JP2020152707A - 安定化されたエソメプラゾールマグネシウム水和物含有腸溶性固形製剤 - Google Patents

安定化されたエソメプラゾールマグネシウム水和物含有腸溶性固形製剤 Download PDF

Info

Publication number
JP2020152707A
JP2020152707A JP2019074435A JP2019074435A JP2020152707A JP 2020152707 A JP2020152707 A JP 2020152707A JP 2019074435 A JP2019074435 A JP 2019074435A JP 2019074435 A JP2019074435 A JP 2019074435A JP 2020152707 A JP2020152707 A JP 2020152707A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
enteric
layer
solid preparation
water
coated
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2019074435A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7321744B2 (ja
Inventor
直樹 覚張
Naoki Kakuhari
直樹 覚張
清崇 玉川
Kiyotaka Tamagawa
清崇 玉川
大知 小倉
Daichi Ogura
大知 小倉
千晶 早苗
Chiaki Sanae
千晶 早苗
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyorin Rimedio Co Ltd
Original Assignee
Kyorin Rimedio Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyorin Rimedio Co Ltd filed Critical Kyorin Rimedio Co Ltd
Priority to JP2019074435A priority Critical patent/JP7321744B2/ja
Publication of JP2020152707A publication Critical patent/JP2020152707A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7321744B2 publication Critical patent/JP7321744B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Medicinal Preparation (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)

Abstract

【課題】 保存安定性に優れたエソメプラゾールマグネシウム水和物を含有する腸溶性固形製剤とその製法を提供する。【解決手段】 (a)非活性物質からなる内核、(b)内核の表面に被覆された、エソメプラゾールマグネシウム水和物、水溶性高分子、無機アルカリ塩類及び分散剤を含む主薬層、(c)主薬層に被覆された、水溶性高分子及び水不溶性物質を含む保護層、並びに、(d)保護層に被覆された、腸溶性高分子及び可塑剤を含む腸溶層、を含有することにより、経時的な変色や分解物の増加が抑制されたエソメプラゾールマグネシウム水和物を含有する腸溶性固形製剤とすることができる。【選択図】なし

Description

本発明は、保存安定性に優れたエソメプラゾールマグネシウム水和物を含有する腸溶性固形製剤とその製法に関する。
プロトンポンプ阻害薬(PPI)であるエソメプラゾールマグネシウム水和物は、胃粘膜壁細胞における胃酸分泌の最終過程を担うプロトンポンプを選択的に阻害する作用により、強力な酸分泌抑制効果を発揮する。また、胃潰瘍や十二指腸潰瘍に加え、ヘリコバクター・ピロリ除菌療法などにも使用されており、酸分泌抑制薬における中心的な薬剤として広く使用されている。
一方、エソメプラゾールマグネシウム水和物はオメプラゾールやランソプラゾール等の他のプロトンポンプ阻害薬と同様に、酸に非常に不安定なベンズイミダゾール系化合物であり、人に経口投与する場合は胃酸による分解を防ぐための製剤化技術が不可欠となる。
胃酸から有効成分を守るための製剤化技術として腸溶化が良く知られており、この技術は、有効成分を含む内核を調製し(不活性成分からなる核に有効成分を被覆した内核の場合もある)、この内核の表面に保護層(分離層と呼ぶ場合もある)を被覆し、更に保護層の表面に胃で溶解せず腸で溶解する成分(腸溶層)を被覆することが基本構成となる。
しかしながら、ベンズイミダゾール系化合物は、酸による分解だけではなく、水分、温度、光及び製剤化に必要な種々の添加剤との配合等、様々な因子の影響も受けて分解する。従って、ベンズイミダゾール系化合物を医薬品として開発するためには、腸溶化以外の製剤的工夫が必要となり、それに関連した技術がいくつか報告されている。
例えば、ベンズイミダゾール系化合物を含む内核を構成する成分に工夫をして安定化した例として、塩基性無機塩を配合した技術(特許文献1)、アルカリ化合物を配合した技術(特許文献2)、カラギーナンを配合した技術(特許文献3)が各々開示されている。
また、保護層の被覆成分に製剤的工夫を加えて安定化した例として、水で急速に崩壊する賦形剤、又は水溶性高分子で被覆した技術(特許文献4)、陽イオン交換能を有する胃液抵抗性ポリマーを保護層とした技術(特許文献5)、低粘度のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を結合剤および/または分離層の構成成分とした技術(特許文献6)、特定の白濁点を有するヒドロキシプロピルセルロース(HPC)を分離層の成分として使用した技術(特許文献7)等が開示されている。
更に、内核、保護層及び腸溶層の各々の組成や配合比を工夫し安定化を図った技術も開示されている(特許文献8、特許文献9)。
しかしながら、これらは特定のベンズイミダゾール系化合物の安定化に適した技術であり、エソメプラゾールマグネシウム水和物に対する安定化効果を示唆するものではない。従って、エソメプラゾールマグネシウム水和物に適した安定化技術が望まれていた。
特開昭62−277322号公報 特開昭62−258320号公報 特表2009−534441号公報 特表2011−530569号公報 特表2000−514051号公報 特表2002−500665号公報 特表2002−529397号公報 特表2003−520224号公報 特表2002−523443号公報
本発明は、エソメプラゾールマグネシウム水和物を含む腸溶性固形製剤の経時的な変色や分解物の増加を抑制した製剤とその製造方法に関する。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、非活性物質からなる内核の表面に1層目成分としてエソメプラゾールマグネシウム水和物、水溶性高分子、無機アルカリ塩類及び分散剤を含む主薬層を被覆し、これに2層目成分として水溶性高分子及び水不溶性物質を含む保護層を被覆し、これに3層目成分として腸溶性高分子及び可塑剤を含む腸溶層を被覆した腸溶性固形製剤を調製し、更にこの腸溶性固形製剤を50〜70℃で加温することにより、保存中の経時的な変色と分解物の生成を著しく抑制できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、以下の発明を含む。
(1)(a)非活性物質からなる内核、(b)内核の表面に被覆された、エソメプラゾールマグネシウム水和物、水溶性高分子、無機アルカリ塩類及び分散剤を含む主薬層、(c)主薬層に被覆された、水溶性高分子及び水不溶性物質を含む保護層、並びに、(d)保護層に被覆された、腸溶性高分子及び可塑剤を含む腸溶層、を含有することを特徴とする腸溶性固形製剤。
(2)無機アルカリ塩類がケイ酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム及び水酸化マグネシウムからなる群から選択される少なくとも1種以上であることを特徴とする、(1)に記載の腸溶性固形製剤。
(3)腸溶性固形製剤が50〜70℃で1〜5時間加温されたものであることを特徴とする、(1)又は(2)に記載の腸溶性固形製剤。
(4)(i)非活性物質からなる内核の表面に、エソメプラゾールマグネシウム水和物、水溶性高分子、無機アルカリ塩類及び分散剤を含む主薬層を被覆する工程、(ii)水溶性高分子及び水不溶性物質を含む保護層を主薬層に被覆する工程、並びに、(iii)腸溶性高分子及び可塑剤を含む腸溶層を保護層に被覆する工程、を含有することを特徴とする腸溶性固形製剤の製造方法。
(5)無機アルカリ塩類がケイ酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム及び水酸化マグネシウムからなる群から選択される少なくとも1種以上であることを特徴とする、(4)に記載の腸溶性固形製剤の製造方法。
(6)腸溶性固形製剤を50〜70℃で1〜5時間加温することを特徴とする、(4)又は(5)に記載の腸溶性固形製剤の製造方法。
(7)主薬層、保護層及び腸溶層が溶液又は懸濁液として被覆されることを特徴とする、(4)から(6)のいずれか一つに記載の腸溶性固形製剤の製造方法。
(11)非活性物質が白糖、D−マンニトール、トウモロコシデンプン及び結晶セルロースからなる群から選択される少なくとも1種以上であることを特徴とする、(1)から(7)のいずれか一つに記載の腸溶性固形製剤又はその製造方法。
(12)非活性物質からなる内核が平均粒子径100〜600μmの粒子であることを特徴とする、(1)から(7)のいずれか一つに記載の腸溶性固形製剤又はその製造方法。
(13)水溶性高分子がヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ポリビニルアルコール及びコリドンからなる群から選択される少なくとも1種以上であることを特徴とする、(1)から(7)のいずれか一つに記載の腸溶性固形製剤又はその製造方法。
(14)分散剤がポリソルベート及びラウリル硫酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種以上であることを特徴とする、(1)から(7)のいずれか一つに記載の腸溶性固形製剤又はその製造方法。
(15)水不溶性物質がタルク及びステアリン酸マグネシウムからなる群から選択される少なくとも1種以上であることを特徴とする、(1)から(7)のいずれか一つに記載の腸溶性固形製剤又はその製造方法。
(16)腸溶性高分子がメタクリル酸コポリマーLDであることを特徴とする、(1)から(7)のいずれか一つに記載の腸溶性固形製剤又はその製造方法。
(17)可塑剤がクエン酸トリエチル、モノステアリン酸グリセリン及びポリエチレングリコールからなる群から選択される少なくとも1種以上であることを特徴とする、(1)から(7)のいずれか一つに記載の腸溶性固形製剤又はその製造方法。
本発明により、エソメプラゾールマグネシウム水和物を含有する腸溶性固形製剤の経時的な変色及び分解が抑制できるため、高品質で安全性の高い医薬品を提供することが可能となった。
本明細書において「腸溶性」とは、胃では溶解せず腸で溶解するように設計された医薬品の機能を表すものである。
本明細書において「固形製剤」とは、患者の治療に用いられる医薬品の形態が固体の状態で投与されるものであり、例えば、散剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤及び錠剤等の形態を有する製剤が挙げられる。
本明細書において「非活性物質」とは、医薬品の添加剤として用いられる成分のうち、一般的な使用量では生理活性を示さない成分のことである。添加剤として用いられる成分であれば特に限定されないが、乳糖、白糖、果糖、粉末還元麦芽糖水あめ、ブドウ糖、トレハロース、D−マンニトール、キシリトール、エリスリトール、D−ソルビトール、キシリトール、マルチトース、結晶セルロース、結晶セルロース・カルメロースナトリウム、デキストリン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、コムギデンプン、ヒドロキシプロピルスターチ、アルファー化デンプン、部分アルファー化デンプン、リン酸水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、沈降炭酸カルシウム、軽質無水ケイ酸等が挙げられ、特に白糖、D−マンニトール、トウモロコシデンプン、結晶セルロースが好適である。
本明細書において「内核」とは、複数の層を有する固形製剤の中心を構成する物質であり、その形態は特に限定されないが、粒子や錠剤の形態を有していることが主薬層、保護層及び腸溶層を被覆するのに好適である。内核は平均粒子径100〜600μmの粒子が好ましく、200〜400μmの粒子であることが特に好ましい。
本明細書において「主薬層」とは、内核の表面に被覆して層を形成させる成分のことであり、エソメプラゾールマグネシウム水和物を主成分とし、更に無機アルカリ塩類、分散剤及び水溶性高分子を含む。更に他の成分を含んでも良い。
本明細書において「保護層」とは、主薬層の表面に被覆して、層を形成させる成分のことであり、その目的は主薬層のエソメプラゾールマグネシウム水和物と腸溶層の腸溶性高分子とが直接接触することで生ずる分解を防ぐためであり、水溶性高分子及び水不溶性物質を含む。更に分散剤等の他の成分を含んでも良い。
本明細書において「腸溶層」とは、保護層の表面に被覆して、層を形成する成分であり、胃酸に溶解せず腸液で溶解する高分子(腸溶性高分子)を主な構成成分とし、更に可塑剤を含む。更に接着防止剤、着色剤及び遮光剤等の他の成分を含んでも良い。尚、この腸溶層の表面に任意の成分を被覆することもできる。
本明細書における「水溶性高分子」の種類や組成は特に限定されないが、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ポリビニルアルコール、コリドン等を用いることができる。
本明細書における「無機アルカリ塩類」の種類や組成は特に限定されないが、エソメプラゾールマグネシウム水和物の分解を抑制するために、ケイ酸カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウムを用いることが好ましく、特に酸化マグネシウムが好適である。また、無機アルカリ塩類の配合量はエソメプラゾールマグネシウム水和物100質量部に対して1〜20質量部であることが好ましく、5〜15質量部であることが更に好ましく、7〜13質量部であることが特に好ましい。
本明細書における「分散剤」の種類は特に限定されないが、ポリソルベート、ラウリル硫酸ナトリウム等を用いることができる。
本明細書における「水不溶性物質」の種類は特に限定されないが、タルク、カオリン、リン酸水素カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等を用いることができる。
本明細書における「腸溶性高分子」の種類は特に限定されないが、ヒプロメロース・フタル酸エステル、ヒプメロース・コハク酸・酢酸エステル、カルボキシメチルエチルセルロース、メタクリル酸コポリマーS、メタクリル酸コポリマーL、メタクリル酸コポリマーLD等を用いることができ、特にメタクリル酸コポリマーLDが好適である。
本明細書における「可塑剤」の種類は特に限定されないが、ポリエチレングリコール、トリアセチン、クエン酸トリエチル、モノステアリン酸グリセリン等を用いることができ、特にクエン酸トリエチルが好ましい。
本明細書において主薬層、保護層及び腸溶層を被覆する際に用いる装置は特に限定されないが、本発明に係る固形製剤が散剤、細粒剤又は顆粒剤等の粒子であれば流動層コーティング装置が好適であり、錠剤であれば錠剤コーティング装置が好適である。
本明細書における腸溶性固形製剤は、エソメプラゾールマグネシウム水和物の分解を抑制するために、50〜70℃で数時間(例えば1〜5時間)加温することが好ましい。
次に実施例を挙げて、本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらに限られるものではない。
核粒子として平均粒子径が約300μmの白糖・デンプン球形顆粒600.8gを流動層造粒装置で75℃の気流化で流動させ、以下の組成比で調製した主薬層の懸濁液を噴霧・被覆し、1層目の粒子を調製した。
(主薬層懸濁液の組成比)
エソメプラゾールマグネシウム水和物 891.2g
ヒプロメロース2910 134.2g
酸化マグネシウム 74.2g
ポリソルベート80 18.0g
精製水 5409.0g
続いて、1層目粒子800gを用い流動層造粒装置で流動化させながら、以下の組成比で調製した保護層の懸濁液を噴霧・被覆し、2層目の粒子を調製した。
(保護層懸濁液の組成比)
ヒドロキシプロピルセルロース 87.7g
タルク 331.3g
ステアリン酸マグネシウム 21.5g
精製水 3101.0g
続いて、2層目粒子1000gを流動層造粒装置で流動化させながら、以下の組成比で調製した腸溶層の懸濁液を噴霧・被覆し、3層目の腸溶性粒子を得た。
(腸溶層懸濁液の組成比)
メタクリル酸コポリマーLD 1000.0g
クエン酸トリエチル 30.0g
モノステアリン酸グリセリン 15.0g
ポリソルベート80 1.58g
精製水 393.9g
上記腸溶性粒子をステンレス製のトレーに入れて、棚式乾燥機にて60℃で3時間加温した。
核粒子として平均粒子径が約300μmの白糖・デンプン球形顆粒600.8gを流動層造粒装置で75℃の気流化で流動させ、以下の組成比で調製した主薬層の懸濁液を噴霧・被覆し、1層目の粒子を調製した。
(主薬層懸濁液の組成比)
エソメプラゾールマグネシウム水和物 891.2g
ヒプロメロース2910 134.2g
酸化マグネシウム 98.9g
ポリソルベート80 18.0g
精製水 5409.0g
続いて、1層目粒子800gを用い流動層造粒装置で流動化させながら、以下の組成比で調製した保護層の懸濁液を噴霧・被覆し、2層目の粒子を調製した。
(保護層懸濁液の組成比)
ヒドロキシプロピルセルロース 87.7g
タルク 331.3g
ステアリン酸マグネシウム 21.5g
精製水 3101.0g
続いて、2層目粒子1000gを流動層造粒装置で流動化させながら、以下の組成比で調製した腸溶層の懸濁液を噴霧・被覆し、3層目の腸溶性粒子を得た。
(腸溶層懸濁液の組成比)
メタクリル酸コポリマーLD 1000.0g
クエン酸トリエチル 30.0g
モノステアリン酸グリセリン 15.0g
ポリソルベート80 1.58g
精製水 393.9g
上記腸溶性粒子をステンレス製のトレーに入れて、棚式乾燥機にて60℃で3時間加温した。
核粒子として平均粒子径が約300μmの白糖・デンプン球形顆粒600.8gを流動層造粒装置で75℃の気流化で流動させ、以下の組成比で調製した主薬層の懸濁液を噴霧・被覆し、1層目の粒子を調製した。
(主薬層懸濁液の組成比)
エソメプラゾールマグネシウム水和物 891.2g
ヒプロメロース2910 134.4g
酸化マグネシウム 148.4g
ポリソルベート80 18.4g
精製水 5409.0g
続いて、1層目粒子800gを用い流動層造粒装置で流動化させながら、以下の組成比で調製した保護層の懸濁液を噴霧・被覆し、2層目の粒子を調製した。
(保護層懸濁液の組成比)
ヒドロキシプロピルセルロース 87.5g
タルク 331.3g
ステアリン酸マグネシウム 21.3g
精製水 3096.8g
続いて、2層目粒子1000gを流動層造粒装置で流動化させながら、以下の組成比で調製した腸溶層の懸濁液を噴霧し、3層目の腸溶性粒子を得た。
(腸溶層懸濁液の組成比)
メタクリル酸コポリマーLD 1000.0g
クエン酸トリエチル 30.0g
モノステアリン酸グリセリン 15.0g
ポリソルベート80 1.58g
精製水 393.9g
上記腸溶性粒子をステンレス製のトレーに入れて、棚式乾燥機にて60℃で3時間加温した。
[比較例1]
上記実施例3において、棚式乾燥機による腸溶性粒子の加温工程を省略したものを比較例1とした。
[比較例2]
核粒子として平均粒子径が約300μmの白糖・デンプン球形粒子600.8gを流動層造粒装置で75℃の気流化で流動させ、以下の組成比で調製した主薬層の懸濁液を噴霧・被覆し、1層目の粒子を調整した。
(主薬層懸濁液の組成比)
エソメプラゾールマグネシウム水和物 891.2g
ヒプロメロース2910 134.2g
ポリソルベート80 18.0g
精製水 5409.0g
続いて、1層目粒子800gを用い流動層造粒装置で流動化させながら、以下の組成比で調製した保護層の懸濁液を噴霧・被覆し、2層目の粒子を調製した。
(保護層懸濁液の組成比)
ヒドロキシプロピルセルロース 87.7g
タルク 331.3g
ステアリン酸マグネシウム 21.5g
精製水 3101.0g
続いて、2層目粒子1000gを流動層造粒装置で流動化させながら、以下の組成比で調製した腸溶層の懸濁液を噴霧・被覆し、3層目の腸溶性粒子を得た。
(腸溶層懸濁液の組成比)
メタクリル酸コポリマーLD 997.6g
クエン酸トリエチル 29.9g
モノステアリン酸グリセリン 14.9g
ポリソルベート80 1.57g
精製水 392.8g
上記腸溶性粒子をステンレス製のトレーに入れて、送風定温恒湿器にて60℃で3時間加温した。
[比較例3]
上記比較例2において、送風定温恒湿器による腸溶性粒子の加温工程を省略したものを比較例3とした。
実験例1
実施例1〜3及び比較例1〜3で得られた各々の腸溶性粒子をバイアルビンに充填し、60℃の条件下で4週間保存し、各試料中に生成した分解物の合計量をHPLC法により測定した。結果を表1に示す。
Figure 2020152707
上記結果より、製剤中に酸化マグネシウムを添加した実施例1〜3は、酸化マグネシウムを添加しなかった比較例2に比して、分解物の増加量が著しく少なく、分解物の増加量が抑制されていることが確認された。また、加温工程を含む実施例3及び比較例2は、各々、当該工程を含まない比較例1及び比較例3に比して、分解物の増加量が著しく抑制されることが確認された。
<試験例1>
エソメプラゾールマグネシウム水和物及びメタクリル酸コポリマーLの2成分を各々1:1の質量比で混合し、その混合物をバイアルビンに充填した。
<試験例2>
エソメプラゾールマグネシウム水和物、メタクリル酸コポリマーL及びケイ酸カルシウムの3成分を各々1:1:0.33の質量比で混合し、その混合物をバイアルビンに充填した。
<試験例3>
エソメプラゾールマグネシウム水和物、メタクリル酸コポリマーL及びメグルミンの3成分を各々1:1:0.33の質量比で混合し、その混合物をバイアルビンに充填した。
<試験例4>
エソメプラゾールマグネシウム水和物、メタクリル酸コポリマーL及び酸化マグネシウムの3成分を各々1:1:0.33の質量比で混合し、その混合物をバイアルビンに充填した。
<試験例5>
エソメプラゾールマグネシウム水和物、メタクリル酸コポリマーL及び炭酸マグネシウムの3成分を各々1:1:0.33の質量比で混合し、その混合物をバイアルビンに充填した。
<試験例6>
エソメプラゾールマグネシウム水和物、メタクリル酸コポリマーL及び水酸化マグネシウムの3成分を各々1:1:0.33の質量比で混合し、その混合物をバイアルビンに充填した。
<試験例7>
エソメプラゾールマグネシウム水和物、メタクリル酸コポリマーL及びケイ酸マグネシウムの3成分を各々1:1:0.33の質量比で混合し、その混合物をバイアルビンに充填した。
実験例2
試験例1から試験例7で調製した各混合物を40℃相対湿度75%の条件下で4週間保存し、各試料中に生成した分解物の合計量をHPLC法により測定した。結果を表2に示す。
Figure 2020152707
腸溶性高分子は酸に不安定な物質を保護する目的で用いられるが、腸溶性高分子には酸性の置換基が存在し、その置換基と酸に不安定な物質が直接接触すると分解が生ずる。そのため、腸溶性高分子のメタクリル酸コポリマーとエソメプラゾールマグネシウム水和物を1:1の質量比で混合した試験例1の混合物を40℃相対湿度75%で4週間保存すると27.5%の分解物が生じた。一方、試験例1の混合物に種々の塩基性物質を加えた試験例2から試験例7の混合末を同様の条件下で4週間保存した結果、添加する塩基性物質の種類により分解物の生成量が異なり、無機アルカリ塩類であるケイ酸カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム及び水酸化マグネシウムを添加した混合末では、エソメプラゾールマグネシウム水和物の分解が抑制できることが確認された。特に試験例4の酸化マグネシウムの分解抑制効果は顕著であった。
本発明により、エソメプラゾールマグネシウム水和物を含有する固形製剤の経時的な変色及び分解が抑制できるため、高品質で安全性の高い医薬品を提供することが可能となった。

Claims (7)

  1. (a)非活性物質からなる内核、(b)内核の表面に被覆された、エソメプラゾールマグネシウム水和物、水溶性高分子、無機アルカリ塩類及び分散剤を含む主薬層、(c)主薬層に被覆された、水溶性高分子及び水不溶性物質を含む保護層、並びに、(d)保護層に被覆された、腸溶性高分子及び可塑剤を含む腸溶層、を含有することを特徴とする腸溶性固形製剤。
  2. 無機アルカリ塩類がケイ酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム及び水酸化マグネシウムからなる群から選択される少なくとも1種以上であることを特徴とする、請求項1に記載の腸溶性固形製剤。
  3. 腸溶性固形製剤が50〜70℃で1〜5時間加温されたものであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の腸溶性固形製剤。
  4. (i)非活性物質からなる内核の表面に、エソメプラゾールマグネシウム水和物、水溶性高分子、無機アルカリ塩類及び分散剤を含む主薬層を被覆する工程、(ii)水溶性高分子及び水不溶性物質を含む保護層を主薬層に被覆する工程、並びに、(iii)腸溶性高分子及び可塑剤を含む腸溶層を保護層に被覆する工程、を含有することを特徴とする腸溶性固形製剤の製造方法。
  5. 無機アルカリ塩類がケイ酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム及び水酸化マグネシウムからなる群から選択される少なくとも1種以上であることを特徴とする、請求項4に記載の腸溶性固形製剤の製造方法。
  6. 腸溶性固形製剤を50〜70℃で1〜5時間加温することを特徴とする、請求項4又は5に記載の腸溶性固形製剤の製造方法。
  7. 主薬層、保護層及び腸溶層が溶液又は懸濁液として被覆されることを特徴とする、請求項4から6のいずれか1項に記載の腸溶性固形製剤の製造方法。
JP2019074435A 2019-03-22 2019-03-22 安定化されたエソメプラゾールマグネシウム水和物含有腸溶性固形製剤 Active JP7321744B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019074435A JP7321744B2 (ja) 2019-03-22 2019-03-22 安定化されたエソメプラゾールマグネシウム水和物含有腸溶性固形製剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019074435A JP7321744B2 (ja) 2019-03-22 2019-03-22 安定化されたエソメプラゾールマグネシウム水和物含有腸溶性固形製剤

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020152707A true JP2020152707A (ja) 2020-09-24
JP7321744B2 JP7321744B2 (ja) 2023-08-07

Family

ID=72557827

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019074435A Active JP7321744B2 (ja) 2019-03-22 2019-03-22 安定化されたエソメプラゾールマグネシウム水和物含有腸溶性固形製剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7321744B2 (ja)

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008502740A (ja) * 2004-06-15 2008-01-31 テバ ファーマシューティカル インダストリーズ リミティド ベンズイミダゾール化合物の安定医薬製剤
JP2009517466A (ja) * 2005-11-30 2009-04-30 アストラゼネカ・アクチエボラーグ 活性成分として、アセチルサリチル酸と一緒にプロトンポンプ阻害剤を含む経口医薬剤形
JP2009209048A (ja) * 2008-02-29 2009-09-17 Tomita Pharmaceutical Co Ltd 医薬用酸化マグネシウム
US20110184024A1 (en) * 2007-09-28 2011-07-28 Ctc Bio, Inc. Pharmaceutical Composition Containing Esomeprazole
JP2019034929A (ja) * 2017-08-10 2019-03-07 大原薬品工業株式会社 エソメプラゾールマグネシウム水和物を含有する腸溶性コーティング製剤、およびその製造方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008502740A (ja) * 2004-06-15 2008-01-31 テバ ファーマシューティカル インダストリーズ リミティド ベンズイミダゾール化合物の安定医薬製剤
JP2009517466A (ja) * 2005-11-30 2009-04-30 アストラゼネカ・アクチエボラーグ 活性成分として、アセチルサリチル酸と一緒にプロトンポンプ阻害剤を含む経口医薬剤形
US20110184024A1 (en) * 2007-09-28 2011-07-28 Ctc Bio, Inc. Pharmaceutical Composition Containing Esomeprazole
JP2009209048A (ja) * 2008-02-29 2009-09-17 Tomita Pharmaceutical Co Ltd 医薬用酸化マグネシウム
JP2019034929A (ja) * 2017-08-10 2019-03-07 大原薬品工業株式会社 エソメプラゾールマグネシウム水和物を含有する腸溶性コーティング製剤、およびその製造方法

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
INTERNATIONAL JOURNAL OF PHARMACEUTICS, vol. 523, JPN6023003063, 2017, pages 189 - 202, ISSN: 0004994887 *

Also Published As

Publication number Publication date
JP7321744B2 (ja) 2023-08-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
RU2170090C2 (ru) Способ получения фармацевтической лекарственной формы, способ ингибирования секреции кислоты в желудке у млекопитающих и человека
WO2011140446A2 (en) Pharmaceutical formulations
JP7482182B2 (ja) プロトンポンプ阻害剤を含む経口用固形製剤組成物、それを含む経口用固形製剤及びその製造方法
KR101841662B1 (ko) 프로톤 펌프 저해제의 고체분산체 및 이를 포함하는 약제학적 조성물
US8563034B2 (en) Dual release oral tablet compositions of dexlansoprazole
KR20160010595A (ko) 구강내 붕괴정
EP3329921B1 (en) Tablet
CA2591983A1 (en) Pharmaceutical compositions comprising amorphous benzimidazole compounds
JP2015522653A (ja) プロトンポンプ阻害剤の医薬組成物
KR20230056789A (ko) 다파글리플로진 공결정의 약학 조성물
JP2013510128A (ja) 固形製剤
CA2648538C (en) Oral rapid release pharmaceutical formulation for pyridylmethylsulfinyl-benzimidazoles
WO2009060064A2 (en) Pharmaceutical formulations for the oral administration of ppi
KR101845665B1 (ko) 프로톤 펌프 저해제를 포함하는 경구용 고형제제 조성물, 이를 포함하는 경구용 고형제제 및 그 제조방법
EP2345408A2 (en) Acid labile drug formulations
JP7321744B2 (ja) 安定化されたエソメプラゾールマグネシウム水和物含有腸溶性固形製剤
JP2018065752A (ja) シロドシン含有医薬組成物とその製造方法
JP5744412B2 (ja) フロセミド製剤
JP2019034929A (ja) エソメプラゾールマグネシウム水和物を含有する腸溶性コーティング製剤、およびその製造方法
KR20030051794A (ko) 가수분해에 불안정한 조성물
KR960015143B1 (ko) 벤즈이미다졸유도체를 함유하는 신규 경구형 제제 및 그 제조방법
CN117442628A (zh) 一种含有缓释双嘧达莫微片的速释阿司匹林包衣胶囊及其制备方法
EP2563341A1 (en) Pharmaceutical compositions inducing synergistic effect
AU695774C (en) New pharmaceutical formulation and process
JP2019031489A (ja) エソメプラゾールマグネシウム水和物を含有する錠剤

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220318

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230125

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230221

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20230414

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230615

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230718

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230726

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7321744

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150