JP2020152586A - 窒化ガリウムの製造方法 - Google Patents
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本発明の課題は、かさ密度の高い窒化ガリウムの製造方法を提供することにある。
〔1〕窒素ガス及びアンモニアガスの混合ガスの流通下、金属ガリウムを900℃以上1100℃以下の温度で焼成する工程を含む窒化ガリウムの製造方法であって、
アンモニウムガスの供給量が金属ガリウム1mL当たり0.5〜1.2mL/secである、窒化ガリウムの製造方法。
〔2〕混合ガス中の窒素ガスとアンモニアガスとの体積比(窒素/アンモニア)が0.25〜5である、前記〔1〕記載の窒化ガリウムの粉砕方法。
〔3〕焼成後、焼成物を粉砕する工程を含む、前記〔1〕又は〔2〕記載の窒化ガリウムの粉砕方法。
〔4〕窒化ガリウムは、初期かさ密度が1.5g/cm3以上であり、かつタップかさ密度が2.3g/cm3以上である、前記〔1〕〜〔3〕のいずれか一に記載の窒化ガリウムの粉砕方法。
本発明の窒化ガリウムの製造方法は、窒素ガス及びアンモニアガスの混合ガスの流通下、金属ガリウムを900℃以上1100℃未満の温度で焼成する工程を含み、アンモニウムガスの供給量が金属ガリウム1mL当たり0.5〜1.2mL/secであることを特徴とするものである。
金属ガリウムは、市販品を使用することができるが、高純度であるものが好ましい。例えば、金属ガリウムとして、純度99.99%以上のものを使用することができる。
また、金属ガリウムの形態は、バルクでも、粉末でも構わないが、通常バルクが使用される。
混合ガスは、窒素ガスとアンモニアガスとからなるものである。
窒素ガスとしては、例えば、純度99.9容積%以上の窒素ボンベガス、液化窒素を使用することができる。また、アンモニアガスとしては、例えば、純度99.8質量%以上の液化アンモニアを使用することができる。
混合ガスの供給方法としては、所定量の窒素ガスと所定量のアンモニアガスを混合して反応装置に供給しても、両者を別個の配管から反応装置に供給してもよい。
また、混合ガス中の窒素ガスとアンモニアガスとの体積比(窒素/アンモニア)は、かさ密度向上の観点から、0.25〜5が好ましく、0.3〜4がより好ましく、0.35〜3.5が更に好ましく、0.4〜3.5がより更に好ましい。
焼成に使用する装置は、装置内に混合ガスを流通でき、かつ1000℃程度の熱に耐えられる装置であれば特に限定されないが、例えば、管状炉、電気炉、バッチ式キルン、ロータリーキルンを挙げることができる。
焼成は、常圧で行えばよく、加圧又は真空とすることを要しない。
焼成時間は、反応スケールにより一様ではないが、例えば、金属ガリウム100gを使用する場合、通常0.5〜60時間、好ましくは1〜20時間、更に好ましくは3〜10時間である。
焼成後、焼成物を粉砕してもよい。
粉砕は、粉砕装置を使用することができる。粉砕装置としては、窒化ガリウムを粉砕可能であり、且つ密閉状態とすることができれば特に限定されないが、例えば、媒体粉砕機を挙げることができる。媒体粉砕機としては、例えば、ミルが挙げられ、具体的には、遊星ボールミル、ボールミル、ディスクミル等の容器駆動媒体ミルを挙げることができる。なお、粉砕媒体及び粉砕容器の材質としては、窒化ガリウムを粉砕可能であり、かつ不純物の混入を防止できれば特に限定されない。
粉砕時の雰囲気を酸素非含有雰囲気とするには、例えば、ミルを使用する場合、酸素非含有雰囲気のグローブボックス内で、粉砕容器内の気相を置換した後、該粉砕容器に粉砕媒体、窒化物及び酸素吸収剤を収容し、粉砕媒体の開口部を密閉すればよい。
酸素窒素同時分析装置(TCH−600、LECO社製)により、窒化ガリウム粉末中の窒素量を測定した。
窒化ガリウム粉末の初期かさ密度及びタップかさ密度を、JIS R 1628「ファインセラミックス粉末のかさ密度測定方法」に準拠して測定した。
窒化ガリウム粉末の粒度分布を、JIS R 1629「ファインセラミックス原料のレーザ回折・散乱法による粒子径分布測定方法」に準拠して体積基準で作成した。そして、積算分布曲線の50%に相当する粒子径(d50)を求めた。なお、レーザ回折・散乱法による粒子径分布測定装置として、マイクロトラックMT3300EX II(マイクロトラック・ベル社製)を使用した。
(1)窒化ガリウムの窒素量
窒素濃度が16質量%未満である場合、金属ガリウムが十分に窒化されていないか、あるいは窒化ガリウムの一部が分解し、金属ガリウムが混在していると推定されることから、品質が不十分と判断した。
(2)初期かさ密度
初期かさ密度が1.5g/cm3未満であるから、品質が不十分と判断した。
(3)タップかさ密度
タップかさ密度が2.3g/cm3未満であるから、品質が不十分と判断した。
(4)評価基準
上記(1)〜(3)のいずれにも該当しないものを「〇」、上記(1)〜(3)のいずれか1以上に該当するものを「×」と評価した。
アルミナ製ボートに金属ガリウム(DOWA、エレクトロニクス社製)を100g量り取り、炉心管の中央部に仕込み、管状炉に設置した。次いで、窒素ガス0.5L/minとアンモニアガス1L/minをそれぞれ炉心管内に流通させ、1050℃の温度まで5℃/minで昇温し、10時間保持して焼成を行った。焼成後、室温まで徐冷し、生成物をボールミルにて200rpm、10分間の条件で粉砕し、窒化ガリウム粉末を得た。窒化ガリウム粉末の鉱物の同定として、X線回折(XRD)測定を行い、GaN単相であることを確認した。また、窒化ガリウム粉末の窒素量を酸素窒素同時分析装置(TCH−600、LECO社製、以下、同様である)により測定し、更に窒化ガリウム粉末の初期かさ密度及びタップかさ密度、並びに平均粒子径を測定した。その結果を表1に示す。
窒素ガスの流通量を1L/min、焼成温度を1000℃に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作により、窒化ガリウム粉末を得た。窒化ガリウム粉末の鉱物の同定として、XRD測定を行い、GaN単相であることを確認した。また、窒化ガリウム粉末の窒素量を酸素窒素同時分析装置により測定し、更に窒化ガリウム粉末の初期かさ密度及びタップかさ密度、並びに平均粒子径を測定した。その結果を表1に示す。
焼成温度を950℃に変更したこと以外は、実施例2と同様の操作により、窒化ガリウム粉末を得た。窒化ガリウム粉末の鉱物の同定として、XRD測定を行い、GaN単相であることを確認した。また、窒化ガリウム粉末の窒素量を酸素窒素同時分析装置により測定し、更に窒化ガリウム粉末の初期かさ密度及びタップかさ密度、並びに平均粒子径を測定した。その結果を表1に示す。
窒素ガスの流通量を3L/minに変更したこと以外は、実施例2と同様の操作により、窒化ガリウム粉末を得た。窒化ガリウム粉末の鉱物の同定として、XRD測定を行い、GaN単相であることを確認した。また、窒化ガリウム粉末の窒素量を酸素窒素同時分析装置により測定し、更に窒化ガリウム粉末の初期かさ密度及びタップかさ密度、並びに平均粒子径を測定した。その結果を表1に示す。
金属ガリウム1mLあたりのアンモニアガス供給量を1.1mL/secに変更したこと以外は、実施例2と同様の操作により、窒化ガリウムを得た。窒化ガリウム粉末の鉱物の同定として、XRD測定を行い、GaN単相であることを確認した。また、窒化ガリウム粉末の窒素量を酸素窒素同時分析により測定し、更に窒化ガリウム粉末の初期かさ密度及びタップ密度、並びに平均粒子径を測定した。その結果を表1に示す。
窒素ガスを流通せず、焼成温度を900℃に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作により、窒化ガリウム粉末を得た。窒化ガリウム粉末の鉱物の同定として、XRD測定を行い、GaN単相であることを確認した。また、窒化ガリウム粉末の窒素量を酸素窒素同時分析装置により測定し、更に窒化ガリウム粉末の初期かさ密度及びタップかさ密度、並びに平均粒子径を測定した。その結果を表1に示す。
焼成温度を1000℃に変更したこと以外は、比較例1と同様の操作により、窒化ガリウム粉末を得た。窒化ガリウム粉末の鉱物の同定として、XRD測定を行い、GaN単相であることを確認した。また、窒化ガリウム粉末の窒素量を酸素窒素同時分析装置により測定し、更に窒化ガリウム粉末の初期かさ密度及びタップかさ密度、並びに平均粒子径を測定した。その結果を表1に示す。
焼成温度を1050℃に変更したこと以外は、比較例1と同様の操作により、窒化ガリウム粉末を得た。窒化ガリウム粉末の鉱物の同定として、XRD測定を行い、GaN単相であることを確認した。また、窒化ガリウム粉末の窒素量を酸素窒素同時分析装置により測定し、更に窒化ガリウム粉末の初期かさ密度及びタップかさ密度、並びに平均粒子径を測定した。その結果を表1に示す。
アンモニアガスの流通量を0.2L/min、窒素ガスの流通量を1L/minに変更したこと以外は実施例1と同様の操作を行ったが、金属ガリウムが窒化せず、窒化ガリウム粉末を得られなかった。金属ガリウムは窒素ガスのみでは窒化しないため、窒素ガスの割合を大きくすると窒化が進まなかった。
アンモニアガスの流通量を1.25L/min、窒素ガスの流通量を2.5L/minに変更したこと以外は実施例1と同様の操作を行ったが、金属ガリウムがボートから吹き出し、ボートの外部や炉心管の内側に付着しており、生成物の回収ができなかった。
また、金属ガリウム1mL当たりのアンモニウムガスの供給量が0.5mL/secよりも低いと、金属ガリウムが窒化せず(比較例4)、また金属ガリウム1mL当たりのアンモニアガスの流通量が1.2mL/secよりも高いと、ボートからの吹き出しにより窒化ガリウムの回収が不能となることから(比較例5)、窒化ガリウムを製造するうえで、金属ガリウム1mL当たりのアンモニウムガスの供給量を制御することが重要であることがわかる。
以上のことから、窒素ガス及びアンモニアガスの混合ガスの流通下、金属ガリウムを900℃以上1100℃以下の温度にて、金属ガリウム1mL当たりのアンモニウムガスの供給量を一定に制御することで、窒化ガリウムの分解を抑制しつつ、かさ密度の高い窒化ガリウムが得られることがわかる。
Claims (4)
- 窒素ガス及びアンモニアガスの混合ガスの流通下、金属ガリウムを900℃以上1100℃以下の温度で焼成する工程を含む窒化ガリウムの製造方法であって、
アンモニウムガスの供給量が金属ガリウム1mL当たり0.5〜1.2mL/secである、窒化ガリウムの製造方法。 - 混合ガス中の窒素ガスとアンモニアガスとの体積比(窒素/アンモニア)が0.25〜5である、請求項1記載の窒化ガリウムの製造方法。
- 焼成後、焼成物を粉砕する工程を含む、請求項1又は2記載の窒化ガリウムの製造方法。
- 窒化ガリウムは、初期かさ密度が1.5g/cm3以上であり、かつタップかさ密度が2.3g/cm3以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の窒化ガリウムの製造方法。
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