JP2020148053A - 地中拡径装置および拡径部形成方法 - Google Patents
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Abstract
Description
地盤改良における拡径方法として、改良対象の地盤に高圧の圧縮空気や高圧水を噴射して拡径を行う方法がある(例えば、JSG工法やコラムジェットグラウト工法)。ところが、圧縮空気や高圧水による拡径は、地山状況によっては均等に掘削できないおそれがある。
機械式拡径工法に使用する掘削装置として、例えば特許文献1には、掘削ロッドの先端部に対し拡径可能に支持された拡大翼を備えるものが開示されている。このような機械式拡径工法によれば、地中において拡大翼を用いて地盤を直接撹拌するため、均等に撹拌(掘削)することができる。ところが、従来の機械式拡径工法では、施工機械(掘削機械)の構造が複雑で大規模であるため、地上部において広い作業スペースを確保する必要があり、ロッドの着脱等の施工手順も複雑である。
また、この地中拡径装置を利用した拡径部形成方法は、前記ケーシングロッドを地中に挿入して掘削孔を形成する工程と、前記吊り材に吊持された前記撹拌ブレードを前記ケーシングに挿入する工程と、前記ケーシングロッドを引き上げて前記撹拌ブレードを前記ケーシングロッド内に配置する工程と、前記吊り材を引き上げて前記撹拌ブレードを前記ケーシングロッドと交差する向きに配置しつつ前記ケーシングロッドの下端部に係止させる工程と、前記ケーシングロッドを回転させて前記撹拌ブレードにより前記掘削孔の周囲の地盤を撹拌する工程とを備えている。
また、地中拡径装置は、2本の前記撹拌ブレードを備えていてもよい。このとき、2本の前記撹拌ブレードは、1本の前記吊り材により吊持されているとともに、前記吊り材の下端において反対方向に回動可能とする。かかる拡径装置によれば、左右に開いた状態で配設された2本の拡径ロッドにより地盤を撹拌することができるため、効率的である。
第一実施形態では、地表から形成した掘削孔を利用して、掘削孔よりも大きな径の改良体を形成する拡径部形成方法について説明する。この拡径部形成方法では、図1に示す地中拡径装置1を利用する。
地中拡径装置1は、図1(a)および(b)に示すように、地中に配設されるケーシングロッド2と、ケーシングロッド2を挿通可能な撹拌ブレード3と、撹拌ブレード3を吊持する吊り材4とを備えている。
図1(a)に示すように、撹拌ブレード3の先端部(図1において下側の端部)と基端部(図1において上側の端部)は、撹拌ブレード3の長手方向に対して傾斜していて、鋭角になっている。本実施形態では、先端部と基端部との傾斜角が異なっているが、先端部および基端部の傾斜角は同一であってもよい。また、先端部および下端部は、必ずしも直線状である必要はなく、曲線状であってもよい。
撹拌ブレード3は、先端側の板厚(図2(a)参照)が基端側の板厚(図2(b)参照)よりも大きくなっており、図2(a)および(b)に示すように、撹拌ブレード3の先端側と基端側では、係止溝21への挿入深さが異なっている。なお、撹拌ブレード3は、部分的に板厚が変化していてもよいし、徐々に板厚が変化していてもよい。また、撹拌ブレード3の板厚は、必ずしも変化している必要はなく、一定の厚さであってもよい。
ケーシングロッド2の下端が所定の深さに到達したら、図5(b)に示すように、吊り材4に吊持された撹拌ブレード3をケーシングロッド2に挿入し、撹拌ブレード3をケーシングロッド2内に配置する(ブレード配置工程)。撹拌ブレード3は、先端が掘削孔6の底面に当接するまで下降させるのが望ましい。撹拌ブレード3をケーシングロッド2に挿通する際は、吊り材4をストッパー5の凹部51に挿入しておく。このようにすると、吊り材4は、吊材分岐部41の直上においてストッパー5に係止された状態となり、吊材係止部42は長孔31の下部に位置した状態となる。こうすることで、下降時の撹拌ブレード3のブレが抑制され、また、撹拌ブレード3は、鉛直に対して傾斜した状態で挿入される。
ケーシングロッド2内で吊り下げた状態の撹拌ブレード3の重心点と吊り下げ力の作用点は異なる(偏心力が作用する)ため、ケーシングロッド2から解放された撹拌ブレード3は自ずと傾いた状態となる。さらに撹拌ブレード3の三角形状の先端が掘削孔6の底面に当接することも、撹拌ブレード3が自ずと傾いた状態となることを妨げない。また、仮にケーシングロッド2の内側の土砂付着などにより図4(b)に示す棒材43で撹拌ブレード3を押し込んだ際においても、同様に撹拌ブレード3はケーシングロッド2から解放された段階で傾いた状態となる。
撹拌ブレード3は、図6(c)に示すように、吊り材4により略鉛直に吊持した状態で引き上げることで、ケーシングロッド2を挿通させて回収する。
また、小口径なボーリング孔を利用して施工することが可能なため、施工個所が制限され難い。例えば、商業施設などの一部で、地表付近に埋設された配管を回避してピンポイントで小規模な地盤改良を行う場合であっても、施工が可能である。
第二実施形態では、第一実施形態と同様に、掘削孔6を利用して、地中に拡径部61を形成する場合について説明する。
第二実施形態の地中拡径装置1は、図7(a)に示すように、地中に配設されるケーシングロッド2と、ケーシングロッド2を挿通可能な2本の撹拌ブレード3と、両撹拌ブレード3を吊持する1本の吊り材4とを備えている。なお、ケーシングロッド2および吊り材4の詳細は、第一実施形態で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
2本の撹拌ブレード3は、く字状に曲がっており、対向する向きで吊持されている。撹拌ブレード3の折れ点よりも下側の部分は、折れ点よりも上側の部分よりも長い。また、撹拌ブレード3の折れ点よりも上側の部分には、長孔31が形成されている。
ケーシングロッド2の下端が所定の深さに到達したら、図7(a)に示すように、吊り材4に吊持された2本の撹拌ブレード3,3をケーシングロッド2内に配置する(ブレード配置工程)。撹拌ブレード3,3は、先端が掘削孔6の底面に当接するまで下降させるのが望ましい。
以上、第二実施形態の地中拡径装置1によれば、第一実施形態の地中拡径装置1と同様な効果を得ることができる。
例えば、地中拡径装置1を利用目的は、地盤改良に限定されるものではなく、アンカー体の形成や、拡径杭の施工、または地中汚染物質の不溶化施工に使用してもよい。
また、前記実施形態では、撹拌ブレード3の先端側を基端側よりもケーシングロッド2から横方向に突出させた状態で拡径部61を形成する場合について説明したが、図8(a)に示すように、撹拌ブレード3の先端側と基端側の突出長は同等であってもよい。なお、撹拌ブレード3の突出長の調整は、例えば、長孔31とストッパー5との位置関係を調整することにより行えばよい。
2本の吊り材4,4を使用する場合には、図8(d)および(e)に示すように、吊り材4,4を同一のリング7に挿通させてもよい。このようにすれば、2本の吊り材4,4の水平移動が制限されるため、一方の吊り材4を操作して撹拌ブレード3を縦回転させる際に、長孔31に対する一方の吊り材4の位置を制御することができ、その結果、撹拌ブレード3の回転をよりスムーズに行うことができる。
2 ケーシングロッド
21 係止溝
3 撹拌ブレード
31 長孔
4 吊り材
5 ストッパー
51 凹部
6 掘削孔
Claims (5)
- 地中に配設されるケーシングロッドと、前記ケーシングロッドを挿通可能な撹拌ブレードと、前記撹拌ブレードを吊持する吊り材と、を備える地中拡径装置であって、
前記撹拌ブレードは、前記吊り材の下端部において上下方向に回動可能であり、かつ、前記ケーシングロッドと交差する向きで当該ケーシングロッドの下端部に係止可能であることを特徴とする、地中拡径装置。 - 前記撹拌ブレードに、前記ケーシングロッドの内面下端に係止可能なストッパーが突設されていることを特徴とする、請求項1に記載の地中拡径装置。
- 前記ストッパーに前記吊り材を挿入可能な凹部が形成されていることを特徴とする、請求項2に記載の地中拡径装置。
- 2本の前記撹拌ブレードを備えており、
2本の前記撹拌ブレードは、1本の前記吊り材により吊持されているとともに、前記吊り材の下端において反対方向に回動可能であることを特徴とする、請求項1に記載の地中拡径装置。 - 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の地中拡径装置を利用した拡径部形成方法であって、
前記ケーシングロッドを地中に挿入して掘削孔を形成する工程と、
前記吊り材に吊持された前記撹拌ブレードを前記ケーシングロッド内に配置する工程と、
前記ケーシングロッドを引き上げて前記撹拌ブレードを前記掘削孔の下端部に露出させる工程と、
前記吊り材を引き上げて、前記撹拌ブレードを前記ケーシングロッドと交差する向きに配置しつつ前記ケーシングロッドの下端部に係止させる工程と、
前記ケーシングロッドを回転させて前記撹拌ブレードにより前記掘削孔の周囲の地盤を撹拌する工程と、を備えていることを特徴とする、拡径部形成方法。
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