JP2020152807A - 防汚塗料組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】長期間海水に浸漬されても良好な防汚性能を発揮する塗膜が形成できる防汚塗料組成物を提供する。【解決手段】 シリルエステル基含有樹脂(A)並びに、(b1)メデトミジン及び(b2)4−ブロモ−2−(4−クロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−1H−ピロール−3−カルボニトリルを含む防汚剤(B)を含有する防汚塗料組成物であって、塗料中の樹脂固形分全量を基準として(b1)成分を0.05〜7質量%及び(b2)成分を0.05〜75質量%含有し、且つ(b1)/(b2)の使用比が0.05/99.95〜90/10である、防汚塗料組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、防汚塗料組成物に関する。
近年、海洋汚染が懸念される有機錫含有共重合体に替わる防汚塗料用樹脂を用いた塗料として、加水分解性を有するトリアルキルシリルエステル基含有樹脂又は金属カルボキシレート構造を有する樹脂を含む加水分解型防汚塗料組成物が各種検討されてきた。このような加水分解性を有する樹脂を含む防汚塗料組成物(すなわち、加水分解型防汚塗料組成物)を用いて船舶等の海水と接触する構造物の表面に形成された塗膜は、海水に接触すると、前記加水分解性を有する樹脂が徐々に加水分解して海水中に塗膜が溶解していき、塗膜表面が更新され続けることによって、その防汚性能を維持することが可能となる。
例えば特許文献1では、ポリエステル樹脂(A)、シリルエステル基含有樹脂(A)及び防汚剤(C)を含む防汚塗料組成物であって、前記ポリエステル樹脂(A)と前記シリルエステル基含有樹脂(A)との質量比が3/97〜80/20の範囲内であり、かつ、前記防汚剤(C)の含有量が前記ポリエステル樹脂(A)と前記シリルエステル基含有樹脂(A)との合計質量を基準として50〜500質量%の範囲内である防汚塗料組成物が、漁網、船舶、海洋や湾岸の構造物等の基材の表面に被覆されて長期間に亘って優れた防汚性を維持できることが開示されている。
防汚剤は防汚塗料組成物に配合することによって、形成される塗膜表面の生物付着性を低減することができると考えられ、防汚塗料組成物の分野においてよく使用されている薬剤である。また、近年は海水への防汚剤溶出に対する配慮から、安全性の高い防汚剤を用いることが求められており、バイオサイドと呼ばれる有機系薬剤が用いられてきている。
バイオサイドとしてメデトミジンは防汚塗膜に生物付着防止機能を与える薬剤として知られている。メデトミジンを含む防汚塗料組成物として例えば特許文献2には、シリルエステル系共重合体(A)と、メデトミジン(B)と、脱水剤及び/又はロジン類を含有する防汚塗料組成物が開示されており、この組成物は貯蔵安定性が良好であり、防汚性を発揮する防汚塗膜を形成できることが記載されている。
しかしながら上記手法では、長期間海水に浸漬した場合に防汚効果を維持することが難しいという問題があった。
国際公開2015−156073号公報 国際公開2016−190242号公報
本発明の目的は、長期間海水に浸漬されても良好な防汚性能を発揮する塗膜が形成できる防汚塗料組成物を提供することにある。
すなわち本発明は、
シリルエステル基含有樹脂(A)並びに、(b1)メデトミジン及び(b2)4−ブロモ−2−(4−クロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−1H−ピロール−3−カルボニトリルを含む防汚剤(B)を含有する防汚塗料組成物であって、塗料中の樹脂固形分全量を基準として(b1)成分を0.05〜7質量%及び(b2)成分を0.05〜75質量%含有し、且つ(b1)/(b2)質量比が0.05/99.95〜90/10である、防汚塗料組成物に関する。
本発明の防汚塗料組成物によれば、海水浸漬時の溶解速度を適度に保つことができる共に生物付着抑止性を備えた塗膜が形成できる。このため本防汚塗料組成物を塗装した被塗物に対して長期間の防汚性を与えることができる。
[シリルエステル基含有樹脂(A)]
本発明の防汚塗料組成物は、シリルエステル基含有樹脂(A)(本明細書においては、「シリルエステル基含有樹脂(A)」を、単に「樹脂(A)」と記すことがある。)を含有する。前記樹脂(A)は、下記式(I)で表される、重合性不飽和基とトリオルガノシリルエステル基とを有する単量体(a1)(以下、「単量体(a1)」と称することがある。)の1種以上と、上記単量体(a1)以外の重合性不飽和基を有する単量体(a2)の1種以上との共重合体からなり、好ましくは重量平均分子量(Mw)が1,000〜150,000、特に好ましくは3,000〜80,000の範囲内のものである。
−CH=C(R)−COO−SiR・・・(I)
[式(I)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、R、R及びRはそれぞれ独立に炭化水素基を示し、Rは水素原子又はR−O−CO−(ただし、Rは有機基又は−SiRで表されるシリル基を示し、R、R及びRはそれぞれ独立に炭化水素基を示す。)を示す。]
本発明の防汚塗料組成物に用いられるシリルエステル基含有樹脂(A)のMwが上記範囲にあることにより、前記防汚塗料組成物から得られる塗膜の溶解速度が適度であり、防汚性に優れ、ブリスターやクラックが発生しにくい物性に優れた塗膜が得られる。
前記単量体(a1)は、前記式(I)におけるRが水素原子である場合、下記の一般式(I−1)で表される。
CH=C(R)−COO−SiR・・・・・(I−1)
なお、式(I−1)中のR、R、R及びRは、それぞれ前記式(I)中のR、R、R及びRと同じである。
前記式(I)又は前記式(I−1)中のR、R及びRにおける炭化水素基は、炭素数が1〜10の直鎖状の若しくは分岐鎖を有するアルキル基、又は任意の置換基によって置換された若しくは無置換のフェニル基であることが好ましく、それぞれの炭化水素基は、同一であっても、異なっていてもよい。中でも、炭素数が1〜5のアルキル基が好ましく、特に、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソプロピル基などのアルキル基が好ましい。
前記式(I−1)で表される単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルシリルエステルが挙げられる。
前記単量体(a1)が、前記式(I)におけるRが「R−O−CO−」(ただし、Rは有機基又は−SiRで表されるシリル基を示し、R、R及びRはそれぞれ独立に炭化水素基を示す。)である場合、下記の一般式(I−2)で表される。
−O−CO−CH=C(R)−COO−SiR・・・・(I−2)
なお、式(I−2)中のR、R、R及びRは、それぞれ前記式(I)又は前記式(I−1)中のR、R、R及びRと同じである。
前記式(I)、前記式(I−1)又は前記式(I−2)中のRにおける有機基としては、炭素数が1〜10の直鎖状の又は分枝鎖を有するアルキル基、シクロアルキル基、不飽和アルキル基、アラルキル基などが挙げられる。
上記の炭素数が1〜10の直鎖状の又は分枝鎖を有するアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、2−メチルブチル基、2−エチルブチル基、ペンチル基、3−メチルペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基などが挙げられる。
また、上記シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などが挙げられる。
上記不飽和アルキル基としては、2−プロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基などが挙げられる。
上記アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基などが挙げられる。
なお、上記のアルキル基、シクロアルキル基、不飽和アルキル基及びアラルキル基は、置換基を有していてもよい。そのような置換基としては、例えば、アルコキシ基、アシル基などが挙げられる。また、置換基の数、置換の位置等については、本発明の効果を妨げない範囲であれば、特に限定されるものではない。
前記式(I−2)で表される単量体としては、例えば、マレイン酸アルキルシリルエステル化合物、フマル酸アルキルシリルエステル化合物(式(I−2)中のRが水素原子のもの)などが挙げられる。
前記式(I)、前記式(I−1)又は前記式(I−2)中のR、R及びRにおける炭化水素基は、炭素数が1〜10の直鎖状の若しくは分岐鎖を有するアルキル基、又は任意の置換基によって置換された若しくは無置換のフェニル基であることが好ましく、それぞれの炭化水素基は、同一であっても、異なっていてもよい。中でも、炭素数が1〜5のアルキル基が好ましく、特に、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソプロピル基などのアルキル基が好ましい。
前記単量体(a1)は、得られる塗膜の溶解性、防汚性能の持続性、ブリスターやクラックの発生のしにくさなどの点から、イソプロピルシリル基含有不飽和単量体が好ましい。そのようなイソプロピルシリル基含有不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸トリイソプロピルシリル、4−ペンテン酸トリイソプロピルシリル、マレイン酸ビス(トリイソプロピルシリル)、マレイン酸メチルトリイソプロピルシリル、マレイン酸エチルトリイソプロピルシリル、マレイン酸n−ブチルトリイソプロピルシリル、マレイン酸イソブチルトリイソプロピルシリル、マレイン酸t−ブチルトリイソプロピルシリル、マレイン酸n−ペンチルトリイソプロピルシリル、マレイン酸イソペンチルトリイソプロピルシリル、マレイン酸2−エチルヘキシルトリイソプロピルシリル、マレイン酸シクロヘキシルトリイソプロピルシリル、フマル酸ビス(トリイソプロピルシリル)、フマル酸メチルトリイソプロピルシリル、フマル酸エチルトリイソプロピルシリル、フマル酸n−ブチルトリイソプロピルシリル、フマル酸イソブチルトリイソプロピルシリル、フマル酸n−ペンチルトリイソプロピルシリル、フマル酸イソペンチルトリイソプロピルシリル、フマル酸2−エチルヘキシルトリイソプロピルシリル、フマル酸シクロヘキシルトリイソプロピルシリルなどが挙げられ、特に、(メタ)アクリル酸トリイソプロピルシリルが好ましい。また、これらのイソプロピルシリル基含有単量体は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
単量体(a1)と共重合し得る単量体(a2)としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル等の(メタ)アクリル酸アルキル化合物;
(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル化合物;
(メタ)アクリル酸エチレングリコールモノメチル、片方の分子末端がアルコキシ基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート、片方の分子末端がアルコキシ基であるポリオキシプロピレン鎖を有する(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸プロピレングリコールモノメチル等の(メタ)アクリル酸アルキレングリコールアルキル化合物;
(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物のε−カプロラクトン変性体、アリルアルコ−ル、分子末端が水酸基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート等(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル化合物;
(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレートとアミン化合物との付加物等の窒素含有重合性不飽和化合物;
(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸芳香族化合物;
塩化ビニル;塩化ビニリデン;(メタ)アクリロニトリル;酢酸ビニル;ブチルビニルエーテル;ラウリルビニルエーテル;N−ビニルピロリドン;スチレン;ビニルトルエン;α−メチルスチレン、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル等のビニル化合物;
(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、クロトン酸、(メタ)アクリル酸β−カルボキシエチル等のカルボキシル基含有重合性不飽和化合物;
グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有重合性不飽和化合物;
2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレート及びこれらのナトリウム塩又はアンモニウム塩等のスルホン酸基含有重合性不飽和化合物;
2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート等のリン酸基含有重合性不飽和化合物;
アクロレイン、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、4〜7個の炭素原子を有するビニルアルキルケトン(例えば、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトン)等のカルボニル基含有重合性不飽和化合物等を挙げることができる。
上記に例示した単量体(a2)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また、上記に例示した単量体(a2)の中でも、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル化合物及び/又は(メタ)アクリル酸アルキル化合物の使用が好ましい。(メタ)アクリル酸アルキル化合物としては(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどが好ましい。
シリルエステル基含有樹脂(A)において、単量体(a1)と単量体(a2)の共重合量としては単量体(a1)及び単量体(a2)の合計100質量部を基準として、単量体(a1)が10〜80質量部、好ましくは25〜75質量部の範囲内、単量体(a2)が20〜90質量部、特に25〜75質量部の範囲内が好ましい。
単量体(a1)及び(a2)の共重合量がこの範囲内にあることによって、得られる塗膜の溶解速度が適度であり、防汚効果を長期間に亘って維持することができる。
また、単量体(a2)が(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル化合物を含む場合、樹脂(A)中の共重合量としては単量体(a1)及び(a2)の合計質量を基準として(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル化合物が5質量部以上、特に10〜40質量部の範囲内が好ましい。単量体(a2)がこの範囲内にあることによって、得られる塗膜の防汚性及び耐クラック性を共に維持することができる。
単量体(a2)が(メタ)アクリル酸アルキル化合物を含む場合、(メタ)アクリル酸アルキル化合物の共重合量としては、単量体(a1)及び単量体(a2)の合計100質量部を基準として60質量部以下、特に10〜50質量部の範囲内が適当である。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート又はメタクリレートを意味し、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸又はメタクリル酸を意味する。また、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル又はメタクリロイルを意味し、「(メタ)アクリルアミド」は、アクリルアミド又はメタクリルアミドを意味する。
本発明において、シリルエステル基含有樹脂(A)は、公知の重合方法により製造することができる。なお、シリルエステル基含有樹脂(A)は、ランダム共重合体、グラフト共重合体、傾斜構造型共重合体、ブロック共重合体等の公知の共重合体であれば、いずれのタイプの共重合体であってもよい。
シリルエステル基含有樹脂(A)は、例えば、ラジカル重合開始剤の存在下、前記単量体(a1)と前記単量体(a2)とを共重合させることにより得られる。
上記の共重合反応において使用されるラジカル重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート等のアゾ化合物;ジベンゾイルパーオキサイド、ジ(3−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ベンゾイル(3−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジラウリルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド化合物;ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオクトエート等のt−ブチルパーオキサイド化合物;t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルパーオキシアセテート、t−アミルパーオキシイソノナノエート、t−アミルパーオキシベンゾエート、t−アミルパーオキシアセテート、ジ(t−アミルパーオキサイド)、1,1−ジ(t−アミルパーオキシ)シクロヘキサン等のt−アミルパーオキサイド化合物;t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、t−ヘキシルパーオキシ−イソプロピルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート等のt−ヘキシルパーオキサイド化合物などが挙げられる。これらの重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記重合開始剤の使用量等を適宜設定することにより、前記シリルエステル基含有樹脂(A)の分子量を調整することができる。
シリルエステル基含有樹脂(A)を得るための重合方法としては、例えば、溶液重合法、塊状重合法、乳化重合法、懸濁重合法などが挙げられる。これらの中でも、前記シリルエステル基含有樹脂(A)を簡便に、かつ、精度良く合成できるという点で、溶液重合法が特に好ましい。
上記の共重合反応においては、必要に応じて有機溶媒を用いてもよい。そのような有機溶剤としては、例えば、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶剤;ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸メトキシプロピル等のエステル系溶剤;イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール系溶剤;ジオキサン、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤などが挙げられる。これらの中でも、芳香族炭化水素系溶剤が好ましく、特にキシレンが好ましい。これらの溶剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記共重合反応における反応温度は、重合開始剤の種類等に応じて適宜設定すればよく、通常は70〜160℃の範囲内の温度、好ましくは80〜140℃の範囲内の温度である。前記共重合反応における反応時間は、反応温度や重合開始剤の種類等に応じて適宜設定すればよく、通常4〜8時間程度である。また、前記共重合反応は、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスの雰囲気下で行われることが好ましい。
[防汚剤(B)]
本発明の防汚塗料組成物は、防汚剤(B)として、メデトミジン(b1)及び4−ブロモ−2−(4−クロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−1H−ピロール−3−カルボニトリル(b2)を含有する。これら2種を併用することで藻類・菌類・動物類と種類が大きく異なる生物のいずれの付着も抑制することができる。メデトミジンは体系名:(±)4−[1−(2,3−ジメチルフェニル)エチル]−1H−イミダゾールである。
上記メデトミジン(b1)及び4−ブロモ−2−(4−クロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−1H−ピロール−3−カルボニトリル(b2)は、それぞれ塗料中の樹脂固形分全量を基準として、(b1)成分を0.05〜7質量%、好ましくは0.05〜3質量%、及び(b2)成分を0.05〜75質量%、好ましくは5〜50質量%含有する。また、上記メデトミジン(b1)及び4−ブロモ−2−(4−クロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−1H−ピロール−3−カルボニトリル(b2)は、(b1)/(b2)の質量比が0.05/99.95〜90/10であり、好ましくは0.1/99.9〜70/30である。上記含有量及び使用比の範囲外では、塗料状態での貯蔵安定性が不十分となり、また、生物付着防止能が発揮される生物種の範囲が狭くなり、長期間の防汚性が発揮できなくなる恐れがある。
本発明では必要に応じて、上記防汚剤(B)のほかに、他の防汚剤を併用することができる。他の防汚剤としては、従来より公知のもの、例えば、無機化合物、金属を含む有機化合物及び金属を含まない有機化合物などが挙げられる。
上記無機化合物としては、例えば、亜酸化銅、銅粉、チオシアン酸第一銅、炭酸銅、塩化銅、硫酸銅等の銅化合物;硫酸亜鉛、酸化亜鉛等の亜鉛化合物;硫酸ニッケル、銅−ニッケル合金等のニッケル化合物;などが挙げられる。
上記金属を含む有機化合物としては、例えば、有機銅系化合物、有機ニッケル系化合物、有機亜鉛系化合物などを用いることができ、その他、マンネブ、マンセブ、プロピネブなども用いることができる。さらに、前記有機銅系化合物としては、例えば、オキシン銅、銅ピリチオン、ノニルフェノールスルホン酸銅、カッパービス(エチレンジアミン)−ビス(ドデシルベンゼンスルホネート)、酢酸銅、ナフテン酸銅、ビス(ペンタクロロフェノール酸)銅等が挙げられる。また、前記有機ニッケル系化合物としては、例えば、酢酸ニッケル、ジメチルジチオカルバミン酸ニッケル等が挙げられる。そして、前記有機亜鉛系化合物としては、酢酸亜鉛、カルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジンクピリチオン、エチレンビスジチオカルバミン酸亜鉛等が挙げられる。
上記金属を含まない有機化合物としては、例えば、N−トリハロメチルチオフタルイミド、ジチオカルバミン酸、N−アリールマレイミド、3−置換化アミノ−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン、ジチオシアノ系化合物、トリアジン系化合物等が挙げられる。
上記N−トリハロメチルチオフタルイミドとしては、例えば、N−トリクロロメチルチオフタルイミド、N−フルオロジクロロメチルチオフタルイミド等が挙げられる。
上記ジチオカルバミン酸としては、例えば、ビス(ジメチルチオカルバモイル)ジスルフィド、N−メチルジチオカルバミン酸アンモニウム、エチレンビス(ジチオカルバミン酸)アンモニウム、ミルネブ等が挙げられる。
上記N−アリールマレイミドとしては、例えば、N−(2,4,6−トリクロロフェニル)マレイミド、N−4−トリルマレイミド、N−3−クロロフェニルマレイミド、N−(4−n−ブチルフェニル)マレイミド、N−(アニリノフェニル)マレイミド、N−(2,3−キシリル)マレイミド、2,3−ジクロロ−N−(2’,6’−ジエチルフェニル)マレイミド、2,3−ジクロロ−N−(2’−エチル−6’−メチルフェニル)マレイミド等が挙げられる。
上記3−置換化アミノ−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオンとしては、例えば、3−ベンジリデンアミノ−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン、3−(4−メチルベンジリデンアミノ)−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン、3−(2−ヒドロキシベンジリデンアミノ)−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン、3−(4−ジメチルアミノベンジリデンアミノ)−1,3−チアゾリン−2,4−ジオン、3−(2,4−ジクロロベンジリデンアミノ)−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン等が挙げられる。
上記ジチオシアノ系化合物としては、例えば、ジチオシアノメタン、ジチオシアノエタン、2,5−ジチオシアノチオフエン等が挙げられる。
上記トリアジン系化合物としては、例えば、2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジン等が挙げられる。
また、上記の金属を含まない有機化合物としては、上記に例示した有機化合物のほか、例えば、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、N,N−ジメチルジクロロフェニル尿素、4,5−ジクロロ−2−N−オクチル−3−(2H)イソチアゾロン、N,N−ジメチル−N’−フェニル−(N−フルオロジクロロメチルチオ)スルファミド、テトラメチルチウラムジスルフィド、3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメート、2−(メトキシカルボニルアミノ)ベンズイミダゾール、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン、ジヨードメチルパラトリルスルホン、ビスジメチルジチオカルバモイルジンクエチレンビスジチオカーバメート、フェニル(ビスピリジン)ビスマスジクロライド、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール、トリフェニルボロンピリジン・アミン錯体、ジクロロ−N−((ジメチルアミノ)スルフォニル)フルオロ−N−(p−トリル)メタンスルフェンアミド、クロロメチル−n−オクチルジスルフィド等が挙げられる。
前記その他の防汚剤としては、特に安定した防汚性能を発揮するという観点から、亜酸化銅、酸化亜鉛、銅ピリチオン及び亜鉛ピリチオンから選ばれる少なくとも1種を使用することが好ましい。使用する場合、その含有量は、塗料中の樹脂固形分全量を基準として亜酸化銅は1〜700質量%の範囲内、好ましくは10〜500質量%の範囲内、酸化亜鉛は1〜250質量%、好ましくは3〜120質量%の範囲内、銅ピリチオンは0〜50質量%の範囲内、好ましくは0.5〜35質量%の範囲内、亜鉛ピリチオンは0〜50質量%、好ましくは0.5〜35質量%の範囲内が適当である。
本発明の防汚塗料組成物には、上記シリルエステル基含有樹脂(A)及び防汚剤(B)の他に、顔料、染料、脱水剤、可塑剤、搖変剤(タレ止剤)、消泡剤、酸化防止剤、シリルエステル基含有樹脂(A)以外の樹脂、有機酸、溶剤等、一般的な塗料組成物に用いられている各種成分を、必要に応じて配合することができる。これらの成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記顔料としては、例えば、ベンガラ、酸化チタン、黄色酸化鉄、酸化カルシウム、カーボンブラック、ナフトールレッド、フタロシアニンブルー等の着色顔料;タルク、シリカ、マイカ、クレー、炭酸カルシウム、カオリン、アルミナホワイト、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、硫化亜鉛等の体質顔料が挙げられる。
本発明の防汚塗料組成物中の前記顔料の含有量は、塗料中の樹脂固形分全量を基準として、0.05〜1000質量%の範囲内であることが好ましく、1〜500質量%の範囲内、さらに特に5〜350質量%の範囲内であることがより好ましい。
前記搖変剤としては、例えば、有機系ワックス(ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、ポリアマイドワックス、アマイドワックス、水添ヒマシ油ワックス等)、有機粘土系化合物(Al、Ca、Znのアミン塩、ステアレート塩、レシチン塩、アルキルスルホン酸塩等)、ベントナイト、合成微粉シリカ等が挙げられる。これらの搖変剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。防汚塗料組成物中に前記搖変剤を配合する場合において、前記搖変剤の含有量は、適宜調整することができるが、例えば、塗料中の樹脂固形分全量を基準として、0.25〜50質量%、好ましくは0.3〜20質量%の範囲内が適当である。
上記脱水剤としては、例えば、無機系では、無水石膏、半水石膏(焼石膏)、合成ゼオライト系吸着剤(商品名「モレキュラーシーブ」等)等が挙げられ、その他、オルソエステル化合物(オルソギ酸メチル、オルソ酢酸メチル、オルソホウ酸エステル等)、シリケート化合物、イソシアネート化合物等が挙げられ、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記可塑剤としては、例えば、トリクレジルフォスフェート、ジオクチルフタレート、塩素化パラフィン、流動パラフィン、n−パラフィン、塩素化パラフィン、ポリブテン、テルペンフェノール、トリクレジルフォスフェート(TCP)、ポリビニルエチルエーテル等が挙げられ、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の防汚塗料組成物は、前述のようなシリルエステル基含有樹脂(A)以外にも、必要に応じて1種又は2種以上のその他の樹脂類を含有していてもよく、そのような樹脂としては、例えば、防汚塗料用基体樹脂として広く使用されている金属カルボキシレート構造を有する樹脂、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、ポリブテン樹脂、シリコーンゴム、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル系共重合樹脂、塩化ゴム、塩素化オレフィン樹脂、スチレン・ブタジエン共重合樹脂、ケトン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル樹脂、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、クマロン樹脂、テルペンフェノール樹脂、石油樹脂等が挙げられる。
また、本発明の防汚塗料組成物は、塗膜の耐クラック性の点からその他の樹脂として公知のロジン系化合物を含んでもよい。そのようなロジン系化合物としては、例えば、ロジン、ロジン誘導体、ロジン金属塩等が挙げられる。例えば、ロジンとしてはトールロジン、ガムロジン、ウッドロジン等が挙げられる。ロジン誘導体としては、水添ロジン、ロジンと無水マレイン酸を反応させたマレイン化ロジン、ホルミル化ロジン、重合ロジン等が挙げられる。ロジン金属塩としては、ジンクロジネート、カルシウムロジネート、カツパーロジネート、マグネシウムロジネート、その他金属化合物とロジンとの反応物等が挙げられる。これらロジン系化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ロジン系化合物の使用量は、特に限定されるものではないが、防汚塗料組成物中に前記ロジン系化合物を配合する場合において、塗料中の樹脂固形分全量を基準として、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がさらに好ましい。
本発明の防汚塗料組成物は、脂肪族溶剤、芳香族溶剤(キシレン、トルエン等)、ケトン溶剤(メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エステル溶剤、エーテル溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等)、アルコール溶剤(イソプロピルアルコール等)などの防汚塗料用の溶剤として一般的な有機溶剤を用いることができる。なお、有機溶剤の配合量は適宜調整することができるが、例えば、防汚塗料組成物の全固形分率が20〜90質量%の範囲内となるような割合であり、作業性に応じて塗装時にさらに添加してもよい。
本発明の防汚塗料組成物は、公知の防汚塗料組成物と同様の方法により調製することができる。例えば、シリルエステル基含有樹脂(A)と、防汚剤(B)と、必要に応じて前記有機溶剤や添加剤等とを、攪拌槽に一度にまたは順次添加して、撹拌、混合するようにして製造することができる。
本発明の塗装物品は、本発明の防汚塗料組成物によって基材の表面が被覆されてなる物品である。上記塗装物品は、基材の表面に、上記防汚塗料組成物を1回〜複数回塗布あるいは含浸させる工程、および上記防汚塗料組成物を乾燥させることにより得られる。
基材としては、例えば、海水または真水と(例えば常時または断続的に)接触する基材、具体的には、水中構造物、船舶外板又は船底、発電所の導水管や冷却管、養殖用又は定置用の漁網、漁具これらに用いられる浮き子、ロープ等の漁網付属具等が挙げられる。なお、本発明の防汚塗料組成物から得られる塗膜の膜厚は、塗膜の消耗速度等を考慮して適宜調整することができるが、例えば30〜250μm/回、好ましくは75〜150μm程度/回とすればよく、必要に応じて2回以上塗り重ねてもよい。
本発明では、上記基材の表面にプライマー、防食塗料、及び必要に応じてバインダー塗料を塗装した表面に、刷毛塗り、吹付け塗り、ローラー塗り、浸漬等の手段で本発明の防汚塗料組成物を塗装してもよい。また、本発明の防汚塗料組成物は、既存の防汚塗膜表面に重ね塗りしてもよい。塗膜の乾燥は室温で行なうことができるが、必要に応じて約100℃までの温度で加熱乾燥を行なってもよい。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。なお、下記実施例中の「部」及び「%」は、それぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。
シリルエステル基含有樹脂(A)の製造
製造例1
攪拌機付きのフラスコに、キシレン40部を仕込んだ後、液相温度を100℃に維持し、アクリル酸トリイソプロピルシリル60部、アクリル酸メトキシエチル30部、メタクリル酸メチル10部、キシレン68部、アゾビスイソブチロニトリル2.0部の混合溶液を、フラスコの中へ3時間で滴下した。滴下終了後、同温度で30分間保持した。次いでキシレン10部と「パーブチルO」(商品名、日本油脂社製、t-ブチルパーオキシオクトエート)1部との混合物を20分間で滴下し、同温度で2時間攪拌を続けてから、液相の冷却を開始した。生成した樹脂の固形分濃度が60質量%となるように、フラスコの中にキシレンを加えて樹脂溶液を調製し、重量平均分子量が50000のシリルエステル基含有樹脂(A1)の樹脂溶液を得た。
製造例2〜7
製造例1において各成分の配合量を表1のとおりとする以外は製造例1と同様にして不揮発分約60%、表1記載の重量平均分子量を有するシリルエステル基含有樹脂(A2)〜(A7)の樹脂溶液を得た。
Figure 2020152807
<防汚塗料組成物の調製と各種試験>
実施例1〜19及び比較例1〜5
シリルエステル基含有樹脂(A1)〜(A7)の樹脂溶液、ロジンのキシレン溶液、防汚剤、顔料等を、表2に示す配合組成にて配合し、ホモミキサーを用いて約2,000rpmの攪拌速度により混合分散した。分散後、「ディスパロンA630−20XN」(注:商品名、楠本化成社製、タレ止剤、ポリアミドワックス、20%キシレン希釈品)及び溶剤を添加し、ディスパー撹拌して塗料1〜24を調製した。調製した塗料組成物を、下記の貯蔵安定性試験、防汚性能試験、消耗膜厚及び耐クラック性試験に供した。これらの各試験の結果も表2に併せて示す。
<防汚性能試験>
サンドブラスト処理鋼板(100mm×300mm×2mm)の両面に、エポキシ系防錆塗料を200μmの乾燥膜厚となるようにスプレー塗装し、さらに、エポキシ系バインダーコートを、乾燥膜厚が100μmとなるように塗装した。この塗装板の両面に、各防汚塗料組成物を、乾燥膜厚が片面480μmとなるようにスプレー塗装により4回塗装し、温度20℃、湿度75%の恒温恒湿室にて1週間乾燥させて、試験片を作製した。この試験片を用いて、三重県五ヶ所湾にて48ケ月の海水浸漬を行い、試験塗膜上の付着生物の占有面積の割合(付着面積)を経時的に測定した。
◎:(合格)付着生物が観察されなかった、
○:(合格)付着生物の占有面積が5%未満、
△:(不合格)付着生物の占有面積が5%以上、30%未満、
×:(不合格)付着生物の占有面積が30%以上。
<消耗膜厚>
塗料1〜24を、あらかじめ防錆塗料が塗布されたブラスト板に乾燥膜厚が300μmとなるように夫々塗布し、2昼夜室内に放置することにより乾燥させて、防汚塗膜を有する試験板を得た。この試験板を直径750mm、長さ1200mmの円筒側面に貼り付け、海水中、周速15ノットで24ヶ月間連続回転させ、12ヶ月後、24ヶ月後の試験板の塗膜消耗量(塗膜厚みの累積減少量[μm])を測定した。表2の数値が大きいほど防汚塗膜が消耗されており、塗膜の溶解速度が速いことを示す。
<耐クラック性試験>
上記防汚性試験に供した試験片にて、その塗膜を目視観察し、クラックの発生の有無を調べた。
◎:(合格)クラックが観察されなかった、
○:(合格)微細なクラックが塗膜表面の一部の範囲で観察された、
△:(不合格)微細又は明確なクラックが塗膜表面の広い範囲で観察された、
×:(不合格)下地に至るクラックが観察された。
Figure 2020152807
Figure 2020152807
Figure 2020152807
Figure 2020152807
(注)ロダン銅:チオシアン酸第一銅、
(注)トリルフルアニド:ジクロロ−N−((ジメチルアミノ)スルフォニル)フルオロ−N−(p−トリル)メタンスルフェンアミド、
(注)ソルベッソ100:商品名、JXTGエネルギー株式会社製、石油系高沸点芳香族溶剤。

Claims (5)

  1. シリルエステル基含有樹脂(A)並びに、(b1)メデトミジン及び(b2)4−ブロモ−2−(4−クロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−1H−ピロール−3−カルボニトリルを含む防汚剤(B)を含有する防汚塗料組成物であって、塗料中の樹脂固形分全量を基準として(b1)成分を0.05〜7質量%及び(b2)成分を0.05〜75質量%含有し、且つ(b1)/(b2)質量比が0.05/99.95〜90/10である、防汚塗料組成物。
  2. シリルエステル基含有樹脂(A)が、式(I)で表される、重合性不飽和基とトリオルガノシリルエステル基とを有する単量体(a1)の1種以上と、上記単量体(a1)以外の重合性不飽和基を有する単量体(a2)の1種以上との共重合体である、請求項1記載の防汚塗料組成物。
    −CH=C(R)−COO−SiR・・・(I)
  3. 単量体(a2)が、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル化合物及び/又は(メタ)アクリル酸アルキル化合物を含む、請求項2記載の防汚塗料組成物。
  4. 前記防汚剤(B)が、さらに亜酸化銅、酸化亜鉛、銅ピリチオン及び亜鉛ピリチオンから選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の防汚塗料組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の防汚塗料組成物からなる塗膜を有する塗装物品。
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