JP2020145948A - 液体調味料及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】塩こうじ特有の効果が高められ、かつ、取り扱いが容易な新規な液体調味料及びその製造方法を提供すること。【解決手段】米麹と、塩と、水と、からなる塩こうじと、米麹と、アルコールと、からなるみりんと、小麦麹と、塩と、水と、からなる小麦麹消化液と、からなる、液体調味料を提供する。また、前記塩こうじを製造する工程(I)と、前記みりんを製造する工程(II)と、前記小麦麹消化液を製造する工程(III)と、前記塩こうじと前記みりんと前記小麦麹消化液とを混合して液体調味料を得る工程(IV)と、を少なくとも行う、液体調味料の製造方法も提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、液体調味料及びその製造方法に関する。
麹とは、米、麦、大豆などの穀物に、コウジカビなどの食品発酵に有効なカビを中心にした微生物を繁殖させたものである。麹には、米麹、豆麹、麦麹等が知られている。これらの中でも米麹は、複雑な好ましい風味を醸し出す原料として、清酒、焼酎、みりん等の酒類や醸造調味料の製造において古くから用いられている。
米麹を原料として用いた調味料としてはみりんが挙げられ、強い甘味を付与する調味料として使用されている。また、近年、注目を集めている塩こうじは、米麹、塩及び水を混ぜて発酵熟成させた調味料である。その味わいは、旨味と甘味と塩味とがバランス良く混ざった複雑な味わいであり、万能調味料ともいわれている。また、これを用いた調味料として、特許文献1には、塩こうじを乾燥し、粉砕することにより得られる粉末状塩こうじが開示されている。
特開2013−106598号公報
しかしながら、従来の塩こうじは、とろみのある粥状となっており、塩こうじを用いて食材に味付けする際には、これをスプーンなどで掬って食材の上にのせてから、手やヘラ等を使って食材全体に薄く塗り広げるように延ばすか、ビニール袋などに食材と塩こうじとを入れて揉み混むことにより、食材全体に行き渡らせる必要がある。したがって、調理時における取り扱いがし易いとはいえなかった。また、塩こうじは、食材に付着する際に偏りが生じ、これが加熱調理時に焦げの原因となることや、麹独特の風味があることも知られていた。
一方で、塩こうじを粉末状にすると、麹特有の酵素活性が低減してしまうため、塩こうじ特有の効果である、旨味を引き出したり、食材を柔らかくしたりするといった効果が失われてしまうといった問題があった。
そこで、本発明では、塩こうじ特有の効果が高められ、かつ、取り扱いが容易な新規な液体調味料及びその製造方法を提供することを主目的とする。
すなわち、本発明では、まず、米麹と、塩と、水と、からなる塩こうじと、米麹と、アルコールと、からなるみりんと、小麦麹と、塩と、水と、からなる小麦麹消化液と、からなる、液体調味料を提供する。
本発明に係る液体調味料において、前記塩こうじは、固液分離を行わず製造されたものであってもよい。
また、本発明では、米麹と、塩と、水と、からなる塩こうじを製造する工程(I)と、米麹と、アルコールと、からなるみりんを製造する工程(II)と、小麦麹と、塩と、水と、からなる小麦麹消化液を製造する工程(III)と、前記塩こうじと前記みりんと前記小麦麹消化液とを混合して液体調味料を得る工程(IV)と、を少なくとも行う、液体調味料の製造方法も提供する。
本発明に係る液体調味料の製造方法において、前記工程(I)では、塩こうじを更にミキサーで粉砕混合してもよい。
本発明によれば、塩こうじ特有の効果が高められ、かつ、取り扱いが容易な新規な液体調味料及びその製造方法を提供することができる。
なお、ここに記載された効果は、必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
図1は、本発明に係る液体調味料の製造方法の一例を示す図である。
以下、本発明を実施するための好適な形態について説明する。
以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
本発明に係る液体調味料は、米麹と、塩と、水と、からなる塩こうじと、米麹と、アルコールと、からなるみりんと、小麦麹と、塩と、水と、からなる小麦麹消化液と、からなることを特徴とする。
[塩こうじ/工程(I)]
塩こうじは、米麹と、塩と、水と、からなる。工程(I)は、これらを用いて塩こうじを製造する工程である。
米麹は、従来公知の米麹の製麹方法等に従って調製することができる。具体的には、例えば、米を蒸して得られた蒸米に、麹菌(「種麹」とも称される。)を散布し、麹菌に最適な条件下で繁殖させることにより得られる。麹菌の繁殖は、自動発酵機等を用いて、25〜40℃で2〜4日間培養により行ってもよい。なお、本発明に用いられる米麹として、市販品を用いることもできる。
米は、うるち米、もち米、酒米などの米、好ましくは精米(白米)を、必要に応じて洗米し、水に浸漬し、必要に応じて水切りしたものを用いることができる。
麹菌は、通常製麹に用いられる麹菌であれば特に限定されない。具体的には、例えば、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス・ソーヤ(Asperugillus sojae)等のコウジカビ属(アスペルギルス、Asperugillus)等が挙げられる。また、麹菌は、種麹として販売される市販品を用いてもよいし、培養したものを用いてもよい。麹菌の形状は、粒状であってもよいし、粉状であってもよい。麹菌は、好ましくは糖化力やプロテアーゼ生成能の高い麹菌であり、具体的には、味噌用麹菌、米麹用麹菌、醤油用麹菌が挙げられ、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
工程(I)では、まず、塩こうじの仕込み液を調製する。塩こうじの仕込み液は、米麹と、塩と、水とを混合することにより得られる。これらは、同時に投入して混合してもよいし、逐次投入して混合してもよい。
米麹は、塩こうじの仕込み液に対して、50〜70重量%となるように混合するのが好ましく、55〜65重量%となるように混合するのがより好ましい。
塩は、塩こうじの仕込み液に対して、1〜20重量%となるように混合するのが好ましく、5〜15重量%となるように混合するのがより好ましい。この塩により、仕込み液中の微生物の繁殖を抑制又は低減することができる。
次いで、この塩こうじの仕込み液を保温発酵熟成させる。発酵熟成させた塩こうじの仕込み液(熟成物)は、「塩こうじ(塩麹、塩糀)」と称される。具体的には、塩こうじの仕込み液を、当該仕込み液に含まれる麹菌由来の酵素を不活化(失活)させない温度で、発酵熟成させる。ここで、麹菌由来の酵素とは、麹菌が産生した酵素を意味し、例えば、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ等が含まれる。なお、本発明では、市販の塩こうじを用いてもよい。
発酵熟成の温度は、4〜60℃であることが好ましく、30〜50℃であることがより好ましく、35〜45℃であることが更に好ましい。これらの温度であれば、麹菌由来の酵素は不活化されない。
なお、本明細書でいう「発酵熟成」とは、麹菌による発酵を意味するだけでなく、麹菌由来の酵素によって米に含まれるデンプン、タンパク質、脂質等が分解されることを意味し、主に糖化と呼ばれることもある。
発酵熟成の期間は、1〜60日間であることが好ましく、2〜30日間であることがより好ましく、5〜10日間であることが更に好ましい。
本発明において、塩こうじは、固液分離を行わず製造されたものであることが好ましい。これにより、塩こうじ中の固体部分に酵素を付着・保持することができるため、固液分離を行った場合と比較して、塩こうじ中の酵素(例えば、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ等)の活性が低減することを避けることができる。
酵素の中でも、アミラーゼやプロテアーゼは、塩こうじに特有の機能である、食材を柔らかくする作用や、塩味、旨味といった味の表出に関連していることが知られている(徳重潤, 化学と生物, Vol.52, No.4, 2014)。したがって、これらの酵素の活性を維持することは、塩こうじ特有の機能を維持することに繋がる。なお、本明細書でいう「固液分離」とは、固形分と液体を分離することであり、具体的には、圧搾濾過、ろ布を使用した圧搾、遠心分離機を用いた固液分離を意味する。
本発明では、工程(I)において、塩こうじを更にミキサーで粉砕混合することが好ましい。これにより、塩こうじ中の粒子を細かくして、液体調味料中の分散性を向上させることができる。なお、ミキサーは、従来公知のものを使用することができる。
[みりん/工程(II)]
みりんは、米麹と、アルコールと、からなる。工程(II)は、これらを用いてみりんを製造する工程である。
本明細書でいう「みりん」とは、本みりんを意味し、みりん風調味料は含まない概念である。また、本みりんの中でも、糖分の全てが米、米麹に由来し、ぶどう糖や水あめ、液糖等を添加しないで製造される純米本みりんであることが好ましい。
米麹については、上述したものと同様であるため、ここでは説明を割愛する。
アルコールは、通常みりんの製造に用いられるものを使用することができ、例えば、焼酎、醸造用アルコール等が挙げられる。アルコールの濃度も特に限定されず、例えば、10〜100%(v/v)とすることができる。
本発明では、米麹と、アルコールの他、通常みりんの製造に用いられる蒸したもち米、うるち米等が用いられていてもよいが、これらを用いなくてもよい。
工程(II)では、まず、みりんもろみの仕込み液を調製する。みりんもろみの仕込み液は、米麹と、アルコールと、必要に応じてもち米やうるち米とを混合して得られる。
米麹は、みりんもろみの仕込み液に対して、40〜60重量%となるように混合するのが好ましく、45〜55重量%となるように混合するのがより好ましい。
アルコールは、みりんもろみの仕込み液に対して、40〜60重量%となるように混合するのが好ましく、45〜55重量%となるように混合するのがより好ましい。
次いで、このみりんもろみの仕込み液を、通常みりんの製造に用いられる条件で発酵熟成させてみりんもろみとし、これを圧搾、滓下げ、ろ過、火入れ等の処理に供することで、みりんを得る。なお、本発明では、市販のみりん(本みりん)を用いてもよい。
[小麦麹消化液/工程(III)]
小麦麹消化液は、小麦麹と、塩と、水と、からなる。工程(III)は、これらを用いて小麦麹消化液を製造する工程である。
小麦麹は、従来公知の小麦麹の製麹方法等に従って調製することができる。具体的には、例えば、小麦に麹菌を混合し、これに水を吸収させた後、麹蓋に移し変えて、麹菌に最適な条件下で繁殖させることにより得られる。麹菌の繁殖は、自動発酵機等を用いて、25〜40℃で2〜4日間培養により行ってもよい。なお、本発明に用いられる小麦麹として、市販品を用いることもできる。
また、本発明では、小麦麹を製造する際の原料として、小麦の他、通常白醤油の製造に用いられる大豆を用いてもよい。大豆を用いる場合、小麦に対して、5重量%程度の割合で混合して用いることが好ましい。また、この場合、工程(III)における製造物は、「白醤油」と称される。
麹菌については、上述したものと同様であるため、ここでは説明を割愛する。
工程(III)では、まず、小麦麹もろみの仕込み液を調製する。小麦麹もろみの仕込み液は、小麦麹と塩と水とを混合することで得られる。これらは、同時に投入して混合してもよいし、逐次投入して混合してもよい。
小麦麹は、小麦麹もろみの仕込み液に対して、20〜45重量%となるように混合するのが好ましく、25〜40重量%となるように混合するのがより好ましい。
塩は、小麦麹もろみの仕込み液に対して、10〜30重量%となるように混合するのが好ましく、15〜25重量%となるように混合するのがより好ましい。この塩により、小麦麹もろみ中の微生物の繁殖を抑制又は低減することができる。
次いで、この小麦麹もろみの仕込み液を通常の製造に用いられる条件(例えば、常温で3ヶ月等)で発酵熟成させて小麦麹もろみとし、これを圧搾、滓下げ、ろ過、火入れ等の処理に供することで、小麦麹消化液を得る。なお、本発明では、市販の小麦麹消化液、或いは白醤油を用いてもよい。
[工程(IV)]
工程(IV)は、工程(I)で製造された塩こうじと、工程(II)で製造されたみりんと、工程(III)で製造された小麦麹消化液と、を混合して液体調味料を得る工程である。
塩こうじとみりんと小麦麹消化液とを混合する方法は特に限定されず、従来公知の混合機等を用いて行うことができる。
塩こうじは、液体調味料に対して、40〜60重量%となるように混合するのが好ましく、45〜55重量%となるように混合するのがより好ましく、50重量%となるように混合するのが特に好ましい。
みりんは、液体調味料に対して、15〜35重量%となるように混合するのが好ましく、20〜30重量%となるように混合するのがより好ましく、25重量%となるように混合するのが特に好ましい。
小麦麹消化液は、液体調味料に対して、15〜35重量%となるように混合するのが好ましく、20〜30重量%となるように混合するのがより好ましく、25重量%となるように混合するのが特に好ましい。
本発明に係る液体調味料において、塩こうじとみりんと小麦麹消化液の配合比は、2:1:1とすることが特に好ましい。これにより、旨味が向上し、かつ、食材を柔らかくする効果も向上した液体調味料を提供することができる。
本発明に係る液体調味料において、アルコール分は特に限定されないが、0.1〜5%とすることが好ましく、0.5〜3%とすることがより好ましい。
また、塩分も特に限定されないが、1〜20%とすることが好ましく、3〜15%とすることがより好ましい。塩分は、電位差滴定装置(AT−500N、京都電子工業株式会社製)等により測定することができる。
更に、糖分も特に限定されないが、20〜60%とすることが好ましく、30〜50%とすることがより好ましい。糖分は、ソモギー変法(日本農芸化学会誌, 28(3), 171-174, 1954)等に従って測定することができる。
加えて、フォルモール窒素(FN)も特に限定されないが、0.01〜1%とすることが好ましく、0.05〜0.5%とすることがより好ましい。フォルモール窒素は、基準みそ分析法(味噌技術ハンドブック、1995年全国味噌技術会発行、付録pp1〜35)等に従って測定することができる。
工程(IV)では、混合して得られた液体調味料を更に殺菌処理してもよい。殺菌処理する方法としては特に限定されず、例えば、加熱殺菌、エタノール(酒精)添加による殺菌、濾過滅菌等が挙げられる。
また、工程(IV)では、混合して得られた調味料を更に濃縮、又は濾過膜、樹脂等を用いて脱色してもよい。
更に、工程(IV)では、塩こうじとみりんと小麦麹消化液の他、通常調味料の製造に用いられる他の成分を添加してもよい。他の成分としては、例えば、保存料、酸化防止剤、香料、pH調整剤等が挙げられる。
本発明に係る液体調味料が添加される飲食品は特に限定されず、通常塩こうじが添加される飲食品等が挙げられる。本発明に係る液体調味料は、塩こうじよりも食材への浸透が早いため、食材を柔らかくしたり、食材の旨味を増強したりといった効果に優れ、また、バランスの良い旨味、甘味、塩味を付与することができる。
また、従来の塩こうじは、とろみのある粥状又はペースト状であり、粘性が高いために、食材に用いる際には、手やヘラで食材に塗布したり、揉み込んだりする必要があった。しかし、本発明に係る液体調味料は、塩こうじが液体中に分散しており、従来の塩こうじより粘性が低く、ほぼ液体であるため使い勝手がよく、利便性が高い。また、これにより、食材に付着する際に偏りが生じるといったこともなく、使用者にとって取り扱いが容易であり、また、食材をこれに漬け込んで焼成した際に、焦げも生じにくい。
更には、麹臭、栗香、きのこ香などと表現される麹独特の風味も、塩こうじと比較して、低減している。
加えて、粘性が低いものの、ある程度の粒径を有する粒子が分散しており、この粒子に酵素が付着して活性を有したまま保持されているため、酵素力価が高く、後述する実施例に示すように、これに由来する効果である食材を柔らかくしたり、旨味を出したりといった効果が増強されている。
また、同量の塩こうじと比較して、製造コストも抑えられるといった利点もある。
前記飲食品としては、例えば、味噌、醤油、みりん、マヨネーズ、ドレッシング、ポン酢等の他の調味料;めんつゆ、おでんつゆ、鍋つゆ等のつゆ;焼き肉のタレ等のタレ;肉、魚、野菜の漬込液;ミートソース、ホワイトソース等のソース;スープ;だし、菓子、パン等、焼肉・魚、煮物、カレー、シチュー、味噌汁、スパゲッティ、ハンバーグ、餃子等の調理食品;キムチ、漬物、かまぼこ、ソーセージ、冷凍食品、レトルト食品、チルド食品等の加工食品等が挙げられる。また、本発明に係る液体調味料の飲食品への添加量は、添加対象に応じて適宜選択することができる。
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。
なお、以下に説明する実施例は、本発明の代表的な実施例の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
<<液体調味料の製造>>
図1に示す製造方法に従って液体調味料を製造した。
[工程(I)]
従来公知の方法により製造した米麹1440gと、塩(並塩)240gと、水720gと、を混合して、塩こうじの仕込み液とした。この塩こうじの仕込み液を40℃で保温し、7日間発酵熟成させ、熟成物を得た。得られた熟成物(塩こうじ)を、ミキサーで粉砕混合して、塩こうじ(液状)を2400g得た。
[工程(II)]
従来公知の方法により製造した米麹750gと、アルコール(50%(v/v))750gとを混合して、みりんもろみの仕込み液とした。このみりんもろみの仕込み液を発酵させ、得られた熟成物(みりんもろみ)を圧搾し、みりん1200gを得た。
[工程(III)]
従来公知の方法により製造した小麦麹600gと、塩(並塩)360gと、水840gと、を混合して小麦麹もろみの仕込み液とした。この小麦麹もろみの仕込み液を発酵させ、得られた熟成物(小麦麹もろみ)を圧搾し、小麦麹消化液1200gを得た。
[工程(IV)]
得られた塩こうじ(液状)2400gと、みりん1200gと、小麦麹消化液1200gと、を混合して、液体調味料4800gを得た。
塩こうじ(液状)、みりん、小麦麹消化液、及び液体調味料の、原材料及び成分について、下記表1に示す。
<<評価>>
下記に示す実施例1及び比較例1〜3を用いて、評価を行った。
[実施例1]
前述した図1に示す製造方法に従って製造した液体調味料を実施例1とした。
[比較例1]
実施例1の液体調味料を、85℃の温湯中にて15分間加熱処理したものを比較例1とした。
[比較例2]
前述した工程(I)で製造された塩こうじ(液状)を比較例2とした。
[比較例3]
前述した工程(I)で得られた熟成物であって、ミキサーで粉砕混合していないもの(塩こうじ)を比較例3とした。
実施例1及び比較例1〜3を用いて、食材(鶏の胸肉)を調理し、評価を行った。具体的には、鶏の胸肉100gを実施例1及び比較例1〜3の調味料10gに、室温にて18時間漬け込み、焼成した。その後、焼成した食材について、評価を行った。
評価は、訓練を受けた専門パネリスト10人で行い、肉の「旨味」、「照りの良さ」、「柔らかさ」、「焦げやすさ」の項目について、それぞれ下記の通りに評価し、その平均値を示した。
[評価基準]
肉の「旨味」は、以下の判断基準で評価した。
5:強い
4:やや強い
3:普通
2:やや弱い
1:弱い
肉の「照りの良さ」は、以下の判断基準で評価した。
5:良い
4:やや良い
3:普通
2:やや悪い
1:悪い
肉の「柔らかさ」は、以下の判断基準で評価した。
5:柔らかい
4:やや柔らかい
3:普通
2:やや硬い
1:硬い
肉の「焦げやすさ」は、以下の判断基準で評価した。
5:焦げにくい
4:やや焦げにくい
3:普通
2:やや焦げやすい
1:焦げやすい
評価結果を下記表2に示す。
実施例1の液体調味料は、比較例1〜3と比較して、肉の旨味が非常に強かった。また、比較例1及び3と比較して、肉の照りも良かった。更に、比較例1と比較して、肉が柔らかくなっていた。加えて、比較例3と比較して、肉が焦げにくくなっていた。
以上のことから、塩こうじとみりんと小麦麹消化液とからなる、液体調味料を用いることで、特に旨味が強く、また、食材を柔らかくする効果も劣らない調味料を提供できることが分かった。更には、液体であることから取り扱いが容易であり、食材への浸透性にも優れ、また、この液体調味料を用いて食材を焼いた時の焦げも少ないことが分かった。
本発明に係る液体調味料は、塩こうじ特有の効果が高められ、かつ、取り扱いが容易である。具体的には、旨味が増強され、かつ、食材を柔らかくする効果も劣らず、また、これを用いて調理した場合に焦げも少ないものであり、新規な液体調味料として非常に有用である。

Claims (4)

  1. 米麹と、塩と、水と、からなる塩こうじと、
    米麹と、アルコールと、からなるみりんと、
    小麦麹と、塩と、水と、からなる小麦麹消化液と、
    からなる、液体調味料。
  2. 前記塩こうじは、固液分離を行わず製造されたものである、請求項1に記載の液体調味料。
  3. 米麹と、塩と、水と、からなる塩こうじを製造する工程(I)と、
    米麹と、アルコールと、からなるみりんを製造する工程(II)と、
    小麦麹と、塩と、水と、からなる小麦麹消化液を製造する工程(III)と、
    前記塩こうじと前記みりんと前記小麦麹消化液とを混合して液体調味料を得る工程(IV)と、
    を少なくとも行う、液体調味料の製造方法。
  4. 前記工程(I)では、塩こうじを更にミキサーで粉砕混合する、請求項3に記載の液体調味料の製造方法。
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