以下、本発明の実施形態に係る車両用電源装置11を図面に基づき詳細に説明する。以下の説明では、同一の部材には原則として同一の符番を用い、繰り返しの説明は省略する。
図1を参照して、車両用電源装置11の構成を説明する。図1(A)は車両用電源装置11を含む車両10の概略構成を示すブロック図であり、図1(B)は車両用電源装置11の構成を詳細に示す回路図である。
図1(A)を参照して、車両10は、通常電源12と、車両用電源装置11と、車両搭載負荷13と、を備えている。車両10は、ここでは図示しないエンジンを駆動源として走行する車両であり、アイドリングストップ機能を備えている。アイドリングストップ機能とは、燃料の節約や排出ガスの削減などのため、交差点等で車両10が停車する際等に、不必要なアイドリングを止める機能である。
通常電源12は、車両搭載負荷13に電力を供給する。通常電源12の具体例としては、例えば、12Vの直流電力を発生する充電可能な鉛蓄電池やリチウムイオンバッテリである。
車両搭載負荷13は、車両10に搭載される負荷であり、例えば、エンジンを始動させるスタータ、カーナビゲーション装置、オーディオ装置、メータ装置、ECU、ROM、RAM、電動ステアリング、シートヒータ、デフロスタ用ヒータ、ヘッドライト等の照明装置、ワイパ、空調装置、カメラ、センサ、ディスプレイ、衝突被害軽減ブレーキに代表される先進安全システム等である。
車両用電源装置11は、車両用電源装置11から車両搭載負荷13に供給される電力を変換する。
図1(B)を参照して、車両用電源装置11の回路構成を説明する。車両用電源装置11の内部には、通常電源12と車両搭載負荷13とを結ぶ径路として第1径路171が形成されている。第1径路171には、第1スイッチ291が介装されている。第1スイッチ291としては、電界効果型トランジスタまたはバイポーラ型トランジスタ等の半導体スイッチ、または、リレー等の機械式スイッチを採用することができる。この事項は後述する他のスイッチに関しても同様である。
また、第1径路171の第1接点231と第2接点232とを接続することで、第1径路171をバイパスすると共に、電力変換回路である昇圧DC−DCコンバータ141を含むバイバス径路が形成されている。
具体的には、このバイパス径路は、第2径路172、第3径路173および第4径路174を備える。第2径路172は、第1径路171の第1接点231から分岐している。第2径路172には昇圧DC−DCコンバータ141が介装されている。第2径路172の他端である第6接点236には第2スイッチ292が接続している。第2スイッチ292は、第6接点236と、第4接点234または第5接点235との接続を切り替えることができるスイッチである。
第4接点234は、第3径路173を介して、第2接点232と接続している。また第3径路173の途中に形成された第3接点233から、第4径路174が分岐している。第4径路174の他端は、第5接点235に接続している。第4径路174には、第3接点233の側から、第3スイッチ293、ダイオード18および抵抗19が介装されている。また、第4径路174において、抵抗19と第5接点235との間に第7接点237が形成されており、第7接点237から第5径路175が枝分かれしている。第5径路175の他端は接地されており、第5径路175には蓄電部であるキャパシタ15が介装されている。
制御装置16は、CPU、RAM、ROM等からなり、ECU(Electronic Control Unit)とも称される。制御装置16は、通常電源12の電圧等に基づいて、上記した各スイッチの導通状態、昇圧DC−DCコンバータ141の動作、等を制御している。
次に図2から図6を参照して、上記した車両用電源装置11の動作を説明する。ここでは、車両用電源装置11は、アイドリングストップ機能を有する車両10が、アイドリングストップ状態からエンジン再起動に遷移する再起動動作に於いて、車両搭載負荷13に印加される電圧を一定以上に補償している。車両10のこのような動作は、期間Aないし期間Eを含んでおり、各期間を以下に説明する。
図2を参照して、再起動動作の最初の期間である期間Aを説明する。図2(A)は期間Aに於ける車両用電源装置11の動作を示す回路図であり、図2(B)は期間Aに於ける通常電源12の電圧値を示すタイミングチャートである。期間Aは、例えば、乗員がブレーキペダルを踏み、車両10が交差点等で停車し、アイドリングストップ機能によりエンジンが停止している期間である。図2(A)では、車両用電源装置11における電流の流れを一点鎖線で示しており、係る事項は後述する各図でも同様である。
図2(A)を参照して、期間Aでは、制御装置16は、車両搭載負荷13に電力を供給しつつ、キャパシタ15を充電する。期間Aでは、制御装置16から昇圧DC−DCコンバータ141に入力されるISS(Idling Start Stop)信号はLow状態となっている。また、制御装置16は、第1スイッチ291および第3スイッチ293を導通状態とし、第2スイッチ292を遮断状態としている。
車両用電源装置11を上記の状態とすることで、第1径路171を経由して、通常電源12から車両搭載負荷13に電力が供給される。また、第1径路171、第2接点232、第3径路173、第3接点233、第4径路174、第3スイッチ293、ダイオード18、抵抗19、第7接点237および第5径路175を介して、キャパシタ15が充電される。
図2(B)を参照して、期間Aでは、通常電源12の電圧は、例えば12V程度で安定している。
図3を参照して、期間Bを説明する。図3(A)は期間Bに於ける車両用電源装置11の動作を示す回路図であり、図3(B)は期間Bに於ける通常電源12の電圧値を示すタイミングチャートである。期間Bでは、アイドリングストップ状態からエンジンを再起動させる際に、車両搭載負荷13に供給される電圧が低下することを抑止するために、昇圧DC−DCコンバータ141で昇圧した電力を車両搭載負荷13に供給している。また、期間Bでは、制御装置16が、エンジン起動の準備を行うための電気信号を、車両用電源装置11の各構成部位に伝送する。
図3(A)を参照して、期間Bでは、制御装置16から発せられるISS信号はHigh状態となっている。また、制御装置16は、第1スイッチ291を遮断状態とし、第2スイッチ292により第4接点234と第6接点236とを接続し、第3スイッチ293を遮断状態としている。
車両用電源装置11を上記の状態とすることで、第1径路171、第2接点232、第3径路173、第4接点234、第2スイッチ292、第6接点236、昇圧DC−DCコンバータ141、第2径路172、第1接点231および第1径路171を介して、通常電源12からの電力が昇圧されて車両搭載負荷13に供給される。一方、キャパシタ15は充分に充電されているので、キャパシタ15には電力を供給しない。
図3(B)に示すように、期間Bは、例えば、アイドリングストップ機能によりエンジンが停止している期間に於いて、乗員がブレーキペダルから足を離してからエンジンが再起動するまでの期間である。期間Bでは、通常電源12の電圧降下は未だ発生していない。
図4を参照して、期間Cを説明する。図4(A)は期間Cに於ける車両用電源装置11の動作を示す回路図であり、図4(B)は期間Cに於ける通常電源12の電圧値を示すタイミングチャートである。期間Cは、エンジンが再起動する瞬間を含み、キャパシタ15から昇圧DC−DCコンバータ141に電力が供給される。
図4(A)を参照して、制御装置16は、第1スイッチ291を遮断状態とし、第2スイッチ292により第5接点235と第6接点236とを接続し、第3スイッチ293を遮断状態としている。
車両用電源装置11を上記の状態とすることで、第5径路175、第7接点237、第5接点235、第2スイッチ292、第6接点236、昇圧DC−DCコンバータ141、第2径路172、第1接点231および第1径路171を介して、キャパシタ15から車両搭載負荷13に電力が供給される。
図4(B)を参照して、期間Cは、例えば、アイドリングストップ機能によりエンジンが停止している状態から、セルモータを運転することでエンジンを再起動させる瞬間およびその直後の間の期間である。ここで、期間Bから期間Cへの変遷、即ち、キャパシタ15から昇圧DC−DCコンバータ141への給電は、通常電源12の電圧降下が発生する直前または当該電圧降下が発生した直後である。
期間Cにおいて発生する電圧降下を説明する。昇圧DC−DCコンバータ141で昇圧する場合、入力時に低い電圧で規定の電力を要するため、入力電流量が大きくなる。具体的には、昇圧DC−DCコンバータ141に入力する入力電力が6V×20A=120Wの場合、昇圧DC−DCコンバータ141から出力される出力電力は12V×10A=120Wとなる。よって、入力電流値が大きくなることで配線抵抗による電圧降下も大きくなり、入力電圧が落ち込む現象が発生する。また、エンジン再始動を行うセルモータ等のスタータにより電力が消費されることも、電圧降下の要因の一つである。
電圧降下が発生すると、昇圧DC−DCコンバータ141の性能を発揮できない恐れがある。昇圧DC−DCコンバータ141が充分に性能を発揮できなければ、例えば、車両搭載負荷13の一例であるカーナビゲーションシステムに充分な電圧を印加することができず、カーナビゲーションシステムの設定が不用意にリセットされてしまう恐れがある。
電圧降下から車両搭載負荷13を保護するために、一般的には、昇圧DC−DCコンバータ141で、昇圧した電力を車両搭載負荷13に供給しているが、上記した配線抵抗により、昇圧DC−DCコンバータ141の性能を充分に発揮することは難しい。
そこで、本実施形態では、電圧降下が発生する期間Cに於いて、キャパシタ15から、昇圧DC−DCコンバータ141に電力を供給している。このようにすることで、通常電源12の電圧を、後述する閾値電圧まで回復させ、昇圧DC−DCコンバータ141の昇圧機能を十分に発揮することができる。また、キャパシタ15から昇圧DC−DCコンバータ141に電力が供給されるのは、通常電源12の電圧が急激に低下する電圧降下が発生する期間のみである。よって、サイズが小さいキャパシタ15を採用することができ、キャパシタ15を採用することに伴う高コスト化および大型化を抑制できる。係る事項は、図7を参照して後述する。
図5を参照して、期間Dを説明する。図5(A)は期間Dに於ける車両用電源装置11の動作を示す回路図であり、図5(B)は期間Dに於ける通常電源12の電圧値を示すタイミングチャートである。期間Dは、アイドリングストップ期間の後に、エンジンが運転されている期間に於いて、昇圧DC−DCコンバータ141により通常電源12の電圧が補償されている期間である。
図5(A)を参照して、期間Dに於いて、制御装置16は、第1スイッチ291を遮断状態とし、第2スイッチ292により第4接点234と第6接点236とを接続し、第3スイッチ293を遮断状態としている。
車両用電源装置11を上記の状態とすることで、第1径路171、第2接点232、第3径路173、第4接点234、第2スイッチ292、第6接点236、昇圧DC−DCコンバータ141、第2径路172、第1接点231および第1径路171を介して、通常電源12からの電力が昇圧DC−DCコンバータ141により昇圧されて車両搭載負荷13に供給される。一方、キャパシタ15には電力は供給されない。
図5(B)に示すように、本実施形態では、上記した期間Cでキャパシタ15から昇圧DC−DCコンバータ141に電力を供給することで、通常電源12の電圧を閾値電圧まで回復させている。よって、期間Dに於いて、配線抵抗等に起因して電圧ドロップが発生したとしても、通常電源12の電圧が最低電圧を下回ることを防止し、昇圧DC−DCコンバータ141の昇圧性能を十分に発揮することができる。
図6を参照して、期間Eを説明する。図6(A)は期間Eに於ける車両用電源装置11の動作を示す回路図であり、図6(B)は期間Eに於ける通常電源12の電圧値を示すタイミングチャートである。ここで、期間Eは、例えば、アイドリングストップ機能が終了した後に、エンジンの駆動力で車両10が走行する期間である。
図6(A)を参照して、制御装置16は、第1スイッチ291および第3スイッチ293を導通状態とし、第2スイッチ292を遮断状態としている。これにより、期間Eでは、第1径路171を経由して、通常電源12から車両搭載負荷13に電力が供給される。また、通常電源12からの電力は、第1径路171、第2接点232、第3径路173、第3接点233、第4径路174、第3スイッチ293、ダイオード18、抵抗19、第7接点237および第5径路175を介して、キャパシタ15が充電される。
図6(B)を参照して、期間Eでは、通常電源12の電圧は、例えば12V程度で安定している。
図7を参照して、上記した本実施形態により奏される効果を説明する。図7(A)は上記した本実施形態による通常電源12の電圧値を示すタイミングチャートであり、図7(B)は期間Cにおける昇圧を閾値よりも低くした場合の比較例を示すタイミングチャートであり、図7(C)は期間Cにおける昇圧を閾値よりも高くした場合の比較例を示すタイミングチャートである。
図7(A)を参照して、本実施形態では、期間Cに於いて、通常電源12の電圧が閾値電圧に達するまで、キャパシタ15から昇圧DC−DCコンバータ141に電力を供給している。ここで、閾値電圧とは、その電圧まで通常電源12の電圧を回復したら、その後の期間に於いて、通常電源12の電圧が最低電圧を下回ることがなく、昇圧DC−DCコンバータ141の性能を確保することができる電圧の下限であり、例えば、8Vないし10Vである。期間Cにて通常電源12の電圧を閾値まで回復させることで、期間Cより後の期間に於いて、通常電源12の電圧が最低電圧を下回ることを抑止することができる。ここで、最低電圧とは、それ以下の電圧となれば、その時点に於いて昇圧DC−DCコンバータ141の性能を確保することができない電圧であり、例えば、6Vである。
図7(B)を参照して、一方、期間Cにて通常電源12の電圧が閾値電圧に達しなければ、次の期間に於いて、通常電源12の電圧が最低電圧を下回り、昇圧DC−DCコンバータ141が充分に昇圧することができない恐れがある。
図7(C)を参照して、また、期間Cにて通常電源12の電圧が閾値電圧よりも過大となれば、通常電源12の電圧を高めるために、ハッチングで示すように大きな容量のキャパシタ15が必要になり、キャパシタ15の大型化およびコスト高を招く恐れがある。
上記のことから、本実施形態では、期間Cに於いて、通常電源12の電圧が閾値電圧に達するまで、キャパシタ15から昇圧DC−DCコンバータ141に電力を供給している。これにより、昇圧DC−DCコンバータ141により安定的に昇圧を行うことができ、キャパシタ15の小型化を達成することができる。
図8以降の図を参照して、他の形態に係る車両用電源装置21の構成および動作を説明する。車両用電源装置21の基本的構成および回路動作は、上記した車両用電源装置11と同様であり、重複する構成および動作の説明は上記形態を援用する。車両用電源装置21では、電力変換回路として昇降圧DC−DCコンバータ142を採用している。
図8を参照して、車両用電源装置21の回路構成を説明する。車両用電源装置21の内部には、通常電源12と車両搭載負荷13とを結ぶ径路として第1径路311が形成されている。第1径路311には、第1スイッチ341が介装されている。
また、第1径路311の第1接点321と第2接点322とを接続することで、第1径路311をバイパスする昇降圧DC−DCコンバータ142を含むバイバス径路が形成されている。
具体的には、このバイパス径路は、第1径路311の第1接点321から分岐する第2径路312と、第2接点322から分岐する第3径路313と、昇降圧DC−DCコンバータ142とを含む。第2径路312と昇降圧DC−DCコンバータ142との間には、第2スイッチ342が配設され、第3径路313と昇降圧DC−DCコンバータ142との間に第3スイッチ343が配設されている。
昇降圧DC−DCコンバータ142は、車両用電源装置21に内蔵された電力変換回路であり、制御装置35の指示に基づいて、入力電力の昇圧および降圧を行うことができる。昇降圧DC−DCコンバータ142の両端には、第9接点329および第8接点328が形成されている。
第4径路314は、車両用電源装置21の内部に形成された径路であり、その両端に第6接点326および第5接点325が形成されている。第4径路314には、ダイオード37、抵抗38、第7接点327が形成されている。
第7接点327からは第5径路315が分岐しており、第5径路315にはキャパシタ33が介装されている。第5径路315の他端は接地されている。
第2スイッチ342は、第3接点323または第6接点326と、第9接点329とを接続するスイッチである。第3スイッチ343は、第4接点324または第5接点325と、第8接点328とを接続するスイッチである。
制御装置35は、CPU、RAM、ROM等からなり、ECU(Electronic Control Unit)とも称される。制御装置35は、通常電源12の電圧等に基づいて、上記した各スイッチの導通状態、昇降圧DC−DCコンバータ142の動作、等を制御している。
次に図9から図13を参照して、上記した車両用電源装置21の動作を説明する。ここでは、車両用電源装置21は、アイドリングストップ機能を有する車両10が、アイドリングストップ状態からエンジン再起動に遷移する再起動動作に於いて、車両搭載負荷13に印加される電圧を一定以上に補償している。車両10のこのような動作は、期間Aないし期間Eを含んでおり、各期間を以下に説明する。
図9を参照して、再起動動作の最初の期間である期間Aを説明する。図9(A)は期間Aに於ける車両用電源装置21の動作を示す回路図であり、図9(B)は期間Aに於ける通常電源12の電圧値を示すタイミングチャートである。ここで、期間Aは、例えば、乗員がブレーキペダルを踏み、車両10が交差点等で停車し、アイドリングストップ機能によりエンジンが停止している期間である。
図9(A)を参照して、期間Aでは、車両搭載負荷13に電力を供給しつつ、キャパシタ33を充電する。期間Aでは、制御装置35が発生するISS(Idling Start Stop)信号はLow状態となっている。制御装置35は、第1スイッチ341を導通状態としている。また、制御装置35は、第2スイッチ342により第3接点323と第9接点329とを接続し、第3スイッチ343により第5接点325と第8接点328とを接続している。また、制御装置35は、昇降圧DC−DCコンバータ142を、例えば12Vから24Vに昇圧する、昇圧DC−DCコンバータとして動作させている。
車両用電源装置21を上記の状態とすることで、第1径路311を経由して、通常電源12から車両搭載負荷13に電力が供給される。また、第1径路311、第1接点321、第2径路312、第3接点323、第2スイッチ342、第9接点329、昇降圧DC−DCコンバータ142、第8接点328、第3スイッチ343、第5接点325、第4径路314、ダイオード37、抵抗38、第7接点327、第5径路315を介して、通常電源12によりキャパシタ33が充電される。昇降圧DC−DCコンバータ142は、通常電源12からの電力を12Vから24Vに昇圧するので、キャパシタ33には24Vの電力が供給される。充電電圧を高くすることで、キャパシタの薄型化、高容量化が可能となり、キャパシタ33の小型化を図れる。
図9(B)を参照して、期間Aでは、通常電源12の電圧は、例えば12V程度で安定している。
図10を参照して、期間Bを説明する。図10(A)は期間Bに於ける車両用電源装置21の動作を示す回路図であり、図10(B)は期間Bに於ける通常電源12の電圧値を示すタイミングチャートである。期間Bでは、アイドリングストップ状態からエンジンを再起動させる際に、車両搭載負荷13に供給される電圧が低下することを抑止するために、昇降圧DC−DCコンバータ142で昇圧した電力を車両搭載負荷13に供給している。
図10(A)を参照して、期間Bでは、制御装置35から昇降圧DC−DCコンバータ142に入力されるISS信号はHigh状態となっている。また、制御装置35は、第1スイッチ341を遮断状態とする。また、制御装置35は、第2スイッチ342により第3接点323と第9接点329とを接続し、第3スイッチ343により第4接点324と第8接点328とを接続している。また、制御装置35は、昇降圧DC−DCコンバータ142を、昇圧DC−DCコンバータとして動作させている。
車両用電源装置21を上記の状態とすることで、通常電源12からの電力は、昇降圧DC−DCコンバータ142で所定の電圧に昇圧された後に、車両搭載負荷13に供給される。具体的には、通常電源12からの電力は、第1径路311、第1接点321、第2径路312、第3接点323、第2スイッチ342、第9接点329、昇降圧DC−DCコンバータ142、第8接点328、第3スイッチ343、第4接点324、第3径路313、第2接点322および第1径路311を介して、車両搭載負荷13に供給される。
一方、キャパシタ33は充分に充電されているので、キャパシタ33には電力を供給しない。
図10(B)に示すように、期間Bは、例えば、アイドリングストップ機能によりエンジンが停止している期間に於いて、乗員がブレーキペダルから足を離してからエンジンが再起動するまでの期間である。期間Bでは、通常電源12の電圧降下は未だ発生していない。
図11を参照して、期間Cを説明する。図11(A)は期間Cに於ける車両用電源装置21の動作を示す回路図であり、図11(B)は期間Cに於ける通常電源12の電圧値を示すタイミングチャートである。期間Cでは、昇降圧DC−DCコンバータ142にキャパシタ33から電力を供給する。
図11(A)を参照して、制御装置35は、第1スイッチ341を遮断状態とする。また、制御装置35は、第2スイッチ342により第6接点326と第9接点329とを接続し、第3スイッチ343により第4接点324と第8接点328とを接続している。また、制御装置35は、昇降圧DC−DCコンバータ142を、例えば、24Vから12Vに降圧する降圧DC−DCコンバータとして動作させている。
車両用電源装置21を上記の状態とすることで、キャパシタ33から車両搭載負荷13に電力を供給することができる。具体的には、第5径路315、第7接点327、第4径路314、第6接点326、第2スイッチ342、第9接点329、昇降圧DC−DCコンバータ142、第8接点328、第3スイッチ343、第4接点324、第3径路313、第2接点322および第1径路311を介して、降圧された電力が、キャパシタ33から車両搭載負荷13に電力が供給される。
図11(B)を参照して、期間Cは、例えば、アイドリングストップ機能によりエンジンが停止している状態から、セルモータを運転することでエンジンを再起動させる期間である。
期間Cにおいて、上記のようにキャパシタ33から車両搭載負荷13に電力を供給することで、電圧降下に伴い車両搭載負荷13の動作が不安定になることを抑制できる。具体的には、上記したように、キャパシタ33から車両搭載負荷13に電力を供給することで、通常電源12の電圧を閾値電圧まで回復している。これにより、後述する期間Dに於いて、通常電源12の電圧が最低電圧を下回ることを抑止できる。更にここでは、昇降圧DC−DCコンバータ142を用いて、昇圧状態でキャパシタ33を充電し、キャパシタ33の放電時には電力を降圧することで、キャパシタ33の更なる小型化を図ることができる。
図12を参照して、期間Dを説明する。図12(A)は期間Dに於ける車両用電源装置21の動作を示す回路図であり、図12(B)は期間Dに於ける通常電源12の電圧値を示すタイミングチャートである。期間Dは、アイドリングストップ期間の後に、エンジンが運転されている初期期間に於いて、昇降圧DC−DCコンバータ142により通常電源12の電圧が補償されている期間である。
図12(A)を参照して、期間Dに於いて、制御装置35は、第1スイッチ341を遮断状態とし、第2スイッチ342により第3接点323と第9接点329とを接続し、第3スイッチ343により第8接点328と第4接点324とを接続する。
車両用電源装置21を上記の状態とすることで、通常電源12からの電力は、昇降圧DC−DCコンバータ142で所定の電圧に昇圧された後に、車両搭載負荷13に供給される。具体的には、通常電源12からの電力は、第1径路311、第1接点321、第2径路312、第3接点323、第2スイッチ342、第9接点329、昇降圧DC−DCコンバータ142、第8接点328、第3スイッチ343、第4接点324、第3径路313、第2接点322および第1径路311を介して、車両搭載負荷13に供給される。
一方、キャパシタ33は充分に充電されているので、キャパシタ33には電力を供給しない。
図12(B)に示すように、本実施形態では、上記した期間Cでキャパシタ33から昇降圧DC−DCコンバータ142に電力を供給することで、通常電源12の電圧を上記した閾値電圧まで上昇させている。よって、期間Dに於いて、配線抵抗等に起因して電圧低下が発生したとしても、通常電源12の電圧が最低電圧を下回ることを防止し、昇降圧DC−DCコンバータ142の昇圧性能を十分に発揮することができる。
図13を参照して、期間Eを説明する。図13(A)は期間Eに於ける車両用電源装置21の動作を示す回路図であり、図13(B)は期間Eに於ける通常電源12の電圧値を示すタイミングチャートである。期間Eは、例えば、アイドリングストップ機能が終了した後に、エンジンの駆動力で車両10が走行する期間である。
図13(A)を参照して、期間Eでは、車両搭載負荷13に電力を供給しつつ、キャパシタ33を充電する。制御装置35は、第1スイッチ341を導通状態とし、第2スイッチ342により第3接点323と第9接点329とを接続し、第3スイッチ343により第5接点325と第8接点328とを接続している。また、制御装置35は、昇降圧DC−DCコンバータ142を、昇圧DC−DCコンバータとして動作させている。
車両用電源装置21を上記の状態とすることで、第1径路311を経由して、通常電源12から車両搭載負荷13に電力が供給される。また、第1径路311、第1接点321、第2径路312、第3接点323、第2スイッチ342、第9接点329、昇降圧DC−DCコンバータ142、第8接点328、第3スイッチ343、第5接点325、第4径路314、ダイオード37、抵抗38、第7接点327、第5径路315を介して、通常電源12からキャパシタ33に給電される。
図13(B)を参照して、期間Eでは、通常電源12の電圧は、例えば12V程度で安定している。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更が可能である。