JP2020148444A - 廃棄物処理設備 - Google Patents

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Abstract

【課題】過給機の自立運転を補助する流体機器を有する過給式の廃棄物処理設備においてコスト低減を図る。【解決手段】廃棄物処理設備は、廃棄物を焼却する焼却炉と、廃棄物の焼却に用いられる燃焼用空気を前記焼却炉に導く空気導入経路と、前記燃焼用空気を前記焼却炉から排出される排ガスにより加熱する予熱器と、前記燃焼用空気を圧縮して前記予熱器側に吐出するコンプレッサと前記予熱器で加熱された前記燃焼用空気によって回転することにより前記コンプレッサを駆動させるタービンとを有する過給機と、前記空気導入経路における前記タービンの出口側の位置及び前記空気導入経路における前記コンプレッサの出口側で且つ前記タービンの入口側の位置のうち少なくともいずれかの位置に配置された流体機器であって、前記燃焼用空気を吸入して吐出することにより前記流体機器よりも上流側において前記空気導入経路内の圧力を下げる前記流体機器と、を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、廃棄物処理設備に関する。
従来、特許文献1に記載されているように、下水汚泥等の廃棄物を燃焼処理する廃棄物処理設備が知られている。特許文献1には、過給式の廃棄物処理設備が記載されており、当該廃棄物処理設備は、廃棄物を燃焼する燃焼炉と、当該燃焼炉の後段に設けられた予熱器と、当該予熱器に連結された過給機と、を有している。この廃棄物処理設備では、過給機のコンプレッサから吐出された圧縮空気が予熱器において燃焼炉からの排ガスにより加熱され、加熱された圧縮空気のエネルギーによってタービンが回転することによりコンプレッサが駆動する。そして、タービンから流出した圧縮空気が、燃焼用空気として燃焼炉内に供給される。このような過給式の廃棄物処理設備によれば、燃焼炉の運転が安定した状態においては、過給機によって燃焼炉内に燃焼用空気を自給することができる。
特開2007−170703号公報
過給式の廃棄物処理設備では、排ガスの熱エネルギーを利用して過給機を自立運転させることにより、燃焼炉への空気の自給が可能であるが、種々の要因によって過給機の自立運転が困難になる場合がある。そして、この場合には、空気供給装置等を別途設けて、燃焼炉への空気供給を補助する必要がある。
特許文献1に記載された廃棄物処理設備では、過給機のコンプレッサから、予熱器、タービン、燃焼炉へと続く空気導入経路の外から当該経路内に空気を供給する空気供給装置が設けられている。本発明者等は、このような場合に、経路内の圧力よりも高圧の空気を経路外から押し込む必要があり、高スペックの空気供給装置が要求されるため、設備のコスト増加を招くという課題に着目した。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、過給機の自立運転を補助する流体機器を有する過給式の廃棄物処理設備においてコスト低減を図ることである。
本発明の一局面に係る廃棄物処理設備は、廃棄物を焼却する焼却炉と、廃棄物の焼却に用いられる燃焼用空気を前記焼却炉に導く経路であって、前記焼却炉に接続された一方の端部と、前記燃焼用空気を経路内に取り込むための取込口が設けられた他方の端部と、を有する空気導入経路と、前記空気導入経路を通じて前記焼却炉に導かれる前記燃焼用空気を、前記焼却炉から排出される排ガスにより加熱する予熱器と、前記空気導入経路に配置されると共に前記燃焼用空気を圧縮して前記予熱器側に吐出するコンプレッサと、前記空気導入経路に配置されると共に前記予熱器で加熱された前記燃焼用空気によって回転することにより前記コンプレッサを駆動させるタービンと、を有し、前記空気導入経路を通じて前記焼却炉に前記燃焼用空気を供給する過給機と、前記空気導入経路における前記タービンの出口側の位置及び前記空気導入経路における前記コンプレッサの出口側で且つ前記タービンの入口側の位置のうち少なくともいずれかの位置に配置された流体機器であって、前記燃焼用空気を吸入して吐出することにより前記流体機器よりも上流側において前記空気導入経路内の圧力を下げる前記流体機器と、を有する。
この廃棄物処理設備によれば、過給機の自立状態の維持が困難な場合に流体機器を作動させ、当該流体機器よりも上流側における空気導入経路内の圧力を下げることにより、タービンの出口圧及びコンプレッサの出口圧のうち少なくともいずれかを下げることができる。これにより、タービンの出入口の圧力差が増大し、又はコンプレッサの出入口の圧力差が小さくなり、コンプレッサの駆動力が上がるため、過給機の自立運転を補助することができる。この廃棄物処理設備では、流体機器が過給機のコンプレッサ及びタービンと同様に空気導入経路上に配置されているため、従来のように空気導入経路の外から空気を押し込む必要がない。このため、高スペックの流体機器を用いる必要がなく、設備コストを低減することができる。
しかも、流体機器を、空気導入経路におけるコンプレッサよりも上流側の位置ではなく、コンプレッサよりも下流側の位置に配置することにより、空気導入経路の耐圧性能を上げる設計変更も不要になる。すなわち、流体機器がコンプレッサよりも上流側に配置された場合には、コンプレッサの入口圧及び出口圧が共に上昇し、流体機器が配置されない場合に比べて高圧の燃焼用空気がコンプレッサの下流側を流れるため、それに応じた耐圧設計の変更が必要になる。これに対し、本発明では、コンプレッサによる圧縮後の燃焼用空気を流体機器により吸入して吐出するため、流体機器の配置前に比べて空気導入経路内の圧力が上昇せず、空気導入経路の耐圧設計の変更が不要になる。
上記廃棄物処理設備は、前記過給機の自立運転の安定状態を示す指標値が予め定められた設定値を超えた時に、又は、前記指標値が予め定められた設定値を下回る時に、前記流体機器が作動するように前記流体機器を制御する制御部をさらに有していてもよい。
この構成によれば、過給機の自立運転を維持するために必要な時にのみ流体機器を作動させることができるため、流体機器の作動に要する電力を抑えつつ過給機の自立運転を補助することができる。
上記廃棄物処理設備は、前記流体機器を迂回するように前記空気導入経路に接続されたバイパス経路と、前記空気導入経路から前記バイパス経路への前記燃焼用空気の流入及びその停止を切り替える切替部と、をさらに有していてもよい。前記制御部は、前記流体機器の作動が停止している状態において前記空気導入経路から前記バイパス経路への前記燃焼用空気の流入が許容されるように、前記切替部を制御してもよい。
この構成によれば、流体機器の作動を停止している間に、当該流体機器を迂回するように燃焼用空気を流すことができるため、流体機器が燃焼用空気の流動抵抗になるのを抑制することができる。
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、過給機の自立運転を補助する流体機器を有する過給式の廃棄物処理設備においてコスト低減を図ることができる。
本発明の実施形態1に係る廃棄物処理設備の構成を模式的に示す図である。 上記廃棄物処理設備における流体機器の制御を説明するためのフローチャートである。 本発明の実施形態2に係る廃棄物処理設備の構成を模式的に示す図である。 本発明の実施形態2の変形例に係る廃棄物処理設備の構成を模式的に示す図である。 本発明の実施形態3に係る廃棄物処理設備の構成を模式的に示す図である。 上記廃棄物処理設備における過給機のコンプレッサマップを示すグラフである。
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態に係る廃棄物処理設備を詳細に説明する。
(実施形態1)
まず、本発明の実施形態1に係る廃棄物処理設備1の構成を、図1を参照して説明する。本実施形態に係る廃棄物処理設備1は、下水汚泥等の廃棄物を焼却処理する設備である。図1に示すように、廃棄物処理設備1は、焼却炉10と、空気導入経路20と、予熱器30と、コンプレッサ41及びタービン42を含む過給機40と、流体機器50と、コンプレッサ入口温度測定部60と、予熱器出口温度測定部61と、コンプレッサ出口側排気路80と、コンプレッサ出口側排気弁81と、タービン出口側排気路82と、タービン出口側排気弁83と、制御部70と、を主に有している。
なお、図1は、本実施形態に係る廃棄物処理設備1における主要な構成要素のみを示しているが、廃棄物処理設備1は、同図に現れていない他の構成要素もさらに備え得るものである。以下、廃棄物処理設備1の各構成要素についてそれぞれ詳細に説明する。
焼却炉10は、下水汚泥等の廃棄物を焼却するものであり、例えば流動床式焼却炉である。焼却炉10において廃棄物の焼却時に発生した高温の排ガスG1は、排ガス経路11を通じて予熱器30に導入される。そして、予熱器30から流出した排ガスG1は、灰分や硫黄酸化物(SOx)等が除去された後、煙突(図示しない)から大気中に放出される。
空気導入経路20は、廃棄物の焼却に用いられる燃焼用空気A1を焼却炉10に導く経路(配管)である。燃焼用空気A1は、例えば外気(屋外空間における常温の大気)である。図1に示すように、空気導入経路20は、焼却炉10の下部に接続された一方の端部20Aと、燃焼用空気A1を経路内に取り込むための取込口が設けられた他方の端部20Bと、をそれぞれ有している。当該取込口は、屋外空間に開放されている。
より具体的には、空気導入経路20は、第1〜第4経路21〜24を含み、燃焼用空気A1は、過給機40により第1〜第4経路21〜24を順に通過して焼却炉10内に導入される。図1に示すように、第1経路21は、上流端に燃焼用空気A1の取込口が設けられていると共に、下流端がコンプレッサ41の吸入口に接続されている。第2経路22は、上流端がコンプレッサ41の吐出口に接続されていると共に、下流端が予熱器30の空気入口に接続されている。第3経路23は、上流端が予熱器30の空気出口に接続されていると共に、下流端がタービン42の入口に接続されている。第4経路24は、上流端がタービン42の出口に接続されていると共に、下流端が焼却炉10の下部に設けられた空気入口に接続されている。
予熱器30は、空気導入経路20を通じて焼却炉10に導かれる燃焼用空気A1を、焼却炉10から排出される排ガスG1により加熱するものであり、空気導入経路20(第2経路22及び第3経路23)及び排ガス経路11にそれぞれ接続されている。具体的には、予熱器30は、熱交換器であり、排ガス経路11から流入する排ガスG1と空気導入経路20(第2経路22)から流入する燃焼用空気A1との間で間接的に熱交換することにより、燃焼用空気A1を加熱する。加熱された後の燃焼用空気A1は、第3経路23内に流出する。
過給機40は、空気導入経路20を通じて焼却炉10に燃焼用空気A1を供給するものである。図1に示すように、過給機40は、空気導入経路20において予熱器30の上流側に配置されたコンプレッサ41と、空気導入経路20において予熱器30の下流側に配置されたタービン42と、を有している。なお、「上流側」及び「下流側」は、燃焼用空気A1が空気導入経路20を通じて焼却炉10に向かって流れる向きを基準としている。
コンプレッサ41は、空気導入経路20(第1経路21)から燃焼用空気A1を吸入すると共に当該燃焼用空気A1を所定の圧力まで圧縮し、圧縮した燃焼用空気A1を予熱器30側(第2経路22内)に吐出する。コンプレッサ41は、例えば遠心圧縮機であり、軸周りに回転することにより燃焼用空気A1を昇圧する羽根車(図示しない)と、当該羽根車を収容するケーシング(図示しない)と、を含む。
タービン42は、予熱器30で加熱された燃焼用空気A1によって回転することによりコンプレッサ41を駆動させる。具体的には、タービン42は、燃焼用空気A1の流れを受けて軸周りに回転可能な翼車(図示しない)を有し、当該翼車の回転が回転軸43を介してコンプレッサ41の羽根車に伝達されることにより、コンプレッサ41が駆動する。
流体機器50は、例えばブロワ等の増圧機であり、図1に示す通り、本実施形態では空気導入経路20におけるタービン42の出口側の位置(第4経路24)に配置されている。すなわち、流体機器50は、空気導入経路20上においてコンプレッサ41及びタービン42と直列に配置されている。当該ブロワは、モータの回転数をインバータによって制御することにより駆動する。また流体機器50の増圧能力は、過給機40のコンプレッサ41よりも低くなっている。
流体機器50は、タービン42から流出した燃焼用空気A1を吸入して焼却炉10側へ吐出することにより、当該流体機器50よりも上流側において空気導入経路20(第4経路24)内の圧力を下げる。すなわち、図1中において斜線で示されたタービン出口側領域100(タービン42と流体機器50との間における領域)においては、流体機器50が設置されない場合に比べて、空気導入経路20(第4経路24)内の圧力が小さくなる。
流体機器50は、吸入した燃焼用空気A1を羽根車(図示しない)の回転により増圧し、増圧された燃焼用空気A1を焼却炉10に向かって吐出する。このため、流体機器50の出口側では、空気導入経路20(第4経路24内)の圧力が、流体機器50が設置されない場合と同じになる。すなわち、流体機器50は、当該流体機器50よりも上流側の経路内を減圧すると共に、当該流体機器50よりも下流側の経路内を上流側の減圧分に応じて増圧する。
コンプレッサ入口温度測定部60は、コンプレッサ41に吸入される前の燃焼用空気A1の温度を測定する温度センサである。図1に示すように、コンプレッサ入口温度測定部60は、第1経路21に設けられており、当該第1経路21内をコンプレッサ41の吸入口に向かって流れる燃焼用空気A1の温度を測定する。なお、コンプレッサ入口温度測定部60は、第1経路21内に取り込まれた燃焼用空気A1の温度を測定するものに限定されず、第1経路21内に取り込まれる前の燃焼用空気A1の温度を測定するものであってもよい。
予熱器出口温度測定部61は、予熱器30から空気導入経路20(第3経路23)内に流出する燃焼用空気A1の温度を測定する温度センサである。図1に示すように、予熱器出口温度測定部61は、第3経路23において予熱器30の空気出口の近傍に設けられている。この予熱器出口温度測定部61により、予熱器30において排ガスG1の熱により加熱された後の燃焼用空気A1の温度が測定される。
コンプレッサ出口側排気路80は、空気導入経路20におけるコンプレッサ41の下流側で且つ予熱器30の上流側の位置L1(第2経路22上における任意の位置L1)から、当該空気導入経路20(第2経路22)の外に燃焼用空気A1を排出するための経路(配管)である。図1に示すように、コンプレッサ出口側排気路80は、上流端が第2経路22上における任意の位置L1に接続されていると共に、下流端が屋外空間に開放されている。
コンプレッサ出口側排気弁81は、コンプレッサ出口側排気路80に配置された弁であり、当該コンプレッサ出口側排気路80を通じた燃焼用空気A1の排気率を調整する。具体的には、コンプレッサ出口側排気弁81は、開度調整可能な弁であり、その開度により空気導入経路20(第2経路22)からコンプレッサ出口側排気路80に流入する燃焼用空気A1の流量、すなわち第2経路22からコンプレッサ出口側排気路80を通じて大気中に放出される燃焼用空気A1の流量を調整する。
図1に示すように、第2経路22における位置L1よりも上流側には第1流量測定部62が設けられており、コンプレッサ出口側排気路80には第2流量測定部63が設けられており、第2経路22における位置L1よりも下流側には第3流量測定部64が設けられている。第1流量測定部62は、コンプレッサ出口側排気路80により排気される前の第2経路22内の燃焼用空気A1の流量を測定する。第2流量測定部63は、コンプレッサ出口側排気路80内の燃焼用空気A1の流量を測定する。第3流量測定部64は、コンプレッサ出口側排気路80により排気された後の第2経路22内の燃焼用空気A1の流量を測定する。
タービン出口側排気路82は、空気導入経路20におけるタービン42の下流側の位置L2(第4経路24上における流体機器50よりも下流側の位置L2)から、空気導入経路20(第4経路24)の外に燃焼用空気A1を排出するための経路である。図1に示すように、タービン出口側排気路82は、上流端が第4経路24上における位置L2に接続されていると共に、下流端が屋外空間に開放されている。
タービン出口側排気弁83は、タービン出口側排気路82に配置された弁であり、タービン出口側排気路82を通じた燃焼用空気A1の排気率を調整する。具体的に、タービン出口側排気弁83は、開度調整可能な弁であり、その開度により空気導入経路20(第4経路24)からタービン出口側排気路82に流入する燃焼用空気A1の流量、すなわち第4経路24からタービン出口側排気路82を通じて大気中に放出される燃焼用空気A1の流量を調整する。
図1に示すように、第4経路24における位置L2よりも上流側で且つ流体機器50よりも下流側には第4流量測定部65が設けられており、タービン出口側排気路82には第5流量測定部66が設けられており、第4経路24における位置L2よりも下流側には第6流量測定部67が設けられている。第4流量測定部65は、タービン出口側排気路82により排気される前の第4経路24内の燃焼用空気A1の流量を測定する。第5流量測定部66は、タービン出口側排気路82内の燃焼用空気A1の流量を測定する。第6流量測定部67は、タービン出口側排気路82により排気された後の第4経路24内の燃焼用空気A1の流量を測定する。
上記構成を有する本実施形態に係る廃棄物処理設備1によれば、流体機器50(ブロワ)を作動させることにより、過給機40による焼却炉10への燃焼用空気A1の供給を補助することができる。すなわち、廃棄物処理設備1の通常運転時には、図略のホッパ等を介して廃棄物が焼却炉10内に供給されると共に、過給機40により燃焼用空気A1が空気導入経路20を通じて焼却炉10内に導入される。そして、焼却炉10内において廃棄物が連続的に焼却処理されるが、種々の要因によって過給機40の自立運転(コンプレッサ41の回転)の維持が困難になる場合がある。
このような場合に流体機器50を作動させ、当該流体機器50よりも上流側における空気導入経路20(第4経路24)内の圧力を下げることにより、タービン42の出口圧を下げることができる。これにより、タービン42の出入口の圧力差が増大し、タービン42の回転数が増大する。その結果、コンプレッサ41の駆動力が上がるため、過給機40の自立運転を維持することが可能になる。本実施形態に係る廃棄物処理設備1では、流体機器50が過給機40のコンプレッサ41及びタービン42と同様に空気導入経路20上に配置されているため、空気導入経路20の外から空気を押し込む場合と異なり、高スペックの流体機器を設置する必要がなく、設備コストの面でも有利である。
本実施形態では、上記流体機器50の作動が制御部70により制御される。以下、当該制御部70の構成及びその制御内容について説明する。なお、上記流体機器50は、制御部70により自動制御される場合に限定されず、手動制御されてもよい。
制御部70は、廃棄物処理設備1の各種動作を制御するコントローラである。制御部70は、受付部71と、判定部72と、流体機器(ブロワ)制御部73と、弁制御部74と、記憶部75と、演算部76と、を有している。受付部71、判定部72、ブロワ制御部73、弁制御部74及び演算部76は、上記コントローラを構成する中央演算処理装置(CPU;Central Processing Unit)により実行される各機能であり、記憶部75はメモリにより構成されている。
制御部70は、過給機40の自立運転の安定状態を示す指標値が予め定められた設定値を超えた時に、流体機器50が作動するように当該流体機器50を制御する。本実施形態では、一例として、コンプレッサ入口温度測定部60の測定値を当該指標値とする場合を、図2のフローチャートに従って説明する。
まず、廃棄物処理設備1の上記通常運転中において、コンプレッサ41に吸入される前の燃焼用空気A1の温度がコンプレッサ入口温度測定部60により測定され(ステップS10)、当該測定値のデータが受付部71に入力される。そして、当該測定値が予め定められたコンプレッサ入口温度の設定値を超えるか否かを、判定部72において判定する(ステップS20)。この設定値のデータは、記憶部75に格納されている。
そして、当該測定値が設定値を超える時は(ステップS20のYES)、流体機器50(ブロワ)が作動するように当該流体機器50を流体機器制御部73により制御する(ステップS30)。具体的には、インバータ制御により、流体機器50(ブロワ)を駆動させる。この時、ブロワを停止状態から駆動させてもよいし、駆動状態のブロワの回転数を増大させてもよい。一方、コンプレッサ入口温度測定部60の測定値が設定値以下である時は(ステップS20のNO)、ステップS10に戻り、コンプレッサ41の入口温度の測定が継続される。
コンプレッサ41の入口温度が高い場合には、コンプレッサ41に吸入される燃焼用空気A1の密度が下がる。この場合、コンプレッサ41及びタービン42を通過する燃焼用空気A1の質量流量が低下し、コンプレッサ41の駆動状態の維持が困難になる。したがって、上述の通り、コンプレッサ入口温度測定部60の測定値を過給機40の自立運転の安定状態を示す指標値とし、当該測定値が設定値を超えたタイミングで流体機器50を作動させることにより、ブロワの駆動に要する電力を抑えつつ過給機40の自立運転を維持することができる。
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2に係る廃棄物処理設備1Aについて、図3を参照して説明する。実施形態2に係る廃棄物処理設備1Aは、基本的に上記実施形態1に係る廃棄物処理設備1と同様の構成を有し且つ同様の作用効果を奏するものであるが、流体機器50が空気導入経路20におけるコンプレッサ41の出口側で且つタービン42の入口側の位置に配置されている点で上記実施形態1と異なっている。以下、上記実施形態1と異なる点についてのみ説明する。
図3に示すように、実施形態2に係る廃棄物処理設備1Aでは、流体機器50は、空気導入経路20におけるコンプレッサ41よりも下流側で且つ予熱器30よりも上流側の位置、すなわち第2経路22上に配置されている。流体機器50は、上記実施形態1と同様に例えばブロワであり、コンプレッサ41から吐出された燃焼用空気A1を吸入して予熱器30側へ吐出することにより、当該流体機器50よりも上流側において空気導入経路20(第2経路22)内の圧力を下げる。
すなわち、図3中において斜線で示されたコンプレッサ出口側領域101(コンプレッサ41と流体機器50との間における領域)においては、流体機器50が設置されない場合に比べて、空気導入経路20(第2経路22)内の圧力が小さくなる。流体機器50は、吸入した燃焼用空気A1を増圧し、増圧された燃焼用空気A1を予熱器30に向かって吐出する。このため、流体機器50の出口側では、空気導入経路20(第2経路22内)の圧力が、流体機器50が設置されない場合と同じになる。
実施形態2に係る廃棄物処理設備1Aによれば、過給機40の自立状態の維持が困難な場合に流体機器50を作動させ、流体機器50よりも上流側における空気導入経路20(第2経路22)内の圧力を下げることにより、コンプレッサ41の出口圧を下げることができる。これにより、コンプレッサ41の出入口間の圧力差が減少し、コンプレッサ41の羽根車が回転し易くなるため、上記実施形態1と同様に過給機40の自立運転を補助することができる。
また図4に示す変形例に係る廃棄物処理設備1Bのように、流体機器50は、空気導入経路20における予熱器30よりも下流側で且つタービン42よりも上流側の位置、すなわち第3経路23上に配置されていてもよい。この場合でも、図3に示した実施形態と同様に、コンプレッサ41の出口圧を下げることができる。
(実施形態3)
次に、本発明の実施形態3に係る廃棄物処理設備1Cについて、図5を参照して説明する。実施形態3に係る廃棄物処理設備1Cは、基本的に上記実施形態1に係る廃棄物処理設備1と同様の構成を有し且つ同様の作用効果を奏するものであるが、流体機器50を迂回するバイパス経路90をさらに有している点で上記実施形態1と異なっている。以下、上記実施形態1と異なる点についてのみ説明する。
図5に示すように、実施形態3に係る廃棄物処理設備1Cは、上記実施形態1において説明した構成要素に加えて、バイパス経路90と、切替部93と、をさらに有している。バイパス経路90は、流体機器50を迂回するように空気導入経路20(第4経路24)に接続されている。具体的には、図5に示すように、バイパス経路90は、第4経路24における流体機器50よりも上流側の位置L3に接続された上流端と、第4経路24における流体機器50よりも下流側で且つ位置L2よりも上流側の位置L4に接続された下流端と、を有する。
切替部93は、空気導入経路20(第4経路24)からバイパス経路90への燃焼用空気A1の流入及びその停止を切り替えるものである。具体的には、切替部93は、第4経路24における位置L3よりも下流側で且つ流体機器50よりも上流側に配置された主経路弁91と、バイパス経路90に配置されたバイパス経路弁92と、を有する。主経路弁91及びバイパス経路弁92は、いずれも開閉弁であり、各弁が配置された経路内における燃焼用空気A1の流通及びその遮断を切り替える。
制御部70(弁制御部74)は、流体機器50の作動が停止している状態において空気導入経路20(第4経路24)からバイパス経路90への燃焼用空気A1の流入が許容されると共に流体機器50への燃焼用空気A1の流入が阻止されるように、切替部93を制御する。具体的には、流体機器50の作動が停止している状態において、弁制御部74は、主経路弁91を閉じると共にバイパス経路弁92を開く。
これにより、流体機器50の作動が停止している状態では、タービン42から流出した燃焼用空気A1が流体機器50を通過せず、位置L3からバイパス経路90内に流入し、流体機器50を迂回するようにバイパス経路90内を流れる。そして当該燃焼用空気A1は、位置L4において第4経路24内に流入し、焼却炉10に向かって流れる。
また弁制御部74は、流体機器50が作動している状態においては、空気導入経路20(第4経路24)からバイパス経路90への燃焼用空気A1の流入が阻止されると共に流体機器50への燃焼用空気A1の流入が許容されるように、切替部93を制御する。具体的には、流体機器50が作動している状態において、弁制御部74は、主経路弁91を開くと共にバイパス経路弁92を閉じる。
このように、実施形態3に係る廃棄物処理設備1Cでは、バイパス経路90及び切替部93を設けることにより、流体機器50の作動が停止している間に当該流体機器50を迂回するように燃焼用空気A1を流すことができる。これにより、過給機40の自立運転が安定していて流体機器50の作動が不要である場合に、流体機器50が燃焼用空気A1の流動抵抗になるのを抑制することができる。
また本実施形態では、流体機器50が第4経路24に配置されている場合においてバイパス経路90及び切替部93が設けられる場合について説明したが、図3及び図4に示した形態においてバイパス経路90及び切替部93が同様に設けられてもよい。すなわち、図3の形態において、流体機器50を迂回するように第2経路22に両端が接続されたバイパス経路90と、第2経路22からバイパス経路90への燃焼用空気A1の流入及びその停止を切り替える切替部93と、が設けられてもよい。また図4の形態において、流体機器50を迂回するように第3経路23に両端が接続されたバイパス経路90と、第3経路23からバイパス経路90への燃焼用空気A1の流入及びその停止を切り替える切替部93と、が設けられてもよい。
(その他実施形態)
ここで、本発明のその他実施形態について説明する。
上記実施形態1〜3では、流体機器50が空気導入経路20上における1箇所にのみ配置される場合を説明したがこれに限定されず、流体機器50が空気導入経路20上における複数の箇所に配置されていてもよい。例えば、流体機器50は、空気導入経路20におけるタービン42の出口側の位置(第4経路24)及び空気導入経路20におけるコンプレッサ41の出口側で且つタービン42の入口側の位置(第2経路22又は第3経路23)の両方に配置されていてもよい。この場合、各位置に配置された流体機器50を作動させることにより、タービン42の出口圧及びコンプレッサ41の出口圧の両方を下げることが可能になり、過給機40の自立運転をより確実に維持することができる。
上記実施形態1では、流体機器の一例としてブロワを挙げて説明したがこれに限定されず、例えばブロワよりも増圧能力が低い送風機であるファンが流体機器として用いられてもよい。またブロワやファンの種類としては、例えば軸流式や遠心式等種々のものを採用することができる。
上記実施形態1では、過給機40の自立運転の安定状態を示す指標値として、コンプレッサ入口温度測定部60の測定値を採用する場合について説明したが、以下の通り、他のパラメータを当該指標値として採用することも可能である。
例えば、予熱器出口温度測定部61の測定値が、過給機40の自立運転の安定状態を示す指標値として採用されてもよい。この場合、当該測定値が予め定められた設定値を下回る時に、流体機器50を作動させる。予熱器30の出口温度が低い場合には、タービン42に流入する燃焼用空気A1の熱エネルギーが低く過給機40の自立運転が困難になるため、当該出口温度を指標にすることができる。
またコンプレッサ41の出口側排気率、すなわち第1流量測定部62の測定値に対する第2流量測定部63の測定値の比率が、過給機40の自立運転の安定状態を示す指標値として採用されてもよい。この場合、当該比率が予め定められた設定値を下回る時に、流体機器50を作動させる。なお、この制御を行う前提として、第2経路22における燃焼用空気A1の流量(第3流量測定部64の測定値)が一定に維持されるように、弁制御部74がコンプレッサ出口側排気弁81の開度を制御する。
このように、コンプレッサ出口側排気弁81により第2経路22における燃焼用空気A1の流量を維持する制御を行う場合において、コンプレッサ41の出口側排気率が低いことは、コンプレッサ41から吐出される燃焼用空気A1の流量が少なく、過給機40の自立運転の維持が困難であることの指標になる。したがって、当該排気率に基づいて、流体機器50の作動タイミングを適切に制御することができる。
またコンプレッサ41の出口側排気率に代えて、コンプレッサ41の出口側における燃焼用空気A1の非排気率、すなわち第1流量測定部62の測定値に対する第3流量測定部64の測定値の比率を指標値としてもよい。この場合、当該比率が予め定められた設定値を超える時に、流体機器50を作動させる。
またタービン42の出口側排気率、すなわち第4流量測定部65の測定値に対する第5流量測定部66の測定値の比率が、過給機40の自立運転の安定状態を示す指標値として採用されてもよい。この場合、当該比率が予め定められた設定値を下回る時に、流体機器50を作動させる。なお、この制御を行う前提として、第4経路24における燃焼用空気A1の流量(第6流量測定部67の測定値)が一定に維持されるように、弁制御部74がタービン出口側排気弁83の開度を制御する。
このように、タービン出口側排気弁83により第4経路24における燃焼用空気A1の流量を維持する制御を行う場合において、タービン42の出口側排気率が低いことは、タービン42から流出する燃焼用空気A1の流量が少なく、過給機40の自立運転の維持が困難であることの指標になる。したがって、当該排気率に基づいて、流体機器50の作動タイミングを適切に制御することができる。
またタービン42の出口側排気率に代えて、タービン42の出口側における燃焼用空気A1の非排気率、すなわち第4流量測定部65の測定値に対する第6流量測定部67の測定値の比率を指標値としてもよい。この場合、当該比率が予め定められた設定値を超える時に、流体機器50を作動させる。
またコンプレッサマップ上における現在値が、過給機40の自立運転の安定状態を示す指標値として採用されてもよい。図6は、過給機40のコンプレッサマップを示しており、横軸がコンプレッサ41に吸入される燃焼用空気A1の流量を示し、縦軸はコンプレッサ41に吸入される燃焼用空気A1の圧力に対するコンプレッサ41から吐出された燃焼用空気A1の圧力の比である圧縮比を示している。また当該コンプレッサマップは、コンプレッサ41の動作が安定する安定領域R11とコンプレッサ41の動作が不安定になる不安定領域R21との境界ラインB1と、圧縮比が境界ラインB1の値から所定値低い値に設定された予防ラインB2と、を示している。図6のコンプレッサマップ上における現在値が予防ラインB2を超えている時に、流体機器50を作動させてもよい。
上記実施形態では、下水汚泥を廃棄物の一例として説明したがこれに限定されず、例えば都市ゴミ等の他の廃棄物の焼却処理に本発明の廃棄物処理設備が適用されてもよい。
上記実施形態では、流動床式焼却炉を一例として説明したがこれに限定されず、固定床式の焼却炉が用いられてもよい。
今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと解されるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲により示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
1,1A,1B,1C 廃棄物処理設備
10 焼却炉
20 空気導入経路
30 予熱器
40 過給機
41 コンプレッサ
42 タービン
50 流体機器
90 バイパス経路
93 切替部
A1 燃焼用空気
G1 排ガス

Claims (3)

  1. 廃棄物を焼却する焼却炉と、
    廃棄物の焼却に用いられる燃焼用空気を前記焼却炉に導く経路であって、前記焼却炉に接続された一方の端部と、前記燃焼用空気を経路内に取り込むための取込口が設けられた他方の端部と、を有する空気導入経路と、
    前記空気導入経路を通じて前記焼却炉に導かれる前記燃焼用空気を、前記焼却炉から排出される排ガスにより加熱する予熱器と、
    前記空気導入経路に配置されると共に前記燃焼用空気を圧縮して前記予熱器側に吐出するコンプレッサと、前記空気導入経路に配置されると共に前記予熱器で加熱された前記燃焼用空気によって回転することにより前記コンプレッサを駆動させるタービンと、を有し、前記空気導入経路を通じて前記焼却炉に前記燃焼用空気を供給する過給機と、
    前記空気導入経路における前記タービンの出口側の位置及び前記空気導入経路における前記コンプレッサの出口側で且つ前記タービンの入口側の位置のうち少なくともいずれかの位置に配置された流体機器であって、前記燃焼用空気を吸入して吐出することにより前記流体機器よりも上流側において前記空気導入経路内の圧力を下げる前記流体機器と、を有する、廃棄物処理設備。
  2. 前記過給機の自立運転の安定状態を示す指標値が予め定められた設定値を超えた時に、又は、前記指標値が予め定められた設定値を下回る時に、前記流体機器が作動するように前記流体機器を制御する制御部をさらに有する、請求項1に記載の廃棄物処理設備。
  3. 前記流体機器を迂回するように前記空気導入経路に接続されたバイパス経路と、
    前記空気導入経路から前記バイパス経路への前記燃焼用空気の流入及びその停止を切り替える切替部と、をさらに有し、
    前記制御部は、前記流体機器の作動が停止している状態において前記空気導入経路から前記バイパス経路への前記燃焼用空気の流入が許容されるように、前記切替部を制御する、請求項2に記載の廃棄物処理設備。
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