JP2020145933A - 液吐出ヘッド、液滴形成装置、及び分注装置 - Google Patents

液吐出ヘッド、液滴形成装置、及び分注装置 Download PDF

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Abstract

【課題】安定した吐出が可能な液吐出ヘッドの提供。【解決手段】吐出口と、前記吐出口から吐出する液を保持する液保持部と、前記液保持部に前記液を流通可能にそれぞれ接続され、前記液を貯留する一対の液貯留部と、前記一対の液貯留部にそれぞれ接続され、前記液貯留部と前記液保持部との間で前記液を送液する一対の送液部と、を有する吐出単位を複数配した液吐出ヘッドである。【選択図】図1A

Description

本発明は、液吐出ヘッド、液滴形成装置、及び分注装置に関する。
近年においては、幹細胞技術の進展に伴い、細胞懸濁液を吐出して組織体を形成する技術開発が行われている。この技術分野においては、細胞懸濁液を吐出する際に細胞にダメージを与えないように吐出できるインクジェット方式を採用した液吐出装置が開発されている。
例えば、中央に吐出口が形成された膜状部材を、膜状部材下面の周縁部にリング状に配置された圧電素子により変形させ、膜状部材の上面に収容されている液の液圧を利用して、液を吐出口から吐出する液滴吐出装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
本発明は、安定した連続吐出が可能な液吐出ヘッドを提供することを目的とする。
上記課題を解決するための手段としての本発明の液吐出ヘッドは、吐出口と、前記吐出口から吐出する液を保持する液保持部と、前記液保持部に前記液を流通可能にそれぞれ接続され、前記液を貯留する一対の液貯留部と、前記一対の液貯留部にそれぞれ接続され、前記液貯留部と前記液保持部との間で前記液を送液する一対の送液部と、を有する吐出単位を複数配する。
本発明によると、安定した吐出が可能な液吐出ヘッドを提供することができる。
図1Aは、液吐出ヘッドの一例を示す模式図である。 図1Bは、液吐出ヘッドの動作の一例を示す模式図である。 図2Aは、一対の送液部を用いた液保持部内の液の撹拌動作の一例を示す説明図である。 図2Bは、一対の送液部を用いた液保持部内の液の撹拌動作の一例を示す説明図である。 図2Cは、一対の送液部を用いた液保持部内の液の撹拌動作の一例を示す説明図である。 図3Aは、一対の液貯留部の配置を説明する一例を示す図である。 図3Bは、一対の液貯留部の配置を説明する他の一例を示す図である。 図4Aは、液吐出ヘッドにおける具体的な吸引排出動作のタイミングについて説明する一例を示す図である。 図4Bは、液吐出ヘッドにおける具体的な吸引排出動作のタイミングについて説明する他の一例を示す図である。 図5Aは、細胞Aについて、異なる細胞濃度の溶液での撹拌動作の有無による吐出された液滴中の細胞濃度の評価結果を示すグラフである。 図5Bは、細胞Bについて、異なる細胞濃度の溶液での撹拌動作の有無による吐出された液滴中の細胞濃度の評価結果を示すグラフである。 図6は、液吐出ヘッドの一例を示し、具体的な吸引排出動作のタイミングについて説明する図である。 図7は、液吐出ヘッドの一例を示し、吐出動作中に液保持部から吐出される累積吐出量を示す図である。 図8Aは、液吐出ヘッドの一例を示し、吐出動作中の液面高さを維持するための具体的な送液手段の動作及び駆動プロファイルについて説明する図である。 図8Bは、液吐出ヘッドの他の一例を示し、吐出動作中の液面高さを維持するための具体的な送液手段の動作及び駆動プロファイルについて説明する図である。 図9は、液吐出ヘッドにおける、一対の送液部の吐出動作のプロファイルの一例を示す図である。 図10は、液吐出ヘッドにおける、一対の送液部の吐出動作のプロファイルの他の例を示す図である。 図11は、液吐出ヘッドにおける、一対の送液部の吐出動作のプロファイルの他の例を示す図である。 図12は、液面高さの変化を液面検出手段により検出する場合を説明する図である。 図13Aは、液吐出ヘッドにおける吐出単位を複数配置した一例を示す図である。 図13Bは、吐出した液を着適させるプレートの一例を示す図である。 図13Cは、吐出した液を着適させるプレートの他の一例を示す図である。 図14Aは、液吐出ヘッドにおける吐出単位の動作の一例を示す図である。 図14Bは、吐出単位による液吐出の簡易タイミングチャートの一例を示す図である。 図14Cは、吐出単位による液吐出の簡易タイミングチャートの他の一例を示す図である。 図15Aは、複数の吐出単位を同時並行して吐出動作を行う場合の動作の一例を示す図である。 図15Bは、図15Aにおける吐出動作の結果の一例を示す図である。
(液吐出ヘッド)
本発明の液吐出ヘッドは、吐出口と、前記吐出口から吐出する液を保持する液保持部と、前記液保持部に前記液を流通可能にそれぞれ接続され、前記液を貯留する一対の液貯留部と、前記一対の液貯留部にそれぞれ接続され、前記液貯留部と前記液保持部との間で前記液を送液する一対の送液部と、を有する吐出単位を複数配し、更に必要に応じてその他の部材を有する。
本発明者らは、安定した吐出が可能な液吐出ヘッドについて検討したところ、以下の知見を得た。
従来の液吐出装置では、前記液として細胞懸濁液を吐出する場合、前記細胞懸濁液を吐出するにつれて液量が減少することにより、吐出口にかかる液圧が低くなるため吐出量が少なくなるという問題がある。
具体的には、従来の液吐出装置では、液収容容器の内部に発生する気泡を除去するために、液収容容器の上方を大気開放しているため、膜状部材における吐出口にかかる液圧(静圧)は膜状部材から細胞懸濁液の液面までの高さ、所謂水頭に依存する。そのため、液滴を吐出するための駆動力は、膜状部材を駆動させる圧電素子の収縮応力(振動)による動圧と、水頭による静圧との組合せによって決まる。このため、従来の液吐出装置では、液滴の連続的な吐出で液収容容器内の細胞懸濁液の液量が減少し、水頭が低下すると、液滴を吐出するための駆動力が低下して液滴が吐出できなくなる「不吐出」が発生する場合があるという問題がある。
また、従来の液吐出装置では、細胞懸濁液を静置すると沈殿した細胞が吐出口に詰まりやすくなり、「不吐出」が発生する場合があるという問題がある。
さらに、従来の液吐出装置では、液吐出ヘッド内の液の撹拌機構がヘッド内の液保持部全体で行われるため、吐出にかかわらない液保持部の細胞などへの不要な撹拌が行われ、それによって細胞がダメージを受けてしまうという問題がある。
そこで、本発明者らは、吐出口と、前記吐出口から吐出する液を保持する液保持部と、前記液保持部に前記液を流通可能にそれぞれ接続され、前記液を貯留する一対の液貯留部と、前記一対の液貯留部にそれぞれ接続され、前記液貯留部と前記液保持部との間で前記液を送液する一対の送液部と、を有する吐出単位を複数配した液吐出ヘッドとすることにより、液量が減少した液保持部内へ、選択的にかつ確実に送液することを可能にした。このため、液保持部内の液面高さを一定にしやすくなり、吐出を安定させることができることを見出した。
また、本発明者らは、吐出口と、液保持部と、液貯留部と、送液部と、を吐出単位として複数配した液吐出ヘッドとすることにより、吐出単位毎に独立して液吐出や撹拌などの制御を行うことができるため、生産性を損なうことなく、複数の吐出単位の運転切替を容易に行うことができることを見出した。特に、前記液が細胞懸濁液である場合には、吐出にかかわらない液保持部の液中の細胞などへの不要な撹拌などを行うことなく、細胞などへダメージを与えることを抑制することができることを見出した。
なお、本発明は、細胞懸濁液の場合に限らず、インクに含まれる顔料が重い白色インクや印刷物にメタリック感を表現するため微小な金属片を含むインクなどの場合に、顔料や金属片が沈降しないように液保持部内のインクを撹拌するために用いてもよい。
なお、説明の便宜上、振動部材を基準にして、振動部材の液保持部側を上側、振動部材のノズルプレート側を下側とし、各部の上側を上面、下側を下面とする。
<吐出単位>
吐出単位は、液保持部と、一対の液貯留部と、一対の送液部と、を少なくとも有する単位である。
吐出単位は、液吐出ヘッドに複数有している。
吐出単位の配置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、直線状などが挙げられる。また、吐出単位の配置としては、吐出単位毎の吐出口の中心間の距離が等しく配置されていることが好ましく、吐出単位が隣接していることがより好ましい。
<<液保持部>>
液保持部は、液体を保持する部材である。
液保持部は、吐出口を有するノズルプレートを有し、更に振動部材を有することが好ましく、更に必要に応じてその他の部材を有することがより好ましい。
液滴吐出手段がオープンヘッドの場合には、大気開放部を上部側に有していることが好ましい。なお、大気開放部の位置は上部に限定されない。液体中に混入した気泡は大気開放部から排出可能に構成されている。
液保持部の形状、大きさ、材質、及び構造については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
液保持部の材質としては、例えば、ステンレス鋼、ニッケル、アルミニウム等や、二酸化ケイ素、アルミナ、ジルコニアなどが挙げられる。
これらの中でも、液中に粒子を含み、その粒子として細胞やタンパク質を用いる際には、細胞やタンパク質に対する付着性の低い材料を用いることが好ましい。
細胞の付着性は一般的に材質の水との接触角に依存性があると言われており、材質の親水性が高い又は疎水性が高いときには細胞の付着性が低い。親水性の高い材料としては各種金属材料やセラミックス(金属酸化物)を用いることが可能であり、疎水性が高い材料としてはフッ素樹脂等を用いることが可能である。
これら以外にも、材料表面をコーティングすることで細胞接着性を低下させることも考えられる。例えば、材料表面を前述の金属又は金属酸化物材料でコーティングすることや、細胞膜を模した合成リン脂質ポリマー(例えば、日油株式会社製、Lipidure)によってコーティングすることが可能である。
液保持部の容積としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1μL以上1mL以下などが挙げられる。特に、液として、細胞懸濁液のような高価な液を使用する場合には、少量で液滴を形成できるようにするために、液保持部の容積が1μL以上200μL以下であることが好ましい。
液保持部が保持する液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、有機溶媒、細胞懸濁液などが挙げられる。有機溶媒としては、例えば、アルコール、鉱物油、植物油などが挙げられる。
液として、水を用いる場合には、蒸発を抑えるための湿潤剤や、表面張力を下げるための界面活性剤などの添加剤を含有することが好ましい。液に含有する添加剤としては、インクジェットインクに用いられるごく一般的な材料を用いることができる。
液保持部が保持する液が含有する粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属微粒子、無機微粒子、細胞などが挙げられる。
金属微粒子の材料としては、特に制限はなく、例えば、銀、銅などが挙げられる。金属微粒子の材料が、銀や銅であると、これらは吐出した液滴によって配線を描画する用途に用いることができる。
無機微粒子の材料としては、特に制限はなく、例えば、酸化チタン、酸化ケイ素などが挙げられる。無機微粒子の材料が、酸化チタンや酸化ケイ素であると、白インクの用途やスペーサ材料の塗布用途などに用いることができる。
細胞としては、特に制限はなく、例えば、動物細胞、植物細胞、細菌などが挙げられる。細胞が、動物細胞、特にヒト由来の細胞が好ましい。細胞がヒト由来の細胞であると、薬剤試験用の細胞プレート、化粧品の評価用組織片を形成するための細胞吐出用の装置に用いることができる。
−ノズルプレート−
ノズルプレートは、吐出口(ノズル)が形成され、液保持部に保持された液体をその振幅運動による振動により吐出口から液滴として吐出する部材である。
ノズルプレートは、液滴吐出手段がオープンヘッドの場合には、液保持部の下端部に固定されている。
ノズルプレートは、液滴吐出手段がクローズヘッドの場合には、液保持部の上端部に固定されている。
液保持部に保持された液体は、ノズルプレートの振動により貫通孔である吐出口から液滴として吐出される。
ノズルプレートの平面形状、大きさ、材質、及び構造については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
ノズルプレートの平面形状としては、例えば、円形、楕円形、長方形、正方形、菱形などが挙げられる。
ノズルプレートの材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、柔らかすぎるとノズルプレートが簡単に振動し、吐出しないときに直ちに振動を抑えることが困難であるため、ある程度の硬さを有する材質を用いることが好ましく、例えば、金属、セラミックス、高分子材料などが挙げられ、具体的には、ステンレス鋼、ニッケル、アルミニウム、二酸化ケイ素、アルミナ、ジルコニアなどが挙げられる。これらの中でも、液保持部と同様に、粒子として細胞やタンパク質を用いる場合には、細胞やタンパク質に対する付着性の低い材料を用いることが好ましい。細胞の付着性は、一般的に材質の水との接触角に依存性があると考えられており、材質の親水性又は疎水性が高いときには、細胞の付着性が低い。親水性の高い材質としては、例えば、金属やセラミック(金属酸化物)などが挙げられる。疎水性が高い材質としては、例えば、フッ素樹脂などが挙げられる。また、材料表面をコーティングすることにより細胞接着性を低下させることもできる。材料表面をコーティングする方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、材料表面を前述の金属又はセラミック(金属酸化物)でコーティングすることや、細胞膜を模した合成リン脂質ポリマー(例えば、日油株式会社製、商品名:Lipidure)によってコーティングすることなどが挙げられる。
−吐出口−
吐出口としては、その配列数、配列態様、間隔(ピッチ)、開口形状、開口の大きさなどについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
吐出口の配列数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、液滴吐出手段の吐出面の長さ方向に沿って1列以上配設されていることが好ましく、1列以上4列以下がより好ましい。吐出口を1列以上設けることにより、単位時間当りの吐出する液滴数を増加させることができると共に、粒子の種類(例えば、細胞の種類など)に応じて列を変えて一度に吐出することができる。
1列当たりの吐出口の数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択されるが、2個以上100個以下が好ましく、2個以上50個以下がより好ましく、2個以上12個以下が更に好ましい。1列当たりの吐出口の数が2個以上100個以下であると、単位時間当りに吐出する液滴数を増加させることができるため、高い生産性を有する液滴形成装置を提供することができる。
吐出口の配列態様としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、規則配列(例えば、千鳥格子配列など)であっても、不規則配列であってもよい。
吐出口が、複数列である場合には、隣接する吐出口から吐出される液滴同士の干渉を防止でき、粒子の検出感度を向上させるため、各列の間に仕切り部材を設けることが好ましい。仕切り部材としては、例えば、仕切り板などが挙げられる。
吐出口は、等間隔に並んで配列されていることが好ましく、隣接する吐出口の中心間の最短距離である間隔(ピッチ)Pとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、50μm以上1,000μm以下が好ましい。
吐出口の開口形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、円形、楕円形、四角形などが挙げられる。
吐出口の平均径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、粒子が吐出口に詰まることを避けるため、粒子の大きさの2倍以上とすることが好ましい。
粒子が、例えば、動物細胞、特にヒトの細胞である場合、ヒトの細胞の大きさは、一般的に、5μm以上50μm以下であるため、吐出口の平均径は、使用する細胞に合わせて、10μm以上100μm以下が好ましい。
一方で、液滴が大きくなり過ぎると、微小液滴を形成するという目的の達成が困難となるため、吐出口の平均径は、200μm以下であることが好ましい。したがって、吐出口の平均径は、10μm以上200μm以下がより好ましい。
−振動部材−
振動部材は、ノズルプレートを振動させて吐出口(ノズル)から液滴を吐出させる部材である。振動部材は、変位部と称することもある。
振動部材は、液滴吐出手段がオープンヘッドである場合には、ノズルプレートの下面側に形成されている。
振動部材は、液滴吐出手段がクローズヘッドである場合には、ノズルプレートの上面側に形成されている。
振動部材の形状、大きさ、材質、及び構造については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
振動部材の形状としては、特に制限はなく、ノズルプレートの形状に合わせて適宜設計することができるが、例えば、ノズルプレートの平面形状が円形である場合には、クローズヘッドの場合には、円形の振動部材を設けることが好ましい。また、オープンヘッドの場合には、吐出口の周囲に平面形状が円環状(リング状)の振動部材を形成することが好ましい。
振動部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、圧電素子、ノズルプレートとは線膨張係数が異なる材料などが挙げられる。
圧電素子としては、例えば、圧電材料の上面及び下面に電圧を印加するための電極を設けた構造などが挙げられる。この場合、駆動手段から圧電素子の上下電極間に電圧を印加することによって膜の面横方向に圧縮応力が加わり、ノズルプレートを膜の面上下方向に振動させることができる。
圧電材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)、ビスマス鉄酸化物、ニオブ酸金属物、チタン酸バリウム、又はこれらの材料に金属や異なる酸化物を加えたものなどが挙げられる。これらの中でも、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)が好ましい。
ノズルプレートとは線膨張係数が異なる材料は、ノズルプレート上に当該材料を貼付け、当該材料を加熱することによって、線膨張係数の差を利用してノズルプレートを振動させる材料である。
ノズルプレートとは線膨張係数が異なる材料を加熱する手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒータなどが挙げられる。
振動部材は、駆動部により駆動される。駆動部はノズルプレートを振動させて液滴を形成する吐出波形(吐出信号)を振動部材に付与する。つまり、駆動部は、吐出波形を振動部材に加え、ノズルプレートの振動状態を制御することにより、液保持部に保持された溶液を吐出口から液滴として吐出させることができる。
<<一対の液貯留部>>
一対の液貯留部は、液保持部に液を流通可能にそれぞれ接続され、液を貯留する部材である。即ち、液貯留部は、液を一時的に貯留する部材である。
液貯留部の形状、材質、大きさ、構造などについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
液貯留部の形状としては、例えば、チューブ状、管状などが挙げられる。
液貯留部の材質としては、例えば、樹脂、ゴム、エラストマー、金属などが挙げられる。これらの中でも、樹脂が好ましい。樹脂としては、例えば、シリコーンゴム、ナイロン、ウレタンなどが挙げられる。
液貯留部は、交換可能であることが好ましい。液貯留部が交換可能であると、吐出対象の種類を変更する際に、液貯留部のみの交換で対応が可能である。
液貯留部の容積は、変更可能であることが好ましい。液貯留部の容積は、変更可能であると、吐出対象の種類や液保持部の容積変化によって変化する吐出対象を撹拌するために必要な吸引排出量を調整することができ、液貯留部の内径、長さ、形状などを調整することにより変更することができる。
液貯留部の容積は、例えば、液貯留部の内径Aと長さBとから、次式、容積=(A/2)π×B、により算出することができる。
液貯留部の容積は、同じであることが、液面高さを一定に保持するために液吸引量と排出量を同一にした際に、不要な液貯留部を生じない点から好ましい。
液貯留部は、液保持部に連通し吐出口(又はノズルプレート)に対して傾斜配置されることが好ましい。即ち、吐出口を通る中心軸に対して傾いて配置されていることが好ましい。
液貯留部の傾斜角度は、吐出口(又はノズルプレート)に対して、45°以上80°以下であることが好ましい。液貯留部の傾斜角度が、45°以上80°以下であることにより、液保持部内に上昇流を発生させ、液保持部の底部に堆積した粒子を分散させることができる。
液貯留部は、吐出口を通る中心軸に対して対称に配置されていることが、液保持部内の粒子の分布を均一にする点から好ましい。
液貯留部の中心軸線がそれぞれ同一平面とならないことが、液保持部の内壁付近の粒子も分散させることが可能となる点から好ましい。
液貯留部は、予め所定量の液を保持していることが好ましい。液貯留部が予め所定量の液を保持していることにより、液保持部に供給する液を迅速に供給することができる点から好ましい。
所定量の液における「所定量」とは、吐出口から吐出される液量以上の量を意味する。
<<一対の送液部>>
一対の送液部は、液保持部内の液を吸引及び排出する部材である。
送液部の形状、材質、大きさ、構造などについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
送液部としては、例えば、シリンジタイプ、プランジャータイプの電動ポンプ等の定量の液量を吸引、保持、排出可能なポンプなどが挙げられる。
一対の送液部は、複数の送液量に切替え可能であることが、吐出対象の種類や液保持部の容積を変化させた際、吐出対象を十分撹拌するために必要な吸引排出量に切り替えることができる点から好ましい。
一対の送液部の送液量とは同じであることが、撹拌時に液保持部内の液量を変化させず、液面高さを一定に保持することができる点から好ましい。
ここで、送液量としては、例えば、吸引液量、排出液量などが挙げられ、最も多い吸引液量を最大吸引液量、最も多い排出液量を最大排出液量という。
本発明においては、送液部における各最大吸引液量が、それぞれ液貯留部の容積未満である。これにより、液保持部内で撹拌している液が送液部内まで進入しないように調整できるので、吐出対象の種類を変更するごとに、送液部内の洗浄又は、送液部の交換が必要なくなる。
また、一対の送液部のいずれか一方の送液部の吸引動作に同期させて、他方の送液部が排出動作を行うことが好ましい。これにより、液吐出ヘッドは、液保持部内の溶液に含まれる粒子の均一分散状態を維持しながら吐出動作を実施しても、吐出口(又はノズルプレート)からの液面高さが変化せず、吐出口(又はノズルプレート)にかかる静圧力が一定であるため、液滴の落下速度が変化することなく、一定の落下速度かつ一定の含有される粒子濃度の液滴を吐出することが可能となる。
一対の送液部は、複数の送液速度に切替え可能であることが好ましい。
ここで、送液速度としては、例えば、吸引速度、排出速度などが挙げられる。
一対の送液部のいずれかの液吸引動作を液吐出ヘッドの吐出動作中に実施することが好ましい。一対の送液部のいずれかの液吸引動作を液吐出ヘッドの吐出動作中に実施することにより、「吐出を停止させることによる生産性の低下」及び「吐出口の乾燥」を防止することができる。
<<その他の手段>>
その他の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、切替部、液量検出手段、制御部などが挙げられる。
<<切替部>>
切替部は、送液部と液貯留部との間にそれぞれ配置され、液を送液する液貯留部を切り替える部材である。
切替部としては、形状、大きさ、材質、及び構造については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
切替部としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、仕切弁、三方弁などの多方弁などが挙げられる。これらの中でも、多方弁が好ましい。切替部が、多方弁であると、送液部と一対の液貯留部との間にある分岐点毎に1つの切替部を設けるだけで複数の液貯留部に対する送液を制御することができる。
本発明の液吐出ヘッドに切替部を設けることにより、液補給が必要な液貯留部のみに対して液を補給することができる。また、切替部を設けることにより、複雑な設計が不要になり、省スペースで安価な構成のヘッドとすることができる。
<<<液量検出手段>>>
液量検出手段は、液保持部内の液量を検出する部材である。
液量検出手段を設けることにより、液保持部内の液量を検出することにより、吐出だけでなく揮発による液量の変化を検出可能である点から好ましい。また、液量検出手段による液量の検出結果に基づいて一対の切替部を制御するようにしてもよい。これにより、本発明の液吐出ヘッドは、液保持部内の液量を一定にすることができるため、より確実に吐出を安定させることができる。
液量検出手段としては、例えば、吐出された液滴の滴数をカウントするセンサ、液面の画像を撮影し画像処理により液面位置を検出する画像センサ、発光素子及びポジションセンサによるもの、光電センサによる水検知センサなどが挙げられる。
また、液吐出ヘッドの液保持部の少なくとも液面検出範囲については透明になっていることが好ましい。
液滴の滴数をカウントするセンサとしては、例えば、マイコンを備えたコントローラ内の吐出信号出力カウンターなどが挙げられる。
液面の画像を撮影し画像処理により液面位置を検出するセンサとしては、例えば、カメラ、静電容量式の液量検知センサ、液体が不透明な場合には上方からのレーザー変位計などが挙げられる。
本発明の液吐出ヘッドは、液保持部内の液が粒子を含有する場合には、液貯留部内の液を液保持部内へ送液することにより、液保持部内の液を撹拌することで、粒子を再分散させ、粒子を吐出口に詰まりにくくさせることができ、吐出を安定させることができる。
また、本発明の液吐出ヘッドは、一対の送液部が、一方の液貯留部で貯留されている液を液保持部に移送させるとともに、液保持部から他方の液貯留部に液を移送させるようにしてもよい。これにより、本発明の液吐出ヘッドは、液保持部内の液量を調節して液面高さを一定にすることができるため、吐出を安定させることができる。
また、本発明の液吐出ヘッドは、液保持部内の液面高さが一定になるように、一対の液移送部及び一対の切替部の少なくともいずれかを制御する制御部を更に有するようにしてもよい。これにより、本発明の液吐出ヘッドは、吐出を安定させることができる。
また、本発明の液吐出ヘッドは、液保持部を複数備えている場合には、少なくともいずれかの液保持部で移送させる液の量を、他の液保持部で移送させる液の量と異なるように制御を行うようにしてもよい。これにより、本発明の液吐出ヘッドは、いずれかの液保持部内の液の種類が異なり、必要な撹拌力が異なる場合であっても、液の種類によって適切な撹拌を行うことができるため、吐出を安定させることができる。
また、本発明の液吐出ヘッドは、液貯留部における液の流量を検出する流量検出部を更に有するようにしてもよい。これにより、本発明の液吐出ヘッドは、流量検出部の検出結果に基づき、一対の送液部及び一対の切替部の少なくともいずれかを制御することにより、より確実に吐出を安定させることができる。
また、本発明の液吐出ヘッドは、一対の液貯留部の少なくともいずれかに液が予め貯留されているようにしてもよい。これにより、本発明の液吐出ヘッドは、液保持部内の液量が所定の値より少ない場合には、一対の液貯留部の少なくともいずれかから液保持部に液を速やかに送液(供給)することができる。
また、本発明の液吐出ヘッドは、液保持部内の液量が所定の値より少ない場合には、一対の液貯留部の少なくともいずれかから液保持部に液を送液させる制御を行うようにしてもよい。これにより、本発明の液吐出ヘッドは、液保持部に液を速やかに送液(供給)することができる。
また、本発明の液吐出ヘッドは、切替部よりも送液部側に液が移送されないようにする制御を行ってもよい。これにより、本発明の液吐出ヘッドは、液保持部を複数有し、その複数の液保持部に保持されている液の種類が異なる場合であっても、異なる液が混ざり合わないようにすることができる。
<<<制御部>>>
制御部は、吐出単位の内、直線状にかつ隣接して配された、第一の吐出単位、第二の吐出単位、第三の吐出単位がこの順で、吐出をする制御を行い、さらに、液保持部が保持する液の液面高さが一定になるように、一対の送液部、及び、一対の切替部を制御する。
制御部は、CPU(Central Processing Unit)ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、メインメモリなどを有し、液吐出ヘッド全体の動作を制御するための制御プログラムに基づいて各種処理を実行する。
制御部が行う制御のうち、「吐出単位の内、直線状にかつ隣接して配された、第一の吐出単位、第二の吐出単位、第三の吐出単位がこの順で、吐出をする制御」とは、液吐出ヘッド内の複数の吐出単位において、直線状かつ隣接して配置された、第一の吐出単位、第二の吐出単位、及び第三の吐出単位を第一から第三の順番で吐出動作を制御することを意味する。
このような制御を行うことにより、吐出単位毎に吐出動作を行うことができるため、吐出にかかわらない吐出単位を動作させることがなくなるため、液中の粒子に不要なダメージを与えることなく、複数の吐出単位の運転切替を行うことができる。
また、制御手段が行う制御としては、「前記第一の吐出単位が、吐出対象における第一の吐出領域と対向したときに吐出動作を行うように、前記第一の吐出単位が前記吐出動作を行っているときに、前記第二の吐出単位が、前記液保持部の内部に保持される前記液の撹拌動作を行うように、前記第一の吐出単位が前記吐出動作を行っているときに、前記第三の吐出単位が作動しないように、制御を行う」ことが好ましい。
「吐出領域」とは、吐出する液が着滴する対象(吐出対象)における液が着滴する領域を意味する。吐出領域としては、例えば、吐出対象がウェルプレートである場合には、ウェルなどの領域が挙げられる。
このような制御を行うことによって、吐出動作に関与しない吐出単位における液の撹拌動作を中止して液中の粒子にダメージを与えることを防ぎ、必要最小限の仕事量に制御することができる。
また、制御手段が行う制御としては、「前記第一の吐出単位が前記吐出動作を行っているときに、前記第一の吐出単位における前記液保持部の内部に保持される前記液の量が一定となるように制御を行う」ことが好ましい。このような制御を行うことにより、吐出が進み液保持部内の液が減少した場合においても、吐出口に係る液圧を変化させることなく、安定して液を吐出することができる。
ここで、本発明の液吐出ヘッドの実施形態について、図面を用いてさらに詳細に説明する。ただし、本発明の液吐出ヘッドは、これらの態様に限定されるものではない。なお、各図面において、同一の構成部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。また、下記構成部材の数、位置、形状等は以下の形態に限定されず、本発明を実施する上で好ましい数、位置、形状等にすることができる。
図1Aは、本発明の液吐出ヘッドの一例を示す模式図であり、図1Bは、本発明の液吐出ヘッドの動作の一例を示す模式図である。
図1Aに示すように、吐出単位100を有する液吐出ヘッド200は、ノズルプレート3と、振動部材2と、液保持部1と、液貯留部211及び212と、送液部201及び202と、を有している。
なお、本実施形態では、説明の便宜上、振動部材2を基準にして、振動部材2の液保持部1側を上側、振動部材2のノズルプレート3側を下側とし、各部の上側を上面、下側を下面とする。
また、「平面視」とは、対象物を上面又は下面から視ることを意味し、「平面形状」とは対象物の上面又は下面から視た形状を意味する。
図1Aに示すように、ノズルプレート3には、液保持部1に保持されている粒子350を含有する粒子300を吐出する吐出口131が設けられている。また、振動部材2には、振動部材2を駆動する駆動部40と、駆動部40を制御する制御部が備えられている。
液保持部1は、粒子350を含有する(粒子350が分散された)粒子300を保持する。言い換えると、液保持部1は、吐出口131から吐出する液を保持する。
液保持部1は、上面が大気に開放された大気開放部122を有しており、粒子300中に混入した気体を大気に放出することができる。液保持部1は、後述する液貯留部211及び212の少なくともいずれかと粒子300を流通可能に接続されている。
ノズルプレート3は、振動部材2を介して液保持部1の下端部に固定されている。
ノズルプレート3における液保持部1の略中心の部位には、貫通孔である吐出口(ノズル)131が形成されている。液保持部1に保持された粒子300は、ノズルプレート3の振動によりノズル131から液滴として吐出される。
振動部材2は、ノズルプレート3の上面側に形成されている。すなわち、振動部材2は、吐出口131から吐出させる粒子300を保持する液保持部1側に配置されている。
駆動部40は、振動部材2を駆動する。駆動部40は、ノズルプレート3を振動させて液滴を形成する吐出波形(吐出信号)を振動部材2に付与することができる。
つまり、駆動部40は、吐出波形を振動部材2に加え、ノズルプレート3の振動状態を制御することにより、液保持部1に保持された粒子300をノズル131から液滴として吐出させることができる。
一対の送液部201及び202は、液貯留部211及び212にそれぞれ接続され、液貯留部211及び212と液保持部1との間で、液保持部内の粒子300を吸引及び排出する部材である。
送液部201及び202による粒子300の送液としては、液貯留部211又は212の一方の液貯留部で貯留されている粒子300を液保持部1に流出させるとともに、一方の液貯留部から液保持部1に流出させた流量の粒子300を、液保持部1から他方の液貯留部に流入させることにより行われることが好ましい。これにより、液保持部1に保持する粒子300の液面高さを一定にすることができる。このため、本実施形態のように、液保持部1に収容する粒子300によって吐出口131にかかる液圧(静圧)と、吐出口131を変位させる動き(動圧)とにより粒子300を吐出する液吐出ヘッド200においては、液圧を一定にすることにより、吐出を安定させることができる。
液保持部1に保持される粒子300の液量が所定の値より少ない場合には、送液部は、流路の少なくともいずれかから液保持部1に粒子300を流入させることが好ましい。これにより、液吐出ヘッド200は、液保持部1に粒子300を供給することができるため、液圧を一定にして吐出を安定させることができる。
液貯留部211及び212は、液保持部1に粒子300をそれぞれ流通可能にそれぞれ接続され、粒子300を一時的に貯留することができる。
また、液貯留部211及び212は交換可能であり、内径や長さを調整することにより容量を変更可能である。これらの2本の流路は、ノズル131(ノズルプレート3)に対して傾斜配置されている。すなわち、ノズル131を通る中心軸に対して傾いて配置されている。
液貯留部211及び212の配置としては、連結部の中心軸の延長線がノズルプレート3と振動部材2により形成される隅部と一致、又は隅部よりもややノズル131側になるように配置するのが好適である。
切替部は、送液部201及び202と液貯留部211及び212との間に、それぞれ配置され、液貯留部211及び212を開閉する。
制御部は、液保持部1が保持する粒子300の液面高さが一定になるように、送液部201及び202、及び、切替部を制御する。
制御部は、CPU(Central Processing Unit)ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、メインメモリなどを有し、液吐出ヘッド200全体の動作を制御するための制御プログラムに基づいて各種処理を実行する。
制御部は、液保持部1が保持する粒子300の液面高さが一定になるように、送液部201及び202、及び、切替部を制御する。
制御部は、CPU(Central Processing Unit)ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、メインメモリなどを有し、液吐出装置全体の動作を制御するための制御プログラムに基づいて各種処理を実行する。
図1Bは、液吐出ヘッドにより液滴が形成される過程の一例を示す概略図である。図1Bでは、駆動部40から振動部材2に吐出波形を入力し、ノズルプレート3の振動によって液滴310を形成した状態を模式的に示している。
吐出波形に応じて振動部材2を介してノズルプレート3の振動部材2と接しない部分が振動を起こし、吐出口131部分が最も振幅が大きくなる。吐出口131の振動により液保持部1内の粒子300が液滴310として吐出される。
図2A〜図2Cは、送液部を用いた液保持部内の液の撹拌動作の一例を示す説明図である。
より具体的には、図2Aは、粒子350を含有する粒子300を液保持部1に入れ静置したときの様子の一例を示す説明図である。図2Aにおいては、粒子350の自由沈降により、液保持部1の底部に粒子350が沈降し、堆積した状態となっている。この状態のまま、液滴吐出動作を行うと、吐出口131近傍に粒子350が凝集しているため、吐出口131内に凝集した粒子350が詰まってしまい液滴が形成されない、いわゆる不吐出という不具合が発生するおそれがある。
また、液滴が形成できたとしても、初期の液滴内には大量の粒子350が含まれた状態で吐出され、徐々に液滴内に含まれる粒子350の含有量は減少する。そのため、吐出口131上方の粒子350が吐出されてしまうと、上澄み液だけが吐出される状態となり、経時での液滴310内の粒子350の含有量に大きなばらつきが発生してしまうという不具合がある。
図2B及び図2Cは、送液部201及び202を用いた液保持部1に保持された粒子300の撹拌による粒子350の再分散過程の一例を示した説明図である。
まず、図2Aに示すように、送液部201及び202のいずれか一方は、予め吸引動作を行い、流路内を負圧状態とすることで、液保持部1内の粒子300を一定量吸引し、保持する。本実施形態では、送液部201が吸引し、保持する例を示している。
図2Bは、送液部201が排出動作を実行し、送液部202が吸引動作を実行しているときの様子の一例を示す図である。
送液部201の排出動作により、液貯留部211内を正圧状態とし、吸引保持していた粒子300を液保持部1内に排出する。排出された粒子300は液貯留部211が液保持部1と連結する部分の中心軸と略平行な流れを形成し、ノズルプレート3と振動部材2により形成される隅部に堆積した粒子350を液保持部1の壁面に沿った上昇流により、液保持部1の上方に舞い上げる作用をする。
また、送液部202は吸引動作を行い、液貯留部212内を負圧状態とすることで、液保持部1内の粒子300を一定量吸引し、保持する。
続けて、図2Cに示すように、送液部202が排出動作をすることにより、液貯留部211内を正圧状態とし、吸引保持していた粒子300を液保持部1内に排出する。排出された粒子300は液保持部1内に再び上昇流が生じさせ、粒子350を液保持部1の上方に舞い上げる作用をする。
上記の動作を繰り返すことにより、少量の液量で液保持部1の底部に沈降した粒子350を再分散させることが可能である。再分散した状態で液滴形成動作をすることにより、粒子350の沈降による不吐出や、経時での吐出された液滴310に含まれる粒子350の含有濃度の変化を防止することが可能である。
液貯留部211と液貯留部212は、吐出口131を通る中心軸に対して片側に寄った配置とすると、液保持部1内の粒子350の分布が偏ってしまうため、対称配置であることが好ましい。
また、送液部201及び202の吸引速度、排出速度、吸引液量、及び排出液量は、液保持部1内の粒子350を均一分散させるためには、それぞれ送液部201及び202で同じ値であることが好ましい。
図3A及び図3Bは、一対の液貯留部の配置を説明する一例を示す図である。図3A及び図3Bは、液保持部1、液貯留部211及び液貯留部212を平面視した図である。
図3Aに示すように、液貯留部の吸引排出口の直径に対して、液保持部の水平断面積が図のように大きく、液貯留部211と液貯留部212の中心軸線が同一平面となるように配置した場合、送液部201と送液部202が交互に動作する場合はよいが、いずれかの送液部の吸引動作ともう一方の送液部の排出動作の一部、又はすべてが同時に実施される場合に、排出動作によって液保持部1内に発生させた撹拌流がもう一方の送液部の吸引動作により、撹拌流が液保持部1内で広がらず、液貯留部211と液貯留部212の中心軸線を繋いだ平面付近のみの撹拌流となることが想定される。言い換えると、液保持部1の上面から見て、各液貯留部211、212の吸引排出口が互いに完全対向する構成の場合は、その対向している一部領域が主に撹拌されることが想定される。
これに対し、図3Bに示すように、液貯留部211と液貯留部212の中心軸線が同一平面とならないように配置することにより、液保持部1の内壁付近の粒子350も分散させることが可能となる。また、液貯留部211と第液貯留部212の吸引口(又は排出口)の高さや流路の傾斜角度を互いに違えるようにすることでもよい。また、液保持部1の水平断面が本実施例のように円筒形状の場合に、液貯留部211と液貯留部212とがそれぞれ対向配置され且つ各吸引排出口の鉛直断面が接線に平行となるように配置してもよい。
図4A及び図4Bは、液吐出ヘッド200について、具体的な吸引排出動作のタイミングについて説明する図である。この液吐出ヘッド200は、既に説明した実施形態と同一構成についての説明は省略する。図4A及び図4Bは、送液部201と送液部202とが交互の動作する例を示している。
図4Aは、送液部201が排出動作を実施することで液保持部1内の溶液300内に撹拌流を発生させ、沈降した粒子350を再分散させる状態を示している。この時、液貯留部211内に予め吸引されていた溶液が液保持部1内に流入するため、液保持部1内の溶液300の液量が増加し、液面が上昇する。
図4Bは、送液部201の排出動作中、又は排出動作完了後に送液部202が吸引動作を行っている状態を示している。図4Aで流入した液量を送液部202で液貯留部212に吸引することにより、液保持部1内の溶液300の液量は動作前の状態に戻すことができる。液滴の吐出を停止させた状態で、沈降した粒子350を再分散させる場合には本動作によって再分散が可能である。
一方、溶液300の撹拌には、一般的に上記の沈降した粒子350の再分散の他に、分散状態にある粒子350の沈降抑制の効果も期待できる。
図2の液滴吐出動作中に撹拌動作を実行することで、粒子350の沈降を抑制し、常に均一な分散状態を維持しながら液滴吐出を実施することができ、経時での液滴に含まれる粒子濃度を一定に維持することが可能である。
しかしながら、図4A及び図4Bのように、送液部201、202が交互に動作する場合には、上述した通り、液保持部1内の溶液300の液面が上昇することで、ノズルプレート3にかかる水圧が増加し、吐出される液滴310の落下速度が上昇する。液滴310を一ヶ所に連続して吐出を続ける場合にはよいが、液滴310を等間隔に並べる場合には、一般的に、液滴吐出手段100又は液滴を載置する液保持部1を一定速度で移動させながら一定の周期で吐出動作を行うため、液滴310の落下速度が変化すると、液滴310の着弾位置が変化してしまい、液保持部1上での液滴310の間隔が均一にならない。
送液部201の吸引動作に同期させて送液部202の排出動作を、送液部202の吸引動作に同期させて送液部201の排出動作を行い、それぞれの吸引速度、排出速度、吸引液量、及び排出液量を同じ値とすることで、図2A〜図2Cに示すように、液保持部1内の液量を一定に維持したまま溶液300を撹拌することができる。本動作とすることで、液保持部1内の溶液300に含まれる粒子350の均一分散状態を維持しながら吐出動作を実施しても液滴の落下速度が変化することは無く、一定の落下速度かつ一定の含有される粒子濃度の液滴を吐出することが可能となる。
この点について、図5A及び図5Bに異なる細胞種、異なる細胞濃度の溶液での撹拌動作の有無による吐出された液滴中の細胞濃度の評価結果の一例を示す。図5A及び図5Bの結果から、撹拌動作無し(点線グラフ)の場合、時間の経過とともに吐出液滴中の細胞濃度が上昇、下降しており、細胞濃度が一定になっていない。これに対し、撹拌動作有り(実太線グラフ)の場合、時間の経過に依らず一定の細胞濃度の液滴が吐出できている。
また、液保持部1内の溶液300の液量が多い場合や溶液300中に含まれる粒子350の粒径が大きい場合、粒子の含有濃度が高い場合などは粒子を均一に分散させるためには、送液部201及び送液部202の撹拌液量、吸引速度、又は排出速度は大きい方がよい。一方、含有される粒子350が動物細胞などの衝撃によりダメージを受けてしまうような粒子の場合には極力、撹拌液量、吸引速度、又は排出速度は小さく、撹拌の頻度も少ない方が好ましい。
また、上述のとおり、図2Aのように、粒子350が完全に沈降した状態から粒子を再分散させる場合と、分散した状態の粒子350の沈降を抑制する場合では必要な撹拌液量、吸引速度、又は排出速度は異なり、前者の方が大きな撹拌液量、吸引速度、又は排出速度が必要である。
以上のように、溶液300の量や粒子350の種類あるいは濃度、沈降の状態などにより必要な撹拌液量、吸引速度、又は排出速度が変化するため、撹拌液量、吸引速度、又は排出速度は切替可能であることが好ましい。
図6は、液吐出ヘッドについて、吐出動作中の液保持部内の液量変化について説明する図である。液吐出ヘッドは、既に説明した実施形態と同一構成についての説明は省略する。
図6に示すように、液吐出ヘッド200により形成される吐出液滴量Mjはノズル131の径により決定される。
また、図7に示すように吐出動作時間Tj、液滴吐出周波数fとすると、吐出動作中に液保持部1から吐出される累積吐出量ΔSは、ΔS=Mj×f×Tj=Mj×Nj(Nj:総吐出回数)により算出される。
1滴当たりの液量Mjが小さい、あるいは総吐出回数Njが少ない場合にはΔSが小さいため液保持部1内の液量変化は小さく、吐出に対して大きな影響を及ぼさないが、液量Mjが大きい、あるいは総吐出回数Njが多い、つまり累積吐出量ΔSが大きくなる場合には液保持部1内の液量変化が大きくなる。液保持部1内の液量が変化した時の液面高さ変化量ΔHは以下の式で算出される。
ΔH=ΔS/A
ただし、Aは液保持部1の内側の断面積であり、例えば、液保持部1の内側形状が半径rの円断面形状の場合は、A=πr2により算出される。
液保持部1内の液面高さがΔHだけ変化した時のノズルプレート3上面にかかる水圧変化ΔPは以下の式で算出される。
ΔP=ρΔH
ただし、ρは液保持部1内の液の密度である。
ノズルプレート3上面にかかる水圧変化ΔPの変化に伴い、液を吐出する際の吐出圧力も変化してしまうため、結果として吐出される液滴の吐出速度Vjが変化する。
前述の通り、一ヶ所に連続して液滴を吐出する場合には吐出速度Vjの変化は問題とはならないが、液滴形成装置200と液滴を着弾させる分注装置の被着対象物を一定の速度で相対的に移動させ、等間隔でパターニングさせる場合には、吐出速度Vjが経時で変化すると、着弾した液滴の間隔も変化してしまい均一なパターニングができなくなるという不具合がある。
図8A及び図8Bは、液吐出ヘッドについて、吐出動作中の液面高さを維持するための具体的な送液部の動作及び駆動プロファイルについて説明する図である。液吐出ヘッドは、既に説明した実施形態と同一構成についての説明は省略する。
図9に示すように、送液部201及び送液部202の一回当たりの液吸引及び排出に要する時間をT1とすると、一回の吸引及び排出動作中に吐出される液量ΔS1は、ΔS1=Mj×f×T1となり、図8Aに示すように、液保持部1内の液面高さが下がってしまう。そこで、図9に示した吐出動作開始と同期させて、送液部201及び送液部202の吸引排出動作を開始させ、送液部201の一回目の排出動作時(送液部202の一回目の吸引動作時)から、送液部201及び送液部202の排出動作の排出量Sに、ΔS1=Mj×f×T1から算出される吐出液量ΔS1分を補正量として加算させることにより、吐出されたΔS1分の液を補給することができる。その結果、図8Bに示すように吐出動作中であっても液保持部1内の液面高さを一定に維持することが可能となる。
吐出動作停止後は図9に示すように、送液部202の排出動作一回のみに吐出液量ΔS1を排出量Sに加算させ、その後は送液部201及び送液部202の吸引量、排出量をSで一定とすることで液面高さを維持することができる。
あるいは、動作開始前に吸引及び排出に要する時間T1、吐出周波数f、及び吐出液滴量Mjが設定値として既知の場合には、図10に示すように、吐出開始と共に、送液部202の排出動作に上記ΔS1を補正値として加算することにより、吐出開始から吐出終了まで液面を一定に維持することが可能である。
送液部201及び送液部202の動作時間T1はあらかじめ設定された数値でもよいが、より正確に液面高さを維持するために、吐出開始から送液部201の吸引動作停止(送液部202の排出動作停止)までの時間t1を制御内部で実測しておくことで、図11に示すように、吐出開始タイミングが送液手段の動作開始タイミングとずれた場合でも、吐出開始から送液手段停止までの時間t1を用いて、ΔS2=Mj×f×t1より算出できる。あるいは、吐出開始から送液部201の吸引動作停止(送液部202の排出動作停止)までの吐出回数N1をカウントすることにより、ΔS2=Mj×N1から算出することも可能である。
上記t1又はN1より算出されたΔS2を補正量として、送液部201の次の排出動作時の排出量Sに加算させることで、間欠的に吐出動作が行われた場合においても、液保持部1内の液面高さを一定に維持することが可能である。
図12は、液吐出ヘッドについて、液面高さの変化をセンサにより検出する場合について説明する図である。この液吐出ヘッドは、既に説明した実施形態と同一構成についての説明は省略する。
この図12の液滴形成装置201では液保持部1内の液面高さを図12に示すようにカメラ205により撮影し、画像処理を用いて液面高さの変化量ΔHを算出した場合を示している。液面高さの変化量ΔHより以下の式で液保持部1内の液量変化量ΔSを算出することができる。
ΔS=ΔH×A
ただし、Aは液保持部1の内側の断面積であり、例えば、液保持部1の内側形状が半径rの円断面形状の場合は、A=πr2により算出される。
上記の計算式より算出されたΔSを図11のΔS1として送液部201及び送液部202の排出量Sの補正値として加算することにより、吐出により変化した液量だけでなく、例えば、揮発によって液量が変化した場合においても液面高さを一定に維持することが可能である。
液保持部1内の液面高さを検出する手段としては、上記のカメラ205に限定されるものではなく、例えば、静電容量式の液量検知センサや、不透明液の場合は上方からのレーザー変位計による液面高さ検知などにより測定することが可能である。
図12は、液吐出ヘッドの液保持部内の液量を検出する液量検出手段としての液面高さを検出する液面検出手段を配置した様子の一例を示す概略図である。
液面検出手段205は常時、液保持部1内の粒子300の液面高さを検出し、その検出結果に基づいて、送液部201及び202をフィードバック制御する。
図12に示すように、液吐出ヘッド200の液保持部1内の液面変化を常時検出することのできる液面検出手段205として画像センサを設けて、液面が規定値からずれた際、その検出結果に基づき一対の送液部(ポンプ)の排出/吸引動作の切り替えを制御することで、液吐出ヘッド200の液保持部1内の液量を一定に保ち、液面高さを維持することができる。
一対の送液部(ポンプ)の排出/吸引動作の切り替えを制御する際の液面高さの規定値は、上限値又は下限値、あるいはその両方を、制御部のSPモードなどにより外部から操作者が設定可能な構成としておくことも可能である。
また、液面検出手段の検出結果の出力装置を備え、操作部に液面高さをデジタル表示可能な構成とすれば、操作者が常にヘッドの液保持部内の液面変化を確認することができる。
更に、LEDランプなどを備えることで、前記液面検出手段の検出結果の出力装置からの信号により、液面が規定値から外れた場合に発光表示させることも可能である。
通常、一対の送液部の一方が吸引動作を、もう一方が排出動作を同時に行い、それぞれの動作を同期させ、同一の液量の液を送液するように制御することにより、液保持部内の液面高さを一定に保ちながら液保持部内の液を撹拌している。
しかし、液吐出を継続することによって液保持部内の液量が減少、もしくは液保持部内の液の揮発による減少により液保持部内の液面高さは低下する。
そこで、吐出動作中に液面検出手段により検出した液保持部内の液面高さの変化から減少した液量ΔSを検出し、次の送液部動作時に排出量よりも供給をΔS分多くなるように制御することで、減少した液量を供給することができるため、常に液面の位置を維持することができる。
図13Aは、液吐出ヘッドにおける吐出単位を複数配置した一例を示す図である。
図13Aは、液吐出ヘッドにおける吐出単位を等間隔Lの「2×3」配列となるよう吐出単位110、吐出単位120、吐出単位130、吐出単位140、吐出単位150、及び吐出単位160を配置している。これは、図13B及び図13Cに示す細胞標準プレートのウェル配列を考慮したものである。具体的には、図13B及び図13Cに示すプレートを用いる場合には、直線上に並んだ4つの吐出単位を1つのグループとしたときに、プレートの短手方向に2グループ分、長手方向に3グループ分並べられるように吐出単位を配置しており、一般流通している細胞標準プレートにおける「8×12」配列及び「16×24」配列のいずれのウェルの配置のプレートにおいても、等間隔Lとなっている。このような「2×3」配列のウェルの配置により、複数の吐出単位へ作業を均等に分配することが可能となり、プレート一枚当たりの作成時間を最小限にすることが可能となる。なお、液滴吐出手段の複数配置はこの限りでなく、プレートの作成仕様や用途に応じて、「1×3」配列、「2×1」配列などの配置にすることもできる。
図14A〜図14Cは、異なるインクを使用する場合の液吐出ヘッドの動作の一例を示す図である。
図14Aに示すように液保持部111及び液保持部121、液保持部131及び液保持部141、並びに、液保持部151及び液保持部161の3グループで、それぞれ異なる細胞を含有する細胞インクA、B、Cを使用し8×12配列の細胞プレートを作成する場合、例えば、図14Aに示すように吐出単位150及び吐出単位160、吐出単位130及び吐出単位140、吐出単位110及び吐出単位120がこの順番で液滴吐出を行っていくとする。吐出単位150及び吐出単位160が吐出動作を行っている時、吐出単位130及び吐出単位140は、細胞プレートへの吐出動作を行う前段階にあり、細胞インク濃度を一定に保つ為に送液部133及び134並びに送液部143及び144によって常時、液を撹拌(液面維持)している。また、吐出単位110及び120は、液滴吐出の実施が必要なタイミングまで十分な時間がある為、例えば、液保持部131及び141が液滴吐出動作を行うまでは動作を停止し、液保持部131及び141が液滴吐出を開始したら、送液部113及び114、並びに、送液部123及び124によって、常時、液の攪拌(液面維持)を行うとよい。
図14B及び図14Cは吐出単位110〜160の液吐出の簡易タイミングチャートの一例を示す図である。図14Bに示すように、吐出動作を行っている吐出単位の次に控えている吐出単位(吐出単位150及び吐出単位160が吐出動作中の場合には、吐出単位130及び吐出単位140を意味する。また、吐出単位130及び140が吐出動作中には、吐出単位110及び吐出単位120を意味する)が、吐出動作に移行する直前に、細胞インクの濃度が一定になるのに最低限必要な時間(図中T1〜T3参照)液を撹拌している。各吐出単位は独立して制御することができるため、各々の細胞インクの種類に合わせて、異なる撹拌動作時間を設定することができる。
また、図14Cに示すように、周期的な撹拌及び停止動作を繰り返して行う方法も同様に各々の細胞インクの種類に合わせて、異なる撹拌動作時間を設定することができる。なお、吐出動作中の吐出単位に対して、2つ後の吐出単位においては、使用する細胞インクの特性や、撹拌による細胞へのダメージなどを考慮して、撹拌及び停止のバランスを調整することができる。
図15A及び図15Bは、複数の吐出単位を同時並行して吐出動作を行う場合の動作の一例を示す図である。
図15Aに示すように、8×12ウェルプレートに対して、吐出単位を2×3配列で配置し、6個の吐出単位が並行して液滴吐出動作を行っている。この場合、図15Bに示すように、各々の吐出単位が担当する作業エリアは、A〜Fに均等に分配され、同一時間で作業を終えることができる。これにより、8×12ウェルプレートの作成に対して生産性を向上させることができる。なお、ウェルプレートとしては、16×24ウェルプレートであっても、6個の吐出単位が担当する作業エリアは変わらない為、同様に生産性を向上させることが可能である。
このように、本発明の液吐出ヘッドにおいては、吐出口と、液保持部と、液貯留部と、送液部と、を吐出単位として複数配した液吐出ヘッドとすることにより、液量が減少した液保持部内へ、選択的にかつ確実に送液することを可能にした。このため、液保持部内の液面高さを一定にしやすくなり、吐出を安定させることができる。
さらに、本発明の液吐出ヘッドにおいては、吐出口と、液保持部と、液貯留部と、送液部と、を吐出単位として複数配した液吐出ヘッドとすることにより、吐出単位毎に独立して液吐出や撹拌などの制御を行うことができるため、生産性を損なうことなく、複数の吐出単位の運転切替を容易に行うことができる。特に、前記液が細胞懸濁液である場合には、吐出にかかわらない液保持部の液中の細胞などへの不要な撹拌などを行うことなく、細胞などへダメージを与えることを抑制することができる。
(液滴形成装置)
本発明の液滴形成装置は、本発明の液吐出ヘッドを有し、更に必要に応じてその他の手段を有する。
本発明の液滴形成装置は、本発明の液吐出ヘッドを有するため、液滴の吐出を安定させることができる。
本発明の液滴形成装置における「液保持部」、「液貯留部」、及び「送液部」については、本発明の液吐出ヘッドと同様のものであるため、説明を省略する。
(分注装置)
本発明の分注装置は、本発明の液滴形成装置を有し、更に必要に応じて、粒子数計数手段、その他の手段を有する。
本発明の分注装置は、本発明の液滴形成装置を有することにより、吐出を安定させることができるため、吐出した液滴を収容する液量のばらつきを少なくすることができる。
<粒子数計数手段>
粒子数計数手段は、液滴に含まれる粒子を計数する手段であり、液滴の吐出後、かつ液滴の被着対象物への着弾前に、液滴に含まれる粒子数をセンサによって計数する手段であることが好ましい。
センサとは、自然現象や人工物の機械的・電磁気的、熱的、音響的、又は化学的性質、或いはそれらにより示される空間情報・時間情報を、何らかの科学的原理を応用して、人間や機械が扱い易い別媒体の信号に置き換える装置を意味する。
粒子数計数手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、吐出前に粒子を観測する処理、着弾後の粒子をカウントする処理を含んでもよい。
液滴の吐出後、かつ液滴の被着対象物への着弾前に、液滴に含まれる粒子数の計数としては、液滴が被着対象物としてのプレートのウェルに確実に入ることが予測されるウェル開口部の直上の位置にあるタイミングにて液滴中の粒子を観測することが好ましい。
プレートとしては、特に制限はなく、バイオ分野において一般的に用いられる穴が形成されたものを用いることが可能である。
プレートにおけるウェルの数は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、単数であってもよく、複数であってもよい。
ウェルの数が複数であるプレートとしては、ウェルの数が24個、96個、384個など業界において一般的な個数及び寸法で穴が形成されたものを用いることが好ましい。
プレートの材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、後の処理のために、細胞や核酸の壁面への付着が抑制されているものを用いることが好ましい。
液滴中の粒子を観測する方法としては、例えば、光学的に検出する方法、電気的・磁気的に検出する方法などが挙げられる。
<その他の手段>
その他の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、制御手段、表示手段、記録手段などを有することが好ましい。
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> 吐出口と、
前記吐出口から吐出する液を保持する液保持部と、
前記液保持部に前記液を流通可能にそれぞれ接続され、前記液を貯留する一対の液貯留部と、
前記一対の液貯留部にそれぞれ接続され、前記液貯留部と前記液保持部との間で前記液を送液する一対の送液部と、
を有する吐出単位を複数配したことを特徴とする液吐出ヘッドである。
<2> 前記吐出単位を直線状に複数配した、前記<1>に記載の液吐出ヘッドである。
<3> 前記吐出単位の内、直線状にかつ隣接して配された、第一の吐出単位、第二の吐出単位、第三の吐出単位がこの順で、吐出をする制御を行う制御手段を有する、前記<2>に記載の液吐出ヘッドである。
<4> 前記制御手段が、
前記第一の吐出単位が、吐出対象における第一の吐出領域と対向したときに吐出動作を行うように、
前記第一の吐出単位が前記吐出動作を行っているときに、前記第二の吐出単位が、前記液保持部の内部に保持される前記液の撹拌動作を行うように、
前記第一の吐出単位が前記吐出動作を行っているときに、前記第三の吐出単位が作動しないように、
制御を行う、前記<1>から<3>のいずれかに記載の液吐出ヘッドである。
<5> 前記制御手段が、前記第一の吐出単位が前記吐出動作を行っているときに、前記第一の吐出単位における前記液保持部の内部に保持される前記液の量が一定となるように制御を行う、前記<1>から<4>のいずれかに記載の液吐出ヘッドである。
<6> 前記液保持部が保持する前記液を前記吐出口から吐出させる振動部材を有する、前記<1>又は<5>に記載の液吐出ヘッドである。
<7> 前記液保持部内の液の量を検出する液量検出手段を有する、前記<1>から<6>のいずれかに記載の液吐出ヘッドである。
<8> 前記液が粒子を含有する前記<1>から<7>のいずれかに記載の液吐出ヘッドである。
<9> 前記<1>から<8>のいずれかに記載の液吐出ヘッドを有することを特徴とする液滴形成装置である。
<10> 前記<9>に記載の液滴形成装置を有することを特徴とする分注装置である。
前記<1>から<8>のいずれかに記載の液吐出ヘッド、前記<9>に記載の液滴形成装置、前記<10>に記載の分注装置によると、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
特開2016−116489号公報
1 液保持部
2 振動部材
100 吐出単位
131 吐出口
200 液吐出ヘッド
201、202 送液部
205 液量検出手段
211、212 液貯留部
300 液
310 液滴


Claims (9)

  1. 吐出口と、
    前記吐出口から吐出する液を保持する液保持部と、
    前記液保持部に前記液を流通可能にそれぞれ接続され、前記液を貯留する一対の液貯留部と、
    前記一対の液貯留部にそれぞれ接続され、前記液貯留部と前記液保持部との間で前記液を送液する一対の送液部と、
    を有する吐出単位を複数配したことを特徴とする液吐出ヘッド。
  2. 前記吐出単位を直線状に複数配した、請求項1に記載の液吐出ヘッド。
  3. 前記吐出単位の内、直線状にかつ隣接して配された、第一の吐出単位、第二の吐出単位、第三の吐出単位がこの順で、吐出動作をする制御を行う制御手段を有する、請求項2に記載の液吐出ヘッド。
  4. 前記制御手段が、
    前記第一の吐出単位が、吐出対象における第一の吐出領域と対向したときに吐出動作を行うように、
    前記第一の吐出単位が前記吐出動作を行っているときに、前記第二の吐出単位が、前記液保持部の内部に保持される前記液の撹拌動作を行うように、
    前記第一の吐出単位が前記吐出動作を行っているときに、前記第三の吐出単位が作動しないように、
    制御を行う、請求項3に記載の液吐出ヘッド。
  5. 前記制御手段が、前記第一の吐出単位が前記吐出動作を行っているときに、前記第一の吐出単位における前記液保持部の内部に保持される前記液の量が一定となるように制御を行う、請求項3から4のいずれかに記載の液吐出ヘッド。
  6. 前記液保持部が保持する前記液を前記吐出口から吐出させる振動部材を有する、請求項1から5のいずれかに記載の液吐出ヘッド。
  7. 前記液保持部内の液の量を検出する液量検出手段を有する、請求項1から6のいずれかに記載の液吐出ヘッド。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載の液吐出ヘッドを有することを特徴とする液滴形成装置。
  9. 請求項8に記載の液滴形成装置を有することを特徴とする分注装置。

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