JP2020147552A - 抗ウイルス活性向上剤 - Google Patents

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健吉 山本
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Abstract

【課題】舌・顎下腺唾液の分泌を特異的に高め、抗ウイルス活性向上剤としての用途に適した経口用剤を提供する。【解決手段】炭酸塩(A)、及び、有機酸又はその塩(B)を含有する、経口用の抗ウイルス活性向上剤である。【選択図】なし

Description

本発明は、経口用の抗ウイルス活性向上剤に関する。
唾液はヒト等の動物の口腔内の恒常性維持に重要であり、自浄作用、緩衝作用、粘膜保護作用、抗菌・抗ウイルス作用を有することが知られている。
唾液腺は、主に頬内側の粘膜に開口する耳下腺と、舌下に開口する舌下腺及び顎下腺の3つがある。唾液の抗ウイルス作用は、耳下腺から分泌される唾液(以下「耳下腺唾液」ともいう)に比べて舌・顎下腺から分泌される唾液(以下「舌・顎下腺唾液」ともいう)においてその効果が高いことが報告されている(非特許文献1)。
これまでに、有機酸と、炭酸塩又は重炭酸塩とからなる発泡成分による炭酸発泡が唾液分泌を促進することが報告されている(特許文献1)。
特開2002−184号公報
Oral Microbiology Immunology、2009年、24(1)、p18−24
しかしながら、有機酸と、炭酸塩又は重炭酸塩とによる炭酸発泡性剤は、経口用剤としてヒト等の口腔内に適用した場合に舌・顎下腺唾液の分泌を促進し、抗ウイルス活性向上剤としての用途に適することは見出されていなかった。
本発明は、舌・顎下腺唾液の分泌を特異的に高め、抗ウイルス活性向上剤としての用途に適した経口用剤に関する。本発明によれば、例えばインフルエンザウイルス等の、季節性の流行や世界的な大流行につながる感染症を防止できることが期待される。
本発明者らは、検討の結果、唾液中に含まれる結合型シアル酸が抗ウイルス活性を発現する主要因子である可能性を見出し、さらに唾液の中でも、特に舌・顎下腺唾液が結合型シアル酸の濃度が高いことを突き止めた。こうして得られた知見から、舌・顎下腺唾液の分泌を特異的に促進するような経口用剤を探索した結果、炭酸塩と、有機酸又はその塩とを含有する炭酸発泡性の経口用剤が、舌・顎下腺唾液の分泌を特異的に高めること、及び抗ウイルス活性向上剤という用途に適することを見出した。
すなわち本発明は、下記[1]〜[4]に関する。
[1]炭酸塩(A)、及び、有機酸又はその塩(B)を含有する、経口用の抗ウイルス活性向上剤。
[2]炭酸塩(A)、及び、有機酸又はその塩(B)を含有する、経口用の舌・顎下腺唾液分泌促進剤。
[3]炭酸塩(A)、及び、有機酸又はその塩(B)を含有する、経口用の結合型シアル酸分泌促進剤。
[4]炭酸塩(A)、及び、有機酸又はその塩(B)を含有する経口用剤の、抗ウイルス活性向上剤、舌・顎下腺唾液分泌促進剤、又は結合型シアル酸分泌促進剤としての使用。
本発明の経口用剤は、ヒト等の動物の口腔内に適用すると、唾液の中でも、抗ウイルス活性を有する結合型シアル酸の濃度が高い舌・顎下腺唾液の分泌を特異的に高めることができるので、抗ウイルス活性向上剤という用途に好適である。当該経口用剤は、インフルエンザ、風邪等のウイルス感染予防用の製剤として有用である。
ヒトの口腔内を正面から撮影した部分拡大写真である。 ヒトの口腔内を正面から撮影した写真である。
[抗ウイルス活性向上剤、舌・顎下腺唾液分泌促進剤、結合型シアル酸分泌促進剤]
本発明の抗ウイルス活性向上剤、舌・顎下腺唾液分泌促進剤、及び結合型シアル酸分泌促進剤は、炭酸塩(A)、及び、有機酸又はその塩(B)を含有する経口用剤である。以下、これらを総称して「本発明の経口用剤」ともいう。
本発明の経口用剤は、成分(A)及び成分(B)を含有することから、ヒト等の口腔内で唾液等の水分と接触して炭酸ガスを発生する炭酸発泡性の経口用剤であり、20℃±15℃で固形状態の製剤である。
本発明の経口用剤の具体的な剤型としては、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、トローチ剤、及び、炭酸塩(A)と有機酸又はその塩(B)とが第一剤と第二剤とに分かれた二剤式の剤が挙げられる。なかでも、舌・顎下腺唾液の分泌を向上させる観点から、好ましくは錠剤又はトローチ剤である。舌・顎下腺唾液分泌及び分泌持続性を向上させる観点から、錠剤の中でも、口腔内の唾液等の存在下で炭酸ガスを発生する形態である、チュアブル錠がより好ましい。
なお、二剤式の剤の場合は、第一剤と第二剤の合計量を100質量%として、各成分の含有量を計算する。
ヒトの唾液腺は耳下腺、舌下腺、及び顎下腺の3箇所に存在する。本発明の経口用剤は、これらのうち、舌下腺及び顎下腺から分泌される、舌・顎下腺唾液の分泌を特異的に高められることを見出した。
舌・顎下腺唾液分泌を特異的に高めるとは、舌・顎下腺唾液の分泌量が多くなり、かつ、舌・顎下腺唾液と耳下腺唾液を併せた全唾液中における舌・顎下腺唾液の割合が高くなることをいう。
例えばクエン酸等の有機酸のみでも唾液分泌を促進することはできるが、有機酸のみで唾液分泌を促進しようとすると口腔内のpHが過度に低下するなど、為害性等の問題が生じるおそれもあった。また、クエン酸等の有機酸のみを用いると舌・顎下腺唾液だけでなく耳下腺唾液の分泌も促進するため、全唾液中における舌・顎下腺唾液の割合は向上しない。その結果、全唾液中の結合型シアル酸の濃度が向上せず、抗ウイルス活性向上効果は低いと考えられる。そこで、舌・顎下腺唾液の分泌を特異的に高めることができる方法が必要とされていた。
本明細書において結合型シアル酸とは、遊離シアル酸以外のシアル酸を意味し、シアル酸を構成成分として有する多糖類、ペプチド、タンパク質、シアル酸誘導体等が含まれる。結合型シアル酸はウイルスと結合して、ウイルスがヒトの咽頭粘膜等における宿主細胞(レセプター)へ結合するのを阻害することで抗ウイルス性を発現していると考えられる。
本発明の経口用剤は、ヒト等の口腔内に適用すると、唾液の中でも、結合型シアル酸の濃度が高い舌・顎下腺唾液の分泌を特異的に高めることができる。そのため本発明の経口用剤は、インフルエンザウイルス等への感染を防ぐ、経口用の抗ウイルス活性向上剤として用いることができる。本発明の経口用剤をヒト等が服用することにより、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス等のウイルスに対する抗ウイルス活性を向上させることができる。
また本発明の経口用剤は、舌・顎下腺唾液の分泌促進剤、あるいは結合型シアル酸分泌促進剤としても用いることができる。
なお、ヒトの口腔内で分泌される舌・顎下腺唾液中の結合型シアル酸濃度が耳下腺唾液に比べて高いこと、及び、舌・顎下腺唾液の抗ウイルス活性が耳下腺唾液に比べて高いことについては、本発明者らが実施例に記載の方法により確認した。
<成分(A):炭酸塩>
本発明の経口用剤は、成分(A)として炭酸塩を含有する。炭酸塩としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸アンモニウム、セスキ炭酸ナトリウム等が挙げられ、これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、経口用剤の服用時の味の観点から、好ましくは炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、及び炭酸カリウムからなる群から選ばれる1種以上であり、より好ましくは炭酸水素ナトリウムである。
本発明の経口用剤中の成分(A)の含有量は、舌・顎下腺唾液の分泌量を増加させる観点から、成分(A)の炭酸換算のモル量が、好ましくは12mmol/100g以上、より好ましくは60mmol/100g以上、さらに好ましくは96mmol/100g以上となる量である。また、全唾液中における舌・顎下腺唾液の割合を高め、抗ウイルス活性を向上させる観点、及び服用時の為害性や異味を低減する観点から、好ましくは720mmol/100g以下、より好ましくは480mmol/100g以下、さらに好ましくは300mmol/100g以下となる量である。
また、本発明の経口用剤中の成分(A)の含有量は、舌・顎下腺唾液分泌量を増加させる観点から、好ましくは1質量%以上であって、好ましくは5質量%以上、より好ましくは8質量%以上である。また、全唾液中における舌・顎下腺唾液の割合を高め、抗ウイルス活性を向上させる観点、及び服用時の為害性や異味を低減する観点から、好ましくは60質量%以下であって、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは25質量%以下である。
<成分(B):有機酸又はその塩>
本発明の経口用剤は、成分(B)として有機酸又はその塩を含有する。有機酸又はその塩としては、服用時の為害性や異味を低減する観点から、ヒドロキシカルボン酸、ジカルボン酸、アスコルビン酸及びそれらの塩から選ばれる1種以上であることが好ましい。
ここでいうヒドロキシカルボン酸は、ヒドロキシ基及びカルボキシ基を少なくとも1つずつ有する化合物であり、例えば、乳酸、クエン酸、イソクエン酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸、キナ酸等が挙げられる。
ここでいうジカルボン酸は、ヒドロキシ基を有さないジカルボン酸化合物であり、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸等が挙げられる。
アスコルビン酸には、立体異性体であるL−アスコルビン酸及びエリソルビン酸が含まれる。
有機酸塩における塩としては、服用時の為害性や異味を低減する観点からアルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩及びカリウム塩からなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、ナトリウム塩がさらに好ましい。
舌・顎下腺唾液分泌を特異的に高め、抗ウイルス活性を向上させる観点から、成分(B)は、好ましくはヒドロキシカルボン酸、アスコルビン酸及びそれらの塩から選ばれる1種以上であり、より好ましくはクエン酸、酒石酸、及びL−アスコルビン酸からなる群から選ばれる1種以上であり、さらに好ましくはクエン酸である。
本発明の経口用剤中の成分(B)の含有量は、舌・顎下腺唾液分泌を特異的に高め、抗ウイルス活性を向上させる観点から、成分(B)の酸基のモル量が、好ましくは15mmol/100g以上、より好ましくは50mmol/100g以上、さらに好ましくは80mmol/100g以上となる量である。また、舌・顎下腺唾液分泌を特異的に高め、抗ウイルス活性を向上させる観点、及び服用時の為害性や異味を低減する観点から、好ましくは700mmol/100g以下であって、より好ましくは500mmol/100g以下、さらに好ましくは300mmol/100g以下となる量である。
なお、成分(B)が有機酸塩の場合は、成分(B)の酸基のモル量とは、塩を構成する有機酸の酸基のモル量を意味する。
有機酸がヒドロキシカルボン酸又はカルボン酸の場合は、成分(B)の酸基のモル量とは、カルボキシ基のモル量である。また、アスコルビン酸は1つの酸基を有する有機酸として酸基のモル量を計算するものとする。
本発明の経口用剤中の成分(B)の含有量は、舌・顎下腺唾液分泌を特異的に高め、抗ウイルス活性を向上させる観点から、好ましくは1質量%以上であって、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは6質量%以上であり、また、舌・顎下腺唾液分泌を特異的に高め、抗ウイルス活性を向上させる観点、及び服用時の為害性や異味を低減する観点から、好ましくは45質量%以下であって、より好ましくは33質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。なお本明細書において、成分(B)が有機酸塩の場合の上記含有量(質量%)は、塩を構成する有機酸換算の質量%である。
本発明の経口用剤において、舌・顎下腺唾液分泌を特異的に高め、抗ウイルス活性を向上させる観点、及び服用時の為害性や異味を低減する観点から、成分(A)の炭酸換算のモル量をA1、成分(B)の酸基のモル量をB1とした場合に、モル比[A1/B1]は、好ましくは0.25以上であって、より好ましくは0.5以上、さらに好ましくは0.8以上であり、また、同様の観点から、好ましくは3.0以下であって、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.2以下である。
本発明の経口用剤は、舌・顎下腺唾液分泌を特異的に高め、抗ウイルス活性を向上させる観点、及び服用時の為害性や異味を低減する観点から、成分(B)に対する成分(A)の含有量が、質量比[(A)/(B)]として、好ましくは0.35以上であり、より好ましくは0.7以上であり、さらに好ましくは1.0以上であり、また、同様の観点から、好ましくは4.0以下であり、より好ましくは3.0以下であり、さらに好ましくは2.0以下である。
本発明の経口用剤中の成分(A)及び成分(B)の合計含有量は、舌・顎下腺唾液分泌を特異的に高め、抗ウイルス活性を向上させる観点から、好ましくは5質量%以上であって、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上である。また、服用時の為害性や異味を低減する観点、及び成形性の観点から、好ましくは80質量%以下であって、より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。
本発明の経口用剤は、上記成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲において、甘味料、ビタミン、ミネラル、エピガロカテキンガレート、テアフラビンやウーロンホモビスフラバン等の茶カテキン類、エキス類、香料、着色料、保存料等の添加剤が適宜配合されていてもよい。上記添加剤の含有量は、本発明の目的を損なわない範囲内で適宜設定することができる。
また、本発明の経口用剤は、必要に応じて担体を含有することができる。当該担体としては、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、嬌味剤、オリゴ糖、寒天、結晶セルロース、粉末セルロース、軽質無水ケイ酸、リン酸水素カルシウム、増量剤、界面活性剤、分散剤、緩衝剤、希釈剤等の担体が挙げられる。上記担体の含有量は、本発明の目的を損なわない範囲内で適宜設定することができる。
本発明の経口用剤は、常法に従って製造できる。例えば、成分(A)、成分(B)、並びに必要に応じて前記添加剤、担体を配合し、混合した後に、必要に応じ成形等を行うことにより製造できる。各成分の混合順序は特に限定されず、任意の順序で添加しても、同時に添加してもよい。混合方法としては、撹拌、震盪等の適宜の方法を採用することが可能であり、混合装置を使用してもよい。混合装置の混合方式は、容器回転型でも、容器固定型でもよい。容器回転型として、例えば、水平円筒型、V型、ダブルコーン型、立方体型等を採用することができる。また、容器固定型として、例えば、リボン型、スクリュー型、円錐形スクリュー型、パドル型、流動層型、フィリップスブレンダー等を採用することができる。
また本発明の経口用剤は、公知の造粒法により造粒物としてもよく、前記各成分を配合し、混合した後に造粒してもよい。造粒方法としては、例えば、噴霧造粒、流動層造粒、圧縮造粒、転動造粒、撹拌造粒、押出造粒、粉末被覆造粒等が挙げられる。造粒条件は、造粒方法により適宜選択することができる。
経口用剤を錠剤とする場合には、成分(A)、成分(B)、並びに、必要に応じて前記添加剤、担体を配合した混合物を原料粉末として用いて、直接圧縮成形してもよい。また、原料粉末を前記造粒方法により造粒してから、造粒物を打錠成形機で圧縮成形してもよい。
打錠成形機としてはロータリー式打錠機や単発式打錠機等、公知の成形機を用いることができる。打錠時の圧力は、成形物の硬度維持の観点から、10〜30MPa程度が好ましい。
錠剤の形状は、円形又は楕円形、長円形、四角形等の面形を有する各種異形錠であってもよいが、服用性の観点から円形であることが好ましい。円形の錠剤の場合、服用性を向上させる観点から、直径は3〜30mmが好ましく、10〜20mmがより好ましい。
錠剤の質量は、一製剤当たり0.1〜6g、さらに0.3〜3gとするのが、服用性を向上させる観点から好ましい。
本発明の経口用剤は、密封容器に封入した製品とすることができる。密封容器としては、空気非透過性の容器、中でも水蒸気非透過性の容器が好ましく、各種プラスティックにアルミニウム等の金属箔をラミネートした包装容器や、アルミナ、シリカ等を蒸着した包装容器、また金属、ガラス等を利用した容器を使用することができる。
本発明はさらに、炭酸塩(A)、及び、有機酸又はその塩(B)を含有する経口用剤の、抗ウイルス活性向上剤、舌・顎下腺唾液分泌促進剤、又は結合型シアル酸分泌促進剤としての使用を提供する。
使用方法としては、ヒト等の口腔内に上記経口用剤を適用することで、唾液の存在下で炭酸ガスを発生し得る方法であればよく、経口用剤の形態等に応じて適宜選択できる。例えば経口用剤の形態がチュアブル錠である場合は、口腔内で噛み砕いて服用すればよく、トローチ剤である場合は、口腔内で溶けるまで服用すればよい。
本発明の経口用剤は、ヒト等の動物の口腔内に適用すると、唾液の中でも、抗ウイルス活性を有する結合型シアル酸の濃度が高い舌・顎下腺唾液の分泌を特異的に高めることができるので、抗ウイルス活性向上剤という用途に好適であり、インフルエンザ、風邪等のウイルス感染予防用の製剤として有用である。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は実施例の範囲に限定されない。
(経口用剤中の成分(A)の含有量の測定方法)
経口用剤中の成分(A)の含有量は下記方法により測定できる。
経口用剤をメスフラスコに0.1〜0.2g採取し、水10mLと50%リン酸2mLを加え密栓する。10分間超音波処理を行った後、1時間放置し、ヘッドスペースガスをガスクロマトグラフに供して、発生したCO量を下記条件で測定する。該CO量から成分(A)の含有量を算出する。
<ガスクロマトグラフ測定条件>
測定装置:GC−14B((株)島津製作所)
検出器:TCD
カラム:J&W Packed GCカラム(アジレント・テクノロジー(株))、
80〜100mesh、ガラス管φ3.2mm×2m
カラム充填剤:Chromosorb101(アジレント・テクノロジー(株))
カラム温度:50℃
注入口及び検出器温度:100℃
セル電流:75mA
キャリヤーガス:ヘリウム
キャリヤーガス圧力:100kPa
ヘッドスペースガス注入量:0.2mL
(経口用剤中の成分(B)の含有量の測定方法)
経口用剤中の成分(B)の含有量は下記方法により測定できる。
経口用剤を1g採取し5%過塩素酸20mLを加え、10分間振とうすることで抽出する。これを水で200mLに定容し10分間超音波処理を行い、ろ過した後、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)に供して、有機酸量を下記条件で測定する。成分(B)が有機酸塩である場合は、測定された有機酸量から有機酸塩の含有量を算出する。
<HPLC測定条件>
測定装置:LC−20AD((株)島津製作所)
検出器:UV−VIS検出器 SPD−20AV((株)島津製作所) 検出波長:445nm
カラム:Shim−pack SCR−102H((株)島津製作所)、長さ300mm×内径8.0mm
カラム温度:40℃
移動相:3mmоl/L過塩素酸
移動相流量:1.0mL/min
反応液:0.2mmоl/Lブロムチモールブルー含有15mmоl/Lリン酸水素二ナトリウム溶液
反応液流量:1.4mL/min
試験例1(唾液中の結合型シアル酸濃度の測定)
ヒトの口腔内の耳下腺から分泌される唾液(耳下腺唾液)、及び舌・顎下腺から分泌される唾液(舌・顎下腺唾液)中の結合型シアル酸濃度を下記手順で測定した。被験者は30歳代の男性3名とした。
<耳下腺唾液の採取>
唾液採取前に水で口を含嗽した。5分間の馴化期間の後、耳下腺由来唾液採取カップ(Lashley cup)を、図1に示す耳下腺開口部1に設置した。2%クエン酸水溶液を舌上に数滴滴下し、分泌される耳下腺唾液を採取した。
<舌・顎下腺唾液の採取>
歯科印象材ジーシー エクザファイン パテタイプ((株)ジーシー)を舌下に入れ、2〜3分程度静置し、硬化させた。印象材を取り出した後、チューブを通し、舌・顎下腺由来唾液採取カップを作製した。
唾液採取前に水で口を含嗽した。5分間の馴化期間の後、作製した舌・顎下腺由来唾液採取カップを、図2に示す舌・顎下腺開口部2に設置した。2%クエン酸水溶液を舌上に数滴滴下し、分泌される唾液を採取した。
<唾液中の結合型シアル酸濃度の測定>
採取した唾液を15,000rpmで10分間遠心分離した後、上清を−80℃で凍結保存した。唾液上清中の総シアル酸及び遊離シアル酸をQuantiChromTM Sialic Acid Assay Kit (BioAssay Systems)を用いて測定した。唾液中の結合型シアル酸濃度(μM)は、唾液中のシアル酸を加水分解してすべて遊離シアル酸に変換した量から、唾液中の遊離シアル酸を差し引いた値とし、n=3の平均値を算出した。結果を表1に示す。
表1の結果から、ヒトの口腔内において舌・顎下腺から分泌される唾液は、耳下腺から分泌される唾液に比べて結合型シアル酸濃度が高いことがわかる。
試験例2(唾液の抗ウイルス活性の測定)
試験例1の方法により採取した耳下腺唾液、舌・顎下腺唾液のそれぞれに対して、プラークアッセイ法により唾液抗ウイルス活性を評価した。具体的な手順は下記の通りである。
<宿主細胞(MDCK細胞)の培養>
宿主細胞であるMDCK細胞を、公知の方法により単層培養した。
<ウイルス液の調製>
インフルエンザウイルス(A/PR/8/34(H1N1))をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で希釈し、ウイルス濃度5×10pfu/mLのウイルス液を調製した。
<感染及び培養>
試験例1の方法により採取した唾液0.1mLに、37℃環境下で上記ウイルス液を、ウイルス濃度10pfu/mLとなるように混合した液を調製した。30分後、混合液を0.2%ウシ血清含有ダルベッコ緩衝液で10−100倍希釈した。希釈溶液を事前に準備したMDCK細胞に37℃で1時間静置し、ウイルスを感染させた。その後、寒天培地に置換し、37℃で2−3日培養した。プラークの形成を目視にて確認後、グルタルアルデヒド水溶液で細胞を固定し、メチレンブルー染色を行い、プラーク数を計測し、感染力価(pfu/mL)を算出した。
ウイルス感染率(%)は下記式により算出した。
ウイルス感染率(%)=検体(唾液)の感染力価(pfu/mL)/対照(PBS)の感染力価(pfu/mL)×100
結果を表2に示す。ウイルス感染率(%)が低いほど抗ウイルス活性が高いことを意味する。
表2の結果から、ヒトの舌・顎下腺唾液は、耳下腺唾液に比べて抗ウイルス活性が高いことがわかる。これは舌・顎下腺唾液中の結合型シアル酸濃度が耳下腺唾液に比べて高いためであると考えられる(試験例1)。
実施例1〜3及び比較例1〜2(経口用剤の製造及び評価)
表3に記載の配合組成で各成分を混合した。次に単発式打錠機(RIKEN)を用いて、穴径15mmのリング状杵で、打錠圧18MPaで打錠し、質量:1g/1錠、直径:15mmの円形の錠剤型の経口用剤を得た。
得られた経口用剤を用いて、下記評価を行った。
<耳下腺唾液、及び舌・顎下腺唾液の分泌量測定>
測定前に水で被験者(20〜40歳代の男性15名)の口を含嗽した。5分間の馴化期間の後、開口器を装着し、口を開いた状態を保って評価を実施した。角綿を用いて、図1の耳下腺開口部1、及び図2の舌・顎下腺開口部2に溜まった唾液を拭った後、舌の前方約1/3の部分に各例で得られた経口用剤を1錠静置した。次いで、耳下腺開口部1、及び舌・顎下腺開口部2のそれぞれに角綿を設置し、分泌される唾液を角綿に吸収させて採取した。30秒毎に角綿を新しいものに取り換え、経過5分までの唾液を採取した。使用した角綿の重量変化を計測し、耳下腺唾液分泌量及び舌・顎下腺唾液分泌量(g/min)を求め、n=15の平均値を算出した。
<全唾液中の舌・顎下腺唾液の割合>
下記式より算出した。
全唾液中の舌・顎下腺唾液の割合(%)=(舌・顎下腺唾液分泌量)/(耳下腺唾液分泌量及び舌・顎下腺唾液分泌量の合計)×100
結果を表3に示す。
表3に示す成分は下記である。
(A)炭酸水素ナトリウム:重曹(食添C)(東ソー(株))
(B)クエン酸:クエン酸フソウ(無水)(扶桑化学工業(株))
(B)クエン酸三ナトリウム:精製クエン酸ナトリウムS(扶桑化学工業(株))
マルチトール:アマルティMR−50(三菱商事フードテック(株))
粉末セルロース:KCフロックW400−G(日本製紙ケミカル(株))
ステアリン酸カルシウム:ステアリン酸カルシウム(植物性)(太平化学産業(株))
二酸化ケイ素:カープレックスFPS−500(DSLジャパン)
表3から、成分(A)及び成分(B)を含有する本発明の経口用剤を用いると、舌・顎下腺唾液の分泌が特異的に高められることがわかる。
試験例1、2の結果から、舌・顎下腺唾液は耳下腺唾液と比較して結合型シアル酸濃度が高く、かつ抗ウイルス活性が高いことが示された。したがって全唾液中の舌・顎下腺唾液の割合が高く、かつ比較例2(ブランク)よりも舌・顎下腺唾液の分泌量が多くなる実施例1〜3の経口用剤は、抗ウイルス活性向上効果が高く、抗ウイルス活性向上剤として有望であることが示唆された。
本発明の経口用剤は、ヒト等の動物の口腔内に適用すると、唾液の中でも、抗ウイルス活性を有する結合型シアル酸の濃度が高い舌・顎下腺唾液の分泌を特異的に高めることができるので、抗ウイルス活性向上剤という用途に好適である。当該経口用剤は、インフルエンザ、風邪等のウイルス感染予防用の製剤として有用である。
1 耳下腺開口部
2 舌・顎下腺開口部

Claims (6)

  1. 炭酸塩(A)、及び、有機酸又はその塩(B)を含有する、経口用の抗ウイルス活性向上剤。
  2. 炭酸塩(A)、及び、有機酸又はその塩(B)を含有する、経口用の舌・顎下腺唾液分泌促進剤。
  3. 炭酸塩(A)、及び、有機酸又はその塩(B)を含有する、経口用の結合型シアル酸分泌促進剤。
  4. 成分(A)の含有量が1質量%以上、60質量%以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の剤。
  5. 成分(A)の炭酸換算のモル量をA1、成分(B)の酸性基のモル量をB1とした場合に、モル比[A1/B1]が0.25以上、3.0以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の剤。
  6. 炭酸塩(A)、及び、有機酸又はその塩(B)を含有する経口用剤の、抗ウイルス活性向上剤、舌・顎下腺唾液分泌促進剤、又は結合型シアル酸分泌促進剤としての使用。
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