JP2020145055A - スパークプラグの製造方法 - Google Patents

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Hiroki Okino
弘樹 沖野
洋樹 山本
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Abstract

【課題】スパークプラグの製造工程中の、中心電極、接地電極間の放電ギャップの検査で、接地電極面に、側面視だけでなく正面視で傾斜があるとしても、高精度にその測定ができるようにして品質を高める。【解決手段】側面視撮影工程で得られた画像データにおける両電極面間の間隔のうち、中心電極面13の中心Ceで、それに垂直な見通し間隔Gaを、基準ギャップ寸法としてコンピュータ制御で測定する。正面視撮影工程で得られた画像データ(図4)から、正面視における接地電極面23の傾斜によって側面視撮影工程では視認できないか、判別できない寸法Gb´を、正面側補正値としてコンピュータ制御により求める。検査における放電ギャップ寸法を、基準ギャップ寸法(間隔Ga)と、正面側補正値(寸法Gb´)との合算値としてコンピュータ制御により求める。【選択図】図4

Description

この発明は、内燃機関用のスパークプラグの製造方法に関する。
図6は、内燃機関用のスパークプラグ100の一例を示したものであり、このものは、中空軸状の絶縁体40の先端42において突出して設けられている中心電極10と、該絶縁体40を包囲して固定する金具本体50の先端52に固着されてなる接地電極20とを備えている。図6は、中心電極10と接地電極20とのなす放電ギャップGを上にし、中心電極10の外部端子30を下にして示した外観図である。このようなスパークプラグ100では、放電ギャップGが適正な寸法精度に保持されないと、各電極の偏摩耗による寿命低下や着火性能の低下につながる。このため、放電ギャップ(以下、「ギャップ」ともいう)Gには寸法公差が厳しく設定されており、その検査が行われる。一方、放電ギャップGは、全部品が組み付けられたスパークプラグ100の製造の最終段階において、金具本体50の先端52に溶接された、図6の部分拡大図中に2点鎖線で示される真っ直ぐな接地電極用棒材29を、中心電極10側に曲げ形成(加工)して接地電極20とすることで、その形成がなされており、その検査は、その曲げ加工後に行われている。なお、図7は、図6の部分拡大図を右側から見た図、すなわち、中心電極10が手前にあり、接地電極20のうち、金具本体50の先端52に固着されている側の基部21を、中心電極10の真後ろに位置させて、放電ギャップGを見通した図(本願の正面図)である。
図6のスパークプラグ100の放電ギャップGは、中心電極10の先端の平坦な円形の電極面である中心電極面13と、接地電極20のうち、該中心電極面13と対向して位置する平坦な電極面である接地電極面23との、両電極面間の間隔である。そして、その検査は、従来、図7の正面に対し、図6に示したように、その左又は右側の側面視において、接地電極20の基部21と中心電極10とが左右に位置するようにして、放電ギャップGを見通すよう両電極部分をカメラで撮影し、その画像データ(側面視の画像データ)から、両電極間(電極面間)における間隔(見通し間隔)のうち、例えば最小値を測定値(ギャップ測定値)とし(特許文献1参照)、これが許容寸法範囲内にある場合には、放電ギャップ「合格」と判定し、それ以外のものについて、放電ギャップ「不合格」と判定することが行われていた。
ここで、側面視、その最小値を測定値とするのは、接地電極面23は中心電極面13と平行となるべきところ、その曲げ加工時のスプリングバック等に起因して、接地電極面23が中心電極面13に対し、微小ではあるが、傾斜を生じていることがあることによる。このような接地電極20の側面視における傾斜(側面視傾斜)には、図8の両電極の模式的拡大側面図において誇張して示したように、接地電極面23が自身の先端22に向かって中心電極面13との間隔が大となるよう角度αで傾斜している場合と、これとは逆に、その間隔が小となる傾斜がある場合があり、上記最小値(寸法)は図8における中心電極面13の左端縁点での両電極面間の見通し間隔「Gm」である。
特開2001−176640号公報
ところが、接地電極20の曲げ加工で生じる誤差は、接地電極面23の側面視傾斜だけでなく、図8(側面視)における中心電極面13の径の中心Ceを通るA−A断面として、図9において誇張して示した模式的拡大縦断面図(図8のA−A断面図)から理解されるように、図7の正面視において傾斜(正面視傾斜)があることに加え、図9中に示したように、接地電極面23の中心電極面13に対する偏心Zがある場合もある。このため、このような場合には、側面視における上記ギャップ測定値Gmが、許容寸法範囲内にあるとして、放電ギャップ「合格」と判定するとしても、正面視傾斜の角度(傾斜角)βの大きさや、正面視における接地電極面23の中心電極面13に対する偏心(誤差)Zの大きさによっては、「合格」とすることが適切でない場合がある。すなわち、このような加工誤差があるような場合において、その検査で本来測定されるべき放電ギャップGは、ギャップが小さい側に位置する中心電極面13の端縁点における間隔であり、図9中の寸法「Gc」であるから、そのような場合には、正面視傾斜の角度βや偏心Zの大きさ次第では、上記ギャップ測定値(最小値)Gmよりも、この「Gc」寸法の方が大きく、したがって、測定値Gmを放電ギャップGの検査における合否の判断基準とすることは適切でない。
図9からも明らかなように、両電極部分の正面視において、接地電極面23は、その幅Wが、中心電極10の径Dより十分に大きく、正面視における接地電極面23の左右の端縁点が、常に、中心電極面13の端縁点より張出す設定とされる。一方、図9に示したように、接地電極面23に正面視傾斜や偏心がある場合には、たとえ、側面視傾斜が無いとしても、側面視の画像データ(図8に示したような側面視の画像)から測定される両電極間の最小間隔(見通し最小間隔)は、図9中に示したように(図8のA−A断面図)、Gaとなる。すなわち、このような場合には、側面視傾斜が無いとしても、本来測定されるべき位置のギャップ寸法Gcに対し、側面視では見通せず、視認できない(反対側から見たときは判別できない)図9中に示した寸法Gb(Gc−Ga)部分があるため、Gaを合否の判断基準とすれば、寸法Gb分、小さい値が放電ギャップの合否の判断基準となってしまう。そして、この寸法(差)Gbは、正面視における接地電極20の傾斜角、及び両電極間の間隔の小さい方への偏心誤差が大きいほど顕在化することになり、測定精度の低下を招くことになる。
本発明は、放電ギャップの測定におけるかかる問題点に鑑みてなされたもので、スパークプラグの製造工程中の接地電極の曲げ加工により形成される放電ギャップの検査、測定において、正面視における傾斜がある場合でも、従来におけるよりも、より高精度にその検査、測定ができるようにして、スパークプラグの質を高めることをその目的とする。
請求項1に記載の本発明は、中空軸状の絶縁体の先端において突出して設けられている中心電極と、該絶縁体を包囲して固定する金具本体の先端に固着され、該中心電極側に曲げ形成されてなる接地電極と、を備えるスパークプラグの製造方法であって、
当該スパークプラグ製造仕掛品における前記中心電極の先端の平坦な電極面である中心電極面と、前記接地電極のうち、該中心電極面と対向して位置する平坦な電極面である接地電極面との両電極面間の放電ギャップの検査において、
前記中心電極が手前にあり、前記接地電極のうち、前記金具本体の先端に固着されている側の基部が、該中心電極の真後ろに位置するのを正面として、この正面視において、前記放電ギャップを見通して両電極を撮影する正面視撮影工程と、
その正面に対する左側又は右側における側面視において、該放電ギャップを見通して両電極を撮影する側面視撮影工程と、を含み、
該側面視撮影工程で得られる画像データにおける前記両電極面間の間隔のうち、前記中心電極面の径方向における中心又は該中心の近傍の所定位置での間隔Gaを、基準ギャップ寸法として、コンピュータ制御により測定する基準ギャップ寸法測定工程と、
前記正面視撮影工程で得られた画像データにおいて、
前記両電極面間の間隔が小さい側に位置する前記中心電極面の端縁点Q3を通るよう、該中心電極面に垂直に引いた縦直線と、該接地電極の先端における該両電極面間の間隔が小さい側に位置する前記接地電極面の端縁点Q1を通るよう、前記中心電極面に平行に引いた横直線との交点P3と、該縦直線が前記接地電極の先端における接地電極面と交差する交点P4と、を結ぶ、該縦直線における線分長さGb´に相当する寸法を、正面側補正値として、コンピュータ制御により測定する正面側補正値測定工程と、を含み、
放電ギャップ寸法を、前記基準ギャップ寸法に該正面側補正値を加算した合算値として、コンピュータ制御により求める、放電ギャップ測定工程を含むことを特徴とするスパークプラグの製造方法である。
請求項2に記載の本発明は、前記正面視撮影工程又は前記側面視撮影工程において得られた前記画像データにおける前記中心電極面が、画像上の水平に対して傾斜している場合に、該中心電極面が該水平と一致するよう、該中心電極面の傾斜の角度分、該画像データを回転する画像処理を行う画像処理工程を含めることを特徴とする請求項1に記載のスパークプラグの製造方法である。
請求項3に記載の本発明は、前記中心電極面及び前記接地電極面の少なくとも一方が、当該電極面をなすよう溶接された貴金属チップにて形成されていることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載のスパークプラグの製造方法である。
本発明では、放電ギャップの測定において、従来におけるような、側面視撮影工程で得られた画像データから、両電極面間の間隔(見通し間隔)のうちの中心電極面に垂直な最小値を基準として、合否の判定をするのではなく、上記したように、基準ギャップ寸法(以下、基準ギャップ寸法Gaともいう)に正面側補正値(以下、正面側補正値Gb´ともいう)を加算した合算値として放電ギャップ寸法を求めることとしている。このため、接地電極面に、側面視における傾斜に加え、正面視における傾斜や偏心があるとしても、放電ギャップの合否の判定基準を従来におけるよりも高めることができる。
すなわち、スパークプラグの正面視における接地電極面の幅は、上記したように両電極面が確実に対向(対面)するよう、中心電極面の径よりも十分大きく、接地電極面の左右の端縁点は、常に、中心電極面の左右の端縁点より外側に張り出す設定とされる。このため、従来におけるよう、側面視の画像データにおいて、中心電極面と接地電極面との間隔のうちの最小値を測定し、これをそのまま放電ギャップ寸法として求めると、側面視傾斜が無いとしても、正面視において接地電極(接地電極面)に傾斜がある場合には、その傾斜がある分、その測定値は本来測定されるべき測定値よりも小さいものとなる。
一方、正面視における接地電極の先端(先端部)において、該両電極面間の間隔が小さい側に位置する中心電極面の端縁点で、該中心電極面に垂直に縦直線を引き、その端縁点と、該縦直線が前記接地電極の先端における接地電極面と交差する交点とを結ぶ、該縦直線における線分長さを測定しただけでは、それは、接地電極面の先端におけるその寸法に止まるから、接地電極面に側面視傾斜がある場合には、その傾斜に起因して、その測定値では、適切な測定値(放電ギャップ寸法)とはならない。
これに対して、本発明では、コンピュータ制御により、該側面視撮影工程で得られる画像データにおける前記両電極面間の間隔のうち、前記中心電極面の径方向における中心又は該中心の近傍の所定位置での間隔を、基準ギャップ寸法Gaとして測定すると共に、前記正面視撮影工程で得られた画像データにおいて、上記線分長さGb´に相当する寸法を、正面側補正値Gb´として測定することとし、そして、前記基準ギャップ寸法Gaに該正面側補正値Gb´を加算した合算値として放電ギャップ寸法を求めることとしている。よって、従来のように側面視における最小値や、基準ギャップ寸法を、そのまま、ギャップ測定値としていた場合に比べると、接地電極面に正面視の傾斜や偏心誤差があっても、本来、測定値とされるべきギャップにより近い値を得ることができる。すなわち、本発明によれば、上記合算値に基づき、それが許容寸法範囲内にあるか否かで、放電ギャップの「合格、不合格」を判定することができるから、従来よりも高い放電ギャップ精度を有するスパークプラグを得ることができる。なお、基準ギャップ寸法Gaを測定するのを、該中心の近傍の所定位置とするときは、その位置を、該中心寄り位置において、両電極の寸法誤差、中心電極面の形状等を考慮して、適宜に設定すればよい。
本発明において、前記正面視撮影工程又は前記側面視撮影工程において得られた前記画像データにおける前記中心電極面が、画像上の水平に対して傾斜している場合には、該中心電極面が該水平と一致するよう、該中心電極面の傾斜の角度分、該画像データを回転する画像処理を行う画像処理工程を含めることで、基準ギャップ寸法Ga、又は正面側補正値Gb´の演算を簡易にできる。また、本発明では、請求項3に記載のように、当該電極面をなすよう溶接された貴金属チップにて形成されているスパークプラグにも広く適用できる。
中心電極と接地電極とのなす放電ギャップを上にし、中心電極の外部端子を下にして表したスパークプラグを上から見た状態において、両電極を測定するカメラの配置を説明する概念図。 Aは、図1のカメラによる側面視撮影工程の説明図と、正面視撮影に用いるカメラの配置を示した図であり、Bは、図1のカメラによる正面視撮影工程の説明図と、側面視撮影に用いるカメラの配置を示した図。 側面視撮影工程で両電極を、放電ギャップを見通して撮影した画像の模式的拡大側面図。 正面視撮影工程で両電極を、放電ギャップを見通して撮影した画像の模式的正面図。 図3における中心電極面の中心を通る縦断面図(図3のA−A断面図)。 スパークプラグの一例を、中心電極と接地電極とのなす放電ギャップを上にし、中心電極の外部端子を下にして表した外観図(側面図)、及びその両電極部分の部分拡大図。 図6の部分拡大図を右側から見た図(正面図)。 両電極を誇張して示した模式的拡大側面図。 図8のA−A断面図。
本発明を具体化した実施の形態例について、図1−図5を参照しながら説明する。ただし、本例では、図6に示したスパークプラグ100を製造する場合とする。このスパークプラグ100は、上述したように、中空軸状の絶縁体40の先端42において突出して設けられている中心電極10と、該絶縁体40を包囲して固定する金具本体50の先端52に固着され、中心電極10と対向配置にあって放電ギャップを形成するよう中心電極10側に曲げ形成されてなる接地電極20とを備えるものである。
本例での放電ギャップGの検査におけるその測定は、このスパークプラグ100の製造の最終段階において接地電極20が曲げ形成された仕掛品(以下、ワーク)を図示しないジグにて両電極を上にして、中心電極面13が水平となるように位置決め支持をして行われる。すなわち、その測定においては、その支持状態において、図1に示したように、カメラCa,Cbが、側面視と、正面視において、放電ギャップを見通し(図2参照)、両電極部分をそれぞれ撮影するよう配置され、図示しない撮影用の照明(光源)を用い、その撮影が行われる。画像データ等は、それぞれディスプレイ(図示せず)に出力(表示)され、測定者において視認できる設定とされる。
正面視の撮影(正面視撮影工程)は、図1のカメラCbによる撮影であり、図2のBに示したように、中心電極10が手前にあり、接地電極20のうち、金具本体50の先端52に固着されている側の基部21が、中心電極10の真後ろに位置する状態としての撮影となり、カメラによる撮影中心軸(撮影方向)は、中心電極面13に平行に放電ギャップを見通し、かつ、正面視の中心電極面13の中心において、中心電極面13に垂直な軸と交差するように設定される。
そして、側面視の撮影(側面視撮影工程)は、この正面視の撮影を行うカメラCbを、上から見て(図1参照)、90度回転させた配置であり、図1のカメラCaによる撮影である。すなわち、図2のAに示したように、接地電極20の基部21と、中心電極10とが左右に並ぶ状態としての撮影となり、カメラによる撮影中心軸(撮影方向)は、中心電極面13に平行に放電ギャップを見通し、かつ、側面視の中心電極面13の中心において、中心電極面13に垂直な軸と交差するように設定される。
図3は、側面視撮影工程で撮影した画像データを模式的に示した模式的拡大側面図であり、図4は、正面視撮影工程で撮影した画像データを模式的に示した模式的拡大正面図である。なお、本例では、側面視、正面視の画像データにおいて、中心電極面13に傾斜はないが、接地電極面23には、それぞれ図示のような傾斜があるものとする。すなわち、接地電極20は、側面視(図3参照)、その先端22に向かうに従い、中心電極面13との間隔を広げるように、中心電極面13に対して角度αで傾斜しており、そして、正面視(図4参照)、接地電極20は、両電極面相互の間隔が、接地電極面23が図4の左の端縁点Q1側において小さくなるよう、中心電極面13に対して角度βで傾斜しているものとする。
このような本例では、基準ギャップ寸法測定工程として、側面視撮影工程で得られた画像データ(図3の模式的拡大側面図)から、両電極面間の間隔のうち、中心電極面13の直径方向における中心(中心位置)Ceでの間隔を基準ギャップ寸法Gaとして測定する。本例では、画像データにおける中心電極面13の直径方向における中心Ceにおいて、中心電極面13に垂直に縦直線YLaを引き、それの中心電極面13との交点と、接地電極面23との交点とを結ぶ線分長さGaを、コンピュータ制御により、演算、検出するプログラムを用い、これを測定し、出力させて基準ギャップ寸法Gaとしている。なお、基準ギャップ寸法Gaの測定位置は、中心電極面13の径方向における中心Ceとするのが基本であるが、その近傍の所定位置としてもよい。
そして、正面側補正値測定工程として、正面視撮影工程で得られた画像データ(図4の模式的拡大正面図)において、両電極面間の間隔が小さい側(図4の左側)に位置する中心電極面13の端縁点Q3を通るよう、該中心電極面13に垂直に引いた縦直線YLbと、該接地電極20の先端(図4の実線)22における該両電極面間の間隔が小さい側に位置する前記接地電極面23の端縁点Q1を通るよう、前記中心電極面13に平行に引いた横直線XLとにおける交点P3と、該縦直線YLbが前記接地電極20の先端22における接地電極面23と交差する交点P4と、を結ぶ、該縦直線YLbにおける線分長さ(P3−P4)Gb´を、コンピュータ制御により、演算、検出するプログラムを用い、これを測定し、出力させることで、正面側補正値Gb´を測定することとしている。なお、図3、及び図4中におけるGa´は、中心電極面13に垂直に引いた線分のうち、図4の接地電極20の先端22における該両電極面間の間隔が小さい側に位置する前記接地電極面23の端縁点Q1と、中心電極面13との間の線分長さGa´である。このGa´は、本例の接地電極20の上記した側面視傾斜により、基準ギャップ寸法Gaより大である。
このような本例の放電ギャップ測定工程においては、以上のようにして基準ギャップ寸法測定工程で得られた基準ギャップ寸法Gaに、この正面側補正値測定工程で得られた正面側補正値Gb´とをコンピュータ制御により、加算してその合算値を求め、これをその検査、測定における放電ギャップ寸法とすればよい。そして、この合算値が、許容寸法範囲内にあるか否かで、放電ギャップの「合格、不合格」を判定する。かくして、従来よりも高い放電ギャップ精度を有するスパークプラグを得ることができる。
本例では、側面視、接地電極20がその先端22に向うに従い、中心電極面13との間隔を広げるように傾斜しているが、基準ギャップ寸法Gaは、側面視の画像データから、中心電極面13の中心Ceにおける両電極面間の間隔として特定される。一方、正面側補正値測定工程において得られる正面側補正値Gb´(図4参照)は、接地電極20の先端22における数値であるが、接地電極20の正面視における幅W方向における傾斜は、正面視、右上がりの角度βであり、この角度βは、側面視、基準ギャップ寸法Gaの測定位置においても同じか、略同じと見られる。したがって、側面視、同測定位置において、直接は視認できない寸法Gbは、正面側補正値Gb´と、同じか、略同じと見ることができる(図5参照)。よって、基準ギャップ寸法Gaと、正面側補正値Gb´とをプラスした数値(合算値)は、図3の模式的拡大側面図における中心電極面13の径の中心Ceを通る縦断面において、測定されるべき図5に示される放電ギャップ寸法Gcと、同じか、略同じといえる(図5参照)。
すなわち、このような合算値を、放電ギャップの検査における合否の判断基準としているため、従来のように側面視における最小値(基準ギャップ寸法)Gmを、そのまま、検査、測定における放電ギャップ寸法としていた場合に比べると、接地電極面23の正面視傾斜や偏心誤差があっても、本来測定されるべき位置のギャップ寸法Gcにより近い値を得ることができる。これにより、放電ギャップ精度の高いスパークプラグ100を得ることができる。
なお、正面側補正値Gb´については、正面視における中心電極10の外径D、接地電極20の先端22の幅W、中心電極面13に対する接地電極面23の傾斜角β、偏心量Z(正面視における中心電極面13の中心(中心軸)に対する接地電極面23の中心のズレ量)に基づき、式:Gb´=(W/2)Sinβ−(D/2−Z)tanβ、より求めるものとしてもよい。すなわち、設計上から、正面視における中心電極10の外径D、接地電極20の幅Wを得ることができるから、Gb´は、正面視における画像データから、コンピュータ制御により、傾斜角βと、偏心量Zを検出して、それから、演算して求めることとしてもよい。このように、正面側補正値Gb´は、正面視の画像データから求められるように制作された適宜のプログラムを用いればよい。
前記例では、側面視、接地電極20がその先端22に向うに従い、中心電極面13との間隔を広げるように傾斜している場合を例示したが、逆に、側面視、接地電極20がその先端22に向うに従い、中心電極面13との間隔を狭めるように傾斜している場合においても、前記例と同様にすればよい。また、前記例と逆に、正面視における接地電極20の先端22の傾斜が左上がりであれば、接地電極20の先端22における該両電極面間の間隔が小さい側が、前例と左右逆になるだけであり、他に異なる点は無く、前例と同様にすることでよい。なお、正面視の画像データにおけるところの、中心電極面13と接地電極面23とが平行であれば、正面側補正値Gb´は、0となる。
上記例において、前記正面視撮影工程又は前記側面視撮影工程において得られた前記画像データにおける前記中心電極面13が、画像上の水平に対して傾斜している場合には、該中心電極面13が該水平と一致するよう、該中心電極面13の傾斜の角度分、該画像データを回転する画像処理を行う画像処理工程を加えた上で、Ga,Gb´の測定をすればよい。
上記各例では、貴金属チップが各電極面をなすものでないスパークプラグ100の製造において説明したが、例えば、中心電極面13、又は中心電極面13及び接地電極面23が、当該電極面をなすよう、電極母材に溶接された貴金属チップにて形成されているスパークプラグにおいても、本発明は同様に適用できる。
上記したように、測定結果において、その「Gb´+Ga」が、設計上の寸法の寸法公差内にある場合には、放電ギャップ「合格」となるが、設計上の寸法の寸法公差内に無い場合には、放電ギャップ「不合格」として、ギャップ調整工程に送って、調整、補正をし、再度、上記した測定方法によって放電ギャップを測定して、その再検査をすればよい。かくして、その「合格」判定が得られたワークは、最終の検査工程等を経ることで、所望とするスパークプラグとなる。
なお、上記した放電ギャップの検査における測定は、ワークの接地電極(接地電極面)の正面視、側面視における少なくとも一方の傾斜の角度(α又はβ)が、設計上の許容範囲に有るものについて行われるようにすればよい。すなわち、放電ギャップの測定にあたり、前記正面視撮影工程又は前記側面視撮影工程において得られた前記画像データから、それらのいずれかが、設計上の許容範囲を超えていることが判明したものについては、放電ギャップの測定対象外のものとして、調整工程に送って、その調整、補正をしてから、前記したのと同様にして、放電ギャップの検査、測定を行えばよい。
さらに、放電ギャップの測定に当たり、ワークの正面視における、中心電極面13の中心Ceに対する接地電極面23の中心の偏心量Zが大きく、接地電極面23の左右いずれかの端縁点が、中心電極面13の対応する端縁点から張出していないような場合や、同偏心量Zが設計上の寸法公差内に無い場合等、正面視、側面視に限られず、両電極が所定の精度に維持されておらず、設計上の許容範囲を超えていることが判明したものについても、放電ギャップの測定対象外のものとして、調整工程に送って、その調整、補正をしてから、前記したのと同様にして、放電ギャップの検査、測定を行えばよい。本発明は、上記例示した内容に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜に変更を加えて、実施することができる。
10 中心電極
13 中心電極面
20 接地電極
21 接地電極の基部
22 接地電極の先端
23 接地電極面
40 絶縁体
50 金具本体
100 スパークプラグ
G 放電ギャップ
Ce 側面視撮影工程で得られた画像データにおける中心電極面の径方向における中心
Ga 側面視撮影工程で得られた画像データの、両電極面間の間隔のうち、中心電極面の径方向における中心での間隔(基準ギャップ寸法)
Q1 正面視撮影工程で得られた画像データの、両電極面間の間隔が小さい側に位置する接地電極面の端縁点
Q3 正面視撮影工程で得られた画像データの、両電極面間の間隔が小さい側に位置する中心電極面の端縁点
YLb 端縁点Q3を通り、中心電極面に垂直に引いた縦直線
XL 端縁点Q1を通り、中心電極面に平行に引いた横直線
P3 縦直線YLbと、横直線XLとの交点
P4 縦直線YLbが接地電極の先端における接地電極面と交差する交点
Gb´ 縦直線YLbにおける交点P3と交点P4とを結ぶ線分長さ寸法(正面側補正値)

Claims (3)

  1. 中空軸状の絶縁体の先端において突出して設けられている中心電極と、該絶縁体を包囲して固定する金具本体の先端に固着され、該中心電極側に曲げ形成されてなる接地電極と、を備えるスパークプラグの製造方法であって、
    当該スパークプラグ製造仕掛品における前記中心電極の先端の平坦な電極面である中心電極面と、前記接地電極のうち、該中心電極面と対向して位置する平坦な電極面である接地電極面との両電極面間の放電ギャップの検査において、
    前記中心電極が手前にあり、前記接地電極のうち、前記金具本体の先端に固着されている側の基部が、該中心電極の真後ろに位置するのを正面として、この正面視において、前記放電ギャップを見通して両電極を撮影する正面視撮影工程と、
    その正面に対する左側又は右側における側面視において、該放電ギャップを見通して両電極を撮影する側面視撮影工程と、を含み、
    該側面視撮影工程で得られる画像データにおける前記両電極面間の間隔のうち、前記中心電極面の径方向における中心又は該中心の近傍の所定位置での間隔Gaを、基準ギャップ寸法として、コンピュータ制御により測定する基準ギャップ寸法測定工程と、
    前記正面視撮影工程で得られた画像データにおいて、
    前記両電極面間の間隔が小さい側に位置する前記中心電極面の端縁点Q3を通るよう、該中心電極面に垂直に引いた縦直線と、該接地電極の先端における該両電極面間の間隔が小さい側に位置する前記接地電極面の端縁点Q1を通るよう、前記中心電極面に平行に引いた横直線との交点P3と、該縦直線が前記接地電極の先端における接地電極面と交差する交点P4と、を結ぶ、該縦直線における線分長さGb´に相当する寸法を、正面側補正値として、コンピュータ制御により測定する正面側補正値測定工程と、を含み、
    放電ギャップ寸法を、前記基準ギャップ寸法に該正面側補正値を加算した合算値として、コンピュータ制御により求める、放電ギャップ測定工程を含むことを特徴とするスパークプラグの製造方法。
  2. 前記正面視撮影工程又は前記側面視撮影工程において得られた前記画像データにおける前記中心電極面が、画像上の水平に対して傾斜している場合に、該中心電極面が該水平と一致するよう、該中心電極面の傾斜の角度分、該画像データを回転する画像処理を行う画像処理工程を含めることを特徴とする請求項1に記載のスパークプラグの製造方法。
  3. 前記中心電極面及び前記接地電極面の少なくとも一方が、当該電極面をなすよう溶接された貴金属チップにて形成されていることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載のスパークプラグの製造方法。
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