以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図に示す各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。また、本明細書または請求項中に「第1」、「第2」等の用語が用いられる場合には、特に言及がない限りこの用語はいかなる順序や重要度を表すものでもなく、ある構成と他の構成とを区別するためのものである。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る電池モジュールの分解斜視図である。電池モジュール1は、電池積層体2と、一対のエンドプレート4と、一対のサイドセパレータ6と、一対の拘束部材8と、を備える。
電池積層体2は、複数の電池10と、セル間セパレータ12と、を有する。各電池10は、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル−水素電池、ニッケル−カドミウム電池等の充電可能な二次電池である。各電池10は、いわゆる角形電池であり、扁平な直方体形状の外装缶14を有する。外装缶14の一面には図示しない略長方形状の開口が設けられ、この開口を介して外装缶14に電極体や電解液等が収容される。外装缶14の開口には、開口を塞ぐ封口板16が設けられる。
封口板16には、長手方向の一端寄りに正極の出力端子18が配置され、他端寄りに負極の出力端子18が配置される。一対の出力端子18はそれぞれ、電極体を構成する正極板、負極板と電気的に接続される。以下では適宜、正極の出力端子18を正極端子18aと称し、負極の出力端子18を負極端子18bと称する。また、出力端子18の極性を区別する必要がない場合、正極端子18aと負極端子18bとをまとめて出力端子18と称する。
外装缶14、封口板16および出力端子18は導電体であり、例えば金属製である。封口板16と外装缶14の開口とは、例えばレーザー溶接により接合される。各出力端子18は、封口板16に形成された貫通孔(図示せず)に挿通される。各出力端子18と各貫通孔との間には、絶縁性のシール部材(図示せず)が介在する。
本実施の形態の説明では、便宜上、封口板16を電池10の上面、封口板16と対向する外装缶14の底面を電池10の下面とする。また、電池10は、上面および下面をつなぐ2つの主表面を有する。この主表面は、電池10が有する6つの面のうち面積の最も大きい面である。また、主表面は、上面および下面の長辺と接続される長側面である。上面、下面および2つの主表面を除いた残り2つの面は、電池10の側面とする。この側面は、上面および下面の短辺と接続される一対の短側面である。
また、便宜上、電池積層体2において電池10の上面側の面を電池積層体2の上面とし、電池10の下面側の面を電池積層体2の下面とし、電池10の側面側の面を電池積層体2の側面とする。これらの方向および位置は、便宜上規定したものである。したがって、例えば、本発明において上面と規定された部分は、下面と規定された部分よりも必ず上方に位置することを意味するものではない。
封口板16には、一対の出力端子18の間に弁部20が設けられる。弁部20は、安全弁とも呼ばれ、電池10の内部のガスを放出するための機構である。弁部20は、外装缶14の内圧が所定値以上に上昇した際に開弁して、内部のガスを放出できるように構成される。弁部20は、例えば、封口板16の一部に設けられる、他部よりも厚さが薄い薄肉部と、この薄肉部の表面に形成される線状の溝とで構成される。この構成では、外装缶14の内圧が上昇すると、溝を起点に薄肉部が裂けることで開弁される。
また、各電池10は、絶縁フィルム(図示せず)を有する。絶縁フィルムは、例えば筒状のシュリンクチューブであり、外装缶14を内部に通した後に加熱される。これにより、絶縁フィルムは収縮し、外装缶14の2つの主表面、2つの側面および底面を被覆する。絶縁フィルムにより、隣り合う電池10間、あるいは電池10とエンドプレート4や拘束部材8との間の短絡を抑制することができる。
複数の電池10は、隣り合う電池10の主表面同士が対向するようにして所定の間隔で積層される。なお、「積層」は、任意の1方向に複数の部材を並べることを意味する。したがって、電池10の積層には、複数の電池10を水平に並べることも含まれる。また、各電池10は、出力端子18が同じ方向を向くように配置される。本実施の形態では、電池10は水平に積層されている。したがって、電池10の積層方向Xは、水平に延びる方向である。また各電池10は、出力端子18が鉛直方向上方を向くように配置される。以下では適宜、水平で且つ積層方向Xに垂直な方向を水平方向Yとし、積層方向Xおよび水平方向Yに対し垂直な方向を鉛直方向Zとする。
セル間セパレータ12は、絶縁スペーサとも呼ばれ、例えば絶縁性を有する樹脂シートからなる。セル間セパレータ12を構成する樹脂としては、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)、ノリル(登録商標)樹脂(変性PPE)等の熱可塑性樹脂が例示される。セル間セパレータ12は、隣接する2つの電池10間に配置され、当該2つの電池10間を電気的に絶縁する。
電池積層体2は、一対のエンドプレート4で挟まれる。一対のエンドプレート4は、積層方向Xにおける電池積層体2の両端に配置される。一対のエンドプレート4は、積層方向Xにおける両端に位置する電池10と、セル間セパレータ12を介して隣り合う。各エンドプレート4は、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム等の金属で構成される金属板である。エンドプレート4と電池10との間にセル間セパレータ12が介在することで、両者が絶縁される。
各エンドプレート4は、水平方向Yを向く2つの面に締結孔4aを有する。本実施の形態では、3つの締結孔4aが鉛直方向Zに所定の間隔をあけて配置されている。締結孔4aが設けられる面は、拘束部材8の後述する平面部8aと対向する。
サイドセパレータ6は、拘束部材8と電池積層体2との間に配置されて両者を電気的に絶縁する。本実施の形態では、水平方向Yに一対のサイドセパレータ6が配列される。各サイドセパレータ6は、電池10の積層方向Xに長い長尺状である。一対のサイドセパレータ6の間には、電池積層体2が配置される。各サイドセパレータ6は、例えば絶縁性を有する樹脂からなる。サイドセパレータ6を構成する樹脂としては、セル間セパレータ12と同様に、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)、ノリル(登録商標)樹脂(変性PPE)等の熱可塑性樹脂が例示される。
本実施の形態のサイドセパレータ6は、第1部分6aと、第2部分6bと、第3部分6cと、を有する。第1部分6aは、矩形の平板状であり、電池積層体2の側面に沿って積層方向Xに延びる。第2部分6bは、積層方向Xに延びる帯状であり、第1部分6aの上端から電池積層体2側に突出する。第3部分6cは、積層方向Xに延びる帯状であり、第1部分6aの下端から電池積層体2側に突出する。
拘束部材8は、バインドバーとも呼ばれ、積層方向Xに延びる長尺状の部材である。拘束部材8は、電池積層体2の側面と対向するように配置される。本実施の形態では、水平方向Yに一対の拘束部材8が配列される。各拘束部材8は金属製である。拘束部材8を構成する金属としては、鉄やステンレス鋼等が例示される。一対の拘束部材8の間には、電池積層体2、一対のエンドプレート4および一対のサイドセパレータ6が配置される。
本実施の形態の拘束部材8は、平面部8aと、一対の腕部8bと、を有する。平面部8aは矩形状であり、電池積層体2の側面に沿って積層方向Xに延びる。一対の腕部8bは、鉛直方向Zにおける平面部8aの両端から電池積層体2側に突出する。つまり、一方の腕部8bは、平面部8aの上辺から電池積層体2側に突出し、他方の腕部8bは、平面部8aの下辺から電池積層体2側に突出する。一対の腕部8bの間には、電池積層体2およびサイドセパレータ6が配置される。
平面部8aにおける各エンドプレート4と対向する領域には、コンタクトプレート22が溶接等により固定される。コンタクトプレート22は、鉛直方向Zに長い部材である。コンタクトプレート22には、エンドプレート4の締結孔4aに対応する位置に、コンタクトプレート22を水平方向Yに貫通する貫通孔22aが設けられる。また、平面部8aは、コンタクトプレート22の貫通孔22aに対応する位置に、平面部8aを水平方向Yに貫通する貫通孔8cを有する。
各拘束部材8の平面部8aに一対のエンドプレート4が係合することで、複数の電池10が積層方向Xに挟み込まれる。具体的には、複数の電池10と複数のセル間セパレータ12とが交互に配列されて電池積層体2が形成され、電池積層体2がセル間セパレータ12を介して一対のエンドプレート4で積層方向Xに挟まれる。この状態で、電池積層体2が一対のサイドセパレータ6で水平方向Yに挟まれる。さらに、一対のサイドセパレータ6の外側から、一対の拘束部材8が全体を水平方向Yに挟み込む。
一対のエンドプレート4と一対の拘束部材8とは、締結孔4a、貫通孔22aおよび貫通孔8cが重なり合うように、互いに位置合わせされる。そして、ねじ等の締結部材24が貫通孔8cおよび貫通孔22aに挿通され、締結孔4aに螺合される。これにより、一対のエンドプレート4と一対の拘束部材8とが固定される。一対のエンドプレート4と一対の拘束部材8とが係合されることで、複数の電池10は積層方向Xにおいて締め付けられて拘束される。これにより、各電池10は、積層方向Xにおいて位置決めされる。また、一対の腕部8bによって、複数の電池10は鉛直方向Zに挟み込まれる。これにより、各電池10は、鉛直方向Zにおいて位置決めされる。
一対の腕部8bによって電池積層体2が鉛直方向Zに挟み込まれた状態で、上側の腕部8bと電池積層体2との間にはサイドセパレータ6の第2部分6bが介在し、下側の腕部8bと電池積層体2との間にはサイドセパレータ6の第3部分6cが介在する。これにより、各腕部8bと電池積層体2とは電気的に絶縁される。
一例として、これらの組み付けが完了した後に、各電池10の出力端子18にバスバー60(図4参照)が取り付けられて、複数の電池10の出力端子18どうしが電気的に接続される。例えばバスバーは、溶接により出力端子18に固定される。
積層方向Xにおける拘束部材8の両端部には、固定部26が配置される。電池モジュール1は、固定部26によって固定対象に固定される。固定対象は、例えば後述する電池パック52のケース54である。固定部26は、図示しない締結部材が挿通される貫通孔26aを有する。固定対象は締結孔(図示せず)を有し、この締結孔と貫通孔26aとが重ね合わされ、ここに締結部材が挿通されることで、電池モジュール1が固定対象に固定される。なお、固定部26は、溶接等の他の方法によって固定対象に固定されてもよい。
電池積層体2の上面には、バスバープレート(図示せず)が載置されてもよい。バスバープレートは、複数の電池10の上面を覆うとともに、バスバーを支持する板材である。また、バスバープレートの上面には、トップカバー(図示せず)が載置されてもよい。トップカバーにより、電池10の出力端子18や弁部20、バスバー等への結露水や塵埃等の接触を抑制することができる。
また、電池モジュール1は、温度センサ28を備える。温度センサ28は、所定の電池10に熱的に、つまり熱交換可能に接続される。本実施の形態では、電池モジュール1は1つの温度センサ28を備える。温度センサ28は、所定の電池10の封口板16に固定されている。
図2は、実施の形態1に係る温度センサ28を模式的に示す側面図である。図3は、温度センサ28の一部を模式的に示す斜視図である。温度センサ28は、基板30と、第1温度検知素子32と、第2温度検知素子34と、第1金属板36と、第2金属板38と、支持部40と、接着層42と、接着層50と、を備える。
基板30は、第1温度検知素子32および第2温度検知素子34が搭載される部材である。本実施の形態の基板30は、フレキシブルプリント基板であり、ポリイミド等の可撓性および絶縁性を有する材料で形成される。基板30の一方の表面には、第1温度検知素子32および第2温度検知素子34が電気的に接続されるランド(図示せず)や、ランドから延びる配線(図示せず)が敷設されている。また、基板30にはリード線44がはんだ付け等により接続される。リード線44は、外部の電池ECU(図示せず)等に接続される。第1温度検知素子32および第2温度検知素子34が検知した温度に関する情報(電圧等)は、リード線44を介して電池ECUに送られる。電池ECUは、第1温度検知素子32および第2温度検知素子34の検知結果に基づいて、各電池10の異常を判定することができる。一例として電池ECUは、電池10が異常であると判定した場合、車両を制御するための別の制御回路等へ信号を伝送する。
基板30は、第2金属板38の一方の主表面に積層される。第2金属板38は、アルミニウム等の熱伝導性の高い金属材料で構成される。基板30と第2金属板38との間には接着層42が介在し、接着層42によって基板30が第2金属板38に固定される。接着層42は、例えば耐熱性および熱伝導性を有する両面接着テープ等で構成される。
第2金属板38の他方の主表面(基板30が積層される側とは反対側の主表面)は、電池10に接着等により固定される。第2金属板38は、基板30と電池10との間に配置され、基板30および電池10に熱的に接続される。したがって、基板30は、第2金属板38および接着層42を介して電池10に熱的に接続される。第2金属板38によって基板30を支持することで、温度センサ28の剛性を高めることができる。
基板30は、電池10との熱的な接続が強い第1領域30aと、電池10との熱的な接続が第1領域30aよりも弱い第2領域30bと、を有する。つまり、電池10と第1領域30aとの間の伝熱量(電池10から第1領域30aに移動する、もしくは第1領域30aから電池10に移動する単位時間、単位体積当たりの熱量)は、電池10と第2領域30bとの間の伝熱量(電池10から第2領域30bに移動する、もしくは第2領域30bから電池10に移動する単位時間、単位体積当たりの熱量)よりも大きい。
本実施の形態の第2領域30bは、第1領域30aよりも電池10から離れた位置に配置される。これにより、第2領域30bは、第1領域30aに比べて電池10との熱的な接続が弱められる。また、本実施の形態の基板30は、電池10の封口板16に沿って延在する平坦部46と、平坦部46から電池10と離れる方向に突出する突出部48と、を有する。そして、第1領域30aは平坦部46に配置され、第2領域30bは突出部48に配置される。
突出部48は、平坦部46よりも電池10から離間している。このため、突出部48は、平坦部46に比べて電池10からの伝熱量が小さい。したがって、平坦部46に第1領域30aを配置し、突出部48に第2領域30bを配置することで、第1領域30aと第2領域30bとで電池10との熱的な接続の強さを異ならせることができる。
また、本実施の形態の突出部48は、基板30の折り曲げられた部分で構成される。基板30は、フレキシブルプリント基板であるため、容易に折り曲げることができる。したがって、基板30の一部に切り込みを入れ、この部分を接着層42から剥離して折り曲げることで、あるいは反り返らせることで、簡単に突出部48を形成することができる。一方、平坦部46は、接着層42により第2金属板38の主表面に固定される。
第1温度検知素子32および第2温度検知素子34は、温度を検知する。第1温度検知素子32の検知対象となる温度は、電池10の温度であり、第2温度検知素子34の検知対象となる温度は、電池10周囲の雰囲気温度である。本実施の形態では、第1温度検知素子32および第2温度検知素子34は、それぞれチップ型のサーミスタで構成される。なお、第1温度検知素子32および第2温度検知素子34は、熱電対等であってもよいし、ビーズ型等であってもよい。
電池10は、過熱(熱暴走)すると弁部20から高温のガスを噴出する。したがって、第2温度検知素子34で電池10周囲の雰囲気温度を検知することで、電池10からのガスの噴出を検出することができる。つまり、電池10の過熱を検出することができる。弁部20から噴出されるガスの温度は1000℃近い高温である。このため、第2温度検知素子34には、電池10の温度を検知する第1温度検知素子32に比べて検知分解能の低い素子を採用することができる。第2温度検知素子34に第1温度検知素子32よりも低分解能の素子を採用することで、温度センサ28ひいては電池モジュール1のコストを低減することができる。
第1温度検知素子32は第1領域30aに搭載され、第2温度検知素子34は第2領域30bに搭載される。したがって、第2温度検知素子34は、第1温度検知素子32よりも電池10から離れた位置に配置される。第1温度検知素子32および第2温度検知素子34は、封止樹脂(図示せず)によって封止されてもよい。この場合、封止樹脂は熱伝導性を有することが好ましい。
第1領域30aは、平坦部46に設けられて電池10との熱的な接続が強い。このため、第1領域30aに第1温度検知素子32を搭載することで、第1温度検知素子32によって電池10の温度を好適に検知することができる。一方、第2領域30bは、突出部48に設けられて電池10との熱的な接続が弱い。このため、第2領域30bに第2温度検知素子34を搭載することで、電池10が第2温度検知素子34に与える熱的な影響を減らすことができる。このため、第2温度検知素子34によって電池10周囲の雰囲気温度を好適に検知することができる。
また、平坦部46は、接着層42を介して第2金属板38に固定される。第2金属板38は、基板30よりも熱容量が大きく電池10の熱が蓄えられやすい。このため、第1温度検知素子32による電池温度の検知をより安定化させることができる。また、第2金属板38に平坦部46を固定することで、平坦部46の平坦性を高めることができる。これにより、電池10の熱を第1温度検知素子32に安定的に伝導させることができる。よって、第1温度検知素子32による電池温度の検知精度を高めることができる。
突出部48における第2温度検知素子34が搭載される側とは反対側の表面には、第1金属板36が熱的に接続される。本実施の形態では、接着層50によって第1金属板36が突出部48に固定される。第1金属板36は、第2金属板38と同様の材料で構成することができる。接着層50は、接着層42と同様の材料で構成することができる。第1金属板36は、基板30よりも熱容量が大きく電池10周囲の雰囲気の熱が蓄えられやすい。このため、第2温度検知素子34による雰囲気温度の検知をより安定化させることができる。
支持部40は、基板30の折り曲げられた部分、つまり突出部48の折り曲げ状態を保持する。支持部40は、ベース部40aと、戻り止め部40bと、を有する。ベース部40aは、第2金属板38に沿って延び、接着層42を介して第2金属板38に固定される。戻り止め部40bは、ベース部40aから電池10と離れる方向に突出する。支持部40は、突出部48と接着層42との合流部に配置される。この状態で、折り曲げられる前に第2金属板38側を向いていた突出部48の表面に戻り止め部40bが突き当たる。これにより、反り返った突出部48が元の位置に戻ること、つまり突出部48が平坦部46との接続部を支点に第2金属板38に近づく方向に変位することを抑制することができる。
続いて、本実施の形態に係る電池パック52について説明する。図4は、実施の形態1に係る電池パックを模式的に示す図である。図4では、セル間セパレータ12、エンドプレート4、サイドセパレータ6および拘束部材8の図示を省略している。本実施の形態の電池モジュール1は、ケース54に収容されて電池パック52を構成する。つまり、本実施の形態の電池パック52は、電池モジュール1と、電池モジュール1を収容するケース54と、を備える。電池モジュール1は、固定部26(図1参照)によってケース54に固定される。ケース54は、所定の固定機構(図示せず)によって車体等の固定対象(図示せず)に固定される。
また、電池パック52は、本実施の形態に係る電池モジュール1とは異なる電池モジュールも収容する。以下の説明では、便宜上、本実施の形態に係る電池モジュール1を第1電池モジュール1aと称し、第1電池モジュール1aとは異なる電池モジュールを第2電池モジュール1bと称する。第2電池モジュール1bは、本実施の形態に係る温度センサ28とは異なる温度センサを備える。以下の説明では、便宜上、本実施の形態に係る温度センサ28を第1温度センサ28aと称し、第1温度センサ28aとは異なる温度センサを第2温度センサ28bと称する。
第2温度センサ28bは、第1温度検知素子32を有し、第2温度検知素子34を有しない点が第1温度センサ28aと異なる。つまり、第2温度センサ28bは、従来の電池用温度センサである。また、第2電池モジュール1bは、第1温度センサ28aに代えて第2温度センサ28bを備える従来の電池モジュールである。
第1電池モジュール1aおよび第2電池モジュール1bのいずれにおいても、電池積層体2は、少なくとも2つの電池10が並列接続された電池ユニット58を含む。具体的には、各電池モジュールにおいて、複数の電池10は所定数の電池10で構成される複数の電池ユニット58に組み分けられる。そして、各電池ユニット58において電池10どうしがバスバー60で並列接続される。また、隣り合う電池ユニット58どうしがバスバー60で直列接続される。バスバー60は、銅やアルミニウム等の金属で構成される略帯状の部材である。
図4に示す例では、各電池モジュールにおいて、同極の出力端子18どうしが隣り合うようにして4つの電池10が積層されて、3つの電池ユニット58が形成されている。3つの電池ユニット58は、隣り合う電池ユニット58の異極の出力端子18どうしが隣り合うように積層されている。そして、各出力端子18にバスバー60が接合される。これにより、各電池ユニット58における電池10が並列接続され、電池ユニット58どうしが直列接続される。なお、第2電池モジュール1bでは、全ての電池10が直列接続されていてもよい。
また、電池パック52は、ケース54の内外を連通する排気口56を備える。本実施の形態の電池パック52は、2つの排気口56を備える。ケース54は平面視で矩形状であり、2つの排気口56はおおよそ対角線上に配置されている。ケース54に収容された電池モジュール1のいずれかの電池10からガスが噴出すると、このガスは排気口56からケース54の外部に排出される。
第1電池モジュール1aおよび第2電池モジュール1bは、ケース54内に配列される。図4に示す例では、2つの第1電池モジュール1aと6つの第2電池モジュール1bとが2行4列のマトリクス状に配列されている。電池モジュールの配列において、排気口56に最も近い位置には第1電池モジュール1aが配置される。本実施の形態では、一方の第1電池モジュール1aが一方の排気口56に最も近い位置に配置され、他方の第1電池モジュール1aが他方の排気口56に最も近い位置に配置される。
これにより、第1温度センサ28aを排気口56の近傍に配置する設計が容易になる。いずれの電池10からガスが噴出した場合でも、噴出したガスは排気口56からケース54の外部に排気される。したがって、第1温度センサ28aを排気口56の近傍に配置することで、電池パック52内のいずれかの電池10が過熱していることをより確実に検出することが可能となる。
また、本実施の形態では、第1電池モジュール1aにおいて排気口56に最も近い電池ユニット58に第1温度センサ28aが取り付けられている。さらに、排気口56に最も近い電池10に第1温度センサ28aが取り付けられている。これらにより、電池パック52内のいずれかの電池10が過熱していることをより確実に検出することが可能となる。なお、第2電池モジュール1bにおいて、第2温度センサ28bが設けられる位置は特に限定されない。本実施の形態では、中央の電池10に第2温度センサ28bが取り付けられている。
以上説明したように、本実施の形態に係る温度センサ28(第1温度センサ28a)は、電池10に熱的に接続される基板30と、基板30に搭載される第1温度検知素子32および第2温度検知素子34と、を備える。基板30は、電池10との熱的な接続が強い第1領域30aと、電池10との熱的な接続が第1領域30aよりも弱い第2領域30bと、を有する。そして、第1温度検知素子32は第1領域30aに搭載され、第2温度検知素子34は第2領域30bに搭載される。
各電池10に電池用温度センサを取り付けることによる電池モジュール1の構造の複雑化を抑制しながら、電池用温度センサから遠い電池10の過熱を早期に検知する方法として、過熱した電池10から噴出するガスによる雰囲気温度の上昇を電池用温度センサで検知することが考えられる。しかしながら、電池用温度センサは、熱容量の大きい電池10に接続されている。このため、電池用温度センサは雰囲気温度の影響を受けにくく、電池10が噴出したガスによる雰囲気温度の上昇を高精度に検知できないおそれがある。
これに対し、本実施の形態の温度センサ28は、電池10との熱的な接続が相対的に強い第1領域30aに第1温度検知素子32を搭載し、電池10との熱的な接続が相対的に弱い第2領域30bに第2温度検知素子34を搭載している。これにより、電池10周囲の雰囲気温度の変化に対する第2温度検知素子34の検知感度を高めることができる。したがって、第1温度検知素子32により電池10の温度を検知するとともに、第2温度検知素子34により電池10周囲の雰囲気温度を検知することができる。よって、本実施の形態に係る温度センサ28によれば、電池モジュール1の構造の複雑化を抑制しながら、各電池10の過熱をより早期に検知することができる。
また、2つの温度検知素子を同じ基板30に搭載しているため、別々の基板に搭載する場合に比べて温度センサ28の部品点数およびコストを削減することができる。また、温度センサ28ひいては電池モジュール1を小型化することができる。さらに、各温度検知素子の配線を簡単に引き回すことができるため、温度センサ28の構造の複雑化をより抑制することができる。
また、本実施の形態において、第2領域30bは、第1領域30aよりも電池10から離れた位置に配置される。したがって、第2温度検知素子34は、第1温度検知素子32よりも電池10から離れた位置に配置される。これにより、第2温度検知素子34から電池10への熱の移動をより抑制することができる。このため、第2温度検知素子34によって電池10周囲の雰囲気温度をより高精度に、あるいはより確実に検知することができる。
また、基板30は、電池10に沿って延在する平坦部46と、平坦部46から電池10と離れる方向に突出する突出部48と、を有する。そして、第1領域30aは平坦部46に配置され、第2領域30bは突出部48に配置される。これにより、簡単な構造で第2温度検知素子34と電池10との熱的な接続を弱めることができる。よって、電池モジュール1の構造の複雑化をより抑制することができる。
また、本実施の形態の突出部48は、基板30の折り曲げられた部分で構成される。これにより、部品点数の増大を招くことなく、簡単な構造で第2温度検知素子34と電池10との熱的な接続を弱めることができる。よって、電池モジュール1の構造の複雑化をより抑制することができる。
また、基板30は、フレキシブルプリント基板である。そして、温度センサ28は、基板30の折り曲げられた部分の折り曲げ状態を保持する支持部40を備える。これにより、第2温度検知素子34と電池10との熱的な接続が弱められた状態をより安定的に維持することができる。
また、温度センサ28は、突出部48における第2温度検知素子34が搭載される側とは反対側の表面に熱的に接続される第1金属板36を備える。これにより、第2温度検知素子34による雰囲気温度の検知をより安定化させることができる。また、温度センサ28は、基板30と電池10との間に配置されて両者に熱的に接続される第2金属板38を備える。これにより、第1温度検知素子32による電池温度の検知をより安定化させることができる。また、温度センサ28の剛性を高めることができる。また、平坦部46の平坦性を高めることができ、これにより第1温度検知素子32による電池温度の検知をより安定化させることができる。
また、本実施の形態に係る電池モジュール1は、積層された複数の電池10を有する電池積層体2と、本実施の形態に係る温度センサ28(第1温度センサ28a)と、を備える。簡単な構造で各電池10の過熱を早期に検知可能な温度センサ28を電池積層体2に設置することで、電池モジュール1の構造の複雑化やコストの増加を抑制しながら、安全性の高い電池モジュール1を得ることができる。
また、電池積層体2は、少なくとも2つの電池10が並列接続された電池ユニット58を含む。電池積層体2において全ての電池10が直列接続されている場合、電池積層体2のいずれかの電池10が過熱すると、弁部20が作動して当該電池10の電圧が低下する。このため、各電池10の過熱は、過熱した電池10の電圧変化に基づいて検知することも可能である。
一方、電池積層体2において電池10が並列接続された電池ユニット58を含む場合、電池ユニット58を構成する各電池10の電圧は平均化される。したがって、電池ユニット58内のいずれかの電池10が過熱して電圧が低下しても、電池ユニット58内の正常な電池10の電圧によって、過熱した電池10の電圧低下が抑えられる。このため、検出した電圧に基づいて各電池10の過熱を高精度に検知することが困難である。これに対し、本実施の形態の温度センサ28を電池積層体2に設置することで、電池10が並列接続された電池ユニット58を含む電池モジュール1においても、各電池10の過熱を高精度に検知することができる。なお、全ての電池10が直列接続されている電池モジュールに対しても、電池10の過熱をより高精度に検知可能となる点で、本実施の形態の温度センサ28の設置は有益である。
また、本実施の形態に係る電池パック52は、本実施の形態に係る電池モジュール1(第1電池モジュール1a)と、電池モジュール1を収容するケース54と、を備える。
また、電池パック52は、第1温度検知素子32を有し第2温度検知素子34を有しない第2温度センサ28bを備える第2電池モジュール1bと、ケース54の内外を連通する排気口56と、を備える。本実施の形態に係る電池モジュール1である第1電池モジュール1aと、第2電池モジュール1bとは、ケース54内に配列される。その際、電池モジュールの配列において排気口56に最も近い位置には、第1電池モジュール1aが配置される。
これにより、本実施の形態の温度センサ28である第1温度センサ28aを排気口56の近傍に配置する設計が容易になる。この結果、いずれの電池10が過熱した場合であっても、ケース54内のいずれかの電池10が過熱していることをより確実に検出することができる。また、より少数の第1温度センサ28aで電池パック52内の全電池10の過熱を検出することができるため、電池パック52のコストを低減することができる。
(実施の形態2)
実施の形態2に係る電池パックは、第1電池モジュール1aおよび第2電池モジュール1bが温度センサの種類を除いて同じ構造を有する点と、第1電池モジュール1aの配置が限定されない点を除き、実施の形態1と共通の構成を有する。以下、本実施の形態に係る電池パック52について実施の形態1と異なる構成を中心に説明し、共通する構成については簡単に説明するか、あるいは説明を省略する。図5は、実施の形態2に係る電池パックを模式的に示す図である。図5では、セル間セパレータ12、エンドプレート4、サイドセパレータ6および拘束部材8の図示を省略している。
本実施の形態の電池パック52は、第1電池モジュール1aと、第2電池モジュール1bと、第1電池モジュール1aおよび第2電池モジュール1bを収容するケース54と、を備える。第1電池モジュール1aは、実施の形態1に係る第1温度センサ28aを備える。第2電池モジュール1bは、第1温度センサ28aとは別の第2温度センサ28bを備える。第2温度センサ28bは、第1温度検知素子32を有し、第2温度検知素子34を有しない点のみが第1温度センサ28aと異なる。つまり、第2温度センサ28bは、従来の電池用温度センサである。また、第2電池モジュール1bは、第1温度センサ28aに代えて第2温度センサ28bを備える点のみが第1電池モジュール1aと異なる。つまり、第2電池モジュール1bは、従来の電池モジュールである。
本実施の形態では、第1電池モジュール1aにおける第1温度センサ28aの配置と、第2電池モジュール1bにおける第2温度センサ28bの配置とは同じである。図5に示す例では、いずれの電池モジュールにおいても、中央の電池10に温度センサが取り付けられている。これにより、第1電池モジュール1aおよび第2電池モジュール1bを、温度センサの種類を除いて実質的に同一の構造とすることができる。
ケース54内の残空間が電池10から噴出するガスが充満する程度に小さい場合、いずれの位置に第1温度センサ28aが配置されても、電池10の噴出ガスによる雰囲気温度の上昇を検知することができる。このため、ケース54内で第1電池モジュール1aおよび第2電池モジュール1bを自由に配置することができる。また、ケース54に少なくとも1つの第1電池モジュール1aを収容すれば、ケース54内の全電池10の過熱を検出することができる。前記「残空間」とは、ケース54内の第1電池モジュール1aおよび第2電池モジュール1b等の収容物の存在領域を除いた領域である。
この場合、第1電池モジュール1aおよび第2電池モジュール1bを実質的に同一の構造とすることで、電池パック52を組み立てる際に第1電池モジュール1aであるか第2電池モジュール1bであるかを区別することなく、ケース54内に配列することができる。これにより、電池パック52の組み立て作業を簡略化することができる。前記「実質的に同一」とは、電池パック52の組み立てに影響を与える要素、例えば電池モジュールの大きさ(構成する電池10の数)、各電池10の大きさ、配線の配置等が同一であることを意味する。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明した。前述した実施の形態は、本発明を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施の形態の内容は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された発明の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。設計変更が加えられた新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態および変形それぞれの効果をあわせもつ。前述の実施の形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「本実施の形態の」、「本実施の形態では」等の表記を付して強調しているが、そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。各実施の形態に含まれる構成要素の任意の組み合わせも、本発明の態様として有効である。図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
実施の形態では、突出部48に第2領域30bを設けることで、第2領域30bと電池10との熱的な接続を第1領域30aと電池10との熱的な接続よりも弱めている。しかしながら、特にこの構成に限定されず、例えば平坦部46に第2領域30bを設けるとともに、第2領域30bと電池10との間に断熱材を介在させる等の方法によっても、第2領域30bと第1領域30aとで電池10との熱的な接続を異ならせることができる。
第1電池モジュール1aおよび第2電池モジュール1bが備える電池10の数および電池ユニット58の数は特に限定されない。電池ユニット58を構成する電池10の数も特に限定されない。また、第1温度センサ28aを備える点を除き、第1電池モジュール1aの構造は特に限定されない。例えば、エンドプレート4と拘束部材8との締結構造および電池モジュール1とケース54との固定構造は特に限定されない。サイドセパレータ6は省略されてもよい。電池10は、円筒状等であってもよい。