JP2020146701A - 溶接用治具装置、部品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】溶接の品質を安定化する。【解決手段】複数の部材Wを互いに溶接することにより形成される部品5の溶接に用いられる治具装置であって、重ねられた複数の部材Wにおける表側に露出する面のうち一方の面W11に接する一方側接合面12を有し、部品5における所望の溶接部位53に対応する開口部13が設けられている一方側治具10と、複数の部材Wにおける表側に露出する面のうち他方の面W21に接する他方側接合面22を有する他方側治具20と、一方側接合面12における開口部13の位置と他方側接合面22との間に配置されている弾性体40と、を備える。【選択図】図1
Description
本発明は、溶接用治具装置、部品の製造方法に関する。
従来から、例えば燃料電池用の部品である燃料電池セルのように、金属製の複数の板状の部材を溶接により接合して形成される部品(以下、単に「部品」ともいう。)が知られている。燃料電池セルのような部品は、部材の接合のみならず、部品の内部における反応ガスの流通経路も溶接により形成される。この流通経路は、気密性を確保するために、部材に設けられている貫通孔の周囲に沿って閉回路状に溶接されることにより形成される。
なお、上述のような金属製の複数の部材を溶接することにより閉回路が形成される部品を溶接するための技術として、溶接用治具装置あるいは燃料電池関連部品の製造方法などが知られている(例えば特許文献1及び2参照)。特許文献1及び2では、溶接部位を指定するために、溶接部位に対応している開口部が設けられている溶接用治具装置が開示されている。
ところで、治具を用いて溶接作業を行う場合に、治具には、溶接時に部材の一部が溶融して生成されたスパッタやヒュームなどの異物が付着しやすい。このような異物は、特に治具における部材の溶接部位の付近に付着しやすい。従来の溶接用治具装置は、治具に付着した異物により、製作時の形状から変形するため、治具としての精度が低下してしまっていた。また、治具は、付着した異物を除去しても、異物の除去作業により治具の形状が変形する場合があり、この場合にも治具としての精度が低下してしまっていた。
また、溶接用治具装置は、治具と部材、あるいは複数の治具相互の位置ずれを防止するために、治具を固定する必要がある。しかしながら、従来の溶接用治具装置は、治具の固定作業を繰り返すと、治具に加わる応力により治具が変形してしまう場合があった。
以上のように、従来の溶接用治具装置は、治具に変形が生じることにより、例えば治具によって保持されている複数の部材に間隔が生じてしまい、適切な溶接作業を行うことができない場合があった。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、溶接の品質を安定化することができる溶接用治具装置、及び、部品の製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係る溶接用治具装置は、複数の部材を互いに溶接することにより形成される部品の溶接に用いられ、重ねられた前記複数の部材における表側に露出する面のうち一方の面に接する一方側接合面を有し、前記部品における所望の溶接部位に対応する開口部が設けられている一方側治具と、前記複数の部材における表側に露出する面のうち他方の面に接する他方側接合面を有する他方側治具と、前記一方側接合
面における前記開口部の位置と前記他方側接合面との間に配置されている弾性体と、を備える。
面における前記開口部の位置と前記他方側接合面との間に配置されている弾性体と、を備える。
また、本発明の一態様に係る溶接用治具装置において、前記弾性体は、前記一方側接合面と前記他方側接合面との間において前記複数の部材と接する。
また、本発明の一態様に係る溶接用治具装置において、前記他方側治具は、前記一方側治具における前記開口部に対応する位置に前記複数の部材を保持する部材保持部が設けられていて、前記弾性体は、前記部材保持部の位置に配置されている。
また、本発明の一態様に係る溶接用治具装置において、前記部材保持部は、前記開口部を透過したレーザ光が到達する溝状の透過部を備える。
また、本発明の一態様に係る溶接用治具装置において、前記弾性体は、ゴム系の材料である。
また、本発明の一態様に係る溶接用治具装置において、前記一方側治具は、前記開口部が前記溶接部位のうち一部に対応し、前記他方側治具は、前記溶接部位のうち前記開口部に対応しない部分に対応する他方側開口部を備える。
上記目的を達成するために、本発明に係る部品の製造方法は、複数の部材を重ねてこの複数の部材を互いに溶接することにより形成される部品の製造方法であって、前記部品における所望の溶接部位に対応する開口部が設けられている一方側治具と、前記複数の部材における表側に露出する面のうち他方の面に接する他方側接合面を有する他方側治具との間において、前記複数の部材を保持する工程と、前記開口部から前記複数の部材を溶接する工程と、を実行し、前記複数の部材を保持する工程では、前記複数の部材と前記他方側接合面との間に弾性体を配置する。
本発明に係る溶接用治具装置及び部品の製造方法によれば、溶接の品質を安定化することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。以下の実施の形態において、本発明に係る溶接用治具装置が、複数の金属製の部材を重ねて接合して製造される部品の一例である燃料電池セルの製造方法に用いられる例について説明する。
[溶接用治具装置]
まず、本発明の溶接用治具装置の実施の形態について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る溶接用治具装置1の概略構成を示すための、正面図である。図2は、溶接用治具装置1の概略構成を示すための、平面図である。図3は、溶接用治具装置1の一方側治具10の部分平面図である。図4は、溶接用治具装置1の一方側治具10及び他方側治具20のA−A断面図である。図5は、溶接用治具装置1の一方側治具10及び他方側治具20のA−A断面の部分拡大図である。図6は、溶接用治具装置1により製造される部品5の概略構成を示すための、平面図である。
まず、本発明の溶接用治具装置の実施の形態について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る溶接用治具装置1の概略構成を示すための、正面図である。図2は、溶接用治具装置1の概略構成を示すための、平面図である。図3は、溶接用治具装置1の一方側治具10の部分平面図である。図4は、溶接用治具装置1の一方側治具10及び他方側治具20のA−A断面図である。図5は、溶接用治具装置1の一方側治具10及び他方側治具20のA−A断面の部分拡大図である。図6は、溶接用治具装置1により製造される部品5の概略構成を示すための、平面図である。
図1乃至図6に示すように、本発明の実施の形態に係る溶接用治具装置1は、複数の部材Wを互いに溶接することにより形成される部品5の溶接に用いられる治具装置であって、重ねられた複数の部材Wにおける表側に露出する面のうち一方の面W11に接する一方側接合面12を有し、部品5における所望の溶接部位53に対応する開口部13が設けられている一方側治具10と、複数の部材Wにおける表側に露出する面のうち他方の面W21に接する他方側接合面22を有する他方側治具20と、一方側接合面12における開口部13の位置と他方側接合面22との間に配置されている弾性体40と、を備える。以下、溶接用治具装置1の構造を具体的に説明する。
以下、説明の便宜上、図1乃至図6における溶接用治具装置1における一方側治具10及び他方側治具20の面に沿った軸線x1の方向(以下、軸線方向ともいう。)と平行な方向をx軸方向とする。x軸方向は、左右方向ともいう。また、図1乃至図6における溶接用治具装置1の軸線x1に直交する方向のうち一方(y軸方向)を前後方向とする。さらに、図1乃至図6における溶接用治具装置1の軸線x1に直交する方向のうち他方(z軸方向)を上下方向とする。以下の説明において、各構成要素の位置関係や方向を右側、左側、前側、後側、上側、下側として説明するときは、あくまで図面における位置関係や方向を示し、実際の溶接用治具装置における位置関係や方向を限定するものではない。
図1に示すように、溶接用治具装置1は、ともに金属製の複数の部材Wを溶接により接合して部品5を製造する際に用いられる。図6に示すように、溶接用治具装置1により部材Wを接合して製造された部品5は、図1などに示した部材Wを接合した部品本体51と、部品本体51の厚み方向を貫通している開口部52とを備える。また、部品5は、複数の部材Wが溶接により互いに接合されている部位である溶接部位53を備える。溶接部位53は、例えば環状の閉じた経路を形成している。
レーザ溶接機2は、部材Wなどの接合対象の部材(ワーク)にレーザ光を照射して、部材を溶接する。レーザ溶接機2は、媒体としてYAG(Yttrium Aluminum Garnet)を用
いるYAGレーザ光源を備える。レーザ溶接機2は、例えば出力が500W程度であり波長が1070nm程度の赤外線領域のレーザ光を部材Wに向けて照射する。レーザ溶接機2は、レーザ光を部材Wの上において走査するための走査光学系として不図示のガルバノミラーなどのレーザ光反射鏡を備える。レーザ溶接機2が備えるガルバノミラーの走査範囲は、例えばxy平面において180mm四方の範囲である。レーザ溶接機2は、部材Wの全体にわたってレーザ光を照射することができるように、不図示の駆動機構により部材Wの面に沿ってxy平面上を移動可能に構成されている。
いるYAGレーザ光源を備える。レーザ溶接機2は、例えば出力が500W程度であり波長が1070nm程度の赤外線領域のレーザ光を部材Wに向けて照射する。レーザ溶接機2は、レーザ光を部材Wの上において走査するための走査光学系として不図示のガルバノミラーなどのレーザ光反射鏡を備える。レーザ溶接機2が備えるガルバノミラーの走査範囲は、例えばxy平面において180mm四方の範囲である。レーザ溶接機2は、部材Wの全体にわたってレーザ光を照射することができるように、不図示の駆動機構により部材Wの面に沿ってxy平面上を移動可能に構成されている。
なお、レーザ溶接機2は、以上説明したレーザ溶接機2の構成には限定されず、様々な溶接機により溶接される部品の製造方法に用いることができる。例えば、溶接機は、炭酸ガスレーザ溶接機であってもよい。
溶接用治具装置1は、一方側治具10と他方側治具20と治具架台部30とを備える。
一方側治具10及び他方側治具20は、赤外レーザ光に対する耐久性や耐熱性に優れた金属または樹脂で形成されている。図1に示すように、一方側治具10及び他方側治具20は、一方側接合面12と他方側接合面22とが互いに向かい合うように接合されて板状の治具架台部30など適宜な部材に架設されている。一方側治具10及び他方側治具20は、使用状態において、一方側接合面12と他方側接合面22との間に、溶接する対象である複数の部材Wを重ねて保持している。図2では、一方側治具10と他方側治具20との間に保持されている部材Wの仮想的な外形線の位置を実線で示している。また、図2では、部材Wにおける溶接部位53を二点鎖線で示している。一方側治具10及び他方側治具20は、使用状態において、左右方向及び前後方向の位置ずれを防止するために、一方側治具10と他方側治具20とを互いに係合する位置決めピン17が設けられている。
次に、一方側治具10及び他方側治具20の具体的な構造について、図3乃至図5を参照して説明する。図3では、図2において一点鎖線で示した一方側治具10の一部の領域S1について、上側から下側に向かって見た状態を示している。また、図4は、一方側治具10及び他方側治具20を接合した状態における領域Sを前側から後側に向かって見た断面図である。また、図5は、図4において一点鎖線で示した一方側治具10及び他方側治具20の一部の領域S2について拡大して示す断面図である。
図3及び図4に示すように、一方側治具10は、他方側治具20とともに板状の部材Wにおける溶接部位53以外を覆うことができるような形状を有している。一方側治具10は、具体的には、第1治具本体11Aと、第2治具本体11Bと、一方側接合面12と、開口部13と、開口部傾斜面14と、一方側外側面18とを備える。
治具本体11は、一方側治具10の概略の形状を定めている。治具本体11は、一方側治具10を用いて溶接を行う部材Wの形状に対応して、板状の概略形状を有している。
図3及び図4に示すように、溶接用治具装置1は、環状の溶接部位53を溶接するために、治具本体11が、第1治具本体11Aと、部品5における所望の溶接部位53のうち環状の溶接部位に対応する開口部13を構成するための第2治具本体11Bとの2つの部材により構成されている。一方側治具10は、治具本体11が第1治具本体11A及び第2治具本体11Bの組み合わせにより構成されることで、環状の溶接部位53に対応する開口部13、開口部傾斜面14を構成している。第2治具本体11Bと他方側治具20は、ピン孔115,125と位置決めピン116との組み合わせ、及びボルト118とボルト孔128との組み合わせにより固定されている。溶接用治具装置1において、治具本体11は、上述のように2つの部材で形成されているものには限定されない。
一方側接合面12は、治具本体11において、部材Wにおける表側に露出している面W11と接することができるように形成されている。一方側接合面12は、一方側治具10において、後述する他方側治具20の他方側接合面22と対向することができるように形成されている。一方側接合面12は、例えば、部材Wの形状に対応した凹凸形状を有している。
開口部13は、治具本体11において厚み方向、つまり一方側接合面12側(内側)と反対側(外側)の面である一方側外側面18との間を貫通している長孔である。開口部1
3は、溶接用治具装置1に部材Wを保持させて製造される部品5における所望の溶接部位53に対応して設けられている。開口部13は、一方側外側面18に対して拡径しながら開口している。治具本体11において、開口部13の周囲には、開口部傾斜面14が設けられている。開口部傾斜面14は、治具本体11の厚み方向の断面においてz軸に対して所定の角度の傾斜を有する面として形成されている。開口部傾斜面14の傾斜は、レーザ溶接機2から照射されるレーザ光が開口部13を介して部材Wに入射しやすいように設けられている。
3は、溶接用治具装置1に部材Wを保持させて製造される部品5における所望の溶接部位53に対応して設けられている。開口部13は、一方側外側面18に対して拡径しながら開口している。治具本体11において、開口部13の周囲には、開口部傾斜面14が設けられている。開口部傾斜面14は、治具本体11の厚み方向の断面においてz軸に対して所定の角度の傾斜を有する面として形成されている。開口部傾斜面14の傾斜は、レーザ溶接機2から照射されるレーザ光が開口部13を介して部材Wに入射しやすいように設けられている。
開口部13及び開口部傾斜面14のうち、部品5における環状の溶接部位53に対応する部分は、第1治具本体11A、及び第2治具本体11Bにより構成されている。開口部13及び開口部傾斜面14のうち、環状の溶接部位53以外の部分は、第1治具本体11Aのみにより構成されている。
他方側治具20は、一方側治具10に接合し、板状の部材Wを保持することができるような形状を有している。他方側治具20は、具体的には、治具本体21と、他方側接合面22と、部材保持部23と、透過部26と、他方側外側面28とを備える。
治具本体21は、他方側治具20の概略の形状を定めている。治具本体21は、治具本体11と同様に、他方側治具20を用いて溶接を行う部材Wの形状に対応して、板状の概略形状を有している。他方側接合面22は、治具本体11において、部材Wにおける表側に露出している面W21と接することができるように形成されている。他方側接合面22は、治具本体11において、一方側治具10と対向することができるように形成されている。他方側治具20は、例えば、部材Wの形状に対応した凹凸形状を有している。
部材保持部23は、治具本体21において一方側治具10の開口部13の位置に対応して設けられている。部材保持部23は、換言すれば、治具本体21において溶接用治具装置1に部材Wを保持させて製造される部品5における所望の溶接部位53に対応する位置に設けられている。部材保持部23は、治具本体21の厚み方向において、他方側接合面22側から一方側接合面12(上側)に向かって所定の高さを有する台座状に形成されている。部材保持部23は、一方側治具10と他方側治具20との間において、複数の部材Wを保持している。なお、部材保持部23は、一方側接合面12と他方側接合面22と間において複数の部材Wに間隔が生じることを防ぐことができればよい。このため、部材保持部23の有無、形状、あるいは高さなどは上述の例には限定されない。
透過部26は、治具本体21において部材保持部23の位置に設けられている。透過部26は、換言すれば、治具本体21において一方側治具10の開口部13に対応する位置に設けられている。透過部26は、治具本体21の厚み方向において、他方側接合面22側(内側)から他方側外側面28に向かって所定の深さを有する溝状の長穴である。なお、透過部26は、治具本体21の厚み方向において、他方側接合面22側(内側)と反対側(外側)の他方側外側面28との間を貫通している長孔であってもよい。
弾性体40は、他方側接合面22の上側、つまり一方側接合面12に面する側に配置されている。弾性体40は、具体的には一方側治具10の開口部13の位置である部材保持部23の上側に設けられている。弾性体40は、例えばゴム系の材料により形成されている、薄肉のシート状の部材である。弾性体40は、細幅の部材保持部23の幅に対応した細幅のテープ状に形成されていてもよい。
なお、弾性体40は、少なくともレーザ溶接機2からのレーザ光が入射する溶接部位53の位置に設けられていればよいため、例えば他方側接合面22を全体にわたって覆うシート状の弾性部材であってもよい。
[溶接用治具装置を使用した部品の製造方法]
次に、以上構成を説明した溶接用治具装置1を使用して実行される、本発明の部品の製造方法の実施の形態について説明する。
次に、以上構成を説明した溶接用治具装置1を使用して実行される、本発明の部品の製造方法の実施の形態について説明する。
図7は、本発明の実施の形態に係る部品の製造方法における開口部13から部材Wを溶接する工程を示すための、模式図である。また、図8は、図7に示す模式図の部分拡大図である。
複数の部材Wを重ねてこの複数の部材Wを互いに溶接することにより形成される図6に示した部品5の製造方法では、図7及び図8に示すように、部品5における所望の溶接部位53に対応する開口部13が設けられている一方側治具10と、複数の部材Wにおける表側に露出する面のうち他方の面W21に接する他方側接合面22を有する他方側治具20との間において、複数の部材Wを保持する工程(以下「工程1」)と、開口部13から複数の部材Wを溶接する工程(以下「工程2」)と、を実行し、複数の部材Wを保持する工程2では、複数の部材Wと他方側接合面22との間に弾性体40を配置する。以下、溶接用治具装置1を用いて行う部品の製造方法を具体的に説明する。
工程1では、溶接用治具装置1の一方側治具10における一方側接合面12と他方側治具20における他方側接合面22との間に、溶接を行う対象である複数の部材Wを保持させる。工程1において、板状の部材Wは、一方側接合面12と他方側接合面22との間に挟まれることにより、一方側治具10と他方側治具20との間で位置が固定される。一方側治具10と他方側治具20とは、図2に示した一方側治具10と他方側治具20とを互いに係合する位置決めピン17により、左右方向及び前後方向の位置ずれが防止されている。また、溶接用治具装置1において、一方側治具10と他方側治具20とによって、治具の間に溶接する部材Wが固定されるため、溶接時の熱による部材Wの歪みを抑制されている。他方側接合面22は、部材保持部23を有するため、厚み方向における複数の部材Wの間に隙間が生じることを防ぐことができる。このため、溶接用治具装置1によれば、品質の高い溶接による部品5の接合を行うことができる。
図7に示すように、工程2では、一方側治具10と他方側治具20との間に部材Wを保持した溶接用治具装置1において、一方側治具10の上側に設けられているレーザ溶接機2からレーザ光Bが照射される。具体的には、溶接用治具装置1において、一方側治具10は、一方側接合面12が設けられている面とは反対側の面である一方側外側面18とレーザ溶接機2とが向かい合う。このため、レーザ光Bは、上述したガルバノミラーの走査範囲LAの範囲において、一方側治具10の開口部13を透過して、一方側治具10における一方側接合面12の内側に保持されている部材W上の溶接部位53に照射される。また、レーザ溶接機2は、不図示の駆動機構により所定の可動領域Mにおいて部材Wの面に沿ってxy平面上を移動可能に構成されている。このため、レーザ溶接機2は、部材Wの全体にわたって設けられている開口部13に対応した溶接部位53に対してレーザ光Bを照射することができる。
図8に示すように、工程2では、複数の部材Wと部材保持部23との間に弾性体40が配置されている状態において、複数の部材Wをレーザ光Bにより溶接している。弾性体40は、開口部13の下側、つまり部品5の溶接部位53に対応する位置に配置されている。弾性体40は、この位置において、他方側治具20における部材保持部23の上に配置されている。弾性体40は、部材Wの厚み方向(高さ方向)において、一方側接合面12と他方側接合面22との間に配置されている。ここで、部材Wの厚み方向は、溶接時にレーザ光Bが貫通する方向である。このため、弾性体40は、一方側接合面12と他方側接合面22との間において複数の部材Wにおける表側に露出している面のうち他方側接合面
22に面している面W21に対して弾性力を発揮するように接している。
22に面している面W21に対して弾性力を発揮するように接している。
また、弾性体40は、他方側接合面22において、他の部分よりも高い位置、つまり他方側治具20に保持されている部材Wに対して近い位置に設けられている部材保持部23に配置されている。
上述のように、溶接用治具装置1は、溶接される複数の部材Wを保持する一方側治具10と他方側治具20において、部材Wと接する他方側接合面22に弾性体40を介在させている。このため、溶接用治具装置1では、弾性体40が有する弾性力により、一方側接合面12と他方側接合面22との間において複数の部材Wが厚み方向(高さ方向)の隙間を生じさせることなく保持されている。
図9は、参考例の溶接用治具装置100の一方側治具10及び他方側治具20のA−A断面の部分拡大図である。また、図10は、参考例の部品5の製造方法における開口部13から部材を溶接する工程を示すための、模式図である。図9及び図10に示す参考例の溶接用治具装置100は、他方側接合面22と部材Wとの間に弾性体40が介在していない点が、本実施の形態に係る溶接用治具装置1と相違する。参考例の溶接用治具装置100は、他方側接合面22と部材Wとの間に弾性体40が介在していないため、部材Wと一方側接合面12、及び、他方側接合面22の部材保持部23とが直接的に接している。このため、参考例の溶接用治具装置100を用いた部品5の製造方法では、一方側接合面12と他方側接合面22との間に弾性力を発揮する部材が介在しないため、図10に示すように、溶接時に複数の部材に間隔Gが生じてしまう場合がある。また、参考例の溶接用治具装置100では、一方側治具10と他方側治具20との間で生じる応力や、溶接時に部材の一部が溶融して生成されたスパッタやヒュームなどの異物により、一方側治具10あるいは他方側治具20が変形してしまう場合がある。この場合に、参考例の溶接用治具装置100では、一方側治具10あるいは他方側治具20の精度が低下してしまうことで、溶接の品質が低下してしまう。
一方、溶接用治具装置1及び溶接用治具装置1を用いる部品5の製造方法によれば、複数の部材Wを溶接するレーザ光Bが他方側接合面22と部材Wとの間に弾性体40が介在している。このため、溶接用治具装置1及び溶接用治具装置1を用いる部品5の製造方法によれば、弾性体40が発揮する弾性力により、溶接される複数の部材Wにおいて部材間を適切に接触させてレーザ光Bを溶接部位53に照射することにより、部材Wを確実に溶接することができる。また、溶接用治具装置1及び部品5の製造方法によれば、他方側接合面22と部材Wとの間に弾性体40が介在しているため、一方側治具10と他方側治具20とにより部材Wを保持する際に部材Wが受ける応力を抑制することができる。また、溶接用治具装置1及び溶接用治具装置1を用いる部品5の製造方法によれば、一方側治具10及び他方側治具20の変形を抑制することができるため、溶接時に複数の部材に間隔が生じることが抑制され、適切な溶接作業を行うことができる。また、弾性体40は、上述のようにゴム系の材料であるため、低廉で入手も容易であるため、容易に適切な溶接作業を行うことができる。
従って、溶接用治具装置1及び溶接用治具装置1を用いる部品5の製造方法によれば、溶接の品質を安定化することができる。
また、溶接用治具装置1は、他方側治具20の他方側接合面22に部材保持部23を有するため、複数の部材Wの厚み方向において隙間が生じることを防ぐことができる。従って、溶接用治具装置1及び溶接用治具装置1を用いる部品5の製造方法によれば、溶接の品質をより安定化することができる。
また、溶接用治具装置1には、他方側治具20の部材保持部23に、透過部26が設けられている。透過部26は、レーザ溶接機2から開口部13に向かって照射されるレーザ光Bが複数の部材Wを透過して到達するために設けられている。ここで、溶接用治具装置1では、透過部26が設けられていることにより、部材Wの一部が溶けても、透過部26の内部に落下する。このため、溶接用治具装置1によれば、溶けた部材Wの一部が部品5に付着して品質を低下させることを防ぐことができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記本発明の実施の形態に係る溶接用治具装置1、及び溶接用治具装置1を用いて行う部品5の製造方法に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。例えば、上記実施の形態における、各構成の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。例えば、溶接用治具装置1により溶接される部材Wは、金属以外の部材であってもよい。また、開口部13は、上述のように一方側治具10の治具本体11に設けられているものに限定されず、他方側治具20の治具本体21に設けられているものであってもよい。この場合において、一方側治具10の開口部13が溶接部位53のうち一部に対応し、他方側治具20の溶接部位53のうち開口部13に対応しない部分に対応する開口部(他方側開口部)を備える。
溶接用治具装置…1、レーザ溶接機…2、部品…5、一方側治具…10、治具本体…11、一方側接合面…12、開口部…13、開口部傾斜面…14、位置決めピン…17、一方側外側面…18、他方側治具…20、治具本体…21、他方側接合面…22、部材保持部…23、他方側外側面…28、治具架台部…30、部品本体…51、開口部…52、溶接部位…53
Claims (7)
- 複数の部材を互いに溶接することにより形成される部品の溶接に用いられる治具装置であって、
重ねられた前記複数の部材における表側に露出する面のうち一方の面に接する一方側接合面を有し、前記部品における所望の溶接部位に対応する開口部が設けられている一方側治具と、
前記複数の部材における表側に露出する面のうち他方の面に接する他方側接合面を有する他方側治具と、
前記一方側接合面における前記開口部の位置と前記他方側接合面との間に配置されている弾性体と、
を備える溶接用治具装置。 - 前記弾性体は、前記一方側接合面と前記他方側接合面との間において前記複数の部材と接する、
請求項1に記載の溶接用治具装置。 - 前記他方側治具は、前記一方側治具における前記開口部に対応する位置に前記複数の部材を保持する部材保持部が設けられていて、
前記弾性体は、前記部材保持部の位置に配置されている、
請求項1または2に記載の溶接用治具装置。 - 前記部材保持部は、前記開口部を透過したレーザ光が到達する溝状の透過部を備える請求項3に記載の溶接用治具装置。
- 前記弾性体は、ゴム系の材料である、
請求項1乃至4のいずれかに記載の溶接用治具装置。 - 前記一方側治具は、前記開口部が前記溶接部位のうち一部に対応し、
前記他方側治具は、前記溶接部位のうち前記開口部に対応しない部分に対応する他方側開口部を備える、
請求項1乃至5のいずれかに記載の溶接用治具装置。 - 複数の部材を重ねてこの複数の部材を互いに溶接することにより形成される部品の製造方法であって、
前記部品における所望の溶接部位に対応する開口部が設けられている一方側治具と、前記複数の部材における表側に露出する面のうち他方の面に接する他方側接合面を有する他方側治具との間において、前記複数の部材を保持する工程と、
前記開口部から前記複数の部材を溶接する工程と、
を実行し、
前記複数の部材を保持する工程では、前記複数の部材と前記他方側接合面との間に弾性体を配置する、
部品の製造方法。
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JP2019044470A JP2020146701A (ja) | 2019-03-12 | 2019-03-12 | 溶接用治具装置、部品の製造方法 |
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