JP2020141498A - 駆動装置 - Google Patents

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Toshihiro Yamamoto
敏洋 山本
博之 小柳
Hiroyuki Koyanagi
博之 小柳
隼史 山川
Junji Yamakawa
隼史 山川
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Abstract

【課題】モータシステムが不安定になるか否かをより適切に予測すると共に、モータシステムが不安定になるのをより適切に抑制する。【解決手段】インバータを電圧位相制御により制御する際に、モータの回転数および電圧位相指令に基づいてモータシステムが不安定になると予測したときには、モータの回転数に基づいて不安定範囲を推定する。そして、不安定範囲全体が電圧位相指令制限未満のときには、不安定範囲外で且つ電圧位相指令制限以下の電圧位相でトルク指令に対応可能に電圧利用率指令を設定し、電圧利用率指令に基づいてインバータを制御する。一方、不安定範囲の少なくとも一部が電圧位相指令制限以上のときには、検出電圧に対してモータの電気1次周波数の成分を除去してまたは成分の位相を変更してフィルタ後電圧を演算し、フィルタ後電圧と電圧指令とに基づく電圧フィードバック制御により昇圧コンバータを制御する。【選択図】図1

Description

本発明は、駆動装置に関し、詳しくは、モータとインバータと蓄電装置と昇圧コンバータとコンデンサとを備える駆動装置に関する。
従来、この種の駆動装置としては、モータと、モータを駆動するインバータと、直流電源と、直流電源が接続された低電圧側電力ラインの電力を昇圧してインバータが接続された高電圧側電力ラインに供給する昇圧コンバータと、高電圧側電力ラインに取り付けられたコンデンサと、を備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この駆動装置では、演算手段と制御手段と判定手段と切替手段とを備える。演算手段は、比例要素や積分要素、微分要素を有し、且つ、微分要素が帯域通過フィルタとして構成され、且つ、昇圧コンバータの電流指令値に相当するPID制御量を演算する。制御手段は、PID制御量に基づいて昇圧コンバータの出力電圧を制御する。判定手段は、コンデンサの電圧の変動レベルやモータのトルク値に基づいて、コンデンサの電圧の変動抑制に対して直流電源における電力の入出力に伴う損失抑制を優先すべきか否かを判定する。切替手段は、損失抑制を優先すべき旨が判定された旨が判定された場合に、PID制御量を演算する際の演算モードを、帯域通過フィルタのカットオフ周波数が基準値に維持される変動抑制モードから、カットオフ周波数が基準値に対して減少側に補正される損失抑制モードに切り替える。
国際公開第2012/144019号
上述の駆動装置では、モータおよびインバータを含むモータシステムが不安定になるか否かを適切に予測することができない場合が生じる。また、昇圧コンバータの制御だけでは、モータシステムが不安定になるのを十分に抑制できない場合が生じる。
本発明の駆動装置は、モータシステムが不安定になるか否かをより適切に予測すると共に、モータシステムが不安定になるのをより適切に抑制することを主目的とする。
本発明の駆動装置は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の駆動装置は、
モータと、
前記モータを駆動するインバータと、
蓄電装置と、
前記蓄電装置が接続された低電圧側電力ラインの電力を昇圧して前記インバータが接続された高電圧側電力ラインに供給する昇圧コンバータと、
前記高電圧側電力ラインに取り付けられたコンデンサと、
前記コンデンサの電圧を検出する電圧センサと、
前記モータのトルク指令に基づいて前記インバータを制御すると共に前記電圧センサにより検出される検出電圧と前記高電圧側電力ラインの電圧指令とに基づく電圧フィードバック制御により前記昇圧コンバータを制御する制御装置と、
を備える駆動装置であって、
前記制御装置は、
前記インバータを電圧位相指令を用いた電圧位相制御により制御する際に、前記モータの回転数および前記電圧位相指令に基づいて、前記モータおよび前記インバータを含むモータシステムが不安定になると予測したときには、
前記モータの回転数に基づいて、前記モータシステムが不安定になると予測される前記電圧位相指令の範囲である不安定範囲を推定し、
前記不安定範囲全体が電圧位相指令制限未満のときには、前記不安定範囲外で且つ前記電圧位相指令制限以下の電圧位相で前記トルク指令に対応可能に電圧利用率指令を設定し、前記電圧利用率指令に基づいて前記インバータを制御し、
前記不安定範囲の少なくとも一部が前記電圧位相指令制限以上のときには、前記検出電圧に対して前記モータの電気1次周波数の成分を除去してまたは前記成分の位相を変更してフィルタ後電圧を演算し、前記フィルタ後電圧と前記電圧指令とに基づく電圧フィードバック制御により前記昇圧コンバータを制御する、
ことを要旨とする。
この本発明の駆動装置では、インバータを電圧位相指令を用いた電圧位相制御により制御する際に、モータの回転数および電圧位相指令に基づいて、モータおよびインバータを含むモータシステムが不安定になると予測したときには、モータの回転数に基づいて、モータシステムが不安定になると予測される電圧位相指令の範囲である不安定範囲を推定する。そして、不安定範囲全体が電圧位相指令制限未満のときには、不安定範囲外で且つ電圧位相指令制限以下の電圧位相でトルク指令に対応可能に電圧利用率指令を設定し、電圧利用率指令に基づいてインバータを制御する。一方、不安定範囲の少なくとも一部が電圧位相指令制限以上のときには、検出電圧に対してモータの電気1次周波数の成分を除去してまたは成分の位相を変更してフィルタ後電圧を演算し、フィルタ後電圧と電圧指令とに基づく電圧フィードバック制御により昇圧コンバータを制御する。したがって、モータの回転数および電圧位相指令に基づいてモータシステムが不安定になるか否かを予測することにより、この予測をより適切に行なうことができる。また、モータシステムが不安定になると予測したときに、不安定範囲と電圧位相指令制限との関係に応じたインバータまたは昇圧コンバータの制御を行なうことにより、モータシステムが不安定になるのをより適切に抑制することができる。ここで、「モータシステムが不安定になる」は、コンデンサの電圧変動(インバータの直流側の電圧変動)が許容範囲よりも大きくなることを意味する。
こうした本発明の駆動装置において、前記制御装置は、前記モータの回転数および前記電圧位相指令に基づく、前記コンデンサの電圧変動に対する前記インバータの直流側の電流変動の位相遅れが所定遅れ以上であり、且つ、前記モータの回転数が所定回転数以上のときに、前記モータシステムが不安定になると予測するものとしてもよい。
また、本発明の駆動装置において、前記制御装置は、前記不安定範囲全体が電圧位相指令制限未満のときには、前記不安定範囲外で且つ前記電圧位相指令制限以下の範囲内で前記電圧位相指令を再設定すると共に再設定後の前記電圧位相指令と前記トルク指令とに基づいて前記電圧利用率指令を設定し、再設定後の前記電圧位相指令と前記電圧利用率指令とに基づいて前記インバータを制御するものとしてもよい。
本発明の一実施例としての駆動装置20の構成の概略を示す構成図である。 電子制御ユニット50により実行されるスイッチングパターン設定ルーチンの一例を示すフローチャートである。 電子制御ユニット50により実行されるスイッチングパターン設定ルーチンの一例を示すフローチャートである。 電子制御ユニット50により実行される昇圧デューティ指令設定ルーチンの一例を示すフローチャートである。 駆動装置20のハード構成の模式図である。 コンデンサ43の電圧変動が大きくなるメカニズムの説明図である。 周波数と、コンデンサ43の電圧変動に対する昇圧コンバータ40の高電圧側の電流変動の位相遅れΔθvcilと、の一例を示す説明図である。 モータ32の回転数Nmとq軸基準電圧位相指令φq*と位相遅れΔθvcimとの関係の一例を示す説明図である。 モータ32の回転数Nmとq軸基準電圧位相指令φq*と位相遅れΔθvcimとの関係の一例を示す説明図である。 q軸基準電圧位相指令φq*を再設定する様子を示す説明図である。 バンドストップフィルタの一例を示す説明図である。
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例としての駆動装置20の構成の概略を示す構成図である。実施例の駆動装置20は、電気自動車やハイブリッド自動車に搭載され、図示するように、モータ32と、インバータ34と、バッテリ36と、昇圧コンバータ40と、電子制御ユニット50とを備える。
モータ32は、同期発電電動機として構成されており、回転子コアに永久磁石が埋め込まれた回転子と、固定子コアに三相コイルが巻回された固定子とを備える。このモータ32の回転子は、駆動輪にデファレンシャルギヤを介して連結された駆動軸に接続されている。
インバータ34は、モータ32の駆動に用いられる。このインバータ34は、高電圧側電力ライン42を介して昇圧コンバータ40に接続されており、6つのスイッチング素子としてのトランジスタT11〜T16と、6つのダイオードD11〜D16とを有する。トランジスタT11〜T16は、それぞれ、高電圧側電力ライン42の正極側ラインと負極側ラインとに対してソース側とシンク側になるように2個ずつペアで配置されている。また、トランジスタT11〜T16の対となるトランジスタ同士の接続点の各々には、モータ32の三相コイル(U相、V相、W相のコイル)の各々が接続されている。ダイオードD11〜D16は、それぞれトランジスタT11〜T16に並列に接続されている。インバータ34に電圧が作用しているときに、電子制御ユニット50によって、対となるトランジスタT11〜T16のオン時間の割合が調節されることにより、三相コイルに回転磁界が形成され、モータ32が回転駆動される。高電圧側電力ライン42の正極側ラインと負極側ラインとには、平滑用のコンデンサ43が取り付けられている。
バッテリ36は、例えばリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池として構成されており、低電圧側電力ライン44を介して昇圧コンバータ40に接続されている。低電圧側電力ライン44の正極側ラインと負極側ラインとには、平滑用のコンデンサ45が取り付けられている。
昇圧コンバータ40は、高電圧側電力ライン42と低電圧側電力ライン44とに接続されており、2つのスイッチング素子としてのトランジスタT31,T32と、2つのダイオードD31,D32と、リアクトルLとを有する。トランジスタT31は、高電圧側電力ライン42の正極側ラインに接続されている。トランジスタT32は、トランジスタT31と、高電圧側電力ライン42および低電圧側電力ライン44の負極側ラインと、に接続されている。ダイオードD31,D32は、それぞれトランジスタT31,T32に並列に接続されている。リアクトルLは、トランジスタT31,T32同士の接続点と、低電圧側電力ライン44の正極側ラインと、に接続されている。昇圧コンバータ40は、電子制御ユニット50によってトランジスタT31,T32のオン時間の割合が調節されることにより、低電圧側電力ライン44の電力を昇圧して高電圧側電力ライン42に供給したり、高電圧側電力ライン42の電力を降圧して低電圧側電力ライン44に供給したりする。
電子制御ユニット50は、CPU51を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU51に加えて、処理プログラムを記憶するROM52や、データを一時的に記憶するRAM53、入出力ポートを備える。電子制御ユニット50には、各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。電子制御ユニット50に入力される信号としては、例えば、モータ32の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ(例えばレゾルバ)32aからの回転位置θmや、モータ32の各相の電流を検出する電流センサ32u,32v,32wからの相電流Iu,Iv,Iwを挙げることができる。また、バッテリ36の端子間に取り付けられた電圧センサ36aからの電圧Vbや、バッテリ36の出力端子に取り付けられた電流センサ36bからの電流Ibも挙げることができる。さらに、コンデンサ43の端子間に取り付けられた電圧センサ43aからのコンデンサ43(高電圧側電力ライン42)の電圧Vc、コンデンサ45の端子間に取り付けられた電圧センサ45aからのコンデンサ45(低電圧側電力ライン44)の電圧Vfも挙げることができる。加えて、イグニッションスイッチ60からのイグニッション信号や、シフトレバー61の操作位置を検出するシフトポジションセンサ62からのシフトポジションSPも挙げることができる。また、アクセルペダル63の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ64からのアクセル開度Accや、ブレーキペダル65の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ66からのブレーキペダルポジションBP、車速センサ68からの車速Vも挙げることができる。
電子制御ユニット50からは、各種制御信号が出力ポートを介して出力されている。電子制御ユニット50から出力される信号としては、例えば、インバータ34のトランジスタT11〜T16へのスイッチング制御信号や、昇圧コンバータ40のトランジスタT31,T32へのスイッチング制御信号を挙げることができる。電子制御ユニット50は、回転位置検出センサ32aからのモータ32の回転子の回転位置θmに基づいてモータ32の電気角θeや電気角速度ωe、回転数Nmを演算したり、電流センサ36bからのバッテリ36の電流Ibの積算値に基づいてバッテリ36の蓄電割合SOCを演算したりしている。ここで、蓄電割合SOCは、バッテリ36の全容量に対するバッテリ36の蓄電量(放電可能な電力量)の割合である。
こうして構成された実施例の駆動装置20では、電子制御ユニット50は、アクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸に要求される要求トルクTd*を設定し、設定した要求トルクTd*が駆動軸に出力されるようにモータ32のトルク指令Tm*に設定し、設定したモータ32のトルク指令Tm*に基づいてインバータ34のトランジスタT11〜T16のスイッチング制御を行なう。また、電子制御ユニット50は、モータ32のトルク指令Tm*に基づいて高電圧側電力ライン42の電圧指令Vc*を設定し、設定した高電圧側電力ライン42の電圧指令Vc*に基づいて昇圧コンバータ40のトランジスタT31,T32のスイッチング制御を行なう。
次に、こうして構成された実施例の駆動装置20の動作について説明する。図2および図3は、電子制御ユニット50により実行されるスイッチングパターン設定ルーチンの一例を示すフローチャートであり、図4は、電子制御ユニット50により実行される昇圧デューティ指令設定ルーチンの一例を示すフローチャートである。これらのルーチンは、繰り返し実行される。なお、図2および図3のルーチンにより設定されるトランジスタT11〜T16のスイッチングパターンは、インバータ34の制御に用いられ、図4のルーチンにより設定される昇圧デューティ指令Dcnv*は、昇圧コンバータ40の制御に用いられる。
図2および図3のスイッチングパターン設定ルーチンについて説明する。このルーチンが実行されると、電子制御ユニット50は、最初に、モータ32のトルク指令Tm*や電気角θe、回転数Nm、各相の電流Iu,Iv,Iw、コンデンサ43の電圧Vcなどのデータを入力する(ステップS100)。ここで、モータ32のトルク指令Tm*は、上述のように駆動軸の要求トルクTd*に基づいて設定した値を入力するものとした。モータ32の電気角θeや回転数Nmは、回転位置検出センサ32aにより検出されたモータ32の回転位置θmに基づいて演算した値を入力するものとした。モータ32の各相の電流Iu,Iv,Iwは、電流センサ32u,32v,32wにより検出された値を入力するものとした。コンデンサ43の電圧Vcは、電圧センサ43aにより検出された値を入力するものとした。
こうしてデータを入力すると、モータ32の電気角θeを用いてモータ32の各相の電流Iu,Iv,Iwをd軸およびq軸の電流Id,Iqに座標変換(3相−2相変換)する(ステップS110)。続いて、モータ32のトルク指令Tm*に基づいてd軸およびq軸の電流指令Id*,Iq*を設定する(ステップS120)。ここで、d軸およびq軸の電流指令Id*,Iq*は、実施例では、モータ32のトルク指令Tm*とd軸およびq軸の電流指令Id*,Iq*との関係を予め定めてマップとして記憶しておき、モータ32のトルク指令Tm*が与えられると、このマップから対応するd軸およびq軸の電流指令Id*,Iq*を導出して設定するものとした。
続いて、前回に本ルーチンを実行したときに設定した電圧利用率指令(前回Vr*)に基づいて制御モードを設定する(ステップS130)。実施例では、前回の制御モードが電流制御のときにおいて、前回の電圧利用率指令(前回Vr*)が閾値Vrref1未満のときには、電流制御を継続し、前回の電圧利用率指令(前回Vr*)が閾値Vrref1以上のときには、電圧位相制御に移行するものとした。また、前回の制御モードが電圧位相制御のときには、前回の電圧利用率指令(前回Vr*)が閾値Vrref1よりも小さい閾値Vrref2以上のときには電圧位相制御を継続し、前回の電圧利用率指令(前回Vr*)が閾値Vrref2未満のときには電流制御に移行するものとした。ここで、電流制御は、d軸およびq軸の電流Id,Iqおよび電流指令Id*,Iq*に基づく電流フィードバック制御を用いた制御であり、電圧位相制御は、モータ32のトルクTmおよびトルク指令Tm*に基づくトルクフィードバック制御を用いた制御である。閾値Vrref1としては、0.78(モータ32に矩形波電圧を印加するときの電圧利用率)が用いられる。閾値Vrref2は、電流制御と電圧位相制御との頻繁な切り替わりを抑制可能な値として定められる。なお、インバータ34の制御モードの初期値としては、電流制御が設定されている。
こうしてインバータ34の制御モードを設定すると、その制御モードを判定する(ステップS140)。インバータ34の制御モードが電流制御であると判定したときには、d軸およびq軸の電流Id,Iqと電流指令Id*,Iq*との差分を打ち消すための電流フィードバック制御によりd軸およびq軸の電圧指令Vd*,Vq*を演算する(ステップS150)。そして、d軸およびq軸の電圧指令Vd*,Vq*を用いて式(1)によりd軸基準電圧位相指令φd*を演算する(ステップS160)。
Figure 2020141498
ステップS140でインバータ34の制御モードが電圧位相制御であると判定したときには、d軸およびq軸の電流Id,Iqに基づいてモータ32のトルクTmを推定する(ステップS170)。ここで、モータ32のトルクTmは、d軸およびq軸の電流Id,Iqとモータ32のトルクTmとの関係を予め定めてマップとして記憶しておき、d軸およびq軸の電流Id,Iqが与えられると、このマップから対応するモータ32のトルクTmを導出して推定するものとした。なお、各相の電流Iu,Iv,Iwから直接にモータ32のトルクTmを推定するものとしてもよい。
続いて、モータ32のトルクTmとトルク指令Tm*との差分を打ち消すためのトルクフィードバック制御により絶対値が電圧位相指令制限φlimit以下となる範囲内でq軸基準電圧位相指令φq*を演算すると共に、演算したq軸基準電圧位相指令φq*に基づいてd軸基準電圧位相指令φd*を演算する(ステップS180)。q軸基準電圧位相指令φq*は、モータ32を力行駆動するとき(モータ32のトルク指令Tm*が正のとき)には、q軸の正側を基準とする正の値となり、モータ32を回生駆動するとき(モータ32のトルク指令Tm*が負のとき)には、q軸の負側を基準とする負の値となる。d軸基準電圧位相指令φd*は、モータ32を力行駆動するときには、90°よりも大きい値(φd*=φq*+90°)となり、モータ32を回生駆動するときには、−90°よりも小さい値(φd*=φq*−90°)となる。
こうしてステップS160やステップS180でd軸基準電圧位相指令φd*やq軸基準電圧位相指令φq*を演算すると、モータ32およびインバータ34を含むモータシステム(昇圧コンバータ40よりもモータ32側の部分)が安定であるか不安定になるかを予測する(ステップS190〜S240)。ここで、「モータシステムが安定であるとの予測」は、コンデンサ43の電圧変動(インバータ34の直流側の電圧変動)が許容範囲内になるとの予測を意味する。また、「モータシステムが不安定になるとの予測」は、コンデンサ43の電圧変動が許容範囲よりも大きくなるとの予測を意味する。
ここで、コンデンサ43の電圧変動が大きくなる(モータシステムが不安定になる)メカニズムについて説明する。図5は、駆動装置20のハード構成の模式図(簡略図)であり、図6は、コンデンサ43の電圧変動が大きくなるメカニズムの説明図である。図5および図6中、「ILa」,「Ima」,「Ica」,「Vca」は、各センサの検出値ではなく、このメカニズムの説明に用いるための符号である。「ILa」は、昇圧コンバータ40から高電圧側電力ライン42の向きを正とする電流(以下、「昇圧電流」という)を示し、「Ima」は、インバータ34から高電圧側電力ライン42の向きを正とする電流(以下、「負荷電流」という)を示し、「Ica」は、高電圧側電力ライン42からコンデンサ43の向きを正とする電流(以下、「コンデンサ電流」という)を示し、「Vca」は、コンデンサ43の電圧(以下、「コンデンサ電圧」という)を示す。
コンデンサ電流Icaは、図5および図6から解るように、昇圧電流ILaと負荷電流Imaとの和となり、コンデンサ電圧Vcaは、コンデンサ43の静電容量Chおよびコンデンサ電流Icaを用いて式(2)により表わされる。したがって、昇圧電流ILaと負荷電流Imaとの和の変動(値0からのずれ)に伴ってコンデンサ電流Icが変動し、コンデンサ電流Icの変動に対して位相が90°遅れてコンデンサ電圧Vcaが変動する。
Figure 2020141498
図6から解るように、コンデンサ電圧Vca[i]に変動が生じ、その変動に伴って負荷電流Ima[i]や昇圧電流ILa[i]が変動すると、コンデンサ電流Ica[i]が変動し、コンデンサ電流Ica[i]の変動に対して位相で90°遅れてコンデンサ電圧Vca[i+1]が変動する。コンデンサ電流Ica[i]の変動がコンデンサ電圧Vca[i]の変動に対して位相で270°遅れているときには、コンデンサ電圧Vca[i+1]の変動がコンデンサ電圧Vca[i]の変動に対して位相で360°遅れる。このとき、コンデンサ電圧Vca[i]の変動とコンデンサ電圧Vca[i+1]の変動とが同位相になり(正帰還になり)、コンデンサ電圧Vca[i+1]の変動が大きくなる。また、コンデンサ電流Ica[i]は、負荷電流Ima[i]および昇圧電流ILa[i]の影響を受ける。
したがって、負荷電流Ima[i]および昇圧電流ILa[i]の変動がコンデンサ電圧Vca[i]の変動に対して位相で270°遅れると、コンデンサ電流Ica[i]の変動がコンデンサ電圧Vca[i]の変動に対して位相で270°遅れて、コンデンサ電圧Vc[i+1]の変動が大きくなると考えられる。発明者らは、このことを実験や解析により確認した。なお、発明者らは、コンデンサ電圧Vca[i]の変動に対する負荷電流Ima[i]および昇圧電流ILa[i]のうちの少なくとも一方の変動の位相遅れが270°よりもある程度小さいと、コンデンサ電圧Vca[i]の変動に対するコンデンサ電流Ica[i]の変動の位相遅れが270°よりもある程度小さくなり、コンデンサ電圧Vc[i+1]の変動がそれほど大きくならないことも確認した。
図2および図3のスイッチングパターン設定ルーチンの説明に戻る。モータシステムが安定であるか不安定になるかを予測する際の各処理(ステップS190〜S240)について説明する。最初に、ステップS130で設定したインバータ34の制御モードが電流制御および電圧位相制御のうちの何れであるかを判定する(ステップS190)。インバータ34の制御モードが電流制御であると判定したときには、モータシステムが安定であると予測する(ステップS230)。発明者らが、実験や解析により、インバータ34を電流制御により制御するときには、コンデンサ電圧Vca[i]の変動に対する負荷電流Ima[i]の変動の位相遅れが270°よりもある程度小さくなることを確認したためである。
ステップS190でインバータ34の制御モードが電圧位相制御であると判定したときには、モータ32の回転数Nmを閾値Nmrefと比較する(ステップS200)。ここで、閾値Nmrefは、モータシステムが安定であるか不安定になるかを判定するのに用いられる閾値である。図7は、周波数と、コンデンサ43の電圧変動に対する昇圧コンバータ40の高電圧側の電流変動の位相遅れΔθvcil(上述のコンデンサ電圧Vca[i]の変動に対する昇圧電流ILa[i]の変動の位相遅れ)と、の一例を示す説明図である。実施例では、位相遅れΔθvcilが270°となる周波数fvcilをモータ32の回転数に変換した値を閾値Nmrefとして用いるものとした。なお、周波数fvcil付近の周波数(例えば、周波数fvcilよりも若干小さい周波数)をモータ32の回転数に変換した値を閾値Nmrefとして用いるものとしてもよい。ステップS200でモータ32の回転数Nmが閾値Nmref未満のときには、モータシステムが安定であると予測する(ステップS230)。
ステップS200でモータ32の回転数Nmが閾値Nmref以上のときには、モータ32の回転数Nmおよびq軸基準電圧位相指令φq*に基づいて、コンデンサ43の電圧変動に対するインバータ34の直流側の電流変動の位相遅れΔθvcim(上述のコンデンサ電圧Vca[i]の変動に対する負荷電流Ima[i]の変動の位相遅れ)を推定する(ステップS210)。ここで、位相遅れΔθvcimは、実施例では、モータ32の回転数Nmおよびq軸基準電圧位相指令φq*と位相遅れΔθvcimとの関係を予め定めてマップとして記憶しておき、モータ32の回転数Nmおよびq軸基準電圧位相指令φq*が与えられると、このマップから対応する位相遅れΔθvcimを導出して推定するものとした。図8は、モータ32の回転数Nmとq軸基準電圧位相指令φq*と位相遅れΔθvcimとの関係の一例を示す説明図である。図8では、参考のために、モータ32の回転数Nmが値Nm1でq軸基準電圧位相指令φq*が値φq*のときに、位相遅れΔθvcimとして値Δθvcim1を推定する様子を例示した。
続いて、推定した位相遅れΔθvcimを閾値Δθvcimrefと比較する(ステップS220)。ここで、閾値Δθvcimrefとしては、270°が用いられる。なお、閾値Δθvcimrefとして、270°付近の値(例えば、270°よりも若干小さい値)が用いられるものとしてもよい。そして、位相遅れΔθivが閾値Δθvcimref未満のときには、モータシステムが安定であると予測する(ステップS230)。一方、位相遅れΔθivが閾値Δθvcimref以上のときには、モータシステムが不安定になると予測する(ステップS240)。
こうしてモータシステムが安定であるか不安定になるかを予測すると、予測結果を調べる(ステップS250)。モータシステムが安定であると予測したときには、コンデンサ43の電圧変動を抑制するための変動抑制モードに“なし”を設定する(ステップS260)。なお、変動抑制モードに“なし”を設定することは、コンデンサ43の電圧変動を抑制するための処理を行なう必要がないことを意味する。
ステップS250でモータシステムが不安定になると予測したときには、モータ32のトルク指令Tm*に基づいてモータ32を力行駆動するか回生駆動するかを判定する(ステップS270)。そして、モータ32を回生駆動すると判定したときには、モータ32の回転数Nmに基づいて、モータシステムが不安定になると予測されるq軸基準電圧位相指令φq*の範囲である不安定範囲φa〜φb(|φa|<|φb|)を設定する(ステップS280)。ここで、不安定範囲φa〜φbは、実施例では、図8と同一の図9のマップにモータ32の回転数Nmを適用して、位相遅れΔθivが閾値Δθvcimref(270°やその付近の値)となる2つのq軸基準電圧位相φqのうち絶対値の小さい側および大きい側をそれぞれ値φaおよび値φbとして設定するものとした。図9では、参考のために、閾値Δθvcimrefとして270°を用いて、モータ32の回転数Nmが値Nm2のときに不安定範囲φa〜φbを設定する様子を例示した。ステップS230でモータシステムが不安定になると予測し(位相遅れΔθivが閾値Δθvcimref以上であり)且つステップS270でモータ32を回生駆動するときを考えているから、q軸基準電圧位相指令φq*は負であり且つ「|φa|≦|φq*|≦|φb|」が成立する。
こうして不安定範囲φa〜φbを設定すると、値φbの絶対値を、電圧位相制御を行なうときの電圧位相指令制限φlimitの絶対値と比較する(ステップS290)。そして、値φbの絶対値が電圧位相指令制限φlimitの絶対値未満のときには、「|φb|<|φq*|≦|φlimit|」を満たすようにq軸基準電圧位相指令φq*を再設定すると共に、再設定したq軸基準電圧位相指令φq*に基づいてd軸基準電圧位相指令φd*を再設定し(ステップS300)、再設定したq軸基準電圧位相指令φq*とモータ32のトルク指令Tm*とに基づいて変動抑制用電圧利用率Vrsを設定する(ステップS310)。そして、変動抑制モードに“インバータ”を設定する(ステップS320)。なお、変動抑制モードに“インバータ”を設定することは、インバータ34の制御方法の変更によりコンデンサ43の電圧変動の抑制を図ることを意味する。
図10は、q軸基準電圧位相指令φq*を再設定する様子を示す説明図である。図9の例では、q軸基準電圧位相指令φq*が不安定範囲φa〜φbに含まれており、値φbの絶対値よりも大きく且つ電圧位相指令制限φlimitの絶対値以下の範囲内でモータ32のトルク指令Tm*に対応可能なq軸基準電圧位相指令φq*を再設定し、再設定したq軸基準電圧位相指令φq*およびモータ32のトルク指令Tm*に対応する電圧利用率Vrを変動抑制用電圧利用率Vrsとして設定する。
ステップS290で値φbの絶対値が電圧位相指令制限φlimitの絶対値以上のときには、「|φb|<|φq*|≦|φlimit|」を満たすようにq軸基準電圧位相指令φq*を再設定することができないから、変動抑制モードに“昇圧コンバータ”を設定する(ステップS330)。なお、変動抑制モードに“昇圧コンバータ”を設定することは、昇圧コンバータ40の制御方法の変更によりコンデンサ43の電圧変動の抑制を図ることを意味する。
ステップS270でモータ32を力行駆動するときにも、変動抑制モードに“昇圧”を設定する(ステップS300)。これは以下の理由による。発明者らは、実験や解析により、モータ32を力行駆動するときには、不安定範囲φa〜φbの値φaや値φbの絶対値が大きく、「|φlimit|<|φb|」を満たすことを見出した。このため、「|φb|<|φq*|≦|φlimit|」を満たすようにq軸基準電圧位相指令φq*を再設定することができないから、変動抑制モードに“昇圧コンバータ”を設定するのである。
ステップS260,S320,S330のうちの何れかで変動抑制モードを設定すると、ステップS130で設定したインバータ34の制御モードが電流制御および電圧位相制御のうちの何れであるかを判定する(ステップS340)。
インバータ34の制御モードが電流制御であると判定したときには、ステップS150で演算したd軸およびq軸の電圧指令Vd*,Vq*とコンデンサ43の電圧Vcとを用いて式(3)により電圧利用率指令Vr*を設定し(ステップS350)、設定した電圧利用率指令Vr*と、ステップS160で演算したd軸基準電圧位相指令φd*と、ステップS100で入力したコンデンサ43の電圧Vcおよびモータ32の電気角θeと、を用いてトランジスタT11〜T16のスイッチングパターンを設定して(ステップS390)、本ルーチンを終了する。
Figure 2020141498
ここで、トランジスタT11〜T16のスイッチングパターンの設定は、例えば、以下のように行なわれる。最初に、コンデンサ43の電圧Vcと電圧利用率指令Vr*とモータ32の電気角θeとd軸基準電圧位相指令φd*とを用いて式(4)〜式(6)により各相の電圧指令Vu*,Vv*,Vw*を演算する。続いて、各相の電圧指令Vu*,Vv*,Vw*とコンデンサ43の電圧Vcとを用いて式(7)〜式(9)により各相のデューティ指令Vu*,Vv*,Vw*を設定する。そして、各相のデューティ指令Vu*,Vv*,Vw*と三角波との比較によりトランジスタT11〜T16のスイッチングパターンを設定する。こうしてトランジスタT11〜T16のスイッチングパターンを設定すると、設定したトランジスタT11〜T16のスイッチングパターンを用いてトランジスタT11〜T16のスイッチング制御を行なう。
Figure 2020141498
Figure 2020141498
ステップS340でインバータ34の制御モードが電圧位相制御であると判定したときには、変動抑制モードが“なし”または“昇圧コンバータ”であるか“インバータ”であるかを判定する(ステップS360)。変動抑制モードが“なし”または“昇圧コンバータ”であると判定したときには、電圧利用率指令Vr*に0.78を設定し(ステップS370)、設定した電圧利用率指令Vr*と、ステップS180で演算したd軸基準電圧位相指令φd*と、ステップS100で入力したコンデンサ43の電圧Vcおよびモータ32の電気角θeと、を用いてトランジスタT11〜T16のスイッチングパターンを設定して(ステップS390)、本ルーチンを終了する。
ステップS360でインバータ34の制御モードが“インバータ”であると判定したときには、ステップS300で設定した変動抑制用電圧利用率Vrsを電圧利用率指令Vr*に設定し(ステップS380)、設定した電圧利用率指令Vr*と、ステップS300で再設定したd軸基準電圧位相指令φd*と、ステップS100で入力したコンデンサ43の電圧Vcおよびモータ32の電気角θeと、を用いてトランジスタT11〜T16のスイッチングパターンを設定して(ステップS390)、本ルーチンを終了する。
この場合、「|φb|<|φq*|≦|φlimit|」を満たすq軸基準電圧位相指令φq*に対応するd軸基準電圧位相指令φd*を用いてインバータ34を制御することにより、コンデンサ43の電圧変動に対するインバータ34の直流側の電流変動の位相遅れを閾値Δθvcimrefよりも小さくし、コンデンサ43の電圧変動に対するコンデンサ43の電流変動の位相遅れを閾値Δθvcimref(270°やその付近の値)よりも小さくすることができる。この結果、コンデンサ43の電圧変動が大きくなる(モータシステムが不安定になる)のを抑制することができる。なお、「|φb|<|φq*|≦|φlimit|」を満たす範囲内で比較的小さくなるようにq軸基準電圧位相指令φq*を再設定すれば、変動抑制用電圧利用率Vrsを比較的大きくすることができる。
次に、図4の昇圧デューティ指令設定ルーチンについて説明する。このルーチンが実行されると、電子制御ユニット50は、最初に、コンデンサ43の電圧指令Vc*や電圧Vc、モータ32の電気1次周波数fm1、変動抑制モードなどのデータを入力する(ステップS400)。ここで、コンデンサ43の電圧指令Vc*は、上述のようにモータ32のトルク指令Tm*に基づいて設定した値を入力するものとした。コンデンサ43の電圧Vcは、電圧センサ43aにより検出された値を入力するものとした。モータ32の電気1次周波数fm1は、モータ32の回転数Nmに基づいて演算した値を入力するものとした。変動抑制モードは、図2および図3のスイッチングパターン設定ルーチンにより設定されたもの(“なし”、“インバータ”、“昇圧コンバータ”のうちの何れか)を入力するものとした。
こうしてデータを入力すると、モータ32の電気1次周波数fm1をカットオフ周波数fcoに設定する(ステップS410)。続いて、変動抑制モードが“なし”または“インバータ”であるか“昇圧コンバータ”であるかを判定する(ステップS420)。
そして、変動抑制モードが“なし”または“インバータ”であると判定したときには、コンデンサ43の電圧Vc(電圧センサ43aの検出値)を制御用電圧Vccnに設定し(ステップS430)、コンデンサ43の制御用電圧Vccnと電圧指令Vc*との差分を打ち消すための電圧フィードバック制御により昇圧コンバータ40の昇圧デューティ指令Dc*を設定して(ステップS460)、本ルーチンを終了する。
こうして昇圧デューティ指令Dc*を設定すると、設定した昇圧デューティ指令Dc*と三角波との比較によりトランジスタT31,T32のスイッチングパターンを設定し、設定したトランジスタT31,T32のスイッチングパターンを用いてトランジスタT31,T32のスイッチング制御を行なう。
ステップS420で変動抑制モードが“昇圧コンバータ”であると判定したときには、コンデンサ43の電圧Vc(電圧センサ43aの検出値)に対して電気1次周波数fm1付近の周波数成分を減衰させるバンドストップフィルタを施してフィルタ後電圧Vcfを演算し(ステップS440)、演算したフィルタ後電圧Vcfを制御用電圧Vccnに設定する(ステップS450)。図11は、バンドストップフィルタの一例を示す説明図である。
そして、コンデンサ43の制御用電圧Vccnと電圧指令Vc*との差分を打ち消すための電圧フィードバック制御により昇圧コンバータ40の昇圧デューティ指令Dc*を設定して(ステップS460)、本ルーチンを終了する。
この場合、コンデンサ43の電圧Vc(電圧センサ43aの検出値)に対してバンドストップフィルタを施して得られるフィルタ後電圧Vcfを制御用電圧Vccnとして用いて昇圧コンバータ40を制御することにより、コンデンサ43の電圧変動に対する昇圧コンバータ40の高電圧側の電流変動の位相遅れが270°以上になる電圧変動成分を除去することができ、昇圧コンバータ40の高電圧側の電流変動ひいてはコンデンサ43の電流変動を小さくすることができる。この結果、コンデンサ43の電圧変動が大きくなる(モータシステムが不安定になる)のを抑制することができる。
以上説明した実施例の駆動装置20では、インバータ34をd軸基準電圧位相指令φd*に基づく電圧位相制御により制御する際に、モータ32の回転数Nmおよびd軸基準電圧位相指令φd*に基づいてモータシステムが不安定になるか否かを予測する。これにより、この予測をより適切に行なうことができる。そして、モータシステムが不安定になると予測したときには、モータ32の回転数Nmに基づいて不安定範囲φa〜φbを推定する。そして、値φbの絶対値が電圧位相指令制限φlimitの絶対値未満のときには、「|φb|<|φq*|≦|φlimit|」を満たすようにq軸基準電圧位相指令φq*およびd軸基準電圧位相指令φd*を再設定し、再設定したq軸基準電圧位相指令φq*とモータ32のトルク指令Tm*とに基づく変動抑制用電圧利用率Vrsを電圧利用率指令Vr*に設定し、d軸基準電圧位相指令φd*および変動抑制用電圧利用率Vrsに基づいてインバータ34を制御する。一方、値φbの絶対値が電圧位相指令制限φlimitの絶対値以上のときには、コンデンサ43の電圧Vc(電圧センサ43aの検出値)に対して電気1次周波数fm1付近の周波数成分を減衰させるバンドストップフィルタを施してフィルタ後電圧Vcfを演算して制御用電圧Vccnに設定し、コンデンサ43の制御用電圧Vccnと電圧指令Vc*との差分を打ち消すための電圧フィードバック制御により昇圧コンバータ40の昇圧デューティ指令Dc*を設定して昇圧コンバータ40を制御する。こうした制御により、モータシステムが不安定になると予測したときに、不安定範囲φa〜φbと電圧位相指令制限φlimitとの関係に応じてより適切に対処し、モータシステムが不安定になるのを抑制することができる。
実施例の駆動装置20では、図4の昇圧デューティ指令設定ルーチンにおいて、変動抑制モードが“昇圧コンバータ”のときには、コンデンサ43の電圧Vc(電圧センサ43aの検出値)に対して、電気1次周波数fm1付近の周波数成分を減衰させるバンドストップフィルタを施してフィルタ後電圧Vcfを演算するものとした。しかし、コンデンサ43の電圧Vc(電圧センサ43aの検出値)に対して、電気1次周波数fm1付近の周波数成分の位相を90°や180°進角させる位相補償フィルタを施してフィルタ後電圧Vcfを演算するものとしてもよい。なお、位相補償フィルタは、例えば、バンドストップフィルタとバンドパスフィルタとを組み合わせて構成することができる。
実施例の駆動装置20では、蓄電装置として、バッテリ36を用いるものとしたが、キャパシタを用いるものとしてもよい。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、モータ32が「モータ」に相当し、インバータ34が「インバータ」に相当し、バッテリ36が「蓄電装置」に相当し、昇圧コンバータ40が「昇圧コンバータ」に相当し、コンデンサ43が「コンデンサ」に相当し、電圧センサ43aが「電圧センサ」に相当し、電子制御ユニット50が「制御装置」に相当する。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、駆動装置の製造産業などに利用可能である。
20 駆動装置、32 モータ、32a 回転位置検出センサ、32u,32v,32w,36b 電流センサ、34 インバータ、36 バッテリ、36a,43a,45a 電圧センサ、40 昇圧コンバータ、42 高電圧側電力ライン、43,45 コンデンサ、44 低電圧側電力ライン、50 電子制御ユニット、51 CPU、52 ROM、53 RAM、60 イグニッションスイッチ、61 シフトレバー、62 シフトポジションセンサ、63 アクセルペダル、64 アクセルペダルポジションセンサ、65 ブレーキペダル、66 ブレーキペダルポジションセンサ、68 車速センサ、D11〜D16,D31,D32 ダイオード、L リアクトル、T11〜T16,T31,T32 トランジスタ。

Claims (1)

  1. モータと、
    前記モータを駆動するインバータと、
    蓄電装置と、
    前記蓄電装置が接続された低電圧側電力ラインの電力を昇圧して前記インバータが接続された高電圧側電力ラインに供給する昇圧コンバータと、
    前記高電圧側電力ラインに取り付けられたコンデンサと、
    前記コンデンサの電圧を検出する電圧センサと、
    前記モータのトルク指令に基づいて前記インバータを制御すると共に前記電圧センサにより検出される検出電圧と前記高電圧側電力ラインの電圧指令とに基づく電圧フィードバック制御により前記昇圧コンバータを制御する制御装置と、
    を備える駆動装置であって、
    前記制御装置は、
    前記インバータを電圧位相指令を用いた電圧位相制御により制御する際に、前記モータの回転数および前記電圧位相指令に基づいて、前記モータおよび前記インバータを含むモータシステムが不安定になると予測したときには、
    前記モータの回転数に基づいて、前記モータシステムが不安定になると予測される前記電圧位相指令の範囲である不安定範囲を推定し、
    前記不安定範囲全体が電圧位相指令制限未満のときには、前記不安定範囲外で且つ前記電圧位相指令制限以下の電圧位相で前記トルク指令に対応可能に電圧利用率指令を設定し、前記電圧利用率指令に基づいて前記インバータを制御し、
    前記不安定範囲の少なくとも一部が前記電圧位相指令制限以上のときには、前記検出電圧に対して前記モータの電気1次周波数の成分を除去してまたは前記成分の位相を変更してフィルタ後電圧を演算し、前記フィルタ後電圧と前記電圧指令とに基づく電圧フィードバック制御により前記昇圧コンバータを制御する、
    駆動装置。
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