JP2020153131A - 2ピースブーム式油圧ショベル - Google Patents
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Abstract
Description
本実施形態が対象とする2ピースブーム式油圧ショベルは、ブームがL字型の一体構造に形成された通常の油圧ショベル(本実施形態では適宜「モノブーム仕様機」と記載する)と異なり、ブームが第1ブームと第2ブームを含んで構成されている。第1ブームに対する第2ブームの角度(ブームの折れ角)を変更することで作業範囲(作業機のリーチ)が調整でき、モノブーム仕様機よりも広範な作業用途に対応できる点が2ピースブーム式油圧ショベルの利点である。2ピースブーム式油圧ショベルによれば、モノブーム仕様機と同様の作業用途に加え、リーチを長く設定することでモノブーム仕様機ではアタッチメントが届かない高所の解体作業等にも適応できる。またリーチを短くすることで、例えば車体近くのガラ集めや掘削等の作業の効率化にも柔軟に適応できる。
第1ブーム23aの基部には、旋回体12に対する第1ブーム23aの角度を測定する角度センサS1(図7)が設けられている。
図2は運転室の内部の平面図である。運転室14は前述したように旋回フレーム15(図1)の上部における前側の領域に支持され、作業機20に対して左右方向の一方側(本例では左側)に位置している。但し、運転室14を作業機20の右側に配置した構成としても良い。
モノブーム仕様機や前述した高所解体作業機と異なり、2ピースブーム式の油圧ショベルでは、作業中に第2ブーム23bが回動しないように油圧回路が構成されている(後述)。第2ブーム23bを駆動するポジショニングシリンダ29はあくまで作業機20のリーチ調整用であり、他の油圧アクチュエータとの複合動作が回路的に不能な構成としてある(油圧的にインターロックされている)。つまり、ポジショニングシリンダ29は、ブームシリンダ25、アームシリンダ26、アタッチメントシリンダ27、旋回モータ、及び左右の走行モータとの複合操作が物理的に禁止されている。操作系についても、ポジショニングシリンダ29の操作はポジショニングペダル37(図2)に割り当てられ、作業機20の操作に用いられる左右の操作レバー32,33でポジショニングシリンダ29は操作できないようになっている。
図4は油圧ショベルの周囲の領域の区分の説明図である。本実施形態では、走行体11を基準にして、油圧ショベルの旋回中心周りの水平領域を、上方から見て旋回体12の旋回中心線Oで交わる2本の直線X,Yで4つの領域に区分している。直線Xは走行体11の左前の角と右後の角(つまり左クローラの左前の角と右クローラの右後の角)を通る直線であり、直線Yは走行体11の右前の角と左後の角(つまり右クローラの右前の角と左クローラの左後の角)を通る直線である。直線X,Yで区分される4つの領域のうち、走行体11の前方(図中上側)の領域を前領域、後方(図中下側)の領域を後領域、左方(図中左側)の領域を左領域、右方(図中右側)の領域を右領域と定義する。
この種の油圧ショベルの安定度の基準については、車両系建設機械構造規格(昭和四十七年労働省告示第百五十号)で規定されている。一般に最大リーチ時の安定度が1.33を下回る重量バランスの車両系建設機械は、安定度が1.5を下回る際に警告を発して作業を中止すべき旨をオペレータに知らせる手段を講じる必要がある。
図7はコントローラのブロック図である。前述した通り、コントローラ40は車載コンピュータであり、例えば角度センサS1〜S4の信号を基に機体の安定度について演算を実行し出力装置39にその出力を指令する機能を備えている。コントローラ40には、入力インターフェース41、ROM(例えばEPROM)42、RAM43、CPU44、タイマ45、及び出力インターフェース46が備わっている。
最も特徴的な機能は、作業機20の姿勢(第1ブーム23a及びアーム24の角度)や旋回角αに関係なく油圧ショベルの設定安定度Ss(例えば1.5)が確保される状態(警告が発せられる心配がない状況)である場合にその旨をオペレータに通知する機能である。本実施形態においては、ブーム23の折れ角θについて上記設定安定度Ssが確保される最小角度が基準角θ1として予めROM42に記憶させてある。コントローラ40は、角度センサS2の信号を基にブーム23の折れ角θが基準角θ1以上であるかを判定し、θ≧θ1と判定した場合に一定の安定度が確保された状態である旨(作業制限がない旨)の出力を出力装置39に指令する。図8は出力装置39の表示画面39aに一定の安定度が保障された状態である旨の通知Aを表示出力させた状態を例示した図である。同図に例示した通知Aはメッセージウィンドウであるが、単にメッセージを表示するだけでなく、ウィンドウ自体を安全色(例えば緑色)にしてオペレータが直感的に状況を把握できるようにすることが望ましい。
また、旋回体12の旋回角αについてブーム23の折れ角θ及び作業機20の姿勢(第1ブーム23a及びアーム24の角度)によらず油圧ショベルの設定安定度Ssが確保される設定旋回角範囲を予め予めROM42に記憶させてある。コントローラ40は、角度センサS4の信号を基に旋回角αが設定旋回角範囲内の値であるかを判定し、設定旋回角範囲内の値であると判定した場合に一定の安定度が確保された状態である旨の出力(ここでは上記の通知Aとする)を出力装置39に指令する。本実施形態においては、作業機20が前領域にある場合(α1≦α≦α2とする)及び作業機20が後領域にある場合(α3≦α≦α3とする)の旋回角αの範囲を、設定旋回角範囲とする。
他の機能は、油圧ショベルの安定度が設定安定度Ssを下回り得る状況をオペレータに通知する機能である。コントローラ40は、ブーム23の折れ角θが基準角θ1より小さく、かつ旋回角αが設定旋回角範囲外の値であると判定した場合に油圧ショベルの安定度が設定安定度Ssを下回り得る状況であると判断し、注意喚起を促す旨の出力(図9又は図10)を出力装置39に指令する。
更なる機能は、油圧ショベルの安定度が設定安定度Ssを下回り得る状況下で、角度センサS1〜S4の信号に基づいて安定度Sを算出し、設定安定度Ssに対する安定度Sの余裕がどの程度あるのかを示す指標の出力を出力装置39に指令しオペレータに通知する機能である。本実施形態では、角度センサS1〜S4の信号に基づいてリアルタイムで算出される安定度S、及び上記の設定安定度Ssから、設定安定度Ssに対してどの程度の余裕があるかを表す指標として余裕率R[%}を次式で算出する。
R=S/Ss×100
コントローラ40は、注意喚起を促す旨の通知A又は通知Bの出力を出力装置39に指令すると同時に、算出した安定度Sが設定安定度Ss以下であるか設定安定度Ssより高いかの出力を出力装置39に指令する。本実施形態では、安定度Sが設定安定度Ss以下(R≦100%)である場合に通知Cに余裕率がNGである旨を表示する場合を例示している(図10)。また、油圧ショベルの安定度が設定安定度Ssを下回り得る状況下ながら、安定度Sが設定安定度Ssより高い(R>100%)場合には、通知Bに余裕率の具体的数値を表示する場合を例示している(図9)。
図11はコントローラによる出力装置の出力制御の手順を表すフローチャートである。運転室14においてキースイッチ(不図示)が操作されて電源が投入されると、コントローラ40は、ROM42に格納されたプログラムをCPU44にロードして図11の手順を開始する。同図の手順を開始すると、コントローラ40はまず入力インターフェース41を介して角度センサS1〜S4の信号を入力し、例えばRAM43に記憶する(ステップS11)。続いて、コントローラ40は角度センサS2の信号を基に演算したブーム23の折れ角θが基準角θ1以上であるかを判定する(ステップS12)。折れ角θが基準角θ1以上で設定安定度Ssを下回る心配がなく、油圧ショベルの安定度を気にすることなく作業機20や旋回体12を駆動できる状態である場合、前述した通知Aを表示画面39aに表示出力するように出力装置39に指令する(ステップS16)。
(1)本実施形態によれば、旋回角αや作業機20の姿勢によらず油圧ショベルの設定安定度Ssが保障される基準角θ1を設定し、折れ角θが基準角θ1以上である場合に旋回角αや作業機20の姿勢によらず油圧ショベルの設定安定度Ssが保障される旨が出力装置39により通知される。この通知(本実施形態では表示)は、折れ角θの設定段階で折れ角θが基準角θ1以上になった時点から行われる。これにより、オペレータは旋回角αによらず自由に作業機20を動かせることを把握した状態で油圧ショベルを運転することができる。このように油圧ショベルの安定度を意識することなく旋回体12や作業機20を自由に操作できる状態である場合にその旨を通知することで、慎重な操作を強いることによるオペレータの心理負担を抑制することができる。オペレータが操作に集中することができるようになり、作業効率も向上し得る。
以上においては、アタッチメント22として廃材のスクラップ処理や運搬等に用いるフォークグラップルを例示したが、他種のアタッチメントを作業腕21に装着した場合にも本発明は適用可能であり、その場合にも同様の効果を奏する。他種のアタッチメントとしては、解体現場で用いる小割用の破砕機、岩盤やコンクリート等の掘削や破砕等に用いるブレーカ、土砂やコンクリートガラ等の掘削や運搬等に用いるバケット等が例示できる。
Claims (5)
- 走行体、前記走行体の上部に旋回可能に設けた旋回体、前記旋回体の前部に設けた作業機、前記旋回体に設けた運転室、前記運転室に設置した出力装置、及び前記出力装置に出力を指令するコントローラを備え、前記作業機は、前記旋回体に回動可能に連結したブーム、前記ブームの先端に連結したアーム、前記アームの先端に連結したアタッチメント、前記ブームを回動させるブームシリンダ、前記アームを回動させるアームシリンダ、及び前記アタッチメントを回動させるアタッチメントシリンダを含んで構成されており、前記ブームは、前記旋回体に連結した第1ブーム、前記第1ブームの先端に連結した第2ブーム、前記第1ブームに対する前記第2ブームの角度を変更するポジショニングシリンダ、及び前記第1ブームに対する前記第2ブームの角度を前記ブームの折れ角として測定する角度センサを有する2ピースブーム式油圧ショベルにおいて、
前記コントローラは、前記ブームの折れ角について前記旋回体の旋回角及び前記作業機の姿勢によらず油圧ショベルの設定安定度が確保される最小角度を基準角として予め記憶しており、前記角度センサの信号を基に前記ブームの折れ角が前記基準角以上であると判定した場合に前記設定安定度が確保された状態である旨の出力を前記出力装置に指令することを特徴とする2ピースブーム式油圧ショベル。 - 請求項1に記載の2ピースブーム式油圧ショベルにおいて、
前記旋回体の旋回角を測定する旋回角センサを備えており、
前記コントローラは、前記旋回体の旋回角について前記ブームの折れ角及び前記作業機の姿勢によらず前記設定安定度が確保される設定旋回角範囲を予め記憶しており、前記旋回角センサの信号を基に前記旋回角が前記設定旋回角範囲内の値であると判定した場合に前記設定安定度が確保された状態である旨の出力を前記出力装置に指令することを特徴とする2ピースブーム式油圧ショベル。 - 請求項2に記載の2ピースブーム式油圧ショベルにおいて、前記コントローラは、前記ブームの折れ角が前記基準角より小さく、かつ前記旋回角が前記設定旋回角範囲外の値であると判定した場合、注意喚起を促す旨の出力を前記出力装置に指令することを特徴とする2ピースブーム式油圧ショベル。
- 請求項3に記載の2ピースブーム式油圧ショベルにおいて、前記コントローラは、前記注意喚起を促す旨の出力を前記出力装置に指令すると同時に、前記角度センサ及び前記旋回角センサの信号に基づいて算出した安定度が前記設定安定度に対してどの程度の余裕があるのかを示す指標の出力を前記出力装置に指令することを特徴とする2ピースブーム式油圧ショベル。
- 請求項1に記載の2ピースブーム式油圧ショベルにおいて、
前記ブームシリンダを制御するブーム用方向切換弁と、
前記アームシリンダを制御するアーム用方向切換弁と、
前記アタッチメントシリンダを制御するアタッチメント用方向切換弁と、
前記ポジショニングシリンダを制御するポジショニング用方向切換弁と、
油圧アクチュエータを駆動する圧油を吐出する油圧ポンプとを備え、
前記ポジショニング用方向切換弁が、前記油圧ポンプのポンプライン上において、前記ブーム用方向切換弁、前記アーム用方向切換弁、及び前記アタッチメント用方向切換弁の下流側に設けられており、前記ポジショニングシリンダが、前記ブームシリンダ、前記アームシリンダ、及び前記アタッチメントシリンダと複合操作不能に構成されていることを特徴とする2ピースブーム式油圧ショベル。
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