JP2020145940A - ハナビラタケの種菌の製造方法及びハナビラタケの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 栽培期間を大幅に短縮することができるハナビラタケの種菌の製造方法及びこの種菌を用いたハナビラタケの製造方法を提供すること。【解決手段】 通気性の良い固形培地を作成する培地作成工程と、該培地作成工程で作成した固形培地にハナビラタケの菌糸を接種する菌糸接種工程と、菌糸を接種した固形培地に弱い光を与えるとともに、通気培養を行う培養工程とで構成されることを特徴とする。【選択図】 図1

Description

本発明はハナビラタケの高速栽培が可能なハナビラタケの種菌の製造方法及びこの種菌を用いたハナビラタケの製造方法に関する。
褐色腐朽菌に分類されるハナビラタケは、カラマツなど針葉樹に生える希少なきのこであり、歯ごたえが良く旨味が有る上に純白の色合いと葉ボタン状の形態的特徴を持つ有望な食用キノコである。このハナビラタケは、1993年7月18日に埼玉県立熊谷農業高校で原木栽培に初めて成功したが(非特許文献1)、原木栽培では、商業的な大量栽培が出来ないので、培地成分に純粋澱粉類を添加することによりビン栽培による商業的栽培が可能となった(非特許文献2、特許文献1)。
その後、ハナビラタケの栽培方法等について様々な工夫がなされ子実体形成率の向上が報告されている。(特許文献2乃至7)しかしながら、どの文献報告を見てもハナビラタケ栽培では、菌糸の接種から収穫に至るまでの栽培期間が長く高速栽培をすることができなかった。
読売新聞、1993年7月18日 県北地域ニュース Mushroom Science and Biotechnology VOL.1 No.1 October,1994 研究レポート:ハナビラタケの人工栽培 15〜17頁 特願平9−228648号公報 特開2005−21121号公報 特開2002−369621号公報 特開2005−52068号公報 特開2005−137263号公報 特開2007−104996号公報 特開2008−230991号公報
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、栽培期間を大幅に短縮することができるハナビラタケの種菌の製造方法及びこの種菌を用いたハナビラタケの製造方法を提供することを目的としている。
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載のハナビラタケの種菌の製造方法は、通気性の良い固形培地を作成する培地作成工程と、該培地作成工程で作成した固形培地にハナビラタケの菌糸を接種する菌糸接種工程と、菌糸を接種した固形培地に弱い光を与えるとともに、通気培養を行い子実体原基又は幼子実体を形成させた種菌を培養する培養工程とで構成されることを特徴とする。
請求項2に記載のハナビラタケの種菌の製造方法の前記培養工程では、0.1ルクス乃至5ルクス程度の光を連続又は間欠状態で与えることを特徴とする。
請求項3に記載のハナビラタケの種菌の製造方法の前記培養工程では、1日当たり0.1リットル〜0.5リットル程度の空気を通気させて通気培養を行うことを特徴とする。
請求項4に記載のハナビラタケの製造方法は、通気性の良い固形培地を作成する培地作成工程と、該培地作成工程で作成した固形培地にハナビラタケの菌糸を接種する菌糸接種工程と、菌糸を接種した固形培地に弱い光を与えるとともに、通気培養を行い子実体原基又は幼子実体を形成させた種菌を培養する培養工程と、該培養工程で培養された前記種菌を引き続き前記培地又は新たな培地に接種した状態で高湿度環境下におき、子実体を生長させる発生工程とで構成されることを特徴とする。
請求項5に記載のハナビラタケの製造方法の前記培養工程では、0.1ルクス乃至5ルクス程度の光を連続又は間欠状態で与えることを特徴とする。
請求項6に記載のハナビラタケの製造方法の前記培養工程では、1日当たり0.1リットル〜0.5リットル程度の空気を通気させて通気培養を行うことを特徴とする。
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)菌糸を接種した固形培地に弱い光を与えるとともに、通気培養を行うことにより、ハナビラタケ種菌の形成速度を速め、ハナビラタケ種菌やハナビラタケの子実体の栽培日数を大幅に短縮することができる。
図1乃至図5は本発明の第1の実施形態を示す説明図である。
第1の実施形態を示すハナビラタケ種菌及びハナビラタケの製造方法の工程図。 保存菌株1による実験結果を示す表。 保存菌株2による実験結果を示す表。 保存菌株3による実験結果を示す表。 保存菌株4による実験結果を示す表。
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
図1乃至図5に示す本発明を実施するための第1の形態において、1はハナビラタケの種菌の製造方法であり、2は、ハナビラタケの種菌の製造方法1を使用して生産されたハナビラタケの種菌を用いてハナビラタケを製造するハナビラタケの製造方法である。
ハナビラタケの種菌の製造方法1は、通気性の良い固形培地を作成する培地作成工程3と、該培地作成工程3で作成した固形培地にハナビラタケの菌糸を接種する菌糸接種工程4と、菌糸を接種した固形培地に弱い光を与えるとともに、通気培養を行い種菌を培養する培養工程5とで構成されている。
また、ハナビラタケの製造方法2は、前記ハナビラタケの種菌の製造方法1で製造した種菌を培地に接種する種菌接種工程6と、この種菌接種工程6で種菌を接種した培地を培養する子実体培養工程7を行い、この子実体培養工程7を行った後、高湿度環境下におき、子実体を生長させる発生工程8をさらに行うものである。
培地作成工程3では、通気性の良い物質を含む固形培地を作成する。通気性の良い固形培地とは、目の粗いカラマツの大鋸屑に米や麦等粒状の澱粉類、保水性と通気性を兼ね備えたバーミキュライト、赤玉土、パーライト等の無機化合物を含む培地である。これらの培地に注水し例えば65%程度で撹拌手段を用いて撹拌を行い、さらに混ぜ込み接種が出来る機器に詰め込みオートクレーブ滅菌を行って培地を作成する。
このように作成した固形培地に、培地量の4〜6%、好ましくは5%程度の菌糸を接種し、撹拌手段を用いて撹拌することにより培地機材に均等に菌糸を混ぜ合わせる菌糸接種工程4を行う。この菌糸を接種した培地を種菌瓶に軽く詰め種菌用培地を作り、次工程(培養工程5)にてハナビラタケの種菌の培養を行う。
培養工程5では、培地の通気培養を行うが、この通気培養は、ハナビラタケの菌糸生長最適温度である20〜23℃、湿度60〜80%程度の環境の培養室で、外部からフィルター等の無菌処理手段を介して無菌処理し、きれいな空気を培地に微量に送り込み通気する。
前記培地に無菌状態の空気を通す場合の通気量は、本実施形態においては、1日当たり0.1リットル〜0.5リットル程度で良い。接種直後から1週間程度は通気せず培地機材に菌糸を活着させ、培養日数の経過と共に通気量を多くする。
また、望ましくは弱い光を与えて培養を行う。ここで弱い光とは、0.1ルクスから5ルクス程度の光を与えるということであり、連続でも良いし又は間欠投与でもよい。
通気培養を続けると、子実体原基や幼子実体が形成され、この段階で通気培養を終了する。この子実体原基や幼子実体はハナビラタケの種菌として使用することができるものであり、ハナビラタケの種菌の製造としては、この時点で培養を終了する。
なお、そのまま通気培養を続けると培地内の子実体原基や幼子実体が生長してしまい種菌として使えなくなるので、速やかにこの種菌(子実体原基又は幼子実体)を冷蔵保存することにより1年以上経過しても高速栽培用種菌として使用することができる。
この種菌を用いてハナビラタケの栽培を行う場合には、栽培用に培地を作成する。前述の工程に続き、種菌接種工程6、子実体培養工程7及び発生工程8を行う。
種菌接種工程6では、栽培用の培地を作成し、この培地に種菌を接種する。
栽培用の培地に使う材料としては、例えば、針葉樹、広葉樹のオガクズやその混合物、コーンコブ等イネ科の乾燥粉砕物などが使用でき、針葉樹のオガクズが好適である。
特にカラマツの大鋸屑が良く、発酵して熟成した物が最適である。培地栄養源としては、各種の澱粉類が使用でき、一般的には乾燥して粉砕したものを使う。これらの澱粉類を培地機材に1%〜15%程度添加するが、澱粉類の濃度が低いと子実体は白色で美しいが収量が低くなる。
また、澱粉類の濃度が高くなるに従って収量は増加するが、子実体が厚くなり、黄土色になるので7%〜10%程度が好適である。この澱粉類としては穀類を精製する過程でできる糠の成分だけでもハナビラタケを栽培することは可能であるが、純粋澱粉が多い方が好ましい。
本実施形態においては、小麦粉やトウモロコシ粉、大麦粉等の栄養源を入れ撹拌後、含水率65%程度になるように調整して使用している。
次に行われる培地の滅菌については、常圧滅菌でも高圧滅菌でも良い。常圧滅菌の場合は、滅菌時間が長くなり効率が悪いので高圧滅菌が好適である。培地の中心部分が100℃を超えてから118℃〜120℃程度の温度で90分程蒸気滅菌を行い、滅菌後は、速やかに無菌環境の空間で20℃以下に成るように冷却する。
本発明の製造方法で製造した種菌を使い、無菌空間で接種機等を使い接種孔と培地表面が薄く覆われる程度の量を接種する。接種量は、種菌の含水率により異なる。オガクズ種菌の接種量は12g〜25g程度であるが、高速栽培用種菌の接種量は20g以上接種する方が良い。
次に、子実体培養工程7について説明する。
一般的きのこの菌床栽培を行っている培養室は、暗黒培養であるが、本実施形態の子実体培養工程7では、弱い光環境の下で培養を行う。ハナビラタケの菌糸生長と子実体の生長速度は、強い光の環境下では反比例するが、弱い光の環境では、菌糸も正常に生長し同時にキノコも生育する特性がある。なお、弱い光とは0.1ルクス〜数ルクス程度の明るさの光環境である。
子実体の発生速度を均等に整えるためには弱い光を均等に与えることが大事である。ハナビラタケの菌糸生育温度は15℃〜28℃程度であるが、18℃〜25℃の温度帯で菌糸伸長が良好であり、培養最適温度は、20℃〜23℃程度である。培養室の二酸化炭素濃度は、一般的なきのこのでは1500ppmを超えない様にしているがハナビラタケでは、3000ppmを超えても支障を来たさない。
10日程培養すると外部よりボトルの肩口に薄く菌糸の伸長が見られ、肩口上部に白色菌膜が確認できるようになる。日を追うごとに肩口の菌糸の色は白さを増し、菌膜は瓶口方向へ幅を増して行く。2週間程度培養すると肩口より15mm程菌糸が伸長する。この程度菌糸が生長したらボトルの蓋を外し、子実体の生長具合を観察する。なお、汚染を心配すると思うが、この時期に蓋を外し、観察を行っても汚染することは無い。
子実体原基や幼子実体が大きく生長し透明な湧水が沢山見られるようであれば子実体培養工程7を終了し、発生工程8に移行する。子実体原基を接種した場合と幼子実体を接種した場合は、多少の違いが見られる。子実体原基を接種した場合は子実体原基が丸く大きく生長し、その上に無数の湧水が見られる。実体顕微鏡で確認すると湧水部分に幼子実体が出来ている。幼子実体の場合には、肌色であったものがより白さを増し大きく生長を始める。
子実体培養工程7が終了した培地は、発生室に移し高湿度環境下で子実体を生長させる発生工程8を行う。
栽培室の湿度環境は、80%〜100%の高湿度帯が良好であるが、風量により大きく異なるので弱い風量にして90%〜95%の湿度を維持する。温度は、15℃〜28℃で生長するが培養室と同じ20℃〜23℃程度が最適である。15℃以下の環境では子実体に黄変が出るので注意が必要である。また光環境は弱い光でも明るい光環境でも良い。24時間連続照明しても、明暗12時間の間欠照明でも生長に差が出るわけではない。蛍光灯照明の場合は光源に近いハナビラタケは赤外線により乾燥するのでLED等熱の発生が少ない照明の方が良い。生長速度を整えるためには、均等な明るさを与える様に気を付けることである。また多くの栽培きのこでは、発生室の二酸化炭素濃度が1000ppmを超えない様に調整するが、ハナビラタケは柄の有るキノコと違い二酸化炭素濃度に鈍感であり、3000ppmを超えても子実体の形状に支障を来たさない性質があるので部屋の換気回数や時間は少なめでも良い。
1か月程度栽培すると花弁が大きく開いてくるので、胞子形成が少ない若い子実体を収穫するように心がける。栽培期間が長くなると花弁が大きく開き、子実体の体積も大きくなるが、若い状態よりも子実体重量が減少し、胞子の形成により黄土色になるので収穫時期は注意が必要である。培養14日、栽培30日を目安に収穫する。高速栽では接種から45日程度で収穫が可能である。
本発明のハナビラタケの製造方法を用いて栽培実験を行った。なお比較のために従来の方法での栽培も行った。この栽培実験で用いられたハナビラタケは菌株を限定して栽培を行った。野生の株や保存されている菌株の場合には、芽出しや子実体の発生にばらつきが見られる為、選抜や育種を行い芽出しや子実体の発生の良い菌株を使った。
日本産ハナビラタケの種について各所より集めた野生株や保存されている菌株に付いて82系統の遺伝子解析を行った結果、殆どの株は、Sparassis latifoliaであり、一部の関西地方や中部地方のアカマツ帯に分布している種名の確定していないSparassis sp.であった。手持ちの200株程の菌株についても調べたがSparassis crispaという種は見当たらない。日本産ハナビラタケについての論文や特許に記載されているSparassis crispaについては、慎重に扱うべきである。
ハナビラタケの保存菌株1(日本産のSparassis latifolia)を用いた実施例である。
検体No.1は従来の栽培方法を用いたもので、カラマツの大鋸屑に接種してオガクズ種菌を作成した。栽培用培地は、3年間発酵したカラマツの大鋸屑に粉砕した大麦粉を8%加え、加水して含水率65%に調整した。これを850mlのポリプロピレンの栽培瓶に580g充填し、直径20mmの接種孔を市販の穴あけ機を用いて栽培瓶の中央に1つ開けた後118℃で90分間滅菌した。その後培地温度が20℃以下に下がってからオガクズ種菌を接種孔と培地表面に20g接種した。温度21℃〜24℃、湿度60%〜70%の培養室で培養を行った。接種後50日で栽培瓶のほぼ全体に菌糸が蔓延したところで発生操作として菌掻きを行った。発生操作後10日程でハナビラタケの子実体形成が見られ、形成率は100%であった。蓋を取って栽培室に移動し、湿度95%〜97%、温度20℃〜23℃、1〜3ルクスの明るさで14時間照明、二酸化炭素濃度が1500ppmを超えない様にした環境で子実体の生育をさせ、上限まで生育したとみられる接種から96日目に収穫した。試験栽培32本に付き1本当たり147gの収量であり、全収量は4.7kgであった。
検体No.2も検体No.1と同様な手順によって培養し、接種から26日目に子実体原基が大きく生長し、沢山の湧水が見られたので特別な発生操作をせず栽培室に移動した。栽培室の芽出しは、発生操作を行っていないのでばらつきが見られたが、3週間後には平均的に生長が整ってきた。上限まで生育したとみられる接種から65日目に収穫した。試験栽培32本に付き1本当たり149gの収量であり、全収量は、4.8kgであった。
検体No.3は、本発明のハナビラタケの製造方法を使用したもので、オガクズ接種ではなく、あらかじめ子実体原基を多量に形成させた種菌を20g接種し培養を行った。それ以外は検体No.1と同様の手順で培養した。接種後15日目には子実体原基が100%大きく生長し、沢山の湧水が見られたので発生室に移動した。接種してから46日後に収穫した。試験栽培32本に付き1本当たり151gの収量であり、全収量は、4.8kgであった。
検体No.4は、本発明のハナビラタケの製造方法を使用したもので、あらかじめ幼子実体を多量に形成させた種菌を20g接種し培養を行った。それ以外は同様の手順で培養した。接種後14日目には子実体原基が100%大きく生長し沢山の湧水が見られたので発生室に移動し、接種してから45日後に収穫した。試験栽培32本に付き1本当たり150gの収量であり、全収量は、4.8kgであった。
これらの栽培結果を図2の表にまとめて示す。各検体による収量に大差は見られないが、栽培期間に大幅な相違が見られ、本発明のハナビラタケの製造方法を使用したものについては、従来の方法に比べ短期間で収穫することができた。
実施例2は、ハナビラタケの保存菌株2(日本産のSparassis latifolia)を用いた実施例である。
検体No.1は実施例1の検体No.1と同様な手順により培養した。接種後52日で栽培瓶のほぼ全体に菌糸が蔓延したところで発生操作として菌掻きを行った。発生操作後10日でハナビラタケの子実体形成が見られ、形成率は100%であった。栽培工程も実施例1と同様に行い接種してから94日目に収穫した。試験栽培32本に付き1本当たり142gの収量であり、全収量は4.5kgであった。
検体No.2は実施例1の検体No.2と同様な手順によって培養し、接種から27日目に子実体原基が大きく生長し、沢山の湧水が見られたので特別な発生操作をせず栽培室に移動した。栽培室の芽出しは、発生操作を行っていないのでばらつきが見られたが、3週間後には平均的に生長が整ってきた。上限まで生育したとみられる接種から67日目に収穫した。試験栽培32本に付き1本当たり145gの収量であり、全収量は、4.6kgであった。
検体No.3は実施例1の検体No.3と同様な手順によって培養し、接種後16日目には子実体原基が100%大きく生長し、沢山の湧水が見られたので発生室に移動した。接種してから47日後に収穫した。試験栽培32本に付き1本当たり143gの収量であり、全収量は、4.6kgであった。
検体No.4は実施例1の検体No.4と同様な手順によって培養し、接種後14日目には子実体原基が100%大きく生長し沢山の湧水が見られたので発生室に移動した。接種してから45日後に収穫した。試験栽培32本に付き1本当たり146gの収量であり、全収量は、4.7kg.であった。
これらの栽培結果を図3の表にまとめて示す。各検体による収量に大差は見られないが、栽培期間に大幅な相違が見られ、本発明のハナビラタケの製造方法を使用したものについては、従来の方法に比べ短期間で収穫することができた。
実施例3は、ハナビラタケの保存菌株3(日本産のSparassis sp.)を用いた実施例である。
検体No.1は実施例1の検体No.1と同様な手順により培養した。接種後55日で栽培瓶のほぼ全体に菌糸が蔓延したところで発生操作として菌掻きを行った。発生操作後10日でハナビラタケの子実体形成が見られ、形成率は100%であった。栽培工程も実施例1と同様に行い98日目に収穫した。保存菌株3の子実体は、花弁が大きく開き花弁の周辺部に切れ込みが無く、明らかに保存菌株1や保存菌株2とは異なる特性が見られた。試験栽培32本に付き1本当たり146gの収量であり、全収量は、4.7kgであった。
検体No.2は実施例1の検体No.2と同様な手順によって培養し、接種から27日目に子実体原基が大きく生長し、沢山の湧水が見られたので特別な発生操作をせず栽培室に移動した。栽培室の芽出しは、発生操作を行っていないのでばらつきが見られたが、3週間後には平均的に生長が整ってきた。上限まで生育したとみられる接種から72日目に収穫した。保存菌株3の子実体は、花弁が大きく開く特性が見られた。試験栽培32本に付き1本当たり143gの収量であり、全収量は、4.6kgであった。
検体No.3は実施例1の検体No.3と同様な手順によって培養し、接種後17日目には子実体原基が100%大きく生長し、沢山の湧水が見られたので発生室に移動した。接種してから48日後に収穫した。保存菌株3の子実体は、花弁が大きく開く特性が見られた。試験栽培32本に付き1本当たり141gの収量であり、全収量は、4.5kgであった。
検体No.4は実施例1の検体No.4と同様な手順によって培養し、接種後15日目には幼子実体が100%大きく生長し、沢山の湧水が見られたので発生室に移動した。接種してから47日後に収穫した。保存菌株3の子実体は、花弁が大きく開く特性が見られた。試験栽培32本に付き1本当たり145gの収量であり、全収量は、4.6kgであった。
これらの栽培結果を図4の表にまとめて示す。各検体による収量に大差は見られないが、栽培期間に大幅な相違が見られた。保存菌株3の子実体は、保存菌株1や2に比べ子実体が大きく開き花弁の周辺部に切れ込みが無く丸い特性が見られた。
実施例4は、ハナビラタケの保存菌株4(ヨーロッパ産のSparassis crispa)を用いた実施例である。
検体No.1は実施例1の検体No.1と同様な手順により培養した。接種後57日で栽培瓶のほぼ全体に菌糸が蔓延したところで発生操作として菌掻きを行った。発生操作後12日でハナビラタケの子実体形成が見られ、形成率は100%であった。栽培工程も実施例1と同様に行い接種してから103日目に収穫した。保存菌株4の子実体は、花弁が小さい特性が見られた。試験栽培32本に付き1本当たり158gの収量であり、全収量は、5,1kgであった。
検体No.2は実施例1の検体No.2と同様な手順により培養した。接種から29日目に子実体原基が大きく生長し、沢山の湧水が見られたので特別な発生操作をせず栽培室に移動した。栽培室の芽出しは、発生操作を行っていないのでばらつきが見られたが、3週間後には平均的に生長が整ってきた。上限まで生育したとみられる接種から78日目に収穫した。保存菌株の子実体は、花弁が小さく開く特性が見られた。試験栽培32本に付き1本当たり160gの収量であり、全収量は、5.1kgであった。
検体No.3は実施例1の検体No.3と同様な手順によって培養し、接種後17日目には子実体原基が100%大きく生長し、沢山の湧水が見られたので発生室に移動した。接種してから47日後に収穫した。保存菌株4の子実体は、花弁が小さくく開く特性が見られた。試験栽培32本に付き1本当たり147gの収量であり、全収量は、4.7kgであった。
検体No.4は実施例1の検体No.4と同様な手順によって培養し、接種後15日目には幼子実体が100%大きく生長し、沢山の湧水が見られたので発生室に移動した。接種してから46日後に収穫した。保存菌株4の子実体は、花弁が小さく開く特性が見られた。試験栽培32本に付き1本当たり148gの収量であり、全収量は、4.7kgであった。
これらの栽培結果を図5の表にまとめて示す。各検体による収量に大差は見られないが、栽培期間に大幅な相違が見られた。保存菌株4の子実体は、保存菌株1、2、3に比べ子実体が小さく開く特性が見られた。また4菌株中栽培期間はやや遅いが、収量は多かった。
4つの菌株を使い4つの異なる栽培方法により16通りの栽培結果を比較すると菌株や種が異なっても芽出しの良い株を使えば100%子実体を形成することが判る。また、従来のように培地全体に菌糸が蔓延した後に発生操作をする栽培方法では、栽培期間が長くなり効率が悪い。
ハナビラタケの特性である暗い光の照射の元で栄養菌糸を伸ばしながら子実体の生長を促す栽培方法でも栽培期間を短縮できるが、あらかじめ本発明のハナビラタケの種菌の製造方法により製造された大量の子実体原基や幼子実体を形成させた種菌用い、この種菌を接種して子実体を培養する本発明のハナビラタケ栽培方法を行えば、より高速に栽培を行うことが出来、商業規模での栽培において大きくコストダウンを図ることが可能になる。
本発明はハナビラタケを製造する産業で利用される。
1:ハナビラタケの種菌の製造方法、
2:ハナビラタケの製造方法、
3:培地作成工程、 4:菌糸接種工程、
5:培養工程、 6:種菌接種工程、
7:子実体培養工程、 8:発生工程。

Claims (6)

  1. 通気性の良い固形培地を作成する培地作成工程と、該培地作成工程で作成した固形培地にハナビラタケの菌糸を接種する菌糸接種工程と、菌糸を接種した固形培地に弱い光を与えるとともに、通気培養を行い種菌を培養する培養工程とを含むハナビラタケの種菌の製造方法。
  2. 前記培養工程では、0.1ルクス乃至5ルクス程度の光を連続又は間欠状態のいずれかで与えることを特徴とする請求項1に記載のハナビラタケの種菌の製造方法。
  3. 前記培養工程では、1日当たり0.1リットル〜0.5リットル程度の空気を通気させて通気培養を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載のハナビラタケの種菌の製造方法。
  4. 通気性の良い固形培地を作成する培地作成工程と、該培地作成工程で作成した固形培地にハナビラタケの菌糸を接種する菌糸接種工程と、菌糸を接種した固形培地に弱い光を与えるとともに、通気培養を行い種菌を培養する培養工程と、該培養工程で培養された前記種菌を栽培用培地に接種する種菌接種工程と、該種菌接種工程で前記種菌を接種した前記栽培用培地を培養する子実体培養工程と、該子実体培養工程後に高湿度環境下で子実体を生長させる発生工程とを含むハナビラタケの製造方法。
  5. 前記培養工程では、0.1ルクス乃至5ルクス程度の光を連続又は間欠状態のいずれかで与えることを特徴とする請求項4に記載のハナビラタケの製造方法。
  6. 前記培養工程では、1日当たり0.1リットル〜0.5リットル程度の空気を通気させて通気培養を行うことを特徴とする請求項4又は請求項5のいずれかに記載のハナビラタケの製造方法。
JP2019044367A 2019-03-12 2019-03-12 ハナビラタケの種菌の製造方法及びハナビラタケの製造方法 Active JP6898664B2 (ja)

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