JP2020147146A - カバー部材及びカバー部材取付構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】ドアパネルに対してカバー部材を取り付ける際の作業性を向上させる。【解決手段】カバー部材10には、クリップ挿通孔よりも上方に配置されてドアインナパネル4の開口46から車幅方向外側のドア内空間9側へ突出する上側突出部と、クリップ挿通孔よりも下方に配置されてドアインナパネル4の開口46から車幅方向外側のドア内空間9側へ突出する下側突出部31とが形成される。カバー部材10をドアパネル3の所定の取付位置に配置した状態では、カバー部材10の上側突出部の前面及び下側突出部31の前面36が、ガラスランチャンネル13の開口部内領域20の後面32の後方近傍に配置される。【選択図】図5
Description
本開示は、カバー部材及びカバー部材取付構造に関する。
特許文献1には、車両用ドア構造が記載されている。車両用ドアを構成する金属製のドアパネルには、上部に窓用開口が設けられている。ドアパネルは、ドアインナパネルとドアアウタパネルとで構成されている。窓用開口の一方の側縁部の下方位置には、その側縁部を切り欠くようにしてドアアウタパネル及びドアサッシュに切欠き部が形成されている。この切欠き部を利用して、両側縁部が平行なドアガラスをドアサッシュ及びガラスランの内側に嵌入させることができるようになっている。ドアに対してドアガラスを組み付けた後に、ドアアウタパネルの外面側に対して切欠き部を塞ぐためのブラケット部材を取り付ける。
ところで、ドアパネルに対するドアガラスの取付性を向上させるための切欠部を、ドアインナパネルのウィンドウ開口の周辺に設ける場合がある。この場合、ドアパネル内(ドアインナパネルとドアアウタパネルとの間の空間)に浸入した水やドアパネル内の埃等が、ドアインナパネルの切欠部の開口(以下、単に「ドアインナパネルの開口」という。)から車室側へ入ってくるおそれがあるので、ドアインナパネルの開口をカバー部材で塞ぐことが考えられる。しかし、カバー部材をドアパネルに対して取り付ける際に、ドアインナパネルの開口を塞ぐことが可能な所定の取付位置からカバー部材がずれてしまうと、カバー部材の取付作業が煩雑になる可能性がある。
そこで、本開示は、ドアパネルに対してカバー部材を取り付ける際の作業性を向上させることが可能なカバー部材及びカバー部材取付構造の提供を目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様は、車室側のドアインナパネルと外部側のドアアウタパネルとによって形成されるドアパネルにはウィンドウ開口が形成され、ドアインナパネルにはウィンドウ開口から所定方向の一側へ切り欠かれた切欠部が設けられ、切欠部の上記所定方向の他側にはガラスランを支持するガラスランチャンネルが設けられ、切欠部とガラスランチャンネルとの間には開口が区画される車両のドアパネルの所定の取付位置に取り付けられて、開口を車室側から塞ぐカバー部材であって、突出部を備える。突出部は、カバー部材をドアパネルの上記取付位置に取り付けたカバー取付状態で、ドアインナパネルとドアアウタパネルとの間のドア内空間側へ開口から突出する。突出部の上記他側の端部は、カバー取付状態でガラスランチャンネルのウィンドウ開口とは反対側の面に対して上記所定方向の上記一側から近接する。
上記構成では、カバー部材の突出部が、開口からドア内空間側へ突出し、突出部の上記所定方向の他側の端部が、カバー取付状態でガラスランチャンネルのウィンドウ開口とは反対側の面に対して上記所定方向の上記一側から近接するので、カバー部材をドアパネルの上記取付位置に取り付ける際に、上記所定方向の上記他側(ガラスランチャンネル側)へのカバー部材の移動を突出部の上記他側の端部とガラスランチャンネルとの当接によって規制することができる。このため、カバー部材をドアパネルの上記取付位置に取り付ける際に、カバー部材の位置決めを容易に行うことができるので、カバー部材の取付作業の作業性を向上させることができる。
本発明の第2の態様は、車室側のドアインナパネルと外部側のドアアウタパネルとによって形成されるドアパネルにはウィンドウ開口が形成され、ドアインナパネルにはウィンドウ開口から所定方向の一側へ切り欠かれた切欠部が設けられ、切欠部の上記所定方向の他側にはガラスランを支持するガラスランチャンネルが設けられ、切欠部とガラスランチャンネルとの間には開口が区画される車両のドアパネルの所定の取付位置に取り付けられて、開口を車室側から塞ぐカバー部材であって、突出部を備える。突出部は、カバー部材をドアパネルの上記取付位置に取り付けたカバー取付状態で、ドアインナパネルとドアアウタパネルとの間のドア内空間側へ開口から突出する。突出部の上記一側の端部は、ドアインナパネルの切欠部の縁部に対して上記所定方向の上記他側から近接する。
上記構成では、カバー部材の突出部が、開口からドア内空間側へ突出し、突出部の上記所定方向の一側の端部が、ガラスランチャンネルに対向するドアインナパネルの切欠部の縁部に対して上記所定方向の上記他側から近接するので、カバー部材をドアパネルの上記取付位置に取り付ける際に、上記所定方向の上記一側(ガラスランチャンネルとは反対側)へのカバー部材の移動を突出部の上記一側の端部とドアインナパネルとの当接によって規制することができる。このため、カバー部材をドアパネルの所定の取付位置に取り付ける際に、カバー部材の位置決めを容易に行うことができるので、カバー部材の取付作業の作業性を向上させることができる。
本発明の第3の態様は、ガラスランチャンネルが上下方向に延びるドアパネルに対して取り付けられる上記第1の態様または上記第2の態様に記載のカバー部材であって、上記所定方向は、前後方向または車幅方向であり、突出部の上面又は下面の少なくとも一方は、上記一側から上記他側の下方へ、または上記他側から上記一側の下方へ向かって傾斜する。
上記構成では、突出部の上面又は下面の少なくとも一方が上記所定方向の一側から他側の下方へ、または他側から一側の下方へ向かって傾斜する。このため、突出部の上面が傾斜している場合には、ドア内空間に水が浸入した場合に、ドア内空間を下方へ流下して突出部の上面に到達した水を、突出部の上面によって上記所定方向の他側または一側へ案内することができる。また、突出部の下面が傾斜している場合には、ドア内空間に水が浸入した場合に、突出部の上記所定方向の一側面または他側面に沿って下方へ流下して突出部の下面に到達した水を、突出部の下面に沿って上記所定方向の他側または一側へ案内することができる。すなわち、ドア内空間を流下する水を突出部によって所望の方向(上記所定方向の他側または一側)へ案内することができる。これにより、例えば、突出部の上面又は下面の少なくとも一方を、ドア内空間のうち突出部よりも下方で車室側へ水が浸入し難い領域へ向かって傾斜させるなどして、車室側への水の浸入を防止することができる。
本発明の第4の態様は、上記第1の態様〜上記第3の態様のいずれかのカバー部材をドアパネルに対して取り付けるためのカバー部材取付構造であって、ガラスランは、ガラスランチャンネルの車室側の面に対して車室側から被さる車室側リップ部を有する。カバー部材の突出部よりも上記他側の端部は、ガラスランチャンネルの車室側の面とガラスランの車室側リップ部との間に挟持される。
上記構成では、カバー部材の上記他側の端部がガラスランチャンネルの車室側の面とガラスランの車室側リップ部との間に挟持されるので、例えば、カバー部材をガラスランチャンネルとガラスランの車室側リップ部とで挟むことによってドアパネルに対して取り付ける場合には、ボルトまたはテープ等によってカバー部材をドアパネルに対して固定する場合とは異なり、部品点数を抑えることができる。或いは、ボルトまたはテープ等によってカバー部材をドアパネルに対して固定する場合であっても、カバー部材の上記他側の端部がガラスランチャンネルの車室側の面とガラスランの車室側リップ部との間に挟持されるので、カバー部材をドアパネルに対して固定する際のカバー部材の位置ずれを抑えることができ、カバー部材の取付作業の作業性を向上させることができる。
また、カバー部材がガラスランチャンネルの車室側の面とガラスランの車室側リップ部との間に挟持されるので、カバー部材を、車室内側への水の侵入を抑制するシール部材として機能させることができる。
本開示によれば、ドアパネルに対してカバー部材を取り付ける際の作業性を向上させることができる。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において、FRは車両の前方を、UPは上方を、INは車幅方向内側をそれぞれ示す。また、以下の説明において、前後方向は車両の前後方向を意味し、左右方向は車両前方を向いた状態での左右方向を意味する。
図1(a)、図1(b)、及び図2に示すように、本実施形態に係るカバー部材取付構造は、車両1の車室2(図5参照)を外部へ開閉可能なサイドドア(ドアパネル)3に対して適用される。サイドドア3は、車室2の側方を閉止した閉止状態で、車幅方向と交叉して前後方向(所定方向)に沿って起立する。なお、以下の説明において、サイドドア3の前後方向および左右方向は、閉止状態のサイドドア3の方向を示す。
サイドドア3は、車幅方向と交叉する車室2側(本実施形態では、車幅方向内側)のドアインナパネル4と、車幅方向と交叉する外部側(本実施形態では、車幅方向外側)のドアアウタパネル5とによって閉断面状に形成される。ドアインナパネル4の外周縁部とドアアウタパネル5の外周縁部とが互いに固定された状態で、ドアインナパネル4とドアアウタパネル5との間には、ドア内空間9(図5参照)が区画される。ドアインナパネル4の車幅方向内側(車室2側)には、化粧部材であるドアトリム6が取り付けられる。サイドドア3の上部には、ウィンドウ開口7が形成される。ウィンドウ開口7は、ドア内空間9内のガラス昇降機構(図示省略)に昇降可能に支持されるウィンドウガラス8によって開閉可能である。ウィンドウ開口7の周縁部には、昇降するウィンドウガラス8を案内するガラスラン12が設けられ、ウィンドウ開口7の周縁部のドア内空間9内には、ガラスラン12を支持するガラスランチャンネル13(図3(a)参照)が設けられる。
図3(a)に示すように、ドアインナパネル4のうちウィンドウ開口7の後方には、ウィンドウ開口7の後縁16から後方(一側)へ切り欠かれた切欠部14が形成される。この切欠部14は、ウィンドウガラス8をウィンドウ開口7の下縁15側から下方のドア内空間9(図5参照)へ挿入する際の作業性を向上させるために設けられる。切欠部14は、ウィンドウ開口7の下縁15に沿って後方へ延びる開口下縁14aと、開口下縁14aよりも上方でウィンドウ開口7の後縁16から後方へ延びる開口上縁14bと、開口下縁14aの後端と開口上縁14bの後端との間で上下方向に延びる開口後縁14cとを有する。切欠部14の前側(他側)には、前方へ開口する断面U状(図5参照)のガラスランチャンネル13のうちの上下方向の一部の領域20(以下、「開口部内領域20」という。)が上下方向に延びる。ドアインナパネル4の切欠部14の開口下縁14a、開口上縁14b、及び開口後縁14cと、ガラスランチャンネル13の開口部内領域20の車幅方向内側面22(車室2側の面)の後端11との間には、ドア内空間9を車幅方向内側へ開放する開口46が区画される。ドアインナパネル4の切欠部14とガラスランチャンネル13との間の開口46(以下、「ドアインナパネル4の開口46」という。)は、図2及び図3(b)に示すように、後述するカバー部材10によって車幅方向内側から塞がれる。ドアインナパネル4のうち切欠部14の開口上縁14bの上方の領域には、ガラスランチャンネル13を車幅方向内側から押さえつけた状態で支持する第1ブラケット17が固定される。切欠部14の内側の上下方向の略中央部には、ドアトリム6を固定するための第2ブラケット18が配置される。第2ブラケット18には、ドアトリム6側のクリップ(図示省略)を取り付け可能なクリップ取付部28が設けられる。
図3(b)及び図4に示すように、カバー部材10は、柔軟性を有する多孔質の材料(例えば、非連続気泡のスポンジ材など)によって略板状に形成される。カバー部材10は、後述するように、ドアトリム6を取り付ける前のサイドドア3の所定の取付位置に配置され、ドアトリム6及びガラスラン12等によって支持(挟持)されてサイドドア3に対して取り付けられる。カバー部材10をサイドドア3に対して取り付けたカバー取付状態で、カバー部材10は、ドアインナパネル4の開口46を塞ぎ、ドア内空間9から車室2側への水の浸入や埃の侵入を防止し、また、ドア内空間9内から車室2側への騒音の伝達を抑制する。
図3(a)、図3(b)、及び図4に示すように、カバー部材10は、カバー下端部19aとカバー上端部19bとカバー後端部19cとカバー前端部19dとを有する。カバー上端部19bは、カバー取付状態で切欠部14の開口上縁14bよりも上方へ延びてドアインナパネル4の車幅方向内側面4aに接触する。カバー後端部19cは、カバー取付状態で切欠部14の開口後縁14cよりも後方へ延びてドアインナパネル4の車幅方向内側面4aに接触する。カバー前端部19dは、カバー取付状態でガラスランチャンネル13の後面(ウィンドウ開口7とは反対側の面)32(図5参照)よりも前方へ延びてガラスランチャンネル13の車幅方向内側面22に接触する。カバー下端部19aは、カバー取付状態でドアインナパネル4の切欠部14の開口下縁14aよりも下方へ延びる。カバー下端部19aには、カバー部材10の下端縁23から上方へ延びるスリット部24が形成される。すなわち、カバー下端部19aは、スリット部24よりも後方のスリット後方領域25と、スリット部24よりも前方のスリット前方領域26とを有する。本実施形態では、スリット前方領域26の前後方向の長さL1は、スリット後方領域25の前後方向の長さL2よりも長く設定される(L1>L2)。カバー部材10をドアインナパネル4に対して取り付ける際には、ドアインナパネル4の開口下縁14aをカバー下端部19aのスリット部24に対して下方から挿入し、スリット部24の上端24aに当接させる。ドアインナパネル4の開口下縁14aをカバー下端部19aのスリット部24に挿入した状態で、カバー下端部19aのスリット後方領域25は、ドアインナパネル4の車幅方向内側(車室2側)に配置され、カバー下端部19aのスリット前方領域26は、ドアインナパネル4の車幅方向外側のドア内空間9に配置される。
図4〜図6に示すように、カバー部材10のうち、カバー下端部19a、カバー上端部19b、カバー後端部19c、及びカバー前端部19dに囲まれる領域27には、クリップ挿通孔29と、クリップ挿通孔29よりも上方に配置されてドアインナパネル4の開口46から車幅方向外側のドア内空間9側へ突出する上側突出部(突出部)30と、クリップ挿通孔29よりも下方に配置されてドアインナパネル4の開口46から車幅方向外側のドア内空間9側へ突出する下側突出部(突出部)31とが形成される。クリップ挿通孔29は、カバー取付状態で第2ブラケット18のクリップ取付部28に対応する位置に配置されてドアトリム6側のクリップ(図示省略)の挿通を許容する。上側突出部30は、車幅方向内側へ開放する矩形箱状の箱状部30aと、箱状部30aから上方へ延びる線状の線状部30bとを有する。箱状部30aの前面(他側の端部)33(以下、「上側突出部30の前面33」という。)は、カバー取付状態でガラスランチャンネル13の開口部内領域20の後面32の後方近傍に配置されて後面32に対向し、ガラスランチャンネル13の延設方向に沿って上下方向に延びる。箱状部30aの後面(一側の端部)47は、カバー取付状態でドアインナパネル4の切欠部14の開口後縁14cの前方近傍に配置され、開口後縁14cの延設方向に沿って上下方向に延びる。線状部30bは、箱状部30aの後上端から上方へ延びる第1線状部34と、第1線状部34の上端から前方へ延びる第2線状部35とを有する。第1線状部34は、ドアインナパネル4の切欠部14の開口後縁14cの前方近傍で上下方向に沿って延び、第1線状部34の上端は、切欠部14の開口上縁14bの下方近傍に配置される。すなわち、箱状部30a及び第1線状部34の後面47(以下、「上側突出部30の後面47」という。)は、切欠部14の開口後縁14cの前方近傍に配置される。第2線状部35は、切欠部14の開口上縁14bの下方近傍に配置され、開口上縁14bの延設方向に沿って前後に延びる。すなわち、第2線状部35の上面48は、切欠部14の開口上縁14bの下方近傍に配置される。下側突出部31は、車幅方向内側へ開放する断面略菱形の箱状に形成される。下側突出部31の前面(他側の端部)36は、カバー取付状態でガラスランチャンネル13の開口部内領域20の後面32の後方近傍に配置されて後面32に対向し、ガラスランチャンネル13の延設方向に沿って上下方向に延びる。下側突出部31の後面(一側の端部)37は、カバー取付状態でドアインナパネル4の切欠部14の開口後縁14cの前方近傍に配置され、開口後縁14cの延設方向に沿って上下方向に延びる。上側突出部30の前面33及び下側突出部31の前面36は、スリット部24よりも前方に配置される。下側突出部31の上面38及び下面39は、後上方から前下方へ向かって直線状に延び、前後の水平方向に対して傾斜している。
ガラスラン12は、ウィンドウガラス8の後端部が進入するガラス進入凹部40と、ガラス進入凹部40の車幅方向外側の前端部から車幅方向外側の後方へ延びてドアアウタパネル5の前端縁部に対して車幅方向外側から被さる外部側リップ部41と、ガラス進入凹部40の車幅方向内側の前端部から車幅方向内側の後方へ延びてガラスランチャンネル13の前端側の車幅方向内側面22に対して車幅方向内側から被さる車室側リップ部42とを有する。なお、ガラス進入凹部40内には、ウィンドウガラス8に対して車幅方向両側から接触する左右1対のシールリップ部43,44が設けられる。
カバー部材10及びドアトリム6を取り付ける前のサイドドア3では、ドアインナパネル4とドアアウタパネル5とが互いに接合され、ドア内空間9内にウィンドウガラス8が配置され、ウィンドウ開口7の周縁部にガラスランチャンネル13及びガラスラン12が設けられ、ドアインナパネル4の開口46が車幅方向内側へ開口している。
カバー部材10をサイドドア3に対して取り付ける際には、先ず、カバー部材10のスリット後方領域25がドアインナパネル4の車幅方向内側に配置され、スリット前方領域26がドアインナパネル4の車幅方向外側のドア内空間9に配置されるように、カバー部材10のスリット部24に対して下方からドアインナパネル4の開口下縁14aを挿入し、開口下縁14aをスリット部24の上端24aに当接させる。次に、カバー部材10の上側突出部30及び下側突出部31を、ドアインナパネル4の切欠部14とガラスランチャンネル13の開口部内領域20の後面32との間に車幅方向内側から挿入する。この状態がカバー部材10を上記所定の取付位置に配置した状態であり、係る状態では、上側突出部30の前面33及び下側突出部31の前面36が、ガラスランチャンネル13の開口部内領域20の後面32の後方近傍に配置され、上側突出部30の後面47及び下側突出部31の後面37が、切欠部14の開口後縁14cの前方近傍に配置され、上側突出部30の第1線状部34が、切欠部14の開口後縁14cの前方近傍に配置され、上側突出部30の第2線状部35が、切欠部14の開口上縁14bの下方近傍に配置される。次に、カバー部材10のカバー前端部19dの上下方向の略全域を、ガラスランチャンネル13の車幅方向内側面22とガラスラン12の車室側リップ部42との間に挟持する。この時点で、カバー部材10は、少なくともガラスランチャンネル13とガラスラン12の車室側リップ部42との間に挟持されることによって、サイドドア3に対して取り付けられる。最後に、ドアトリム6側のクリップ(図示省略)をカバー部材10のクリップ挿通孔29に対して車幅方向内側から挿入して、第2ブラケット18のクリップ取付部28に係止する。ドアトリム6をサイドドア3に対して取り付けた状態で、カバー部材10のカバー後端部19cの少なくとも一部の領域(例えば、図5で断面が図示される領域)は、ドアトリム6に設けられるカバー押圧部6aによってドアインナパネル4側(車幅方向外側)へ向かって押圧されて、ドアインナパネル4の車幅方向内側面4aとドアトリム6のカバー押圧部6aとに挟持される。すなわち、本実施形態では、カバー部材10は、ガラスランチャンネル13とガラスラン12の車室側リップ部42との間に挟持され、且つドアインナパネル4とドアトリム6との間に挟持されることによって、サイドドア3に対して取り付けられる。なお、ドアトリム6のカバー押圧部6aは、ドアインナパネル4の車幅方向内側面4aの車幅方向内側でドアインナパネル4の車幅方向内側面4aに対向する。
上記のように構成されたカバー部材10では、カバー取付状態で、上側突出部30及び下側突出部31がドアインナパネル4の開口46からドア内空間9側へ突出し、上側突出部30の前面33及び下側突出部31の前面36が、ガラスランチャンネル13の開口部内領域20の後面32の後方近傍に配置される。このため、カバー部材10をサイドドア3の上記取付位置に取り付ける際に、カバー部材10が上記所定の取付位置に対して前方へ移動しようとすると、上側突出部30の前面33及び下側突出部31の前面36がガラスランチャンネル13の後面32に当接するので、上記所定の取付位置に対する前方へのカバー部材10の移動を抑えることができる。
また、カバー取付状態で、上側突出部30の後面47及び下側突出部31の後面37が、切欠部14の開口後縁14cの前方近傍に配置される。このため、カバー部材10をサイドドア3の上記取付位置に取り付ける際に、カバー部材10が上記所定の取付位置に対して後方へ移動しようとすると、上側突出部30の後面47及び下側突出部31の後面37が切欠部14の開口後縁14cに当接するので、上記所定の取付位置に対する後方へのカバー部材10の移動を抑えることができる。
また、カバー取付状態で、上側突出部30の第2線状部35の上面48が、切欠部14の開口上縁14bの下方近傍に配置される。このため、カバー部材10をサイドドア3の上記取付位置に取り付ける際に、カバー部材10が上記所定の取付位置に対して上方へ移動しようとすると、第2線状部35の上面48が切欠部14の開口上縁14bに当接するので、上記所定の取付位置に対する上方へのカバー部材10の移動を抑えることができる。
また、カバー部材10をサイドドア3に対して取り付ける際に、カバー部材10のスリット部24に対して下方からドアインナパネル4の開口下縁14aを挿入し、開口下縁14aをスリット部24の上端24aに当接させるので、ドアインナパネル4の開口46に対する下方へのカバー部材10の位置決めを容易に行うことができる。
従って、本実施形態によれば、カバー部材10をサイドドア3の上記取付位置に取り付ける際の作業性を向上させることができる。
また、下側突出部31の前面36がスリット部24よりも前方に配置され、下側突出部31の上面38が後上方から前下方へ向かって傾斜している。このため、ドア内空間9を流下してカバー部材10の下側突出部31の上面38に到達した水を、下側突出部31の上面38に沿って前方のスリット前方領域26側へ案内することができる。スリット前方領域26は、ドアインナパネル4の車幅方向外側のドア内空間9側に配置されるので、ドアインナパネル4の開口46から車室2側への水の浸入を好適に抑えることができる。
また、下側突出部31の前面36がスリット部24よりも前方に配置され、下側突出部31の下面39が後上方から前下方へ向かって傾斜している。このため、ドア内空間9でカバー部材10の下側突出部31の後面37に沿って流下してカバー部材10の下面39に到達した水を、下側突出部31の下面39に沿って前方のスリット前方領域26側へ案内することができるので、ドアインナパネル4の開口46から車室2側への水の浸入を好適に抑えることができる。
また、カバー部材10のカバー前端部19dが、ガラスランチャンネル13の車幅方向内側面22とガラスラン12の車室側リップ部42との間に挟持されるので、カバー部材10を、車室2側への水の浸入を防止するシール部材として機能させることができる。
また、カバー部材10のカバー後端部19cの一部の領域(例えば、図5で断面が図示される領域)が、ドアトリム6とドアインナパネル4とに挟持されるので、カバー部材10のカバー後端部19cのうちドアトリム6とドアインナパネル4とに挟持される上記領域を、車室2側への水の浸入を防止するシール部材として機能させることができる。
また、カバー部材10を、柔軟性を有する多孔質の材料によって形成しているので、車室2側への水の浸入を防止するシール部材として効果的に機能させることができる。
また、カバー部材10は、ドアインナパネル4とドアトリム6との間に挟持されることによって、サイドドア3に対して取り付けられる。このため、カバー部材10をドアインナパネル4の切欠部14の周縁部に対して他の部材(例えば、ブチルテープまたはボルト等)で取り付ける場合に比べて、部品点数を削減することができる。
また、カバー部材10は、ガラスランチャンネル13とガラスラン12の車室側リップ部42との間に挟持されることによって、サイドドア3に対して取り付けられる。このため、カバー部材10をガラスランチャンネル13に対して他の部材(例えば、ブチルテープまたはボルト等)で取り付ける場合に比べて、部品点数を削減することができる。
また、カバー部材10は、ガラスランチャンネル13とガラスラン12の車室側リップ部42との間に挟持されることによって、サイドドア3に対して取り付けられる。ガラスラン12の車室側リップ部42は、ブチルテープに比べて車幅方向の厚さが比較的薄いので、例えば、カバー部材10をガラスランチャンネル13に対してブチルテープ等で貼り付ける場合よりも、ガラスランチャンネル13に対するカバー部材10のカバー前端部19dの取り付け部分の車幅方向の厚さを抑えることができる。
なお、本実施形態では、カバー部材10のカバー後端部19cの上下方向の一部の領域(例えば、図5で断面が図示される領域)を、ドアインナパネル4の車幅方向内側面4aとドアトリム6との間に挟持したが、カバー後端部19cの上下方向の略全域を、ドアインナパネル4の車幅方向内側面4aとドアトリム6との間に挟持してもよい。或いは、カバー部材10のカバー後端部19cを、ドアインナパネル4の車幅方向内側面4aとドアトリム6との間に挟持しなくてもよい。
また、本実施形態では、カバー部材10のカバー前端部19dの上下方向の略全域を、ガラスランチャンネル13の車幅方向内側面22とガラスラン12の車室側リップ部42との間に挟持したが、カバー前端部19dの上下方向の一部の領域を、ガラスランチャンネル13の車幅方向内側面22とガラスラン12の車室側リップ部42との間に挟持してもよい。或いは、カバー部材10のカバー前端部19dを、ガラスランチャンネル13の車幅方向内側面22とガラスラン12の車室側リップ部42との間に挟持しなくてもよい。
また、本実施形態では、カバー部材10を、ガラスランチャンネル13とガラスラン12の車室側リップ部42との間に挟持し、且つドアインナパネル4とドアトリム6との間に挟持することによって、サイドドア3に対して取り付けたが、これに限定されるものではない。例えば、カバー部材10のカバー前端部19dを、ガラスランチャンネル13とガラスラン12の車室側リップ部42との間に挟持し、またはカバー部材10のカバー後端部19cを、ドアインナパネル4とドアトリム6との間に挟持した状態で、カバー部材10をサイドドア3に対して他の部材(例えば、ブチルテープまたはボルト等)で取り付けてもよい。この場合であっても、カバー部材10をサイドドア3に対して上記他の部材で取り付ける際に、カバー部材10が挟持されているので、カバー部材10の位置ずれを抑えることができ、カバー部材10の取付作業の作業性を向上させることができる。
また、本実施形態では、カバー部材10の下側突出部31の上面38及び下面39の双方を後上方から前下方へ向かって傾斜させたが、これに限定されるものではなく、上面38及び下面39のいずれか一方を後上方から前下方へ向かって傾斜させてもよいし、或いは、上面38及び下面39の双方を前後方向に傾斜させなくてもよい。
本実施形態では、上側突出部30の前面33及び下側突出部31の前面36を、ガラスランチャンネル13の開口部内領域20の後面32の後方近傍に配置し、且つ上側突出部30の後面47及び下側突出部31の後面37を、切欠部14の開口後縁14cの前方近傍に配置したが、これに限定されるものではない。例えば、上側突出部30の前面33及び下側突出部31の前面36を、ガラスランチャンネル13の開口部内領域20の後面32の後方近傍に配置することなく、上側突出部30の後面47及び下側突出部31の後面37を、切欠部14の開口後縁14cの前方近傍に配置してもよいし、或いは、上側突出部30の後面47及び下側突出部31の後面37を、切欠部14の開口後縁14cの前方近傍に配置することなく、上側突出部30の前面33及び下側突出部31の前面36を、ガラスランチャンネル13の開口部内領域20の後面32の後方近傍に配置してもよい。
また、本実施形態では、カバー部材10に下側突出部31及び上側突出部30の2つの突出部を設けたが、少なくとも一つの突出部を備えていればよい。
また、本実施形態では、カバー部材10の下側突出部(突出部)31を車幅方向内側へ開放する断面略菱形の箱状に形成し、上側突出部(突出部)30を箱状部30aと線状部30bとによって形成したが、突出部の形状は上記に限定されるものではなく、車幅方向外側へ突出し、前後方向の一側の端部または他側の端部の少なくとも一方が、切欠部14の開口後縁14cの前方近傍、またはガラスランチャンネル13の開口部内領域20の後面32の後方近傍に配置されていれば、他の形状(例えば、線状のリブ等)であってもよい。
また、本実施形態では、カバー部材10にスリット部24を設けたが、スリット部24を設けなくてもよい。
また、本実施形態では、カバー部材10のスリット後方領域(車室側領域)25をドアインナパネル4の車幅方向内側に配置し、スリット前方領域(ドア内領域)26をドアインナパネル4の車幅方向外側のドア内空間9に配置したが、スリット後方領域25をドアインナパネル4の車幅方向外側のドア内空間9に配置し、スリット前方領域26をドアインナパネル4の車幅方向内側に配置してもよい。この場合、カバー部材10の下側突出部31の上面38及び下面39の少なくとも一方を前上方から後下方へ向かって傾斜させてもよい。
また、本実施形態では、カバー部材10にクリップ挿通孔29を設けたが、クリップ挿通孔29を設けなくてもよい。
また、本実施形態では、カバー部材10を、柔軟性を有する多孔質の材料で形成したが、これに限定されるものではなく、他の材料(例えば、樹脂パネル等)で形成してもよい。
また、本実施形態では、ドアインナパネル4のウィンドウ開口7の後方の切欠部14の開口46を、カバー部材10で塞いだが、これに限定されるものではない。例えば、ドアインナパネル4のウィンドウ開口7の前方に切欠部を設けた場合には、係るドアインナパネル4の切欠部の開口をカバー部材10で塞いでもよい。
以上、本発明について、上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではなく、当然に本発明を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例および運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論である。
例えば、上記実施形態では、本開示に係るカバー部材10及びカバー部材取付構造を、車両1のサイドドア(ドアパネル)3に対して適用したが、車両1の車室2を後方へ開放可能なバックドア(ドアパネル)に対して適用してもよい。
本開示に係るカバー部材及びカバー部材取付構造は、車両のドアパネルに広く適用することができる。
1:車両
2:車室
3:サイドドア(ドアパネル)
4:ドアインナパネル
5:ドアアウタパネル
7:ウィンドウ開口
9:ドア内空間
10:カバー部材
12:ガラスラン
13:ガラスランチャンネル
14:切欠部
22:ガラスランチャンネルの車幅方向内側面(車室側の面)
30:上側突出部(突出部)
31:下側突出部(突出部)
32:ガラスランチャンネルの後面(ウィンドウ開口とは反対側の面)
33:上側突出部の前面(他側の端部)
36:下側突出部の前面(他側の端部)
37:下側突出部の後面(一側の端部)
38:下側突出部の上面
39:下側突出部の下面
42:車室側リップ部
46:開口
47:上側突出部の後面(一側の端部)
2:車室
3:サイドドア(ドアパネル)
4:ドアインナパネル
5:ドアアウタパネル
7:ウィンドウ開口
9:ドア内空間
10:カバー部材
12:ガラスラン
13:ガラスランチャンネル
14:切欠部
22:ガラスランチャンネルの車幅方向内側面(車室側の面)
30:上側突出部(突出部)
31:下側突出部(突出部)
32:ガラスランチャンネルの後面(ウィンドウ開口とは反対側の面)
33:上側突出部の前面(他側の端部)
36:下側突出部の前面(他側の端部)
37:下側突出部の後面(一側の端部)
38:下側突出部の上面
39:下側突出部の下面
42:車室側リップ部
46:開口
47:上側突出部の後面(一側の端部)
Claims (4)
- 車室側のドアインナパネルと外部側のドアアウタパネルとによって形成されるドアパネルにはウィンドウ開口が形成され、前記ドアインナパネルには前記ウィンドウ開口から所定方向の一側へ切り欠かれた切欠部が設けられ、前記切欠部の前記所定方向の他側にはガラスランを支持するガラスランチャンネルが設けられ、前記切欠部と前記ガラスランチャンネルとの間には開口が区画される車両の前記ドアパネルの所定の取付位置に取り付けられて、前記開口を前記車室側から塞ぐカバー部材であって、
前記カバー部材を前記ドアパネルの前記取付位置に取り付けたカバー取付状態で、前記ドアインナパネルと前記ドアアウタパネルとの間のドア内空間側へ前記開口から突出する突出部を備え、
前記突出部の前記他側の端部は、前記カバー取付状態で前記ガラスランチャンネルの前記ウィンドウ開口とは反対側の面に対して前記所定方向の前記一側から近接する
ことを特徴とするカバー部材。 - 車室側のドアインナパネルと外部側のドアアウタパネルとによって形成されるドアパネルにはウィンドウ開口が形成され、前記ドアインナパネルには前記ウィンドウ開口から所定方向の一側へ切り欠かれた切欠部が設けられ、前記切欠部の前記所定方向の他側にはガラスランを支持するガラスランチャンネルが設けられ、前記切欠部と前記ガラスランチャンネルとの間には開口が区画される車両の前記ドアパネルの所定の取付位置に取り付けられて、前記開口を前記車室側から塞ぐカバー部材であって、
前記カバー部材を前記ドアパネルの前記取付位置に取り付けたカバー取付状態で、前記ドアインナパネルと前記ドアアウタパネルとの間のドア内空間側へ前記開口から突出する突出部を備え、
前記突出部の前記一側の端部は、前記ドアインナパネルの前記切欠部の縁部に対して前記所定方向の前記他側から近接する
ことを特徴とするカバー部材。 - 前記ガラスランチャンネルが上下方向に延びる前記ドアパネルに対して取り付けられる請求項1または請求項2に記載のカバー部材であって、
前記所定方向は、前後方向または車幅方向であり、
前記突出部の上面又は下面の少なくとも一方は、前記一側から前記他側の下方へ、または前記他側から前記一側の下方へ向かって傾斜する
ことを特徴とするカバー部材。 - 請求項1〜請求項3のいずれかに記載のカバー部材を前記ドアパネルに対して取り付けるためのカバー部材取付構造であって、
前記ガラスランは、前記ガラスランチャンネルの前記車室側の面に対して前記車室側から被さる車室側リップ部を有し、
前記カバー部材の前記突出部よりも前記他側の端部は、前記ガラスランチャンネルの前記車室側の面と前記ガラスランの前記車室側リップ部のとの間に挟持される
ことを特徴とするカバー部材取付構造。
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