以下、成形装置等の実施形態について図面を参照して説明する。なお、実施の形態において同じ符号を付した構成要素は同一または相当する構成を示しており、再度の説明を省略する場合がある。
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態における成形装置1000の構成を示す図(図1(a))および成形装置1000の第二の金型部材12の第一の金型部材11に対向する面を、第一の金型部材11側から見た平面図(図1(b))である。図1(a)においては、金型部分を断面で表している。
成形装置1000は、金型10と、2本の可変伝送手段としての同軸ケーブル20と、マイクロ波照射手段30と、冷却装置60と、冷却媒体の供給用チューブ61と、同じく冷却媒体の排出用チューブ62と、成形用樹脂材料の射出装置70とを備えている。本実施の形態においては成形装置1000が、射出成形を行う横型の成形装置である場合について説明する。なお、本実施の形態の成形装置1000は、射出装置70を含むと考えてもよく、含まないと考えてもよい。かかることは、他の実施の形態の成形装置についても同様である。
金型10は、射出成形に用いられる金型である。金型10は、成形用のキャビティ100を形成する複数の金型部材である第一の金型部材11と第二の金型部材12とを備えている。金型10内には、この金型10を閉じた状態において第一の金型部材11と第二の金型部材12との間に、成形用のキャビティ100が形成される。成形用のキャビティ100は、例えば、成形に用いられるキャビティである。金型10を閉じた状態とは、例えば、金型10を型締めした状態や、金型10を構成する第一の金型部材11と第二の金型部材12とを、最終的な成形を行う位置関係となるよう配置した状態、第一の金型部材11および第二の金型部材12を組み合わせた状態等と考えてもよい。キャビティ100とは、例えば、金型10内に形成される成形のための空間や空洞である。第一の金型部材11および第二の金型部材12により形成されるキャビティ100は、例えば、金型10が有するキャビティ100や、金型10のキャビティ100と考えてもよい。金型10内のキャビティ100は、例えば、成形材料等が移動可能となるよう連通している。キャビティ100の形状や大きさ等は問わない。また、金型10の形状や大きさ等も問わない。
キャビティ100は、金型10で成形される成形品のうちの、製品となる部分が成形される空間や空洞である。ここでの成形品とは、金型10を用いて成形されたもの全体を意味する。一方、製品は、成形材料を加工して得られる完成品である。より具体的には、成形品は、例えば、後述する流路110内において成形材料から流路110の形状に成形されたもの(例えば、ランナー等)と、キャビティ100内において、成形材料からキャビティ100の形状に成形された製品とが接続されたものである。製品は、金型10で成形された成形品から、ランナーやバリ等の後述する流路110等で成形される不要な部分を取り除くこと等により最終的に得られるものである。ここでの製品は、任意の最終製品の一部として用いられる部品等であってもよい。
キャビティ100は、通常、第一の金型部材11と第二の金型部材12とが対向する部分に形成される。第一の金型部材11および第二の金型部材12のキャビティ100側の面を、ここでは、キャビティ100の内面100aと呼ぶ。キャビティ100の内面100aには、例えば、成形時に成形材料が接触する。ただし、キャビティ100が金型10のどの位置にどのように設けられているかは問わない。キャビティ100の内面100aの形状は、例えば、製品の外形形状に対応した形状を有している。
金型10には、1または2以上の流路110がキャビティ100とともに形成される。流路110は、射出装置70の射出口71とキャビティ100とを連結して射出装置70から供給される成形材料をキャビティ100内に導くためのものである。ここでの連結は、射出口71とキャビティ100とが連通するよう接続することと考えてもよい。流路110は、例えば、金型10に設けられた通路や孔である。流路110は、金型10内の管形状を有する部分と考えてもよい。例えば、射出装置70から供給される溶融した成形材料が流路110内を流れる。ここでは、流路110は、金型10の外側に開口している部分を有しており、この開口している部分において射出口71と接続されている。流路110の、金型10の外側に開口している部分を、ここでは、注入口113と呼ぶ。流路110は、分岐していてもよく、分岐してなくてもよい。また、流路110は、多段階に分岐していてもよく、多段階に分岐していなくてもよい。流路110が分岐している場合、流路110は、射出装置70の射出口71とキャビティ100の複数の位置とを連結していてもよい。流路110は、キャビティ100の内面100aに設けられた1または2以上の開口部130を介して、キャビティ100と接続されている。ここでは、流路110が、注入口110からキャビティ100に向かう途中で2方向に分岐しており、2方向に分岐された流路110が、キャビティ100の内面100aの2箇所に設けられた開口部130aおよび130bをそれぞれ介して、キャビティ100と接続されている場合を例に挙げて説明する。なお、開口部130aおよび開口部130bを区別しない場合は単に開口部130と呼ぶ。
流路110は、注入口113により射出口71と接続され、射出装置70の射出口71から射出される成形材料が、この射出口71と接続された注入口113から流路110内に注入される。流路110内に成形材料が供給されることとなる。注入される成形材料は、溶融状態の成形材料である。例えば、溶融状態の成形材料は、加熱により軟化および溶融した流動性を有する成形材料である。成形材料は、金型10を用いた成形に用いられる材料である。
金型10には、例えば、金型10を閉じた状態において流路110が形成される。例えば、金型10を構成する複数の金型部材を組み合わせて金型10を閉じた状態において流路110が形成される。なお、流路110は、金型10を閉じた状態において結果的に金型10内に形成されていればよく、金型10を閉じる前に、流路110が形成されていてもよく、金型10を閉じた状態で初めて流路110が形成されてもよい。
なお、金型10は、流路110の内部で固化した成形材料を、金型10を開いた時に金型10から外せるような形状を有する複数の金型部材の組み合わせで構成することが好ましい。例えば、金型10は、通常の金型と同様に、成形後に、流路110内で成形された部分(例えば、ランナー部分等)を成形品の一部として金型部材から取り外せるように、複数の金型部材の組み合わせにより構成されていることが好ましい。例えば、金型10を構成する2つの金型部材の金型を閉じた時に接触する面に、金型を閉じた状態で流路110となる溝をそれぞれ設けることで、金型10を閉じた状態において流路110が2つの金型部材の間に沿って形成されるとともに、金型10を開いた場合に、この2つの金型部材が離れることで、流路110内で固化した成形材料が金型から取り外せるようにしてもよい。
本実施の形態においては、第二の金型部材12が2つの金型部材により構成され、流路110がこの2つの金型部材を組み合わせることにより構成されるものであり、金型10を閉じた場合に、この2つの金型部材の組み合わせにより、第二の金型部材12に流路110が形成される場合について説明する。この第二の金型部材12を構成する2つの金型部材については後述する。
流路110は、第一流路111と第二流路112とを有している。第一流路111および第二流路112は、いずれも流路110の一部と考えてもよい。第一流路111は、射出口71から射出される成形材料の射出方向に直線的に延在する流路である。第一流路111は、例えば、注入口113において射出装置70の射出口71と接続される流路である。射出方向は、例えば、成形材料が射出口71から射出される方向である。射出方向は、例えば、射出口71内に設けられた成形材料が通過する経路(図示せず)の軸心方向と考えてもよい。第一流路111の太さは一定であってもよく、第一流路111が延びる方向において異なっていてもよい。例えば、第一流路111は、太さが、開口部130に向かうにつれて増加する流路であってもよい。第一流路111の、この第一流路111の軸心方向に垂直な断面形状は、円形形状であることが好ましいが、円形形状以外であってもよい。第一流路111は、例えば、いわゆるスプルーである。第一流路111としては、例えば、スプルーと同様の構造の流路が適宜利用可能である。
第二流路112は、第一流路111と開口部130を接続する流路である。第二流路112は、例えば、第一流路111の、注入口113とは反対側となる端部において、第一流路111と連通するよう接続される流路である。ここでは、第一流路111と開口部130との間に接続された各流路をいずれも第二流路112と呼ぶ。第一流路111と接続される第二流路112の数は1つであっても、複数であってもよい。第二流路112は、流路の途中で分岐していてもよい。第二流路112の分岐数は問わない。また、第二経路112は多段階で分岐していても良い。第二流路112が、第一流路111と接続される位置は、通常、第一流路111の射出口71と接続される端部(すなわち、注入口113側の端部)とは反対側となる端部であるが、接続される位置は、これに限定されるものではない。また、第二流路112の経路は、直線状であってもよく、曲線状であってもよく、1回以上曲がっていてもよい。また、第二流路112が第一流路111と接続されている位置から延びる方向や、流路長、第二流路112の各部分の径等は問わない。通常、射出口71から第一流路111に注入された成形材料が、第一流路111を経て、第二流路112に流れ込むため、第一流路111の太さは、第二流路112よりも細くなっている。第二流路112は、いわゆるランナーである。第二流路112としては、例えば、ランナーと同様の構造の流路が利用可能である。
ここでは、流路110が、第一流路111と、二つの開口部130のそれぞれとを接続する二つの第二流路112を有している例について説明する。この二つの第二流路112は、第一流路111の射出口71と接続される側の端部とは反対側の端部において第一流路111と接続され、この端部から、第一流路111の軸心方向に対して垂直に、かつ互いに正反対の方向に延びたあと、開口部130の方向に曲がることによって、それぞれ開口部130と接続されている。また、ここでは、第二流路112の軸心が、第一流路111の軸心と、同一平面上に位置するようになっている
流路110は、キャビティ100の内面100aに設けられた1または2以上の開口部130を介して、キャビティ100と接続されている。例えば、射出口71から流路110に注入された成形材料は、開口部130を介して流路110からキャビティ100内に射出される。例えば、第二流路112が、開口部130を介してキャビティ100と接続されている。開口部130は、金型10の、流路110と、キャビティ100とが接続される位置にそれぞれ設けられる。流路110とキャビティ100とは、開口部130を介して連通するよう接続される。開口部130は、例えば、流路110がキャビティ100に対して開口している部分と考えてもよい。例えば、開口部130は、第二流路112が、キャビティ100と接続されている部分と考えてもよい。ここでは、上述したように2つの第二流路112が、それぞれ開口部130を介してキャビティ100と接続されている。
開口部130の形状は、通常は円形であるが、矩形形状等の円形以外の形状であってもよい。開口部130の形状およびサイズは、この開口部130を介してキャビティ100と接続される第二流路112の長手方向に垂直な断面形状と同じ形状およびサイズであってもよく、少なくとも一方が異なっていてもよい。
なお、ここでは、開口部130が、流路110が形成される第二の金型部材12に設けられている場合について説明するが、開口部130は、流路110とキャビティ100とが接続される位置に設けられていれば、どの金型部材12に設けられているかは問わない。また、開口部130のサイズおよび形状は、例えば、キャビティ100内に照射されるマイクロ波が、開口部130を通過しないようなサイズおよび形状であってもよく、マイクロ波が通過するようなサイズおよび形状であってもよい。開口部130は、例えば、いわゆるゲートである。開口部130としては、例えば、ゲートと同様の構造のものが利用可能である。
流路110がキャビティ100と接続される位置は問わない。流路110がキャビティ100と接続される位置は、開口部130の位置と考えてもよい。ここでは、2つの開口部130aおよび130bの平面方向の配置が、図1(b)に示すように、第二の金型部材12が有するキャビティ100の内面100aの中心に対して点対称となる位置である場合を例に挙げて説明する。金型10が有する開口部130が複数である場合、これらの平面方向の配置は、上記と同様に、第二の金型部材12が有するキャビティ100の内面100aの中心に対して点対称となる位置としてもよい。あるいは、内面100aの中心を通る線に対して線対称となる位置としてもよい。ただし、開口部130の配置はこれに限定されるものではない。開口部130の数や位置等は、例えば、通常の金型設計と同様の技術を利用して、キャビティ100の形状やサイズ等に応じて適宜設計すればよい。
図9は、本実施の形態の金型10の第二の金型部材12の斜視図(図9(a))、および分解斜視図(図9(b))である。いずれの図も、第二の金型部材12の射出口71と接続される側(すなわち、注入口113側)からみた斜視図を示している。
図9に示すように、第二の金型部材12は、2つの金型部材12αおよび12βにより構成されている。金型部材12αおよび12βは、具体的には、第二の金型部材12bを流路110の軸心を通る平面で2つに分割した形状をそれぞれ有している。2つの金型部材12αおよび12βの、金型10を閉じた状態で接触する面の対向する位置には、流路110を、その軸心を通る平面で分割した溝が形成されている。流路11の軸心を通る平面は、例えば、第一流路111の軸心と、第二流路112の軸心とをともに含む平面である。金型10を閉じた場合(あるいは、金型部材12αおよび12βを組み合わせて第二の金型部材12bを形成した場合)、2つの金型部材12αおよび12βの、この溝が形成された面の溝以外の部分が接触することによって、溝が設けられていた部分に流路110が形成される。例えば、図9(a)のように、金型部材12αおよび12βを組み合わせて第二の金型部材12bを形成して金型10を閉じ、流路110からキャビティ100に成形材料を注入して成形を行ったあと、金型10を開き、第二の金型部材12を、図9(b)に示すように金型部材12αおよび12βに分解することで、流路110が、軸心に沿って2つの溝に分割され、成形品のキャビティ100内で成形された部分と、流路110内で成形された部分とを、開いた金型10から取り外すことができる。
なお、成形品の流路110内で成形された部分を取り外すことが可能であれば、流路110を形成する金型部材の数や、各金型部材の形状等は上記に限定されるものではない。また、流路110が分岐していない場合においても、成形品のうちの流路110内で成形された部分を取り外せる、あるいは取り外しやすくなるように、流路110を複数の金型部材で形成するようにしてもよい。例えば、流路110が曲がっている場合においても、流路110を複数の金型部材で形成するようにして、曲がった流路110内で成形された部分を上記のように取り外せるようにしてもよい。なお、流路110内で成形された部分を取り出せるよう、流路110を複数の金型部材で形成する技術は、スプルーやランナーで固化した樹脂等を金型から取り外せるように、スプルーやランナーを複数の金型部材の組み合わせで形成する技術と同様であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
なお、流路110の形状等は、射出口71と、キャビティ100の1または2以上の異なる位置とを連結するものであれば、上記のような形状等に限定されるものでない。また、本実施の形態の流路110は、上述したような第一流路111と第二流路112とで構成されたものでなくてもよい。流路110の形状等は、例えば、成形品の形状やサイズ等に応じて設計される。流路110の形状とは、例えば、流路110の経路や、流路の各部における太さ、分岐点の位置、分岐数、流路長、分岐方向、開口部数、開口部の位置(すなわち、流路110がキャビティ100と接続される位置)等である。流路110の形状等については、スプルーやランナー等の形状等として公知技術であるため、説明を省略する。
なお、流路110およびキャビティ100は、金型10を閉じた状態で、所望の形状や構造となるものであれば、金型10を構成する複数の金型部材に対してどのように設けられているかは問わない。所望の流路110やキャビティ100等を得るための金型部材の設計手法等は、公知技術であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
ここで、第一の金型部材11はいわゆる可動型と呼ばれる移動可能な金型部材であり、第二の金型部材12はいわゆる固定型と呼ばれる固定された金型部材である。可動型は、金型10を構成する金型部材のうちの可動側と考えてもよい。同様に、固定型は、金型10を構成する金型部材のうちの固定側と考えてよい。金型10の第一の金型部材11および第二の金型部材12が対向する部分に、キャビティ100が形成される。ただし、キャビティ100が形成される位置等は問わない。第一の金型部材11は、第二の金型部材12に対向するよう、油圧駆動手段等のいわゆる型締め装置(図示せず)に、直接、または着脱可能な可動板や固定板等を介して間接的に取付けられており、この型締め装置を動作させることで、第一の金型部材11を左右方向、すなわち第二の金型部材12に近づける方向および離れる方向に移動可能となっている。ただし、第一の金型部材11を移動させる手段は型締め装置に限定されるものではない。また、第一の金型部材11には、移動方向を制限するためのガイド用のロッド(図示せず)やタイバー(図示せず)等が、直接または間接的に取付けられていてもよい。以下、第一の金型部材11の、第二の金型部材12に近づける方向の移動を、金型を閉じる方向の移動と呼び、第一の金型部材11の、第二の金型部材12から離す方向の移動を、金型を開く方向の移動と呼ぶ。
なお、第一の金型部材11および第二の金型部材12は、例えば、互いに近づけたり離したりすることが可能となるように、少なくとも一方が移動可能となっていれば、第一の金型部材11および第二の金型部材12のいずれが移動可能であるかは問わず、例えば、両方が移動可能であってもよい。また、第一の金型部材11と第二の金型部材12の移動方向、第一の金型部材11と第二の金型部材12とが配置される位置は金型を開閉できればよく、上記に限られない。
通常、金型を構成する金型部材のうちの固定型に、流路110および注入口113を設けることが、流路110と射出装置70の射出口71とを、注入口113を介して接続するうえでは好ましい。ただし、これに限定されるものではない。
なお、第二の金型部材12を構成する2つの金型部材12αおよび12βについても、上記と同様に、これらを用いて成形や成形品の取り外しが行えるよう、これらを移動させるための型締め装置等や、移動方向を制限するための構成等が取付けられていてもよい。また、これらの移動方向等もどのような移動方向としてもよい。
第一の金型部材11および第二の金型部材12の材質としては、金属やセラミック等の通常の金型に利用可能な材質が用いられる。なお、第一の金型部材11および第二の金型部材12の材質としては、金属等のマイクロ波の反射性が高い材質を用いることが好ましく、このような材質を用いることで、キャビティ100内に照射されるマイクロ波を、キャビティ100内で反射させて、キャビティ100内に閉じ込めることで、マイクロ波を効率良く利用することができるとともに、キャビティ100外へのマイクロ波の漏洩を低減させることができる。なお、第一の金型部材11および第二の金型部材12の少なくとも一方を、キャビティ100内に照射するマイクロ波で加熱したい場合、第一の金型部材11および第二の金型部材12の少なくとも一方の、キャビティ100側の材質を、比誘電損失の高い耐熱性を有する誘電体としても良い。かかることは、金型部材12αおよび12βについても同様である。
なお、第一の金型部材11と第二の金型部材12とは、マイクロ波照射時に、キャビティ100内に照射されたマイクロ波が、キャビティ100から金型10の外部に漏洩しないような形状であることが好ましい。例えば、金型10を閉じた状態おいてに、キャビティ100を除く第一の金型部材11と第二の金型部材12との間の間隙が、マイクロ波が漏洩しない大きさであることが好ましい。
第二の金型部材12は凹部122を有し、第一の金型部材11はこの凹部122に挿入される凸部121を有しており、第一の金型部材11の凸部121を凹部122に挿入して金型を閉じた状態で、凹部122の底面側において、凸部121と凹部122との間に、キャビティ100が形成される。その際、キャビティ100以外の第一の金型部材11の凸部121と第二の金型部材12の凹部122との間の間隙が、マイクロ波を漏洩しない大きさとなるようになっている。ただし、第一の金型部材11と第二の金型部材12の形状等は、上記に限定されるものではない。
本実施の形態において成形に用いられる成形材料は、例えば、成形品を製造するための材料と考えてもよい。成形材料は、例えば、射出成形に利用可能な材料である。成形材料は、例えば、樹脂や、樹脂の原料等である。ここでの樹脂は、熱可塑性樹脂である。ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、もしくはポリブチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂である。また、成形材料は、これらの樹脂の2以上の組み合わせであっても良い。また、成形材料は、これら樹脂と、ガラス繊維、カーボン繊維、もしくは植物性繊維等の繊維類、炭酸カルシウム粉末、黒鉛粉末、もしくは金属粉末等のフィラー、または、シリカゲル等の増粘剤と、を有する樹脂組成物であってもよい。なお、成形材料は、成形時に発泡する樹脂組成物であってもよく、発泡剤を添加することにより発泡する樹脂と発泡剤とを有する樹脂組成物であっても良い。なお、ここでは、熱可塑性樹脂のみで構成されるものも、熱可塑性樹脂とそれ例外のものとを含むものも、いずれも熱可塑性樹脂と考えてもよい。また、熱可塑性樹脂の原料等も熱可塑性樹脂と考えてもよい。成形材料は、例えば、液状、ペースト状、流体状(例えば、高粘度の流体状)等の流動性を有する状態で射出装置70からキャビティ100内に供給される。
金型10は、金型10の外部とキャビティ100とを連通する2つの連通孔140を有している。金型10の外部は、金型10の外部や、連通孔140が設けられている金型部材(ここでは、第一の金型部材11)の外部等と考えてもよい。各連通孔140は、軸心が直線状に伸びる形状を有する孔であることが好ましいが、軸心が曲がっていても良い。連通孔140の軸心に垂直な断面は、円形であることが好ましいが、円形以外の形状(例えば、多角形等)であっても良い。連通孔140の太さは、連通孔140が延びる方向の異なる位置において一定であっても良く、一定でなくても良い。例えば、連通孔140の太さは、金型10の外部側からキャビティ100の内面に向かって、連続的または段階的に変化していてもよく、例えば、キャビティ100の内面に向かって、太さが連続的または段階的に広がっていてもよい。ここでは、2つの連通孔140の、平面方向の配置が、第一の金型部材11のキャビティ100の内面100aの中心に対して点対称となる位置である場合を例に挙げて説明する。金型10が複数の連通孔140を有する場合、これらの平面方向の配置を、キャビティ100の内面100aの中心に対して点対称となる位置としてもよい。あるいは、内面100aの中心を通る線に対して線対称となる位置としてもよい。ただし、連通孔140の配置はこれに限定されるものではない。
以下、2つの連通孔140のそれぞれを、連通孔140aおよび連通孔140bと呼ぶ。ただし、これらを区別しない場合は単に連通孔140と呼ぶ。
図1(b)において、一点鎖線で示した領域141aは、第一の金型部材11の連通孔140aの第二の金型部材12側の開口部分の平面方向の位置を、また、一点鎖線で示した領域141bは、第一の金型部材11の連通孔140bの第二の金型部材12側の開口部分の平面方向の位置を、それぞれ、第二の金型部材12の第一の金型部材11に対向する面上に示すための領域である。なお、ここで平面方向は、第一の金型部材11と第二の金型部材12との配列方向に対して垂直な方向と考えてもよく、射出装置70の射出方向に対して垂直な方向と考えてもよく、第一流路111の軸心方向に対して垂直な方向と考えてもよい。かかることは、以下の平面方向についても同様である。なお、ここでの領域141aおよび領域141bのサイズと、開口部130aおよび130bのサイズ等は、説明のためのものであり、両者のサイズや両者間の比率等は、必ずしも実際のサイズや比率を表すものではない。
本実施の形態においては、連通孔140aは、金型10を閉じた状態で開口部130aに対向する位置に設けられ、連通孔140bは、金型10を閉じた状態で開口部130bに対向する位置に設けられている。このため、図1(b)に示すように、連通孔140aの位置を示す領域141aおよび連通孔140bの位置を示す領域141bは、それぞれ開口部130aと開口部130bと重なっている。ここでの対向する位置とは、例えば、キャビティ100を介して対向する位置と考えてもよい。なお、連通孔140が、開口部130に対向する位置に設けられているということは、例えば、開口部130の平面方向の位置と、連通孔140の平面方向の位置とが同じとなるように連通孔140が設けられていることや、平面方向において、開口部130が設けられている領域と、連通孔140が設けられている領域との少なくとも一部が重なること、好ましくは、一方が他方に完全に含まれるよう重なることと考えてもよい。連通孔140が、開口部130に対向する位置に設けられているということは、例えば、連通孔140の軸心の延長上に開口部130の開口している部分の中心が位置するよう、連通孔140が設けられていることであることが好ましい。この場合の軸心上は、軸心の近傍も含むと考えてもよい。なお、連通孔140の位置や領域は、例えば、キャビティ100の内面100aにおける連通孔140の開口部分の位置や領域である。
金型10が有する連通孔140に対して、それぞれの、同軸ケーブル20の第一の端部20a(一端)が取付けられている。ここでは、同軸ケーブル20の第一の端部20a側の部分が、連通孔140内に金型10の外側から挿入されている。これにより、同軸ケーブル20の第一の端部20aは、第一の端部20aがキャビティ100の内面側(例えば、キャビティ100の内面100a側)に達しないように連通孔140内に配置されている。連通孔140は、例えば、キャビティ100内にマイクロ波を照射するための同軸ケーブル20が取付けられる孔である。
連通孔140のキャビティ100の内面100a側には、マイクロ波透過性を有する石英などの栓状部材50がはめ込まれている。栓状部材50のキャビティ100側の表面形状は、その周辺のキャビティ100の内面と、同一面を形成するような形状であることが好ましい。栓状部材50は、キャビティ100内の成形材料が成形時に連通孔140内に侵入することを防いでいる。栓状部材50は、石英に限られずマイクロ波透過性が高い材料であればよく、その厚さは問わない。
連通孔140内に配置された同軸ケーブル20の第一の端部20aと、栓状部材50との間には、同軸ケーブル20の中心導体(図示せず)と接続されたマイクロ波アンテナ40が配置されている。同軸ケーブル20を伝送されたマイクロ波は、マイクロ波アンテナ40から出射される。栓状部材50がマイクロ波透過性を有しているため、出射されたマイクロ波は、栓状部材50を透過して、キャビティ100内に照射される。これにより、同軸ケーブル20を伝送されたマイクロ波が、連通孔140を経てキャビティ100内に照射される。キャビティ100内にマイクロ波が照射できれば、マイクロ波アンテナ40の形状や構造、長さ等は問わない。マイクロ波アンテナ40は、指向性を有していてもよく、無指向性であってもよい。ここでは、マイクロ波アンテナ40として、マイクロ波アンテナ40に対向する位置に設けられた開口部130に向けてマイクロ波を照射可能なマイクロ波アンテナ40を用いる場合について説明する。例えば、マイクロ波アンテナ40として、少なくともこのマイクロ波アンテナ40が取付けられる連通孔140の軸心方向に向けてマイクロ波を照射可能なマイクロ波アンテナを用いる。マイクロ波アンテナ40は、栓状部材50と接していても良く、接していなくても良い。また、マイクロ波アンテナ40のキャビティ100側の部分が、栓状部材50に埋め込まれていても良い。マイクロ波アンテナ40の先端は、キャビティ100の内面側に露出していても良く、露出していなくても良い。同軸ケーブル20の中心導体と、マイクロ波アンテナ40とは、どのように接続されていても良く、例えば、図示しないコネクタ等により接続されていても良い。なお、同軸ケーブル20の第一の端部20aにおいて中心導体を露出するようにし、この露出した部分をマイクロ波アンテナ40として用いるようにしてもよい。
なお、マイクロ波アンテナ40のキャビティ100側の形状が、面形状等である場合においては、栓状部材50を省略して、このマイクロ波アンテナ40のキャビティ100側の面形状の部分で、連通孔140のキャビティ100側の開口部を塞ぐようにしても良い。
連通孔140のサイズは問わない。ここでは、連通孔140をマイクロ波の導波管として用いていないため、連通孔140のサイズ等は、同軸ケーブル20を伝送されるマイクロ波の周波数等に直接依存したサイズ等でなくても良い。連通孔140のサイズは、例えば、連通孔140内に同軸ケーブル20が挿入される場合、同軸ケーブル20が挿入可能なサイズであることが好ましい。例えば、同軸ケーブル20よりも大きいサイズであることが好ましい。ただし、連通孔140を導波管の一部等として用いる場合、連通孔140のサイズや形状等はマイクロ波照射手段30が出力するマイクロ波を伝送可能な形状やサイズにすることが好ましい。
なお、連通孔140に対する同軸ケーブル20の第一の端部20aの取付け方法は、上記に限定されるものではない。例えば、同軸ケーブル20は、同軸ケーブル20を伝送されたマイクロ波が、連通孔140を経てキャビティ100内に照射されるよう取付けられていれば、連通孔140に対してどのように取付けられていてもよい。例えば、図1(a)に示すように、同軸ケーブル20の第一の端部20aが連通孔140内に位置するように取付けられていてもよく、第一の端部20aが連通孔140内に位置しないように取付けられていてもよい。例えば、第一の端部20aが、連通孔140内に挿入されていても良く、挿入されていなくても良い。例えば、連通孔140内に配置されるマイクロ波アンテナ40の長さが、金型10の外部に突き出る長さである場合、同軸ケーブル20は、第一の端部20aが連通孔140に位置しないように取付けられ、同軸ケーブル20の中心導体が、金型10の外部で、連通孔140内のマイクロ波アンテナ40と接続されても良い。ただし、連通孔140の軸心方向と、同軸ケーブル20の軸心方向とが同じ方向となるように取付けられていることが好ましく、連通孔140の軸心と、同軸ケーブル20の軸心とが同軸となるよう取付けられていることが好ましい。
また、同軸ケーブル20の第一の端部20aは、連通孔140に対して直接取付けられていてもよく、間接的に取付けられていてもよい。例えば、第一の端部20aは連通孔140内にはめ込まれて取付けられていてもよく、第一の端部20aと連通孔140とにそれぞれ設けられた継手等により取付けられていてもよい。このような継手としては、例えば、同軸ケーブルを、他の部材や機器等とに取付ける公知の継手等が利用可能である。
また、同軸ケーブル20は、連通孔140に対して、着脱可能に継手等を介して取付けられていることが好ましい。
また、同軸ケーブル20は、第一の端部20aを連通孔140に取付けた状態で、連通孔140と、同軸ケーブル20との間の隙間等からマイクロ波が漏洩しないように取付けられていることが好ましい。例えば、同軸ケーブル20の第一の端部20aが連通孔140内に挿入される場合であって、同軸ケーブル20の連通孔140内に挿入されている部分の側面と、連通孔140の内面との間に隙間等がある場合、この部分に、金属メッシュ等のシールド材が配置されていることが好ましい。また、同軸ケーブル20の第一の端部20aとマイクロ波アンテナ40とが連通孔140の外側で接続される場合、マイクロ波反射性材料等のカバーを、この接続部分および連通孔140を覆うように配置することが好ましい。例えば、継手がこれらを覆うように配置されていることが好ましい。なお、同軸ケーブル20の第一の端部20a近傍は昇温することから、その金型から露出する部分に例えば円盤状の放熱フィンなどの冷却機構を設けると良い。
また、同軸ケーブル20とマイクロ波アンテナ40との接続は、上記のような接続に限定されるものではない。例えば、同軸ケーブル20と、マイクロ波アンテナ40とは、同軸管(図示せず)等を介して接続されていても良い。例えば、マイクロ波アンテナ40を、同軸管の中心導体(図示せず)の第一の端部(図示せず)と接続し、この同軸管の中心導体の第二の端部(図示せず)を、同軸ケーブル20の中心導体(図示せず)の第一の端部20a側の部分と接続しても良い。この同軸管は、全体が連通孔140内に配置されていても良く、その一部が連通孔140内に配置されていても良く、全体が連通孔140の外側に取付けられていてもよい。この同軸管は、連通孔140内にはめ込むこと等によって連通孔140に固定されていても良い。この同軸管と同軸ケーブル20とは、例えば、図示しない継手等を介して接続されていても良い。また、同軸管と同軸ケーブル20とは、着脱可能な継手等により、着脱可能となるよう接続されていることが好ましい。かかることは同軸管とマイクロ波アンテナ40との接続についても同様である。
上述したように、連通孔140aが、金型10を閉じた状態で開口部130aに対向する位置に設けられ、連通孔140bが、金型10を閉じた状態で開口部130bに対向する位置に設けられているため、連通孔140a内に配置されるマイクロ波アンテナ40が開口部130aに対向する位置に配置され、連通孔140b内に配置されるマイクロ波アンテナ40が開口部130bに対向する位置に配置されている。また、マイクロ波アンテナ40は、上述したように、マイクロ波アンテナ40に対向する位置に設けられた開口部130に向けてマイクロ波を照射可能なマイクロ波アンテナである。このため、マイクロ波照射手段30から、同軸ケーブル20を経て、それぞれのマイクロ波アンテナ40からキャビティ100内に照射されるマイクロ波が、それぞれのマイクロ波アンテナ40に対向する位置に設けられた開口部130に向けて照射される。これにより、マイクロ波照射手段30が照射するマイクロ波を、各開口部130に向けて、連通孔140を介してその対向する位置から照射することとなる。この結果、本実施の形態においては、流路110からキャビティ100内に成形材料が射出される各開口部130およびその近傍において、マイクロ波の強度が強くなるよう、キャビティ100内にマイクロ波が照射されるようになっている。具体的には、連通孔140a内に配置されるマイクロ波アンテナ40から開口部130aに対してマイクロ波が照射されることにより、開口部130aおよびその近傍のマイクロ波の強度が強くなり、連通孔140b内に配置されるマイクロ波アンテナ40から開口部130bに対してマイクロ波が照射されることにより、開口部130bおよびその近傍のマイクロ波の強度が強くなる。開口部130およびその近傍においてマイクロ波が強くなるようにマイクロ波を照射するということは、例えば、開口部130およびその近傍において、成形材料が強く加熱されるようマイクロ波を照射することと考えてもよい。
開口部130の近傍は、例えば、開口部130の周囲や、開口部130と接続された流路110内、具体的には、開口部130と接続された第二流路112内の開口部130近傍であってもよく、流路110内の開口部130と接続されている部分やその近傍であってもよい。また、開口部130の近傍は、開口部130からキャビティ100内に射出される成形材料が射出直後に位置する空間等であってもよく、キャビティ100内の開口部130に対向する空間であってもよい。また、開口部130の近傍は、これらの2以上の組合せであってもよい。開口部130およびその近傍のマイクロ波の強度が強くなる、ということは、例えば、開口部130およびその近傍に局所的にマイクロ波が照射されることであってもよく、開口部130およびその近傍のマイクロ波強度が局所的に強くなることと考えてもよく、開口部130およびその近傍のマイクロ波強度が、キャビティ100内の開口部130およびその近傍を除いた他の1以上の部分よりも強くなることであってもよい。開口部130およびその近傍のマイクロ波強度が局所的に強くなるということは、例えば、開口部130およびその近傍が、その周囲の1以上の部分よりも、マイクロ波強度が強くなることである。なお、ここでのマイクロ波の強度は、マイクロ波の電界強度であっても良く、磁界強度であっても良い。かかることは、以下のマイクロ波の強度についても同様である。
第一の金型部材11および第二の金型部材12のそれぞれの内部には、冷却媒体の流路(図示せず)が設けられている。冷却媒体は、例えば、水等の、通常の金型の冷却に利用可能な冷媒を利用することができる。第一の金型部材11および第二の金型部材12にそれぞれ設けられている冷却媒体の流路は、それぞれ、供給用チューブ61および排出用チューブ62を介して冷却装置60と接続され、冷却装置60から供給される冷却媒体が、供給用チューブ61を介して冷却媒体の流路に供給されて流路内を循環し、排出用チューブ62を介して冷却装置60に対して排出される。冷却装置60は、例えば、排出用チューブ62を介して排出された媒体を、再度冷却して、供給用チューブ61を介して金型10に供給する。本発明によればそもそも金型は昇温しないが、成形を繰り返すことにより、金型温度が経時的に徐々に昇温することを適宜な冷却によって防止でき、金型全体をヒートシンクとして作用して硬化した成形品を速やかに取り出す温度まで冷却することができる。金型を冷却するための構成については、公知であるため、ここでは詳細な説明は省略する。なお、金型10の冷却はあくまでオプションであり、金型の熱容量や成形速度などを考慮して、不要であれば、冷却媒体の流路や、供給用チューブ61、排出用チューブ62、および冷却装置60を設けないようにしても良い。また、成形装置1000が有する金型を冷却するための構成は、ここで説明したような構成に限定されるものではない。
同軸ケーブル20は、第一の端部20a(一端)と、第二の端部20b(他端)とを有している。同軸ケーブル20は、マイクロ波照射手段30に第一の端部20aが取付けられるとともに連通孔130を介してキャビティ100内にマイクロ波を照射すべく第二の端部20bが金型10に取付けられている。一つの同軸ケーブル20の第一の端部20aは、一つの連通孔140に対して取付けられている。例えば、同軸ケーブル20は、金型10に設けられた1または2以上の連通孔140に対してそれぞれ、一本ずつ取付けられている。ただし、金型10が有する全ての連通孔140に対して、同軸ケーブルが取付けられていなくてもよい。ここでは、2つの連通孔140のそれぞれに対して1つずつ2本の同軸ケーブルが取付けられている場合について説明する。各同軸ケーブル20は、第二の端部20bが、マイクロ波照射手段30と接続され、マイクロ波照射手段30が出力するマイクロ波をそれぞれ伝送する。
同軸ケーブル20の太さ等は問わない。同軸ケーブル20としては、例えば、マイクロ波照射手段30が出力するマイクロ波を伝送可能なものを用いる。同軸ケーブルは形状が固定された一般的な導波管と異なり、一種類のケーブルで複数種類の周波数のマイクロ波を選択的に伝送可能である。なお、後述するフレキシブル導波管を用いても所定の周波数範囲に対応できるが、同軸ケーブルの方がより広い範囲の周波数に対応可能である。例えば、ある周波数のマイクロ波を伝送可能な同軸ケーブルを変更することなく、更に高い周波数のマイクロ波をも伝送することが可能である。このため、同軸ケーブル20を用いることで、金型10に大きな変更を加えることなく、異なる周波数のマイクロ波を伝送して、キャビティ100内に照射することが可能となる。マイクロ波照射手段30が異なる周波数のマイクロ波を照射するものである場合、同軸ケーブル20としては、例えば、マイクロ波照射手段30が照射する異なる周波数のマイクロ波の全ての伝送可能な同軸ケーブルを用いるようにしてもよい。
マイクロ波照射手段30は、同軸ケーブル20の第二の端部20bと接続されており、同軸ケーブル20を介して、金型10のキャビティ100内にマイクロ波を照射する。具体的には、マイクロ波照射手段30が有する2つの異なるマイクロ波発振器300を有し、これらが、それぞれ、第一の端部20aが異なる連通孔140に対して取付けられた異なる2本の同軸ケーブル20の第二の端部20bとそれぞれ接続されており、各マイクロ波発振器300が出力するマイクロ波は、それぞれに接続された同軸ケーブル20を伝送される。各同軸ケーブル20を伝送されたマイクロ波は、各同軸ケーブル20の第一の端部20aに接続された異なる連通孔140内のマイクロ波アンテナ40から出射され、キャビティ100内に照射される。これにより、各マイクロ波発振器300が出力したマイクロ波が、それぞれ、異なる連通孔140に取り付けられた同軸ケーブル20を介して、キャビティ100内に照射される。
マイクロ波照射手段30は、例えば、マイクロ波をキャビティ100内に照射することで、キャビティ100内の成形材料を加熱する。なお、ここでの成形材料は、成形完了前の成形材料と考えてもよい。例えば、マイクロ波照射手段30は、マイクロ波をキャビティ100内に照射して、キャビティ100内の成形材料を加熱し、昇温させたり、保温したりする。例えば、マイクロ波照射手段30は、マイクロ波をキャビティ100内に照射して、キャビティ100内に流し込まれた流動状の成形材料を加熱し、さらに軟化させたり、固化したものや固化しかけたものを溶融させたり、軟化および溶融した状態で保持したりする。なお、マイクロ波を照射する際のキャビティ100内の成形材料の状態は、どのような状態であっても良い。
マイクロ波照射手段30が有する各マイクロ波発振器300は、マイクロ波を発生して出力可能なものであれば、どのような構造のものであるかは問わない。マイクロ波発振器300は、例えば、半導体型発振器または注入同期型発振器である。また、マイクロ波発振器300は、マグネトロンや、クライストロン、ジャイロトロン等のマイクロ波発振器であってもよい。また、各マイクロ波発振器300は、増幅器(図示せず)等を有していても良い。
マイクロ波発振器300が出射するマイクロ波の周波数や、出力等は問わない。各マイクロ波発振器300が出射するマイクロ波の周波数は、例えば、2.45GHzであってもよく、5.8GHzであってもよく、24GHzであってもよく、10GHzであってもよく、その他の300MHzから300GHzの範囲内の周波数であってもよい。
なお、マイクロ波照射手段30は、同軸ケーブル20の第二の端部20bと接続されており、同軸ケーブル20を介して、金型10のキャビティ100内にマイクロ波を照射するものであれば、上記のものに限定されるものではない。
また、マイクロ波照射手段30の一のマイクロ波発振器300が出力するマイクロ波を、分岐して、2本の同軸ケーブル20に伝送させ、各同軸ケーブル20が取付けられた2つの連通孔140からキャビティ100内にマイクロ波を照射するようにしても良い。例えば、一のマイクロ波発振器300を、分岐器(図示せず)や、分配器(図示せず)等の分岐手段等を介して、2つの連通孔140に第一の端部20aが取付けられた2本の同軸ケーブル20の第二の端部20bと接続し、一のマイクロ波発振器300が出力するマイクロ波を、2本の同軸ケーブル20を介して伝送させるようにしてもよい。この場合、各同軸ケーブル20の第二の端部20bは、同軸ケーブル20の分岐器等と接続されている部分等と考えても良く、分岐器等の分岐手段がマイクロ波発振器300と接続されている部分と考えてもよい。また、マイクロ波照射手段30が、一のマイクロ波発振器300が出力するマイクロ波を分岐する分岐手段(図示せず)を有するように、この分岐手段に、2本の同軸ケーブル20を接続するようにしてもよい。なお、例えば、マイクロ波発振器300として半導体型発振器または注入同期型発振器等を用いる場合であって、一のマイクロ波発振器300が出力するマイクロ波を分岐して、分岐した各マイクロ波をそれぞれ異なる増幅器で増幅して、同軸ケーブル20を介して伝送する場合、各増幅器をそれぞれ異なるマイクロ波発振器300と考えるようにしてもよい。
なお、後述する実施の形態2の場合等のように、マイクロ波照射手段30から、3本以上の同軸ケーブル20をそれぞれ介してキャビティ100内にマイクロ波を照射できるようにする場合、例えば、2本の同軸ケーブル20をそれぞれ介してマイクロ波を照射する場合と同様に、マイクロ波照射手段が各同軸ケーブル20に対して接続されたマイクロ波発振器300を有しているようにしてもよい。また、3以上の同軸ケーブル20のうちの少なくとも一部である2以上の同軸ケーブル20については、マイクロ波照射手段が、一のマイクロ波発振器300が出力するマイクロ波を、上記のように分岐してそれぞれ伝送させるようにして、この2以上の同軸ケーブル20がそれぞれ取付けられた2以上の連通孔140からキャビティ100内にマイクロ波を照射するようにしても良い。例えば、マイクロ波照射手段30が、一のマイクロ波発振器300が出力するマイクロ波を分岐する分岐手段(図示せず)を有するように、この分岐手段に、2以上の同軸ケーブル20を接続するようにしてもよい。
射出装置70は、成形材料を射出する装置であり、成形材料を射出する射出口71を有している。射出装置70の構造等は問わない。射出装置70については、公知技術であるため、説明を省略する。
図2は、成形装置1000を用いた成形品の製造方法を説明するための断面図(図2(a)〜図2(e))である。図2において、マイクロ波照射手段30、冷却装置60、供給用チューブ61、および排出用チューブ62等は図示を省略している。
以下、成形装置1000を用いた成形品の製造方法の具体例について、図2を用いて説明する。ここでは、熱可塑性樹脂80の成形を例に挙げて説明する。
(ステップS101)まず、図9(a)に示すように、2つの金型部材12αおよび12βを組み合わせて、この2つの金型部材12αおよび12βの間に流路110を形成するとともに第二の金型部材12を形成し、図2(a)に示すように、図示しない型締め装置等を動作させて、第一の金型部材11を成形時の位置まで、第二の金型部材12に近づける方向に移動させて、凸部121を凹部122に挿入して、金型10を閉じた状態とする。ここでは、例えば、第一の金型部材11と第二の金型部材12との間にキャビティ100が形成される。例えば、凹部122の底面側の、凸部121と凹部122とに挟まれた部分に成形用のキャビティ100が形成される。
(ステップS102)つぎに、図2(b)に示すように、射出装置70の射出口71から、成形材料として、加熱して軟化および溶融した熱可塑性樹脂80を射出して、第二の金型部材12の注入口113から、キャビティ100の流路110に、熱可塑性樹脂80を注入する。注入された熱可塑性樹脂80は、第一流路111を流れた後、第一流路111と2つの第二流路112との接続部において2方向にわかれて、2つの第二流路112をそれぞれキャビティ100に向かって流れる。
(ステップS103)図2(c)に示すように、2つの第二流路112をそれぞれ流れる熱可塑性樹脂80は、2つの第二流路112がそれぞれ接続された開口部130aおよび開口部130bからキャビティ100内へ射出されるが、このキャビティ100への射出が始まる際に、マイクロ波照射手段30の2つのマイクロ波発振器300がそれぞれマイクロ波を出力して、マイクロ波発振器300にそれぞれ接続された同軸ケーブル20とマイクロ波アンテナ40とを介して、各連通孔140からキャビティ100内にマイクロ波を照射する。連通孔140aが開口部130aに対向する位置に設けられ、連通孔140bが開口部130bに対向する位置に設けられていることにより、各同軸ケーブル20を介して各連通孔140からキャビティ100内に照射されるマイクロ波は、各連通孔140に対向する開口部130に対して照射される。これにより、各開口部130およびその近傍においてマイクロ波の強度が強くなり、各開口部130を経てキャビティ100に射出される熱可塑性樹脂80が、各開口部130を通過する際にマイクロ波によって加熱される。
通常、キャビティ100よりも狭い流路110を流れた熱可塑性樹脂80が、開口部130から流路110よりも広いキャビティ100内に流入すると、熱可塑性樹脂80にかかる圧力の低下や、流路110内の温度と、キャビティ100内の温度との温度差等により、成形材料である熱可塑性樹脂80が冷却されてしまい、安定した適正温度で成形材料をキャビティ100内に展開させることが困難となり、熱可塑性樹脂80が部分的に固化したり、流動性が低くなったりしてしまい、熱可塑性樹脂80がキャビティ100内に行き渡らなくなり、充填を阻害してしまうすること等が考えられるが、上記のように、開口部130に対してマイクロ波を照射することによって、上記のような熱可塑性樹脂80が開口部130からキャビティ100内に射出される際の温度低下分のエネルギーを即座に補填して温度低下を防止して、安定した適正温度で熱可塑性樹脂80をキャビティ100内に展開でき、キャビティ100内で熱可塑性樹脂80が固化したり、流動性が低下することを防ぐことができる。これにより、熱可塑性樹脂80の流動性が悪くなって、キャビティ100内を流れている途中で冷却されて、キャビティ100の末端まで熱可塑性樹脂80が行き渡らなくなる等の不良の発生を防ぐことができ、キャビティ100内への熱可塑性樹脂80の充填が適切に行われ、高品質な製品を成形することが可能となる。
また、ここでは、開口部130に向けて、連通孔140を介して、その対向する位置からマイクロ波照射手段30が照射するマイクロ波を照射することにより、開口部130(例えば、ゲート)に接続された第二流路112(例えばランナー)内にも、ある程度のエネルギー(例えば、照射されたマイクロ波が有するエネルギーのうちの一部のエネルギー)が供給されるため、開口部130から射出される熱可塑性樹脂80を予熱することができ、射出時に発生する温度の急速な低下等の温度の急勾配を防ぐことが可能となるため、安定した適正温度でキャビティ100内に熱硬化性樹脂80を展開できる。
なお、マイクロ波の照射開始は、開口部130からのキャビティ100への熱可塑性樹脂80の射出(流入)の開始と同時に、または射出が開始する直前に行うことが好ましい。
また、複数の開口部130からのキャビティ100への熱可塑性樹脂80の射出(流入)が、同時に始まらない場合、同軸ケーブル20を介して各開口部130に対して個別に照射されるマイクロ波の出力を開始するタイミングを、それぞれに対応する開口部130からの熱可塑性樹脂80の射出が開始するタイミングに合わせるようにしてもよい。例えば、開口部130からの熱可塑性樹脂80のキャビティ100への射出を開始するタイミングが、開口部130aと開口部130bとで異なる場合、開口部130aからの熱可塑性樹脂80のキャビティ100への射出が開始するタイミングに、対向する連通孔140aに取付けられた同軸ケーブル20を介して、マイクロ波照射手段30からマイクロ波の照射を開始し、開口部130bからの熱可塑性樹脂80のキャビティ100への射出が開始するタイミングに、対向する連通孔140bに取付けられた同軸ケーブル20を介して、マイクロ波照射手段30からマイクロ波の照射を開始するようにしても良い。
(ステップS104)図2(d)に示すように、キャビティ100内への熱可塑性樹脂80の充填が完了すると、マイクロ波照射手段30からのマイクロ波の出力を停止し、冷却装置60から供給用チューブ61および排出用チューブ62を介して第一の金型部材11と第二の金型部材12とにそれぞれ設けられた冷却媒体用の流路に冷却媒体を循環させて、熱可塑性樹脂80を冷却する。これにより熱可塑性樹脂80が固化して、熱可塑性樹脂80の成形が完了する。なお、マイクロ波照射手段30からのマイクロ波の出力は、キャビティ100内への熱可塑性樹脂80の充填が完了する前に終了してもよい。また、冷却装置60による冷却が不要であれば、上記したように冷却装置60は不要であり、かつ冷却装置60により冷却する処理は行わなくても良い。かかることについては、他の実施の形態においても同様である。
なお、キャビティ100内に熱可塑性樹脂80を充填する、ということは、例えば、キャビティ100内の成形に必要な位置に、成形に必要な量の熱可塑性樹脂80を配置する(例えば、注入する)ことであり、例えば、キャビティ100を熱可塑性樹脂80で満たすことであってもよく、キャビティ100の設計等によっては、キャビティ100内の、予め決められた部分だけを熱可塑性樹脂で満たすことであってもよい。例えば、熱可塑性樹脂80で充填された状態のキャビティ100内には、熱可塑性樹脂80が隙間なく入っていてもよく、その製品仕様によっては熱可塑性樹脂とキャビティ100とに間に積極的に空隙等が存在している部分を設けるようにしても良い。かかることは、他の実施の形態においても同様である。
(ステップS105)図2(e)に示すように、型締め装置(図示せず)により、第一の金型部材11を、金型10を開く方向、すなわち、第二の金型部材12から離れるよう横方向に移動させる。また、第二の金型部材12を構成している2つの金型部材12αおよび12β同士が離れるように、少なくとも一方を移動させる。これにより、金型10を開く。そして、キャビティ100内および流路110内で成形された成形品81を取り出す。この成形品81から、流路110で固化した部分を除去することで、製品が得られる。流路110で固化した部分は、例えば、成形品のランナー部分等と考えてもよい。
なお、ステップS202によるマイクロ波の照射は、例えば、成形が完了するまでに行われれば、上記で示した期間以外の期間にも行うようにしてもよい。例えば、熱可塑性樹脂80のキャビティ100への射出が開始した時点やその直後にマイクロ波の照射を開始して、そのまま、上述したようなマイクロ波の照射を終了するタイミングまでマイクロ波の照射を続けてもよい。また、キャビティ100が熱可塑性樹脂80で満たされた後、冷却が開始されるまでの間に照射を行っても良い。マイクロ波照射手段30によるマイクロ波の照射の制御や、射出装置70による樹脂の射出の制御等は、例えば、図示しない制御部等により行われる。
以上、本実施の形態においては、開口部130に対してマイクロ波を照射するようにしたから、成形材料が流路110からキャビティ100に流入する際の冷却を防ぐことができ、成形材料の固化や流動性の低下等によるキャビティ100への充填の不良等の発生を防いで、射出成形を適切に行うことができる。また、このような冷却を防ぐことで、射出圧を高くしなくても、キャビティ100内に成形材料を行き渡らせることができるため、射出圧を低くでき、射出装置を小型化できる。
(実施の形態2)
図3は、本実施の形態にかかる成形装置1001の構成を示す図であり、図3においては、金型を断面で表している。
成形装置1001は、金型10aと、3本の可変伝送手段としての同軸ケーブル20と、マイクロ波照射手段31と、冷却装置60と、供給用チューブ61と、排出用チューブ62と、射出装置70とを備えている。図3において、図1と同一符号は同一または相当する部分を示している。本実施の形態においては成形装置1001が、射出成形を行う横型の成形装置である場合について説明する。
冷却装置60と、供給用チューブ61と、排出用チューブ62と、射出装置70については、上記実施の形態と同様であるため、ここでは詳細な説明は省略する。また、同軸ケーブル20については、本数が異なる点を除けば、上記実施の形態と同様であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
マイクロ波照射手段31は、3本の同軸ケーブル20のそれぞれの第二の端部20bと接続されている点を除けば、上記実施の形態のマイクロ波照射手段30と同様であるため、ここでは説明を省略する。なお、マイクロ波照射手段31は、3本の同軸ケーブル20のそれぞれを介してマイクロ波を照射可能なものであればよく、例えば、マイクロ波照射手段30と同様に、3本の同軸ケーブル20のうちの2以上とそれぞれ接続される2以上のマイクロ波発振器300を有する代わりに、分岐した同軸ケーブル等の分岐構造を有する伝送手段を介して、複数の同軸ケーブル20と接続されたマイクロ波発振器300を備えていてもよい。
金型10aは、第一の金型部材11aと、第二の金型部材12aとを備えている。金型10aは、上記実施の形態の金型10において、流路110の代わりに、流路110aが形成されるようにしたものである。この流路110aは、上記実施の形態において説明した流路110において、第一流路111の代わりに、射出口71から射出される成形材料の射出方向に直線的に延在し、マイクロ波照射手段31が照射するマイクロ波を通すことが可能である第一流路111aを備え、更に、この第一流路111aの延在方向に直線的に形成される第二流路112を備えるようにしたものである。ここでは、この第一流路111aの延在方向に直線的に形成される第二流路112を他の第二流路112と区別するために、第二流路112aとする。第二流路112aは、第一流路111aと、キャビティ100の内面に設けられた開口部130cとを接続する流路である。開口部130cは、第一流路111aの軸心の延長上に設けられた開口部である。開口部130cは、その中心が、第一流路111aの軸心の延長上に位置するようにすることが好ましい。第二流路112aは、軸心が、第一流路111aの軸心上に位置する流路である。第二流路112aは、ここでは、他の2つの第二流路112と同様に、第一流路111aの注入口113に対して反対側の端部と連通するよう接続されている。第一流路111aと第二流路112aを含む第二流路112との接続部分をここでは接続部114と呼ぶ。なお、開口部130cを、他の開口部130aおよび130bと区別しない場合、単に開口部130と呼ぶ。
第二流路112aおよび開口部130cは、マイクロ波照射手段31が照射するマイクロ波を通過させることが可能な流路および開口部である。第二流路112aおよび開口部130cは、例えば、マイクロ波照射手段31が照射するマイクロ波が通過可能な形状およびサイズを有している。ここでは一例として、第二流路112aの軸心に垂直な断面形状および開口部130cの平面形状が、いずれも円形であり、第二流路112aの径および開口部130cの径が、マイクロ波照射手段31が照射するマイクロ波が通過可能な径となっている場合について説明する。なお、通常の金型においては、第二流路112aに相当するランナーの径は、このランナーが接続される開口部130cに相当するゲートの径以上の径を有している。本実施の形態においても、通常の金型と同様に、第二流路112aの径は、この第二流路112aが接続される開口部130cの径以上の径を有していることが好ましい。この場合、開口部130cの径がマイクロ波照射手段31が照射するマイクロ波が通過可能な径であれば、第二流路112aの径もマイクロ波を通過可能な径となる。
マイクロ波照射手段31が照射するマイクロ波が通過可能な径とは、例えば、マイクロ波照射手段31が照射するマイクロ波の周波数が遮断周波数となる径よりも大きい径である。例えば、開口部130cが円形形状の開口部である場合、開口部130cがマイクロ波照射手段31が照射するマイクロ波の周波数が遮断周波数となる円形の開口部よりも大きい直径を有していれば、マイクロ波照射手段31が照射するマイクロ波が開口部130cを通過可能となる。例えば、cを光速(cm/s)とすると、直径D(cm)の金属円筒内の遮断周波数fc(Hz)は、以下の式(1)で表される。
fc=1.84×c/(π×D)・・・(1)
このため、マイクロ波照射手段31が照射するマイクロ波の周波数fin(Hz)とした場合、開口部130cの直径Dg(cm)が、以下の式(2)を満たす値であれば、マイクロ波照射手段31から照射されるマイクロ波が開口部130cを通過し、開口部130c側から、第二流路112a内に照射される。
Dg>1.84×c/(π×fin)・・・(2)
例えば、マイクロ波照射手段31が照射するマイクロ波の周波数finが5.8GHzであるとすると、開口部130cの直径Dgを3cm以上とすれば、マイクロ波照射手段31から照射されるマイクロ波が開口部130cを通過し、開口部130c側から、第二流路112a内に照射される。
なお、開口部130cの直径Dgは、例えば、以下の式(3)を更に満たす値であることが好ましい。
Dg<n×1.84×c/(π×fin)・・・(3)
(ただし、1<n≦3)
例えば、nの値は、2または3であってもよい。
また、上記のように、ここでは、第二流路112aの径が、開口部130cの径以上であるため、開口部130cを通過して、第二流路112aに照射されたマイクロ波も第二流路112aを通過する。開口部130cを通過して、第二流路112aに照射されたマイクロ波が、第二流路112aを通過することで、マイクロ波は、第二流路112と第一流路111aとの接続部114に照射される。なお、例えば、第二の流路112aの直径Dsも上記の式(2)を満たす直径Dgと同様の値としてもよく、このような値とすることで、第二流路112aに照射されたマイクロ波が第二流路112aを通過するようにすることができる。例えば、直径Dsを、上記の式(2)のDgを、Dsに置き換えた式を満たす値としてもよい。
第一流路111aは、マイクロ波照射手段31が照射するマイクロ波を通すことが可能な流路である。第一流路111aを、例えば、マイクロ波照射手段31が照射するマイクロ波を通すことが可能な形状およびサイズを有するものとすることで、マイクロ波を通すことが可能となる。例えば、第一流路111aを、その軸心に垂直な断面が円形であって、マイクロ波照射手段31が照射するマイクロ波を通すことが可能な径を有するものとする。ただし、マイクロ波を通せればよく、通過させなくてもよいため、第一流路111aの少なくとも一方の端部側が、マイクロ波を通すことが可能な形状およびサイズ、例えば径を有していればよい。ここでは、第一流路111aの接続部114側が、マイクロ波照射手段31が照射するマイクロ波を通過可能な形状およびサイズに設定されている場合について説明する。例えば、第一流路111aの、少なくとも接続部114側を、軸心に垂直な断面形状が円形であり、この径がマイクロ波が通過可能な径とする。この場合、第一流路111aと第二流路112aとの接続部114に照射されたマイクロ波が、第一流路111aの接続部114側の端部を通過して、第一流路111a内を通ることとなり、第一流路111a内にマイクロ波が照射される。
なお、第一流路111aの接続部114側の径を、マイクロ波を通過可能な径とするためには、第一流路111aの接続部114側の直径Djを、上記のDgと同様に、次の式(4)を満たす値であることが好ましい。
Dj>1.84×c/(π×fin)・・・(4)
(ただし、cは光速、finは前記マイクロ波照射手段が照射するマイクロ波の周波数とする)
また、この直径Djは、上記のDgと同様に、次の式(5)を満たす値であることが好ましい。
Dj<n×1.84×c/(π×fin)・・・(5)
(ただし、1<n≦3)
例えば、nの値は、2または3であってもよい。
なお、第一流路111aの注入口113のサイズは、例えば、射出口71の成形材料が射出される開口部(図示せず)のサイズ等に応じて決定される。このサイズが、上記の直径Djよりも小さい場合、第一流路111aの接続部114側のサイズを上記の式(4)を満たす直径Djとするためには、第一流路111aを、ここでは、注入口113から開口部130c側(すなわちキャビティ100側)に向かって直径が増加する形状とすることが好ましい。ここでは、第一流路111aが、注入口113から接続部114側に向かって直径が増加する形状である円錐台形状を有しており、接続部114側の直径が、上記の式(4)を満たす直径Djである場合を例に挙げて説明する。ただし、第一流路111aの形状はこの形状に限定されるものではない。なお、第一流路111aの接続部114側の端部から照射されるマイクロ波を、第一流路111aの注入口113に近い位置まで到達させる場合、第一流路111aの直径を、注入口113に近い位置まで上記の式(4)を満たす直径Djとすることが好ましい。なお、注入口113の形状およびサイズを、マイクロ波照射手段31が照射するマイクロ波を通過させない形状およびサイズとすれば、マイクロ波は、射出口71側には通過しないようにすることができる。かかることは、後述する実施の形態3等の第一流路111aについても同様である。
なお、成形品を成形した後、製品を得るためには、流路110aで成形された部分を、キャビティ100で成形された部分から切り離す必要があるため、開口部130cのサイズは、できるだけ小さいことが好ましい。
本実施の形態においては、上記実施の形態と同様に、第二の金型部材12aが複数の金型部材により構成されており、流路110aが、第二の金型部材12aに形成される場合について説明する。ここでは、第二の金型部材12aが、第二の金型部材12aを流路110aの軸心を通る平面で分割した2つの金型部材(図示せず)で構成される場合について説明する。なお、この2つの金型部材は、例えば、上記実施の形態において図9を用いて説明した2つ金型部材12αおよび12βにおいて、第二流路112aを軸心を通る平面で分割した形状を有する溝を、この2つの金型部材12αおよび12βの、金型10aを閉じた状態で互いに接触する面に新たに設けたものとすればよい。なお、ここでは、この2つの金型部材の構造についての詳細な説明は省略する。
第二の金型部材12aのその他の構造等については、第二の金型部材12と同様であるため、ここでは説明を省略する。
第一の金型部材11aは、上記実施の形態の第一の金型部材11において、同軸ケーブル20が取付けられる連通孔140aと連通孔140bとを、第一の金型部材11と同様に、それぞれ、開口部130aおよび開口部130bに対向する位置に設けるとともに、開口部130cに対向する位置に同軸ケーブル20が取付けられる連通孔140を更に設けたものである。ここでは、開口部130cに対向する位置に設けられた連通孔140を、他とは区別する場合には、連通孔140cと呼ぶ。連通孔140cには、他の連通孔140と同様に、例えばマイクロ波アンテナ40や栓状部材50等が設けられている。連通孔140cの構造や、同軸ケーブル20との取付け方等については、上記と同様であるため、ここでは省略する。
第一の金型部材11aのその他の構造等については、第一の金型部材11と同様であるため、ここでは説明を省略する。
なお、金型10aが有するキャビティ100については、内面100aに設けられている開口部130の数や、開口部130のサイズ、連通孔140の数等が異なる点を除けば、上記実施の形態のキャビティ100と同様であるため、ここでは説明を省略する。
図4は、成形装置1001を用いた成形品の製造方法を説明するための断面図(図4(a)および図4(b))である。図4において、マイクロ波照射手段31、冷却装置60、供給用チューブ61、および排出用チューブ62等は省略している。
以下、成形装置1001を用いた成形品の製造方法の具体例について、図4を用いて説明する。ここでは、熱可塑性樹脂の成形を例に挙げて説明する。
(ステップS201)まず、図2(a)と同様に、図示しない型締め装置等を動作させて、第一の金型部材11aを成形時の位置まで、第二の金型部材12aに近づける方向に移動させて、金型10aを閉じた状態とする。ここでは、第一の金型部材11aと第二の金型部材12aとの間にキャビティ100が形成される。
(ステップS202)つぎに、射出装置70の射出口71から、成形材料である加熱して軟化および溶融した熱可塑性樹脂80を射出して、第二の金型部材12aの注入口113から、キャビティ100の流路110に熱可塑性樹脂80を注入する。注入された熱可塑性樹脂80は、第一流路111aを流れる。また、第一流路111aを流れた熱可塑性樹脂80は、第二流路112aを含む3つの第二流路112が接続されている接続部114において3つに分かれて、3つの第二流路112にそれぞれ注入され、キャビティ100に向かって各第二流路112を流れる。
ここで、図4(a)に示すように、熱可塑性樹脂80の第一流路111aへの注入が始まった際に、開口部130cに対向する位置に設けられた連通孔140cに取付けられた同軸ケーブル20を介して、マイクロ波照射手段31からマイクロ波を照射する。これにより、マイクロ波照射手段31が照射するマイクロ波が、開口部130cに向けて、連通孔140cを介してその対向する位置から照射される。これにより、開口部130cおよびその近傍にマイクロ波が照射され、開口部130cおよびその近傍のマイクロ波強度が強くなる。
また、ここでは開口部130cの径は、上述したように、マイクロ波照射手段31が照射する周波数のマイクロ波が通過可能な径であるため、開口部130cに照射されたマイクロ波は、開口部130cを通過し、第二流路112a内に照射される。
また、第二流路112aもマイクロ波照射手段31が照射する周波数のマイクロ波が通過可能な径であるため、照射されたマイクロ波は、第二流路112aを通過し、ここでは第一流路111aと3つの第二流路112との接続部114に照射される。ここでは上述したように、第一流路111aの接続部114側の端部の径がマイクロ波照射手段31が照射する周波数のマイクロ波が通過可能な径であるため、接続部114に照射されたマイクロ波が第一流路111aの接続部114側の端部から第一流路111aに導入され、第一流路111aを通る。第一流路111aを通るマイクロ波によって、第一流路111aを流れる成形材料が加熱される。射出装置70の射出口71から射出された熱可塑性樹脂80が、第一流路111aに注入されると、熱可塑性樹脂80が第一流路111aの内面において金型10aと接触したり、熱可塑性樹脂80が流路110aに注入された際に減圧されたりすることにより、熱可塑性樹脂80に温度低下が生じ、固化したり流動性が低下して、安定した適正温度でキャビティ内に成形材料を展開できなくなったり、熱可塑性樹脂80が流路110aの途中で固化してしまうこと等が考えられるが、開口部130cおよび第二流路112aを通じて第一流路111a内にマイクロ波を通すことにより、第一流路111aから第二流路112aを流れる成形材料の温度低下を防ぐことができる。
なお、開口部130cに対するマイクロ波の照射開始は、第一流路111aへの熱可塑性樹脂80の注入の開始と同時に、または流入が開始する直前や直後等に行うことが好ましい。
(ステップS203)さらに、図4(b)に示すように、流路110aを流れる熱可塑性樹脂80の開口部130aおよび開口部130bからのキャビティ100への射出が始まる際に、開口部130aおよび開口部130bに対向する位置に設けられた連通孔140aおよび連通孔140bにそれぞれに取付けられた同軸ケーブル20を介して、マイクロ波照射手段31からマイクロ波を照射すると、上記実施の形態1と同様に、開口部130aと開口部130bとのそれぞれに向けて、連通孔140aおよび連通孔140bを介してその対向する位置からマイクロ波が照射される。開口部130aと開口部130bとに対してマイクロ波を照射することによって、開口部130aおよびその近傍と開口部130bおよびその近傍とのマイクロ波の強度が強くなり、上記実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
なお、開口部130aおよび開口部130bに対するマイクロ波の照射開始は、開口部130aおよび開口部130bからのキャビティ100への熱可塑性樹脂80の射出の開始と同時に、または流入が射出する直前に行うことが好ましい。
また、ステップS202において第二流路112aに照射されたマイクロ波により、第二流路112aを流れる熱可塑性樹脂80が加熱される。これにより、第一流路111aから第二流路112aに注入された熱可塑性樹脂80が第二流路112aの内面において金型10と接触することによって温度低下したとしても、マイクロ波を照射することによって、熱可塑性樹脂80の温度低下分のエネルギーを即座に補填して、温度低下を防止でき、安定した適正温度でキャビティ内に成形材料を展開できる。また、開口部130cから射出される熱可塑性樹脂80を予熱することも可能となる。
また、ステップS202において開口部130cに対して行ったマイクロ波照射は、そのまま継続される。これにより、開口部130cから熱可塑性樹脂80が射出される際に、開口部130cおよびその近傍にマイクロ波が照射されることにより、上記実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
そして、上記実施の形態において説明した例と同様に、キャビティ100のキャビティ100内への熱可塑性樹脂80の注入が終了すると、マイクロ波照射手段31からのマイクロ波の出力を停止し、冷却装置60を用いて熱可塑性樹脂80を冷却し、金型10aを開いて、金型10aから成形品を取り外し、流路110aで固化した部分等を除去して製品を得る。
以上、本実施の形態においては、第一流路111aをマイクロ波照射手段31が照射するマイクロ波が通ることが可能な流路とし、第一流路111aの延在方向に形成される第二流路112aと、この第二の流路112aとキャビティ100とが接続される部分の開口部130cとを、マイクロ波照射手段31が照射するマイクロ波を通過可能な形状およびサイズとし、マイクロ波照射手段31が照射するマイクロ波を、この開口部130cに向けて、連通孔140cを介して、その対向する位置から照射されるようにしたことにより、開口部130cと第二流路112aとを通過したマイクロ波を、第一流路111aと第二流路112aとの接続部114に照射することができ、第一流路111a内にマイクロ波を通すことができる。これにより、第一流路111aから第二流路112aを流れる成形材料の温度低下を金型10aに加熱構造を設けることなく実現できる。また、金型10aをほとんど昇温させずに成形材料を加熱することができ、成形後の金型10aの冷却も不要になる。
また、直線的に延在する第一流路111aと第二流路112aとを、同時に加熱する構成が可能となり、簡便化した構成で第一流路111a内と、第二流路112a内とを加熱して、成形材料の温度低下を防止することができる。これにより、例えば、射出圧を高くしなくても、キャビティ100内に成形材料を流し込むことができるため、射出圧を低くでき、射出装置を小型化できる。
また、開口部130cにマイクロ波を照射することで、マイクロ波の効率的なエネルギー伝達により、キャビティ100内に成形材料が射出される開口部130cにおいて、圧力低下およびキャビティ温度との差により生じる成形材料の温度低下分のエネルギーを即座に補填し、その温度低下を防止でき、安定した適正温度でキャビティ100内に成形材料を展開できる。
なお、上記のような流路110を流れる成形材料の冷却を防ぐためには、金型10aの流路110の近傍等をヒータ(図示せず)等を用いて加熱して、接触による金型10aからの熱伝導等によって、成形材料を加熱することが考えられるが、このような場合、成形材料をキャビティ100に注入し終わっても、金型10aの冷却に時間がかかるため、成形品の冷却が遅いと考えられる。これに対し、本実施の形態においては、マイクロ波で第一流路111a内や第二流路112a内の成形材料を加熱するため、成形材料が選択的に直接加熱され、その周囲の金型10aは加熱しないため、マイクロ波照射の終了と同時に、成形品の加熱を終了して、成形品の温度を急速に下げることができる。また、金型10aから加熱した場合、第一流路111aや第二流路112aの内面に接する外側の部分が加熱され、成形材料の内側の部分が加熱されにくくなり、流動性の違いによって、不要な応力が発生したりすることが考えられるが、本実施の形態においては、マイクロ波で第一流路111a内や第二流路112a内の成形材料を加熱するため、成形材料の内側も外側も同様に加熱される。そのため、このような不要な応力が発生せず、品質のよい成形品を得ることができる。かかることは、以下の実施の形態3においても同様である。
なお、上記実施の形態においては、流路110が、第二流路112a以外の第二流路112を有する場合について説明したが、成形品のサイズ等によって第二流路112a以外の第二流路112が不要である場合等においては、第二流路112a以外の第二流路112等は省略しても良い。
(実施の形態3)
図5(a)は、本実施の形態にかかる成形装置1002の構成を示す図であり、図においては、金型部分を断面で表している。また、図5(b)は、成形装置1002の金型10bの断面図を示しており、この断面は、図5(a)の金型10bの断面図の切断面を第一流路111a内の軸心を回転軸として90度回転させた面による第一金型部材12bの断面である。
成形装置1002は、金型10bと、3本の可変伝送手段としての同軸ケーブル20と、マイクロ波照射手段31と、冷却装置60と供給用チューブ61と、排出用チューブ62と、射出装置70とを備えている。図3において、図1および図3と同一符号は同一または相当する部分を示している。本実施の形態においては成形装置1002が、射出成形を行う横型の成形装置である場合について説明する。
図において、同軸ケーブル20と、マイクロ波照射手段31と、冷却装置60と、供給用チューブ61と、排出用チューブ62と、射出装置70については、上記実施の形態2と同様であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
金型10bは、第一の金型部材11bと、第二の金型部材12bとを備えている。金型10bは、上記実施の形態の金型10において、流路110の代わりに、流路110bが形成されるようにしたものである。本実施の形態においては、流路110bが、上記実施の形態1と同様に、第二の金型部材12bに形成される場合について説明する。この流路110bは、上記実施の形態1において説明した流路110において、第一流路111の代わりに、上記実施の形態2において説明した第一流路111aを設けたものである。ここでは一例として、第一流路111aの、第二流路112との接続部側を、上記実施の形態2と同様に、マイクロ波照射手段31が照射するマイクロ波が通過可能な形状およびサイズを有するようにした場合について説明する。例えば、第一流路111aの、第二流路112との接続部114側の軸心に対して垂直な断面形状が円形形状である場合、第一流路111aの接続部114側の直径を、上述したような式(4)を満たす直径Djとすることにより、マイクロ波照射手段31が照射するマイクロ波を、第一流路111aの接続部114側の端部から、第一流路111a内に通すことができる。このような直径Djとすることにより、第一流路111a内に効率良くマイクロ波を通すことができる。
また、本実施の形態においては、第二の金型部材12bの、第一流路111aと第二の流路112との接続部114に対して、対向する位置に連通孔140dが設けられている。更に、連通孔140dは、その開口している端部の一方が、第一流路111aの接続部114側の端部に対向するよう第二の金型部材12bに設けられている。連通孔140dは、一旦、第一流路111aの軸心方向において、接続部114から離れる方向に延伸された後、延伸方向を略90度変更して、金型10bの外部と連通するよう延伸されている。ただし、連通孔140dは、端部以外が流路110bを横切らないよう設けられていればどのように配置されていてもよい。連通孔140dも、上記実施の形態1の連通孔140と同様に、流路110b側の開口部が、栓状部材50で塞がれ、マイクロ波アンテナ40が設けられている。また、この連通孔140dには、上記実施の形態と同様に、マイクロ波照射手段31と接続された同軸ケーブル20が取付けられている。ここでは、一例として、同軸ケーブル20が連通孔140d内部に挿入されている。この同軸ケーブル20が連通孔140dに取り付けられる部分の構成としては、例えば、上記実施の形態1の同軸ケーブル20が連通孔140a等に取り付けられる部分の構成と同様の構成が利用可能である。
本実施の形態においても、上記実施の形態と同様に、第二の金型部材12bが複数の金型部材により構成されている場合について説明する。ここでは、第二の金型部材12bが、第二の金型部材12bを流路110bの軸心を通る平面で分割した2つの金型部材(図示せず)で構成される場合について説明する。なお、この2つの金型部材は、例えば、上記実施の形態において図9を用いて説明した2つ金型部材12αおよび12βにおいて、少なくとも一方に連通孔140dを設けるようにしたものである。なお、連通孔140d内には、成形材料が注入されないため、金型10bを開いた際に、この連通孔140dの内部のものを取り出せるようにすることは考慮しなくてよい。なお、ここでは、この2つの金型部材の構造についての詳細な説明は省略する。
第二の金型部材12bのその他の構造等については、第二の金型部材12と同様であるため、ここでは説明を省略する。
第一の金型部材11bの構造等については、第一の金型部材11と同様であるため、ここでは説明を省略する。
また、金型10bが有するキャビティ100については、上記実施の形態1のキャビティ100と同様であるため、ここでは説明を省略する。
図6は、成形装置1002を用いた成形品の製造方法を説明するための断面図(図6(a)および図6(b))である。図6において、マイクロ波照射手段31、冷却装置60、供給用チューブ61、および排出用チューブ62等は省略している。
以下、成形装置1002を用いた成形品の製造方法の具体例について、図6を用いて説明する。ここでは、熱可塑性樹脂の成形を例に挙げて説明する。
(ステップS301)まず、図2(a)と同様に、図示しない型締め装置等を動作させて、第一の金型部材11bを成形時の位置まで、第二の金型部材12bに近づける方向に移動させて、金型10bを閉じた状態とする。ここでは、第一の金型部材11bと第二の金型部材12bとの間にキャビティ100が形成される。
(ステップS302)つぎに、図6(a)に示すように、射出装置70の射出口71から、成形材料である加熱して軟化および溶融した熱可塑性樹脂80を射出して、第二の金型部材12aの注入口113から、キャビティ100の流路110に、熱可塑性樹脂80を注入する。注入された熱可塑性樹脂80は、第一流路111aを流れる。
ここで、熱可塑性樹脂80が第一流路111aに流れ込む際に、第一流路111aと第二の流路112との接続部114に対向する位置に設けられた連通孔140dに取付けられた同軸ケーブル20を介して、マイクロ波照射手段31の、この同軸ケーブル20と接続されたマイクロ波発振器300からマイクロ波を照射すると、マイクロ波が第一流路111aと第二の流路112との接続部114に対して照射される。ここでは第一流路111aの接続部114のサイズは、上述したように、マイクロ波照射手段31が照射する周波数のマイクロ波が通過可能なサイズであるため、接続部114に照射されたマイクロ波は、接続部114を通過し、第一流路111a内に照射される。第一流路111a内に照射されたマイクロ波によって、第一流路111aを流れる成形材料が加熱される。射出装置70の射出口71から射出された熱可塑性樹脂80が、第一流路111aに注入されると、熱可塑性樹脂80が第一流路111aの内面において金型10bと接触したり、流路110に注入される際に減圧されること等によって、熱可塑性樹脂80が冷却されて、固化したり流動性が悪くなることが考えられるが、接続部114を通じて第一流路111aにマイクロ波を照射することによって、熱可塑性樹脂80が加熱され、冷却を抑えることができる。これにより、第一流路111aから第二流路112を流れる成形材料の温度低下を防止することができる。また、ここでは、第一流路111aの接続部114側の端部に対向する位置に設けられた連通孔140dからマイクロ波が照射されるため、マイクロ波を効率良く第一流路111a内に通すことができる。
なお、開口部130cに対するマイクロ波の照射開始は、第一流路111aへの熱可塑性樹脂80の注入の開始と同時に、または流入が開始する直前や直後等に行うことが好ましい。
(ステップS303)第一流路111aと第二の流路112との接続部114を通過した熱可塑性樹脂80は、分岐した第二流路112をそれぞれ流れる。そして、上記実施の形態1と同様に、図6(b)に示すように、流路110(ここでは第二流路112)を流れる熱可塑性樹脂80の、開口部130aおよび開口部130bからキャビティ100への射出が始まる際に、開口部130aおよび開口部130bに対向する位置に設けられた連通孔140aおよび連通孔140bにそれぞれに取付けられた同軸ケーブル20を介して、マイクロ波照射手段31からマイクロ波を照射すると、上記実施の形態1と同様に、開口部130aと開口部130bとのそれぞれに向けて、連通孔140aおよび連通孔140bを介してその対向する位置からマイクロ波が照射される。開口部130aと開口部130bとに対してマイクロ波を照射することによって、開口部130a部分と開口部130b部分とのマイクロ波の強度が強くなり、上記実施の形態1と同様の効果を得ることができる、
なお、開口部130aおよび開口部130bに対するマイクロ波の照射開始は、開口部130aおよび開口部130bからのキャビティ100への熱可塑性樹脂80の射出の開始と同時に、または流入が開始する直前に行うことが好ましい。
そして、上記実施の形態において説明した例と同様に、キャビティ100のキャビティ100内への熱可塑性樹脂80の注入が終了すると、マイクロ波照射手段31からのマイクロ波の出力を停止し、冷却装置60を用いて熱可塑性樹脂80を冷却し、金型10bから成形品を取り外し、流路110で固化した部分等を除去して製品を得る。
以上、本実施の形態においては、第一流路111aをマイクロ波照射手段31が照射するマイクロ波が通る形状およびサイズを有するものとし、第一流路111aと第二流路112との接続部114に対して、連通孔140dに取付けられた同軸ケーブル20を介してマイクロ波照射手段31からマイクロ波を照射するようにしたから、第一流路111a内にマイクロ波を通すことができ、第一流路111aから第二流路112を流れる成形材料の温度低下を、金型10bに加熱構造を設けることなく実現できる。また、金型10bをほとんど昇温させずに成形材料を加熱することができ、成形後の金型10bの冷却も不要になる。
また、第一流路111aにおける成形材料の冷却を防ぐことができ、射出圧を高くしなくても、キャビティ100内に成形材料を流し込むことができるため、射出圧を低くでき、射出装置を小型化できる。
なお、上記各実施の形態で説明した流路110の形状や構造等は一例であり、流路110は、上記以外の形状等であってよい。例えば、上記各実施の形態において、各開口部130の位置関係を、上記で説明した位置関係と異なる位置関係としてもよい。また、上記実施の形態1および実施の形態3において、各開口部130と、第一流路111または第一流路111aとの位置関係を、上記で説明した位置関係とは異なる位置関係としてもよい。また、上記実施の形態2において、開口部130a以外の開口部130と、第一流路111aとの位置関係を、上記で説明した位置関係とは異なる位置関係としてもよい。また、第一流路111および第一流路111a等の長さを、上記で説明した長さとは異なる長さとしてもよい。また、上記実施の形態1および実施の形態3において、第一流路111および第一流路111aとキャビティ100とを接続する各第二流路112の経路を上記とは異なる経路としてもよい。また、上記実施の形態2において、第一流路111aと、第二流路112a以外のキャビティ100とを接続する各第二流路112の経路を上記とは異なる経路としてもよい。
また、上記実施の形態1においては、金型10が2つの開口部130を有している場合について説明したが、金型10の、流路110とキャビティ100との接続部分に設けられる開口部130の数は、1または2以上であればよく、その数は問わない。
また、上記実施の形態2において、金型10aには、第一流路111aと、この第一流路111aの延在方向に直線的に形成される第二流路112aとが形成されればよく、金型10aにこの第二流路112a以外の1または2以上の第二流路112が形成されるか否かは問わない。また、第二流路112aとキャビティ100との接続部分に設けられた開口部130c以外の、第二流路112とキャビティ100との接続部分に設けられた1または2以上の開口部130を有するか否かは問わない。
また、例えば、上記実施の形態3においては、金型10bが2つの開口部130を有している場合について説明したが、金型10bには、第一流路111と、この第一流路111と接続される1以上の第二流路112が形成されればよく、第二流路112とキャビティ100との接続部分に設けられる開口部13の数は、1または2以上であればその数は問わない。
なお、上記各実施の形態において、金型10,10aおよび10bが1または2以上の開口部130を有する場合には、金型10,10aおよび10bの、それぞれの開口部130に対向する位置にそれぞれ連通孔140を設け、各連通孔140にマイクロ波照射手段30またはマイクロ波照射手段31と接続された同軸ケーブル20をそれぞれ取り付け、マイクロ波照射手段31またはマイクロ波照射手段31が出力するマイクロ波を、各同軸ケーブル20を介して、各連通孔140から、対応する開口部130に対して照射するようにすればよい。
例えば、上記実施の形態1および3において、流路110の形状が上記と異なり、3以上の異なる位置でキャビティ100と連通するよう接続される場合、接続される部分にそれぞれ開口部130が設けられるが、このような場合に、それぞれの開口部130に対向する位置に連通孔140をそれぞれ設け、この連通孔140にそれぞれ取付けられた同軸ケーブル20を介して、3以上の開口部130対して、それぞれ、マイクロ波照射手段30または31からマイクロ波を照射するようにしてもよい。流路110が3以上の異なる位置でキャビティ100と連通するよう接続される場合とは、例えば、図1(a)や図5に示した流路110において、3つの第二流路112が、接続部114で第一流路111と接続されている場合等である。
なお、上記実施の形態1および3において、開口部130が1つの場合とは、例えば、第一流路111または第一流路111aの延在方向に直線的に1つの第二流路112が形成されている場合や、第一流路111または第一流路111aに対して1つの第二流路112だけが接続されているとともに、この第二流路112の軸心方向と、第一流路111または第一流路111aの軸心方向とが同軸上にない場合(例えば、異なる方向を向いている場合等)である。上記実施の形態3においては、第二流路112の軸心方向と、第一流路111aの軸心方向とが同軸上にない場合においても、例えば、この第一流路111aと第二の流路112との接続部114に対向する位置に同軸ケーブル20が取付けられる連通孔140を設け、この連通孔140に取付けられた同軸ケーブル20から、接続部114に対してマイクロ波を照射するようにしてもよい。
また、上記各実施の形態において、金型10、10aおよび10bが複数の開口部130を有する場合、複数の開口部130の全てに対して、マイクロ波を照射するようにしてもよく、一部に対してのみマイクロ波を照射するようにしてもよい。つまり、複数の開口部130の少なくとも一部に対して、それぞれ、連通孔140に取付けられた同軸ケーブル20を介してマイクロ波照射手段30または31からマイクロ波を照射するようにしてもよい。ただし、実施の形態2においては、少なくとも第二の流路112aとキャビティ100とが接続された部分に設けられた開口部130cに、マイクロ波を照射するようにする。例えば、複数の開口部130のうちのマイクロ波を照射する一部の開口部130に対向する位置にのみ、それぞれ、連通孔140を設け、マイクロ波を照射しない開口部130に対向する位置には連通孔140を設けないようにし、連通孔140に接続された同軸ケーブル20を介してマイクロ波照射手段30または31からそれぞれマイクロ波を照射することで、連通孔140に対向する開口部130に対してのみ、それぞれマイクロ波を照射するようにしてもよい。また、全ての開口部130に対向する位置に、マイクロ波を照射するための同軸ケーブル20等が取り付けられた連通孔140が設けられている場合において、マイクロ波照射手段30または31を制御することで、全ての連通孔140から、対向する位置の開口部130に対してマイクロ波を照射するようにしてもよく、一部の連通孔140から対向する開口部130に対してマイクロ波を照射し、残りの連通孔140からはマイクロ波を照射しないようにして、一部の開口部130に対してのみマイクロ波を照射するようにしてもよい。
また、上記各実施の形態においては、1つの開口部130に対し、この1つの開口部130に対向する位置に設けられた連通孔140から同軸ケーブル20を介してマイクロ波を照射するようにした場合について説明したが、1つの開口部130に対してマイクロ波が照射可能であれば、この1つの開口部130に対してマイクロ波を照射するために用いられる同軸ケーブル20が取付けられる連通孔140は、この1つの開口部130に対向する位置に設けられていなくてもよい。連通孔140からのマイクロ波の照射方向は、例えば、連通孔140に設けられるマイクロ波アンテナ40の指向性や、指向性の有無等によって異なり、連通孔140に対向する方向に対してのみマイクロ波が照射されるとは限らないため、連通孔140を必ずしも開口部130に対向する位置に設けなくても、マイクロ波アンテナ40の選択によって、開口部130に対してマイクロ波を照射可能である。連通孔140は、1つの開口部130にマイクロ波が照射可能であれば、例えば、1つの開口部130に対向する位置からずれた位置に連通孔140に取付けられていてもよく、1つの開口部130がキャビティ100の側面以外の面に設けられている場合に、連通孔140を製品成形空間の側面に設けるようにしてもよい。かかることは、金型10,10aおよび10bが上記各実施の形態で説明した数とは異なる数の開口部130を有する場合や、複数の開口部130の少なくとも一部に対してマイクロ波を照射する場合においても同様である。
また、同様に、上記実施の形態3においては、第一流路111aと第二の流路112との接続部114に対してマイクロ波を照射することが可能であれば、第一流路111aと第二の流路112との接続部114に対してマイクロ波を照射するために用いられる同軸ケーブル20が取付けられる連通孔140dを、接続部114や、第一流路111aの接続部114側の端部に対向する位置に設けないようにしてもよい。
なお、上記各実施の形態において説明した連通孔140の配置は、各実施の形態に示したような配置に限定されるものではない。連通孔140は、例えば、キャビティ100の形状や大きさ等や、照射されるマイクロ波の波長や強度等に応じて、キャビティ100内におけるマイクロ波が所望の強度分布となるような配置とすることが好ましい。
また、上記各実施の形態において、1つの開口部130に対して、複数の連通孔140からマイクロ波を照射するようにしてもよい。つまり、1つの開口部130に対し、複数の連通孔140にそれぞれ取付けられた複数の同軸ケーブル20を介してマイクロ波照射手段30または31からマイクロ波を照射するようにしてもよい。かかることは、金型10,10aおよび10bが上記各実施の形態で説明した数以外の数の開口部130を有する場合や、複数の開口部130の少なくとも一部に対してマイクロ波を照射する場合においても同様である。また、かかることは上記実施の形態3の第一流路111aと第二の流路112との接続部114についても同様である。
また、上記の金型10,10aおよび10bが複数の開口部130を有する場合において、この複数の開口部130のうちの2以上の開口部130に対して、一の連通孔140から、マイクロ波を照射するようにしてもよい。つまり、2以上の開口部130に対して、一の連通孔140に取付けられた1本の同軸ケーブル20を介してマイクロ波照射手段30または31からマイクロ波を照射するようにしてもよい。上述したように、連通孔140からのマイクロ波の照射方向は、例えば、連通孔140に設けられるマイクロ波アンテナ40の指向性や、指向性の有無等によって異なることから、マイクロ波アンテナ40の選択により、2以上の開口部130に対して一の連通孔140に取付けられた同軸ケーブル20を介してマイクロ波照射手段30または31からマイクロ波を照射することが可能である。かかることは、複数の開口部130のうちの少なくとも一部の2以上のゲートに対してマイクロ波を照射する場合においても同様である。
また、上記各実施の形態においては、開口部130に対してマイクロ波を照射するために用いられる連通孔140と、この連通孔140に取り付けられる同軸ケーブル20等を備えた場合について説明したが、成型装置1000〜1002は、開口部130に対するマイクロ波照射以外の目的のマイクロ波照射に用いられる連通孔140と、この連通孔140に取り付けられる同軸ケーブル20等を有していてもよい。例えば、上記各実施の形態において、金型10,10aまたは10bの、開口部130に対してマイクロ波が直接照射されない位置にも、1以上の連通孔140を設け、この連通孔140に取り付けられた同軸ケーブル20を介して、マイクロ波照射手段30または31からキャビティ100内にマイクロ波を更に照射するようにしてもよい。
また、上記各実施の形態においては、連通孔140に取付けられた同軸ケーブル20を介してマイクロ波照射手段30または31からキャビティ100内にマイクロ波を照射して、開口部130に対してマイクロ波を照射することにより、開口部130およびその近傍においてマイクロ波の強度が強くなるようキャビティ100内にマイクロ波を照射するようにした場合について説明したが、結果的に開口部130およびその近傍においてマイクロ波の強度が強くなるようキャビティ100内にマイクロ波を照射することができれば、成形装置1000〜1002の構成は、上記のような構成に限定されるものではない。
例えば、上記各実施の形態において、キャビティ100に連通する1または2以上の連通孔140を金型10,10aおよび10bに設け、この1または2以上の連通孔140にそれぞれマイクロ波照射手段30または31と接続された同軸ケーブル20を取付けるようにするとともに、マイクロ波照射手段30または31から各同軸ケーブル20を介してキャビティ100内に照射したマイクロ波によるキャビティ100内のマイクロ波が、開口部130およびその近傍においてマイクロ波の強度が強くなるような強度分布となるように、キャビティ100を設計するようにしてもよい。このことは、例えば、開口部130およびその近傍がマイクロ波の強度が強くなる位置となるようにキャビティ100を設計することと考えてもよい。開口部130およびその近傍においてマイクロ波の強度が強くなるとは、例えば、上述したように、開口部130およびその近傍に局所的にマイクロ波が照射されることであってもよく、開口部130およびその近傍のマイクロ波強度が、局所的に強くなることや、その周辺の部分よりも強くなることであってもよく、キャビティ100内の他の1以上の部分よりも強くなることであってもよい。
ここでのキャビティ100の設計は、キャビティ100全体の設計と考えてもよく、キャビティ100の設計や、流路110の設計と考えてもよい。キャビティ100の設計は、キャビティ100の形状の設計であってもよく、キャビティ100と連通する開口部130に関する設計や、キャビティ100と連通する連通孔140に関する設計であってもよい。開口部130に関する設計は、例えば、開口部130の位置やサイズや数等の設計である。キャビティ100と連通する連通孔140に関する設計は、連通孔140の位置やサイズや数等の設計である。連通孔140に関する設計は、連通孔140内に配置されるマイクロ波アンテナ40の設計等も含むと考えてもよい。かかることは、金型10,10aおよび10bに開口部130が1または2以上設けられている場合等や、連通孔140が1または2以上設けられている場合においても同様である。また、金型10,10aおよび10bが複数の開口部130を有する場合、マイクロ波の強度が強くなる開口部130は、複数の開口部130のうちの少なくとも1以上であればよいが、全ての開口部130において強度が強くなるようにすることが好ましい。かかることは、以下の他の実施の形態においても同様である。
また、例えば、上記各実施の形態において、キャビティ100に連通する複数の連通孔140を金型10,10aおよび10bに設けるようにし、この複数の連通孔140にそれぞれマイクロ波照射手段30または31と接続された同軸ケーブル20を取付けるようにして、マイクロ波照射手段30または31から、各同軸ケーブル20を介して位相を制御したマイクロ波をキャビティ100に照射することで、キャビティ100内のマイクロ波が、開口部130およびその近傍においてマイクロ波の強度が強くなるような強度分布となるように、キャビティ100にマイクロ波を照射するようにしてもよい。このことは、開口部130およびその近傍がマイクロ波の強度が強くなる位置となるようなマイクロ波の強度分布となるようキャビティ100にマイクロ波を照射することと考えてもよい。
例えば、複数の連通孔140に取付けられた同軸ケーブル20をそれぞれ介してマイクロ波照射手段30または31から照射されるマイクロ波が開口部130およびその近傍において強め合うように、それぞれの同軸ケーブル20を介して照射されるマイクロ波の位相を制御してもよい。例えば、複数の連通孔140に取付けられた同軸ケーブル20をそれぞれ介してマイクロ波照射手段30または31から照射されるマイクロ波が、開口部130およびその近傍において同位相となるよう、それぞれの同軸ケーブル20を介して照射されるマイクロ波の位相を制御してもよい。なお、かかることは、金型10,10aおよび10bに開口部130が1または2以上設けられている場合においても同様である。また、金型10,10aおよび10bが複数の開口部130を有する場合、マイクロ波の強度分布においてマイクロ波の強度が強くなる開口部130は、複数の開口部130のうちの少なくとも1以上であればよいが、全ての開口部130において強度が強くなるようにすることが好ましい。
なお、上記のように、マイクロ波の位相を制御する場合、例えば、マイクロ波照射手段30または31として、複数の同軸ケーブル20を介してそれぞれ照射されるマイクロ波の位相を制御可能なものを用いるようにすればよい。ここでの位相の制御は、例えば、初期位相の制御と考えてもよい。マイクロ波照射手段30または31が出力する位相が異なるマイクロ波は、例えば、同じ周波数の位相が異なる周波数である。
出力するマイクロ波の位相を制御する場合、半導体型発振器または注入同期型発振器をマイクロ波発振器300として用いることが好ましい。位相を制御可能なマイクロ波発振器300は、例えば、位相器または位相制御器(図示せず)等の位相制御手段を備えたマイクロ波発振器である。位相を制御可能なマイクロ波発振器300は、例えば、半導体型発振器(または注入同期型発振器)と、この半導体型発振器(または注入同期型発振器)が出力するマイクロ波の位相を変更する位相器または位相制御器とを有するマイクロ波発振器である。なお、マイクロ波発振器300が位相制御手段を有していてもよく、マイクロ波照射手段30が、マイクロ波発振器300の後段等に接続された位相制御手段を有していても良い。各マイクロ波発振器300の位相は、例えば、図示しない制御部等により制御される。位相を制御する制御部は、例えば、マイクロ波照射手段30および31が有していてもよい。なお、複数のマイクロ波発振器300のうちの、一部のみを、位相を制御可能なものとしても良い。なお、一のマイクロ波発振器300が出力するマイクロ波を分岐し、分岐した各マイクロ波の位相をそれぞれ異なる位相器または位相制御器(図示せず)で変更して同軸ケーブル20を介して伝送する場合、各位相器または位相制御器をそれぞれ、位相を制御可能な異なるマイクロ波発振器300と考えるようにしてもよい。
なお、複数の位置から照射されるマイクロ波の位相を制御することで容器内等の空間を所望の強度分布とする技術や、異なる位相のマイクロ波を照射する手段等については、公知技術であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
なお、上記実施の形態2においては、上記のように、キャビティ100の設計や、マイクロ波の位相制御等によって、結果的に開口部130およびその近傍においてマイクロ波の強度が強くなるようキャビティ100内にマイクロ波を照射することができるようにした場合においても、少なくとも第一流路111aと第二流路112との接続部114である開口部130cに対しては同軸ケーブル20を介してマイクロ波を照射できるようにすることが好ましい。なお、この開口部130cに照射されるマイクロ波も、例えば、キャビティ100内のマイクロ波の強度分布に寄与するマイクロ波と考えてよい。
なお、上記各実施の形態においては、マイクロ波照射手段30および31として、例えば、複数の同軸ケーブル20をそれぞれ介して、異なる強度のマイクロ波を照射するものを用いても良い。また、マイクロ波照射手段30および31として、各同軸ケーブル20を介してそれぞれ照射されるマイクロ波の強度を経時的に変化させることが可能なものを用いても良く、各同軸ケーブル20を介して照射するマイクロ波のオンとオフとを個別に制御可能なものであっても良い。例えば、同軸ケーブル20と個別に接続されたマイクロ波発振器300が、個別に強度やオン、オフ等を変更可能なものであっても良い。
また、上記各実施の形態において、マイクロ波照射手段30および31は、複数の同軸ケーブル20をそれぞれ介してマイクロ波を照射する期間を異なる期間としても良い。例えば、マイクロ波照射手段30および31は、同軸ケーブル20毎に、マイクロ波を照射する期間を異なる期間としても良い。
また、上記各実施の形態において、マイクロ波照射手段30および31として、複数の同軸ケーブル20をそれぞれ介して異なる周波数のマイクロ波を照射できるものを用いてもよい。例えば、マイクロ波照射手段30および31は、上記実施の形態1と同様に、成形材料の比誘電損失が高くなるように、キャビティ100内に異なる周波数のマイクロ波を照射するようにしても良い。
なお、上記各実施の形態においては、金型10、10aおよび10bを構成する金型部材の数は、2または3以上であればその数は問わない。例えば、金型10,10aおよび10bは、金型を開くことで、成形品が取り外し可能となるよう、2以上の金型部材で構成されていればよい。なお、金型10、10aおよび10bは、キャビティ100で成形された部分だけでなく、流路110で成形された部分も取出し可能な構造の複数の金型部材で構成されていることが好ましい。なお、スプルーやランナーで成形された部分を取り外せるようした複数の金型部材の組み合わせや、このような金型部材の設計等は、公知技術であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
金型10,10aおよび10bが複数の金型部材で構成されている場合、どの金型部材の組合せでキャビティ100や流路110が構成されるかは問わない。例えば、キャビティ100や流路110が、どの金型部材の間に形成されるか等は問わない。また、流路110が、どの金型部材内を通過するか等は問わない。例えば、流路110が、複数の金型部材に挟まれた位置に形成されてもよい。また、どの金型部材に連通孔140が設けられているかは問わない。1または2以上の連通孔140が、例えば、1つの金型部材に設けられていてもよい。また、複数の金型部材に、それぞれ1または2以上の連通孔140が設けられていてもよい。また、1以上の連通孔140が、複数の金型部材を貫通するよう設けられていてもよい。
また、金型10,10aおよび10bが複数の金型部材で構成されている場合において、例えば、どの金型部材を固定型とし、どの金型部材を可動型として用いるかは問わない。また、全ての金型部材を可動型としても用いてもよい。
金型10,10aおよび10bが複数の金型部材で構成されている場合、例えば、各実施の形態における第一の金型部材と第二の金型部材とについての説明や、第二の金型部材を構成する2つの金型部材についての説明等は、適宜、複数の金型部材についての説明に読み替えるようにすればよい。例えば、金型10,10aおよび10bが複数の金型部材で構成されている場合、各実施の形態等における第一の金型部材についての説明を、適宜、複数の金型部材のうちの可動型として用いられる金型部材や、同軸ケーブル20が取付けられる連通孔140を有する金型部材についての説明に読み替え、第二の金型部材についての説明を、適宜、複数の金型10,10aおよび10bのうちの固定型として用いられる金型部材や、同軸ケーブル20が取付けられない金型部材についての説明に読み替えるようにしてもよい。
また、金型10、10aおよび10bは、1または2以上の連通孔140を有していればよい。例えば、金型10、10aおよび10bが有する連通孔140は、複数の連通孔140であってもよい。また、例えば、連通孔111が設けられている金型部材や位置等は問わない。同軸ケーブル20の第一の端部20aが取付けられる連通孔140を有する金型部材は、1つに限定されるものではなく、金型10、10aおよび10bが有する複数の金型部材のうちの1以上であればよい。例えば、連通孔140を有する金型部材は、金型10、10aおよび10bが有する複数の金型部材のうちの一部であっても良く、全てであっても良い。例えば、上記各実施の形態において、1以上の連通孔140を、第二の金型部材12、12aおよび12bに設けてもよい。また、連通孔140が、金型10,10aおよび10bを構成する2以上の金型部材のうちの、固定型に設けられていてもよく、可動型に設けられていてもよく、固定型と可動型との両方に設けられていてもよい。また、第一の金型部材11、11a、11b等の、連通孔140を有する金型部材がそれぞれ有している連通孔140の数は1以上であればよい。また、一の金型10,10aおよび10bの複数の金型部材が連通孔140を有する場合、各金型部材が有する連通孔140の数は、同じであっても異なっていても良い。また、各金型部材に配置されている連通孔140の配置や、連通孔140のサイズ(例えば、径や、長さ等)は、同じであっても良く、異なっていても良い。また、金型10,10aおよび10bが有する1または2以上の連通孔140の配置は、例えば、キャビティ100内におけるマイクロ波が所望の強度分布となるような位置に配置することが好ましい。なお、金型10、10aおよび10bが複数の連通孔140を有する場合、各複数の連通孔140に対応して、成形装置1000〜1002が有するマイクロ波を伝送する手段としての同軸ケーブル20も、複数の同軸ケーブル20であってもよく、マイクロ波照射手段30または31は、この複数の同軸ケーブル20を介して、キャビティ100内にマイクロ波を照射するようにしてもよい。
なお、同軸ケーブル20が取付けられる連通孔140は、固定型である第二の金型部材12、12a、12bに設けるようにしてもよいが、上記実施の形態のように、可動型である第一の金型部材11、11a、11bに設けることが好ましい。通常の金型10,10aおよび10bにおいては、可動型が成形品の裏面側に接する金型部材となるため、連通孔140の跡等が、成形品に残っても成形品の品質に影響が少ないと考えられるからである。また、比較的軽量で薄い可動型に連通孔を設けることで金型10,10aおよび10bに対する加工も固定型に設けるよりも容易になる。
なお、金型10,10aおよび10bが、3以上の金型部材で構成されている場合においても、上記各実施の形態と同様に、同軸ケーブル20が取付けられる連通孔140は、金型10,10aおよび10bを構成する複数の金型部材のうちの、移動可能な金型部材、すなわち可動型に設けられているようにしてもよく、固定型に設けられていてもよい。
なお、金型10,10aおよび10bが有する同軸ケーブル20が取付けられる連通孔140が1つである場合、この同軸ケーブル20を介してマイクロ波照射手段30および31からキャビティ100内に照射されるマイクロ波により、キャビティ100内におけるマイクロ波が所望の強度分布となるように、キャビティ100を設計することが好ましい。この連通孔140は、例えば、開口部130にマイクロ波を照射するための同軸ケーブル20が取付けられる連通孔140であってもよい。
また、金型10,10aおよび10bが、同軸ケーブル20が取付けられる2以上の連通孔140を有する場合、マイクロ波照射手段30および31は、キャビティ100内におけるマイクロ波が所望の強度分布となるよう、キャビティ100内に2以上の同軸ケーブル20を介してそれぞれマイクロ波を照射してもよい。この連通孔140は、例えば、開口部130にマイクロ波を照射するための同軸ケーブル20が取付けられる連通孔140を含んでいてもよく、開口部130にマイクロ波を照射するための同軸ケーブル20が取付けられる連通孔140以外の連通孔140を含んでいてもよい。
例えば、マイクロ波照射手段30および31は、複数の同軸ケーブル20を介してそれぞれキャビティ100内に照射するマイクロ波の強度を異なる強度や同じ強度等となるように個別に設定したり、複数の同軸ケーブル20を介してそれぞれキャビティ100内に照射されるマイクロ波の位相を制御したり、複数の同軸ケーブル20をそれぞれ介してマイクロ波を照射する期間を異なる期間としたりして、キャビティ100内におけるマイクロ波が所望の強度分布となるようにマイクロ波照射をしてもよい。この強度分布は、例えば、上述したような開口部130およびその近傍で局所的にマイクロ波の強度が強くなる分布であってもよい。2以上の連通孔140にそれぞれ取付けられる同軸ケーブル20を介して、キャビティ100内にマイクロ波を照射することで、キャビティ100内のマイクロ波の強度分布等を所望の分布に設定したり、制御したりすることが容易となる。例えば、キャビティ100内のマイクロ波の強度分布を均等にしたり、局所的に強度を強めたりするための、制御や設計が容易となる。また、例えば、開口部130が複数である場合に、それぞれの開口部130に対して、マイクロ波を照射するための設計等が容易になる。
なお、位相を制御して、マイクロ波の強度を局所的に高くなるようにする場合には、同軸ケーブル20が取付けられる連通孔140の数が2または3以上であることがより好ましい。例えば、2または3以上の連通孔140から照射されるマイクロ波が、キャビティ100内の所望の位置において干渉によって強めあうように、それぞれのマイクロ波の位相を制御することで、1以上の開口部130およびその近傍等の所望の位置のマイクロ波の強度を局所的に強めること等が可能となる。
(実施の形態4)
なお、上記各実施の形態において、マイクロ波照射手段30および31が出力するマイクロ波を伝送する伝送手段として同軸ケーブル20を用いる代わりに、フレキシブル導波管を用いるようにしてもよい。
図7(a)は、本発明の実施の形態4にかかる成形装置の第一の例を示す図であり、図においては、金型を断面で表している。この成形装置1000aは、上記実施の形態1において説明した成型装置において、同軸ケーブル20の代わりに、フレキシブル導波管25を用いたものである。なお、図7(a)においては、冷却装置60、供給用チューブ61、および排出用チューブ62の図示は省略している。
フレキシブル導波管25は、例えば、可撓性を有する導波管である。フレキシブル導波管25は、例えば、蛇腹状の金属箔等を側面に有して筒形状に形成された導波管である。フレキシブル導波管の一例については、例えば、以下の非特許文献1を参照されたい。非特許文献1:“方形長尺可とう導波管”、[online]、古川C&B株式会社、[平成30年12月7日検索]、インターネット<URL:https://www.furukawa-fcb.co.jp/product/micro/longpipe.htm>。ただし、本実施の形態において用いられるフレキシブル導波管25は、上記のような構造を有するものに限定されるものではない。ここでは、フレキシブル導波管25として、長手方向に垂直な断面形状が矩形形状であるものを用いた例を示している。ただし、フレキシブル導波管25の断面形状は矩形に限定されるものではなく、例えば、断面形状が角丸の矩形や、楕円形や円形等であってもよい。ここでの断面形状は、例えば、フレキシブル導波管の開口部の断面形状である。フレキシブル導波管25の断面形状と連通孔140の断面形状とは、同形状であることが好ましい。例えば、上記のようにフレキシブル導波管25の断面形状が矩形である場合、連通孔140の断面形状も矩形であることが好ましい。ただし、フレキシブル導波管25と連通孔140との断面形状は異なる形状であってもよい。
フレキシブル導波管25は、同軸ケーブル20と同様に、第一の端部25aが金型10の連通孔140に対して取付けられ、第二の端部25bがマイクロ波照射手段30と接続される。ここでは、第一の端部25aが、金型10の外側の連通孔140により開口している部分を覆うように取付けられている例を示している。これにより、連通孔140とフレキシブル導波管25の第一の端部25aの開口部とが連通している。ただし、フレキシブル導波管25の第一の端部25aの連通孔140への取付け方は、フレキシブル導波管25内を伝送されるマイクロ波が、連通孔140を介して、金型10のキャビティ100内に照射可能となるよう取付けられるものであれば、上記の取付け方に限定されるものではない。例えば、第一の端部25aの連通孔140への取付け方としては、連通孔140への同軸ケーブル20の第一の端部20aの取付け方と同様の取付け方が適宜利用可能である。例えば、同軸ケーブル20の第一の端部20aと同様に、フレキシブル導波管25の第一の端部25aが、連通孔140内に挿入されるよう取付けられていてもよい。また、フレキシブル導波管25の第一の端部25aが、継手(図示せず)等を介して間接的に連通孔140に取付けられていてもよい。また、同軸ケーブル20の第一の端部20aと同様に、フレキシブル導波管25の第一の端部25aに、アンテナ(図示しない)を取付けるようにし、このアンテナが連通孔140内に配置されるようにしてもよい。フレキシブル導波管25は、金型10の可動型に設けられた連通孔140に対して取付けることが好ましい。連通孔140やアンテナ(図示せず)を比較的軽量で薄い可動型に連通孔140を設けるようにすることで金型に対する加工も固定型に設けるよりも容易になる。また、フレキシブル導波管25の第一の端部25aは、連通孔140に対して着脱可能に取付けられることが好ましい。ここでは、第一の端部25aには、フランジ26が設けられており、このフランジ26が、連通孔140により開口している部分の周囲に、ボルト(図示せず)で着脱可能に取付けられているものとする。また、ここでは、フレキシブル導波管25の開口部と、連通孔140の第一の端部25a側の開口部とは、同形状かつ同サイズであり、開口部同士が重なり合うよう取付けられているものとする。この開口部同士は同形状でなくても良く、同サイズでなくても良い。また、フレキシブル導波管25を着脱可能に取付けるための構造等は、上記に限定されるものではない。なお、ここでは、例えば、連通孔140は、導波管の一部として機能する。このため、連通孔140のサイズや形状は、マイクロ波照射手段30が照射するマイクロ波を伝送可能なサイズや形状とすることが好ましい。
なお、連通孔140のキャビティ100側に、栓状部材50を設ける代わりに、フレキシブル導波管25の第一の端部25aの開口部が、キャビティ100の内面と同じ高さ、あるいはほぼ同じ高さとなるように、第一の端部25aを連通孔140内に挿入して取付けるようにし、第一の端部25aの開口部を、栓状部材50と同様の材料の部材で塞ぐようにしても良い。
フレキシブル導波管25の第二の端部25bと、マイクロ波照射手段30とは、マイクロ波照射手段30が出力するマイクロ波が、フレキシブル導波管25内に伝送されるよう接続されれば、どのように接続されるかは問わない。例えば、フレキシブル導波管25の第二の端部25bは、形状を変形させることができない導波管(図示せず)や、同軸ケーブル等を介して、マイクロ波照射手段30と接続されていてもよい。ここでのフレキシブル導波管25の第二の端部25bと、マイクロ波照射手段30との接続は、例えば、マイクロ波照射手段30が有するマイクロ波発振器300の接続と考えてもよい。
なお、金型10に設けられた2以上の連通孔140のそれぞれに対して、2以上のフレキシブル導波管25がそれぞれ取付けられている場合において、上記各実施の形態と同様に、マイクロ波照射手段30が、2以上のフレキシブル導波管25のそれぞれに対して接続された複数のマイクロ波発振器300を有しているようにしても良い。これにより、マイクロ波照射手段30が、各マイクロ波発振器300が出力するマイクロ波を、各マイクロ波発振器300と接続されたフレキシブル導波管に伝送させて、各フレキシブル導波管25が取付けられた2つの連通孔140からキャビティ100内にマイクロ波を照射するようにしても良い。
また、金型10に設けられた2以上の連通孔140のそれぞれに対して、2以上のフレキシブル導波管25がそれぞれ取付けられている場合において、上記各実施の形態と同様に、マイクロ波照射手段30が有するマグネトロンや半導体型発振器等の一のマイクロ波発振器300が、導波管用の分岐器(図示せず)や分配器(図示せず)等の分岐手段等を介して、2以上のフレキシブル導波管25に接続されるようにしてもよい。これにより、マイクロ波照射手段30が、一のマイクロ波発振器300が出力するマイクロ波を分岐して、2以上のフレキシブル導波管25に伝送させて、各フレキシブル導波管25が取付けられた2つの連通孔140からキャビティ100内にマイクロ波を照射するようにしても良い。なお、分岐手段と、マイクロ波発振器300とは、直接接続されていても良く、導波管等を介して接続されていても良く、その接続がどのような接続であるかは問わない。
なお、例えば、入力されるマイクロ波から異なる強度のマイクロ波をそれぞれ取り出す分岐器を用いてマグネトロンや半導体型発振器等のマイクロ波発振器300が出力するマイクロ波を分岐することで、分岐されたマイクロ波の強度を異なる強度としてもよい。また、マグネトロンや半導体型発振器等の一のマイクロ波発振器300と分岐手段(図示せず)等を介して接続された2以上のフレキシブル導波管25の長さを異なる長さとすることで、分岐後に各フレキシブル導波管25を伝送されてキャビティ100内に照射されるマイクロ波の位相を異なる位相としてもよい。また、マグネトロンや半導体型発振器等の一のマイクロ波発振器300が出力するマイクロ波を分岐手段等を用いて分岐してそれぞれをフレキシブル導波管25に伝送させるようにするとともに、分岐したマイクロ波の少なくとも1以上については、位相を導波管型の位相器または位相制御器を用いて変更してフレキシブル導波管25に伝送させるようにすることで、キャビティ100内に照射されるマイクロ波の位相を異なる位相としてもよい。また、同様に分岐したマイクロ波の少なくとも1以上については増幅器で増幅してフレキシブル導波管25に伝送させることで、分岐されたマイクロ波の強度を異なる強度としてもよい。また、マグネトロンや半導体型発振器等の一のマイクロ波発振器300と分岐手段等を介して接続された2以上のフレキシブル導波管25の少なくとも一方に、マイクロ波の伝送を必要に応じて遮断できる遮断手段を設けることで、各フレキシブル導波管25からキャビティ100内にマイクロ波を照射する期間を異なる期間としてもよい。
なお、上記においては、実施の形態1において説明した成形装置1000の同軸ケーブル20の代わりにフレキシブル導波管25を用いた場合について説明したが、実施の形態2において説明した成形装置1001および実施の形態3において説明した成形装置1002において、同軸ケーブル20の代わりにフレキシブル導波管25を用いるようにしてもよい。
図7(b)は、本発明の実施の形態4にかかる成形装置の第二の例を示す図であり、図において、金型部分を断面で表している。この成形装置1001aは、上記実施の形態2において説明した射出成形を行う成型装置において、同軸ケーブル20の代わりに、フレキシブル導波管25を用いたものである。フレキシブル導波管25の金型10aへの取付け方や、フレキシブル導波管25のマイクロ波照射手段31への取付け方等については、上記の第一の例と同様であるため、ここでは説明は省略する。なお、図7(b)においては、冷却装置60、供給用チューブ61、および排出用チューブ62の図示は省略している。
図8(c)は、本発明の実施の形態4にかかる成形装置の第三の例を示す図であり、図において、金型部分を断面で表している。また、図8(d)は、この第三の例の金型の、図7(b)に相当する断面図である。この成形装置1002aは、上記実施の形態3において説明した射出成形を行う成型装置において、同軸ケーブル20の代わりに、フレキシブル導波管25を用いたものである。フレキシブル導波管25の金型10aへの取付け方や、フレキシブル導波管25のマイクロ波照射手段31への取付け方等については、上記の第一の例と同様であるため、ここでは説明は省略する。なお、図7(c)においては、冷却装置60、供給用チューブ61、および排出用チューブ62の図示は省略している。
以上、本実施の形態の成形装置においては、フレキシブル導波管25を介して、金型10,10aおよび10bのキャビティ100内にマイクロ波を照射することにより、同軸ケーブルを用いた場合と同様に、金型10,10aおよび10bを用いてマイクロ波を照射した成形材料の成形を適切に行うことができる。また、フレキシブル導波管25は同軸ケーブルに比較してマイクロ波の減衰が小さいことから、高いエネルギー効率で成形が可能である。
また、成型の前後には、金型10,10aおよび10bを構成する1以上の金型部材を移動させる必要があるが、本実施の形態においては、マイクロ波照射手段30および31が出力するマイクロ波の伝送路として、同軸ケーブル20と同様に、フレキシブルに曲げたり伸したりすることができるフレキシブル導波管25を用いることにより、形状が固定され、変更させることができない導波管を伝送路として用いる場合とは異なり、例えば、連通孔140が設けられた金型部材を動かす際に、金型部材とともに、マイクロ波照射手段30および31を動かさなくても、フレキシブル導波管25を曲げたり伸したりすることで、金型部材を動かすことが可能となり、利便性が向上するとともに、マイクロ波照射手段30および31を移動させるための手段等が不要となり、成形装置を備えたシステム全体を小型化することができる。
また、上記実施の形態においては、マイクロ波照射手段30および31が出力するマイクロ波を伝送するための手段が、フレキシブル導波管25である成形装置について説明したが、マイクロ波照射手段30および31が出力するマイクロ波を伝送するための手段は、可変導波管であればよい。可変導波管は、例えば、上述したフレキシブル導波管25や、導波管の長さを伸縮するためのスライド機構を有するスライド式導波管(図示せず)等の、マイクロ波が伝送可能で、マイクロ波の伝送路の形状が変形可能な導波管である。マイクロ波の伝送路の形状が変更可能であるということは、例えば、伝送路の形状が可撓性を有するということや、伸縮性を有するということである。例えば、フレキシブル導波管25は、可撓性を有する可変導波管である。また、スライド式導波管(図示せず)は、伸縮性を有する可変導波管である。スライド式導波管のスライド機構は、例えば、ズームレンズや望遠鏡等と同様の、管や筒の伸縮機構であっても良い。スライド式導波管については、特許文献である特開平8−288710号公報を参照されたい。このような可変導波管を、マイクロ波照射手段30および31が出力するマイクロ波を伝送する手段として用いることで、上記各実施の形態と同様に、例えば、連通孔140が設けられた金型部材を動かす際に、金型部材とともにマイクロ波照射手段30および31を動かさなくても、可変導波管を、曲げたり伸したり、金型部材の移動方向においてスライド機構をスライドさせて伸縮させたりすることで、金型部材を動かすことが可能となり、利便性が向上するとともに、マイクロ波照射手段30および31を移動させるための手段等が不要となり、成形装置を備えたシステム全体を小型化することができる。なお、可変導波管は、第一の端部が金型10,10aおよび10bの連通孔に取付けられ、第二の端部がマイクロ波出力手段に接続される。例えば、可変導波管の第二の端部がマイクロ波出力手段が有するマイクロ波発振器と接続される。また、金型10,10aおよび10bと接続される2以上の可変導波管は、分配器等の分岐手段(図示せず)で分岐したものであっても良い。
また、上記各実施の形態においては、マイクロ波照射手段30および31が出力するマイクロ波を伝送するための手段が、同軸ケーブル20や、フレキシブル導波管等の可変導波管である成形装置について説明したが、マイクロ波照射手段30および31が出力するマイクロ波を伝送するための手段は、可変伝送手段であれば上記の構成に限定されるものではない。可変伝送手段は、例えば、同軸ケーブル20や可変導波管等の、マイクロ波が伝送可能で、マイクロ波の伝送路の形状が変形可能な手段である。マイクロ波の伝送路の形状が変更可能であるということは、上記と同様に、例えば、伝送路の形状が可撓性を有するということや、伸縮性を有するということである。例えば、この可変伝送手段の第一の端部が金型10,10aおよび10bの連通孔に取付けられ、第二の端部がマイクロ波出力手段に接続される。例えば、可変伝送手段の第二の端部がマイクロ波出力手段が有するマイクロ波発振器と接続される。
このような可変伝送手段を、マイクロ波照射手段30および31が出力するマイクロ波を伝送する手段として用いることで、上記各実施の形態と同様に、例えば、連通孔140が設けられた金型部材を動かす際に、金型部材とともにマイクロ波照射手段30および31を動かさなくても、可変伝送手段を、曲げたり伸したり、金型部材の移動方向においてスライド機構をスライドさせて伸縮させたりすることで、金型部材を動かすことが可能となり、利便性が向上するとともに、マイクロ波照射手段30および31を移動させるための手段等が不要となり、成形装置を備えたシステム全体を小型化することができる。
このような可変伝送手段を用いた成形装置においても、上記各実施の形態と同様に、マイクロ波照射手段30および31が、キャビティ内におけるマイクロ波が所望の強度分布となるよう、複数の可変伝送手段を介してそれぞれキャビティ100内にマイクロ波を照射してもよい。また、上記各実施の形態と同様に、マイクロ波照射手段30および31が、複数の可変伝送手段を介して、位相を制御したマイクロ波をそれぞれキャビティ100内に照射するようにしてもよい。なお、キャビティ内の所望の強度分布は、例えば、キャビティの形状および複数の連通孔140の配置等によって設定してもよく、複数の可変伝送手段を介してそれぞれ照射されるマイクロ波の位相を制御して設定しても良い。また、上記各実施の形態と同様に、複数の可変伝送手段を介して、異なる出力のマイクロ波をキャビティ100内に照射するようにしてもよい。また、上記各実施の形態と同様に、複数の可変伝送手段を介して、照射する期間がそれぞれ異なるマイクロ波の照射をキャビティ100内に行うようにしてもよい。
なお、金型10,10aおよび10bと接続される2以上の可変伝送手段は、上述した同軸ケーブル20やフレキシブル導波管25等と同様に、分配器等の分岐手段(図示せず)で分岐したものであっても良い。また、分岐した可変伝送手段にそれぞれ伝送されるマイクロ波の少なくとも一方を、上記の同軸ケーブル20やフレキシブル導波管25の場合と同様に増幅して異なる強度のマイクロ波が出力されるようにしても良い。また、分岐した可変伝送手段にそれぞれ伝送されるマイクロ波の少なくとも一方の位相を、上記の同軸ケーブル20やフレキシブル導波管25の場合と同様に位相器等を用いて制御してキャビティ内に出力されるマイクロ波の位相を異なる位相としても良い。また、分岐した可変伝送手段にそれぞれ伝送されるマイクロ波の少なくとも一方を、予め決められた一定または不定のタイミング等で遮断したりすること等により、マイクロ波が照射される期間を異なる期間としても良い。
なお、可変伝送手段は、異なる構造の可変伝送手段(例えば、同軸ケーブルとフレキシブル導波管)を、マイクロ波が伝送可能となるよう接続したものであっても良い。また、可変伝送手段は、伝送路の形状が可変である部分と、形状が可変でない部分とを有する手段であっても良い。ただし、このような可変伝送手段は、形状が可変である部分の形状が変形すること(例えば、曲がったり、伸縮したりすること)によって、可変伝送手段を取り外すことなく、連通孔140が設けられた金型部材等を移動させることが可能となるようになっているものであることが好ましい。例えば、同軸ケーブルおよび可変導波管の少なくとも一方と、可変導波管以外の形状が可変ではない導波管等の、形状が固定された伝送手段とを、マイクロ波が伝送可能となるよう接続したものを、伝送路の形状が可変である部分と、形状が可変でない部分とを有する可変伝送手段と考えてもよい。
なお、上記各実施の形態においては、マイクロ波のキャビティ100への伝送に、可変伝送手段を用いることが好ましいが、通常の形状を変更できない導波管等の可変伝送手段以外の伝送手段を用いてもよい。例えば、通常の形状を変更できない導波管を伝送手段として用いた場合においても、マイクロ波を照射する際等には上記各実施の形態と同様の機能を果たすことができる。つまり、マイクロ波照射手段30および31が出力するマイクロ波を伝送するための手段は、伝送手段であればよく、上記のような可変伝送手段に限定されるものではない。なお、通常の形状を変更できない導波管は、例えば、上述したフレキシブル導波管と同様に、金型10,10aおよび10bおよびマイクロ波照射手段30および31に取付けるようにすればよい。
ただし、形状が固定された一般的な導波管(図示せず)等の可変ではない伝送手段を用いた場合、伝送手段をフレキシブルに曲げたり伸したりすることができず、また、伝送手段の長さやサイズ等も、伝送するマイクロ波の周波数によって制限される。このため、可変伝送手段以外の伝送手段を、マイクロ波照射手段30および31と可動型である金型部材との接続に用いる場合、例えば、可動型を移動させる際に、マイクロ波照射手段30および31と伝送手段とを可動型とともに移動させたり、可動型を取り外し可能としたりするなどの構造が必要となる。このため、構成が複雑化し、可動部である金型部材からマイクロ波照射を行えるようにする構成は容易に得られないと考えられる。これに対し、上記のように、フレキシブルな同軸ケーブル20等の可変伝送手段を用いる場合、マイクロ波照射手段30および31の配置等を移動させたり、伝送手段を取り外したりすることなく、可動型だけを移動させることが可能となり、可動型である金型部材から容易にマイクロ波照射を行えるようにすることができる。このため、可動型に伝送手段を取付ける場合、伝送手段は、可変伝送手段であることが好ましい。
また、形状が固定された一般的な導波管(図示せず)等の可変ではない伝送手段において、伝送するマイクロ波の周波数毎に、その断面形状や断面のサイズ、長さ等が決まってしまう。このため、このような可変ではない伝送手段を用いた場合、可変伝送手段である同軸ケーブルを用いた場合に比べて、伝送可能な周波数の範囲が狭く、同軸ケーブルほどには、周波数を大きく変更することはできない。したがって、形状が固定された一般的な導波管等の可変ではない伝送手段と取付けられた金型10,10aおよび10bで周波数が大きく異なるマイクロ波を照射するためには、金型10,10aおよび10bを作り替える必要がある。また、同軸ケーブルを用いた場合のように、一の金型10,10aおよび10bを用いて成形を行っている途中に周波数を大きく変更することが同軸ケーブルを用いた場合に比べて困難となることが考えられる。従って、周波数を変更する場合等においては、伝送手段としては、可変伝送手段を用いることが好ましく、より好ましくは同軸ケーブルを用いることが好ましい。
なお、上記各実施の形態においては、成形装置が、横型の射出成形装置である場合を例に挙げて説明したが、成形装置は、金型を利用して射出成形を行う装置であれば、これらの装置に限定されるものではない。例えば、成形装置は、縦型の射出成形装置であっても良い。
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。