JP2020148309A - 無段変速機の変速制御装置 - Google Patents

無段変速機の変速制御装置 Download PDF

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大城 岩佐
雅央 西澤
Masao Nishizawa
雅央 西澤
厚 嶋田
Atsushi Shimada
厚 嶋田
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Takuichiro Inoue
拓市郎 井上
智之 諏訪部
Tomoyuki Suwabe
智之 諏訪部
晋 塚本
Shin Tsukamoto
晋 塚本
憲司 菱田
Kenji Hishida
憲司 菱田
克也 根岸
Katsuya Negishi
克也 根岸
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Masakatsu Ogawa
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Mina Yamazaki
未奈 山▲崎▼
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Abstract

【課題】マニュアル変速モードの選択中に減速して最低回転数を維持する無段変速状態に移行した場合、無段変速中にアクセル踏み込み操作が行われてもドライバに違和感を与えるのを回避すること。【解決手段】バリエータ(4)と変速コントローラ(800)を備える。変速コントローラ(800)は、マニュアル変速モードを選択すると、ドライバによるシフト要求操作に基づいて変速比制御を行うフレキシブルマニュアル変速制御部(803)を有する。フレキシブルマニュアル変速制御部(803)は、マニュアル変速モードの選択中に減速して最低回転数を維持する無段変速状態に移行した場合、無段変速中にアクセル踏み込み操作が行われたら、アクセル踏み込み操作時点の変速比を維持する制御を実行する。【選択図】図2

Description

本発明は、車両の駆動系に適用され、変速比が無段階に制御される無段変速機の変速制御装置に関する。
従来、入力軸の動力を無段階に変速して出力軸に伝達可能な無段変速機が搭載された車両に用いられ、前記無段変速機を制御する制御装置であって、
シフト操作によらずに変速比を変更する自動変速モードと選択的に切り替えられる手動変速モードにおいて、シフト操作に応答して、段階的に設定された複数の固定変速比間で変速比を変更する手動変速手段と、
前記手動変速モードにおいて、前記入力軸の最低回転数を設定し、前記入力軸の回転数が前記最低回転数を下回らないように変速比を変更する回転数ガード手段と、
前記車両を加速させる加速要求が入力されたか否か判定する判定手段と、
前記加速要求が入力された場合、前記最低回転数を引き上げる補正を行う補正手段とを含む技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2016−102566号公報
先行技術にあっては、マニュアル変速モードの選択中に減速して最低回転数を維持する無段変速状態に移行した場合、無段変速中にアクセル踏み込み操作が行われたら、アクセル操作量に応じて最低回転数が引き上げられる。このため、ドライバにとっては、選択した固定変速比を維持するマニュアル変速モードとの認識であるにもかかわらず、車速が変わらない状態でエンジン回転数が上昇するダウンシフト状態になり、ドライバに違和感を与える、という課題があった。
本発明は、上記課題に着目してなされたもので、マニュアル変速モードの選択中に減速して最低回転数を維持する無段変速状態に移行した場合、無段変速中にアクセル踏み込み操作が行われてもドライバに違和感を与えるのを回避することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の無段変速機の変速制御装置は、走行用駆動源から駆動輪までの駆動系にバリエータを搭載し、バリエータの変速比を制御する変速コントローラを備える。
変速コントローラは、マニュアル変速モードを選択すると、ドライバによるシフト要求操作とに基づいて変速比制御を行うフレキシブルマニュアル変速制御部を有する。
フレキシブルマニュアル変速制御部は、マニュアル変速モードの選択中に減速して最低回転数を維持する無段変速状態に移行した場合、無段変速中にアクセル踏み込み操作が行われたら、アクセル踏み込み操作時点の変速比を維持する制御を実行する。
このように、無段変速中にアクセル踏み込み操作が行われたら、アクセル踏み込み操作時点での運転点のマップ位置で決まる変速比を固定変速比とし、固定変速比を維持する制御が実行される。よって、アクセル踏み込み操作後は、固定変速比の維持により車速の上昇に応じてバリエータの入力回転数(=走行用駆動源の回転数)が上昇することになる。このため、マニュアル変速モードの選択中に減速して最低回転数を維持する無段変速状態に移行した場合、無段変速中にアクセル踏み込み操作が行われてもドライバに違和感を与えるのを回避することができる。
実施例1の変速制御装置が適用されたベルト式無段変速機を搭載するエンジン車の駆動系と制御系を示す全体システム図である。 エンジン車に適用されたベルト式無段変速機の変速制御装置を示すシステム概要図である。 Dレンジでの無段変速モード選択時に無段変速制御部にて用いられるDレンジ無段変速マップの一例を示す変速マップ図である。 マニュアル変速モード選択時にフレキシブルマニュアル変速制御部にて用いられるマニュアル変速マップの一例を示す変速マップ図である。 変速コントローラのフレキシブルマニュアル変速制御部において実行されるフレキシブルマニュアル変速制御処理の流れを示すフローチャートである。 背景技術におけるマニュアル変速モード選択時に用いられるDレンジマニュアル有段変速マップの一例を示す変速マップ図である。 先行技術においてマニュアル変速モードの選択中に減速して最低回転数を維持する無段変速状態に移行した場合に無段変速中にアクセル踏み込み操作が行われたときの課題を示す課題説明図である。 実施例1のフレキシブルマニュアル変速制御部において実行される変速制御作用を示すタイムチャートである。 実施例1においてマニュアル変速モードの選択中に減速して最低回転数を維持する無段変速状態に移行した場合に無段変速中にアクセル踏み込み操作が行われたときの運転点の動きを示す作用説明図である。
以下、本発明の無段変速機の変速制御装置を実施するための形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
実施例1における無段変速機の変速制御装置は、トルクコンバータと前後進切替機構とバリエータと終減速機構により構成されるベルト式無段変速機を搭載したエンジン車に適用したものである。以下、実施例1の構成を、「全体システム構成」、「変速制御装置のシステム構成」、「フレキシブルマニュアル変速制御処理構成」に分けて説明する。
[全体システム構成]
図1は、実施例1の変速制御装置が適用されたエンジン車の駆動系と制御系を示す。以下、図1に基づいて全体システム構成を説明する。
エンジン車の駆動系は、図1に示すように、エンジン1と、トルクコンバータ2と、前後進切替機構3と、バリエータ4と、終減速機構5と、駆動輪6,6と、を備えている。ここで、ベルト式無段変速機CVTは、トルクコンバータ2と前後進切替機構3とバリエータ4と終減速機構5を図外の変速機ケースに内蔵することにより構成される。
エンジン1は、ドライバのアクセル操作による出力トルクの制御(通常制御)以外に、外部からのエンジン制御信号により出力トルクを制御可能である。このエンジン1には、変速機との協調制御によりトルクダウン制御を行う出力トルク制御アクチュエータ10を有する。なお、トルクダウン制御では、エンジン1の点火時期リタード制御やスロットルバルブ閉制御などによりエンジントルクが上限トルクを上回らないように制限する。
トルクコンバータ2は、トルク増幅機能やトルク変動吸収機能を有する流体継手による発進要素である。トルク増幅機能やトルク変動吸収機能を必要としないとき、エンジン出力軸11(=トルクコンバータ入力軸)とトルクコンバータ出力軸21を直結可能なロックアップクラッチ20を有する。このトルクコンバータ2は、ポンプインペラ23と、タービンランナ24と、ケースにワンウェイクラッチ25を介して設けられたステータ26と、を構成要素とする。
前後進切替機構3は、バリエータ4への入力回転方向を前進走行時の正転方向と後退走行時の逆転方向で切り替える機構である。この前後進切替機構3は、ダブルピニオン式遊星歯車30と、前進クラッチ31と、後退ブレーキ32と、を有する。前進クラッチ31は、Dレンジなどの前進走行レンジ選択時に前進クラッチ圧Pfcにより油圧締結される。後退ブレーキ32は、Rレンジなどの後退走行レンジ選択時に後退ブレーキ圧Prbにより油圧締結される。なお、前進クラッチ31と後退ブレーキ32は、Nレンジ(ニュートラルレンジ)の選択時、前進クラッチ圧Pfcと後退ブレーキ圧Prbをドレーンすることで、いずれも解放される。
バリエータ4は、プライマリプーリ42と、セカンダリプーリ43と、プーリベルト44と、を有し、ベルト接触径の変化により変速比(バリエータ入力回転とバリエータ出力回転の比)を無段階に変化させる無段変速機構である。
プライマリプーリ42は、バリエータ入力軸40の同軸上に配された固定プーリ42aとスライドプーリ42bにより構成され、スライドプーリ42bは、プライマリ圧室45に導かれるプライマリ圧Ppriによりスライド動作する。
セカンダリプーリ43は、バリエータ出力軸41の同軸上に配された固定プーリ43aとスライドプーリ43bにより構成され、スライドプーリ43bは、セカンダリ圧室46に導かれるセカンダリ圧Psecによりスライド動作する。
プーリベルト44は、プライマリプーリ42のV字形状をなすシーブ面と、セカンダリプーリ43のV字形状をなすシーブ面に掛け渡されている。このプーリベルト44は、環状リングを内から外へ多数重ね合わせた2組の積層リングと、打ち抜き板材により形成され、2組の積層リングに沿って挟み込みにより環状に積層して取り付けられた多数のエレメントにより構成されている。なお、プーリベルト44としては、プーリ進行方向に多数配列したチェーンエレメントを、プーリ軸方向に貫通するピンにより結合したチェーンタイプのベルトであっても良い。
終減速機構5は、バリエータ出力軸41からのバリエータ出力回転を減速すると共に差動機能を与えて左右の駆動輪6,6に伝達する機構である。この終減速機構5は、減速ギア機構として、バリエータ出力軸41に設けられたアウトプットギア52と、アイドラ軸50に設けられたアイドラギア53及びリダクションギア54と、デフケースの外周位置に設けられたファイナルギア55と、を有する。そして、差動ギア機構として、左右のドライブ軸51,51に介装されたディファレンシャルギア56を有する。
エンジン車の制御系は、図1に示すように、油圧制御系である油圧制御ユニット7と、電子制御系であるCVTコントロールユニット8と、エンジンコントロールユニット9とを備えている。なお、CVTコントロールユニット8とエンジンコントロールユニット9は、CAN通信線13により情報交換可能に接続されている。
油圧制御ユニット7は、プライマリ圧室45に導かれるプライマリ圧Ppri、セカンダリ圧室46に導かれるセカンダリ圧Psec、前進クラッチ31への前進クラッチ圧Pfc、後退ブレーキ32への後退ブレーキ圧Prb、などを調圧するユニットである。この油圧制御ユニット7は、エンジン1により回転駆動されるメカオイルポンプと電動モータにより回転駆動される電動オイルポンプとの少なくとも一方による油圧源70と、油圧源70からの吐出圧に基づいて各種の制御圧を調圧する油圧制御回路71と、を備える。
油圧制御回路71には、ライン圧ソレノイド弁72と、プライマリ圧ソレノイド弁73と、セカンダリ圧ソレノイド弁74と、セレクトソレノイド弁75と、ロックアップ圧ソレノイド弁76と、を有する。なお、各ソレノイド弁72,73,74,75,76は、CVTコントロールユニット8から出力されるソレノイド指令値によって各指令圧に調圧する。
ライン圧ソレノイド弁72は、CVTコントロールユニット8から出力されるライン圧指令値に応じ、油圧源70からの吐出圧を、指令されたライン圧PLに調圧する。このライン圧PLは、各種の制御圧を調圧する際の元圧であり、駆動系を伝達するトルクに対してベルト滑りやクラッチ滑りを抑える油圧とされる。他のソレノイド弁73,74,75,76は、ライン圧PLを元圧として指令された油圧に減圧調整する。
CVTコントロールユニット8は、ライン圧制御や変速制御や前後進切替制御やロックアップ制御などを行う。ライン圧制御では、アクセル開度APOなどに応じた目標ライン圧を得る指令値をライン圧ソレノイド弁72に出力する。変速制御では、目標変速比(目標プライマリ回転Npri*)を決めると、決めた目標変速比(目標プライマリ回転Npri*)を得る指令値をプライマリ圧ソレノイド弁73及びセカンダリ圧ソレノイド弁74に出力する。前後進切替制御では、選択されているレンジ位置に応じて前進クラッチ31と後退ブレーキ32の締結/解放を制御する指令値をセレクトソレノイド弁75に出力する。ロックアップ制御では、ロックアップクラッチ20を締結/スリップ締結/解放するロックアップ制御圧PL/Uを制御する指令値をロックアップ圧ソレノイド弁76に出力する。
CVTコントロールユニット8には、プライマリ回転センサ80、車速センサ81、セカンダリ回転センサ82、油温センサ83、インヒビタスイッチ84、ブレーキスイッチ85、タービン回転センサ86からの情報が入力される。さらに、変速モード選択スイッチ87、シフト操作スイッチ88などからの情報が入力される。エンジンコントロールユニット9には、アクセル開度センサ90、エンジン回転センサ91などからの情報が入力される。
[変速制御装置のシステム構成]
図2は、エンジン車に適用されたベルト式無段変速機CVTの変速制御装置を示す。以下、図2〜図4に基づいて変速制御装置のシステム構成を説明する。
エンジン車の駆動系は、図3に示すように、エンジン1(走行用駆動源)と、ベルト式無段変速機CVT(トルクコンバータ2、前後進切替機構3、バリエータ4、終減速機構5)と、駆動輪6と、を備えている。
ベルト式無段変速機CVTのトルクコンバータ2は、締結によりエンジン出力軸11(=トルクコンバータ入力軸)とトルクコンバータ出力軸21を直結するロックアップクラッチ20を有する。前後進切替機構3は、前進走行レンジ(Dレンジ、Lレンジなど)の選択により締結される前進クラッチ31と、後退走行レンジ(Rレンジ)の選択により締結される後退ブレーキ32と、を並列に有する。バリエータ4(無段変速機構)は、プライマリプーリ42と、セカンダリプーリ43と、両プーリ42,43に掛け渡されるプーリベルト44と、を有する。
変速制御装置の油圧制御系は、図2に示すように、油圧源70と、油圧制御回路71と、プライマリ圧ソレノイド弁73と、セカンダリ圧ソレノイド弁74と、を備えている。
プライマリ圧ソレノイド弁73は、変速油圧制御時、油圧制御回路71において、油圧源70からの吐出圧に基づいて調圧されたライン圧を元圧とし、CVTコントロールユニット8からのプライマリ圧制御指令によりプライマリ圧Ppriを調圧する。そして、調圧されたプライマリ圧Ppriは、バリエータ4に有するプライマリプーリ42のプライマリ圧室45に導かれる。
セカンダリ圧ソレノイド弁74は、変速油圧制御時、油圧制御回路71において、油圧源70からの吐出圧に基づいて調圧されたライン圧を元圧とし、CVTコントロールユニット8からのセカンダリ圧制御指令によりセカンダリ圧Psecを調圧する。そして、調圧されたセカンダリ圧Psecは、バリエータ4に有するセカンダリプーリ43のセカンダリ圧室46に導かれる。
変速制御装置の電子制御系は、図2に示すように、CVTコントロールユニット8を備え、CVTコントロールユニット8には、プライマリ回転センサ80、車速センサ81、インヒビタスイッチ84、変速モード選択スイッチ87、シフト操作スイッチ88、アクセル開度センサ90などからの情報が入力される。
ここで、プライマリ回転センサ80は、プライマリプーリ42のプライマリ回転数Npriを検出する。車速センサ81は、車速VSPを検出する。インヒビタスイッチ84は、ドライバが選択しているレンジ位置(Rレンジ、Nレンジ、Pレンジ、Dレンジ、Lレンジなど)を検出する。アクセル開度センサ90は、アクセル開度APO(ドライバによるアクセル操作量)を検出し、CAN通信線13を介してCVTコントロールユニット8へアクセル開度APOの情報を供給する。
変速モード選択スイッチ87は、ドライバ操作により「無段変速モード」と「マニュアル変速モード」との何れかの変速モードを選択するスイッチであり、無段変速モード選択信号とマニュアル変速モード選択信号を出力する。
シフト操作スイッチ88は、「マニュアル変速モード」を選択している場合、シフトアップを意図するドライバ操作によりシフトアップ要求信号を出力し、シフトダウンを意図するドライバ操作によりシフトダウン要求信号を出力する。なお、ドライバ操作とは、例えば、アップシフト/ダウンシフトの操作レバーに対するレバー操作、或いは、アップシフト/ダウンシフトの操作ボタンに対するボタン操作、或いは、アップシフト/ダウンシフトのシーソースイッチに対するスイッチ操作などをいう。
CVTコントロールユニット8は、図2に示すように、ベルト式無段変速機CVTのバリエータ4による変速制御機能を分担する変速コントローラ800を備える。変速コントローラ800は、変速モード選択部801と、無段変速制御部802と、フレキシブルマニュアル変速制御部803と、ソレノイド指令出力部804と、を有する。
変速モード選択部801は、インヒビタスイッチ84と変速モード選択スイッチ87からのスイッチ信号を入力する。そして、Dレンジであって、かつ、「無段変速モード」であるとき、無段変速制御部802による無段変速制御処理を選択する。一方、Dレンジであって、かつ、「マニュアル変速モード」であるとき、フレキシブルマニュアル変速制御部803によるマニュアル変速制御処理を選択する。
無段変速制御部802は、「無段変速モード」の選択時、図3に示すDレンジ無段変速マップM1を用い、運転点(VSP,APO)のマップ位置に基づいて無段階に変速比を変更する無段変速制御処理を実行する。無段変速制御部802からソレノイド指令出力部804へは、無段変速制御処理結果として目標プライマリ回転数Npri(C)*を出力する。
フレキシブルマニュアル変速制御部803は、「マニュアル変速モード」の選択時、図4に示すマニュアル変速マップM2を用い、運転点(VSP,APO)のマップ位置とドライバによるシフト要求操作とに基づいてマニュアル変速制御処理を実行する。フレキシブルマニュアル変速制御部803からソレノイド指令出力部804へは、マニュアル変速制御処理結果として目標プライマリ回転数Npri(M)*を出力する。ここで、“フレキシブルマニュアル変速制御部803”としたのは、マニュアル変速マップM2が固定変速比線を有さず、運転状況に応じて無数の固定変速比線を引くことができる柔軟性が高い制御則によるマニュアル変速制御部であることによる。
ソレノイド指令出力部804は、「無段変速モード」の選択時、無段変速制御部802から目標プライマリ回転数Npri(C)*を入力する。そして、実プライマリ回転数Npriを目標プライマリ回転数Npri(C)*へ収束させるプライマリ圧制御指令とセカンダリ圧制御指令を演算する。一方、「マニュアル変速モード」の選択時、フレキシブルマニュアル変速制御部803から目標プライマリ回転数Npri(M)*を入力する。そして、実プライマリ回転数Npriを目標プライマリ回転数Npri(M)*へ収束させるプライマリ圧制御指令とセカンダリ圧制御指令を演算する。演算されたプライマリ圧制御指令はプライマリ圧ソレノイド弁73へ出力し、セカンダリ圧制御指令はセカンダリ圧ソレノイド弁74へ出力する。
次に、無段変速制御部802の詳細を説明する。図3は、Dレンジでの無段変速モード選択時に無段変速制御部にて用いられるDレンジ無段変速マップM1の一例を示す。Dレンジ無段変速マップM1は、縦軸を目標プライマリ回転数Npri*とし横軸を車速VSPとする二次元座標面に、最ロー変速比線と最ハイ変速比線とコースト変速比線が書き込まれた変速マップである。なお、トルクコンバータ2のロックアップクラッチ20が締結状態であるときは、バリエータ4への入力回転数であるプライマリ回転数Npriはそのままエンジン回転数Neになる。
Dレンジ無段変速マップM1を用いる無段変速制御は、最ロー変速比線と最ハイ変速比線とコースト変速比線とで囲まれるハッチング領域内で、運転点(VSP,APO)の位置に応じて目標プライマリ回転数Npri*を決めることで実行される。なお、変速比は、Dレンジ無段変速マップM1の最ロー変速比線や最ハイ変速比線から明らかなように、ゼロ運転点から引かれる固定変速比線(=等変速比線)の傾きであらわされる。なお、運転点(VSP,APO)の位置により目標プライマリ回転数Npri*を決めることは、セカンダリ回転数Nsec(=車速VSP)との関係からバリエータ4の目標変速比を決めることに等しい。
例えば、車速VSPが一定のとき、アクセル踏み込み操作を行うとアクセル開度APOの上昇により目標プライマリ回転数Npri*が上昇してダウンシフト方向に変速する。例えば、車速VSPが一定のとき、アクセル踏み戻し操作を行うとアクセル開度APOの低下により目標プライマリ回転数Npri*が低下してアップシフト方向に変速する。例えば、アクセル開度APOが一定のとき、車速VSPが上昇すると最ハイ変速比線に向かいアップシフト方向に変速し、車速VSPが低下すると最ロー変速比線に向かいダウンシフト方向に変速する。
次に、フレキシブルマニュアル変速制御部803の詳細を説明する。図4は、マニュアル変速モード選択時にフレキシブルマニュアル変速制御部803にて用いられるマニュアル変速マップM2の一例を示す。マニュアル変速マップM2は、縦軸を目標プライマリ回転数Npri*とし横軸を車速VSPとする二次元座標面に、最ロー変速比線と最ハイ変速比線と最低回転数線とアップシフト上限回転数線とダウンシフト上限回転数線が書き込まれた変速マップである。即ち、マニュアル変速マップであるにもかかわらず、固定変速比線を有さない点を最大の特徴とする。そして、マニュアル変速マップM2での運転点(VSP,APO)のマップ位置とドライバによるシフト要求操作とに基づいて変速比制御を行う。
ここで、最低回転数線は、バリエータ4への入力回転数(=プライマリ回転数Npri=エンジン回転数Ne)として、エンジンストールを防止するために維持しておく必要がある最低回転数を規定する回転数線である。このため、マニュアル変速マップM2にて運転点(VSP,APO)が最低回転数線に移行すると、フレキシブルマニュアル変速制御部803は、車速VSPの変化に応じたバリエータ4の無段変速制御により入力回転数の最低回転数を維持する。
マニュアル変速マップM2のアップシフト上限回転数線は、ドライバによるシフトアップ要求操作があったとき、バリエータ4の最大入力回転数を規定する回転数線である。マニュアル変速マップM2のダウンシフト上限回転数線は、ドライバによるシフトダウン要求操作があったとき、バリエータ4の最大入力回転数を規定する回転数線である。このため、フレキシブルマニュアル変速制御部803によるアップシフト制御での上限回転数は、アップシフト上限回転数により制限され、ダウンシフト制御での上限回転数は、ダウンシフト上限回転数により制限される。そして、アップシフト/ダウンシフトが頻繁に繰り返されるのを防止するビジー対策のため、アップシフト上限回転数線を、ダウンシフト上限回転数線より高い変速機入力回転数域に設定するというように、回転数ヒステリシスを持たせている。
例えば、「マニュアル変速モード」の選択中に図4の運転点Aにてアクセル足離し操作をしたとき、運転点Aにより決まる固定変速比線に沿ってコースト減速し、コースト減速によって図4の運転点Bにて最低回転数線に到達したとする。この場合、運転点Bからは最低回転数を維持するように固定変速比制御からダウンシフト方向の無段変速制御へと移行する。そして、無段変速中の運転点Cにてアクセル踏み込み操作が行われたら、アクセル踏み込み操作時点の変速比(運転点Cにより決まる固定変速比)を維持する制御が実行される。つまり、最低回転数を維持する無段変速中にアクセル踏み込み操作が行われたら、無段変速制御からアクセル踏み込み操作タイミングでの運転点(VSP,APO)により決まる固定変速比制御へ移行する。言い換えると、アクセル踏み込み操作タイミングでの運転点(VSP,APO)がどの位置であろうと、ゼロ運転点と運転点(VSP,APO)を通る固定変速比線が描かれることになる。
フレキシブルマニュアル変速制御部803は、アクセル踏み込み操作時点の変速比を維持する制御を、ドライバによるシフト要求操作があるまで実行する。つまり、アクセル踏み込み操作時点の変速比を維持する固定変速比制御の終了条件を、ドライバによるシフトアップ要求操作やドライバによるシフトダウン要求操作とする。
フレキシブルマニュアル変速制御部803は、シフト要求操作として、ドライバによるシフトアップ要求操作があると、現在の入力回転数(=プライマリ回転数Npri)から予め設定された所定回転数分だけ低下させ、有段アップシフト感を演出している。そして、バリエータ4の入力回転数を低下させると、低下したときの運転点(VSP,APO)とゼロ運転点を通る固定変速比線を引き、その後、固定変速比を維持する。
フレキシブルマニュアル変速制御部803は、シフト要求操作として、ドライバによるシフトダウン要求操作があると、現在の入力回転数(=プライマリ回転数Npri)から予め設定された所定回転数分だけ上昇させ、有段ダウンシフト感を演出している。そして、バリエータ4の入力回転数を上昇させると、上昇したときの運転点(VSP,APO)とゼロ運転点を通る固定変速比線を引き、その後、固定変速比を維持する。
[フレキシブルマニュアル変速制御処理構成]
図5は、変速コントローラ800のフレキシブルマニュアル変速制御部803において実行されるフレキシブルマニュアル変速制御処理の流れを示す。以下、図5の各ステップについて説明する。なお、図5のフレキシブルマニュアル変速制御処理は、所定の制御周期で繰り返し実行される。
ステップS1では、スタートに続いて、「マニュアル変速モード」の選択であるか否かを判断する。YES(「マニュアル変速モード」の選択)の場合はステップS2へ進み、NO(「無段変速モード」の選択)の場合はエンドへ進む。
ステップS2では、S1での「マニュアル変速モード」の選択であるとの判断に続き、最低回転数を走行中であるか否かを判断する。YES(最低回転数を走行中)の場合はステップS3へ進み、NO(最低回転数以外を走行中)の場合はステップS7へ進む。
ステップS3では、S2での最低回転数を走行中であるとの判断に続き、最低回転数を維持する無段変速制御を実行し、ステップS4へ進む。
ステップS4では、S3での最低回転数を維持する無段変速制御に続き、アクセル踏み込み操作有りか否かを判断する。YES(アクセル踏み込み操作有り)の場合はステップS5へ進み、NO(アクセル踏み込み操作無し)の場合はエンドへ進む。
ステップS5では、S4でのアクセル踏み込み操作有りとの判断に続き、ドライバのシフトアップ要求、又は、シフトダウン要求が有りか否かを判断する。YES(ドライバのシフト要求有り)の場合はステップS8へ進み、NO(ドライバのシフト要求無し)の場合はステップS6へ進む。
ステップS6では、S5でのドライバのシフト要求無しとの判断に続き、アクセル踏み込み操作の検出直前(アクセル踏み込み操作タイミング)での運転点(VSP,APO)により決まる変速比を固定変速比として維持する制御とし、エンドへ進む。
ステップS7では、S2での最低回転数以外を走行中であるとの判断に続き、ドライバのシフトアップ要求、又は、シフトダウン要求が有りか否かを判断する。YES(ドライバのシフト要求有り)の場合はステップS8へ進み、NO(ドライバのシフト要求無し)の場合はエンドへ進む。
ステップS8では、S5又はS7でのドライバのシフト要求有りとの判断に続き、シフトアップ要求であるか否かを判断する。YES(シフトアップ要求)の場合はステップS9へ進み、NO(シフトダウン要求)の場合はステップS10へ進む。
ステップS9では、S8でのシフトアップ要求であるとの判断に続き、「マニュアル変速モード」でのアップシフト制御を実行し、エンドへ進む。
ステップS10では、S8でのシフトダウン要求であるとの判断に続き、「マニュアル変速モード」でのダウンシフト制御を実行し、エンドへ進む。
次に、「背景技術と課題解決対策」を説明する。そして、実施例1の作用を、「フレキシブルマニュアル変速制御処理作用」、「コースト減速走行からの再加速走行作用」を説明する。
[背景技術と課題解決対策]
背景技術の「マニュアル変速モード」において用いられるマニュアル有段変速マップは、例えば、図6に示すように、固定変速比線による複数のマニュアル変速段(例えば、M1速段〜M5速段)を有する変速マップを用いる。そして、ドライバ操作(レバーシフト操作やスイッチシフト操作など)によりシフトアップ要求があると、その時に選択されているマニュアル変速段から1つの上のマニュアル変速段を選択する。また、ドライバ操作によりシフトダウン要求があると、その時に選択されているマニュアル変速段から1つの下のマニュアル変速段を選択する。
例えば、M2速段が選択されていて運転点がD点であるとき、シフトアップ要求のドライバ操作があると、運転点がD点からE点へと移行してM3速段が選択される。一方、M4速段が選択されていて運転点がF点であるとき、シフトダウン要求のドライバ操作があると、運転点がF点からG点へと移行してM3速段が選択される。
しかし、この背景技術では、マニュアル有段変速マップに引かれた固定変速比線に拘束されるマニュアル変速制御が行われ、選択されているマニュアル変速段による固定変速比が維持される。よって、マニュアル変速モードの選択中に減速して最低回転数を維持する無段変速状態に移行した場合、無段変速中にアクセル踏み込み操作が行われても、そのとき選択されているマニュアル変速段に復帰するまで、最低回転数を維持する無段変速が実行される。このため、アクセル踏み込み操作が行われてもエンジン回転数が上昇することなく、駆動力不足が発生する。
これに対し、駆動力不足の発生を抑える先行技術(特開2016−102566号公報参照)が提案されている。この先行技術では、図7に示すように、マニュアル変速モードの選択中に減速して最低回転数を維持する無段変速状態に移行した場合、無段変速中にアクセル踏み込み操作が行われたら、アクセル操作量に応じて最低回転数を引き上げる補正が行われる。但し、変速マップとしては、背景技術と何ら変わることがないマニュアル有段変速マップを用いる。
よって、無段変速中にアクセル踏み込み操作が行われたら、一気にエンジン回転数が補正後の最低回転数まで上昇し、駆動力不足の発生が抑えられる。しかし、エンジン回転数が補正後の最低回転数まで上昇した後は、補正後の最低回転数に沿って車速の上昇に応じた無段変速状態(アップシフト状態)に移行し、選択されているマニュアル変速段に復帰する。
このため、無段変速中にアクセル踏み込み操作が行われたら、ドライバにとっては、選択した固定変速比を維持するマニュアル変速モードとの認識であるにもかかわらず、車速が変わらない状態でエンジン回転数が上昇するダウンシフト状態になる。つまり、アクセル踏み込み操作を行うと固定変速比状態へ移行するまでに、車速が変わらずエンジン回転数が上昇するダウンシフト状態からエンジン回転数が変わらず車速が上昇するアップシフト状態を経由する。よって、車速とエンジン回転数の関係が固定変速比を維持するマニュアル変速モードでの関係とは異なるものになり、マニュアル変速モードを選択しているドライバに違和感を与える、という課題があった。
本発明者等は、上記課題を解決するため、「マニュアル変速モード」の選択中、複数の固定変速比線によるマニュアル変速段という拘束を外し、柔軟性を持たせた制御とすることで、ドライバに違和感を与えることのないマニュアル変速制御ができる点に着目した。この着目に基づいて、実施例1のベルト式無段変速機CVTの変速制御装置は、エンジン1から駆動輪6までの駆動系にバリエータ4を搭載し、バリエータ4の変速比を制御する変速コントローラ800を備える。変速コントローラ800は、「マニュアル変速モード」を選択すると、固定変速比線を有しないマニュアル変速マップM2を用い、運転点(VSP,APO)のマップ位置とドライバによるシフト要求操作とに基づいて変速比制御を行うフレキシブルマニュアル変速制御部803を有する。フレキシブルマニュアル変速制御部803は、「マニュアル変速モード」の選択中に減速して最低回転数を維持する無段変速状態に移行した場合、無段変速中にアクセル踏み込み操作が行われたら、アクセル踏み込み操作時点の変速比を維持する制御を実行するという課題解決対策を採用した。
即ち、「マニュアル変速モード」の選択中に減速して最低回転数を維持する無段変速状態に移行した場合、無段変速中にアクセル踏み込み操作が行われたら、アクセル踏み込み操作時点での運転点(VSP,APO)のマップ位置とゼロ運転点を結ぶ固定変速比線を引く。そして、アクセル踏み込み操作後は、マニュアル変速マップM2に引かれた固定変速比線による固定変速比を維持するマニュアル変速制御が実行される。
よって、アクセル踏み込み操作後は、固定変速比の維持により車速VSPの上昇に応じてプライマリ回転数Npri(=エンジン回転数Ne)が上昇することになる。つまり、アクセル踏み込み操作されると、アクセル踏み込み操作直後から車速VSPとエンジン回転数Neの関係が固定変速比を維持する関係に移行することになる。このため、「マニュアル変速モード」の選択中に減速して最低回転数を維持する無段変速状態に移行した場合、無段変速中にアクセル踏み込み操作が行われてもドライバに違和感を与えるのを回避することができる。
[フレキシブルマニュアル変速制御処理作用]
フレキシブルマニュアル変速制御部803にて実行されるフレキシブルマニュアル変速制御処理作用を、図5に示すフローチャートに基づいて説明する。
まず、「マニュアル変速モード」の選択中であって、最低回転数以外での走行中にドライバのシフト操作によるシフトアップ要求があると、S1→S2→S7→S8→S9→エンドへと進む。S9では、ドライバによるシフトアップ要求に基づいて、現在の入力回転数(=プライマリ回転数Npri)から予め設定された所定回転数分だけ低下させ、有段アップシフト感を演出する「マニュアル変速モード」でのアップシフト制御が実行される。このアップシフト制御でバリエータ4の入力回転数を所定回転数分だけ低下させると、低下したときの運転点(VSP,APO)とゼロ運転点を通る固定変速比線を引き、その後、固定変速比が維持される。
「マニュアル変速モード」の選択中であって、最低回転数以外での走行中にドライバのシフト操作によるシフトダウン要求があると、S1→S2→S7→S8→S10→エンドへと進む。S10では、ドライバによるシフトダウン要求に基づいて、現在の入力回転数(=プライマリ回転数Npri)から予め設定された所定回転数分だけ上昇させ、有段ダウンシフト感を演出する「マニュアル変速モード」でのダウンシフト制御が実行される。このダウンシフト制御でバリエータ4の入力回転数を所定回転数分だけ上昇させると、上昇したときの運転点(VSP,APO)とゼロ運転点を通る固定変速比線を引き、その後、固定変速比が維持される。
「マニュアル変速モード」の選択中であって、コースト減速走行中、所定の固定変速比線に沿って運転点(VSP,APO)が移動し、運転点(VSP,APO)が最低回転数に移行すると、S1→S2→S3→S4→エンドへと進む。S3では、車速VSPの低下に応じたバリエータ4の無段変速制御により入力回転数の最低回転数を維持する。
そして、入力回転数の最低回転数を維持している途中で、ドライバによるアクセル踏み込み操作が介入すると、S4からS5→S6→エンドへと進む。S6では、アクセル踏み込み操作が判断された直前(=アクセル踏み込み操作時)の運転点(VSP,APO)とゼロ運転点を結ぶ固定変速比線を引き、固定変速比を維持する制御が実行される。
その後、ドライバからのシフトアップ要求があると、S4からS5→S8→S9→エンドへと進み、S9では、「マニュアル変速モード」でのアップシフト制御が実行される。一方、ドライバからのシフトダウン要求があると、S4からS5→S8→S10→エンドへと進み、S10では、「マニュアル変速モード」でのダウンシフト制御が実行される。
このように、「マニュアル変速モード」の選択によるフレキシブルマニュアル変速制御処理では、予め固定変速比線が設定されているのではなく、下記のように、ドライバ操作に基づく運転点(VSP,APO)に応じて柔軟に固定変速比線が引かれる。
(a)ドライバのアップシフト要求操作があると、アップシフト終了時の運転点(VSP,APO)とゼロ運転点を結ぶ固定変速比線が引かれる。
(b)ドライバのダウンシフト要求操作があると、ダウンシフト終了時の運転点(VSP,APO)とゼロ運転点を結ぶ固定変速比線が引かれる。
(c)入力回転数の最低回転数を維持している途中で、ドライバによるアクセル踏み込み操作が介入すると、アクセル踏み込み操作時の運転点(VSP,APO)とゼロ運転点を結ぶ固定変速比線が引かれる。
[コースト減速走行からの再加速走行作用]
コースト減速走行からキックダウン域までのアクセル踏み込み操作により再加速するときの再加速走行作用を、図8及び図9に基づいて説明する。
図8の時刻0から時刻t1までは、図9の固定変速比線α1に沿って運転点(VSP,APO)がH1点からH2点まで移動し、目標プライマリ回転数Npri*が低下するコースト減速走行区間である。なお、固定変速比線α1は、図9のコースト減速開始時の運転点(VSP,APO)であるH1点とゼロ運転点を結ぶ線である。
図8の時刻t1から時刻t2までは、図9の最低回転数線に沿って運転点(VSP,APO)がH2点からH3点まで移動し、目標プライマリ回転数Npri*が最低回転数を維持するように無段変速制御(ダウンシフト)を行う最低回転数維持走行区間である。
図8のアクセル踏み込み操作時刻t2から時刻t3までは、図9の固定変速比線α2に沿って運転点(VSP,APO)がH3点からH4点まで移動し、目標プライマリ回転数Npri*がアップシフト上限回転数まで上昇する第1ドライブ再加速走行区間である。なお、固定変速比線α2は、アクセル踏み込み操作時刻t2の運転点(VSP,APO)であるH3点とゼロ運転点を結ぶ線である。
図8の第1シフトアップ操作時刻t3は、図9の運転点(VSP,APO)がH4点からH5点まで移動し、目標プライマリ回転数Npri*をアップシフト上限回転数から所定回転数まで一気に低下させて有段アップシフト感を演出する第1アップシフト区間である。
図8の第1シフトアップ操作時刻t3から時刻t4までは、図9の固定変速比線α3に沿って運転点(VSP,APO)がH5点からH6点まで移動し、目標プライマリ回転数Npri*がアップシフト上限回転数まで上昇する第1ドライブ再加速走行区間である。なお、固定変速比線α3は、第1シフトアップ操作によるアップシフトが終了した運転点(VSP,APO)であるH5点とゼロ運転点を結ぶ線である。
図8の第2シフトアップ操作時刻t4は、図9の運転点(VSP,APO)がH6点からH7点まで移動し、目標プライマリ回転数Npri*をアップシフト上限回転数から所定回転数まで一気に低下させて有段アップシフト感を演出する第2アップシフト区間である。
図8の第2シフトアップ操作時刻t4以降は、図9の固定変速比線α4に沿って運転点(VSP,APO)がH7点から移動し、目標プライマリ回転数Npri*がアップシフト上限回転数に向かって上昇する第2ドライブ再加速走行区間である。なお、固定変速比線α4は、第2シフトアップ操作によるアップシフトが終了した運転点(VSP,APO)であるH7点とゼロ運転点を結ぶ線である。
このように、コースト減速走行からキックダウン域までのアクセル踏み込み操作により再加速するとき、図9のH3点からH4点までの第1ドライブ再加速走行区間では、固定変速比線α2によるマニュアル変速段とされる。図9のH4点からH5点までの第1アップシフト区間では、目標プライマリ回転数Npri*を一気に低下させて有段アップシフト感が演出され、図9のH5点からH6点までの第1ドライブ再加速走行区間では、固定変速比線α3によるマニュアル変速段とされる。図9のH6点からH7点までの第2アップシフト区間では、目標プライマリ回転数Npri*を一気に低下させて有段アップシフト感が演出され、図9のH7点以降の第2ドライブ再加速走行区間では、固定変速比線α4によるマニュアル変速段とされる。即ち、コースト減速走行からアクセル踏み込み操作を行うと、アクセル踏み込み操作タイミングで引かれる固定変速比線α2に沿った固定変速比による再加速走行になる。その後、シフトアップ操作を行うと、操作タイミングでの有段アップシフト感の演出に加え、アップシフト終了タイミング毎に引かれる固定変速比線α3、α4に沿ったマニュアルアップシフトによる再加速走行になる。
以上説明してきたように、実施例1のベルト式無段変速機CVTの変速制御装置にあっては、下記に列挙する効果が得られる。
(1) 走行用駆動源(エンジン1)から駆動輪6までの駆動系にバリエータ4を搭載し、バリエータ4の変速比を制御する変速コントローラ800を備える無段変速機(ベルト式無段変速機CVT)の変速制御装置において、
変速コントローラ800は、マニュアル変速モードを選択すると、ドライバによるシフト要求操作とに基づいて変速比制御を行うフレキシブルマニュアル変速制御部803を有し、
フレキシブルマニュアル変速制御部803は、マニュアル変速モードの選択中に減速して最低回転数を維持する無段変速状態に移行した場合、無段変速中にアクセル踏み込み操作が行われたら、アクセル踏み込み操作時点の変速比を維持する制御を実行する。
このため、マニュアル変速モードの選択中に減速して最低回転数を維持する無段変速状態に移行した場合、無段変速中にアクセル踏み込み操作が行われてもドライバに違和感を与えるのを回避することができる。
(2) フレキシブルマニュアル変速制御部803は、アクセル踏み込み操作時点の変速比を維持する制御を、ドライバによるシフト要求操作があるまで実行する。
このため、ドライバによるシフト要求操作があると、アクセル踏み込み操作時点で引かれる固定変速比線による固定変速比をマニュアルシフト開始時の変速比基準とし、マニュアルアップシフトやマニュアルダウンシフトを実行することができる。
(3) フレキシブルマニュアル変速制御部803は、固定変速比線を有しないマニュアル変速マップM2を用い、運転点(VSP,APO)のマップ位置とドライバによるシフト要求操作とに基づいて変速比制御を行い、
シフト要求操作として、ドライバによるシフトアップ要求操作があると、現在の入力回転数から予め設定された所定回転数分だけ低下させ、低下させた時点の運転点による変速比を維持する制御を実行する。
このため、ドライバによるシフトアップ要求操作があると、バリエータ4の入力回転数の低下により有段アップシフト感を演出しながら、アップシフト後の固定変速比へ移行することができる。
(4) フレキシブルマニュアル変速制御部803は、固定変速比線を有しないマニュアル変速マップM2を用い、運転点(VSP,APO)のマップ位置とドライバによるシフト要求操作とに基づいて変速比制御を行い、
シフト要求操作として、ドライバによるシフトダウン要求操作があると、現在の入力回転数から予め設定された所定回転数分だけ上昇させ、上昇させた時点の運転点(VSP,APO)による変速比を維持する制御を実行する。
このため、ドライバによるシフトダウン要求操作があると、バリエータ4の入力回転数の上昇により有段ダウンシフト感を演出しながら、ダウンシフト後の固定変速比へ移行することができる。
(5) マニュアル変速マップM2は、ドライバによるシフトアップ要求操作があったときの入力回転数の上限回転数を規定するアップシフト上限回転数線と、ドライバによるシフトダウン要求操作があったときの入力回転数の上限回転数を規定するダウンシフト上限回転数線と、を有し、
アップシフト上限回転数線を、ダウンシフト上限回転数線より高い変速機入力回転数域に設定する。
このため、アップシフト上限回転数線とダウンシフト上限回転数線に回転数ヒステリシスを設定することにより、ダウンシフト即アップシフトのように頻繁なシフトとなるビジーシフト感を抑制することができる。
以上、本発明の無段変速機の変速制御装置を実施例1に基づき説明してきた。しかし、具体的な構成については、この実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加などは許容される。
実施例1では、変速モードとして、「無段変速モード」と「マニュアル変速モード」を有する例を示した。しかし、変速モードとしては、少なくとも「マニュアル変速モード」が含まれていれば、他の変速モードとして、「無段変速モード」をエコ変速モードとスポーツ変速モードなどに分けた例などであっても良い。
実施例1では、本発明の変速制御装置を、トルクコンバータと前後進切替機構とバリエータと終減速機構により構成されるベルト式無段変速機を搭載したエンジン車に適用する例を示した。しかし、本発明の変速制御装置は、バリエータのみによるベルト式無段変速機に限らず、バリエータと副変速機が直列に連結される副変速機付きベルト式無段変速機を搭載した車両に適用しても良い。
1 エンジン(走行用駆動源)
CVT ベルト式無段変速機(無段変速機)
2 トルクコンバータ
3 前後進切替機構
4 バリエータ
5 終減速機構
6 駆動輪
8 CVTコントロールユニット
800 変速コントローラ
801 変速モード選択部
802 無段変速制御部
803 フレキシブルマニュアル変速制御部
804 ソレノイド指令出力部
80 プライマリ回転センサ
81 車速センサ
84 インヒビタスイッチ
87 変速モード選択スイッチ
88 シフト操作スイッチ
9 エンジンコントロールユニット
90 アクセル開度センサ
91 エンジン回転センサ
M2 マニュアル変速マップ

Claims (5)

  1. 走行用駆動源から駆動輪までの駆動系にバリエータを搭載し、前記バリエータの変速比を制御する変速コントローラを備える無段変速機の変速制御装置において、
    前記変速コントローラは、マニュアル変速モードを選択すると、ドライバによるシフト要求操作に基づいて変速比制御を行うフレキシブルマニュアル変速制御部を有し、
    前記フレキシブルマニュアル変速制御部は、前記マニュアル変速モードの選択中に減速して最低回転数を維持する無段変速状態に移行した場合、無段変速中にアクセル踏み込み操作が行われたら、アクセル踏み込み操作時点の変速比を維持する制御を実行する
    ことを特徴とする無段変速機の変速制御装置。
  2. 請求項1に記載された無段変速機の変速制御装置において、
    前記フレキシブルマニュアル変速制御部は、前記アクセル踏み込み操作時点の変速比を維持する制御を、ドライバによるシフト要求操作があるまで実行する
    ことを特徴とする無段変速機の変速制御装置。
  3. 請求項2に記載された無段変速機の変速制御装置において、
    前記フレキシブルマニュアル変速制御部は、固定変速比線を有しないマニュアル変速マップを用い、運転点のマップ位置とドライバによるシフト要求操作とに基づいて変速比制御を行い、
    前記シフト要求操作として、ドライバによるシフトアップ要求操作があると、現在の入力回転数から予め設定された所定回転数分だけ低下させ、低下させた時点の運転点による変速比を維持する制御を実行する
    ことを特徴とする無段変速機の変速制御装置。
  4. 請求項2に記載された無段変速機の変速制御装置において、
    前記フレキシブルマニュアル変速制御部は、前記シフト要求操作として、ドライバによるシフトダウン要求操作があると、現在の入力回転数から予め設定された所定回転数分だけ上昇させ、上昇させた時点の運転点による変速比を維持する制御を実行する
    ことを特徴とする無段変速機の変速制御装置。
  5. 請求項1から4までの何れか一項に記載された無段変速機の変速制御装置において、
    前記マニュアル変速マップは、ドライバによるシフトアップ要求操作があったときの入力回転数の上限回転数を規定するアップシフト上限回転数線と、ドライバによるシフトダウン要求操作があったときの入力回転数の上限回転数を規定するダウンシフト上限回転数線と、を有し、
    前記アップシフト上限回転数線を、前記ダウンシフト上限回転数線より高い変速機入力回転数域に設定する
    ことを特徴とする無段変速機の変速制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1113875A (ja) * 1997-06-24 1999-01-22 Nissan Motor Co Ltd 無段変速機の変速制御装置
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