JP7214321B2 - 無段変速機の変速制御装置 - Google Patents

無段変速機の変速制御装置 Download PDF

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Description

本発明は、車両の駆動系に適用され、変速比が無段階に制御される無段変速機の変速制御装置に関する。
従来、入力軸の動力を無段階に変速して出力軸に伝達可能な無段変速機が搭載された車両に用いられ、前記無段変速機を制御する制御装置であって、
シフト操作によらずに変速比を変更する自動変速モードと選択的に切り替えられる手動変速モードにおいて、シフト操作に応答して、段階的に設定された複数の固定変速比間で変速比を変更する手動変速手段と、
前記手動変速モードにおいて、前記入力軸の最低回転数を設定し、前記入力軸の回転数が前記最低回転数を下回らないように変速比を変更する回転数ガード手段と、
前記車両を加速させる加速要求が入力されたか否か判定する判定手段と、
前記加速要求が入力された場合、前記最低回転数を引き上げる補正を行う補正手段とを含む技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2016-102566号公報
先行技術にあっては、マニュアル変速モードの選択中のコースト走行において、ドライバによるシフトダウン操作があると、予め設定されている固定変速比線に基づいてダウンシフトが実行される。このため、1回目のシフトダウン操作に対するダウンシフトで所望の減速感が得られないと、ドライバは所望の減速感が得られるまでシフトダウン操作を何度も繰り返して行う必要がある。また、シフトダウン操作により所望する減速感より少し減速感が不足するとき、次のシフトダウン操作を行うと減速過剰になってしまうことがある。このように、コースト走行シーンにおいて、ドライバのシフトダウン操作に対する減速度のコントロール性が低い、という課題があった。
本発明は、上記課題に着目してなされたもので、コースト走行シーンにおいて、ドライバのシフトダウン要求操作に対する減速度のコントロール性の向上を図ることを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の無段変速機の変速制御装置は、走行用駆動源から駆動輪までの駆動系にバリエータを搭載し、バリエータの変速比を制御する変速コントローラを備える。
変速コントローラは、マニュアル変速モードを選択すると、予め設定された複数の固定変速比ではなく、ドライバによるシフト要求操作に基づいて、シフト要求操作時のバリエータの入力回転数に対し所定の回転段差を有する目標入力回転数に、バリエータの変速比を変速させる変速比制御を行うフレキシブルマニュアル変速制御部を有する。
フレキシブルマニュアル変速制御部は、コースト走行中にドライバによるシフトダウン要求操作がある場合、1回目のシフトダウン要求操作によるダウンシフトで上昇させる入力回転数の回転段差を、2回目以降のシフトダウン要求操作による回転段差より大きく設定する。
即ち、フレキシブルマニュアル変速制御部では、マニュアル変速モードのときに固定変速比に拘束されることなく、ダウンシフトで上昇させる入力回転数の回転段差を柔軟に設定できる。この柔軟性を活用し、コースト走行中にドライバによるシフトダウン要求操作に対する回転段差を、1回目のシフトダウン要求操作時と2回目以降とで異ならせて設定している。このため、コースト走行シーンにおいて、ドライバのシフトダウン要求操作に対する減速度のコントロール性の向上を図ることができる。
実施例1の変速制御装置が適用されたベルト式無段変速機を搭載するエンジン車の駆動系と制御系を示す全体システム図である。 エンジン車に適用されたベルト式無段変速機の変速制御装置を示すシステム概要図である。 Dレンジでの無段変速モード選択時に無段変速制御部にて用いられるDレンジ無段変速マップの一例を示す変速マップ図である。 マニュアル変速モード選択時にフレキシブルマニュアル変速制御部にて用いられるマニュアル変速マップの一例を示す変速マップ図である。 変速コントローラのフレキシブルマニュアル変速制御部においてコースト走行状態でドライバのシフトダウン要求操作があるときに実行されるフレキシブルマニュアル変速制御処理の流れを示すフローチャートである。 背景技術におけるマニュアル変速モード選択時に用いられるDレンジマニュアル有段変速マップの一例を示す変速マップ図である。 背景技術においてマニュアル変速モードでのコースト減速走行中にドライバがエンブレ減速を狙ってシフトダウン操作を行ったときの減速ダウンシフトにおける課題を示す課題説明図である。 実施例1において無段変速モードでのコースト走行中にマニュアル変速モードへのセレクト操作と2回のシフトダウン操作を行ったときの減速ダウンシフト作用を示すタイムチャートである。 実施例1において無段変速モードでのコースト走行中にマニュアル変速モードへのセレクト操作と2回のシフトダウン操作を行ったときの減速ダウンシフトでの運転点の動きを示す作用説明図である。
以下、本発明の無段変速機の変速制御装置を実施するための形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
実施例1における無段変速機の変速制御装置は、トルクコンバータと前後進切替機構とバリエータと終減速機構により構成されるベルト式無段変速機を搭載したエンジン車に適用したものである。以下、実施例1の構成を、「全体システム構成」、「変速制御装置のシステム構成」、「フレキシブルマニュアル変速制御処理構成」に分けて説明する。
[全体システム構成]
図1は、実施例1の変速制御装置が適用されたエンジン車の駆動系と制御系を示す。以下、図1に基づいて全体システム構成を説明する。
エンジン車の駆動系は、図1に示すように、エンジン1と、トルクコンバータ2と、前後進切替機構3と、バリエータ4と、終減速機構5と、駆動輪6,6と、を備えている。ここで、ベルト式無段変速機CVTは、トルクコンバータ2と前後進切替機構3とバリエータ4と終減速機構5を図外の変速機ケースに内蔵することにより構成される。
エンジン1は、ドライバのアクセル操作による出力トルクの制御(通常制御)以外に、外部からのエンジン制御信号により出力トルクを制御可能である。このエンジン1には、変速機との協調制御によりトルクダウン制御を行う出力トルク制御アクチュエータ10を有する。なお、トルクダウン制御では、エンジン1の点火時期リタード制御やスロットルバルブ閉制御などによりエンジントルクが上限トルクを上回らないように制限する。
トルクコンバータ2は、トルク増幅機能やトルク変動吸収機能を有する流体継手による発進要素である。トルク増幅機能やトルク変動吸収機能を必要としないとき、エンジン出力軸11(=トルクコンバータ入力軸)とトルクコンバータ出力軸21を直結可能なロックアップクラッチ20を有する。このトルクコンバータ2は、ポンプインペラ23と、タービンランナ24と、ケースにワンウェイクラッチ25を介して設けられたステータ26と、を構成要素とする。
前後進切替機構3は、バリエータ4への入力回転方向を前進走行時の正転方向と後退走行時の逆転方向で切り替える機構である。この前後進切替機構3は、ダブルピニオン式遊星歯車30と、前進クラッチ31と、後退ブレーキ32と、を有する。前進クラッチ31は、Dレンジなどの前進走行レンジ選択時に前進クラッチ圧Pfcにより油圧締結される。後退ブレーキ32は、Rレンジなどの後退走行レンジ選択時に後退ブレーキ圧Prbにより油圧締結される。なお、前進クラッチ31と後退ブレーキ32は、Nレンジ(ニュートラルレンジ)の選択時、前進クラッチ圧Pfcと後退ブレーキ圧Prbをドレーンすることで、いずれも解放される。
バリエータ4は、プライマリプーリ42と、セカンダリプーリ43と、プーリベルト44と、を有し、ベルト接触径の変化により変速比(バリエータ入力回転とバリエータ出力回転の比)を無段階に変化させる無段変速機構である。
プライマリプーリ42は、バリエータ入力軸40の同軸上に配された固定プーリ42aとスライドプーリ42bにより構成され、スライドプーリ42bは、プライマリ圧室45に導かれるプライマリ圧Ppriによりスライド動作する。
セカンダリプーリ43は、バリエータ出力軸41の同軸上に配された固定プーリ43aとスライドプーリ43bにより構成され、スライドプーリ43bは、セカンダリ圧室46に導かれるセカンダリ圧Psecによりスライド動作する。
プーリベルト44は、プライマリプーリ42のV字形状をなすシーブ面と、セカンダリプーリ43のV字形状をなすシーブ面に掛け渡されている。このプーリベルト44は、環状リングを内から外へ多数重ね合わせた2組の積層リングと、打ち抜き板材により形成され、2組の積層リングに沿って挟み込みにより環状に積層して取り付けられた多数のエレメントにより構成されている。なお、プーリベルト44としては、プーリ進行方向に多数配列したチェーンエレメントを、プーリ軸方向に貫通するピンにより結合したチェーンタイプのベルトであっても良い。
終減速機構5は、バリエータ出力軸41からのバリエータ出力回転を減速すると共に差動機能を与えて左右の駆動輪6,6に伝達する機構である。この終減速機構5は、減速ギア機構として、バリエータ出力軸41に設けられたアウトプットギア52と、アイドラ軸50に設けられたアイドラギア53及びリダクションギア54と、デフケースの外周位置に設けられたファイナルギア55と、を有する。そして、差動ギア機構として、左右のドライブ軸51,51に介装されたディファレンシャルギア56を有する。
エンジン車の制御系は、図1に示すように、油圧制御系である油圧制御ユニット7と、電子制御系であるCVTコントロールユニット8と、エンジンコントロールユニット9とを備えている。なお、CVTコントロールユニット8とエンジンコントロールユニット9は、CAN通信線13により情報交換可能に接続されている。
油圧制御ユニット7は、プライマリ圧室45に導かれるプライマリ圧Ppri、セカンダリ圧室46に導かれるセカンダリ圧Psec、前進クラッチ31への前進クラッチ圧Pfc、後退ブレーキ32への後退ブレーキ圧Prb、などを調圧するユニットである。この油圧制御ユニット7は、エンジン1により回転駆動されるメカオイルポンプと電動モータにより回転駆動される電動オイルポンプとの少なくとも一方による油圧源70と、油圧源70からの吐出圧に基づいて各種の制御圧を調圧する油圧制御回路71と、を備える。
油圧制御回路71には、ライン圧ソレノイド弁72と、プライマリ圧ソレノイド弁73と、セカンダリ圧ソレノイド弁74と、セレクトソレノイド弁75と、ロックアップ圧ソレノイド弁76と、を有する。なお、各ソレノイド弁72,73,74,75,76は、CVTコントロールユニット8から出力されるソレノイド指令値によって各指令圧に調圧する。
ライン圧ソレノイド弁72は、CVTコントロールユニット8から出力されるライン圧指令値に応じ、油圧源70からの吐出圧を、指令されたライン圧PLに調圧する。このライン圧PLは、各種の制御圧を調圧する際の元圧であり、駆動系を伝達するトルクに対してベルト滑りやクラッチ滑りを抑える油圧とされる。他のソレノイド弁73,74,75,76は、ライン圧PLを元圧として指令された油圧に減圧調整する。
CVTコントロールユニット8は、ライン圧制御や変速制御や前後進切替制御やロックアップ制御などを行う。ライン圧制御では、アクセル開度APOなどに応じた目標ライン圧を得る指令値をライン圧ソレノイド弁72に出力する。変速制御では、目標変速比(目標プライマリ回転Npri*)を決めると、決めた目標変速比(目標プライマリ回転Npri*)を得る指令値をプライマリ圧ソレノイド弁73及びセカンダリ圧ソレノイド弁74に出力する。前後進切替制御では、選択されているレンジ位置に応じて前進クラッチ31と後退ブレーキ32の締結/解放を制御する指令値をセレクトソレノイド弁75に出力する。ロックアップ制御では、ロックアップクラッチ20を締結/スリップ締結/解放するロックアップ制御圧PL/Uを制御する指令値をロックアップ圧ソレノイド弁76に出力する。
CVTコントロールユニット8には、プライマリ回転センサ80、車速センサ81、セカンダリ回転センサ82、油温センサ83、インヒビタスイッチ84、ブレーキスイッチ85、タービン回転センサ86からの情報が入力される。さらに、変速モード選択スイッチ87、シフト操作スイッチ88などからの情報が入力される。エンジンコントロールユニット9には、アクセル開度センサ90、エンジン回転センサ91などからの情報が入力される。
[変速制御装置のシステム構成]
図2は、エンジン車に適用されたベルト式無段変速機CVTの変速制御装置を示す。以下、図2~図4に基づいて変速制御装置のシステム構成を説明する。
エンジン車の駆動系は、図3に示すように、エンジン1(走行用駆動源)と、ベルト式無段変速機CVT(トルクコンバータ2、前後進切替機構3、バリエータ4、終減速機構5)と、駆動輪6と、を備えている。
ベルト式無段変速機CVTのトルクコンバータ2は、締結によりエンジン出力軸11(=トルクコンバータ入力軸)とトルクコンバータ出力軸21を直結するロックアップクラッチ20を有する。前後進切替機構3は、前進走行レンジ(Dレンジ、Lレンジなど)の選択により締結される前進クラッチ31と、後退走行レンジ(Rレンジ)の選択により締結される後退ブレーキ32と、を並列に有する。バリエータ4(無段変速機構)は、プライマリプーリ42と、セカンダリプーリ43と、両プーリ42,43に掛け渡されるプーリベルト44と、を有する。
変速制御装置の油圧制御系は、図2に示すように、油圧源70と、油圧制御回路71と、プライマリ圧ソレノイド弁73と、セカンダリ圧ソレノイド弁74と、を備えている。
プライマリ圧ソレノイド弁73は、変速油圧制御時、油圧制御回路71において、油圧源70からの吐出圧に基づいて調圧されたライン圧を元圧とし、CVTコントロールユニット8からのプライマリ圧制御指令によりプライマリ圧Ppriを調圧する。そして、調圧されたプライマリ圧Ppriは、バリエータ4に有するプライマリプーリ42のプライマリ圧室45に導かれる。
セカンダリ圧ソレノイド弁74は、変速油圧制御時、油圧制御回路71において、油圧源70からの吐出圧に基づいて調圧されたライン圧を元圧とし、CVTコントロールユニット8からのセカンダリ圧制御指令によりセカンダリ圧Psecを調圧する。そして、調圧されたセカンダリ圧Psecは、バリエータ4に有するセカンダリプーリ43のセカンダリ圧室46に導かれる。
変速制御装置の電子制御系は、図2に示すように、CVTコントロールユニット8を備え、CVTコントロールユニット8には、プライマリ回転センサ80、車速センサ81、インヒビタスイッチ84、変速モード選択スイッチ87、シフト操作スイッチ88、アクセル開度センサ90などからの情報が入力される。
ここで、プライマリ回転センサ80は、プライマリプーリ42のプライマリ回転数Npriを検出する。車速センサ81は、車速VSPを検出する。インヒビタスイッチ84は、ドライバが選択しているレンジ位置(Rレンジ、Nレンジ、Pレンジ、Dレンジ、Lレンジなど)を検出する。アクセル開度センサ90は、アクセル開度APO(ドライバによるアクセル操作量)を検出し、CAN通信線13を介してCVTコントロールユニット8へアクセル開度APOの情報を供給する。
変速モード選択スイッチ87は、ドライバ操作により「無段変速モード」と「マニュアル変速モード」との何れかの変速モードを選択するスイッチであり、無段変速モード選択信号とマニュアル変速モード選択信号を出力する。
シフト操作スイッチ88は、「マニュアル変速モード」を選択している場合、シフトアップを意図するドライバ操作によりシフトアップ要求信号を出力し、シフトダウンを意図するドライバ操作によりシフトダウン要求信号を出力する。なお、ドライバ操作とは、例えば、アップシフト/ダウンシフトの操作レバーに対するレバー操作、或いは、アップシフト/ダウンシフトの操作ボタンに対するボタン操作、或いは、アップシフト/ダウンシフトのシーソースイッチに対するスイッチ操作などをいう。
CVTコントロールユニット8は、図2に示すように、ベルト式無段変速機CVTのバリエータ4による変速制御機能を分担する変速コントローラ800を備える。変速コントローラ800は、変速モード選択部801と、無段変速制御部802と、フレキシブルマニュアル変速制御部803と、ソレノイド指令出力部804と、を有する。
変速モード選択部801は、インヒビタスイッチ84と変速モード選択スイッチ87からのスイッチ信号を入力する。そして、Dレンジであって、かつ、「無段変速モード」であるとき、無段変速制御部802による無段変速制御処理を選択する。一方、Dレンジであって、かつ、「マニュアル変速モード」であるとき、フレキシブルマニュアル変速制御部803によるマニュアル変速制御処理を選択する。
無段変速制御部802は、「無段変速モード」の選択時、図3に示すDレンジ無段変速マップM1を用い、運転点(VSP,APO)のマップ位置に基づいて無段階に変速比を変更する無段変速制御処理を実行する。無段変速制御部802からソレノイド指令出力部804へは、無段変速制御処理結果として目標プライマリ回転数Npri(C)*を出力する。
フレキシブルマニュアル変速制御部803は、「マニュアル変速モード」の選択時、図4に示すマニュアル変速マップM2を用い、運転点(VSP,APO)のマップ位置とドライバによるシフト要求操作とに基づいてマニュアル変速制御処理を実行する。フレキシブルマニュアル変速制御部803からソレノイド指令出力部804へは、マニュアル変速制御処理結果として目標プライマリ回転数Npri(M)*を出力する。ここで、“フレキシブルマニュアル変速制御部803”としたのは、マニュアル変速マップM2が固定変速比線を有さず、運転状況に応じて無数の固定変速比線を引くことができる柔軟性が高い制御則によるマニュアル変速制御部であることによる。
ソレノイド指令出力部804は、「無段変速モード」の選択時、無段変速制御部802から目標プライマリ回転数Npri(C)*を入力する。そして、実プライマリ回転数Npriを目標プライマリ回転数Npri(C)*へ収束させるプライマリ圧制御指令とセカンダリ圧制御指令を演算する。一方、「マニュアル変速モード」の選択時、フレキシブルマニュアル変速制御部803から目標プライマリ回転数Npri(M)*を入力する。そして、実プライマリ回転数Npriを目標プライマリ回転数Npri(M)*へ収束させるプライマリ圧制御指令とセカンダリ圧制御指令を演算する。演算されたプライマリ圧制御指令はプライマリ圧ソレノイド弁73へ出力し、セカンダリ圧制御指令はセカンダリ圧ソレノイド弁74へ出力する。
次に、無段変速制御部802の詳細を説明する。図3は、Dレンジでの無段変速モード選択時に無段変速制御部にて用いられるDレンジ無段変速マップM1の一例を示す。Dレンジ無段変速マップM1は、縦軸を目標プライマリ回転数Npri*とし横軸を車速VSPとする二次元座標面に、最ロー変速比線と最ハイ変速比線とコースト変速比線が書き込まれた変速マップである。なお、前進走行中であって、トルクコンバータ2のロックアップクラッチ20と前後進切替機構3の前進クラッチ31が締結状態であるときは、バリエータ4への入力回転数であるプライマリ回転数Npriはそのままエンジン回転数Neになる。
Dレンジ無段変速マップM1を用いる無段変速制御は、最ロー変速比線と最ハイ変速比線とコースト変速比線とで囲まれるハッチング領域内で、運転点(VSP,APO)の位置に応じて目標プライマリ回転数Npri*を決めることで実行される。なお、変速比は、Dレンジ無段変速マップM1の最ロー変速比線や最ハイ変速比線から明らかなように、ゼロ運転点から引かれる固定変速比線(=等変速比線)の傾きであらわされる。なお、運転点(VSP,APO)の位置により目標プライマリ回転数Npri*を決めることは、セカンダリ回転数Nsec(=車速VSP)との関係からバリエータ4の目標変速比を決めることに等しい。
例えば、車速VSPが一定のとき、アクセル踏み込み操作を行うとアクセル開度APOの上昇により目標プライマリ回転数Npri*が上昇してダウンシフト方向に変速する。例えば、車速VSPが一定のとき、アクセル踏み戻し操作を行うとアクセル開度APOの低下により目標プライマリ回転数Npri*が低下してアップシフト方向に変速する。例えば、アクセル開度APOが一定のとき、車速VSPが上昇すると最ハイ変速比線に向かいアップシフト方向に変速し、車速VSPが低下すると最ロー変速比線に向かいダウンシフト方向に変速する。
次に、フレキシブルマニュアル変速制御部803の詳細を説明する。図4は、マニュアル変速モード選択時にフレキシブルマニュアル変速制御部803にて用いられるマニュアル変速マップM2の一例を示す。マニュアル変速マップM2は、縦軸を目標プライマリ回転数Npri*とし横軸を車速VSPとする二次元座標面に、最ロー変速比線と最ハイ変速比線と最低回転数線とアップシフト上限回転数線とダウンシフト上限回転数線が書き込まれた変速マップである。即ち、マニュアル変速マップであるにもかかわらず固定変速比線を有さず、無数の固定変速比線を描くことができる点を最大の特徴とする。そして、マニュアル変速マップM2での運転点(VSP,APO)のマップ位置とドライバによるシフト操作とに基づいて変速比制御を行う。
ここで、最低回転数線は、バリエータ4への入力回転数(=プライマリ回転数Npri=エンジン回転数Ne)として、エンジンストールを防止するために維持しておく必要がある最低回転数を規定する回転数線である。このため、マニュアル変速マップM2にて運転点(VSP,APO)が最低回転数線に移行すると、フレキシブルマニュアル変速制御部803は、車速VSPの変化に応じたバリエータ4の無段変速制御により入力回転数の最低回転数を維持する。
マニュアル変速マップM2のアップシフト上限回転数線は、ドライバ操作によるシフトアップ要求があったとき、バリエータ4の最大入力回転数を規定する回転数線である。マニュアル変速マップM2のダウンシフト上限回転数線は、ドライバ操作によるシフトダウン要求があったとき、バリエータ4の最大入力回転数を規定する回転数線である。このため、フレキシブルマニュアル変速制御部803によるアップシフト制御での上限回転数は、アップシフト上限回転数により制限され、ダウンシフト制御での上限回転数は、ダウンシフト上限回転数により制限される。そして、アップシフト/ダウンシフトが頻繁に繰り返されるのを防止するビジーシフト対策のため、アップシフト上限回転数線を、ダウンシフト上限回転数線より高い変速機入力回転数域に設定するという回転数ヒステリシスを持たせている。
例えば、「マニュアル変速モード」の選択中に図4の運転点Aにてアクセル足離し操作をしたとき、運転点Aにより決まる固定変速比線に沿ってコースト減速し、コースト減速によって図4の運転点Bにて最低回転数線に到達したとする。この場合、運転点Bからは最低回転数を維持するように固定変速比制御からダウンシフト方向の無段変速制御へと移行する。そして、無段変速中の運転点Cにてアクセル踏み込み操作が行われたら、アクセル踏み込み操作時点の変速比(運転点Cにより決まる固定変速比)を維持する制御が実行される。
即ち、最低回転数を維持する無段変速中にアクセル踏み込み操作が行われたら、無段変速制御からアクセル踏み込み操作タイミングでの運転点(VSP,APO)により決まる固定変速比制御へ移行する。言い換えると、アクセル踏み込み操作タイミングでの運転点(VSP,APO)がどの位置であろうと、運転点(VSP,APO)とゼロ運転点を通る固定変速比線が描かれることになる。同様に、「マニュアル変速モード」の選択中におけるアップシフト時においては、入力回転数が所定のアップシフト量だけ低下したときのアップシフト終了時点の運転点(VSP,APO)とゼロ運転点を通る固定変速比線が描かれる。また、「マニュアル変速モード」の選択中におけるダウンシフト時においては、入力回転数が所定のダウンシフト量だけ上昇したときのダウンシフト終了時点の運転点(VSP,APO)とゼロ運転点を通る固定変速比線が描かれる。
フレキシブルマニュアル変速制御部803は、コースト走行中にドライバによるシフトダウン要求操作がある場合、1回目のシフトダウン要求操作によるダウンシフトで上昇させる入力回転数の回転段差ΔNCD_1を、2回目以降のシフトダウン要求操作による回転段差ΔNCD_2、ΔNCD_3、…より大きく設定する。つまり、ΔNCD_1>ΔNCD_2、ΔNCD_3、…という大小関係による設定とする。
フレキシブルマニュアル変速制御部803は、1回目のシフトダウン要求操作によるダウンシフトで上昇させる入力回転数の回転段差ΔNCD_1を、ドライバのエンブレ要求に基づき、車両減速へ向かうエンブレを与えるダウンシフト量の値に設定する。なお、「エンブレ」とは、「エンジンブレーキ」を略称である。
フレキシブルマニュアル変速制御部803は、2回目以降のシフトダウン要求操作によるダウンシフトで上昇させる入力回転数の回転段差ΔNCD_2、ΔNCD_3、…を、ドライバによるシフトダウン操作感要求に基づき、エンブレを微調整するダウンシフト量の値に設定する。
フレキシブルマニュアル変速制御部803は、「無段変速モード」の選択によるコースト走行シーンにおいて、「無段変速モード」から「マニュアル変速モード」へのドライバによるセレクト操作があると、セレクト操作を1回目のシフトダウン要求操作とみなす。
フレキシブルマニュアル変速制御部803は、「マニュアル変速モード」の選択によるコースト走行シーンにおいて、コースト走行開始からドライバによる最初のシフトダウン操作があると、最初のシフトダウン操作を1回目のシフトダウン要求操作とみなす。つまり、フレキシブルマニュアル変速制御部803は、「無段変速モード」を選択している状態でドライブ走行からコースト走行に移行した後、「無段変速モード」から「マニュアル変速モード」へのドライバによるセレクト操作があると、このセレクト操作を1回目のシフトダウン要求操作とみなし、また、「マニュアル変速モード」を選択している状態でドライブ走行からコースト走行に移行した後に、ドライバによる最初のシフトダウン操作があると、この最初のシフトダウン操作を1回目のシフトダウン要求操作とみなす。これら1回目のシフトダウン要求操作の後に、コースト走行状態を維持したままドライバによるシフトダウン操作があると、それを2回目のシフトダウン要求操作とみなす。以後、「マニュアル変速モード」から「無段変速モード」へのドライバによるセレクト操作が行われたり、又は、ドライバによるアクセルの踏み込み操作が行われてコースト走行からドライブ走行に移行したりした場合は、シフトダウン要求操作のカウントはリセットされる。
フレキシブルマニュアル変速制御部803は、ドライバによるシフトダウン要求操作に基づくダウンシフトが終了すると、ダウンシフト終了時点における運転点(VSP,APO)のマップ位置で決まる変速比を維持する。
[フレキシブルマニュアル変速制御処理構成]
図5は、変速コントローラ800のフレキシブルマニュアル変速制御部803においてコースト走行状態でドライバのシフトダウン要求操作があるときに実行されるフレキシブルマニュアル変速制御処理の流れを示す。以下、図5の各ステップについて説明する。なお、図5のフレキシブルマニュアル変速制御処理は、所定の制御周期で繰り返し実行される。
ステップS1では、スタートに続いて、走行中、ドライバがアクセル足離し操作を行ったか否かを判断する。YES(アクセルOFF)の場合はステップS2へ進み、NO(アクセルON)の場合はステップS12へ進む。ここで、ドライバのアクセル足離し操作は、アクセル開度センサ90からのアクセル開度センサ値が、アクセル開度=0を示す値であることで判断する。
ステップS2では、S1でのアクセルOFFであるとの判断に続き、アクセルOFFの継続時間を測定するタイマをカウントアップし、ステップS3へ進む。
ステップS3では、S2でのタイマカウントアップに続き、カウントアップ後のタイマ値が所定値以上であるか否かを判断する。YES(タイマ値≧所定値)の場合はステップS4へ進み、NO(タイマ値<所定値)の場合はエンドへ進む。ここで、「所定値」は、アクセルOFFの継続時間によりドライバのアクセル足離し操作によるコースト走行を判定するコースト判定閾値である。
ステップS4では、S3でのタイマ値≧所定値であるとの判断に続き、1回目のシフトダウン要求操作であるか否かを判断する。YES(1回目のシフトダウン要求操作である)の場合はステップS5へ進み、NO(1回目のシフトダウン要求操作でない)の場合はステップS6へ進む。
ここで、「無段変速モード」の選択によるコースト走行シーンにおいて、「無段変速モード」から「マニュアル変速モード」へのドライバによるセレクト操作があると、セレクト操作を1回目のシフトダウン要求操作とみなす。又は、「マニュアル変速モード」の選択によるコースト走行シーンにおいて、コースト走行開始からドライバによる最初のシフトダウン操作があると、最初のシフトダウン操作を1回目のシフトダウン要求操作とみなす。つまり、ステップS4では、D→Mセレクト、又は、シフトダウン操作の1回目かどうかを判断する。
ステップS5では、S4での1回目のシフトダウン要求操作であるとの判断に続き、初回は減速のためのエンブレ要求動作とみなし、回転段差ΔNCD_1により大きくダウンシフトさせ、ステップS9へ進む。
ここで、「回転段差ΔNCD_1」は、1回目のシフトダウン要求操作によるダウンシフトで上昇させる入力回転数の回転段差であり、ドライバのエンブレ要求に基づき、車両減速へ向かうエンブレを与えるダウンシフト量の値に設定する。即ち、「回転段差ΔNCD_1」を可変値により与えるときは、エンブレ減速感の変動要因(例えば、バリエータ4の変速比、車速VSP、降坂路勾配、等)にかかわらず、車両減速へ向かうエンブレを与えるダウンシフト量の値を計算する。このため、バリエータ4の変速比が高いほど大きな値を計算することになる。車速VSPが高いほど大きな値を計算することになる。降坂路勾配が大きいほど大きな値を計算することになる。なお、「回転段差ΔNCD_1」は、多数の実験データに基づき予め設定した固定値で与えても良く、この場合、ドライバのエンブレ要求を満足する値であって、「回転段差ΔNCD_2、回転段差ΔNCD_3、…」より高い値に設定する。
ステップS6では、S4での1回目のシフトダウン要求操作でないとの判断に続き、「マニュアル変速モード」が選択されているか否かを判断する。YES(「マニュアル変速モード」の選択)の場合はステップS7へ進み、NO(「無段変速モード」の選択)の場合はステップS11へ進む。
ステップS7では、S6での「マニュアル変速モード」の選択であるとの判断に続き、2回目以降のシフトダウン操作があったか否かを判断する。YES(2回目以降のシフトダウン操作有り)の場合はステップS8へ進み、NO(2回目以降のシフトダウン操作無し)の場合はエンドへ進む。
ステップS8では、S7での2回目以降のシフトダウン操作有りとの判断に続き、2回目以降はシフトダウンの操作を楽しむ、又は、エンブレ微調整のための動作とみなし、1回目より小さな回転段差ΔNCD_2、回転段差ΔNCD_3、…によりダウンシフトさせ、ステップS9へ進む。
ここで、「回転段差ΔNCD_2、回転段差ΔNCD_3、…」は、2回目以降のシフトダウン要求操作によるダウンシフトで上昇させる入力回転数の回転段差であり、ドライバによるシフトダウン操作感要求に基づき、エンブレを微調整するダウンシフト量の値に設定する。即ち、「回転段差ΔNCD_2、回転段差ΔNCD_3、…」を、多数の実験データに基づき予め設定した固定値により与えるときは、ドライバによるシフトダウン操作感要求を満足する値であって、「回転段差ΔNCD_1」より低い値に設定する。なお、「回転段差ΔNCD_2、回転段差ΔNCD_3、…」は、「回転段差ΔNCD_1」と同様に、可変値で与えても良く、この場合、エンブレ減速感の変動要因(例えば、バリエータ4の変速比、車速VSP、降坂路勾配、等)にかかわらず、エンブレを微調整するダウンシフト量の値を計算する。
ステップS9では、S5又はS8での「マニュアル変速モード」でのダウンシフト制御の実行に続き、プライマリ回転数Npriが、そのときの目標回転段差までの回転数上昇終点に到達したか否かを判断する。YES(回転数上昇終点に到達)の場合はステップS10へ進み、NO(回転数上昇終点に未到達)の場合はステップS9の判断を繰り返す。
ステップS10では、S9での回転数上昇終点に到達との判断に続き、ゼロ運転点と回転数上昇終点の運転点(VSP,APO)とを繋ぐ直線で決まる固定変速比を目標変速比とし、目標変速比を維持するバリエータ4の固定変速比制御を実行し、エンドへ進む。
ステップS11では、S6での「無段変速モード」の選択であるとの判断に続き、ダウン操作回数カウンタのカウンタ値をリセットし、エンドへ進む。
ステップS12では、S1でのアクセルONであるとの判断に続き、アクセルOFFの継続時間を測定するタイマをゼロクリア(リセット)し、ステップS11へ進む。
次に、「背景技術と課題解決対策」を説明する。そして、実施例1の作用を、「フレキシブルマニュアル変速制御処理作用」、「コースト走行中の減速ダウンシフト作用」を説明する。
[背景技術と課題解決対策]
背景技術の「マニュアル変速モード」において用いられるマニュアル有段変速マップは、例えば、図6に示すように、固定変速比線による複数のマニュアル変速段(例えば、M1速段~M5速段)を有する変速マップを用いる。そして、ドライバのシフト操作(レバー操作やスイッチ操作など)によりシフトアップ要求があると、その時に選択されているマニュアル変速段から1つの上のマニュアル変速段を選択する。また、ドライバのシフト操作によりシフトダウン要求があると、その時に選択されているマニュアル変速段から1つの下のマニュアル変速段を選択する。
例えば、M2速段が選択されていて運転点がD点であるとき、シフトアップ要求のドライバ操作があると、運転点がD点からE点へと移行してM3速段が選択される。一方、M4速段が選択されていて運転点がF点であるとき、シフトダウン要求のドライバ操作があると、運転点がF点からG点へと移行してM3速段が選択される。
この背景技術において、図7に示すように、「マニュアル変速モード」でのコースト減速走行中にドライバがエンブレ減速を狙ってシフトダウン操作を行った場合を例にとる。「マニュアル変速モード」であってM5速段を選択しての走行中に図7の運転点J1にてアクセル足離し操作をしたとき、M5速段の固定変速比線に沿ってコースト減速し、コースト減速によって図7の運転点J2にて最低回転数線に到達したとする。この場合、運転点J2からは最低回転数を維持するように固定変速比制御からダウンシフト方向の無段変速制御へと移行する。そして、無段変速中の運転点J3にて1回目のシフトダウン操作を行うと、M4速段の固定変速比線に向かって目標プライマリ回転数Npri*が上昇して運転点J4に到達する。
運転点J4からはM4速段の固定変速比線に沿って減速し、減速途中のJ5にて2回目のシフトダウン操作を行うと、M3速段の固定変速比線に向かって目標プライマリ回転数Npri*が上昇して運転点J6に到達する。運転点J4からはM4速段の固定変速比線に沿って減速し、減速途中のJ5にて2回目のシフトダウン操作を行うと、M3速段の固定変速比線に向かって目標プライマリ回転数Npri*が上昇して運転点J6に到達する。運転点J6からはM3速段の固定変速比線に沿って減速し、減速途中のJ7にて3回目のシフトダウン操作を行うと、M2速段の固定変速比線に向かって目標プライマリ回転数Npri*が上昇して運転点J8に到達する。運転点J8からはM2速段の固定変速比線に沿って減速し、減速途中のJ9にて4回目のシフトダウン操作を行うと、M1速段の固定変速比線に向かって目標プライマリ回転数Npri*が上昇して運転点J10に到達する。そして、運転点J10からはM1速段(最Low変速段)の固定変速比線に沿って減速する。
このように、背景技術においては、「マニュアル変速モード」の選択中のコースト走行において、ドライバによるシフトダウン操作があると、予め設定されている固定変速比線による回転段差をダウンシフト量とし、変速機の入力回転数を上昇させるダウンシフトが実行される。このとき、固定変速比線の間隔を等変速比幅に設定すると、M5速段からM4速段へのダウンシフトにおける回転段差が最も小さくなり、M2速段からM1速段へのダウンシフトにおける回転段差が最も大きくなる。つまり、ドライバによるシフトダウン操作の回数を重ねる毎に回転段差が大きくなる。
このため、このため、1回目のシフトダウン操作に対するダウンシフトで所望の減速感が得られないと、ドライバは所望の減速感が得られるまでシフトダウン操作を何度も繰り返して行う必要がある(図7の例では4回)。また、図7の例において、3回目のシフトダウン操作により所望する減速感より少し減速感が不足するとき、4回目のシフトダウン操作を行うと逆に減速過剰になってしまうことがある。このように、コースト走行シーンにおいて、1回目のシフトダウン操作では所望のエンブレ減速感が得られないし、シフトダウン操作を連続すると減速過剰になるというように、ドライバのシフトダウン操作に対する減速度のコントロール性が低くなる、という課題があった。
本発明者等は、上記課題を解決するため、コースト減速中の1回目のシフトダウン要求操作は、エンブレを要求するドライバ動作とみなすことができる。一方、2回目以降のシフトダウン要求操作は、シフトダウン操作感やエンブレ微調整を要求するドライバ動作とみなすことができる点に着目した。この着目に基づいて、ベルト式無段変速機CVTの変速制御装置は、エンジン1から駆動輪6までの駆動系にバリエータ4を搭載し、バリエータ4の変速比を制御する変速コントローラ800を備える。変速コントローラ800は、「マニュアル変速モード」を選択すると、固定変速比線を有しないマニュアル変速マップM2を用い、運転点(VSP,APO)のマップ位置とドライバによるシフト要求操作とに基づいて変速比制御を行うフレキシブルマニュアル変速制御部803を有する。フレキシブルマニュアル変速制御部803は、コースト走行中にドライバによるシフトダウン要求操作がある場合、1回目のシフトダウン要求操作によるダウンシフトで上昇させる入力回転数の回転段差ΔNCD_1を、2回目以降のシフトダウン要求操作による回転段差ΔNCD_2、ΔNCD_3、…より大きく設定する課題解決対策を採用した。
即ち、「マニュアル変速モード」の選択時に固定変速比線を有しないマニュアル変速マップM2を用いる場合、固定変速比線に拘束されることなく、ダウンシフトで上昇させる入力回転数の回転段差を柔軟に設定できる。フレキシブルマニュアル変速制御部803では、この回転段差を設定する際の柔軟性を活用し、コースト走行中にドライバによるシフトダウン要求操作に対する回転段差を、1回目のシフトダウン要求操作時と2回目以降とで異ならせて設定している。そして、コースト減速中の1回目のシフトダウン要求操作は、エンブレを要求するドライバ動作とみなすことができる点に着目し、1回目シフトダウンでの回転段差ΔNCD_1を2回目以降のシフトダウンでの回転段差より大きく設定している。一方、2回目以降のシフトダウン要求操作は、シフトダウン操作感やエンブレ微調整を要求するドライバ動作とみなすことができる点に着目し、2回目以降のシフトダウンでの回転段差ΔNCD_2、ΔNCD_3、…を1回目シフトダウンでの回転段差ΔNCD_1より小さく設定している。
よって、1回目のシフトダウン要求操作に対するダウンシフトでは、2回目以降のシフトダウン要求操作による回転段差ΔNCD_2、ΔNCD_3、…より大きく設定した回転段差ΔNCD_1により、所望のエンブレ減速感を得ることができる。この結果、背景技術のように、ドライバは所望の減速感になるまでシフトダウン操作を何度も繰り返して行う必要がない。
2回目以降のシフトダウン要求操作に対するダウンシフトでは、1回目の回転段差ΔNCD_1により小さく設定した回転段差ΔNCD_2、ΔNCD_3、…により、1回目のダウンシフトで不足するエンブレの微調整を行うことができる。この結果、背景技術のように、繰り返し行われるシフトダウン操作により減速過剰になってしまうことが解消される。
このように、コースト走行シーンにおいて、1回目のシフトダウン要求操作で所望のエンブレ減速感が得られるし、シフトダウン要求操作を連続して行っても減速過剰になることはない。このため、コースト走行シーンにおいて、ドライバのシフトダウン要求操作に対する減速度のコントロール性の向上を図ることができる。
[フレキシブルマニュアル変速制御処理作用]
フレキシブルマニュアル変速制御部803において、コースト走行状態でドライバのシフトダウン要求操作があるときに実行されるフレキシブルマニュアル変速制御処理作用を、図5に示すフローチャートに基づいて説明する。
まず、アクセル踏み込み操作によるドライブ走行中、ドライバがアクセル足離し操作を行っているが、アクセル足離し操作開始からの継続時間をあらわすタイマ値が所定値未満の間は、S1→S2→S3→エンドへと進む。
アクセル足離し操作開始からの継続時間をあらわすタイマ値が所定値以上になると、S1→S2→S3→S4へと進む。S4では、1回目のシフトダウン要求操作であるか否かが判断される。そして、1回目のシフトダウン要求操作でないと判断され、かつ、「マニュアル変速モード」の選択ではないと判断されている間は、S4からS6→S11→エンドへと進む。また、1回目のシフトダウン要求操作でないと判断され、かつ、2回目以降のシフトダウン要求操作でないと判断されている間は、S4からS6→S7→エンドへと進む。
S4にて1回目のシフトダウン要求操作であると判断されると、S4からS5→S9へ進む。S5では、初回は減速のためのエンブレ要求動作とみなし、そのときのプライマリ回転数Npriに回転段差ΔNCD_1を加算した回転数まで一気に上昇させ、強調した有段ダウンシフト感を演出する「マニュアル変速モード」での1回目のダウンシフト制御が実行される。S9では、プライマリ回転数Npriが、回転段差ΔNCD_1による回転数上昇終点に到達したか否かが判断される。
S9にて回転数上昇終点に到達したと判断されると、S9からS10→エンドへ進む。S10では、ゼロ運転点と回転数上昇終点の運転点(VSP,APO)とを繋ぐ直線で決まる固定変速比が目標変速比とされ、目標変速比を維持するバリエータ4の固定変速比制御が実行される。
一方、1回目のダウンシフト制御が実行された後であって、2回目以降のシフトダウン操作が行われない間は、S1→S2→S3→S4→S6→S7→エンドへと進む流れが繰り返される。その後、2回目のシフトダウン操作が行われると、S7からS8→S9へ進む。S8では、2回目以降はシフトダウンの操作を楽しむ、又は、エンブレ微調整のための動作とみなし、そのときのプライマリ回転数Npriに回転段差ΔNCD_2(<ΔNCD_1)を加算した回転数まで上昇させ、有段ダウンシフト感を演出する「マニュアル変速モード」での2回目のダウンシフト制御が実行される。S9では、プライマリ回転数Npriが、回転段差ΔNCD_2による回転数上昇終点に到達したか否かが判断される。
S9にて回転数上昇終点に到達したと判断されると、S9からS10→エンドへ進む。S10では、ゼロ運転点と回転数上昇終点の運転点(VSP,APO)とを繋ぐ直線で決まる固定変速比が目標変速比とされ、目標変速比を維持するバリエータ4の固定変速比制御が実行される。
3回目のシフトダウン操作が行われると、S7からS8→S9へ進む。S8では、そのときのプライマリ回転数Npriに回転段差ΔNCD_3(<ΔNCD_1)を加算した回転数まで上昇させ、有段ダウンシフト感を演出する「マニュアル変速モード」での3回目のダウンシフト制御が実行される。S9では、プライマリ回転数Npriが、回転段差ΔNCD_3による回転数上昇終点に到達したか否かが判断される。S9にて回転数上昇終点に到達したと判断されると、S9からS10→エンドへ進む。S10では、ゼロ運転点と回転数上昇終点の運転点(VSP,APO)とを繋ぐ直線で決まる固定変速比が目標変速比とされ、目標変速比を維持するバリエータ4の固定変速比制御が実行される。
なお、4回目以降のシフトダウン操作が行われた場合、2回目や3回目のシフトダウン操作が行われた場合と同様に、そのときのプライマリ回転数Npriに回転段差ΔNCD_4、…(<ΔNCD_1)を加算した回転数まで上昇させるダウンシフト制御が実行される。
このように、コースト走行状態でドライバのシフトダウン要求操作があるときに実行されるフレキシブルマニュアル変速制御は、下記に記載する特徴を有する。
・コースト走行中にドライバによるシフトダウン要求操作がある場合、1回目のシフトダウン要求操作によるダウンシフトで上昇させる入力回転数の回転段差ΔNCD_1が、2回目以降の回転段差ΔNCD_2、ΔNCD_3、…より大きく設定される。
・1回目のシフトダウン要求操作によるダウンシフトで上昇させる入力回転数の回転段差ΔNCD_1は、ドライバのエンブレ要求に基づき、車両減速へ向かうエンブレを与えるダウンシフト量の値に設定される。
・2回目以降のシフトダウン要求操作によるダウンシフトで上昇させる入力回転数の回転段差ΔNCD_2、ΔNCD_3、…は、ドライバによるシフトダウン操作感要求に基づき、エンブレを微調整するダウンシフト量の値に設定される。
・「無段変速モード」の選択によるコースト走行シーンにおいて、「無段変速モード」から「マニュアル変速モード」へのドライバによるセレクト操作があると、セレクト操作が1回目のシフトダウン要求操作とみなされる。
・「マニュアル変速モード」の選択によるコースト走行シーンにおいて、コースト走行開始からドライバによる最初のシフトダウン操作があると、最初のシフトダウン操作が1回目のシフトダウン要求操作とみなされる。
・ドライバによるシフトダウン要求操作に基づくダウンシフトが終了すると、ダウンシフト終了時点における運転点(VSP,APO)のマップ位置で決まる変速比が維持される。
[コースト走行中の減速ダウンシフト作用]
「無段変速モード」でのコースト走行中に「マニュアル変速モード」へのセレクト操作と2回のシフトダウン操作を行ったときの減速ダウンシフト作用を、図8及び図9に基づいて説明する。
図8の時刻0から時刻t1までの区間は、車速VSPと目標プライマリ回転数Npri*を保ちながら走行しているアクセル踏み込みによるドライブ走行区間である。ドライブ走行区間(0~t1)は、図9における運転点H0に対応する。
図8の時刻t1は、車速VSPを保ちながら目標プライマリ回転数Npri*を最低回転数まで低下させるアクセル足離し操作時刻である。アクセル足離し操作時刻t1は、図9における運転点H0から運転点H1までの移動に対応する。
図8の時刻t1から時刻t3までの区間は、バリエータ4の無段変速により目標プライマリ回転数Npri*を最低回転数に保ちながらコースト減速走行しているコースト減速走行区間である。コースト減速走行区間(t1~t3)は、図9における運転点H1から運転点H2までの移動に対応する。なお、コースト減速走行区間(t1~t3)の途中の時刻t2は、アクセル足離し操作時刻t1からアクセル足離し状態が所定時間継続したことによるコースト判定時刻である。
図8の時刻t3は、「無段変速モード」から「マニュアル変速モード」へのセレクト操作時刻であると共に、最低回転数による目標プライマリ回転数Npri*を、回転段差ΔNCD_1のダウンシフト量により上昇させる1回目マニュアルダウンシフト時刻である。この1回目マニュアルダウンシフト時刻t3は、図9における運転点H2から運転点H3までの移動に対応する。なお、固定変速比線α1は、図9の1回目マニュアルダウンシフト開始時運転点H2とゼロ運転点を結ぶ線である。
図8の時刻t3から時刻t4までの区間は、1回目マニュアルダウンシフト終了後、バリエータ4の変速比をダウンシフト終了時変速比に保ちながらコースト減速走行しているコースト減速走行区間である。コースト減速走行区間(t3~t4)は、図9における運転点H3から運転点H4までの移動に対応し、固定変速比線α2は、図9のダウンシフト終了時運転点H3とゼロ運転点を結ぶ線である。
図8の時刻t4は、「マニュアル変速モード」でのドライバによるシフトダウン操作時刻であると共に、そのときのプライマリ回転数Npri*を、回転段差ΔNCD_2のダウンシフト量により上昇させる2回目マニュアルダウンシフト時刻である。2回目マニュアルダウンシフト時刻t3は、図9における運転点H4から運転点H5までの移動に対応する。
図8の時刻t4から時刻t5までの区間は、2回目マニュアルダウンシフト終了後、バリエータ4の変速比をダウンシフト終了時変速比に保ちながらコースト減速走行しているコースト減速走行区間である。コースト減速走行区間(t4~t5)は、図9における運転点H5から運転点H6までの移動に対応し、固定変速比線α3は、図9のダウンシフト終了時運転点H5とゼロ運転点を結ぶ線である。
図8の時刻t5は、「マニュアル変速モード」でのドライバによるシフトダウン操作時刻であると共に、そのときのプライマリ回転数Npri*を、回転段差ΔNCD_3のダウンシフト量により上昇させる3回目マニュアルダウンシフト時刻である。3回目マニュアルダウンシフト時刻t5は、図9における運転点H6から運転点H7までの移動に対応する。
図8の時刻t5以降の区間は、3回目マニュアルダウンシフト終了後、バリエータ4の変速比をダウンシフト終了時変速比に保ちながらコースト減速走行しているコースト減速走行区間である。コースト減速走行区間(t5~)は、図9における運転点H7から固定変速比線α4に沿った移動に対応し、固定変速比線α4は、図9のダウンシフト終了時運転点H7とゼロ運転点を結ぶ線である。
このように、「無段変速モード」の選択によるコースト走行シーンにおいて、時刻t3にて「無段変速モード」から「マニュアル変速モード」へのドライバによるセレクト操作があると、セレクト操作が1回目のシフトダウン要求操作とみなしている。そして、1回目のシフトダウン要求操作によるダウンシフトで上昇させる入力回転数の回転段差ΔNCD_1を、ドライバのエンブレ要求に基づき、車両減速へ向かうエンブレを与えるダウンシフト量の値に設定している。つまり、回転段差ΔNCD_1は、図9に示すように、固定変速比線α1から固定変速比線α2までの1回目ダウンシフトによる大きな変速比幅で得られる回転段差に設定している。
よって、コースト減速中の1回目のシフトダウン要求操作に対し、エンジン回転数Neを回転段差ΔNCD_1の幅で一気に上昇させてエンジン1の負荷抵抗を高くすることで、エンブレの効きを確保している。このため、1回目のシフトダウン要求操作に対し、確かなアクションと確かな反応による有段ダウンシフト感を演出することができる。
セレクト操作後は、「マニュアル変速モード」でのドライバによるシフトダウン操作を2回目以降のシフトダウン要求操作とみなしている。そして、2回目以降のシフトダウン要求操作によるダウンシフトで上昇させる入力回転数の回転段差ΔNCD_2、ΔNCD_3、…を、ドライバによるシフトダウン操作感要求に基づき、エンブレを微調整するダウンシフト量の値に設定している。つまり、回転段差ΔNCD_2は、図9に示すように、固定変速比線α2から固定変速比線α3までの1回目のダウンシフトよりも狭くした変速比幅で得られる回転段差に設定している。回転段差ΔNCD_3は、図9に示すように、固定変速比線α3から固定変速比線α4までの1回目のダウンシフトよりも狭くした変速比幅で得られる回転段差に設定している。
よって、1回目シフトダウンによりコースト減速感が得られているコースト減速中、2回目以降のシフトダウン要求操作に対し、エンジン回転数Neを回転段差ΔNCD_2や回転段差ΔNCD_3の幅で上昇させてエンジン1の負荷抵抗を少し高くすることで、エンブレの微調整量を確保している。このため、シフトダウン要求操作毎に生じるエンブレ微調整により、有段ダウンシフト感の演出が1回目のシフトダウン要求操作よりも抑えられ、ドライバのシフトダウン操作感要求に応えることができる。
加えて、ドライバによるシフトダウン要求操作に対して1回目と2回目以降でダウンシフト量を異ならせることで、操作回数によりドライバの意図に合致する減速コントロールができ、運転の楽しみが増すというドライブ感覚をも享受できる。
以上説明してきたように、実施例1のベルト式無段変速機CVTの変速制御装置にあっては、下記に列挙する効果が得られる。
(1) 走行用駆動源(エンジン1)から駆動輪6までの駆動系にバリエータ4を搭載し、バリエータ4の変速比を制御する変速コントローラ800を備える無段変速機(ベルト式無段変速機CVT)の変速制御装置において、
変速コントローラ800は、マニュアル変速モードを選択すると、予め設定された複数の固定変速比ではなく、ドライバによるシフト要求操作に基づいて、シフト要求操作時のバリエータ4の入力回転数に対し所定の回転段差を有する目標入力回転数に、バリエータ4の変速比を変速させる変速比制御を行うフレキシブルマニュアル変速制御部803を有し、
フレキシブルマニュアル変速制御部803は、コースト走行中にドライバによるシフトダウン要求操作がある場合、1回目のシフトダウン要求操作によるダウンシフトで上昇させる入力回転数の回転段差ΔNCD_1を、2回目以降のシフトダウン要求操作による回転段差ΔNCD_2、ΔNCD_3、…より大きく設定する。
このため、コースト走行シーンにおいて、ドライバのシフトダウン要求操作に対する減速度のコントロール性の向上を図ることができる。
(2) 走行用駆動源にエンジン1を有し、
フレキシブルマニュアル変速制御部803は、1回目のシフトダウン要求操作によるダウンシフトで上昇させる入力回転数の回転段差ΔNCD_1を、ドライバのエンジンブレーキ要求に基づき、車両減速へ向かうエンジンブレーキを与えるダウンシフト量の値に設定する。
このため、ドライバによる1回目のシフトダウン要求操作を行うと、エンジンブレーキを効かせるダウンシフト量によるマニュアル変速の実行により、エンジンブレーキ要求に応える減速感をドライバに与えることができる。
(3) フレキシブルマニュアル変速制御部803は、2回目以降のシフトダウン要求操作によるダウンシフトで上昇させる入力回転数の回転段差ΔNCD_2、ΔNCD_3、…を、ドライバのシフトダウン操作感要求に基づき、エンジンブレーキを微調整するダウンシフト量の値に設定する。
このため、ドライバによる2回目以降のシフトダウン要求操作を行うと、エンジンブレーキを微調整するダウンシフト量によるマニュアル変速の実行により、シフトダウン操作感要求に応える減速感をドライバに与えることができる。
(4) フレキシブルマニュアル変速制御部803は、「無段変速モード」の選択によるコースト走行シーンにおいて、「無段変速モード」から「マニュアル変速モード」へのドライバによるセレクト操作があると、セレクト操作を1回目のシフトダウン要求操作とみなす。
このため、「無段変速モード」の選択によるコースト走行シーンにおいて、ドライバがダウンシフト減速を意図して「マニュアル変速モード」へのセレクト操作を行うと、ドライバが意図する減速感を得ることができる。
(5) フレキシブルマニュアル変速制御部803は、「マニュアル変速モード」の選択によるコースト走行シーンにおいて、コースト走行開始からドライバによる最初のシフトダウン操作があると、最初のシフトダウン操作を1回目のシフトダウン要求操作とみなす。
このため、「マニュアル変速モード」の選択によるコースト走行シーンにおいて、ドライバがダウンシフト減速を意図してシフトダウン操作を行うと、ドライバが意図する減速感を得ることができる。
(6) フレキシブルマニュアル変速制御部803は、ドライバによるシフトダウン要求操作に基づくダウンシフトが終了すると、ダウンシフト終了時点における運転点(VSP,APOのマップ位置で決まる変速比を維持する。
このため、マニュアルダウンシフトが終了すると、終了時の運転点(VSP,APO)を通る固定変速比線がマニュアル変速マップ(マニュアル変速マップM2)に引かれ、直ちに固定変速比を維持する制御へ移行することができる。
以上、本発明の無段変速機の変速制御装置を実施例1に基づき説明してきた。しかし、具体的な構成については、この実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加などは許容される。
実施例1では、変速モードとして、「無段変速モード」と「マニュアル変速モード」を有する例を示した。しかし、変速モードとしては、少なくとも「マニュアル変速モード」が含まれていれば、他の変速モードとして、「無段変速モード」をエコ変速モードとスポーツ変速モードなどに分けた例などであっても良い。
実施例1では、本発明の変速制御装置を、トルクコンバータと前後進切替機構とバリエータと終減速機構により構成されるベルト式無段変速機を搭載したエンジン車に適用する例を示した。しかし、本発明の変速制御装置は、バリエータのみによるベルト式無段変速機に限らず、バリエータと副変速機が直列に連結される副変速機付きベルト式無段変速機を搭載した車両に適用しても良い。
1 エンジン(走行用駆動源)
CVT ベルト式無段変速機(無段変速機)
2 トルクコンバータ
3 前後進切替機構
4 バリエータ
5 終減速機構
6 駆動輪
8 CVTコントロールユニット
800 変速コントローラ
801 変速モード選択部
802 無段変速制御部
803 フレキシブルマニュアル変速制御部
804 ソレノイド指令出力部
80 プライマリ回転センサ
81 車速センサ
84 インヒビタスイッチ
87 変速モード選択スイッチ
88 シフト操作スイッチ
9 エンジンコントロールユニット
90 アクセル開度センサ
91 エンジン回転センサ
M2 マニュアル変速マップ

Claims (6)

  1. 走行用駆動源から駆動輪までの駆動系にバリエータを搭載し、前記バリエータの変速比を制御する変速コントローラを備える無段変速機の変速制御装置において、
    前記変速コントローラは、マニュアル変速モードを選択すると、予め設定された複数の固定変速比ではなく、ドライバによるシフト要求操作に基づいて、前記シフト要求操作時の前記バリエータの入力回転数に対し所定の回転段差を有する目標入力回転数に、前記バリエータの変速比を変速させる変速比制御を行うフレキシブルマニュアル変速制御部を有し、
    前記フレキシブルマニュアル変速制御部は、コースト走行中にドライバによるシフトダウン要求操作がある場合、1回目のシフトダウン要求操作によるダウンシフトで上昇させる前記入力回転数の回転段差を、2回目以降のシフトダウン要求操作による回転段差より大きく設定する
    ことを特徴とする無段変速機の変速制御装置。
  2. 請求項1に記載された無段変速機の変速制御装置において、
    前記走行用駆動源にエンジンを有し、
    前記フレキシブルマニュアル変速制御部は、前記1回目のシフトダウン要求操作によるダウンシフトで上昇させる入力回転数の回転段差を、ドライバのエンジンブレーキ要求に基づき、車両減速へ向かうエンジンブレーキを与えるダウンシフト量の値に設定する
    ことを特徴とする無段変速機の変速制御装置。
  3. 請求項2に記載された無段変速機の変速制御装置において、
    前記フレキシブルマニュアル変速制御部は、前記2回目以降のシフトダウン要求操作によるダウンシフトで上昇させる入力回転数の回転段差を、ドライバのシフトダウン操作感要求に基づき、エンジンブレーキを微調整するダウンシフト量の値に設定する
    ことを特徴とする無段変速機の変速制御装置。
  4. 請求項1から3までの何れか一項に記載された無段変速機の変速制御装置において、
    前記フレキシブルマニュアル変速制御部は、無段変速モードの選択によるコースト走行シーンにおいて、前記無段変速モードから前記マニュアル変速モードへのドライバによるセレクト操作があると、前記セレクト操作を前記1回目のシフトダウン要求操作とみなす
    ことを特徴とする無段変速機の変速制御装置。
  5. 請求項1から4までの何れか一項に記載された無段変速機の変速制御装置において、
    前記フレキシブルマニュアル変速制御部は、前記マニュアル変速モードの選択によるコースト走行シーンにおいて、コースト走行開始からドライバによる最初のシフトダウン操作があると、前記最初のシフトダウン操作を前記1回目のシフトダウン要求操作とみなす
    ことを特徴とする無段変速機の変速制御装置。
  6. 請求項1から5までの何れか一項に記載された無段変速機の変速制御装置において、
    前記フレキシブルマニュアル変速制御部は、前記ドライバによるシフトダウン要求操作に基づくダウンシフトが終了すると、ダウンシフト終了時点における運転点のマップ位置で決まる変速比を維持する
    ことを特徴とする無段変速機の変速制御装置。
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