
第6の発明は、イタドリ葉の乾燥粉状物質を水または湯で抽出あるいは溶かしてなることを特徴とする飲料である。本発明によれば、例えば茶などの飲料としてイタドリ葉の乾燥粉状物質に含まれる有効成分を容易に摂取することができる。
第7の発明は、イタドリ葉の乾燥粉状物質を製造する方法であって、採取したイタドリの葉を、80℃以下で乾燥させ、粉砕機によって粉砕することを特徴とするイタドリ葉の乾燥粉状物質の製造方法である。本発明によれば、高温環境で失われてしまう有効成分を残したまま、イタドリ葉の乾燥粉状物質を製造することができる。
第8の発明は、イタドリ葉の乾燥粉状物質を製造する方法であって、採取したイタドリの葉を25℃〜45℃で乾燥させることを特徴とするイタドリ葉の乾燥粉状物質の製造方法である。本発明によれば、一般的な低温乾燥機で用いられる温度範囲に適合して容易に製造が可能であるとともに、有効成分の減少を極力抑えたイタドリ葉の乾燥粉状物質を製造することができる。
第9の発明は、イタドリ葉の乾燥粉状物質を製造する方法であって、採取したイタドリの葉を冷凍した後に乾燥させたことを特徴とするイタドリ葉の乾燥粉状物質の製造方法である。本発明によれば、冷凍をすることによってイタドリ葉を冷凍状態で長期保存可能であるとともに、イタドリ葉の乾燥粉状物質から有効成分を効率的に抽出することができる。
本発明は、イタドリ葉を乾燥粉状物質とすることで、体重増加の抑制、脂質代謝の改善、更には運動量を増強させる活力剤としての機能をも有するイタドリ葉を容易に摂取することを可能とし、これまで有効利用されなかったイタドリの葉の部分を有効利用することができる。
本発明のイタドリ葉の乾燥粉状物質によれば、乾燥ののち粉砕されていることから、保存や流通において多大な利点を有する点に加え、食品や飲料に利用することが非常に容易であり、幅広い利用用途が考えられる。
本発明のイタドリ葉の乾燥粉状物質の製造フローを示す図。 機能性評価実験における(a)各群の糞トリグリセリド,(b)各群の糞コレステロールを示す図。 機能性評価実験における各群の尾懸垂時の運動量(運動量積算値)を示す図。 機能性評価実験における各群の体重を示す図。 機能性評価実験における各群の内臓脂肪重量を示す図。 機能性評価実験における各群の腸間膜周囲脂肪重量を示す図。 機能性評価実験における各群の副睾丸周囲脂肪重量を示す図。 機能性評価実験における各群の腎周囲脂肪重量を示す図。 機能性評価実験における各群の肝臓重量を示す図。 機能性評価実験における各群の肝臓トリグリセリド値を示す図。 機能性評価実験における各群の肝臓コレステロール値を示す図。 機能性評価実験における各群の血清トリグリセリド値を示す図。 機能性評価実験における各群の血清コレステロール値を示す図。 機能性評価実験における各群の肝臓中MCAD発現量を示す図。 機能性評価実験における各群の腓腹筋中IGF−1発現量を示す図。 機能性評価実験における各群の腓腹筋中FGF21発現量を示す図。 機能性評価実験における各群の肝臓中FGF21発現量を示す図。 機能性評価実験におけるイタドリ葉抽出物によるRBL−2H3からのβ−hexosaminidase放出率の変化を示す図。 本発明の実施例1についての粉砕後の状態を示す写真。 本発明の実施例1についての裏ごし後の状態を示す写真。 本発明の実施例3についての粉砕後の状態を示す写真。
図1は本発明のイタドリ葉の乾燥粉状物質の製造フローを示す図であり、以下(a)〜(c)の工程を有する。
(a)自生の、または栽培したイタドリ1より、イタドリ葉2を採取する。
(b)イタドリ葉2を、乾燥装置10によって乾燥させる。
(c)乾燥イタドリ葉3を、粉砕装置20によって粉砕する。
上記工程によって、イタドリ葉の乾燥粉状物質4が得られる。このイタドリ葉の乾燥粉状物質4は、そのまま容器等に入れて商流通させることは勿論、例えば小麦粉とともに練りこんだ麺などの食品や、例えば茶葉として抽出した茶などの飲料に容易に加工することもでき、また、運動機能改善用組成物としての利用も可能である。
イタドリ葉には、ネオクロロゲン酸,クロロゲン酸,ルチン,ケルセチンの4つの有効成分が含有されている。
イタドリ葉の採取時期は、7月から9月頃が望ましく、この時期の葉身は少なくとも50mm以上となる。
乾燥方法は、有効成分の減少を防ぐため、80℃以下で乾燥させることが望ましい。本実施の形態においては、設定温度を80℃としたガス乾燥機を乾燥装置として用いている。乾燥させた葉は、葉柄に力を加えた際に「ポキッ」という音を立てて折れる程度の水分量になるまで所定の時間乾燥させる。
更に有効成分の減少を防ぐために、25℃〜45℃で乾燥させることがより望ましい。これは一般的な低温乾燥機で用いられる温度範囲に適合するため、低温乾燥機を用いて容易に製造が可能である。
なお、イタドリ葉は乾燥装置による乾燥を行う前に、天日乾燥を行ってもよい。
また、イタドリ葉は乾燥装置による乾燥を行う前に、冷凍をしてもよい。冷凍することで、冷凍状態のまま長期保存が可能となるとともに、有効成分を効率的に抽出することができる。
粉砕方法は、例えばカッターミルやボールミルその他の従来周知の粉砕装置が使用可能である。本実施の形態では、フードプロセッサーを用いている。
なお、粉状物質はいわゆる粉末のみに限られるものではなく、粒状や、ある程度大きさ
のある破片としてもよく、粉砕装置の種類または粉砕工程の回数などによって粉砕後に得られる粉状物質の大きさを調整可能である。
本発明者らは、従来より根部分および根茎部分が生薬として利用されていることを踏まえ、イタドリ葉の機能性評価を行うため、高知県で7月に採取したイタドリ葉を用いて、80%エタノール抽出物を調製し、マウスに与えて脂質代謝に関する機能性評価を行った。
1.方法
1−1.イタドリ葉80%エタノール抽出物の調製
低温乾燥したイタドリ葉287gを粉砕し、80%エタノール13L中で一晩撹拌した。その後、3000rpm、10分間の遠心分離し、上清液を抽出液として回収した。抽出液を濾過し、エバポレーターで濃縮した。濃縮した抽出液を凍結乾燥し、102.67gの抽出物を得た。得られた抽出物をイタドリ葉抽出物としてマウスの飼育実験に用いた。
1−2.イタドリ葉80%エタノール抽出物を用いた飼育実験
7週齢C57BL/6J系雄マウスを低脂肪食群(LF群)、高脂肪食群(HF群)、HFにイタドリ葉抽出物を0.5%添加した0.5%イタドリ食群(0.5%IT群)、HFにイタドリ葉抽出物を1.0%添加した1.0%イタドリ食群(1.0%IT群)の4群に各8匹ずつ分け、5週間(38日間)飼育した。各群の飼料配合表は表1に従った。
飼育15日目に各群の糞を回収し、糞中のトリグリセリド値とコレステロール値を測定
した。飼育35日目に6分間の尾懸垂試験を行い、運動量の指標として測定した。飼育38日目に解剖し、体重、内臓脂肪重量(副睾丸脂肪重量、腎周囲脂肪重量、腸間膜周囲脂肪重量)、肝臓重量、肝臓トリグリセリド値、肝臓コレステロール値、血清トリグリセリド値、血清コレステロール値を測定した。
1−3.イタドリ葉抽出物を用いた抗アレルギー試験
ラット好塩基球由来株(RBL−2H3)を用い、イタドリ葉水抽出物、及びエタノール抽出物添加によるβ−hexosaminidase放出率を測定し、脱顆粒抑制作用の指標とした。
2.結果
2−1.糞中トリグリセリド量およびコレステロール量
糞中のトリグリセリド量およびコレステロール量を表2および図2(a)、図2(b)に示した。糞中トリグリセリド及び糞コレステロール量のどちらもイタドリ葉抽出物を摂取した群で低い値となり、濃度が高いほどその傾向が強くなっていた。
2−2.尾懸垂試験
6分間の尾懸垂試験による各群の運動量積算値を表3及び図3に示した。LF群に比べてHF群で有意に低い値となることから、高脂肪食(肥満)によって活動量が低下すると考えられる。しかし1.0%IT群でHF群値が大きくなっていることから、高脂肪食であっても高濃度にイタドリ葉抽出物を添加することで活動量が回復することが示唆された。
2−3.体重および内臓脂肪重量
解剖時の各群の体重および内臓脂肪重量(副睾丸脂肪重量、腎周囲脂肪重量、腸間膜周囲脂肪重量)は、表4に示す通りである。図4乃至図6に、各種内脂肪の重量を示した。腸間膜脂肪のみ、イタドリ葉抽出物投与群において、HFと比較して有意に低値を示した。図4、図5に示す通り、1.0%IT群でHF群より有意に体重、内臓脂肪重量が低かった。したがって高濃度のイタドリ葉抽出物食で内臓脂肪がつきにくくなる、あるいは、痩せることが示唆された。
2−4.肝臓データ
各群の肝臓重量および肝臓トリグリセリド、肝臓コレステロールの平均値は表5に示す通りとなった。図9に示す通り、肝臓重量では1.0%IT群がHF群、0.5%IT群に比べて小さくなっていた。肝臓中のトリグリセリドは、図10に示す通りHF群とIT群に有意差はないが、1.0%IT群で0.5%ITより低い値となっている。また図11に示す通り、肝臓コレステロールでは1.0%IT群がHF群に比べて有意に低い値となっている。
2−5.血液データ
各群の血清トリグリセリド及び血清コレステロールの平均値は表6に示す通りとなった。図12に示す通り血清トリグリセリド値はHF群に比べて、1.0%IT群で有意に低い値となった。また図13に示す通り血清コレステロールには各群で有意差は見られなかった。
2−6.代謝性遺伝子データ
1)肝臓における脂肪酸分解
肝臓における中鎖アシルCoA脱水素酵素(MCAD)に対する効果を図14に示す。MCADは脂肪酸β酸化系の第一段階に働く酵素である。この実験では、体脂肪蓄積抑制効果や血清トリグリセリド低下効果がイタドリ投与で認められたが、それらの理由は、肝臓におけるβ酸化の亢進がイタドリ抽出物で誘発されたためである。
2)骨格筋におけるマイトカイン関連遺伝子発現促進
マイトカインとは、骨格筋で分泌される骨格筋増強因子である。この実験では、マイトカインとして、IGF−1とFGF21を選び、骨格筋における発現量について検討した。図15と図16に示したように、イタドリ投与によって、IGF−1およびFGF21の発現量が高まった。このことは、脂肪のβ酸化を行う骨格筋の量を増やしていることを示唆する。
3)肝臓におけるFGF21遺伝子抑制効果
マウスに高脂肪食を与えると、肝臓内のFGF21量が増える。しかし、図17に示した通りイタドリ投与により、肝臓におけるFGF21遺伝子発現が顕著に抑制される。今後、脂肪肝に対する効果や高脂肪食摂取が関係する病気の予防・治療効果について検討する。
2−7.抗アレルギー効果
β−hexosaminidaseは好塩基球の顆粒中に豊富に存在するリソソーム酵素であるため、細胞外への放出量は脱顆粒量と相関がある。そのため、抗炎症性、抗アレルギー性の指標の一つとされている。図18に示す通り、イタドリ葉抽出物添加により脱顆粒量が著しく抑制されている。その抑制率は、表7に示す通り、水抽出物では500μg/mlの添加で97.4%、エタノール抽出物では250μg/mlで88.7%もの脱顆粒を抑制している。
以上の通り、1.0%IT群で体重減少、内臓脂肪減少、がみられていることから、イタドリ葉抽出物に体重増加の抑制効果が期待できることが確認された。また、血清トリグリセリド減少が認められることから、脂質代謝改善効果が期待できることが確認された。
運動量もHF群に比べて高くなっていることから、活力剤としての機能をも有する可能性があることも確認された。
糞のトリグリセリド量はHF群より0.5%IT群、1.0%IT群で濃度依存的に低くなっていることから、脂質の吸収はよくなっている可能性がある。そのうえで1.0%IT群は体重減少、中性脂肪減少が起きていることから、体内での脂質燃焼の増進が起きていると考える。
イタドリの体脂肪低下効果と血清トリグリセリド低下効果が起こる理由としては、イタドリ抽出物は、肝臓では、脂肪酸の分解を高める。さらに、肝臓と並ぶ脂肪酸分解の臓器としての骨格筋肉を増やすマイトカインの遺伝子発現を通して、骨格筋の量を増やすことで体内の脂肪を分解している、と考えらえる。
抗アレルギー性については、ポリフェノールの中には抗炎症性作用を持つものが報告されている。イタドリ葉に多く含まれているクロロゲン酸にも抗炎症性作用の報告があり、今回の結果を裏付ける根拠と考えられる。また、イタドリ葉中の含有量の多いネオクロロゲン酸についてはまだ抗アレルギー性、抗炎症性に関する報告は少ないが、クロロゲン酸の誘導体であることからこちらにも同様の効果があることが推測され、クロロゲン酸、ネオクロロゲン酸双方の作用により高い抗炎症性作用が得られたとも考えられる。
本発明者らは、まずイタドリ葉がポリフェノールを多く含むことを確認するために、イタドリ葉の煮出し液および粉末を用い、ポリフェノールの含量を計測した。このとき、煮出し液は乾燥葉4gを1Lの水で煮出したものであり、粉末は乾燥葉を粉砕したものである。また、比較対象として、同様の手順で作成したヤマモモ葉の煮出し液および粉末を用い、ポリフェノールの含量を計測した。下記表8は、その結果を示す表である。
前記表8に示すように、イタドリ葉はヤマモモ葉に比較して有意にポリフェノールを多く含むことが確認された。
続いて本発明者らは、イタドリ葉が他の食用葉に比較してネオクロロゲン酸の含量が多いことを確認するために、比較サンプルとしてホウレンソウおよびニラを用いて、クロマトグラフィーによる成分分析を行った。
前記表9に示すように、特に7月採取のイタドリ葉はホウレンソウに比較して3549倍ものネオクロロゲン酸を、ニラに比較しても55倍のネオクロロゲン酸を含むことが確認された。
前記表9より、他の食用葉に比較してネオクロロゲン酸の含有量が多いことが確認されたイタドリ葉の有効利用を行うため、前述のマウス実験にて確認した脂質代謝改善効果等を発揮する、イタドリ葉に含まれる有効成分の有無についてクロマトグラフィーによる成分分析を行ったところ、ネオクロロゲン酸,クロロゲン酸,ルチン,ケルセチンの4つの有効成分が含まれることを確認した。下記表10は、葉および比較対象とした葉以外の部位(皮,茎)の有効成分の含量を採取月別に示す表である。
前記表10より、比較対象としたイタドリの皮部分および茎部分と比較し、イタドリの葉部分は4種の有効成分をいずれも高い水準で含有していることがわかった。
そこで、発明者らはネオクロロゲン酸,クロロゲン酸,ルチン,ケルセチンの4つの有効成分を含んだイタドリ葉を加工することで、これら有効成分を摂取しやすくするとともに、保存・流通や二次加工の面で利便性を高めるための方法を確立するための実験を進めた。
イタドリは多年生植物であるため、春から秋頃にかけて成長し、秋に実を熟させる。その後冬になると地上部が枯れ、また春になると地下茎より芽を出す。
葉は60mm〜150mm程度の大きさに成長するが、葉を採取する時期は、7月から9月頃が適切であり、この時期の葉身は少なくとも50mm以上となる。
下記表11は、イタドリ葉の採取時期によって有効成分の含量が変化することを示すも
のである。
採取したイタドリ葉は、水分を多く含み、そのままでは保存・流通に適さないため、乾燥機により乾燥させる。このとき、乾燥方法として80℃,100℃,125℃の高温雰囲気下で所定時間の高温乾燥をした場合のネオクロロゲン酸の含量をクロマトグラフィーにより成分分析した表が下記表12である。
前記表12より、80℃以上の高温乾燥を行うことで有効成分のうち少なくともネオクロロゲン酸の含量が減じてしまうことが確認され、温度の高さおよび乾燥時間の長さに比例してその減少量が増加していく傾向にあることが判明した。
次に、低温乾燥による乾燥の実験を行った。イタドリ葉の生茶葉と、イタドリ葉の乾燥茶葉とをサンプルとして用い、イタドリ葉サンプルについては茶飲料としての抽出を行って有効成分の含量をクロマトグラフィーにより成分分析した表が下記表13である。このとき、乾燥方法として葉を一度冷凍した後に室温乾燥(室温10℃)を行った。
前記表13より、生茶葉よりも乾燥させた茶葉の方が、特にネオクロロゲン酸を多く含有していることが確認された。これは、前記表12に示すように高温乾燥を行った際にネオクロロゲン酸が大幅に減じてしまった実験結果とは対照的である。従って、乾燥方法としては低温で乾燥を行うことが効果的であるといえる。また、乾燥前に冷凍することで、冷凍状態で長期保存ができるとともに、冷凍によってイタドリ葉の細胞壁が破壊されることで、より有効成分を多く抽出することができたとも考えられる。
乾燥させたイタドリ葉は、粉砕装置によって細かく加工される。このとき用いる装置は、例えばカッターミルやボールミルその他の従来周知の粉砕装置が使用可能である。本実施の形態では、フードプロセッサーを用いている。
以上のように、本発明であるイタドリ葉の乾燥粉状物質によれば、乾燥ののち粉砕されていることから、保存や流通において多大な利点を有する点に加え、食品や飲料に利用することが非常に容易であり、幅広い利用用途が考えられる。
なお、上記実験に関しては、高知県立大学(実験者:竹本和仁、井治賢希、渡邊浩幸)が実施した。
(1)採取した後冷凍状態で保管しておいたイタドリ葉1kgを、室温(22℃)で1 時間放置して解凍する。
(2)前記イタドリ葉をよくほぐしてトレイに入れた後、pHを調整した次亜塩素酸水 に浸して5分間攪拌し消毒を行う。
(3)前記イタドリ葉の全量を300〜500gずつに分けて電気乾燥機の乾燥棚に載 せ、初めに40℃で20時間乾燥し、更に70℃で1時間乾燥する。
(4)水分8%以下に乾燥させた前記イタドリ葉を手もみしてミキサーに投入し、30 秒程度粉砕(図19参照)した後、50メッシュの篩で裏ごしをして細粉末を得 た(図20参照)。
(1)採取した後冷凍状態で保管しておいたイタドリ葉1kgを、室温(22℃)で1 時間放置して解凍する。
(2)前記イタドリ葉をよくほぐして全量を300〜500gずつに分けて電気乾燥機 の乾燥棚に載せ、初めに40℃で20時間乾燥し、更に70℃で1時間乾燥する 。
(3)水分8%以下に乾燥させた前記イタドリ葉を手もみしてミキサーに投入し、30 秒程度粉砕した後、50メッシュの篩で裏ごしをして細粉末を得た。
(1)採取した後冷凍状態で保管しておいたイタドリ葉1kgを、室温(22℃)で1 時間放置して解凍する。
(2)前記イタドリ葉をよくほぐしてトレイに入れた後、pHを調整した次亜塩素酸水 に浸して5分間攪拌し消毒を行う。
(3)前記イタドリ葉の全量を300〜500gずつに分けて電気乾燥機の乾燥棚に載 せ、40℃で6時間乾燥する。
(4)水分8%以下に乾燥させたイタドリ葉を手もみしてミキサーに投入し、1秒程度 粉砕して粗粉末を得た(図21参照)。
(1)採取した後冷凍状態で保管しておいたイタドリ葉1kgを、室温(22℃)で1 時間放置して解凍する。
(2)前記イタドリ葉をよくほぐして全量を300〜500gずつに分けて電気乾燥機 の乾燥棚に載せ、40℃で6時間乾燥する。
(3)水分8%以下に乾燥させたイタドリ葉を手もみしてミキサーに投入し、1秒程度 粉砕して粗粉末を得た。
前記実施例1乃至実施例4についての工程を以下の表14に提示する。
実施例1乃至実施例4において、採取した後冷凍状態で保管しておいたイタドリ葉1kgを室温(22℃)で1時間放置して解凍した後に変質やドリップの発生は見受けられず、材料同士の分離も容易な状態であり、採取したイタドリの葉を新鮮な状態で長期保存するための手段として冷凍保存が有効であることが確認できた。
また、乾燥時に葉が濡れた部分で葉同士が吸着して通風が不良になるのを避けるため、乾燥時に適宜攪拌することが好ましい。
更に、乾燥効率が悪いと乾燥ムラが生じ、乾燥機内で菌の増殖、製品の品質劣化につながる恐れがあることから、通気性を確保するために、イタドリ葉は電気乾燥機の一棚に300〜500g程度とすることが好ましい。
色彩について、乾燥前は水分を含んでいて鮮やかな緑色であるが、乾燥後には淡色化が見受けられた。実施例1,2と実施例3,4は乾燥時間が異なるが、実施例1,2と実施例3,4の間で色彩の差はなかった。また、実施例1,3と実施例2,4は次亜塩素酸水を用いた消毒工程の有無が異なるが、実施例1,3と実施例2,4の間で色彩の差はなかった。
重量について、40℃で20時間且つ70℃で1時間乾燥させた実施例1,2は、40℃で6時間乾燥させた実施例3,4に比較して仕上がり重量が軽量であり、その理由は水分量の差異によるものと推測される。
このように、実施例1,2と実施例3,4は水分量および形態(細粉末と粗粉末)における差異があるが、実施例3,4の結果から、少なくとも40℃で6時間乾燥させることで粗粉末の製品が生産可能であることが確認された。
1 イタドリ、2 イタドリ葉、3 乾燥イタドリ葉、4 イタドリ葉の乾燥紛状物質、10 乾燥装置、20 粉砕装置

Claims (9)

  1. イタドリの葉を用いたことを特徴とするイタドリ葉の乾燥粉状物質。
  2. 少なくとも下記(a)〜(d)の成分を含有することを特徴とする請求項1記載のイタドリ葉の乾燥粉状物質。
    (a)ネオクロロゲン酸
    (b)クロロゲン酸
    (c)ルチン
    (d)ケルセチン
  3. 前記イタドリの葉が、少なくとも50mm以上の葉身であることを特徴とする請求項1または2記載のイタドリ葉の乾燥粉状物質。
  4. 請求項1,2または3のいずれか1項に記載のイタドリ葉の乾燥粉状物質を有効成分として含有することを特徴とする運動機能改善用組成物。
  5. 請求項1,2または3のいずれか1項に記載のイタドリ葉の乾燥粉状物質を含有することを特徴とする食品。
  6. 請求項1,2または3のいずれか1項に記載のイタドリ葉の乾燥粉状物質を水または湯で抽出あるいは溶かしてなることを特徴とする飲料。
  7. 請求項1,2または3のいずれか1項に記載のイタドリ葉の乾燥粉状物質を製造する方法であって、
    採取したイタドリの葉を、80℃以下で乾燥させ、粉砕機によって粉砕することを特徴とするイタドリ葉の乾燥粉状物質の製造方法。
  8. 採取したイタドリの葉を、25℃〜45℃で乾燥させることを特徴とする請求項7記載のイタドリ葉の乾燥粉状物質の製造方法。
  9. 採取したイタドリの葉を冷凍した後に乾燥させることを特徴とする請求項7または8記載のイタドリ葉の乾燥粉状物質の製造方法。
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