JP2020146331A - ミシン - Google Patents
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Abstract
Description
このようなミシンは、下糸の残量を監視して、ボビンに巻かれた下糸の残量が一回の縫製パターンに消費される長さに足りなくなると、ボビンを交換する制御が行われていた(例えば、特許文献1)。
縫い針に対して被縫製物を移動させる移動機構と、
縫製パターンに従って縫製を行うための縫製パターンデータに基づいて前記移動機構を制御する制御装置とを備えるミシンにおいて、
釜装置のボビンを交換するボビン交換装置を備え、
前記制御装置は、
前記縫製パターンに基づく一連の縫製動作を、糸切りの実行を区切りとして分割された複数の縫い要素の一つの縫製が行われるごとに、前記ボビンに巻かれた下糸が次の縫い要素の縫製に足りるか否かを判定し、その判定結果に応じて、前記ボビン交換装置により前記ボビンを交換する制御を行うことを特徴とする。
前記制御装置は、前記縫製パターンデータに基づいて前記複数の縫い要素の一つの縫製が行われるごとに消費される下糸長さを算出することを特徴とする。
前記ボビン交換装置により前記釜装置から取り出されたボビンの下糸の残糸の長さを検出する残糸検出手段を備え、
前記制御装置は、前記縫製パターンデータに基づいて算出した前記複数の縫い要素の一つごとに消費される下糸長さを、前記残糸検出手段により検出された前記ボビンの下糸の残糸の長さに基づいて補正することを特徴とする。
従って、廃棄される下糸を低減することが可能となる。
以下、図面を参照して、本発明に係るミシンの実施の形態について詳細に説明する。
なお、本実施形態では、ミシンとして電子サイクルミシンを例に説明する。
図1は電子サイクルミシン100の斜視図、図2は縫い針周辺の拡大斜視図である。
電子サイクルミシン100は、被縫製物を保持する保持枠を有し、その保持枠が縫い針に対し相対的に移動することにより、保持枠に保持された被縫製物に所定の縫製パターンデータに基づく縫い目を形成するミシンである。
ここで、後述する縫い針11が上下動を行う方向をZ軸方向(上下方向)とし、これと直交する一の方向をX軸方向(左右方向)とし、Z軸方向とX軸方向の両方に直交する方向をY軸方向(前後方向)と定義する。
また、ミシン本体101は、ミシンフレーム20、針上下動機構、移動機構40、釜装置30、ボビン交換装置50、下糸巻回装置60、残糸除去装置70とを備えている。
図1、図2に示すように、ミシン本体101は、外形が側面視にて略コ字状を呈するミシンフレーム20を備えている。このミシンフレーム20は、ミシン本体101の上部をなし、Y軸方向に延びるミシンアーム部21と、ミシン本体101の下部をなし、Y軸方向に延びるミシンベッド部22と、ミシンアーム部21とミシンベッド部22とを連結する立胴部23とを有している。
このミシン本体101は、ミシンフレーム20内に動力伝達機構が配置され、回動自在でY軸方向に延びる主軸(図示略)及び下軸14(図3参照)を有している。主軸はミシンアーム部21の内部において回転可能に支持され、下軸14はミシンベッド部22の内部において回転可能に支持されている。
下軸14の前端部は、釜装置30に接続されている。主軸とともに下軸14が回転すると、縫い針11と釜装置30の外釜31との協働により縫い目が形成される。
ミシンアーム部21の前端部には、縫い針11を下端部に保持した針棒12が上下動可能に支持されている。ミシンアーム部21の前端部内側において、主軸の前端に固定装備された針棒クランクと、針棒12に固定装備された針棒抱きと、針棒クランクと針棒抱きと連結するクランクロッドとが設けられている。
また、針棒12の下方には、縫い針11を遊挿可能な小さい枠状の中押さえ13が配置されている。この中押さえ13は、ミシンアーム部21の前端部において、縫い針11の上下動による被縫製物の浮き上がりを防止するために、針棒12の上下動と連動して上下動を行う。
即ち、上記ミシンモーター15、主軸、針棒クランク、針棒抱き、クランクロッド、針棒12は、縫い針11を上下動させる針上下動機構を構成している。
なお、針上下動機構は、周知の構成と同様のものなので、各構成についてはいずれも図示を省略している。
図1、図2に示すように、ミシンベッド部22上にはX−Y平面に沿った針板24が配設されている。
そして、移動機構40は、針板24上で被縫製物を保持する布押さえと下板とからなる保持枠41と、保持枠41の布押さえを昇降可能に支持する支持土台42と、布押さえの昇降動作の駆動源となる図示しないアクチュエーターとを備えている。
さらに、移動機構40は、ミシンベッド部22に内蔵された図示しないベルト機構を介して保持枠41及び支持土台42をX−Y平面に沿って任意に移動位置決めするX軸モーター43及びY軸モーター44を備えている(図5参照)。
保持枠41は、被縫製物を挟持し、X軸モーター43及びY軸モーター44の駆動により保持した被縫製物を前後左右方向に移動させる。そして、保持枠41の移動と、縫い針11や釜(図示省略)の動作が連動することにより、被縫製物に所定の縫製パターンを構成する複数の針落ち位置に縫い目を形成することができる。
ペダルRは、ミシン100を駆動させて縫製動作を実行させるための操作ペダルとして作動する。
ペダルRには、ペダルRが踏み込まれたその踏み込み操作位置を検出するためのセンサーが組み込まれており、センサーからの出力信号がペダルRの操作信号として後述する制御装置120に入力される。
制御装置120は、その操作位置に応じた操作信号によって、ミシン100の駆動、その他の各動作を実行する制御を行う。
また、ミシン100には、ユーザによる操作入力を行うための操作パネル300が設けられており、操作パネル300に入力された各種データや操作信号は、後述する制御装置120に入力される。
なお、操作パネル300は、液晶表示パネルからなる表示部300bと当該表示部300bの表示画面上に設けられたタッチセンサー300cとを備えて構成されており、液晶表示パネルに表示される各種操作キー等をタッチ操作することにより、タッチパネルがタッチ指示された位置を検出し、検出した位置に応じた操作信号を後述する制御装置120に出力するようになっている。
図3は釜装置30、ボビン交換装置50、下糸巻回装置60、残糸除去装置70の斜視図、図4はボビン交換装置50によるボビンケース33及びボビン34の保持位置を示した説明図である。
図3に示すように、釜装置30、ボビン交換装置50、下糸巻回装置60及び残糸除去装置70は、ミシンベッド部22の内部であって針板24の下側に配設されている。
ボビン34は、円筒状の軸部とその両端部に設けられた鍔部とからなり、鍔部と鍔部との間で軸部の外周に下糸を巻き付けて蓄えることが出来る。
また、ボビンケース33は、内釜32の軸部に係合する図示しない係合部材が装備されている。図4に示すように、ボビンケース33の閉塞端面には、係合部材を操作するロックレバー331が設けられている。このロックレバー331は、ボビンケース33の閉塞端面から起伏回動可能に設けられており、ロックレバー331が起伏回動することにより、係合部材が内釜32の軸部に係合した状態を解除することができる。これにより、ボビンケース33及びボビン34を内釜32から取り外すことができる。
ボビン交換装置50は、図3に示すように、Y軸方向に平行なガイド軸51と、当該ガイド軸51回りに回動可能な回動アーム52とを備えている。
回動アーム52はガイド軸51を中心とする円周の直径方向両側に延出され、これらの両側の延出端部においてボビンケース33及びボビン34(「ボビンケース33等」とする)の保持を行う。
そして、図4に示すように、ガイド軸51を中心とする円周上において、釜着脱位置A、残糸除去位置B及び下糸巻回位置Cが120°間隔に設定されている。即ち、釜着脱位置Aには釜装置30が配置され、残糸除去位置Bには残糸除去装置70が配置され、下糸巻回位置Cには下糸巻回装置60が配置されている。
また、ガイド軸51は、軸断面形状が平歯車形状となっており、釜搬送モーター54(図5参照)の出力軸に設けられた歯車に噛合している。そして、この釜搬送モーター54により、ガイド軸51は60°単位で正逆双方向に回動され、回動アーム52の両端部に保持するボビンケース33をそれぞれ個別に釜着脱位置A、残糸除去位置B及び下糸巻回位置Cの各位置に位置決めすることができる。
このボビンケース保持機構は、例えば、特開平5−192476号公報に記載の下糸自動供給装置の電磁石(符号40A)や特開平6−304369号公報に記載のボビン把持手段(符号8)の回動式のレバー爪(符号8c)等のような周知の構成を採用することができる。
下糸巻回装置60は、回動アーム52に保持されたボビンケース33内のボビン34に当接するカップリング61と、当該カップリング61を介してボビン34を回転させる巻回モーター62と、糸巻きから繰り出された下糸の端部の保持と切断を行う下糸切断装置63等を備えている。
この下糸巻回装置60は、エンコーダ621(図5参照)により巻回モーター62の回転数が検出され、当該回転数によりボビン34に巻回する糸長さが制御される。
下糸巻回装置60は、例えば、特開平5−192476号公報に記載の下糸巻回機構(符号50)、糸挟持腕(符号62)及びその駆動部、糸保持台(符号70)、下糸切断機構(符号80)等のような周知の構成を採用することができる。
残糸除去装置70は、ボビンケース33等から垂下する下糸の端部を吸引する図示しない吸引ノズルと、吸引ノズルに引き寄せられた下糸の端部の近傍に設けられた下糸巻き取り軸71と、その回転駆動源である巻き取りモーター72(図5参照)と、下糸巻き取り軸71及び巻き取りモーター72を軸方向に進退移動させるアクチュエーターと、下糸巻き取り軸71の外周に摺動してアクチュエーターにより後退移動する下糸巻き取り軸71に巻き付けられた下糸を除去する図示しないせき止め板等を備えている。
この残糸除去装置70は、エンコーダ721(図5参照)により巻き取りモーター72の回転数が検出され、当該回転数によりボビン34に残っていた残糸の長さが制御装置120に取得される。従って、エンコーダ721は、釜装置30から取り出されたボビン34の下糸の残糸の長さを検出する残糸検出手段として機能する。
この残糸除去装置70は、例えば、特開平7−80177号公報に記載の残糸除去装置(符号6)等のような周知の構成を採用することができる。
図5はミシン100の制御系を示すブロック図である。
ミシン100は、上述した各部の動作を制御するための動作制御手段としての制御装置120を備えている。そして、制御装置120は、縫製プログラム122a、ボビン交換制御プログラム122b及びその他の各種プログラムが格納されたプログラムメモリ122と、縫製パターンデータ123a、下糸消費量データ123b及び各種の設定情報(図示略)を記憶した記憶手段としてのデータメモリ123と、プログラムメモリ122内の各プログラム122a,122b等を実行するCPU121とを備えている。
また、操作パネル300は、縫製パターンデータ123aの設定パラメータを任意に設定する機能や複数ある縫製パターンデータ123aの中から所望のデータを選択する機能も有している。
上記ミシンモーター15には、例えば、サーボモーターを適用することができる。
縫製パターンデータ123aは、一つの縫製パターンに従う運針を行うために、当該縫製パターンを形成するための全ての針落ち位置の針落ちの順番とその位置座標を示すデータ及び各種の動作コマンドが含まれている。
具体的には、一つの縫製パターンは、複数(ここでは三つとする)のより小さなパターンの縫い要素p1〜p3から構成されており、各縫い要素p1〜p3の最終針ごとに図示しない糸切り装置により糸切りが実行される。なお、ここで言う「糸切り装置」とは、前述した下糸切断装置63ではなく、縫製の区切りで上糸及び下糸を被縫製物から切断するための糸切り装置である。
なお、縫製パターンデータ123aの縫い要素の数は例示であり、三つに限らず複数であれば良い。
ミシン100における動作制御について概略的に説明する。
縫製の際には、事前に、データメモリ123内に複数記憶されている縫製パターンデータ123aの中から目的の縫製パターンデータ123aが操作パネル300により選択される。
そして、ペダルRの操作により、縫製の開始が入力されると、制御装置120のCPU121は、ミシンモーター15を起動させると共に、縫製パターンデータ123aを読み込み、先頭の縫い要素p1の一針目から順番に保持枠41が位置決めされるように、X軸モーター43及びY軸モーター44を制御する。
そして、CPU121は、縫い要素p1の最終針まで順番に針落ちを行うと、糸切りを実行し、次の縫い要素p2,p3についても同様に縫製動作を実行させる。
即ち、CPU121は、ボビン着脱ソレノイド53により、ガイド軸51を前方に移動させた状態で、ガイド軸51の一端部を各位置A〜Cのいずれかに位置決めするように釜搬送モーター54を制御し、位置決め後、ボビン着脱ソレノイド53により、ガイド軸51を後方に移動させる。
そして、ボビンケース保持機構を作動させて、釜装置30、下糸巻回装置60又は残糸除去装置70に対して、ボビンケース33等の着脱を実行する。
即ち、下糸巻回装置60は、予め、下糸の糸巻きから繰り出された下糸をボビン34の軸部に絡めるように張設した状態で待機しており、ボビン交換装置50によりガイド軸51が後方移動すると、カップリング61がガイド軸51に保持されたボビンケース33内のボビン34に当接する。
そして、CPU121が巻回モーター62を駆動させると、糸巻きから繰り出された下糸の端部がボビン34の軸部に巻き付いて下糸の巻き付けが開始される。このとき、CPU121は、エンコーダ621が検出する巻回モーター62の回転数をカウントする。
制御装置120は、データメモリ123内に、巻回モーター62の回転数と下糸の巻き付け長さとの関係を示すテーブルデータを保有している。そして、CPU121は、予め設定された目標巻き付け長さの回転数に達するまで巻回モーター62を回転させてから停止し、下糸切断装置63により、下糸の切断を実行する。
これにより、ボビン34に対して、目標巻き付け長さ分の下糸の巻き付けを行うことができる。
即ち、ボビン交換装置50によりガイド軸51が後方移動すると、CPU121は、吸引ノズルによる吸引動作を開始し、ボビンケース33から垂れ下がれる下糸の残糸の端部の引き寄せを実行する。そして、CPU121は、巻き取りモーター72の駆動を開始して、下糸巻き取り軸71による下糸の残糸の巻き取りを実行する。
このとき、CPU121は、エンコーダ721が検出する巻き取りモーター72の回転数をカウントする。
制御装置120は、データメモリ123内に、巻き取りモーター72の回転数と下糸の巻き取り長さとの関係を示すテーブルデータを保有している。
そして、CPU121は、下糸巻き取り軸71の近傍に配置された下糸の残糸の通過を検出するセンサー或いは、巻き取りモーター72への通電電流値の変化から、巻き取りの完了を検出すると、巻き取りの完了までの巻き取りモーター72の回転数から、ボビン34に残っていた残糸の長さを検出する。
制御装置120のCPU121は、ボビン交換制御プログラム122bに基づいてボビン交換制御を実行する。以下、このボビン交換制御の制御内容を図6に基づいて説明する。
図6(A)に示すように、前述した下糸巻回装置60によってボビン34に対して巻き付けが行われる目標巻き付け長さl0は、実際に縫製で消費されることが予定された縫製可能長さl1と予備的に確保される残糸余裕長さl2の合計からなる。
一方、図6(B)に示すように、一回の縫製パターンの縫製により消費される下糸長さY0は、各縫い要素p1〜p3でそれぞれ消費される下糸長さY1,Y2,Y3の合計長さとなる。なお、図中の符号iは糸切りの実行を示している。
CPU121は、各縫い要素p1〜p3でそれぞれ消費される下糸長さY1,Y2,Y3の値を、縫製パターンデータに記録された各縫い要素p1〜p3のそれぞれの針落ち位置の位置座標から個々の針落ちにおける保持枠の移動量を算出し、縫い要素p1〜p3ごとの移動量の合計値から算出する。
上記算出された下糸長さY1,Y2,Y3は、下糸消費量データ123bの一部としてデータメモリ123に記録される。
CPU121は、ボビン34の使用開始からの下糸の消費長さを各縫製パターンの縫い要素p1〜p3の単位で順番に積算し、ボビン34の縫製可能長さl1と比較を行う。
例えば、三回の縫製パターンの縫製により消費される下糸長さY0×3がボビン34の縫製可能長さl1よりも長い場合であっても、三回目の縫製パターンの縫い要素p1又は縫い要素p2までの合計長さが縫製可能長さl1よりも短くなる場合には、最大限に縫製可能な縫い要素まで縫製を実行する。ここでは、三回目の縫製パターンの縫い要素p2までの累積的な合計長さlcが縫製可能長さl1に最も近い値となる場合を例示する。
従って、CPU121は、三回目の縫製パターンの縫い要素p2まで縫製を実行し、糸切り後、ボビン34の交換動作を行うよう制御を行う。
そこで、制御装置120のCPU121は、釜装置30から取り出されて残糸除去装置70に搬送されたボビン34に対して、残糸の巻き取りの開始から完了までの巻き取りモーター72の回転数からボビン34に残っていた残糸の長さを検出する。
そして、図6(D)に示すように、ボビン34の目標巻き付け長さl0からボビン34に残っていた残糸の長さl21を減じることで、実際の下糸消費長さl11を算出する。
実際の下糸消費長さl11は、三回目の縫製パターンの縫い要素p2までの累積的な合計長さlcと理論上では一致するはずだが、これらが一致していない場合には、CPU121は、下糸消費長さl11と合計長さlcの誤差比(l11/lc)を算出する。上記算出された誤差比(l11/lc)は、下糸消費量データ123bの一部としてデータメモリ123に記録される。
そして、CPU121は、図6(E)に示すように、次回の縫製の際に、各縫い要素p1〜p3でそれぞれ消費される下糸長さY1,Y2,Y3及び下糸長さY0を算出する際には、上記誤差比(l11/lc)を乗じて補正した下糸長さY11,Y21,Y31,Y01を算出し、これらの補正した下糸長さに基づいてボビン34の交換のタイミングを決定する。
制御装置120のCPU121は、ボビン交換制御プログラム122bに基づいてボビン交換制御の流れを図7に示すフローチャートに基づいて説明する。
なお、前提として、目標巻き付け長さl0の下糸が巻かれたボビン34(「新規のボビン34」とする)が内釜32内に装着された状態で縫製が開始されるものとする(図6(A)参照)。
そして、CPU121は、縫製パターンデータ123aにおける一つの縫い要素p1、p2又はp3の縫製及び糸切りが行われる度に、前述した下糸長さY1,Y2,Y3(又はY11,Y21,Y31)に基づいて新規のボビン34の使用開始から現在までの累積的な合計長さlcを算出する(ステップS7:図6(C)参照)。
さらに、CPU121は、新規のボビン34の使用開始からの累積的な合計長さlcに次に縫製を行う予定の縫い要素p1、p2又はp3で消費される予定の下糸長さY1,Y2又はY3を加算し、その算出した値がボビン34の縫製可能長さl1を超えるか否かによって、次に縫製を行う予定の縫い要素p1、p2又はp3を縫製可能か否かの判定を行う(ステップS9)。
また、算出した値がボビン34の縫製可能長さl1を超えて、次に縫製を行う予定の縫い要素p1、p2又はp3を縫製出来ないと判定した場合には、CPU121は、前述したボビン交換装置50に対するボビン搬送動作制御に基づいて、釜装置30の内釜32からボビンケース33等を取り出し、下糸巻回装置60で目標巻き付け長さl0の下糸が巻かれたボビン34を格納したボビンケース33を供給する(ステップS11)。
さらに、CPU121は、残糸の長さl21から実際の下糸消費長さl11を算出し(図6(D)参照)、下糸消費長さl11と合計長さlcの誤差比(l11/lc)を算出する(ステップS15)。この誤差比(l11/lc)の値は、データメモリ123に登録される。
そして、ステップS17に処理を進める。
その結果、次に縫製が行われる予定の縫い要素が縫製パターンデータ123aにおける最後の縫い要素p3ではないと判定した場合には、ステップS7に処理を進めて、当該縫い要素について縫製を実行する。
このとき、既に、ステップS15において、誤差比(l11/lc)の値がデータメモリ123に登録されている場合には、ステップS7において累積的な合計長さlcを算出する際の下糸長さY1,Y2,Y3の値に誤差比(l11/lc)が乗算されて補正される。
その結果、縫製パターンデータ123aに変更がないと判定した場合には、ステップS5に処理を戻して、再び、現在の縫製パターンデータ123aに基づいて縫製の開始が可能な状態とする。
また、縫製パターンデータ123aが変更されたと判定した場合には、CPU121は、ステップS3に処理を戻して、新しく選択された縫製パターンデータ123aの読み込みを行い、そこから各縫い要素p1〜p3でそれぞれ消費される下糸長さY1,Y2,Y3及び縫製パターンの縫製により消費される下糸長さY0を算出する。なお、縫製パターンデータ123aが変更されると、データメモリ123内の誤差比(l11/lc)はリセットされる。
ミシン100は、制御装置120のCPU121が、縫製パターンに基づく一連の縫製を複数に分割してなる縫い要素p1〜p3の縫製を行うごとに、ボビン34に巻かれた下糸が次の縫い要素の縫製に足りるか否かを判定し、その判定結果に応じて、ボビン交換装置50によりボビン34を交換する制御を行っている。
従来は、縫製パターンに基づく一連の縫製を行うごとに、ボビン34に巻かれた下糸が次の縫製パターン全体の縫製に足りるか否かを判定するので、交換のために釜装置30から取り出されたボビン34の下糸の残糸の長さが、一つの縫製パターンで消費される下糸長さに僅かに足りなくとも下糸の残糸が廃棄されていた。
しかしながら、上記ミシン100の場合には、縫い要素p1〜p3の縫製を行うごとに、ボビン34に巻かれた下糸が次の縫い要素の縫製に足りるか否かを判定するので、交換のために釜装置30から取り出されたボビン34の下糸の残糸の長さを、縫い要素p1〜p3で消費される下糸長さY1,Y2又はY3よりも短くすることが可能となる。
このため、予め、縫製パターンデータ123a内に縫い要素p1〜p3の縫製ごとに消費される下糸長さY1,Y2,Y3を示すデータを含ませる必要がなく、既存の縫製パターンデータを利用して、下糸長さY1,Y2,Y3を取得することが可能となる。
このため、ボビン34に巻かれた下糸が次の縫い要素の縫製に足りるか否かを判定する際の判定精度を高めることができ、より効果的に下糸の浪費低減を図ることが可能となる。
以上、本発明の各実施形態について説明した。しかし、本発明は上記各実施形態に限られない。各実施形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、釜装置30、移動機構40、ボビン交換装置50、下糸巻回装置60又は残糸除去装置70の各構成は例示であって、同等の機能を異なる機構で構成しても良い。
12 針棒
14 下軸
15 ミシンモーター
24 針板
30 釜装置
33 ボビンケース
34 ボビン
40 移動機構
50 ボビン交換装置
60 下糸巻回装置
70 残糸除去装置
100 電子サイクルミシン(ミシン)
120 制御装置
122a 縫製プログラム
122b ボビン交換制御プログラム
123 データメモリ
123a 縫製パターンデータ
123b 下糸消費量データ
721 エンコーダ(残糸検出手段)
p1〜p3 要素
Claims (3)
- 縫い針に対して被縫製物を移動させる移動機構と、
縫製パターンに従って縫製を行うための縫製パターンデータに基づいて前記移動機構を制御する制御装置とを備えるミシンにおいて、
釜装置のボビンを交換するボビン交換装置を備え、
前記制御装置は、
前記縫製パターンに基づく一連の縫製動作を、糸切りの実行を区切りとして分割された複数の縫い要素の一つの縫製が行われるごとに、前記ボビンに巻かれた下糸が次の縫い要素の縫製に足りるか否かを判定し、その判定結果に応じて、前記ボビン交換装置により前記ボビンを交換する制御を行うことを特徴とするミシン。 - 前記制御装置は、前記縫製パターンデータに基づいて前記複数の縫い要素の一つの縫製が行われるごとに消費される下糸長さを算出することを特徴とする請求項1記載のミシン。
- 前記ボビン交換装置により前記釜装置から取り出されたボビンの下糸の残糸の長さを検出する残糸検出手段を備え、
前記制御装置は、前記縫製パターンデータに基づいて算出した前記複数の縫い要素の一つごとに消費される下糸長さを、前記残糸検出手段により検出された前記ボビンの下糸の残糸の長さに基づいて補正することを特徴とする請求項2記載のミシン。
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