JP2020151796A - 振動素子基板の製造方法及び振動素子基板 - Google Patents

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Abstract

【課題】振動素子基板の製造工程中の各種処理に対する耐性やエッチングによる加工性などの要求を満たす犠牲層を得ることができる製造方法を提供する。【解決手段】振動用空間15に面する振動膜17の振動部17aが該振動膜の膜面法線方向に振動する振動素子基板の製造方法であって、前記振動用空間となる基板10上の領域に、該基板と同じ材料からなる犠牲層を形成する工程と、前記犠牲層の上に前記振動膜を形成する工程と、前記基板における前記犠牲層とは反対側の面から前記犠牲層まで連通する犠牲層除去用孔12を該基板に形成する工程と、前記犠牲層除去用孔の内壁面にエッチング保護膜13を形成する工程と、前記犠牲層除去用孔を介して前記犠牲層をエッチングにより除去して前記振動用空間を形成する工程とを含む。【選択図】図2

Description

本発明は、振動素子基板の製造方法及び振動素子基板に関するものである。
従来、振動用空間に面する振動膜の振動部が該振動膜の膜面法線方向に振動する振動素子基板の製造方法が知られている。
例えば、特許文献1には、シリコン(Si)基板上に下部電極を形成する工程と、下部電極上に圧電膜を形成する工程と、圧電膜上に上部電極を形成する工程とを含む圧電デバイスの製造方法が開示されている。この製造方法は、更に、チタン(Ti)膜等によって構成される犠牲層を基板上に形成する工程と、この犠牲層上に支持層を形成する工程とを含み、この支持層の上に上述の下部電極を形成する。この製造方法においては、更に、基板における犠牲層とは反対側の面から犠牲層まで連通する第1開口部(犠牲層除去用孔)をエッチングにより形成する工程と、第1開口部を介してエッチング液を犠牲層へ導いて犠牲層をウェットエッチングにより除去して第2開口部(振動用空間)を形成する工程とを含む。このような製造方法により、第2開口部に面する支持層部分が振動膜の振動部として機能し、当該振動膜の膜面法線方向に振動する圧電デバイス(振動素子基板)が作成される。
しかしながら、従来の製造方法において用いられる犠牲層には、振動素子基板の製造工程中の各種処理に対する耐性(耐熱性など)やエッチングによる加工性などが要求されるところ、この要求を満たすような犠牲層を得ることが難しかった。
上述した課題を解決するために、本発明は、振動用空間に面する振動膜の振動部が該振動膜の膜面法線方向に振動する振動素子基板の製造方法であって、前記振動用空間となる基板上の領域に、該基板と同じ材料からなる犠牲層を形成する犠牲層形成工程と、前記犠牲層の上に前記振動膜を形成する振動膜形成工程と、前記基板における前記犠牲層とは反対側の面から前記犠牲層まで連通する犠牲層除去用孔を該基板に形成する孔形成工程と、前記犠牲層除去用孔の内壁面にエッチング保護膜を形成する保護膜形成工程と、前記犠牲層除去用孔を介して前記犠牲層をエッチングにより除去して前記振動用空間を形成する犠牲層除去工程とを含むことを特徴とするものである。
本発明によれば、振動素子基板の製造工程中の各種処理に対する耐性やエッチングによる加工性などの要求を満たす犠牲層を得ることができる。
実施形態に係る製造方法によって製造された超音波発生素子基板を示す平面図。 図1中A−A’断面を示す超音波発生素子基板の断面図。 同製造方法における基板上に犠牲層を形成する工程を示す説明図。 同犠牲層の上に振動膜を形成する工程を示す説明図。 同振動膜の上に圧電素子の第一電極及びPZT下層膜を形成する工程を示す説明図。 同PZT下層膜の上にPZT上層膜を形成する工程を示す説明図。 同PZT下層膜及び同PZT上層膜からなる圧電体膜の上に第二電極を形成する工程を示す説明図。 同第二電極の上に第二絶縁膜、配線、保護膜を形成する工程を示す説明図。 基板の裏面に犠牲層除去用孔を形成する工程を示す説明図。 犠牲層除去用孔の出口側にある酸化膜を除去する工程を示す説明図。 犠牲層除去用孔を介して犠牲層の除去部をエッチングにより除去する工程を示す説明図。 同超音波発生素子基板をプリント基板に接合、搭載した状態を示す説明図。 同超音波発生素子基板が搭載されたプリント基板を示す模式図。 同超音波発生素子基板の電極端子と同プリント基板の電極端子とをワイヤーボンディングにより電気的に接続した状態を示す模式図。 PMUTにおける犠牲層除去用孔と振動用空間との間における基板面方向の位置関係に関わる構成例1を示す平面図。 PMUTにおける犠牲層除去用孔と振動用空間との間における基板面方向の位置関係に関わる構成例2を示す平面図。 PMUTにおける犠牲層除去用孔と振動用空間との間における基板面方向の位置関係に関わる構成例3を示す平面図。 PMUTにおける犠牲層除去用孔と振動用空間との間における基板面方向の位置関係に関わる構成例3’を示す平面図。 PMUTにおける犠牲層除去用孔と振動用空間との間における基板面方向の位置関係に関わる構成例4を示す平面図。 図18のB−B’断面に対応する断面図。 CMUTにおける犠牲層除去用孔と振動用空間との間における基板面方向の位置関係に関わる構成例5を示す平面図。 CMUTにおける犠牲層除去用孔と振動用空間との間における基板面方向の位置関係に関わる構成例6を示す平面図。 CMUTにおける犠牲層除去用孔と振動用空間との間における基板面方向の位置関係に関わる構成例7を示す平面図。 CMUTにおける犠牲層除去用孔と振動用空間との間における基板面方向の位置関係に関わる構成例85を示す平面図。
以下、本発明を、振動用空間に面する振動膜の振動部が振動膜の膜面法線方向に振動する振動素子基板としての圧電素子基板である超音波発生素子基板の製造方法に適用した一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る製造方法によって製造された超音波発生素子基板を示す平面図である。
図2は、図1中A−A’断面を示す超音波発生素子基板の断面図である。
本実施形態に係る超音波発生素子基板1は、基板10、振動用空間15、振動膜17として機能する積層膜(酸化シリコン膜19、ポリシリコン膜20、第一絶縁膜21)、第一電極22、圧電体膜23、第二電極24、第二絶縁膜25、第二絶縁膜の開口部26、配線27、保護膜28、電極端子29などから構成される。
本実施形態の超音波発生素子基板1は、第一電極22と第二電極24との間に駆動電圧を印加することで、圧電体膜23が基板面方向に平行な方向に伸縮し、圧電体膜と一体に形成された振動膜17の振動部17aが当該振動膜17の膜面法線方向に振動することで、超音波を発生させる。駆動電圧は、電極端子29から配線27を介して外部より供給される。本実施形態においては、同時に駆動する複数(図1の例では3個)の個別振動子(圧電素子)からなる振動子群を、複数(図1の例では5群)配置している。第二電極24は、振動子群ごとの個別電極であり、第一電極22は、全振動子共通の共通電極である。なお、超音波発生素子基板1上に形成される実際の振動子の数は、通常、図示されている数よりも遥かに多い。
超音波発生素子基板1は、図2に示すように、IC(Integrated Circμit)やその他部品が実装されたプリント基板31に接合部材32を介して接合、搭載される。接合部材32には、例えば、ダイアタッチフィルムと呼ばれるドライフィルムの接合部材を使用することができる。
基板10には、耐熱性に優れ、剛性や強度が十分であるとともに、エッチング加工し易い材料を用いることが好ましく、本実施形態では単結晶シリコン(Si)基板を用いた。 基板10の表面側(図2の上側の面)には、振動膜17の振動部17aが面する振動用空間15が形成され、振動部17a及び圧電素子22,23,24からなる振動子が振動するためのスペースが確保されている。本実施形態では、図2に示すように、1つの振動子ごとに1つの振動用空間15を個別に形成しており、各振動用空間15は、酸化シリコン膜19及びポリシリコン膜20からなる仕切り部18によって仕切られている。
本実施形態の超音波発生素子基板1では、後述する製造工程で、振動用空間15を形成するために除去される犠牲層14が基板10上に形成されるが、形成された犠牲層14のうち、振動用空間15となる部分と仕切り部18が形成される部分とを除いた残りの部分である残存層14bは、除去されずにそのまま残してある。このような残存層14bを残しておくことで、その上に形成される振動膜17の上面の平坦性を確保することができる。
また、本実施形態における犠牲層14は、基板10と同じ材料であるシリコン(Si)からなる。このように犠牲層14が基板10と同じ材料であることで、基板10とその上に形成される犠牲層14とが、熱膨張率あるいは熱収縮率などの物理的特性を共通にし、製造工程での各種処理において、両者の材料が異なる場合に生じ得る歪みや剥離などの不具合を解消できる。
本実施形態においては、振動膜17の振動部17aの応力を制御するための膜をさらに積層してもよい。具体的には、一般に引っ張り応力が強いとされている、窒化シリコン膜を積層しても良い。
本実施形態の振動膜17の一例としては、酸化シリコン膜19を、LP−CVD(Low Pressμre−Chemical Vapor Deposition)法で厚さ0.5μm程度に形成する。また、ポリシリコン膜20は、LP−CVD法で厚さ3μm程度に形成する。第一絶縁膜21は、LP−CVD法で厚さ0.5μm程度に形成する。
また、第一絶縁膜21の上に形成される電気機械変換素子としての圧電素子の一例としては、第一電極22は白金(Pt)で形成し、密着層TiOを介して第一絶縁膜21上に成膜する。圧電体膜23は、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)で成膜する。圧電体膜23上には、第一電極と同じく白金(Pt)からなる第二電極24を形成する。
また、第二電極24の上に形成される第二絶縁膜25は、配線27と第一電極22との間の絶縁性を確保するためのほか、圧電素子の吸湿防止やその後の製造工程でのダメージ防止の役割を果たしている。第二絶縁膜25は、例えば、厚さ0.6μm程度の酸化シリコン膜を用いることができる。各圧電素子の第二電極24に対向する第二絶縁膜25の位置には、開口部26が開口している。そして、この第二絶縁膜25の上に配線27が形成され、第二絶縁膜25の開口部26を介して、配線27が第二電極24に接続される。
配線27は、その一端が外部との電気的接続部である電極端子29となっている。配線27には、例えば、50nm程度の厚みのチタン膜上に1μm程度の厚みの銅添加のアルミニウムを積層したものを用いることができる。また、配線27の上には、保護膜28が形成され、配線27を腐食等から保護している。保護膜28には、例えば、厚み0.8μmの窒化シリコン膜を用いることができる。また、保護膜28は、電極端子29に対向する箇所が開口しており、電極端子29と外部との電気的接続が可能になっている。
次に、本実施形態における超音波発生素子基板1の製造方法について、図3〜図14を参照して説明する。
まず、図3に示すように、シリコン(Si)からなる基板10上に、酸化膜11及び犠牲層14を成膜するとともに、犠牲層14を分離溝14cによって分離する。分離溝14cのパターン形状は、後に振動用空間15のために除去される犠牲層14の除去部14aの外周を縁取りするように設定されている。分離溝14cは、溝幅が例えば2μm程度になるように、例えば、フォトリソグラフィ・エッチング処理にて加工する。また、本実施形態では、除去部14aや分離溝14c以外の領域にも犠牲層14を形成し、その部分は残存層14bとして残しておくことになる。犠牲層14は、例えば、厚さ1μm程度に成膜する。
次に、図4に示すように、酸化シリコン膜19、ポリシリコン膜20、酸化シリコン膜からなる第一絶縁膜21を、LP−CVD法により成膜する。ポリシリコン膜20については、通常のポリシリコンでは、SiHガスを使用して630℃程度の温度環境下で成膜する方法を採用することが多いが、ここでは、表面粗さの低減のため、SiH6ガスを使用して520℃程度の温度環境下で成膜する方法を採用している。この場合、アモルファス状態のシリコン(Si)が成膜されるが、続く酸化シリコン膜19の成膜時には結晶化し、ポリシリコンとなる。なお、SiHガスを使用して630℃程度の温度環境下で成膜する方法では、表面粗さが大きくなるが、最終的な狙いの厚さよりも厚めにポリシリコン膜20を成膜し、タッチポリッシュ(削り量の少ないポリッシュ研磨)にて表面粗さを小さくするようにしてもよい。
酸化シリコン膜19、ポリシリコン膜20、第一絶縁膜21の厚さは、それぞれ、例えば、0.5μm、3μm、0.5μm程度とする。各膜の厚みは、振動子のサイズ、使用周波数などの条件に合わせて、適宜設定される。
また、分離溝14cの溝幅を2μm程度とすることで、分離溝14cの内部をポリシリコン膜20によってほぼ埋めることができる。ただし、厳密には、ポリシリコン膜20の上面側には分離溝14cに対応する若干のくぼみが生じるが、そのくぼみは、分離溝14cの深さ(すなわち犠牲層14の厚さ)に比べると非常に小さいものである。なお、応力調整のため、上述したように、窒化シリコン膜などの膜を追加で積層してもよい。
その後、第一絶縁膜21の上に、密着層として、約85nmの二酸化チタン(TiO)を成膜する。その成膜方法としては、例えば、スパッタ法によりチタン(Ti)を約60nmの厚みで成膜した後、酸素を流した状態でRTA(Rapid Thermal Anneal)を行って酸化するという方法を採用できる。
次に、密着層を形成した第一絶縁膜21の上に、図5に示すように、第一電極22となる白金(Pt)層22aを、スパッタ法により厚み200nmで成膜する。そして、その上に、圧電体膜23となるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の下層膜23aを厚み80nm程度で成膜し、振動子となる部分が残るように、例えば、フォトリソグラフィ・エッチング処理にてパターニングする。PZT下層膜23aの成膜は、例えば、CSD(Chemical Solution Deposition)法により、具体的には、酢酸鉛、ジルコニウムアルコキシド化合物、チタンアルコキシド化合物を出発材料とした前駆体液をスピンコートにて塗布後に、乾燥、熱分解、結晶化する方法により、行う。
次に、図6に示すように、PZT下層膜23aの上にPZT上層膜23bを作成する。具体的には、液体吐出ヘッドであるCSD液吐出ヘッド41を搭載したCSD液塗布装置にて、PZT下層膜23aの上に、PZT上層膜23bの前駆体となるCSD液を吐出して塗布する。CSD液塗布装置では、CSD液吐出ヘッド41が基板10の上方を移動し、あるいは、CSD液吐出ヘッド41の下方を基板10が移動し、PZT下層膜23aの箇所にだけCSD液を選択的に吐出する。
なお、PZT上層膜23bを形成する部分の外周の表面を、CSD液に対して撥液性を有するように処理しておくとよい。このような撥液処理を施すことで、CSD液の着弾位置に多少のバラツキがあったとしても、PZT上層膜23bを形成すべき部分(PZT下層膜23aの箇所)からCSD液がはみ出して広がるのを防ぐことができ、PZT下層膜23aの箇所にだけCSD液を適切に塗布することができる。
次に、このように塗布したCSD液を、乾燥、熱分解、結晶化して、PZT上層膜23bを形成する。CSD液の塗布量を調整することにより、結晶化された後のPZT上層膜23bの厚みを例えば100nm程度となるようにする。1回の工程で形成する膜厚を厚くするほど、生産性は向上するが、形成される膜にクラックが発生し易くなるため、1回の工程で形成する膜厚は、上述しように100nm程度であるのが好ましい。
さらに、上述した撥液処理、CSD液の吐出(選択塗布)、乾燥、熱分解、結晶化の工程を、所望の厚さのPZT上層膜23bが得られるまで繰り返し実施する。本実施形態では、前記工程を20回程度繰り返すことで、厚さ2μmの圧電体膜23を形成する。
次に、第二電極24となる白金膜をスパッタ法にて成膜する。白金膜の厚さは、例えば100nmとする。その後、白金膜に対してフォトリソグラフィ・エッチング処理を施して、図7に示すように、第二電極24の部分だけが残るようにパターニング処理し、第二電極24を形成する。また、これに続けて、図7に示すように、白金層22aをフォトリソグラフィ・エッチング処理にてパターニング処理して、第一電極22を形成する。
次に、図8に示すように、第二絶縁膜25を成膜する。本実施形態では、プラズマCVD法により、モノシラン(SiH)、亜酸化窒素(NO)ガスを原料として、0.6μm程度の厚みで成膜する。その後、フォトリソグラフィ・エッチング処理にて、図8に示すように、第二絶縁膜25に開口部26を形成する。そして、この上に、上述したAl−Cμ(厚み1μm)/Ti(厚み50nm)の配線材料をスパッタ法にて成膜した後、フォトリソグラフィ・エッチング処理にてパターニング処理して、図8に示すように、配線27を形成する。更に、図8に示すように、この上に保護膜28を成膜し、電極端子29の対応箇所を開口させる処理を行う。本実施形態では、保護膜28として、プラズマCVD法により、モノシラン(SiH)、亜酸化窒素、アンモニア(NH)ガスを原料として、厚み1μm程度の窒化シリコン膜を成膜した。開口は、フォトリソグラフィ・エッチング処理にて行うことができる。
次に、図9に示すように、基板10における犠牲層14とは反対側の面(以下「裏面」という。)に、犠牲層まで連通する犠牲層除去用孔12を形成する。具体的には、まず、加工時間の短縮や加工寸法精度の向上のため、基板10の裏面に対してバックグラインド加工およびポリッシュ処理を施し、基板10の厚みを200μmまで薄くする。その後、圧電素子を形成した基板10の素子形成面(図9中の上側の面)に、サポート基板を貼り付ける。サポート基板には、熱酸化膜で表面をカバーしたシリコンウェハを用いることができ、貼り付けには熱剥離テープを使用することができる。
その後、基板裏面に対してフォトリソグラフィ法により、犠牲層除去用孔12以外の箇所にレジストマスクを形成してから、ドライエッチング加工により、図9に示すように、基板10の裏面に犠牲層除去用孔12を加工する。
このドライエッチング加工は、シリコン深堀エッチャーを使用して、いわゆるボッシュプロセス(SFプラズマによるエッチングと、Cプラズマによる側壁保護膜形成とを交互に繰り返すプロセス)にて好適に行うことができる。すなわち、ボッシュプロセスにより犠牲層除去用孔12を形成することで、先にエッチングされた犠牲層除去用孔12の入口側の内壁面部分が、Cプラズマによる側壁保護膜によって、出口側のエッチング時にエッチングされてしまうのを阻止することができる。これにより、犠牲層除去用孔12の入口から出口まで狙いの寸法の孔を形成することができる。
ここで、本実施形態では、上述したように、犠牲層14を基板10と同じ材料であるシリコン(Si)で形成している。そのため、後述する犠牲層除去工程において、基板10の犠牲層除去用孔12を介して犠牲層14の除去部14aを除去するエッチング処理を行うときにも、犠牲層除去用孔12の内壁面がエッチングされてしまう。そこで、本実施形態においては、犠牲層14の除去部14aのエッチング時に基板10の犠牲層除去用孔12がエッチングされないように、図9に示すように、犠牲層除去用孔12の内壁面にエッチング保護膜13を形成するようにしている。これにより、後述する犠牲層除去工程における犠牲層14の除去部14aのエッチング時に、犠牲層除去用孔12の内壁面がエッチングされてしまうのを抑制している。
このエッチング保護膜13の形成は、犠牲層除去用孔12を形成した後に行ってもよいが、犠牲層除去用孔12を形成する際のドライエッチングを行いながら、エッチング保護膜13を形成するのが、製造工程を簡略化できて好ましい。具体的には、例えば、犠牲層除去用孔12を形成する際、上述したとおり、シリコン深堀エッチャーにてCのプラズマによる側壁保護膜を形成するが、この側壁保護膜の厚みを、単に犠牲層除去用孔12を形成する場合に形成する厚みよりも厚く形成し、犠牲層除去用孔12の形成後においても犠牲層除去用孔12の内壁面に十分な厚みの側壁保護膜がエッチング保護膜13として残るようにしている。すなわち、犠牲層14の除去部14aのエッチング時に基板10の犠牲層除去用孔12がエッチングされるのを阻止するのに十分な厚みの側壁保護膜を残し、これをエッチング保護膜13として利用する。
以上のようにして、犠牲層除去用孔12の内壁面にエッチング保護膜13を形成したら、これに引き続き、同じシリコン深堀エッチャーを使用して、例えば、CHF+O等にガス系を切り替え、酸化膜11のドライエッチングを行う。このとき、イオン引き込みのバイアス電圧を大きめにすることで、図10に示すように、犠牲層除去用孔12の出口側に存在していた酸化膜11が除去され、犠牲層14の除去部14aが露出する。
また、これに引き続いて、同じシリコン深堀エッチャーを使用し、今度は、犠牲層14の除去部14aを除去するドライエッチングを行う。詳しくは、犠牲層除去用孔12を介してSFプラズマを犠牲層14の除去部14aまで送り込み、引き込みバイアスをゼロにしてドライエッチング処理を実施する。これにより、図11に示すように、犠牲層14の除去部14aを除去され、除去された空間が、振動膜17の振動部17aに面する振動用空間15となる。
本実施形態においては、図11に示すように、犠牲層14の除去部14aが犠牲層除去用孔12の内壁面よりも図中左右方向外側へ延出した部分をもっているが、上述したドライエッチングでは等方的なエッチングがなされるので、横方向へのエッチングも進み、当該延出した部分についても犠牲層14が適切に除去される。
なお、振動用空間15の当該延出した部分は、基板10の素子形成面の一部が対向するため、犠牲層14の除去部14aを除去するドライエッチング時に、当該一部がエッチングされるおそれがある。しかしながら、本実施形態では、このエッチングから当該一部を保護する第二エッチング保護膜としての酸化膜11が当該一部を覆っている。したがって、当該一部がエッチングされることが抑制される。
その後、基板10の素子形成面に貼り付けていたサポート基板を取り外し、ダイシングにてチップ化することで、超音波発生素子基板1(超音波発生素子チップ)が完成する。
このようにして得られた超音波発生素子基板1は、図12に示すように、プリント基板31に接合部材32を介して接合され、搭載される。接合部材32には、例えばダイアタッチフィルムと呼ばれるドライフィルムの接合部材を好適に使用できる。ドライフィルム接合部材を使用することで、犠牲層除去用孔12を通して振動用空間15に接着材が流入して振動が阻害されるといった不具合を避けることができる。
図13は、超音波発生素子基板1が搭載されたプリント基板31を示す模式図である。
図14は、超音波発生素子基板1の電極端子29とプリント基板31の電極端子35とをワイヤーボンディングにより電気的に接続した状態を示す模式図である。
超音波発生素子基板1をプリント基板31に搭載したら、超音波発生素子基板1の電極端子29とプリント基板31の電極端子35をワイヤーボンディングによりワイヤー33で電気的に接続する。その後、ワイヤー33の全体と、超音波発生素子基板1の電極端子29と、プリント基板31の電極端子35とを、封止樹脂34によって封止する。これにより、犠牲層除去用孔12と連通する振動用空間15の封止がより確実になされる。
本実施形態の製造方法によれば、基板10と犠牲層14とが同じ材料であるシリコン(Si)であっても、所望の形状、所望の寸法をもった振動用空間15を精度よく形成することができる。振動用空間15の形成精度は、振動膜17の振動部17aの形状、寸法の精度に直結する。振動膜17の振動部17aの形状、寸法の精度は、振動部17aの振動特性(振動周波数や変位量など)に大きく影響するため、この精度が悪いと所望の振動特性が得られない。本実施形態によれば、基板10と犠牲層14とが同じ材料であるシリコン(Si)であっても、少なくとも従来と同程度の精度で振動用空間15を形成することができる。
しかも、基板10と犠牲層14とを同じ材料としたことで、犠牲層14についても、基板10と同じく、製造工程中の各種処理(加熱処理など)に対する耐性(耐熱性など)や、エッチングによる加工性の要求を満たすことが容易になる。加えて、基板10に対する加工処理(エッチングなど)と同じエッチャー(エッチング装置)を使用して犠牲層14に対する加工処理(エッチングなど)を行うことが可能となり、生産性の向上が図られる。特に、本実施形態では、犠牲層除去用孔12を形成する工程から犠牲層14を除去する工程までの一連の工程を、同一の装置内で連続的に行うことができ、生産性を大きく向上させることができる。
また、本実施形態のように、犠牲層14の材料を基板10と同じくシリコン(Si)とすることで、エッチングによる高い加工性が得られる結果、従来よりも精度の良い振動用空間15の形成を実現することが可能である。加えて、シリコン(Si)であれば、電解液等を使用するウェットエッチングではなく、ドライエッチングでエッチング処理を行うことができる。ドライエッチングが採用できることで、ウェットエッチングでの課題(ウェットエッチング後の乾燥を確実に行う課題や、構造物の固着の課題)も解消される。
本実施形態における超音波発生素子基板1は、いわゆるPMUT(Piezo Micromachined Ultrasonic Transducer)を採用したものであるが、CMUT(Capacitive Micromachined Ultrasonic Transducer)を採用したものにも、同様に適用可能である。
ただし、PMUTとCMUTとの間では,振動用空間15の機能の違い、及び、それに伴う構成の違いがあるため、この点について説明しておく。
PMUTにおいて、電気機械変換素子の主たる機能を発揮するための構成要素は、通常、振動用空間15に対して振動膜17側に集中して配置され、振動用空間15は振動膜17の振動部17aが変位(振動)するためのスペースとなっている。ここで、主たる機能とは、振動膜17の振動部17aを振動させる機能を意味し、その構成要素は、振動膜17、圧電素子を構成する第一電極22、圧電体膜23及び第二電極24である。
また、PMUTは、振動用空間15の外周で振動膜17を固定する構造となっていることから、振動用空間15の基板面方向における寸法形状は振動膜17の振動部17aの寸法形状と一致する。よって、振動用空間15における基板面方向の寸法形状は精度よく加工する必要があるが、振動用空間15の深さ方向(基板面に対して直交する方向)については振動膜17の変位(振動)を阻害しない十分な深さであれば、その寸法精度はさほど必要ない。また、振動用空間15に連通する犠牲層除去用孔12の配置も、振動子の直下に配置されていても特に問題はない。
これに対し、CMUTの場合、振動用空間を挟んで2つの電極が配置され、当該2つの電極間に作用する静電力の変化によって振動膜の振動部を振動させる。よって、振動用空間については、基板面方向の寸法形状のみならず、深さ方向の寸法精度も重要になってくる。更に、振動用空間の深さ方向から振動用空間を挟み込むように2つの電極を配置する必要があることから、振動用空間を形成するために犠牲層を除去するのに必要な犠牲層除去用孔12を形成する場合、振動子の直下への配置を避けなければならない。
以上の違いを踏まえた上、まず、PMUTの犠牲層除去用孔12と振動用空間15との配置関係についての例を、図15〜図19に示す。
図15〜図19は、PMUTにおける犠牲層除去用孔12と振動用空間15との間における基板面方向の位置関係が異なる各構成例をそれぞれ示す平面図である。
図15の構成例1は、個々の振動子が円形で、振動用空間15が個々の振動子ごとに形成されており、かつ、犠牲層除去用孔12も個々の振動子ごとに形成されている例である。なお、振動子の形状(振動方向(図中紙面前後方向)に直交する面における形状)は、図15では円形であるが、これ以外にも、正方形や正六角形など縦横比が概ね1に近いものでもよい。本構成例1によれば、犠牲層除去用孔12は、振動用空間15の中央付近に配置するのが、加工公差を大きく取れるので好ましい。
図16の構成例2は、図15の例と同じように振動子が基板上に配置されているが、隣接する振動子間の振動用空間15を連通路16にて連通させた例となっている。また、犠牲層除去用孔12は、一部の振動子には配置されていない。犠牲層除去用孔12が形成されない振動子の振動用空間15の形成は、連通路16を通して犠牲層14の除去部14aをエッチングにより除去することで行われる。
図17の構成例3は、振動子の特性面等を考慮して、振動子の形状を、円形ではなく、長円のような長尺形状とした例である。振動膜の応力集中を避けるため、角を落とした長尺形状であるのが好ましい。この場合、振動用空間15の形状が長尺形状となり、図17の構成例3では、犠牲層除去用孔12の形状も、振動用空間15よりも一回り小さい長尺形状としている。一方で、図18の構成例3’のように、犠牲層除去用孔12の形状は円形とし、振動用空間15の長尺方向に沿って複数の犠牲層除去用孔12を形成するようにしてもよい。
図20は、図18のB−B’断面に対応する断面図である。なお、図20では、図示の都合上、犠牲層除去用孔12の数が、図18とは異なっている。
図18の構成例3’においては、犠牲層除去用孔12間の隔壁が梁として機能するので、図17の構成例3のように犠牲層除去用孔12を長尺形状にした場合に比べて、超音波発生素子基板1の剛性が大きくなる。一般に、梁の幅がそれほど大きくなくても(例えば、20μm程度であっても)、梁が有る構成と梁が無い構成とでは、梁が有る構成の方が格段に剛性が大きくなる。その結果、振動子間の相互干渉を小さく抑えることができる。犠牲層14の除去に要する処理時間についても、犠牲層除去用孔12を密に配置すれば、さほど長くなることはない。この点で、構成例3よりも構成例3’の方が好ましい構成といえる。
図19の構成例4は、図18の構成例3’と同じように、振動子の形状が長尺形状であるが、1つの振動用空間15に対して配置される犠牲層除去用孔12の数を減らした例である。本構成例4では、犠牲層14の除去に要する処理時間が、図18の構成例3’よりも長くなるが、基板剛性をより大きくすることができる。
以上の構成例1〜4では、いずれも、犠牲層除去用孔12が振動子の下に(平面的に重なって)配置されている。上述したように、PMUTであれば、このような構成を採用することができる。
次に、CMUTの場合における犠牲層除去用孔12と振動用空間15との配置関係についての例を、図21〜図24に示す。
図21〜図24は、CMUTにおける犠牲層除去用孔12と振動用空間15との間における基板面方向の位置関係が異なる各構成例をそれぞれ示す平面図である。
図21の構成例5は、個々の振動子が円形で、振動用空間15が個々の振動子ごとに形成されているが、隣接する振動子間の振動用空間15が連通路16にて連通された例である。なお、振動子の形状(振動方向(図中紙面前後方向)に直交する面における形状)は、図21では円形であるが、これ以外にも、正方形や正六角形など縦横比が概ね1に近いものでもよい。
CMUTの場合、その動作原理上、振動用空間15を介して振動膜17の振動部17aに対向する場所に駆動用の電極を形成する必要がある。そのため、振動部17aから外れた位置に犠牲層除去用孔12を配置することが一般的である。本構成例5では、犠牲層除去用孔12を連通路16に配置した例である。この場合、犠牲層除去用孔12の径は、図15やず16に示した構成例1,2の場合と比較して、小さく形成する必要がある。また、犠牲層除去用孔12のアスペクト比が大きくなるので、犠牲層除去用孔12を形成するための加工時間も長くなる。
図22の構成例6は、図21の例と同じように振動子が基板上に配置され、かつ、隣接する振動用空間15が連通路16にて連通されているが、振動子が配置されていない振動用空間15’に対向する位置に犠牲層除去用孔12が形成されている。本構成例6では、図21の構成例5よりも、犠牲層除去用孔12の径を大きく形成することができるので、犠牲層除去用孔12の加工がしやすいというメリットがある。
しかしながら、本構成例6では、振動子が配置されている各振動用空間15の形成が、犠牲層除去用孔12から連通路16及び他の振動用空間15を通して犠牲層14の除去部14aをエッチングにより除去することで行われる。したがって、犠牲層除去用孔12から遠い振動用空間15については加工時間も長くなる。しかも、犠牲層除去用孔12から近い振動用空間15と遠い振動用空間15との間で、犠牲層14の除去部14aを除去するエッチング時のエッチングストップ層の膜厚分布が生じる可能性がある。なぜなら、材料やエッチャントにもよるが、エッチングストップ層といえども、エッチングが全くされないことは少なく、長時間のエッチングの間にはわずかずつエッチングされていくためである。したがって、本構成例3では、そのことによる振動子特性への影響や加工性を考慮して、犠牲層除去用孔12の配置を設定することが望まれる。
図23の構成例7は、振動子の特性面等を考慮して、振動子の形状を、円形ではなく、長円のような長尺形状とした例である。振動膜の応力集中を避けるため、角を落とした長尺形状であるのが好ましい。本構成例7では、犠牲層除去用孔12を振動子の端部付近(長尺方向端部付近)に配置し、そこから犠牲層14の除去部14aをエッチングにより除去して振動用空間15を形成する。
図24の構成例8は、図23の構成例7と同じように、振動子の形状が長尺形状であるが、隣接する振動子間で犠牲層除去用孔12が配置される端部が逆側になるように構成した例である。このように犠牲層除去用孔12の間隔を離すことで、基板剛性の向上を図ることができる。
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する
[第1態様]
第1態様は、振動用空間15に面する振動膜17の振動部17aが該振動膜の膜面法線方向に振動する振動素子基板(例えば超音波発生素子基板1)の製造方法であって、前記振動用空間となる基板10上の領域に、該基板と同じ材料からなる犠牲層14を形成する犠牲層形成工程と、前記犠牲層の上に前記振動膜を形成する振動膜形成工程と、前記基板における前記犠牲層とは反対側の面から前記犠牲層まで連通する犠牲層除去用孔12を該基板に形成する孔形成工程と、前記犠牲層除去用孔の内壁面にエッチング保護膜13を形成する保護膜形成工程と、前記犠牲層除去用孔を介して前記犠牲層をエッチングにより除去して前記振動用空間を形成する犠牲層除去工程とを含むことを特徴とするものである。
従来の製造方法では、基板に形成される犠牲層除去用孔を介して犠牲層を除去するエッチング処理の際に、基板がエッチングされてしまうことがないように、犠牲層の材料には基板の材料とは異なるものを使用していた。しかしながら、振動素子基板を製造するにあたっては加熱処理などの必要な処理が施されるため、犠牲層には、製造工程中の各種処理に対する耐性(耐熱性など)が要求される。加えて、犠牲層は、犠牲層除去用孔を介したエッチングにより除去される必要があるため、エッチングによる加工性も要求される。一方で、基板の材料には、通常、製造工程中の各種処理に対して要求される耐性を備えたものが用いられる。そのため、このような基板とは異なる材料の中で、より詳しくは、基板材料に対して当該基板材料はエッチングされずに犠牲層材料だけエッチングされるような関係をもった材料の中で、上述した耐性や加工性の要求を満たすような犠牲層の材料を選定することは困難であった。
本態様においては、犠牲層を基板と同じ材料で形成することで、振動素子基板の製造工程中の各種処理に対する耐性(耐熱性など)やエッチングによる加工性の要求を満たす犠牲層を得ることにした。
ただし、この場合、基板に形成される犠牲層除去用孔を介して犠牲層を除去するエッチング処理の際に基板がエッチングされてしまう。そこで、本態様では、犠牲層除去用孔の内壁面にエッチング保護膜を形成し、その後に当該犠牲層除去用孔を介して犠牲層をエッチングにより除去することとしている。これにより、犠牲層を除去するエッチング処理の際に基板がエッチングされることを抑制できる。
[第2態様]
第2態様は、第1態様において、前記振動上に電気機械変換素子(例えば圧電素子)を形成する電気機械変換素子形成工程を含むことを特徴とするものである。
本態様によれば、電気機械変換素子を振動素子として有する振動素子基板の製造工程中の各種処理に対する耐性やエッチングによる加工性などの要求を満たす犠牲層を得ることができる。
[第3態様]
第3態様は、第2態様において、前記電気機械変換素子形成工程は、前記振動膜上に第一電極22を形成する工程と、前記第一電極上に圧電体膜23を形成する工程と、前記圧電体膜上に第二電極24を形成する工程とを含むことを特徴とするものである。
本態様によれば、電気機械変換素子を積層工程で形成することができる。
[第4態様]
第4態様は、第1乃至第3態様のいずれかにおいて、前記犠牲層の下地層として、前記エッチングから前記基板を保護する第二エッチング保護膜(例えば酸化膜11)を前記基板上に形成する第二保護膜形成工程を含むことを特徴とするものである。
これによれば、振動用空間の一部が基板に面する構成であっても、犠牲層を除去するエッチングの際に、振動用空間の一部に面する基板部分がエッチングされてしまうのを第二エッチング保護膜によって抑制することができる。
[第5態様]
第5態様は、第1乃至第4態様のいずれかにおいて、前記振動膜の下地層として、前記エッチングから該振動膜を保護する第三エッチング保護膜(例えば酸化シリコン膜19)を前記犠牲層上に形成する第三保護膜形成工程を含むことを特徴とするものである。
これによれば、犠牲層を除去するエッチングの際に、振動用空間に面する振動膜がエッチングされてしまうのを第三エッチング保護膜によって抑制することができる。
[第6態様]
第6態様は、第1乃至第5のいずれかにおいて、前記犠牲層形成工程は、前記振動膜のうちの前記振動部とならない非振動部と対向する基板上の領域にも、前記犠牲層を形成し、該領域に形成される犠牲層(例えば残存層14b)は前記振動素子基板上に残存させることを特徴とするものである。
これによれば、振動膜の上面の平坦性を確保することができる。また、基板剛性を高めることができる。
[第7態様]
第7態様は、第1乃至第6態様のいずれかにおいて、前記基板はシリコン(Si)基板であり、前記孔形成工程は、ドライエッチングにより前記犠牲層除去用孔を形成し、前記保護膜形成工程は、前記孔形成工程のドライエッチングを行いながら、又は、該ドライエッチングに引き続いて、前記犠牲層除去用孔の内壁面に前記エッチング保護膜を形成することを特徴とするものである。
これによれば、製造工程の時間短縮を図ることができる。また、ウェットエッチングがもつ課題を解消しつつ犠牲層除去用孔を形成することができる。
[第8態様]
第8態様は、第7態様において、前記保護膜形成工程は、前記エッチング保護膜として、炭素とフッ素を主成分とする膜を形成することを特徴とするものである。
これによれば、基板に形成される犠牲層除去用孔の内壁面をエッチングから有効に保護することができる。
[第9態様]
第9態様は、第1乃至第8態様のいずれかにおいて、前記孔形成工程から前記犠牲層除去工程までの工程を同一装置内で実施することを特徴とするものである。
基板と犠牲層とを同じ材料としたことで、基板に対する加工処理(エッチングなど)と同じ装置を使用して犠牲層に対する加工処理(エッチングなど)を行うことが可能となり、生産性を向上させることができる。
[第10態様]
第10態様は、基板10上に形成された振動膜17のうち振動用空間15に面している振動部17aが該振動膜の膜面法線方向に振動する振動素子基板(例えば超音波発生素子基板1)であって、前記振動用空間を形成するために該振動用空間から除去された犠牲層14と同じ層からなる残存層14bが、前記振動膜のうちの前記振動部とならない非振動部と前記基板との間に存在し、前記残存層は前記基板と同じ材料からなることを特徴とするものである。
本態様によれば、残存層が基板と同じ材料であるため、基板とその上に形成される犠牲層とが、熱膨張率あるいは熱収縮率などの物理的特性を共通にし、両者の材料が異なる場合に生じ得る歪みや剥離などが少ない振動素子基板を提供できる。
1 :超音波発生素子基板
10 :基板
11 :酸化膜
12 :犠牲層除去用孔
13 :エッチング保護膜
14 :犠牲層
14a :除去部
14b :残存層
14c :分離溝
15 :振動用空間
16 :連通路
17 :振動膜
17a :振動部
18 :仕切り部
19 :酸化シリコン膜
20 :ポリシリコン膜
21 :第一絶縁膜
22 :第一電極
22a :白金層
23 :圧電体膜
23a :PZT下層膜
23b :PZT上層膜
24 :第二電極
25 :第二絶縁膜
26 :開口部
27 :配線
28 :保護膜
29 :電極端子
31 :プリント基板
32 :接合部材
33 :ワイヤー
34 :封止樹脂
35 :電極端子
41 :CSD液吐出ヘッド
国際公開第2015/190429号

Claims (10)

  1. 振動用空間に面する振動膜の振動部が該振動膜の膜面法線方向に振動する振動素子基板の製造方法であって、
    前記振動用空間となる基板上の領域に、該基板と同じ材料からなる犠牲層を形成する犠牲層形成工程と、
    前記犠牲層の上に前記振動膜を形成する振動膜形成工程と、
    前記基板における前記犠牲層とは反対側の面から前記犠牲層まで連通する犠牲層除去用孔を該基板に形成する孔形成工程と、
    前記犠牲層除去用孔の内壁面にエッチング保護膜を形成する保護膜形成工程と、
    前記犠牲層除去用孔を介して前記犠牲層をエッチングにより除去して前記振動用空間を形成する犠牲層除去工程とを含むことを特徴とする振動素子基板の製造方法。
  2. 請求項1に記載の振動素子基板の製造方法において、
    前記振動上に電気機械変換素子を形成する電気機械変換素子形成工程を含むことを特徴とする振動素子基板の製造方法。
  3. 請求項2に記載の振動素子基板の製造方法において、
    前記電気機械変換素子形成工程は、
    前記振動膜上に第一電極を形成する工程と、
    前記第一電極上に圧電体膜を形成する工程と、
    前記圧電体膜上に第二電極を形成する工程とを含むことを特徴とする振動素子基板の製造方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の振動素子基板の製造方法において、
    前記犠牲層の下地層として、前記エッチングから前記基板を保護する第二エッチング保護膜を前記基板上に形成する第二保護膜形成工程を含むことを特徴とする振動素子基板の製造方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の振動素子基板の製造方法において、
    前記振動膜の下地層として、前記エッチングから該振動膜を保護する第三エッチング保護膜を前記犠牲層上に形成する第三保護膜形成工程を含むことを特徴とする振動素子基板の製造方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の振動素子基板の製造方法において、
    前記犠牲層形成工程は、前記振動膜のうちの前記振動部とならない非振動部と対向する基板上の領域にも、前記犠牲層を形成し、
    該領域に形成される犠牲層は前記振動素子基板上に残存させることを特徴とする振動素子基板の製造方法。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の振動素子基板の製造方法において、
    前記基板はシリコン(Si)基板であり、
    前記孔形成工程は、ドライエッチングにより前記犠牲層除去用孔を形成し、
    前記保護膜形成工程は、前記孔形成工程のドライエッチングを行いながら、又は、該ドライエッチングに引き続いて、前記犠牲層除去用孔の内壁面に前記エッチング保護膜を形成することを特徴とする振動素子基板の製造方法。
  8. 請求項7に記載の振動素子基板の製造方法において、
    前記保護膜形成工程は、前記エッチング保護膜として、炭素とフッ素を主成分とする膜を形成することを特徴とする振動素子基板の製造方法。
  9. 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の振動素子基板の製造方法において、
    前記孔形成工程から前記犠牲層除去工程までの工程を同一装置内で実施することを特徴とする振動素子基板の製造方法。
  10. 基板上に形成された振動膜のうち振動用空間に面している振動部が該振動膜の膜面法線方向に振動する振動素子基板であって、
    前記振動用空間を形成するために該振動用空間から除去された犠牲層と同じ層からなる残存層が、前記振動膜のうちの前記振動部とならない非振動部と前記基板との間に存在し、
    前記残存層は前記基板と同じ材料からなることを特徴とする振動素子基板。
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