以下、実施形態に係る電磁継電器について、図面を用いて説明する。ただし、下記の実施形態は、本開示の様々な実施形態の1つに過ぎない。下記の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、下記の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
本実施形態の電磁継電器1は、図1〜図4に示すように、接点装置2と、駆動部8と、第1カバー71と、第2カバー72とを備えている。駆動部8は、電磁力により接点装置2を駆動する。第1カバー71は、第2カバー72と組み合わされて接点装置2及び駆動部8を収容している。
接点装置2は、一対の固定接点31、32と、可動接触子4とを備えている。接点装置2は、一対の固定接点31、32と可動接触子4との組を4組備えているが、ここでは、そのうちの1組に着目する。可動接触子4は、一対の可動接点41、42を有する。可動接触子4は、一対の可動接点41、42が一対の固定接点31、32に接する閉位置と一対の可動接点41、42が一対の固定接点31、32から離れる開位置との間で一軸に沿って移動する。可動接触子4は、開位置から閉位置に移動する際に、一対の可動接点41、42と一対の固定接点31、32とが接した状態で第1姿勢から第2姿勢に変化する。可動接点41は、固定接点31に対向する対向面410を有する。可動接点42は、固定接点32に対向する対向面420を有する。可動接触子4が第1姿勢にあるときの可動接点41の対向面410は、可動接触子4が第2姿勢にあるときの可動接点41の対向面410に対して傾く。可動接触子4が第1姿勢にあるときの可動接点42の対向面420は、可動接触子4が第2姿勢にあるときの可動接点42の対向面420に対して傾く。
接点装置2では、対向面410の向きが固定されている場合と比較して、固定接点31と可動接点41との間に発生するアークが一箇所に留まる可能性が低減するので、アークの熱により固定接点31と可動接点41とが溶着する可能性を低減させることができる。同様に、対向面420の向きが固定されている場合と比較して、固定接点32と可動接点42とが溶着する可能性を低減させることができる。
また、電磁継電器1は、可動接触子4に接する接触部材66を更に備えている。本実施形態の接触部材66は、後述のホルダ6の一部である。可動接触子4と接触部材66とのうち一方は、2つの姿勢調整部64を有している。2つの姿勢調整部64は、可動接触子4と接触部材66とのうち他方(対象部材)に接することにより可動接触子4を第1姿勢に維持する。本実施形態では、接触部材66が2つの姿勢調整部64を有している。すなわち、可動接触子4が対象部材に相当する。
(1)駆動部
図4、図5に示すように、駆動部8は、コイル81と、コイルボビン82と、鉄心83と、2つのコイル端子84と、接極子85と、ヨーク86と、ヒンジばね87とを有している。
コイルボビン82の形状は、円筒状である。コイル81は、コイルボビン82に巻かれた導線である。鉄心83の一部は、コイルボビン82の内側に通されている。2つのコイル端子84は、コイル81に電気的に接続されている。2つのコイル端子84は、第2カバー72に形成された貫通孔を通って第2カバー72の外部に突出している。接極子85は、接極子本体851と、カード部852とを有している。接極子本体851は、鉄心83に対向する位置に配置されている。カード部852は、接極子本体851から接点装置2側へ突出している。ヨーク86は、コイル81で発生する磁束が通る磁気回路の一部を構成する。接極子85は、ヨーク86に支持されており、ヨーク86に支持された部位を中心として回転可能である。ヒンジばね87は、接極子85とヨーク86とに亘って取り付けられている。
2つのコイル端子84を介してコイル81が通電されると、接極子85と鉄心83との間に発生する磁気吸引力により接極子85が回転して、接極子85が鉄心83に接する。このとき、接極子85の回転に伴って、ヒンジばね87は弾性変形する。接極子85の回転力は、接点装置2の後述の移動体5に作用して、移動体5を移動させる。これにより、接点装置2が開状態から閉状態になる。閉状態とは、一対の固定接点31、32と可動接触子4の一対の可動接点41、42とが接しており一対の固定接点31、32を介して負荷に電力が供給される状態である。開状態とは、一対の固定接点31、32と可動接触子4の一対の可動接点41、42とが互いに離れており負荷に電力が供給されない状態である。
コイル81が通電されている状態から、通電されていない状態になると、接極子85と鉄心83との間の磁気吸引力が失われ、接極子85は、ヒンジばね87の弾性力により鉄心83から離れるように回転する。接極子85の回転力は、移動体5に作用して、移動体5を上記とは逆向きに移動させる。これにより、接点装置2の可動接触子4が移動し、接点装置2が閉状態から開状態になる。つまり、コイル81の通電状態に応じて、接点装置2の状態が開状態と閉状態との間で変化する。
(2)接点装置
図1に示すように、接点装置2は、一対の固定接点31、32と、可動接触子4とを備えている。より詳細には、接点装置2は、一対の固定接点31、32及び可動接触子4の組を複数組(本実施形態では4組。図6参照)備えている。
各固定接点31、32は、円柱状の軸部と、軸部の先端に設けられた円盤状の頭部とを有している。すなわち、各固定接点31、32は、リベット接点である。
接点装置2は、一対の固定端子33、34を更に備えている。より詳細には、接点装置2は、一対の固定端子33、34の組を複数組(本実施形態では4組。図6参照)備えている。各固定端子33、34の形状は、長方形の板状である。固定端子33には、固定接点31が固定されている。固定端子34には、固定接点32が固定されている。各固定端子33、34の一部は、第2カバー72に形成された貫通孔を通って第2カバー72の外部に突出している(図7参照)。一対の固定端子33、34には、負荷が電気的に接続される。接点装置2は、一対の固定端子33、34の間が電気的に接続された状態と電気的に切り離された状態とを切り替えることで、負荷への給電状態と非給電状態とを切り替える。接点装置2は一対の固定端子33、34の組を4組備えているので、接点装置2は最大で4系統の負荷に接続し、4系統の負荷への給電状態と非給電状態とを切替え可能である。
各可動接触子4は、一対の可動接点41、42と、本体部43とを有している。各可動接点41、42は、円柱状の軸部と、軸部の先端に設けられた円盤状の頭部とを有している。すなわち、各可動接点41、42は、リベット接点である。本体部43の形状は、長方形の板状である。本体部43には、一対の可動接点41、42が固定されている。より詳細には、本体部43の長手方向の一端付近に可動接点41が固定されており、他端付近に可動接点42が固定されている。一対の可動接点41、42は、一対の固定接点31、32と一対一で対応している。各可動接点41、42は、対応する固定接点31又は32に対向する位置に設けられている。
固定接点31は、可動接点41に対向する対向面310を有している。固定接点32は、可動接点42に対向する対向面320を有している。可動接点41は、固定接点31に対向する対向面410を有している。可動接点42は、固定接点32に対向する対向面420を有している。各対向面310、320、410、420は、曲面である。より詳細には、各対向面310、320、410、420は、平面状に近い球面状である。
以下の説明では、各可動接点41(又は42)と、この可動接点41(又は42)に対応する固定接点31(又は32)とが並んでいる方向を左右方向と規定し、可動接点41(又は42)から見て固定接点31(32)側を右とし、固定接点31(32)から見て可動接点41(又は42)側を左とする。また、一対の固定接点31、32が並んでいる方向を前後方向と規定し、固定接点32から見て固定接点31側を前とし、固定接点31から見て固定接点32側を後ろとする。また、駆動部8(図5参照)と接点装置2とが並んでいる方向を上下方向とし、接点装置2から見て駆動部8側を上とし、駆動部8から見て接点装置2側を下とする。
接点装置2は、移動体5を更に備えている。移動体5は、複数(本実施形態では4つ。図6参照)のホルダ6と、複数(本実施形態では4つ。図6参照)のばね部51と、カバー部52(図6参照)とを有している。
複数のホルダ6は、左右方向に並んでいる。複数のホルダ6は、複数の可動接触子4と一対一で対応している。各ホルダ6は、対応する可動接触子4を保持している。これにより、複数の可動接触子4は、一軸に沿った方向(左右方向)に並んでいる。
複数のホルダ6は、複数のばね部51と一対一で対応している。各ホルダ6は、対応するばね部51を保持している。各ばね部51は、例えば、圧縮コイルばねである。ばね部51は、可動接触子4に対して固定接点31、32に向かう一方向(右方向)の力を作用させる。
ホルダ6は、第1部位61と、第2部位62と、連結部63と、複数(図1では2つ)の姿勢調整部64とを有している。第1部位61の形状は、左向き及び下向きに開口した箱状である。第2部位62の形状は、右向き及び下向きに開口した箱状である。第1部位61は、第2部位62の右側に位置している。すなわち、第1部位61と第2部位62とは、各々の開口している部分を対向させている。第1部位61は、可動接触子4に接する接触面611(図6参照)を有している。接触面611は、可動接触子4の上端付近の部位(第1端部433)に接する。第2部位62は、平面状の対向面621を有している。可動接点41、42と固定接点31、32とが接触していない状態(図1の状態)では、第2部位62の対向面621は、可動接触子4と接触していない。また、可動接点41、42と固定接点31、32とが接触していない状態(図1の状態)から、接触した状態になった瞬間(図2参照)においても、第2部位62の対向面621は、可動接触子4と接触していない。対向面621は、第2部位62の右面に相当し、可動接触子4に対向している。連結部63は、可動接触子4が配置された領域の上側に設けられ、左右方向に長さを有している。連結部63は、一軸(左右方向に沿った仮想軸)に沿って第1部位61と第2部位62とを連結している。連結部63は、第1部位61と第2部位62との間の空隙に対して上側に配置されている。ホルダ6のうち、第1部位61と第2部位62との間の空隙に対して下側は開口している。可動接触子4及びばね部51は、第1部位61と第2部位62との間に保持されている。より詳細には、第2部位62と可動接触子4との間にばね部51が配置されており、第1部位61とばね部51との間に可動接触子4が配置されている。カバー部52は、複数のホルダ6を下から覆っている(図5、図6参照)。これにより、各ホルダ6のうち、第1部位61と第2部位62との間の空隙に対して下側の開口が塞がれている。
後述するように、2つの姿勢調整部64は、可動接触子4に接することで可動接触子4の姿勢を調整する。2つの姿勢調整部64はそれぞれ、第1部位61と比較して小さい突起である。2つの姿勢調整部64は、第1部位61から左向きに突出している。すなわち、2つの姿勢調整部64は、第1部位61から、第1部位61と第2部位62との間の空隙に向かって突出している。より詳細には、2つの姿勢調整部64のうち一方は、第1部位61の前端付近から突出しており、他方は、第1部位61の後端付近から突出している。各姿勢調整部64は、上下方向における第1部位61の中心とは異なる部位から突出している。具体的には、各姿勢調整部64は、第1部位61の下端から突出している。
可動接触子4に接する上述の接触部材66は、ホルダ6のうち、第1部位61と2つの姿勢調整部64とを含む部材である。
電磁継電器1は、中間ケース11を更に備えている。中間ケース11は、接点装置2を収容している。中間ケース11は、底壁部111と、周壁部112と、複数(本実施形態では3つ。図6参照)の仕切部113を有している。
底壁部111の形状は、上下方向から見て長方形状である。底壁部111は、駆動部8(図5参照)と移動体5との間に配置されている。周壁部112は、底壁部111の周縁から下向きに突出している。周壁部112は、周壁部112の右側の面に開口部1120を有している。
複数の仕切部113は、底壁部111から下向きに突出している。複数の仕切部113は、複数の可動接触子4が配置された空間を複数(本実施形態では4つ。図6参照)の空間SP1に区切っている。4つの空間SP1にそれぞれ可動接触子4と固定接点31、32との組が1組ずつ配置されている。各仕切部113には、開口部1130が形成されている。移動体5は、開口部1130に通されている。
移動体5は、接極子85のカード部852が挿入された開口部501を有している(図5参照)。接極子85が回転するとき、カード部852が開口部501の内周壁を押すことで、接極子85の回転力がカード部852から移動体5に作用し、移動体5が移動させられる。
上述の通り、各ホルダ6は、対応する可動接触子4を保持している。そのため、移動体5の移動に連動して、複数の可動接触子4が移動する。すなわち、各可動接触子4は、閉位置と開位置との間で一軸に沿って移動する。ここで、一軸とは、左右方向に沿った仮想軸である。つまり、各ホルダ6は、可動接触子4を一方向(左右方向)に移動可能に保持している。可動接触子4が閉位置(図2、図3参照)にある場合は、可動接点41が固定接点31に接しており、かつ、可動接点42が固定接点32に接している。可動接触子4が開位置(図1参照)にある場合は、可動接点41が固定接点31から離れており、かつ、可動接点42が固定接点32から離れている。
移動体5の移動に連動して、複数の可動接触子4は同時に移動する。1つの可動接触子4が閉位置にある場合は、残りの3つの可動接触子4も閉位置にある。1つの可動接触子4が開位置にある場合は、残りの3つの可動接触子4も開位置にある。コイル81(図5参照)が通電されていないときは、複数の可動接触子4は開位置に位置する。コイル81が通電されると、複数の可動接触子4は閉位置に移動する。
可動接触子4の本体部43は、ホルダ6の第1部位61と2つの姿勢調整部64とに接する接触面431を有している。接触面431は、本体部43のうち右側の面である。可動接触子4には、ばね部51からの右向きの力が作用している。図1では、接触面431は、第1部位61の上端付近の部位に接している。図1に示すように、可動接触子4が開位置にある場合は、接触面431は、第1部位61と2つの姿勢調整部64とに接している。このときの可動接触子4の姿勢を、第1姿勢と称す。つまり、2つの姿勢調整部64は、接触面431に接することにより可動接触子4を第1姿勢に維持する。第1姿勢では、可動接触子4の接触面431の法線方向は、左右方向に沿った斜め下向きである。
可動接触子4が第1姿勢の状態で、コイル81が通電され、移動体5が駆動部8(図5参照)に駆動されて右向きに移動すると、図2に示すように、一対の可動接点41、42がそれぞれ対応する固定接点31、32に接する。すなわち、可動接触子4が閉位置に移動する。一対の可動接点41、42がそれぞれ対応する固定接点31、32に接した瞬間は、可動接触子4の姿勢は第1姿勢である。
その後、移動体5は更に右向きに移動する。すなわち、可動接触子4が一対の固定接点31、32から受ける反力によりばね部51が圧縮されながら、移動体5が右向きに移動する。これにより、図3に示すように、2つの姿勢調整部64が可動接触子4の接触面431から離れる。すると、可動接触子4の姿勢が第1姿勢(図2参照)から第2姿勢(図3参照)に変わる。可動接触子4が第2姿勢のときは、第1姿勢のときと比較して、可動接触子4の接触面431の法線方向と左右方向とがなす角が小さい。
すなわち、可動接触子4が開位置から閉位置に移動する際に、可動接触子4と2つの姿勢調整部64とが離れることにより可動接触子4は第1姿勢から第2姿勢に変化する。ここで、可動接触子4が開位置から閉位置に移動する際に、一対の可動接点41、42がそれぞれ対応する固定接点31、32に接した状態で可動接触子4が第1姿勢から第2姿勢に変化する。つまり、可動接触子4が閉位置に移動してから可動接触子4が第1姿勢から第2姿勢に変化する。一対の可動接点41、42はそれぞれ、可動接触子4が第1姿勢から第2姿勢に変化する場合に、対応する固定接点31、32に対して摺動する。
可動接触子4の姿勢を第1姿勢から第2姿勢にする要素として、次の2つの要素が挙げられる。1つ目の要素は、可動接触子4が一対の固定接点31、32から受ける反力である。すなわち、この反力により可動接触子4が前後方向に沿った仮想軸を中心として回転し、第1姿勢から第2姿勢になる。2つ目の要素は、可動接触子4の本体部43が第2部位62の平面状の対向面621に接することである。すなわち、可動接触子4が対向面621と面接触する(可動接触子4が対向面621の全体と接する)ように、可動接触子4が前後方向に沿った仮想軸を中心として回転し、第1姿勢から第2姿勢になる。この2つの要素のうち少なくとも一方により、可動接触子4の姿勢が第1姿勢から第2姿勢になる。
ここで、前後方向は、一対の固定接点31、32を結ぶ方向である。すなわち、可動接触子4の第1姿勢は、一対の固定接点31、32を結ぶ基準線B1(仮想線)と平行な軸B2(仮想軸)を中心として可動接触子4が第2姿勢から回転した姿勢である。軸B2は、可動接触子4を通る。
可動接触子4は、第1端部433と、第2端部434とを有している。第1端部433と第2端部434とは、可動接触子4の本体部43の一部である。第1端部433は、本体部43の上端付近の部位であり、第2端部434は、本体部43の下端付近の部位である。すなわち、可動接触子4において、一軸(左右方向に沿った方向軸)と一対の固定接点31、32を結ぶ基準線B1(前後方向に沿った直線)との両方と交差する方向軸(上下方向に沿った方向軸)における一方側に、第1端部433が位置し、他方側に、第2端部434が位置する。2つの姿勢調整部64は、第1端部433と第2端部434とのうち一方に対向する位置に設けられている。2つの姿勢調整部64は、第1端部433と第2端部434とのうち一方に接することにより可動接触子4を第1姿勢にする。本実施形態では、2つの姿勢調整部64は、第2端部434に接することにより可動接触子4を第1姿勢にする。つまり、2つの姿勢調整部64は、可動接触子4のうち上下方向の中心よりも下の位置に接することにより可動接触子4を第1姿勢にする。
第1端部433の範囲は、本体部43の上端付近であって本体部43の長手方向(前後方向)の全域に亘る範囲である。第2端部434の範囲は、本体部43の下端付近であって本体部43の長手方向(前後方向)の全域に亘る範囲である。
可動接触子4の姿勢が第1姿勢から第2姿勢に変化する場合に、移動体5の右端は、周壁部112の開口部1120に挿入される。すなわち、開口部1120の内側の空間が、移動体5の移動スペースの一部として用いられる。開口部1120は、中間ケース11の外側から第2カバー72に覆われている(図5参照)。
移動体5が右向きに移動して可動接触子4が第2姿勢になった後、コイル81が通電されていない状態になると移動体5が左向きに移動する。移動体5が左向きに移動して2つの姿勢調整部64が可動接触子4の接触面431に接すると、可動接触子4は上記とは逆向きに回転して第2姿勢から第1姿勢になる。
上述の通り、可動接触子4が開位置から閉位置に移動する際に、一対の可動接点41、42がそれぞれ対応する固定接点31、32に接した状態で可動接触子4が第1姿勢から第2姿勢に変化する。ここで、可動接触子4が第1姿勢にあるときの、各可動接点41、42のうち固定接点31、32との対向面410、420は、可動接触子4が第2姿勢にあるときの各可動接点41、42の対向面410、420に対して傾く。言い換えると、可動接触子4が第1姿勢のときと第2姿勢のときとで、対向面410、420の向きが異なる。そのため、対向面410の向きが固定されている場合と比較して、固定接点31と可動接点41との間に発生するアークが一箇所に留まる可能性が低減するので、アークの熱により固定接点31と可動接点41とが溶着する可能性を低減させることができる。同様に、対向面420の向きが固定されている場合と比較して、固定接点32と可動接点42とが溶着する可能性を低減させることができる。
また、可動接触子4の第1姿勢は、一対の固定接点31、32を結ぶ基準線B1と平行な軸B2を中心として可動接触子4が第2姿勢から回転した姿勢である。そのため、可動接触子4が第1姿勢であって可動接点41が固定接点31に接するとき、略同時に可動接点42が固定接点32に接する。これにより、一対の固定接点31、32の間に発生するアーク電圧が一対の固定接点31、32間で分圧される。
図8、図9に示すように、接点装置2は、補助固定接点91と、補助可動接触子92と、一対の補助端子93とを有している。補助可動接触子92は、本体部921と、補助可動接点922とを有している。
補助固定接点91及び補助可動接点922の各々は、円柱状の軸部と、軸部の先端に設けられた円盤状の頭部とを有している。すなわち、補助固定接点91及び補助可動接点922の各々は、リベット接点である。
本体部921は、銅等の金属板により形成されている。本体部921は、導電性を有している。また、本体部921は、弾性を有している。本体部921の形状は、帯状である。本体部921は、挿入孔941と、2つの固定孔942とを有している。挿入孔941に補助可動接点922が挿入された状態で補助可動接点922と本体部921とがかしめにより固定される。2つの固定孔942は、補助可動接触子92を一対の補助端子93のうち一方に固定するための孔である。挿入孔941は、本体部921の長手方向(前後方向)の一端付近に設けられており、2つの固定孔942は、本体部921の長手方向の他端付近に設けられている。
一対の補助端子93の各々は、銅等の金属板により形成されている。一対の補助端子93の各々は、導電性を有している。一対の補助端子93は、互いに同じ形状を有している。一対の補助端子93の各々は、装着部931と、引出部932とを有している。装着部931の形状は、長方形状の板状である。引出部932は、装着部931から下向きに突出している。引出部932は、第2カバー72(図7参照)に形成された貫通孔を通って第2カバー72の外部に突出している。
装着部931は、第1固定部951と、2つの第2固定部952とを有している。また、装着部931は、第1面953と、第2面954とを含んでいる。第1面953は、装着部931の厚さ方向の一方側の面であり、第2面954は、装着部931の厚さ方向の他方側の面である。一対の補助端子93のうち一方の補助端子93は、第1面953が補助可動接触子92と対向するように配置され、他方の補助端子93は、第2面954が補助可動接触子92と対向するように配置される。
第1固定部951は、貫通孔である。第1固定部951は、第1面953から第2面954までを貫通している。第1固定部951には、補助固定接点91が固定される。すなわち、第1固定部951に補助固定接点91が挿入された状態で補助固定接点91と補助端子93とがかしめにより固定される。補助固定接点91は、装着部931の第1面953側に配置される。
2つの第2固定部952は、第2面954から突出した突起である。2つの第2固定部952には、補助可動接触子92が固定される。すなわち、2つの第2固定部952が補助可動接触子92の2つの固定孔942に挿入された状態で補助端子93と補助可動接点922とがかしめにより固定される。
一対の補助端子93のうち一方には、第1固定部951を介して補助固定接点91が固定されている。一対の補助端子93のうち他方には、第2固定部952を介して補助可動接触子92が固定されている。補助可動接点922は、補助固定接点91に対向している。
本実施形態では、一対の補助端子93の構成を共通化している。すなわち、補助固定接点91が固定される補助端子93の構成と、補助可動接触子92が固定される補助端子93の構成とを共通化している。これにより、これらを互いに異なる構成にする場合と比較して、電磁継電器1の製造に要する設備を少なくすることができる。
移動体5は、押圧部53を有している。押圧部53は、移動体5の左端に配置されたホルダ6から突出した突起である。コイル81(図5参照)が通電されていない状態では、押圧部53は補助可動接触子92の本体部921に接している。これにより、補助可動接点922と補助固定接点91とが接した状態が維持されている。すなわち、このとき補助可動接触子92は、補助可動接点922が補助固定接点91に接する閉位置にある。
コイル81が通電されると、移動体5が右へ移動することにより、押圧部53が補助可動接触子92の本体部921から離れる。すると、本体部921が弾性変形することにより補助可動接点922が補助固定接点91から離れる。すなわち、このとき補助可動接触子92は、補助可動接点922が補助固定接点91から離れる開位置にある。
コイル81が通電されていない状態に戻ると、押圧部53が本体部921を押すことにより、補助可動接点922と補助固定接点91とが接した状態に戻る。
すなわち、補助可動接触子92は、可動接触子4(図1参照)が閉位置と開位置との間で移動することに連動して、補助可動接点922が補助固定接点91に接する閉位置と補助可動接点922が補助固定接点91から離れる開位置との間で移動する。可動接触子4が閉位置にあるとき、補助可動接触子92は開位置にあり、可動接触子4が開位置にあるとき、補助可動接触子92は閉位置にある。なお、これとは逆に、可動接触子4が閉位置にあるとき、補助可動接触子92は閉位置にあり、可動接触子4が開位置にあるとき、補助可動接触子92は開位置にあってもよい。
補助固定接点91、補助可動接触子92及び一対の補助端子93は、例えば、一対の固定接点31、32と一対の可動接点41、42とが溶着しているか否かの検知に用いられる。すなわち、コイル81が通電されていない状態で、一対の補助端子93の間に電流が流れる場合は、一対の固定接点31、32と一対の可動接点41、42とが溶着していないと判断される。一方で、コイル81が通電されていない状態で、一対の補助端子93の間に電流が流れない場合は、一対の固定接点31、32と一対の可動接点41、42とが溶着していると判断される。つまり、本来であれば、移動体5が元の位置へと左に移動することで押圧部53が本体部921を押すことにより、補助可動接点922が補助固定接点91と接した状態に戻る。しかしながら、一対の固定接点31、32と一対の可動接点41、42とが溶着している場合、移動体5が元の位置へと移動できないため、補助可動接点922が補助固定接点91から離れた状態が維持されるからである。
(変形例1)
以下、変形例1に係る電磁継電器1Aについて、図10〜図12を用いて説明する。実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
本変形例1の可動接触子4Aは、本体部43Aが2つの開口部435を有している点で、実施形態の可動接触子4と異なる。本体部43Aは、2つの姿勢調整部64と接する2つの接触位置436を有している。可動接触子4Aにおいて、2つの開口部435は、2つの接触位置436に対して2回回転対称(2回対称)な位置に設けられている。言い換えると、2つの開口部435は、対称軸を中心として可動接触子4Aを180度回転した場合に、2つの開口部435の位置が回転前の2つの接触位置436と同じ位置となるように設けられている。ここで、対称軸は、前後方向及び上下方向における可動接触子4Aの中心を通り左右方向(可動接触子4Aの厚さ方向)に沿った軸である。2つの接触位置436が本体部43Aの第2端部434に設けられているのに対して、2つの開口部435は、本体部43Aの第1端部433に設けられている。
可動接触子4Aとホルダ6との、図11、図12に示す取り付け状態において、2つの開口部435には、2つの姿勢調整部64を挿入可能である。すなわち、図10に示すように2つの接触位置436が2つの姿勢調整部64と接する取り付け状態から、可動接触子4Aの中心を通り一軸に沿った直線を軸として可動接触子4Aを180度回転させて、ホルダ6に対する可動接触子4Aの取り付け状態を変えると(矢印A1参照)、図11、図12に示すように、2つの開口部435に2つの姿勢調整部64が挿入される。ここで、一軸とは、左右方向に沿った仮想軸である。
2つの開口部435に2つの姿勢調整部64が挿入された状態では、2つの姿勢調整部64が可動接触子4Aに接しないので、可動接触子4Aは開位置と閉位置とのいずれにおいても第2姿勢となる。つまり、この状態では、電磁継電器1Aは、2つの姿勢調整部64を有していない電磁継電器と同様に用いることができる。
一方で、図10のように2つの姿勢調整部64が2つの接触位置436に接した状態では、電磁継電器1Aを実施形態の電磁継電器1と同様に用いることができる。すなわち、固定接点31、32と可動接点41、42とが溶着する可能性を低減させることができる。つまり、電磁継電器1Aでは、可動接触子4Aを回転させることで、2つの姿勢調整部64が機能する態様と、機能しない態様とを切り替えることが可能である。
電磁継電器1Aは、可動接触子4Aを4つ備えているので、一部又は全部の可動接触子4Aの2つの開口部435に2つの姿勢調整部64を挿入してもよいし、いずれの可動接触子4Aの2つの開口部435にも2つの姿勢調整部64を挿入しなくてもよい。
なお、可動接触子4Aにおいて、開口部435は、接触位置436に対して2回回転対称な位置に設けられているが、対称軸は、左右方向に沿った軸に限定されない。対称軸は、例えば前後方向又は上下方向に沿った軸であってもよい。そして、対称軸を中心として可動接触子4Aを回転させたとき、固定接点31(又は32)に対向する位置に可動接点41(又は42)が配置されていればよい。
(変形例2)
以下、変形例2に係る電磁継電器1Bについて、図13を用いて説明する。実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
本変形例2のホルダ6Bは、姿勢調整部64を1つのみ有している点で、実施形態のホルダ6と異なる。
可動接触子4の本体部43の第1端部433(上端付近)は姿勢調整部64に接する一方で、第2端部434(下端付近)は姿勢調整部64には接しない。そのため、可動接触子4の第1姿勢は、第2端部434が第1端部433よりも右に位置にする姿勢となる。
結局、可動接触子4の第1姿勢は、第2姿勢(図3参照)から、可動接触子4が前後方向に沿った仮想軸を中心として回転した姿勢となる。
また、可動接触子4に作用する力のバランスによっては、可動接触子4の第1姿勢は、第2姿勢から、可動接触子4が上下方向に沿った仮想軸を中心として回転した姿勢にもなり得る。あるいは、可動接触子4の第1姿勢は、第2姿勢から、可動接触子4が前後方向に沿った仮想軸を中心として回転し、さらに、上下方向に沿った仮想軸を中心として回転した姿勢にもなり得る。
このように、姿勢調整部64を1つのみ有する構成であっても、一対の固定接点31、32が一対の可動接点41、42と接した状態で、可動接触子4を第1姿勢から第2姿勢に変化させる態様を実現することが可能である。
(変形例3)
以下、変形例3に係る電磁継電器1Cについて、図14を用いて説明する。実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
本変形例3のホルダ6Cは、2つの姿勢調整部64を有していない点で、実施形態のホルダ6と異なる。本変形例3の電磁継電器1Cは、ホルダ6C(接触部材)ではなく可動接触子4Cが姿勢調整部44を有している点で、実施形態の電磁継電器1と異なる。本変形例3では、ホルダ6Cの第1部位61が可動接触子4Cの姿勢調整部44に接することにより可動接触子4Cが第1姿勢となる。すなわち、第1部位61が、姿勢調整部44に接する対象部材に相当する。
姿勢調整部44は、可動接触子4Cの本体部43から突出している。姿勢調整部44は、上下方向における本体部43の中心付近に設けられている。また、姿勢調整部44は、一対の固定接点31、32(図1参照)を結ぶ方向(前後方向)における可動接触子4Cの中心とは異なる位置に設けられている。姿勢調整部44は、第1部位61に接することにより、可動接触子4Cを第1姿勢に維持する。
姿勢調整部44が第1部位61に接している場合の可動接触子4Cの第1姿勢(図14に示す姿勢)は、一対の可動接点41、42のうち一方(図14では可動接点42)が他方よりも右に位置する姿勢となる。
結局、可動接触子4Cの第1姿勢は、第2姿勢(図3参照)から、可動接触子4Cが上下方向に沿った仮想軸を中心として回転した姿勢となる。ここで、上下方向に沿った仮想軸は、可動接触子4Cの移動方向(左右方向)に沿った一軸と、一対の固定接点31、32(図1参照)を結ぶ基準線B1(図1参照)との両方と交差する方向軸である。
(変形例4)
以下、変形例4に係る電磁継電器1Dについて、図15を用いて説明する。実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
本変形例4のホルダ6Dは、2つの姿勢調整部64を有していない点で、実施形態のホルダ6と異なる。本変形例4の電磁継電器1Dは、ホルダ6D(接触部材)ではなく可動接触子4Dが2つの姿勢調整部45を有している点で、実施形態の電磁継電器1と異なる。本変形例4では、ホルダ6Dの第1部位61が可動接触子4Dの2つの姿勢調整部45に接することにより可動接触子4Dが第1姿勢となる。すなわち、第1部位61が、2つの姿勢調整部45に接する対象部材に相当する。
2つの姿勢調整部45は、可動接触子4Dの本体部43から突出している。2つの姿勢調整部45の各々は、ホルダ6Dの第1部位61の接触面611に接する接触面451を有している。可動接触子4Dが第2姿勢(図3参照)のとき、2つの姿勢調整部45の各々の接触面451は、第1部位61の接触面611に対して傾いている。
2つの姿勢調整部45が第1部位61に接している場合の可動接触子4Dの第1姿勢(図15に示す姿勢)は、本体部43の第1端部433が第2端部434よりも右に位置にする姿勢となる。
結局、可動接触子4Dの第1姿勢は、第2姿勢(図3参照)から、可動接触子4Dが前後方向に沿った仮想軸を中心として回転した姿勢となる。
(変形例5)
以下、変形例5に係る電磁継電器1Eについて、図16を用いて説明する。実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
本変形例5の可動接触子4Eの本体部43Eは、第1部位61に接する接触面431が、反対側の面432に対して傾いている点で、実施形態の本体部43と異なる。本変形例5のホルダ6Eは、2つの姿勢調整部64を有していない点で、実施形態のホルダ6と異なる。本変形例5では、ホルダ6Eの第1部位61が可動接触子4Eに接することにより可動接触子4Eが第1姿勢となる。つまり、第1部位61が姿勢調整部に相当する。
図16に、可動接触子4Eが第2姿勢のときの可動接触子4Eの配置を2点鎖線で示す。可動接触子4Eが第2姿勢のとき、本体部43Eのうち第1部位61に接する面である接触面431は、第1部位61のうち可動接触子4Eに接する面である接触面611に対して傾いている。より詳細には、前後方向と直交する断面において、接触面431と接触面611とが上下方向に沿った延長線上で交差するように、接触面431が接触面611に対して傾いている。
本体部43Eの接触面431が第1部位61に接している場合の可動接触子4Eの第1姿勢(図16に実線で示す姿勢)は、本体部43Eの第1端部433が第2端部434よりも右に位置にする姿勢となる。
結局、可動接触子4Eの第1姿勢は、第2姿勢(図3参照)から、可動接触子4Eが前後方向に沿った仮想軸を中心として回転した姿勢となる。
(変形例6)
以下、変形例6に係る電磁継電器1Fについて、図17を用いて説明する。実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
本変形例6の可動接触子4Fの本体部43Fは、第1部位61に接する接触面431が、反対側の面432に対して傾いている点で、実施形態の本体部43と異なる。本変形例6のホルダ6Fは、2つの姿勢調整部64を有していない点で、実施形態のホルダ6と異なる。本変形例6では、ホルダ6Fの第1部位61が可動接触子4Fに接することにより可動接触子4Fが第1姿勢となる。つまり、第1部位61が姿勢調整部に相当する。
図17に、可動接触子4Fが第2姿勢のときの可動接触子4Fの配置を2点鎖線で示す。可動接触子4Fが第2姿勢のとき、本体部43Fのうち第1部位61に接する面である接触面431は、第1部位61のうち可動接触子4Fに接する面である接触面611に対して傾いている。より詳細には、上下方向と直交する断面において、接触面431と接触面611とが前後方向に沿った延長線上で交差するように、接触面431が接触面611に対して傾いている。
本体部43Fの接触面431が第1部位61に接している場合の可動接触子4Fの第1姿勢(図17に実線で示す姿勢)は、一対の可動接点41、42のうち一方(図17では可動接点42)が他方よりも右に位置する姿勢となる。
結局、可動接触子4Fの第1姿勢は、第2姿勢(図3参照)から、可動接触子4Fが上下方向に沿った仮想軸を中心として回転した姿勢となる。
(変形例7)
以下、変形例7に係る電磁継電器1Gについて、図18を用いて説明する。実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
本変形例7のホルダ6Gは、2つの姿勢調整部64を有していない点で、実施形態のホルダ6と異なる。また、本変形例7のホルダ6Gにおいて、第1部位61Gの形状が実施形態の第1部位61の形状と異なる。本変形例7では、ホルダ6Gの第1部位61Gが可動接触子4に接することにより可動接触子4が第1姿勢となる。つまり、第1部位61Gが姿勢調整部に相当する。
第1部位61Gのうち可動接触子4に接する面である接触面611は、第2部位62の対向面621に対して傾いた面を含む。図18に、可動接触子4が第2姿勢のときの可動接触子4の配置を2点鎖線で示す。可動接触子4が第2姿勢のとき、本体部43のうち第1部位61Gに接する面である接触面431は、第1部位61Gのうち可動接触子4に接する面である接触面611に対して傾いている。より詳細には、上下方向と直交する断面において、接触面431と接触面611とが前後方向に沿った延長線上で交差するように、接触面431が接触面611に対して傾いている。
本体部43の接触面431が第1部位61Gに接している場合の可動接触子4の第1姿勢(図18に実線で示す姿勢)は、一対の可動接点41、42のうち一方(図18では可動接点42)が他方よりも右に位置する姿勢となる。
結局、可動接触子4の第1姿勢は、第2姿勢(図3参照)から、可動接触子4が上下方向に沿った仮想軸を中心として回転した姿勢となる。
(変形例8)
以下、変形例8に係る電磁継電器1Hについて、図19を用いて説明する。実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
本変形例8のホルダ6Hは、2つの姿勢調整部64を有していない点で、実施形態のホルダ6と異なる。また、本変形例8のホルダ6Hにおいて、第1部位61Hの形状が実施形態の第1部位61の形状と異なる。本変形例8では、ホルダ6Hの第1部位61Hが可動接触子4に接することにより可動接触子4が第1姿勢となる。つまり、第1部位61Hが姿勢調整部に相当する。
第1部位61Hのうち可動接触子4に接する面である接触面611は、第2部位62の対向面621に対して傾いた面を含む。図19に、可動接触子4が第2姿勢のときの可動接触子4の配置を2点鎖線で示す。可動接触子4が第2姿勢のとき、本体部43のうち第1部位61Hに接する面である接触面431は、第1部位61Hのうち可動接触子4に接する面である接触面611に対して傾いている。より詳細には、前後方向と直交する断面において、接触面431と接触面611とが上下方向に沿った延長線上で交差するように、接触面431が接触面611に対して傾いている。
本体部43の接触面431が第1部位61Hに接している場合の可動接触子4の第1姿勢(図19に実線で示す姿勢)は、本体部43の第1端部433が第2端部434よりも右に位置にする姿勢となる。
結局、可動接触子4の第1姿勢は、第2姿勢(図3参照)から、可動接触子4が前後方向に沿った仮想軸を中心として回転した姿勢となる。
(実施形態のその他の変形例)
次に、実施形態のその他の変形例を列挙する。
実施形態では、各対向面310、320、410、420は、曲面である。これに対して、固定接点31の対向面310と、可動接点41の対向面410とのうち少なくとも一方が、平面状に形成されていてもよい。また、固定接点32の対向面320と、可動接点42の対向面420とのうち少なくとも一方が、平面状に形成されていてもよい。例えば、固定接点31(又は32)の対向面310(又は320)が平面状であって、可動接点41(又は42)の対向面410(又は420)が曲面であってもよい。
また、対向面310、410がそれぞれ球面状であって、対向面310の曲率と対向面410の曲率とが異なっていてもよい。また、対向面320、420がそれぞれ球面状であって、対向面320の曲率と対向面420の曲率とが異なっていてもよい。
実施形態の一対の固定接点31、32及び一対の可動接点41、42は、a接点を構成しているが、これに限定されず、b接点又はc接点を構成していてもよい。
固定接点31、32及び可動接触子4の組の個数は、4組に限定されず、3組以下でもよいし、5組以上でもよい。また、これらの各組において、固定接点31、32の個数は2つに限定されず、1つでもよいし、3つ以上でもよい。また、可動接触子4において、可動接点41、42の個数は2つに限定されず、1つでもよいし、3つ以上でもよい。
第1固定部951の構成は、補助固定接点91を固定可能な構成であればよく、貫通孔に限定されない。例えば、第1固定部951は、補助固定接点91に設けられた窪みに挿入される突起であってもよい。また、第1固定部951の個数は、1つに限定されず、2つ以上でもよい。
第2固定部952の構成は、補助可動接触子92を固定可能な構成であればよく、突起に限定されない。例えば、第2固定部952は、補助可動接触子92に設けられた突起が挿入される貫通孔又は窪みであってもよい。また、第2固定部952の個数は、2つに限定されず、1つ又は3つ以上であってもよい。
補助固定接点91の個数は、2つ以上でもよい。補助可動接点922の個数は、2つ以上でもよい。
実施形態の電磁継電器1は、電磁気力によって接極子85が回転するヒンジ型リレーであるが、電磁継電器1はヒンジ型リレーに限定されない。電磁継電器1は、電磁気力によって可動鉄心が直動することにより、可動接点が固定接点に接した状態と固定接点から離れた状態とになるプランジャ型リレーであってもよい。プランジャ型リレーの構成例としては、可動鉄心と実施形態のホルダ6相当の構成とがシャフトを介してつながっており、可動鉄心の直動によりホルダ6相当の構成が直動する構成等がある。
(まとめ)
以上説明した実施形態等から、以下の態様が開示されている。
第1の態様に係る電磁継電器1(又は1A〜1H)は、固定接点31(及び32)と、可動接触子4(又は4A、4C〜4F)と、を備える。可動接触子4(又は4A、4C〜4F)は、可動接点41(及び42)を有する。可動接触子4(又は4A、4C〜4F)は、可動接点41(及び42)が固定接点31(及び32)に接する閉位置と可動接点41(及び42)が固定接点31(及び32)から離れる開位置との間で一軸に沿って移動する。可動接触子4(又は4A、4C〜4F)は、開位置から閉位置に移動する際に、可動接点41(及び42)と固定接点31(及び32)とが接した状態で第1姿勢から第2姿勢に変化する。可動接点41(及び42)は、固定接点31(及び32)に対向する対向面410(及び420)を有する。可動接触子4(又は4A、4C〜4F)が第1姿勢にあるときの可動接点41(及び42)の対向面410(及び420)は、可動接触子4(又は4A、4C〜4F)が第2姿勢にあるときの可動接点41(及び42)の対向面410(及び420)に対して傾く。
上記の構成によれば、可動接触子4(又は4A、4C〜4F)は、可動接点41(及び42)と固定接点31(及び32)とが接した状態で第1姿勢から第2姿勢に変化するので、可動接点41(及び42)と固定接点31(及び32)とが溶着する可能性を低減させることができる。
また、第2の態様に係る電磁継電器1(又は1A〜1H)は、第1の態様において、接触部材66を更に備える。接触部材66は、可動接触子4(又は4A、4C〜4F)に接する。可動接触子4(又は4A、4C〜4F)と接触部材66とのうち一方は、他方である対象部材に接する姿勢調整部64(若しくは姿勢調整部44、45、又は第1部位61、61G、61H)を有する。姿勢調整部64(若しくは姿勢調整部44、45、又は第1部位61、61G、61H)は、対象部材に接することにより可動接触子4(又は4A、4C〜4F)を第1姿勢に維持する。
上記の構成によれば、可動接触子4(又は4A、4C〜4F)又は接触部材66に接するリブ等の、簡易な構成により姿勢調整部64(若しくは姿勢調整部44、45、又は第1部位61、61G、61H)の機能を実現できる。
また、第3の態様に係る電磁継電器1(又は1A〜1H)では、第2の態様において、可動接触子4(又は4A、4C〜4F)が開位置から閉位置に移動する際に、姿勢調整部64(若しくは姿勢調整部44、45、又は第1部位61、61G、61H)と対象部材とが離れることにより可動接触子4(又は4A、4C〜4F)は第1姿勢から第2姿勢に変化する。
上記の構成によれば、可動接触子4(又は4A、4C〜4F)の姿勢の第1姿勢から第2姿勢への変化を、可動接触子4(又は4A、4C〜4F)の移動と連動させることができる。
また、第4の態様に係る電磁継電器1(又は1A、1B)は、第2又は3の態様において、固定接点を一対備える。可動接触子4(又は4A)は、可動接点を一対有する。一対の固定接点31、32と一対の可動接点41、42とは一対一で対応する。可動接触子4(又は4A)は、一軸と一対の固定接点31、32を結ぶ基準線B1との両方と交差する方向軸における一方側の第1端部433と、他方側の第2端部434とを有する。姿勢調整部64は、第1端部433及び第2端部434のうち一方に対応する位置に設けられている。ここで、可動接触子4(又は4A)が姿勢調整部を有している場合は、「第1端部433及び第2端部434のうち一方に対応する位置」とは、第1端部433又は第2端部434が設けられた位置そのものを指す。接触部材66が姿勢調整部を有している場合は、「第1端部433及び第2端部434のうち一方に対応する位置」とは、第1端部433又は第2端部434に対向する位置を指す。
上記の構成によれば、姿勢調整部64が第1端部433及び第2端部434の間の位置に設けられている場合と比較して、第1姿勢のときの対向面410(及び420)と第2姿勢のときの対向面410(及び420)との傾斜の差を大きくすることができる。
また、第5の態様に係る電磁継電器1Cは、第2又は3の態様において、固定接点を一対備える。可動接触子4Cは、可動接点を一対有する。一対の固定接点31、32と一対の可動接点41、42とは一対一で対応する。姿勢調整部44は、一対の固定接点31、32を結ぶ方向における可動接触子4Cの中心に対応する位置とは異なる位置に設けられている。ここで、可動接触子4Cが姿勢調整部を有している場合は、「可動接触子4Cの中心に対応する位置」とは、可動接触子4Cの中心の位置そのものを指す。接触部材66が姿勢調整部を有している場合は、「可動接触子4Cの中心に対応する位置」とは、可動接触子4Cの中心に対向する位置を指す。
上記の構成によれば、第1姿勢のときの対向面410(及び420)と第2姿勢のときの対向面410(及び420)との傾斜の差の大きさを確保しやすい。
また、第6の態様に係る電磁継電器1Aでは、第2〜5の態様のいずれか1つにおいて、接触部材66は、姿勢調整部64を有する。可動接触子4は、姿勢調整部64との接触位置436に対して2回回転対称な位置に、開口部435を有する。開口部435は、姿勢調整部64を挿入可能である。
上記の構成によれば、電磁継電器1Aにおいて溶着対策を要しない場合には、姿勢調整部64を開口部435に挿入することで、可動接触子4Aが開位置から閉位置に移動する際に第2姿勢を維持させることができる。つまり、電磁継電器1Aを、姿勢調整部64を有していない電磁継電器と同様に用いることができる。
また、第7の態様に係る電磁継電器1D(又は1E〜1H)では、第2〜6の態様のいずれか1つにおいて、姿勢調整部45(又は第1部位61、61G、61H)は、対象部材(可動接触子4又は4D〜4F)に接する接触面451(又は611)を有する。対象部材は、姿勢調整部45(又は第1部位61、61G、61H)に接する接触面611(又は431)を有する。可動接触子4(又は4D〜4F)が第2姿勢のとき、姿勢調整部45(又は第1部位61、61G、61H)の接触面451(又は611)と対象部材の接触面611(又は431)とのうち一方は、他方に対して傾いている。
上記の構成によれば、接触面451(若しくは611)又は接触面611(若しくは431)の傾きによって、第1姿勢のときの可動接点41(及び42)の対向面410(及び420)を、第2姿勢のときの対向面410(及び420)に対して傾かせることができる。
また、第8の態様に係る電磁継電器1(又は1A〜1H)は、第2〜7の態様のいずれか1つにおいて、ホルダ6(又は6B〜6H)を備える。ホルダ6(又は6B〜6H)は、ばね部51を保持する。ばね部51は、可動接触子4(又は4A、4C〜4F)に対して固定接点31(及び32)に向かう一方向の力を作用させる。ホルダ6(又は6B〜6H)は、可動接触子4(又は4A、4C〜4F)を一方向に移動可能に保持する。ホルダ6(又は6B〜6H)は、接触部材66を有している。
上記の構成によれば、ホルダ6(又は6B〜6H)を備えた電磁継電器1(又は1A〜1H)に姿勢調整部64(若しくは姿勢調整部44、45、又は第1部位61、61G、61H)を設けることができる。
また、第9の態様に係る電磁継電器1(又は1A、1B、1D、1E、1H)は、第1〜8の態様のいずれか1つにおいて、固定接点を一対備える。可動接触子4(又は4A、4C、4D、4E)は、可動接点を一対有する。一対の固定接点31、32と一対の可動接点41、42とは一対一で対応する。第1姿勢は、一対の固定接点31、32を結ぶ基準線B1と平行な軸B2を中心として可動接触子4(又は4A、4C、4D、4E)が第2姿勢から回転した姿勢である。
上記の構成によれば、可動接触子4(又は4A、4C、4D、4E)が第1姿勢のときと第2姿勢のときとのいずれにおいても、一対の可動接点41、42の両方をそれぞれ対応する固定接点31、32に接した状態にできる。
また、第10の態様に係る電磁継電器1B(又は1C、1F、1G)では、第1〜8の態様のいずれか1つにおいて、固定接点を一対備える。可動接触子4(又は4C、4F)は、可動接点を一対有する。一対の固定接点31、32と一対の可動接点41、42とは一対一で対応する。第1姿勢は、一軸と一対の固定接点31、32を結ぶ基準線B1との両方と交差する方向軸を中心として可動接触子4(又は4C、4F)が第2姿勢から回転した姿勢である。
上記の構成によれば、第1姿勢が、一対の固定接点31、32を結ぶ基準線B1を中心として可動接触子4(又は4C、4F)が第2姿勢から回転した姿勢である場合と比較して、第1姿勢のときの一対の可動接点41、42の対向面410、420と第2姿勢のときの対向面410、420との傾斜の差の大きさを確保しやすい。
また、第11の態様に係る電磁継電器1(又は1A〜1H)は、第1〜10の態様のいずれか1つにおいて、固定接点31(と32)及び可動接触子4(又は4A、4C〜4F)をそれぞれ複数備える。複数の可動接触子4(又は4A、4C〜4F)は、一軸に沿った方向に並んでいる。
上記の構成によれば、固定接点31、32及び可動接触子4(又は4A、4C〜4F)の複数の組を1つの電磁継電器1(又は1A〜1H)に集約することができる。
また、第12の態様に係る電磁継電器1(又は1A〜1H)では、第1〜11の態様のいずれか1つにおいて、固定接点31(及び32)は、可動接点41(及び42)に対向する対向面310(及び320)を有する。固定接点31(及び32)の対向面310(及び320)と可動接点41(及び42)の対向面410(及び420)とのうち少なくとも一方は、曲面である。
上記の構成によれば、固定接点31(及び32)の対向面310(及び320)と可動接点41(及び42)の対向面410(及び420)とが平面状であって非平行に接する場合と比較して、固定接点31(及び32)と可動接点41(及び42)との接触面積を大きくすることができる。
また、第13の態様に係る電磁継電器1(又は1A〜1H)では、第1〜12の態様のいずれか1つにおいて、可動接点41(及び42)は、可動接触子4(又は4A、4C〜4F)が第1姿勢から第2姿勢に変化する場合に、固定接点31(及び32)に対して摺動する。
上記の構成によれば、可動接点41(及び42)と固定接点31(及び32)とが溶着する可能性を更に低減できる。
また、第14の態様に係る電磁継電器1(又は1A〜1H)では、第1〜13の態様のいずれか1つにおいて、補助固定接点91と、補助可動接触子92と、一対の補助端子93と、を更に備える。補助可動接触子92は、補助可動接点922を有する。補助可動接触子92は、可動接触子4(又は4A、4C〜4F)が閉位置と開位置との間で移動することに連動して、補助可動接点922が補助固定接点91に接する閉位置と補助可動接点922が補助固定接点91から離れる開位置との間で移動する。一対の補助端子93は、第1固定部951及び第2固定部952を有する。第1固定部951には、補助固定接点91が固定される。第2固定部952には、補助可動接触子92が固定される。一対の補助端子93のうち一方には、第1固定部951を介して補助固定接点91が固定されており、他方には、第2固定部952を介して補助可動接触子92が固定されている。
上記の構成によれば、補助固定接点91が固定される補助端子93の構成と、補助可動接触子92が固定される補助端子93の構成とを共通化できる。
第1の態様以外の構成については、電磁継電器1(又は1A〜1H)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
また、第14の態様に係る構成は、第1の態様の構成を必須とすることなく実現されてもよい。すなわち、第15の態様に係る電磁継電器1(又は1A〜1H)は、固定接点31(及び32)と、可動接触子4(又は4A、4C〜4F)と、を備える。可動接触子4(又は4A、4C〜4F)は、可動接点41(及び42)を有する。可動接触子4(又は4A、4C〜4F)は、可動接点41(及び42)が固定接点31(及び32)に接する閉位置と可動接点41(及び42)が固定接点31(及び32)から離れる開位置との間で一軸に沿って移動する。電磁継電器1(又は1A〜1H)は、補助固定接点91と、補助可動接触子92と、一対の補助端子93と、を更に備える。補助可動接触子92は、補助可動接点922を有する。補助可動接触子92は、可動接触子4(又は4A、4C〜4F)が閉位置と開位置との間で移動することに連動して、補助可動接点922が補助固定接点91に接する閉位置と補助可動接点922が補助固定接点91から離れる開位置との間で移動する。一対の補助端子93は、第1固定部951及び第2固定部952を有する。第1固定部951には、補助固定接点91が固定される。第2固定部952には、補助可動接触子92が固定される。一対の補助端子93のうち一方には、第1固定部951を介して補助固定接点91が固定されており、他方には、第2固定部952を介して補助可動接触子92が固定されている。
上記の構成によれば、補助固定接点91が固定される補助端子93の構成と、補助可動接触子92が固定される補助端子93の構成とを共通化できる。