JP2020151798A - 表面被覆切削工具 - Google Patents

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【課題】溶着性の高い被削材の高速断続切削加工において、すぐれた耐異常損傷性、耐摩耗性を発揮する表面被覆切削工具を提供する。【解決手段】工具基体表面にTiAlN層を含む硬質被覆層が設けられた表面被覆切削工具において、平均結晶粒幅が30〜100nmである立方晶構造のTiAlN微細結晶粒を含み、TiAlN層の縦断面において工具基体表面の法線と前記立方晶構造の微細結晶粒の(001)面の法線とのなす角度を測定した場合、そのなす角度が5度以下の立方晶構造を有する(001)配向微細結晶粒が存在し、該(001)配向微細結晶粒の周囲には、工具基体表面の法線と前記立方晶構造の微細結晶粒の(001)面の法線とのなす角度が5度を超え15度以下の微細結晶粒が存在し、かつ、前記(001)配向微細結晶粒および前記なす角度が5度を超え15度以下の微細結晶粒は、(001)配向性を持つ(001)配向集合組織を形成する。【選択図】図2

Description

この発明は、溶着性の高い被削材の高速断続切削加工において、硬質被覆層がすぐれた耐異常損傷性と耐摩耗性を発揮し、長期の使用にわたってすぐれた切削性能を発揮する表面被覆切削工具(以下、被覆工具という)に関するものである。
一般に、被覆工具として、各種の鋼や鋳鉄などの被削材の旋削加工や平削り加工にバイトの先端部に着脱自在に取り付けて用いられるスローアウエイチップ、前記被削材の穴あけ切削加工などに用いられるドリルやミニチュアドリル、前記被削材の面削加工や溝加工、肩加工などに用いられるエンドミル、前記被削材の歯形の歯切加工などに用いられるソリッドホブ、ピニオンカッタなどが知られている。
そして、被覆工具の切削性能改善を目的として、従来から、数多くの提案がなされている。
例えば、特許文献1に示すように、工具基体表面に、物理蒸着によって堆積された耐火性層を含むコーティングを含む被覆工具であって、 前記耐火性層がM1−xAlN(式中、x≧0.68であり、MがTi、CrまたはZrである)を含み、前記耐火性層が立方晶結晶相を含有し、少なくとも25GPaの硬度を有する厚膜、高硬度および低残留応力の耐摩耗性被覆工具が提案されている。
また、特許文献2には、工具基体表面にTiAlN層からなる硬質被覆層を被覆した被覆工具において、上記硬質被覆層が、層厚方向にそって、Al最高含有点(Ti最低含有点)とAl最低含有点(Ti最高含有点)とが所定間隔をおいて交互に繰り返し存在し、かつ前記Al最高含有点から前記Al最低含有点、前記Al最低含有点から前記Al最高含有点へAl(Ti)含有量が連続的に変化する成分濃度分布構造を有し、さらに、上記Al最高含有点が、組成式:(Ti1−XAl)N(ただし、原子比で、Xは0.70〜0.95を示す)、上記Al最低含有点が、組成式:(Ti1−YAl )N(ただし、原子比で、Yは0.40〜0.65を示す)、をそれぞれ満足し、かつ隣り合う上記Al最高含有点とAl最低含有点の間隔が、0.01〜0.1μmである耐摩耗性にすぐれた被覆工具が提案されている。
また、特許文献3には、工具基体表面に、TiAlN層を含む硬質被覆層が設けられた表面被覆切削工具において、
(a)TiAlNの平均組成を、組成式:(TiAl1−x)Nで表した場合、0.10≦x≦0.35(ただし、xは原子比)を満足し、
(b)工具基体表面と平行な方向にTiAlN層の結晶粒幅を測定した場合、平均結晶粒幅が30〜100nmである立方晶構造のTiAlNからなる微細結晶粒を含み、
(c)TiAlN層の縦断面において、工具基体表面の法線と前記立方晶構造の微細結晶粒の(001)面の法線とのなす角度を測定した場合に、そのなす角度が5度以下の立方晶構造を有する(001)配向微細結晶粒が存在するとともに、(001)配向微細結晶粒の周囲には、工具基体表面の法線と前記立方晶構造の微細結晶粒の(001)面の法線とのなす角度が5度を超え15度以下の微細結晶粒が存在し、かつ、前記(001)配向微細結晶粒および前記なす角度が5度を超え15度以下の微細結晶粒は、(001)配向性を持つ(001)配向集合組織を形成し、該(001)配向集合組織が、TiAlN層の縦断面に占める面積割合は、10面積%以上であり、好ましくは、該(001)配向集合組織は、TiAlN層の縦断面の300×500nmの範囲内に、少なくとも、2個以上存在し、
(d)TiAlN層をXRD測定したとき、立方晶構造の結晶粒の(200)面の回折ピーク強度をIc(200)、また、六方晶構造の結晶粒の(110)面の回折ピーク強度をIh(110)とした時、Ic(200)/Ih(110)≧2を満たす表面被覆切削工具が提案されている。
さらに、特許文献4には、工具基体の表面に、大電力パルススパッタリング(High Power Impulse Magnetron Sputtering:HiPIMS)により、ドロップレットのない硬質皮膜を作製した表面被覆切削工具が提案されている。
特開2015−36189号公報 特開2003−211304号公報 特開2018−164962号公報 特表2015−501371号公報
近年の切削加工装置の高性能化はめざましく、一方で切削加工に対する省力化および省エネ化、さらに低コスト化の要求は強く、これに伴い、切削加工はますます高速化・高能率化の傾向にあるが、上記従来の被覆工具においては、これを鋼や鋳鉄などの通常の切削条件での切削加工に用いた場合には、特段の問題は生じないが、これを、例えば、溶着性の高い被削材の高速断続切削加工に供した場合には、溶着チッピング、欠損等の異常損傷を発生しやすく、また、摩耗進行も促進されるため、比較的短時間で使用寿命に至るのが現状である。
例えば、特許文献1に示される従来被覆工具においては、M1−xAlNの一つの形態であるTiAlN層は高硬度で耐摩耗性にすぐれる層であり、Al含有量が多いほど耐摩耗性にすぐれるが、その一方で、格子歪が大きくなるため、耐欠損性が低下するという問題がある。
また、特許文献2に示される従来被覆工具においては、層厚方向に組成変化を形成することで高温硬さと耐熱性、靱性を両立せしめることができるが、層厚方向に形成される層内の異方性によって、層厚と垂直方向のクラックの発生・伝播を十分に防止することはできないという問題がある。
さらに、特許文献3に示される従来被覆工具においては、合金鋼の高速断続切削加工においては、すぐれた耐欠損性と耐摩耗性を示すが、例えば、Ni基耐熱合金、Ti基耐熱合金、ステンレス鋼のような溶着性の高い被削材の高速断続切削加工においては、溶着が生じやすくなるため、耐チッピング性、耐欠損性等の耐異常損傷性が十分とはいえず、満足できる切削性能を発揮するとは言い難い。
さらに、特許文献4に示される従来被覆工具は、高硬度で低残留応力の皮膜を有しているとされているが、溶着性の高い被削材の高速断続切削加工に供した場合には、溶着の発生によって、工具寿命が短命である。
そこで、本発明者等は、溶着性の高い被削材の高速断続切削加工のように、切削加工時の高熱発生によって被削材との溶着を生じやすく、しかも、切刃に対して衝撃的・断続的な高負荷が作用する切削加工条件下で、硬質被覆層がすぐれた耐異常損傷性と耐摩耗性を両立し得る被覆工具を開発すべく、硬質被覆層の成分組成、結晶構造および層構造等に着目し研究を行った結果、以下のような知見を得た。
即ち、本発明者等は、工具基体表面に、少なくともTiとAlの複合窒化物(以下、「TiAlN」で示す場合がある。)層を含む硬質被覆層を設けた被覆工具において、該層におけるAlのTiとAlの合量に占める組成割合を比較的高くするとともに、TiAlN層が微細結晶粒を含むことによって硬質被覆層全体としての耐摩耗性を確保することができるが、TiAlN層に含まれる微細結晶粒は、結晶粒の不整合による粒界の増加により、粒界損傷(微細欠損)が発生しやすくなる。
そこで、粒界損傷(微細欠損)の発生を抑制するための方策を検討したところ、TiAlN層を構成する立方晶のTiAlN結晶粒の(001)面の法線が、工具基体表面の法線方向となす角度が5度以下である微細結晶粒(以下、「(001)配向微細結晶粒」という場合がある。)を形成するとともに、さらに、前記(001)配向微細結晶粒の周囲には、工具基体表面の法線方向とのなす角度が5度を超え15度以下である微細結晶粒を形成することによって、前記微細結晶粒は(001)配向性を持つ結晶配向集合組織を形成するため、粒界損傷の発生を抑制することができるようになることを見出した。
さらに、被覆工具の刃先稜線部に存在する混入溶滴(ドロップレットあるいはパーティクルともいう)の面積率を適正な範囲に定めることによって、被削材と硬質被覆層表面の混入溶滴の反応性を低下せしめることができ、これによって溶着チッピングの発生を低減できるとともに、刃先稜線部の靱性を高め、好ましくは微細結晶粒はその結晶粒幅が100nmより大きい粗大結晶粒を含まないので切削加工時に刃先に作用する衝撃を緩和することができるため、クラックの伝播・進展を抑制し、硬質被覆層のチッピング発生、欠損発生、剥離発生を抑制できることを見出した。
その結果、本発明の被覆工具は、Ni基耐熱合金、Ti基耐熱合金、ステンレス鋼のような溶着性の高い被削材を、高熱発生を伴い、しかも、切刃に対して衝撃的・断続的な高負荷が作用する高速断続切削加工に供した場合であっても、すぐれた耐異常損傷性と耐摩耗性を発揮することができることを見出したのである。
この発明は、上記の知見に基づいてなされたものであって、
「(1)WC基超硬合金、TiCN基サーメットおよび立方晶窒化硼素焼結体のいずれかからなる工具基体表面に、0.5〜10.0μmの平均層厚のTiとAlの複合窒化物層を少なくとも含む硬質被覆層が設けられた表面被覆切削工具において、
(a)前記TiとAlの複合窒化物層は、その組成を、
組成式:(TiAl1−x)N
で表した場合、0.10≦x≦0.35(ただし、xは原子比)を満足する平均組成を有し、
(b)前記TiとAlの複合窒化物層の縦断面において、工具基体表面と平行な方向に結晶粒幅を測定した場合、平均結晶粒幅が30〜100nmである立方晶構造のTiとAlの複合窒化物からなる微細結晶粒を含み、
(c)前記TiとAlの複合窒化物層の縦断面において、前記微細結晶粒が前記縦断面に占める面積割合は10〜70面積%であり、
(d)前記TiとAlの複合窒化物層の縦断面において、工具基体表面の法線と前記立方晶構造の微細結晶粒の(001)面の法線とのなす角度を測定した場合に、そのなす角度が5度以下の立方晶構造を有する(001)配向微細結晶粒が存在するとともに、前記(001)配向微細結晶粒の周囲には、工具基体表面の法線と前記立方晶構造の微細結晶粒の(001)面の法線とのなす角度が5度を超え15度以下の微細結晶粒が存在し、かつ、前記(001)配向微細結晶粒および前記なす角度が5度を超え15度以下の微細結晶粒は、(001)配向性を持つ(001)配向集合組織を形成し、該(001)配向集合組織が、前記TiとAlの複合窒化物層の縦断面に占める面積割合は、10面積%以上であり、
(e)前記TiとAlの複合窒化物層をXRD測定したとき、立方晶構造の結晶粒の(200)面の回折ピーク強度をIc(200)、また、六方晶構造の結晶粒の(110)面の回折ピーク強度をIh(110)とした時、Ic(200)/Ih(110)≧2を満たし、
(f)前記TiとAlの複合窒化物層の少なくとも刃先稜線部の縦断面においては、最大長さが50nm以上の大きさを有する混入溶滴の面積の和(Sdp)が、前記刃先稜線部の縦断面の面積(Sc)に対して占める面積比率Sdp/Scは、0.100%以下であり、かつ、最大長さ10nm以上50nm未満の大きさを有する混入溶滴の面積の和(Ssdp)の前記刃先稜線部の縦断面の面積(Sc)に対する面積比率Ssdp/Scが0.001%以上0.100%以下であることを特徴とする表面被覆切削工具。
(2)前記(001)配向集合組織は、前記TiとAlの複合窒化物層の縦断面の300×500nmの範囲内に、少なくとも、2個以上存在することを特徴とする前記(1)に記載の表面被覆切削工具。
(3)前記TiとAlの複合窒化物層の縦断面において、前記微細結晶粒はその結晶粒幅が100nmより大きい粗大結晶粒を含まないことを特徴とする前記(1)または(2)に記載の表面被覆切削工具。」
を特徴とするものである。
本発明の被覆工具は、硬質被覆層が少なくともTiAlN層を含み、該TiAlN層は、平均結晶粒幅が30〜100nmである微細結晶粒を含み、該TiAlN層の縦断面において、前記微細結晶粒が前記縦断面に占める面積割合は10〜70面積%であり、該微細結晶粒は、(001)配向微細結晶粒を含み、かつ、該(001)配向微細結晶粒の周囲には、(001)面の法線が工具基体表面の法線方向となす角度が5度を超え15度以下である微細結晶粒を形成することによって、TiAlN層内に(001)配向集合組織を形成し、その結果、微細結晶粒による耐摩耗性向上効果と(001)配向集合組織による耐欠損性向上効果が共に発揮される。
さらに、刃先稜線部のTiAlN層について、Sdp/Scの値を、0.100%以下であり、かつSsdp/Scの値を、0.001%以上0.100%以下と定めることにより、刃先に作用する高負荷に対してTiAlN層の靱性を維持することができるとともに、溶着発生を原因とする溶着チッピング、欠損、剥離等の異常損傷の発生を抑制することができる。
また、さらに、前記(001)配向集合組織は、該TiAlN層の縦断面の300×500nmの範囲内に、少なくとも、2個以上存在することによって、高負荷が作用する溶着性の高い被削材の切削加工において(001)配向集合組織よる微細欠損の低減が発揮される。
したがって、本発明の被覆工具は、Ni基耐熱合金、Ti基耐熱合金、ステンレス鋼のような溶着性の高い被削材を、高熱発生を伴い、しかも、切刃に対して衝撃的・断続的な高負荷が作用する高速断続切削加工に供した場合であっても、すぐれた耐異常損傷性と耐摩耗性を発揮する。
好ましくは本発明の被覆工具は、結晶粒幅が100nmより大きい粗大結晶粒を含まない場合、結晶粒幅が100nmを超える過度に粗大なTiAlN結晶粒が存在しないので、TiAlN層全体における粒界の長さが短くならないため、切削加工時に加わる衝撃を分散しやすくなり、すぐれた耐欠損性を発揮する。
工具基体表面の法線(断面研磨面における工具基体表面と垂直な方向)に対する微粒結晶粒の結晶面である(001)面の法線がなす傾斜角が0度の場合を示した模式図である。 工具基体表面の法線(断面研磨面における工具基体表面と垂直な方向)に対する微粒結晶粒の結晶面である(001)面の法線がなす傾斜角が15度の場合を示した模式図である。 本発明被覆工具の刃先部分の縦断面の概略模式図を示し、本発明でいう刃先稜線部とは、図中A−B−C−Dで囲まれたTiAlN層の領域である。 本発明被覆工具のTiAlN層を成膜するのに用いる高出力インパルスマグネトロンスパッタリング装置とアークイオンプレーティング装置を併設した物理蒸着装置(HiPIMS/AIP装置)の概略図を示し、(a)は概略平面図、(b)は概略正面図である。
つぎに、この発明の被覆工具について、詳細に説明する。
TiAlN層の平均層厚:
硬質被覆層は、少なくともTiAlN層を含むが、該TiAlN層の平均層厚が0.5μm未満では、TiAlN層によって付与される耐摩耗性向上効果、耐欠損性向上効果が十分に発揮されず、一方、平均層厚が10.0μmを超えると、TiAlN層の中の歪みが大きくなり自壊しやすくなるため、TiAlN層の平均層厚は0.5〜10.0μmとする。
TiAlN層の平均組成:
TiAlN層を、
組成式:(TiAl1−x)N
で表した場合、0.10≦x≦0.35(ただし、xは原子比)を満足する平均組成を有することが必要である。
Ti成分の平均組成を表すxが0.10未満である場合には、六方晶構造のTiAlN結晶粒が形成されやすくなり、TiAlN層の硬度が低下し十分な耐摩耗性を得ることができない。
一方、Ti成分の平均組成を表すxが0.35を超える場合には、Al成分の組成割合が減少するため、TiAlN層の高温硬さおよび高温耐酸化性が低下する。
したがって、Ti成分の平均組成xは、0.10≦x≦0.35とする。
Ti成分の平均組成xは、SEM−EDSを用いて、TiAlN層の縦断面の複数個所(例えば、5箇所)でTi成分量を測定し、その測定値を平均することによって求めることができる。
なお、前記組成式において、N/(Ti+Al+N)の値は、必ずしも、化学量論比である0.5である必要はなく、工具基体表面の汚染の影響などで不可避的に検出される炭素や酸素などの元素をのぞいてTi、Al、Nの含有割合の原子比を定量し、TiとAlとNの含有割合の原子比の合計に対するNの含有割合の原子比が0.45以上0.65以下の範囲であれば、本発明のTiAlN層において同等の効果が得られ特に問題はない。
また、本発明のTiAlN層は、前述したように、六方晶構造のTiAlN結晶粒を過度に多量に含むことは望ましくないが、XRD測定による回折ピーク強度比によりこれを言い換えれば、TiAlN層をXRD解析した場合に、立方晶構造の結晶粒の(200)面の回折ピーク強度をIc〕(200)、また、六方晶構造の結晶粒の(110)面の回折ピーク強度をIh(110)とした時、Ic(200)/Ih(110)≧2を満足すれば、六方晶構造のTiAlN結晶粒による弊害を生じることはないから、Ic(200)/Ih(110)≧2を満足することが望ましい。
TiAlN層中の微細結晶粒:
本発明のTiAlN層では、工具基体表面と平行な方向に測定したTiAlN結晶粒の幅が30〜100nmである立方晶構造の微細結晶粒を含み、該TiAlN層の縦断面において、前記微細結晶粒が前記縦断面に占める面積割合は10〜70面積%であり、さらに、該立方晶構造の微細結晶粒の(001)面の法線がなす角度と工具基体表面の法線とのなす角度を透過型電子顕微鏡に付属する結晶方位解析装置で測定した場合、そのなす角度が5度以下である(001)配向微細結晶粒が存在する。
さらに、前記(001)配向微細結晶粒の周囲には、工具基体表面の法線と(001)面の法線とのなす角度が5度を超え15度以下である立方晶構造の微細結晶粒が存在し、前記(001)配向微細結晶粒と前記なす角度が5度を超え15度以下の立方晶構造の微細結晶粒は、(001)配向性を持つ(001)配向集合組織を形成している。
ここで、微細結晶粒の結晶粒幅を30〜100nmと定め、好ましくは結晶粒幅が100nmより大きい粗大結晶粒を含めないとしたのは、TiAlN層における粒界の長さが短くなるために、切削加工時に加わる衝撃を分散しにくくなるため、耐欠損性が低下し、一方、平均結晶粒幅が30nm未満の超微粒結晶粒になると粒界が増えるため、切削加工時に被削材と粒界部との接触確率が高くなった結果、結晶粒の脱粒が起きやすくなるため、粗粒結晶粒による耐摩耗性の確保ができなくなるという理由による。
また、前記平均結晶粒幅が30〜100nmである立方晶構造の微細結晶粒について、透過型電子顕微鏡に付属する結晶方位解析装置により、工具基体表面の法線と立方晶構造の微細結晶粒の(001)面の法線とのなす角度を求めた場合に、そのなす角度が5度以下の立方晶構造を有する(001)配向微細結晶粒が存在し、しかも、該(001)配向微細結晶粒の周囲には、工具基体表面の法線と(001)面の法線とのなす角度が5度を超え15度以下の立方晶構造の微細結晶粒が存在し、前記(001)配向微細結晶粒と前記なす角度が5度を超え15度以下の立方晶構造の微細結晶粒は、(001)配向性を持つ結晶配向集合組織、即ち、(001)配向集合組織を形成している。
ここで、(001)配向微細結晶粒を存在させるのは、TiAlN層の耐摩耗性向上を図るためであるが、TiAlN層は微細結晶粒を主体として構成されているため、粒界が多く結晶粒の脱粒が起きやすくなるため、切削加工時に微細欠損を発生しやすい。そこで、見掛け上の粒界を少なくし、耐粒界損傷性を高めるために、(001)配向微細結晶粒の周囲に、工具基体表面の法線と(001)面の法線とのなす角度が5度を超え15度以下の立方晶構造の微細結晶粒を形成し、前記(001)配向微細結晶粒と前記なす角度が5度を超え15度以下の立方晶構造の微細結晶粒によって、(001)配向集合組織を形成する。即ち、(001)配向集合組織を形成する立方晶構造の微細結晶粒については、その(001)面の法線と、工具基体表面の法線とのなす角度は、0〜15度の範囲内となる。
この様な(001)配向集合組織を形成することによって、本発明のTiAlN層は微細結晶粒を主体として構成されているにもかかわらず、(001)配向集合組織を構成する微細結晶粒の粒界が少なくなるため、粒界が多いことによるデメリットである切削加工時の微細欠損の発生が低減される。
TiAlN層の縦断面を透過型電子顕微鏡に付属する結晶方位解析装置で測定した場合、前記(001)配向集合組織がTiAlN層の縦断面に占める面積割合は、10面積%以上とする。
これは、TiAlN層の縦断面に占める(001)配向集合組織の面積割合が10面積%未満では、溶着性の高い被削材を、高熱発生を伴い、かつ、切刃に衝撃的・断続的な高負荷が作用する高速断続切削加工した場合には、耐チッピング性、耐欠損性向上効果が十分に発揮されないためである。
また、(001)配向集合組織は皮膜中に分散して存在することが望ましく、TiAlN層の縦断面の300×500nmの範囲内を透過型電子顕微鏡に付属する結晶方位解析装置で測定した場合に、(001)配向集合組織が、少なくとも、2個以上存在することが望ましい。
TiAlN層の縦断面の300×500nmの範囲内に、(001)配向集合組織が存在しない場合、あるいは、1個しか存在しないような場合には、高負荷が作用する溶着性の高い被削材の切削加工において(001)配向集合組織よる微細欠損の低減による耐チッピング性、耐欠損性向上の効果が十分に発揮されないためである。
本発明の硬質被覆層は、前記したTiAlN層の単層構造として構成することができるが、
2層以上の積層構造として構成された硬質被覆層にあっては、該積層構造を構成する層のうちの少なくとも一つの層を前記TiAlN層で形成することが望ましい。
微細結晶粒の平均結晶粒幅、結晶構造、結晶方位の測定、(001)配向微細結晶粒および(001)配向集合組織の特定、面積割合:
本発明のTiAlN層の微細結晶粒の平均結晶粒幅、結晶構造、結晶方位の測定、(001)配向微細結晶粒および(001)配向集合組織の特定等は、例えば、透過型電子顕微鏡に付属する結晶方位解析装置を用いて、TiAlN層の縦断面(即ち、工具基体表面に垂直な方向の断面)を測定することにより求めることができる。
より具体的には、次のとおりである。
透過型電子顕微鏡で、TiAlN層を含む硬質被覆層の縦断面を観察する方法は以下の通りである。
まず、TiAlN層を含む硬質被覆層の縦断面を切り出した後、結晶粒径と同程度の厚さ(30nm)以下に研磨した切片をセットし、200kVに加速された電子線を前記切片の表面(すなわちTiAlN層を含む硬質被覆層に相当する表面)に照射することで観察を行う。
次にTiAlN層を含む硬質被覆層の縦断面の観察結果から、結晶粒幅、結晶構造、面積割合及び工具基体表面に対する結晶方位の解析範囲を決める方法は以下の通りである。
まず、硬質被覆層の縦断面の観察画像における、硬質被覆層と工具基体との界面上の2点を任意で選定する。その際、2点間を線分でつないだ長さは1000nmになるよう選定する。結晶方位の解析範囲は、前記線分と平行方向に1000nm(この方向を以下「解析範囲の横方向」と定義する)、垂直方向に400nm(この方向を以下「解析範囲の縦方向」と定義する)の長方形の範囲とする。その際、前記の範囲には全てTiAlN層の縦断面のみ含める(工具基体、ならびにTiAlN層以外の硬質被覆層は含めない)。
前記の測定範囲において、結晶方位のマップデータを得る解析方法は以下の通りである。前記切片の表面に、切片の表面の法線方向に対して0.5〜1.0度に傾けた電子線をPrecession(歳差運動) 照射しながら、電子線を任意のビーム径及び間隔でスキャンし、連続的に電子線回折パターンを取り込み、個々の測定点の結晶方位を解析する。なお、本測定に用いた回折パターンの取得条件は、カメラ長20cm、ビームサイズ2.2nmで、測定ステップは2.0nmである。
得られる電子線回折パターンから個々の結晶粒を判別するための解析方法は、以下の通りである。まず、測定点の隣接点同士の結晶方位が5度以上離れている場合、粒界に属する測定点と判断する。次に、粒界に属する測定点同士を線分でつなぎ合わせることで、前記線分に囲まれている部分を結晶粒と定義する。ただし、この線分がTiAlN層表面、TiAlN層と硬質被覆層が接する面、または工具基体表面と接する場合は、それぞれの表面または界面の粒界とみなす。そして解析範囲の横方向に平行な方向における粒界と粒界との距離から結晶粒幅を測定し、5個所の平均から平均結晶粒幅を算出する。
工具基体表面の法線と立方晶構造を有する微細結晶粒の(001)面の法線とのなす角度とそれによって得られる(001)配向微細結晶粒の特定、ならびに(001)配向集合組織の特定とその面積割合の算出方法について説明する。
まず前記の結晶方位解析装置を用いて、工具基体表面1aの法線L1(工具基体表面1aと垂直な方向)に対して、測定範囲内に含まれる測定点での結晶面である(001)面の法線L2がなす傾斜角(図1A、図1B参照)を測定する。その傾斜角のうち、法線方向L1に対して0〜15度の範囲内(図1Aの0度から図1Bの15度までの範囲内)にある傾斜角を5度のピッチ毎に区分して、前記方法で測定した結晶粒を0度以上5度以下、5度を超え10度以下、10度を超え15度以下に選別する。このときの法線とのなす角度が0度以上5度以下の結晶粒を(001)配向微細結晶粒とする。また、この(001)配向微細結晶粒に法線とのなす角度が5度を超え10度以下、10度を超え15度以下の結晶粒の一方若しくはその両方が隣接する時、これらを(001)配向集合組織として、これらの結晶粒内に含まれる測定点の全数を結晶粒の測定点の全数で割ることにより、微細結晶粒の面積割合を算出する。なお、1つの測定点が占める面積は一定のため、測定点数の割合から面積割合が求められる。
以上1つの解析範囲において、平均結晶粒幅、結晶構造、結晶方位の測定、(001)配向微細結晶粒および(001)配向集合組織の特定と(001)配向集合組織の面積割合の算出方法について説明したが、実際に観察、解析を行う際には5つの解析範囲を設定し、平均値を算出する。
混入溶滴:
混入溶滴とは、例えば、AIP装置により成膜された硬質皮膜に一般的に存在し、ドロップレットあるいはパーティクルともいわれるものであって、アーク放電により溶融したターゲット成分が液滴として飛散し、硬質被覆層中に取り込まれた粒のことである。
本発明では、混入液滴について、次のように定義する。
すなわち、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いたエネルギー分散型X線分析法(EDS)(以下、「SEM−EDS」という)および、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いたエネルギー分散型X線分析法(以下、「TEM−EDS」という)のマッピング分析により刃先稜線部のTiAlN層の縦断面のAl、Ti、N成分の組成を測定したときに、Alおよび/またはTiが検出され、かつN成分が検出されない領域であると定義する。
本発明でいう刃先稜線部とは次のとおりである。
図2に示される本発明被覆工具において、図2のA−B−C−Dで囲まれたTiAlN層の領域を「刃先先端部」と定義する。
ここで、Aは、刃先ホーニング部のすくい面からの起点を示し、直線ABは、起点Aからすくい面に垂直に引いた線分である。
また、Dは、刃先ホーニング部の逃げ面からの起点を示し、直線CDは、起点Dから逃げ面に垂直に引いた線分である。
そして、上記A−B−C−Dで囲まれたTiAlN層の領域が、本発明でいう「刃先稜線部」である。
混入溶滴の面積比率:
前記混入溶滴に関して、刃先稜線部のTiAlN層の縦断面をSEM−EDSマッピング分析により倍率50000倍で観察し、混入液滴の最大長さが50nm以上である粒の面積の和をSdpとし、前記刃先稜線部のTiAlN層の縦断面の面積をScとした場合に、SdpのScに対する比Sdp/Scが0.100%以下、かつ、TEM−EDSマッピング分析により倍率100000倍で観察し、最大長さ10nm以上50nm未満の大きさを有する混入溶滴の面積の和をSsdpとした場合に、SsdpのScに対する比Ssdp/Scが0.001%以上0.100%未満を満足することが好ましい。
なお、ここでいう混入液滴の最大長さとは、混入液滴の輪郭線上の任意の2点間の最大値を指す。
Sdp/Scを上記のとおり定めた理由は、Sdp/Scが0.100%を超えると、刃先稜線部のTiAlN層全体に対する混入液滴の含有比率が高くなるため、切削加工の進行とともにTiAlN層が摩耗すると、TiAlN層表面に新たな混入溶滴が露出してくる。そして、混入溶滴と被削材との溶着性が高いため、溶着チッピング、欠損、剥離が発生しやすくなり、耐異常損傷性が低下するためである。
したがって、少なくとも刃先稜線部のTiAlN層の縦断面における最大長さが50nm以上の大きさを有する混入溶滴の面積の和Sdpと、刃先稜線部の縦断面の面積Scとの面積比率Sdp/Scは、0.100%以下とする。
Ssdp/Scを上記のとおり定めた理由は、Ssdp/Scが前記範囲に存在すれば、微細な混入溶滴が硬質被覆層内部に拡散して存在していることにより、混入溶滴が切削雰囲気により酸化アルミニウム(AlO)となることにより、耐熱性、対酸化性に優位に働き、切削性能が向上する。このため、Ssdp/Scが0.001%未満であると、上記の効果が発生せず、切削向上が向上しない。
一方、Ssdp/Scが0.100%を超えると刃先稜線部のTiAlN層全体に対する混入液滴の含有比率が高くなるため、AlOによる被覆効果より前記混入溶滴と秘策材との溶着性による影響が支配的となり、溶着チッピング、欠損、剥離が発生しやすくなり、耐以上損傷性が低下するためである。
したがって、少なくとも刃先稜線部のTiAlN層の縦断面における最大長さが10nm以上50nm未満の大きさを有する混入溶滴の面積の和Ssdpと、刃先稜線部の断面積の面積Scとの面積比率Ssdp/Scは、0.001%以上0.100%未満とする。
TiAlN層の成膜方法:
本発明のTiAlN層は、例えば、高出力インパルスマグネトロンスパッタリング(HiPIMS)装置とアークイオンプレーティング(AIP)装置を併設した物理蒸着装置(以下、「HiPIMS/AIP装置」という)を用い、高出力インパルスマグネトロンスパッタリングによって成膜することができる。
図3(a)、(b)に、本発明のTiAlN層を成膜するための、HiPIMS/AIP装置の概略図を示す。
図3(a)、(b)に示すHiPIMS/AIP装置の相対向する壁面に、アークイオンプレーティング用の所定組成のTi−Al合金カソード電極(ターゲット)を対向配置するとともに、同じく前記HiPIMS/AIP装置の他の相対向する壁面には、高出力インパルスマグネトロンスパッタリング用の所定組成のTi−Al合金カソード電極(ターゲット)を対向配置し、装置中央に設けられたテーブル上には、前記各Ti−Al合金カソード電極(ターゲット)からほぼ等距離となる位置(例えば、図3(a)に示されるような4箇所)に、工具基体を載置する。
次いで、テーブル上で工具基体を自転させながら、工具基体を所定の温度範囲に加熱し、反応ガスを装置内に導入し、アークイオンプレーティングによる工具基体の表面ボンバード洗浄を行い、高出力インパルスマグネトロンスパッタリングを行うことにより、本発明のTiAlN層を成膜することができる。
なお、この場合の高出力インパルスマグネトロンスパッタリング条件は、概ね、以下のとおりである。
≪高出力インパルスマグネトロンスパッタリング条件≫
ターゲット(カソード電極):TiAl1−x (但し、0.10≦x≦0.35)のTi−Al合金
投入電力:1000〜1500(W)
ピーク電流:100(A)
パルス周波数:500〜800(Hz)
パルス印加時間:75〜100(μs)
≪共通する条件≫
ガス圧力:0.2〜0.3(Pa)
Arガス圧力:0.6〜0.7(Pa)
工具基体温度:500〜550(℃)
バイアス電圧:80〜90(−V)
なお、Sdp/Scの値については、後記実施例で述べるように、バイアス電圧、高出力インパルスマグネトロンスパッタリング条件である投入電力、ピーク電流、パルス周波数、パルス印加時間をコントロールすることによって、所定の数値範囲に収めることができる。
つぎに、この発明の被覆工具を実施例により具体的に説明する。
なお、具体的な説明としては、WC基超硬合金を工具基体とする被覆工具について説明するが、TiCN基サーメットあるいは立方晶窒化硼素焼結体を工具基体とする被覆工具についても同様である。
原料粉末として、いずれも0.5〜5μmの平均粒径を有する、Co粉末、TaC粉末、NbC粉末、VC粉末、Cr粉末 、WC粉末を用意し、これら原料粉末を、表1に示される配合組成に配合し、さらにワックスを加えてボールミルで72時間湿式混合し、減圧乾燥し後、100MPaの圧力でプレス成形し、これらの圧粉成形体を焼結し、所定寸法となるように加工して、ISO規格SEEN1203AFENのインサート形状をもったWC基超硬合金工具基体1〜2を製造した。
Figure 2020151798
上記の工具基体1、2のそれぞれを、アセトン中で超音波洗浄し、乾燥した後、高出力インパルスマグネトロンスパッタリング用の所定組成のTi−Al合金カソード電極(ターゲット)とアークイオンプレーティング用の所定組成のTi−Al合金カソード電極(ターゲット)が配置されたHiPIMS/AIP装置内に配置し、かつ、その配置位置は、HiPIMS/AIP装置内に設けられた工具基体装着用のテーブルの中心軸から離れた位置であって、Ti−Al合金カソード電極(ターゲット)からほぼ等距離となる位置(例えば、図3(a)に示す4箇所)に配置した。
HiPIMS/AIP装置内には、装置内を排気して真空に保持しながら、ヒータで工具基体を450℃に加熱した後、前記テーブル上で自転する工具基体に−1000Vの直流バイアス電圧を印加し、かつ、Ti−Al合金カソード電極(ターゲット)に100Aのアーク電流を流してアーク放電を発生させ、もって工具基体表面をボンバード洗浄した。
ついで、前記アークイオンプレーティングと同時に、装置内に反応ガスとしてアルゴンガスをと窒素ガスを導入して表2に示す圧力にするとともに、前記テーブル上で自転する工具基体の温度を表2に示す温度範囲に加熱維持し、工具基体と所定組成のTi−Al合金カソード電極(ターゲット)に表2に示すバイアスを印加するとともに、Ti−Al合金カソード電極(ターゲット)に表2に示す電力を印加することにより、高出力インパルスマグネトロンスパッタリングを行った。
上記の工程で、高出力インパルスマグネトロンスパッタリングを行うことにより、本発明のTiAlN層を成膜した表4に示す本発明被覆工具1〜13(以下、本発明工具1〜13という)を製造した。
比較の目的で、図3に示すHiPIMS/AIP装置を用いて、工具基体1、2のそれぞれに、本発明工具1〜13の場合と同様な条件でボンバード洗浄を施したのち、表3に示す高出力インパルスマグネトロンスパッタリングでTiAlN層を形成することにより、表5に示す比較例被覆工具1〜13(以下、比較例工具1〜13という)をそれぞれ製造した。
上記で作製した本発明工具1〜13、比較例工具1〜13のTiAlN層について、工具基体に垂直な縦断面について、走査型電子顕微鏡を用いて断面測定し、5ヶ所の測定値の平均値から、平均層厚を算出した。
また、本発明工具1〜13、比較例工具1〜13のTiAlN層におけるTi成分の組成を、SEM−EDSにより層厚方向に0.4μm以上、基体表面に平行な方向に1μm以上の視野範囲で測定し、5箇所の測定値の平均値を、TiAlN層のTi成分の平均組成xとして求めた。
表4、表5に、それぞれの値を示す。
また、本発明工具1〜13および比較例工具1〜13のTiAlN層について、透過型電子顕微鏡に付属する結晶方位解析装置を用いて、TiAlN層中の微細結晶粒の結晶粒幅、結晶構造、結晶方位の測定を行うとともに、(001)配向微細結晶粒を特定し、(001)配向性を持つ結晶配向集合組織を特定し、さらに、その面積割合を測定した。
具体的には、以下のとおりである。
透過型電子顕微鏡で、TiAlN層を含む硬質被覆層の縦断面を観察する方法は以下の通りである。
まず、TiAlN層を含む硬質被覆層の縦断面を切り出した後、結晶粒径と同程度の厚さ(30nm)以下に研磨した切片をセットし、200kVに加速された電子線を前記切片の表面(すなわちTiAlN層を含む硬質被覆層に相当する表面)に照射することで観察を行う。
次にTiAlN層を含む硬質被覆層の縦断面の観察結果から、結晶粒幅、結晶構造、面積割合及び工具基体表面に対する結晶方位の解析範囲を決める方法は以下の通りである。
まず、硬質被覆層の縦断面の観察画像における、硬質被覆層と工具基体との界面上の2点を任意で選定する。その際、2点間を線分でつないだ長さは1000nmになるよう選定する。結晶方位の解析範囲は、前記線分と平行方向に1000nm(この方向を以下「解析範囲の横方向」と定義する)、垂直方向に400nm(この方向を以下「解析範囲の縦方向」と定義する)の長方形の範囲とする。その際、前記の範囲には全てTiAlN層の縦断面のみ含める(工具基体、ならびにTiAlN層以外の硬質被覆層は含めない)。
前記の測定範囲において、結晶方位のマップデータを得る解析方法は以下の通りである。
前記切片の表面に、切片の表面の法線方向に対して0.5〜1.0度に傾けた電子線をPrecession(歳差運動)照射しながら、電子線を任意のビーム径及び間隔でスキャンし、連続的に電子線回折パターンを取り込み、個々の測定点の結晶方位を解析する。なお、本測定に用いた回折パターンの取得条件は、カメラ長20cm、ビームサイズ2.2nmで、測定ステップは2.0nmである。
得られる電子線回折パターンから個々の結晶粒を判別するための解析方法は、以下の通りである。
まず、測定点の隣接点同士の結晶方位が5度以上離れている場合、粒界に属する測定点と判断する。次に、粒界に属する測定点同士を線分でつなぎ合わせることで、前記線分に囲まれている部分を結晶粒と定義する。ただし、この線分がTiAlN層表面、TiAlN層と硬質被覆層が接する面、または工具基体表面と接する場合は、それぞれの表面または界面の粒界とみなす。そして解析範囲の横方向に平行な方向における粒界と粒界との距離から結晶粒幅を測定し、5個所の平均から平均結晶粒幅を算出する。
工具基体表面の法線と立方晶構造を有する微細結晶粒の(001)面の法線とのなす角度とそれによって得られる(001)配向微細結晶粒の特定、ならびに(001)配向集合組織の特定とその面積割合の算出方法について説明する。
まず前記の結晶方位解析装置を用いて、工具基体表面1aの法線L1(工具基体表面1aと垂直な方向)に対して、測定範囲内に含まれる測定点での結晶面である(001)面の法線L2がなす傾斜角(図1A、図1B参照)を測定する。その傾斜角のうち、法線方向L1に対して0〜15度の範囲内(図1Aの0度から図1Bの15度までの範囲内)にある傾斜角を5度のピッチ毎に区分して、前記方法で測定した結晶粒を0度以上5度以下、5度を超え10度以下、10度を超え15度以下に選別する。このときの法線とのなす角度が0度以上5度以下の結晶粒を(001)配向微細結晶粒とする。また、この(001)配向微細結晶粒に法線とのなす角度が5度を超え10度以下、10度を超え15度以下の結晶粒が隣接する時これらを(001)配向集合組織として、これらの結晶粒内に含まれる測定点の全数を結晶粒の測定点の全数で割ることにより、微細結晶粒の面積割合を算出する。なお、1つの測定点が占める面積は一定のため、測定点数の割合から面積割合が求められる。
1つの解析範囲において、前記の方法で、平均結晶粒幅、結晶構造、結晶方位の測定、(001)配向微細結晶粒および(001)配向集合組織の特定と(001)配向集合組織の面積割合の算出を行ったが、同様にして合計5つの解析範囲において測定・算出を行い、これらの値の平均値を算出した。
また、本発明工具1〜13、比較例工具1〜13のTiAlN層について、TiAlN層を表面からXRD測定し、立方晶構造の結晶粒の(200)面の回折ピーク強度Ic(200)と六方晶構造の結晶粒の(110)面の回折ピーク強度Ih(110)を測定し、Ic(200)/Ih(110)の値を算出した。
表4、表5に、それぞれの値を示す。
また、本発明工具1〜13および比較工具1〜13について、TiAlN層の刃先稜線部における混入溶滴の面積率を求めた。
すなわち、図2で示される刃先稜線部A−B−C−CのTiAlN層に属する1つの観察視野において、倍率50000倍のSEM−EDSにより観察して、当該観察視野における最大長さが50nm以上である混入溶滴の面積の総和を求め、当該観察視野のTiAlN層の面積に対する面積比率を算出した。
そして、5つの観察視野で算出した面積比率の値を平均し、この値を、刃先稜線部のTiAlN層の面積(Sc)に対する、最大長さが50nm以上である混入溶滴の面積の総和(Sdp)の面積比率Sdp/Scとして求めた。
さらに、図2で示される刃先稜線部A−B−C−CのTiAlN層に属する1つの観察視野において、倍率100000倍のTEM−EDSにより観察して、当該観察視野における最大長さが10nm以上50nm以下である混入溶滴の面積の総和を求め、当該観察視野のTiAlN層の面積に対する面積比率を算出した。
そして、5つの観察視野で算出した面積比率の値を平均し、この値を、刃先稜線部のTiAlN層の面積(Sc)に対する、最大長さが10nm以上50nm以下である混入溶滴の面積の総和(Ssdp)の面積比率Ssdp/Scとして求めた。
表4、表5に、それぞれの値を示す。
Figure 2020151798
Figure 2020151798
Figure 2020151798


Figure 2020151798

次いで、本発明工具1〜13、比較例工具1〜13について、以下の条件で、高速断続切削の一種である乾式高速正面フライス、センターカット切削加工試験を実施し、切刃の逃げ面摩耗幅を測定した。
≪切削試験≫
カッタ径: 125 mm、
被削材: JIS・SUS440Aからなる幅100mm、長さ350mmのブロック材、
切削速度: 220 m/min、
切り込み: 2.5 mm、
一刃送り量: 0.21 mm/刃、
切削時間: 12 分、
上記の切削試験について、逃げ面摩耗幅を測定するとともに、刃先の損耗状況を観察した。
表6に、試験結果を示す。
Figure 2020151798
表6に示される結果から、本発明の被覆工具のTiAlN層には、平均結晶粒幅が30〜100nmの立方晶構造の微細結晶粒が、該TiAlN層の縦断面において10〜70面積%存在するとともに、該微細結晶粒が(001)配向性を持つ(001)配向集合組織を形成し、しかも、(001)配向集合組織が、TiAlN層の10面積%以上存在することから、微細結晶粒によってTiAlN層の耐摩耗性が向上すると同時に、前記(001)配向集合組織によって耐欠損性が向上し、さらに、刃先稜線部のSdp/Scが0.100%以下であり、Ssdp/Scが0.001%以上0.100%未満であることから、溶着性の高い被削材の高速断続切削加工において、すぐれた耐異常損傷性と耐摩耗性を発揮する。
またさらに、結晶粒幅が100nmより大きい粗大結晶粒を含まない本発明工具はすぐれた耐欠損性を示すことがわける。
これに対して、TiAlN層中の(001)配向集合組織の面積割合が少ない、あるいは、微細結晶粒の平均結晶粒幅が本発明の規定を外れる、あるいは、刃先稜線部のSdp/Scが0.100%以下の範囲を外れる、あるいは刃先稜線部のSsdp/Scが0.001%以上0.100%未満の範囲を外れる比較例工具は、チッピング、欠損、剥離等の異常損傷の発生あるいは耐摩耗性の低下によって、比較的短時間で使用寿命に至ることが明らかである。
この発明の被覆工具は、溶着性の高い被削材の切削加工を、高熱発生を伴い、しかも、切刃に対して衝撃的・断続的な高負荷が作用する高速断続切削を行った場合に、すぐれた耐異常損傷性とともに長期の使用に亘ってすぐれた耐摩耗性を発揮するものであるから、切削加工装置のFA化、並びに切削加工の省力化および省エネ化、さらに低コスト化に十分満足に対応できるものである。




Claims (3)

  1. WC基超硬合金、TiCN基サーメットおよび立方晶窒化硼素焼結体のいずれかからなる工具基体表面に、0.5〜10.0μmの平均層厚のTiとAlの複合窒化物層を少なくとも含む硬質被覆層が設けられた表面被覆切削工具において、
    (a)前記TiとAlの複合窒化物層は、その組成を、
    組成式:(TiAl1−x)N
    で表した場合、0.10≦x≦0.35(ただし、xは原子比)を満足する平均組成を有し、
    (b)前記TiとAlの複合窒化物層の縦断面において、工具基体表面と平行な方向に結晶粒幅を測定した場合、平均結晶粒幅が30〜100nmである立方晶構造のTiとAlの複合窒化物からなる微細結晶粒を含み、
    (c)前記TiとAlの複合窒化物層の縦断面において、前記微細結晶粒が前記縦断面に占める面積割合は10〜70面積%であり、
    (d)前記TiとAlの複合窒化物層の縦断面において、工具基体表面の法線と前記立方晶構造の微細結晶粒の(001)面の法線とのなす角度を測定した場合に、そのなす角度が5度以下の立方晶構造を有する(001)配向微細結晶粒が存在するとともに、前記(001)配向微細結晶粒の周囲には、工具基体表面の法線と前記立方晶構造の微細結晶粒の(001)面の法線とのなす角度が5度を超え15度以下の微細結晶粒が存在し、かつ、前記(001)配向微細結晶粒および前記なす角度が5度を超え15度以下の微細結晶粒は、(001)配向性を持つ結晶配向集合組織を形成し、該結晶配向集合組織が、前記TiとAlの複合窒化物層の縦断面に占める面積割合は、10面積%以上であり、
    (e)前記TiとAlの複合窒化物層をXRD測定したとき、立方晶構造の結晶粒の(200)面の回折ピーク強度をIc(200)、また、六方晶構造の結晶粒の(110)面の回折ピーク強度をIh(110)とした時、Ic(200)/Ih(110)≧2を満たし、
    (f)前記TiとAlの複合窒化物層の少なくとも刃先稜線部の縦断面においては、最大長さが50nm以上の大きさを有する混入溶滴の面積の和(Sdp)が、前記刃先稜線部の縦断面の面積(Sc)に対して占める面積比率Sdp/Scは、0.100%以下であり、かつ、最大長さ10nm以上50nm未満の大きさを有する混入溶滴の面積の和(Ssdp)の前記刃先稜線部の縦断面の面積(Sc)に対する面積比率Ssdp/Scが0.001%以上0.100%以下である、
    ことを特徴とする表面被覆切削工具。
  2. 前記(001)配向集合組織は、前記TiとAlの複合窒化物層の縦断面の300×500nmの範囲内に、少なくとも、2個以上存在することを特徴とする請求項1に記載の表面被覆切削工具。
  3. 前記TiとAlの複合窒化物層の縦断面において、前期微細結晶粒はその結晶粒幅が100nmより大きい粗大結晶粒を含まないことを特徴とする請求項1または2に記載の表面被覆切削工具。









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