JP2020143348A - フッ素含有非晶質硬質炭素膜及びその製造方法 - Google Patents

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哲也 鈴木
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駿人 前川
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光泉 長谷部
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Akira Shirokura
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Abstract

【課題】本開示は、上記問題を解決し、AIPを利用して、テトラへドラルアモルファスカーボンを基材表面に形成するに際し、より簡便な機構で高い撥水性を与えるためのフッ素原子を含有せしめ、高い撥水性、すなわち高いフッ素含有量を有しかつ十分な硬度を維持しているフッ素含有非晶質硬質炭素膜及びその製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】本開示に係るフッ素含有非晶質硬質炭素膜1は、基材2の表面に設けられ、フッ素原子を10〜50原子%含有するフッ素含有層を有し、フッ素含有層はフッ素含有非晶質硬質炭素膜の基材側とは反対側の最外面3を含み、かつ、フッ素含有量が厚さ方向で基材側から最外面側に向かうに従って増加する傾斜組成を有し、かつ、フッ素含有層がフッ素含有非晶質硬質炭素膜の厚さ方向の中央Cを含み、かつ、最外面におけるフッ素含有量が、厚さ方向の中央におけるフッ素含有量の1.5倍以上である。【選択図】図1

Description

本開示は、フッ素含有非晶質硬質炭素膜及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、本開示は、高硬度でかつ撥水性、撥油性に優れた保護膜として適したフッ素含有非晶質硬質炭素膜及びその製造方法に関する。
高分子、ガラス又は金属材料などの基材の表面に薄膜を形成することによって、低コストかつ省資源で簡便に、バルクとしての基材を保護する機能、例えば、高硬度、耐スクラッチ性又は耐摩耗性などの機能を付与する技術が従来から広く実用に供されている。近年では、酸化ケイ素又は酸化アルミニウムなどの金属酸化物からなる無機薄膜をプラスチック基材又は金属基材表面にコーティングする技術が開発され、表面保護又は美粧性などの機能を付与する技術が普及している(例えば、特許文献1を参照。)。近年では、炭素原子のみで構成される非晶質硬質炭素薄膜を保護膜として基材上に形成する技術も普及している(例えば、特許文献2を参照。)。炭素原子のみで構成される非晶質硬質炭素膜を基材上に形成する方法としては、固体の黒鉛ターゲットを使用したスパッタ法又は真空アーク法がある。スパッタ法は真空アーク法に比べてイオンエネルギーが低いため硬質なダイヤモンド構造を構成するsp混成軌道成分が少ない。これに対し、真空アーク法はイオンエネルギーが100eV前後と高いためsp混成軌道成分が多く、テトラへドラルアモルファスカーボン(ta―C)とも呼ばれる非常に高硬度のダイヤモンド状非晶質炭素膜を形成できる。真空アーク法は、固体の原料ターゲットを陰極として真空アーク放電し、蒸発した原料をイオン化してイオンビームとして基材表面に照射して薄膜を形成する。真空アーク法は、AIP(アークイオンプレーティング)とも呼ばれており、近年では、陰極ターゲットから同時に放出される微粒子(ドロップレット)を除去するためにイオンビームのみを磁界で誘導するFAD(フィルタードアークデポジション)が開発されている。FADによって形成された非晶質炭素膜は、高硬度であり、耐摩耗性が高いため保護膜として適しているが、保護膜としての用途によっては、さらに汚れの付着防止、例えば、生体内留置材料における生体物質の付着防止、電子部品における水分若しくは汚れの付着防止、又は美粧部材、ディスプレイ若しくはレンズなどの汚れ若しくは指紋の付着防止も要求される。この目的で非晶質硬質炭素膜にフッ素を含有させて、撥水性又は防汚性を向上させる技術が提案されている(例えば、特許文献3又は4を参照。)
特開平11−348171号公報 特開2001−141903号公報 特開2003−277922号公報 特開2003−226971号公報
しかし、特許文献3の方法では、ターゲットにフッ素を含有させたスパッタリング法による成膜方法であり、フッ素原子の含有量を多くできず、高硬度を維持しながらの撥水性向上効果は限られる。特許文献4の方法は、FADを使用し、ta―Cを形成する際に、CFのイオンビームを基材近傍で炭素イオンビームに垂直に照射し、基材上に堆積される炭素膜にフッ素原子を含有させるものである。特許文献4の図8には、膜中のフッ素濃度が高くなるほど膜の硬度が低下することが開示されている。さらに、特許文献4の図9には、膜中のフッ素濃度が高くなるほど膜の表面における水の接触角が高くなること、すなわち膜中のフッ素濃度が高くなるほど膜の撥水性が高くなることが開示されている。この図8及び図9の開示から、撥水性と硬度とは、膜中のフッ素濃度に対して相反関係にあり、高い撥水性と高硬度との両立には限界があることが読み取れる。またCFイオンビームを別途設ける必要があるため装置は複雑で高価なものとなる課題がある。
本開示は、上記問題を解決し、AIPを利用して、フッ素含有非晶質硬質炭素膜を基材表面に形成するに際し、より簡便な機構で高い撥水性を与えるために膜の表面近傍ではフッ素原子を相対的に高濃度で含有せしめることによって、高い撥水性を付与し、かつ、膜の内部ではフッ素原子の含有量を相対的に低く抑えることによって硬度を維持しているフッ素含有非晶質硬質炭素膜及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係るフッ素含有非晶質硬質炭素膜は、基材の表面に設けられ、フッ素原子を10〜50原子%含有するフッ素含有層を有するフッ素含有非晶質硬質炭素膜であって、前記フッ素含有層は前記フッ素含有非晶質硬質炭素膜の前記基材側とは反対側の最外面を含み、かつ、フッ素含有量が厚さ方向で前記基材側から前記最外面側に向かうに従って増加する傾斜組成を有し、かつ、(1)前記フッ素含有層が前記フッ素含有非晶質硬質炭素膜の厚さ方向の中央を含み、かつ、前記最外面におけるフッ素含有量が、前記厚さ方向の中央におけるフッ素含有量の1.5倍以上であるか、又は(2)前記フッ素含有層が前記厚さ方向の中央より前記最外面側にあることを特徴とする。
本発明に係るフッ素含有非晶質硬質炭素膜では、前記フッ素含有非晶質硬質炭素膜は、テトラヘドラルアモルファスカーボン膜であることが好ましい。より高硬度の膜とすることができる。
本発明に係るフッ素含有非晶質硬質炭素膜の製造方法は、チャンバ内で、炭素イオンビームを照射して基材の表面に炭素原子を堆積する工程を有するフッ素含有非晶質硬質炭素膜の製造方法において、少なくとも前記炭素イオンビームの照射期間の終了後所定時間が経過するまで、前記チャンバ内にフッ化炭素ガス又はフッ化炭素ガスを含む混合ガスを継続して導入するガス導入期間を有することを特徴とする。
本発明に係るフッ素含有非晶質硬質炭素膜の製造方法では、前記ガス導入期間の開始時は、前記炭素イオンビームの照射期間の開始時よりも前であることが好ましい。炭素イオンビームの照射期間の開始時にチャンバ内に既にフッ化炭素ガスを存在させることができるため、フッ化炭素イオンをより効率的に生成することができる。その結果、より高濃度のフッ素を炭素膜に含有させることができる。また、膜の全体にわたってフッ素を含有させることができる。
本発明に係るフッ素含有非晶質硬質炭素膜の製造方法では、前記ガス導入期間の開始時は、前記炭素イオンビームの照射期間の開始時と同時であることが好ましい。炭素イオンビームの照射期間の早期からチャンバ内にフッ化炭素ガスを存在させることができるため、フッ化炭素イオンをより効率的に生成することができる。その結果、より高濃度のフッ素を炭素膜に含有させることができる。また、膜の基材側におけるフッ素含有量を微量とすることができる。その結果、基材が金属又は金属酸化物などの密着強度を得難い基材であっても、基材に対する密着性をより高めることができる。
本発明に係るフッ素含有非晶質硬質炭素膜の製造方法では、前記ガス導入期間の開始時は、前記炭素イオンビームの照射期間中のいずれかの時であることが好ましい。膜の基材側におけるフッ素含有量を0とすることができる。その結果、基材が金属又は金属酸化物などの密着強度を得難い基材であっても、基材に対する密着性をより高めることができる。
本発明に係るフッ素含有非晶質硬質炭素膜の製造方法では、前記炭素イオンビームの照射期間中に、前記フッ化炭素ガスの流量を次第に増加させることが好ましい。膜の基材側から最外面側に向かうに従ってフッ素含有量が連続的に増加する傾斜組成を有する膜を形成することができる。
本発明に係るフッ素含有非晶質硬質炭素膜の製造方法では、前記炭素イオンビームの照射期間中、前記フッ化炭素ガスは前記チャンバの雰囲気ガスとして導入されることが好ましい。
本発明に係るフッ素含有非晶質硬質炭素膜の製造方法では、前記ガス導入期間の開始時は、前記炭素イオンビームの照射期間の終了時と同時であることが好ましい。膜の最外面近傍だけにフッ素を集中的に含有させることができる。
本発明に係るフッ素含有非晶質硬質炭素膜の製造方法では、前記ガス導入期間の開始時は、前記炭素イオンビームの照射期間の終了後所定の時間経過時であることが好ましい。膜の最外面近傍だけにフッ素をより集中的に含有させることができる。
本発明に係るフッ素含有非晶質硬質炭素膜の製造方法では、前記炭素イオンビームは、固体炭素ターゲットを使用したアークイオンプレーティング装置又はフィルタードアークイオンプレーティング装置によって照射されることが好ましい。sp混成軌道成分が多い高硬度のダイヤモンド状非晶質炭素膜を形成することができる。
本発明に係るフッ素含有非晶質硬質炭素膜の製造方法では、前記フッ化炭素ガスは、CF、C及びCの中から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。フッ化炭素ガスをより効率的にイオン化することができる。
本開示によれば、AIPを利用して、フッ素含有非晶質硬質炭素膜を基材表面に形成するに際し、より簡便な機構で高い撥水性を与えるために膜の表面近傍ではフッ素原子を相対的に高濃度で含有せしめることによって、高い撥水性を付与し、かつ、膜の内部ではフッ素原子の含有量を相対的に低く抑えることによって硬度を維持しているフッ素含有非晶質硬質炭素膜及びその製造方法を提供することができる。
基材上に形成された本実施形態に係るフッ素含有非晶質硬質炭素膜の一例を示す部分拡大断面図である。 FAD装置の概略図である。 炭素イオンビームの照射期間とガス導入期間との関係を説明するためのグラフである。 図3の各パターンにおける膜厚とフッ素含有量との関係を示す概念図であり、(a)はガス導入期間の開始時がT1である場合、(b)はガス導入期間の開始時がT2である場合、(c)はガス導入期間の開始時がT3である場合、(d)はガス導入期間の開始時がT4である場合、(e)はガス導入期間の開始時がT5である場合を示す。 炭素イオンビームの照射期間中に、フッ化炭素ガスの流量を次第に増加させた場合の膜厚とフッ素含有量との関係を示す概念図である。 フッ素含有非晶質硬質炭素膜の最外面における元素比率を示す図である。 フッ素含有非晶質硬質炭素膜の厚さ方向の中央における元素比率を示す図である。 フッ素含有非晶質硬質炭素膜の表面に対する水の接触角のデータを示す図である。 フッ素含有非晶質硬質炭素膜の硬度のデータを示す図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。これらの実施の例は例示に過ぎず、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
本実施形態に係るフッ素含有非晶質硬質炭素膜1は、図1に示すように、基材2の表面に設けられ、フッ素原子を10〜50原子%含有するフッ素含有層を有するフッ素含有非晶質硬質炭素膜であって、フッ素含有層はフッ素含有非晶質硬質炭素膜1の基材2側とは反対側の最外面3を含み、かつ、フッ素含有量が厚さ方向(X方向)で基材2側から最外面3側に向かうに従って増加する傾斜組成を有し、かつ、(1)フッ素含有層がフッ素含有非晶質硬質炭素膜1の厚さ方向(X方向)の中央Cを含み、かつ、最外面3におけるフッ素含有量が、厚さ方向(X方向)の中央Cにおけるフッ素含有量の1.5倍以上であるか、又は(2)フッ素含有層が厚さ方向(X方向)の中央Cより最外面3側にある。図1において、符号Cを付した点線は仮想線であり、フッ素含有非晶質硬質炭素膜1の厚さ方向(X方向)の中央の位置を示す。
基材2の材質は、特に限定されないが、例えば、合成樹脂、サファイアクリスタル、ガラス又は金属である。基材2の表面は金属酸化物などの薄膜で覆われていてもよい。基材2がフィルム状又は板状であるとき、フッ素含有非晶質硬質炭素膜1を設ける面は、フィルム又は板の片面又は両面である。
フッ素含有非晶質硬質炭素膜1は、炭素及びフッ素を含有する膜である。フッ素含有非晶質硬質炭素膜1は、テトラヘドラルアモルファスカーボン膜であることが好ましい。ここで、テトラヘドラルアモルファスカーボン膜とは、sp混成軌道を有する炭素結合構造の比率が高い膜である。sp混成軌道を有する炭素は、正四面体(テトラヘドラル)であるダイヤモンド結晶構造を構成するので、フッ素含有非晶質硬質炭素膜1をテトラヘドラルアモルファスカーボン膜とすることで、より高硬度の膜とすることができる。また、フッ素含有非晶質硬質炭素膜1には、sp混成軌道を有する炭素に加えて、sp混成軌道を有する炭素が混在していてもよい。フッ素含有非晶質硬質炭素膜1中の全炭素原子数に対するsp混成軌道を有する炭素の含有量は、60〜90%であることが好ましく、65〜85%であることがより好ましい。
フッ素含有非晶質硬質炭素膜1の厚さは、50〜500nmであることが好ましく、50〜150nmであることがより好ましい。
フッ素含有層は、フッ素含有非晶質硬質炭素膜1のうちフッ素含有量が10〜50原子%である領域である。フッ素含有層のフッ素含有量は、20〜48原子%であることが好ましく、25〜45原子%であることがより好ましい。フッ素含有層のフッ素含有量は、例えば、X線光電子分光法(XPS:X‐ray Photoelectron Spectroscopy)を用いて測定することができる。また、膜の深さ方向におけるフッ素含有量については、XPSを用い、Arなどのイオンを照射して膜表面をスパッタリングすることで、深さ分析を行うことができる。
フッ素含有層は、フッ素含有非晶質硬質炭素膜1の最外面3から深さ方向(Y方向)に連続して存在する。最外面3は、フッ素含有非晶質硬質炭素膜1の基材2に接する側とは反対側の表面、すなわちフッ素含有非晶質硬質炭素膜1の外表面である。深さ方向(Y方向)とは、厚さ方向(X方向)のうち最外面3から基材2へ向かう方向である。また、本実施形態では、フッ素含有非晶質硬質炭素膜1の基材2に接する側の表面、すなわちフッ素含有非晶質硬質炭素膜1の内表面を最内面4ということもある。
フッ素含有層は、フッ素含有非晶質硬質炭素膜1の厚さ方向(X方向)の中央Cを含む((1)の形態という。)か、又は厚さ方向(X方向)の中央Cより最外面3側にあってもよい((2)の形態という。)。厚さ方向(X方向)の中央Cは、フッ素含有非晶質硬質炭素膜1の厚さをaとしたとき、最外面3から深さ0.5aとなる部分である。
(1)の形態について説明する。(1)の形態は、フッ素含有層が最外面3から中央Cにわたって存在する形態、フッ素含有層が最外面3から中央Cをまたがって存在し、中央Cと最内面4との間にフッ素含有層の境界がある形態、及びフッ素含有層が最外面3から最内面4にわたって存在する、すなわちフッ素含有非晶質硬質炭素膜1の全体がフッ素含有層である形態を包含する。(1)の形態のフッ素含有層では、最外面3におけるフッ素含有量が、厚さ方向(X方向)の中央Cにおけるフッ素含有量の1.5倍以上である。最外面3におけるフッ素含有量は、厚さ方向(X方向)の中央Cにおけるフッ素含有量の1.8倍以上であることがより好ましい。
(2)の形態について説明する。(2)の形態は、フッ素含有層が最外面3からの深さが0以上0.5a未満となる部分に存在する形態を包含する。(2)の形態のフッ素含有層は、最外面3から50nm未満の深さまでの領域であることが好ましく、最外面3から30nm以下の深さまでの領域であることがより好ましい。
フッ素含有層は、傾斜組成を有する。ここで、傾斜組成は、フッ素含有量が、深さ方向(Y方向)において連続的又は段階的に増加する組成である。傾斜組成において、フッ素含有量は、0原子%から30原子%まで増加する傾斜であることが好ましく、0原子%から50原子%まで増加する傾斜であることがより好ましい。フッ素含有量の傾斜は、フッ素含有層の全体でみられても、フッ素含有層の一部分でみられてもよい。フッ素含有量の傾斜がフッ素含有層の一部分でみられる場合は、例えば、フッ素含有層の最外面3から30nmまでの領域ではフッ素含有量が基材2側から最外面3側に向かうに従って増加し、フッ素含有層の最外面3から30nmを超え最内面4までの領域ではフッ素含有量が一定である形態である。
本実施形態では、フッ素含有非晶質硬質炭素膜1の全体がフッ素含有層であってもよいし、フッ素含有非晶質硬質炭素膜1がフッ素含有層に加えて、その他の層を有していてもよい。その他の層は、例えば、フッ素を0原子%超え10原子%未満含有するフッ素低含有炭素層、又はフッ素を含有しないフッ素非含有炭素層である。フッ素低含有炭素層は、フッ素含有量との間に明確な境界を持たずに一連の傾斜組成を有していてもよい。この場合、フッ素含有層とフッ素低含有炭素層とは、フッ素含有量で区別される。すなわち、フッ素含有量が10原子%以上である領域をフッ素含有量とし、フッ素含有量が10原子%未満である領域をフッ素低含有炭素層とする。
本実施形態に係るフッ素含有非晶質硬質炭素膜1は、最外面3を例えば10原子%以上のようなフッ素高含有率とすることによって、最外面3における水に対する接触角(JIS R 3257:1999 基板ガラス表面のぬれ性試験方法)が例えば80〜100°のような高い疎水性とすることが可能である。また、本実施形態に係るフッ素含有非晶質硬質炭素膜1は、膜の内部(例えば、膜の厚さ方向の中央部)を例えば20原子%未満のようなフッ素低含有率とすることによって、最外面3における硬度(ISO 14577)は10GPa以上のような高硬度とすることができる。このような特性は、傾斜組成を自由に制御できる本発明に係る製造方法によって達成できる。すなわち最外面3ではフッ素含有量を相対的に多くし、膜の内部ではフッ素含有量を相対的に少なくする傾斜構造によって、基材2との密着性が高く、高硬度を維持しつつ、かつ膜表面における高い撥水性を発揮することができる。
次に本実施形態に係るフッ素含有非晶質硬質炭素膜1の製造方法の一例について説明する。
図2に示すように、フィルタードアークイオンプレーティング(FAD)装置10は、チャンバ11と、ターゲット12と、トリガー13と、コイル14(14A,14B,14C)と、ガス導入部15と、排気部16とを備える。ターゲット12は、例えば、グラファイト塊である。トリガー13によってアーク放電が発生し、このアーク放電によってターゲット12から炭素イオン33を含むプラズマ32が生成される。生成されたプラズマ32は、バイアスのかかった基材2の表面にイオンビームとして照射される。この間、コイル14(14A,14B,14C)の磁界によってイオンビームは曲げられ、イオン33でない微粒子がドロップレット31として除去される。図2において、プラズマ(イオンビーム)32の進行方向のイメージをグレーの陰影で表した。基材2は、排気部16によって低圧(例えば1.0×10−3Pa)にされたチャンバ11内に配置される。チャンバ11内には、ガス導入部15から所定のタイミングでフッ化炭素ガスが導入される。
本実施形態に係るフッ素含有非晶質硬質炭素膜の製造方法は、チャンバ11内で、炭素イオンビームを照射して基材2の表面に炭素原子を堆積する工程を有するフッ素含有非晶質硬質炭素膜の製造方法において、図3に示すように、少なくとも炭素イオンビームの照射期間の終了後所定時間が経過するまで、チャンバ11内にフッ化炭素ガス又はフッ化炭素ガスを含む混合ガスを継続して導入するガス導入期間を有する。
フッ化炭素ガスは、CF(四フッ化メタン)、C(六フッ化エタン)及びC(八フッ化プロパン)の中から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。フッ化炭素ガスをより効率的にイオン化することができる。
フッ化炭素ガスを含む混合ガスに混合可能なガスは、例えば、炭化水素ガス又は有機ケイ素ガスである。炭化水素ガスは、例えば、C(アセチレン)、CH(メタン)又はC(ベンゼン)である。有機ケイ素ガスガスは、例えば、C10Si(トリメチルシラン)又はC12Si(テトラメチルシラン)である。
ガス導入期間は、例えば、ガス導入部15(図2に図示)からチャンバ11内にフッ化炭素ガスを導入する期間である。本実施形態では、図3に示すように、ガス導入期間の終了時Txは、炭素イオンビームの照射終了時Teよりも後である。ガス導入期間の終了時Txは、炭素イオンビームの照射終了時Teから5〜60秒経過時であることが好ましく、炭素イオンビームの照射終了時Teから5〜30秒経過時であることがより好ましい。
炭素イオンビームの照射を終了した時、基材上に堆積された堆積物の表面には未結合手が存在する。本実施形態のように炭素イオンビームの照射終了後所定時間の間フッ化炭素ガスの導入を継続することによって、未結合手にCFを結合させ、堆積物の表面をCFで終端することができる。その結果、表面近傍のフッ素含有量が高くなり、表面の滑り性、撥水性、撥油性が向上する。もし、炭素イオンビームの照射終了後にフッ化炭素ガスの導入を継続しないと、フッ化炭素ガスが排気されて十分なCF結合が表面に形成されず、表面の滑り性、撥水性、撥油性などの特性は得られない。
本実施形態に係る製造方法では、ガス導入期間の開始時は、図3に示すように、T1〜T5のパターンを含む。各パターンT1〜T5とすることで、膜の傾斜組成を図4に示すように制御することができる。次に、各パターン及びそのパターンにおける膜の傾斜組成について説明する。
(T1)
本実施形態に係るフッ素含有非晶質硬質炭素膜の製造方法では、ガス導入期間の開始時T1は、炭素イオンビームの照射期間の開始時Tsよりも前であることが好ましい。すなわち、T1<Tsであることが好ましい。炭素イオンビームの照射期間の開始時Tsにチャンバ11内に既にフッ化炭素ガスを存在させることができるため、フッ化炭素イオンをより効率的に生成することができる。その結果、より高濃度のフッ素を炭素膜に含有させることができる。また、図4(a)に示すように、膜の全体にわたってフッ素を含有させることができる。ガス導入期間の開始時T1は、炭素イオンビームの照射期間の開始時Tsの0〜120秒前であることが好ましく、10〜60秒前であることがより好ましい。
(T2)
本実施形態に係るフッ素含有非晶質硬質炭素膜の製造方法では、ガス導入期間の開始時T2は、炭素イオンビームの照射期間の開始時Tsと同時であることが好ましい。すなわち、T2=Tsであることが好ましい。炭素イオンビームの照射期間の早期からチャンバ11内にフッ化炭素ガスを存在させることができるため、フッ化炭素イオンをより効率的に生成することができる。その結果、より高濃度のフッ素を炭素膜に含有させることができる。また、図4(b)に示すように、膜の基材側におけるフッ素含有量を微量とすることができる。その結果、基材が金属又は金属酸化物などの密着強度を得難い基材であっても、基材に対する密着性をより高めることができる。
(T3)
本実施形態に係るフッ素含有非晶質硬質炭素膜の製造方法では、ガス導入期間の開始時T3は、炭素イオンビームの照射期間中のいずれかの時であることが好ましい。すなわち、Ts<T3<Teであることが好ましい。図4(c)に示すように、膜の基材側におけるフッ素含有量を0とすることができる。その結果、基材が金属又は金属酸化物などの密着強度を得難い基材であっても、基材に対する密着性をより高めることができる。
ガス導入期間の開始時がT1,T2又はT3であるとき、フッ素含有層は、図1に示すフッ素含有非晶質硬質炭素膜1の厚さ方向(X方向)の中央Cを含み、かつ、最外面3におけるフッ素含有量が、厚さ方向(X方向)の中央Cにおけるフッ素含有量の1.5倍以上となる。
ガス導入期間の開始時がT1,T2又はT3であるとき、フッ化炭素ガスの流量は一定であってもよいし、図3の符号91で示すように、炭素イオンビームの照射期間中に、フッ化炭素ガスの流量を次第に増加させてもよい。フッ化炭素ガスの流量を次第に増加させることによって、図5に示すように最内面側から最外面側に向かうに従ってフッ素含有量が連続的に増加する傾斜組成を有する膜を形成することができる。
また、本実施形態に係るフッ素含有非晶質硬質炭素膜の製造方法では、炭素イオンビームの照射期間中、フッ化炭素ガスはチャンバ11の雰囲気ガスとして導入されることが好ましい。ここで、「チャンバ11の雰囲気ガスとして導入される」とは、フッ化炭素ガスを基材2に向けて直接的に吹き付けるのではなく、炭素イオンビームの照射経路の途中で炭素イオンビームに混合されるようにフッ化炭素ガスをチャンバ11内に導入することをいう。炭素イオンビームに混合されたフッ化炭素ガスは、フッ化炭素イオンとなって、炭素イオンとともに基材2の表面に堆積してフッ素含有非晶質硬質炭素膜を構成する。
(T4)
本実施形態に係るフッ素含有非晶質硬質炭素膜の製造方法では、ガス導入期間の開始時T4は、炭素イオンビームの照射期間の終了時Teと同時であることが好ましい。すなわち、T4=Teであることが好ましい。図4(d)に示すように、膜の最外面近傍だけにフッ素を集中的に含有させることができる。
(T5)
本実施形態に係るフッ素含有非晶質硬質炭素膜の製造方法では、ガス導入期間の開始時T5は、炭素イオンビームの照射期間の終了後所定の時間経過時であることが好ましい。すなわち、Te<T5であることが好ましい。図4(e)に示すように、膜の最外面近傍だけにフッ素をより集中的に含有させることができる。所定の時間は、炭素イオンビームの照射期間の終了時Teから5秒以内であることが好ましく、炭素イオンビームの照射期間の終了時Teから3秒以内であることがより好ましい。
以上のように、本実施形態に係る製造方法では、ガス導入期間は、遅くとも炭素イオンビームの照射期間の終了後所定の時間経過時(図3のT5)までには開始することが好ましい。フッ化炭素ガスのガス導入期間の開始時を炭素イオンビームの照射期間の終了後所定の時間経過時以前(例えば、T1,T2,T3,T4又はT5)とすることで、基材が活性化した状態にあるところへフッ化炭素ガスを導入することができるため、未結合手にCFをより確実に結合させることができる。
ガス導入期間の開始時がT4又はT5であるとき、フッ素含有層は、図1に示す厚さ方向(X方向)の中央Cより最外面3側にある。
図2では、一例として炭素イオンビームがフィルタードアークイオンプレーティング装置によって照射される形態を示したが、本実施形態はこれに限定されず、炭素イオンビームは、固体炭素ターゲットを使用したアークイオンプレーティング装置によって照射されてもよい。炭素イオンビームが、アークイオンプレーティング装置又はフィルタードアークイオンプレーティング装置によって照射されることで、sp混成軌道成分が多い高硬度のダイヤモンド状非晶質炭素膜を形成することができる。本実施形態に係る製造方法では、マグネトロンスパッタリング装置を用いてもよい。マグネトロンスパッタリング装置の中でも、水素を含まずsp混成軌道成分を多く含む薄膜を合成可能な、たとえば大電力パルススパッタリング法又は多重磁極マグネトロンスパッタリング法などを用いて薄膜形成する過程にフッ化炭素ガス等を導入することで同等の薄膜を形成可能である。
基材が金属又は金属酸化物基材である場合は、最内面のフッ素含有量を0とするか又は微量とするために、ガス導入期間の開始時をT2,T3,T4又はT5とすることが好ましい。
本実施形態に係る製造方法は、あらたにフッ素イオンビームを使用することなく炭素膜にフッ素を含有させることができる。また、フッ化炭素ガスをイオンビームの経路途中で混合することによってフッ化炭素イオンを効率よく生成し、炭素膜中のフッ素含有量を極めて精密に厚さ方向に制御できる。この結果、例えば、生体内留置材料の保護膜として高い生体適合性と高硬度、耐摩耗性を維持でき、その他電子材料、表示パネル、光学材料において防汚性、指紋付着防御性を発揮する高硬度耐摩耗薄膜を提供することができる。
以下、実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例に何ら限定されるものではない。
図2に示すFAD装置を用いて、基材の表面に厚さ100nmの薄膜を形成した。各実施例において、薄膜の形成にあたり、フッ化炭素ガス又はフッ化炭素ガスを含む混合ガスは、炭素イオンビームの照射期間の開始時よりも60秒前からチャンバ内への導入を開始し、炭素イオンビームの照射期間の終了後60秒が経過するまでチャンバ内への導入を継続した。100nmの成膜に要した時間は、60〜120秒であった。基材は、縦10mm、横10mm、厚さ380μmのケイ素製の板を用いた。チャンバ11内の圧力は、1.0×10−3Paとした。チャンバ11内に導入したガスの種類と流量は次のとおりである。
比較例1(「ta−C」とも表記する)は、ガスを導入せず合成した。
実施例1(「a−C:F 10」とも表記する)は、Cを10sccm導入した。
実施例2(「a−C:F 30」とも表記する)は、Cを30sccm導入した。
実施例3(「a−C:F 50」とも表記する)は、Cを50sccm導入した。
ここで、1sccm(Standard Cubic Centimeter per Minute)は標準状態(0℃、1気圧)で1ccの気体を1分間流す流量をいう。
各実施例及び比較例について、薄膜の最外面の元素比率を、XPS装置(型式:JSP―9010TR、JEOL社製)を用いて分析した。その結果を図6に示す。また、各実施例及び比較例について、薄膜の最外面から深さ50nm(厚さ方向の中央)における元素比率を、XPS分析を用いてArスパッタによって測定した。その結果を、図7に示す。図6及び図7より、比較例1では、最外面におけるフッ素含有量及び深さ50nmにおけるフッ素含有量は、いずれも0原子%であった。実施例1では、最外面におけるフッ素含有量は19.4原子%であり、深さ50nmにおけるフッ素含有量は8.3原子%であり、最外面におけるフッ素含有量は、厚さ方向の中央におけるフッ素含有量の2.3倍であった。実施例2では、最外面におけるフッ素含有量は40.8原子%であり、深さ50nmにおけるフッ素含有量は22.8原子%であり、最外面におけるフッ素含有量は、厚さ方向の中央におけるフッ素含有量の1.8倍であった。実施例3では、最外面におけるフッ素含有量は48.9原子%であり、深さ50nmにおけるフッ素含有量は25.2原子%であり、最外面におけるフッ素含有量は、厚さ方向の中央におけるフッ素含有量の1.9倍であった。
各実施例及び比較例について、薄膜の最外面における水に対する接触角を測定した。接触角は、接触角計(型式:DM 500、協和界面科学社製)を用い、セシルドロップ法で蒸留水とジヨードメタンとをそれぞれ2μLずつ滴下し、θ/2法に代えて接線法を用いた以外は、JIS R 3257:1999 基板ガラス表面のぬれ性試験方法に準じて測定した。接触角は、10回測定して平均値及び標準偏差を求めた。その結果を図8に示す。図8より、接触角は、比較例1が76.7°±1.1°、実施例1が80.3°±1.1°、実施例2が87.5°±1.3°、実施例3が95.0°±1.4°、実施例4が91.8°±1.6°であった。実施例1〜3は、いずれも比較例1よりも接触角が大きく、フッ素を含有しない炭素膜よりも撥水性が向上していることが確認された。また、薄膜の最外面におけるフッ素含有量が高いほど、接触角が大きくなる傾向が確認された。
実施例1,2及び4並びに比較例1について、薄膜の硬度を測定した。硬度は、ナノインデンター(型式:G200,KLA−Tencor Corp USA社製)を用いてISO 14577に準じて測定した。硬度は、10回測定して平均値及び標準偏差を求めた。その結果を図9に示す。図9より、硬度は、比較例1が75.2±4.8GPa、実施例1が22.7±3.2GPa、実施例2が8.3±1.2GPaであった。
1 フッ素含有非晶質硬質炭素膜
2 基材
3 最外面
4 最内面
10 FAD装置
11 チャンバ
12 ターゲット
13 トリガー
14(14A,14B,14C) コイル
15 ガス導入部
16 排気部
31 ドロップレット
32 プラズマガス
33 炭素イオン
C フッ素含有非晶質硬質炭素膜の厚さ方向の中央
T1,T2,T3,T4,T5 導入期間の開始時
Ts 炭素イオンビームの照射期間の開始時
Te 炭素イオンビームの照射期間の終了時

Claims (12)

  1. 基材の表面に設けられ、フッ素原子を10〜50原子%含有するフッ素含有層を有するフッ素含有非晶質硬質炭素膜であって、
    前記フッ素含有層は前記フッ素含有非晶質硬質炭素膜の前記基材側とは反対側の最外面を含み、かつ、フッ素含有量が厚さ方向で前記基材側から前記最外面側に向かうに従って増加する傾斜組成を有し、かつ、
    (1)前記フッ素含有層が前記フッ素含有非晶質硬質炭素膜の厚さ方向の中央を含み、かつ、前記最外面におけるフッ素含有量が、前記厚さ方向の中央におけるフッ素含有量の1.5倍以上であるか、又は(2)前記フッ素含有層が前記厚さ方向の中央より前記最外面側にあることを特徴とするフッ素含有非晶質硬質炭素膜。
  2. 前記フッ素含有非晶質硬質炭素膜は、テトラヘドラルアモルファスカーボン膜であることを特徴とする請求項1に記載のフッ素含有非晶質硬質炭素膜。
  3. チャンバ内で、炭素イオンビームを照射して基材の表面に炭素原子を堆積する工程を有するフッ素含有非晶質硬質炭素膜の製造方法において、
    少なくとも前記炭素イオンビームの照射期間の終了後所定時間が経過するまで、前記チャンバ内にフッ化炭素ガス又はフッ化炭素ガスを含む混合ガスを継続して導入するガス導入期間を有することを特徴とするフッ素含有非晶質硬質炭素膜の製造方法。
  4. 前記ガス導入期間の開始時は、前記炭素イオンビームの照射期間の開始時よりも前であることを特徴とする請求項3に記載のフッ素含有非晶質硬質炭素膜の製造方法。
  5. 前記ガス導入期間の開始時は、前記炭素イオンビームの照射期間の開始時と同時であることを特徴とする請求項3に記載のフッ素含有非晶質硬質炭素膜の製造方法。
  6. 前記ガス導入期間の開始時は、前記炭素イオンビームの照射期間中のいずれかの時であることを特徴とする請求項3に記載のフッ素含有非晶質硬質炭素膜の製造方法。
  7. 前記炭素イオンビームの照射期間中に、前記フッ化炭素ガスの流量を次第に増加させることを特徴とする請求項4〜6のいずれか一つに記載のフッ素含有非晶質硬質炭素膜の製造方法。
  8. 前記炭素イオンビームの照射期間中、前記フッ化炭素ガスは前記チャンバの雰囲気ガスとして導入されることを特徴とする請求項4〜7のいずれか一つに記載のフッ素含有非晶質硬質炭素膜の製造方法。
  9. 前記ガス導入期間の開始時は、前記炭素イオンビームの照射期間の終了時と同時であることを特徴とする請求項3に記載のフッ素含有非晶質硬質炭素膜の製造方法。
  10. 前記ガス導入期間の開始時は、前記炭素イオンビームの照射期間の終了後所定の時間経過時であることを特徴とする請求項3に記載のフッ素含有非晶質硬質炭素膜の製造方法。
  11. 前記炭素イオンビームは、固体炭素ターゲットを使用したアークイオンプレーティング装置又はフィルタードアークイオンプレーティング装置によって照射されることを特徴とする請求項3〜10のいずれか一つに記載のフッ素含有非晶質硬質炭素膜の製造方法。
  12. 前記フッ化炭素ガスは、CF、C及びCの中から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項3〜11のいずれか一つに記載のフッ素含有非晶質硬質炭素膜の製造方法。
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